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2014年12月5日(金)
維新・橋下代表に問う 『イシンノミクス』?

ゲスト

橋下徹
維新の党共同代表 大阪市長
伊藤惇夫
政治アナリスト
小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授

維新の党 橋下共同代表に問う 衆院選 手応えは
遠藤キャスター
「選挙戦、ここまで序盤戦を終えて、維新の党は手応えを感じていますでしょうか」
橋下共同代表
「いや、厳しいですね。結局、選挙というのは与党の評価ですから。国民の皆さんはそこまで現在政治を変えたいという気分でないのでしょうね。変えたいのか、継続でいくか。結局はこの二者択一ですから。現在のまま安定を望んでいるというところが国民の皆さんの率直なところなんじゃないでしょうかね」
反町キャスター
「橋下さんは安定と言われましたけれども、アベノミクスにしても結論、未だ出ずというところで、これから続けていいかどうかという審判をくだそうという言い方を総理はしているのですが、安定を望むというよりは、野党の可能性、与党の可能性で、与党の可能性に国民が傾いていると。こんな見方ですか?」
橋下共同代表
「そうですね。ただ、安定というのは、生活の安定ということではなくて、政治の動きの安定ということですよね。それから、与党がどうしようもなくなった場合には、これは野党で新しい政治をということになると思うんですけれど、現在アベノミクス、安倍政権に国民の皆さんが可能性を感じているということなのでしょう。ただ訴えているんですけれども、確かに維新の党は80名しか立候補者を出していませんから、80名全員が当選したとしても、自分達は政権を担えないわけですよ。そうしたら、我々の役割は何かと言えば、現在の政治のおかしさ、国会での感覚のおかしさ。これをわーわー騒ぐ存在というのが必要です。だから、国民の皆さんはある意味、政治の安定を望む、あるいはアベノミクスの可能性に期待をして、多くの方が自民党にと言われているかもわかりませんが、自民党、民主党、公明党というこれまでの政党であれば、全党に言っているんですけれど、消費税を国民に負担をして、国民年金をマクロ経済スライドで目減りをさせておきながら、国会議員はこの5月に給料20%アップですよ。額にして、月25万円のアップ。月額25万円の給料アップなんて、日本の国会議員だけですよ。こういうことを自民党も、民主党も、公明党も、国会議員は自分の懐のことは何も言わないわけです。だから、僕みたいにこうやってわーわー言って、ある意味、国民の皆さんに告げ口をするような、そういう存在というものも必要だというのは訴えていきたいですね」

不出馬の真意とは
反町キャスター
「一方、今回の選挙戦の始まる前の、1つの焦点というが、橋下さん自身が出るか出ないかということでした。この番組で、たとえば、小沢鋭仁さんを迎えた時も、橋下さんが出れば3倍だと言って、そのまま帰られたんですけれども、その前後、それに関して、橋下さんは11月12日、確か、市役所のぶら下がりだと思うんですけれど、こういうことを言っています。『公明党にやられたままでは人生が終われない。人生なんていつ終わるかわからないが、明日、明後日に死ぬかもしれないし、やれるときにやらないと』という、この11月12日の話、僕は素材を聞いたんですけれども、これは(国政に)行く、出ると思いましたよ。この時のお気持ちはどうだったんですか」
橋下共同代表
「いや、ですから、僕は人柄がいい人間ではないですし、品が良い人間ではありませんが、それでもそれなりにいろんなことを考えてやっているつもりです。ですから、自分の心の中の基準で今回、こういう判断をしたということです。決して、僕1人が立候補をしたから、小沢鋭仁さんですか、3倍だとか、そんなことは絶対ありえません。僕1人が立候補しただけで、維新の党の情勢が変わるとは思えないんですけれども、それなりにいろいろなことを考えながら自分の判断で、こういうことをしましたけれど、これは必ず大阪のためになると思っていますし、ゆくゆくは日本のためになると思っています」
反町キャスター
「出馬を見送った理由というのは、我々にこの場で話していただくことはできるのですか?」
橋下共同代表
「それは心の中の基準に照らしたということだけです」

イシンノミクスの狙いとは
遠藤キャスター
「橋下さんは12月2日の公示日の第一声でこのように述べました。『僕らが打ち出したのはイシンノミクスです。アベノミクスは否定しません。イシンノミクスは、5兆円を配ればいいんです。景気対策になります、3兆円、5兆円を国民に渡せばいいんです。現金で渡しても意味がない。クーポンで渡すんです』と。まずイシンノミクス。これは有権者にとっては突然出てきたような言葉。公約にも一切入っていない言葉なんですけれども、これはどのような政策なのでしょうか?」
橋下共同代表
「まず、今のフリップに書かれていることは、本当にごくごく一部を引用しているので、これは不正確です。また、イシンノミクスというのは公約に出すようなものではなくて、あの公約自体をイシンノミクスと呼んでいるだけです。だから、維新の政策のことをイシンノミクス。細かな政策とか、そういうことは結局、役所、役人がつくらないと、制度設計というのはなかなかできない。政治家というのは、大きな方向性を示すというのが大きな役割です。このイシンノミクスというのが、徹底した競争政策ときちんとした所得の再分配。これを合わせてやっていこうということです。これまで政治的なイデオロギーによると、競争政策をやる人達は小さな政府なんてことを言って、社会保障とか、所得の再分配を軽視しているような政治グループで見られていた。これは現在の自民党ですよ。アベノミクス批判ですね。今度は、民主党のように大きな政治を志向しているグループは、社会保障とか、格差是正ということばかりを言って競争政策を軽視しているように見えると。でも、競争政策も社会保障の充実や所得の再分配も、これを合わせてやらなきゃいけないでしょうというのがイシンノミクスの考え方です。それと、もう1つは、税金の使い方なんですけれども、これまでの政治というものは、何か政策をやろうと思うと、役所が仕事を、いろんなものをつくる、いわゆるサービスの供給主体。いろんな業界団体ですね。そちらの方に、補助金とか、基金を積み立てて、そういうところに税金を入れていたというのがこれまでの政治のやり方。それを、僕らは消費者サイドの方に、税を、直接投入していくような政治をやろうと。業界団体とか、特定の団体に補助金とかを出すのではなくて、直接、国民の方に税金を渡していく。税金ではなく、いわゆるバウチャーというやり方ですよ。ですから、学校教育関係については学校法人に補助金を出すやり方ですよね、現在の政治のやり方。学校法人に補助金を出す。そうではなく国民の皆さんに教育バウチャーというクーポンを渡して、国民の皆さんは学費を払わずに教育バウチャーを使って、今度は学校を選ぶと。私立でもいい、公立でもいいけれども。そのクーポンを学校に現金の代わりに納めると。これがイシンノミクスの考え方。だから、競争政策と徹底した所得の再分配をきちんとやる。税金の流し方は事業者サイド、業界サイドの方に流すのではなくて、国民サイドに直接税金を流していきましょうと。これを合わせてのイシンノミクスです」
反町キャスター
「イシンノミクスという言葉が、急に出てきたことについて、2日の演説で橋下さんが急に言われたので、これは何だということで、僕の聞ける維新の幹部の方にも何人もお聞きしたんですけれども。イシンノミクスという言葉を、あなた街頭遊説で使えますかとお尋ねしたところ、中身がはっきりしていない、党で決めた言葉でもないので、その言葉を街頭遊説で自分が使うことはまだ控えているという人しかいなかったんですよ。党のメンバーにも主要議員にも伝わっていないところが、維新の党のガバナンスの悪さが、そこに出ていませんかというのは?」
橋下共同代表
「これは政策でも何でもなくて、維新の公約は、政策は決めているわけです。これはきちんと党で決めたわけですよね。これを何と名前つけますかというのを、僕がイシンノミクスと言っているわけで、それはメディアが何と言うかは知りませんけれど、それがニックネーム、第三者がある意味好き勝手に言っているんですね」
反町キャスター
「いや、言ったのではなくて、橋下さんご自身が言われたんですよ」
橋下共同代表
「うん、僕はいいなと思って言っているわけです。だから、維新の政策集を称して、これをイシンノミクスと言うと。だから、安倍政権がやっているいろいろな経済政策を称したアベノミクス。完全に名前でやられちゃっているんですよ。アベノミクスの是か非かでしょう。民主党の政策は、何てニックネームですか?ニックネームがないのではないですか。他の政党の政策についてもニックネームがないではないのですか。ニックネームがついているというのは完全に強いんですよ。だって、中身、細かなこと、全然、わからなくても、アベノミクスというだけで、何か安倍政権がやっていること、全般と、皆がイメージをするわけです。だから、そういう発信の仕方というのをもうちょっと国会議員の皆さんも考えてもらわないと。だから、僕も、維新の政策集のニックネームをイシンノミクスと言って、皆に関心を持ってもらうということでいいと思うんですよ」

イシンノミクスの財源は
反町キャスター
「江田代表が、橋下さんもかつて言われたと思うんですけれど、公務員の人件費は25兆円あるんだと。2割カットをすれば5兆円が出る。同じ5兆円の財源でも、時と場合によっては、公共事業の5兆円を持ち出したり、公務員人件費2割カットの5兆円を持ち出したりすると、両方、僕は聞いています。もう1つ、その使い道についても、橋下さんはクーポン、バウチャーとおっしゃいましたけれども、ある番組では消費税2%分上げるぐらいだったらば、5兆円を充てるぐらいがいいんだよと言った人もいますね。イシンノミクスというのが現在の言葉で、そうだと言いますけれど、財源は人件費の2割カットなのか、公共事業の見直しなのか。使い道は消費税2%先送りの財源にするのか、クーポンにするのか。いろんな組み合わせがあって、結局名前だけが先行し、中身と財源が伝わってこないと。ここはどうですか」
橋下党共同代表
「それは、こういう議論をすることを避けるために、僕はイシンノミクスと名乗っているんですよ。と言うのも、先ほども言いましたけれども、徹底した競争政策ときちんとした所得の再分配を合わせてやる。税金の使い方としては公共工事とか、役所の方に配るのではなくて、国民の皆さんの方に配っていく。それから、民主党との1つの違いですけれども、国民の皆さんに対しては税を投入していくということであれば、ここが維新の党の肝の部分ですけれど、財源はきちんと明示する。これだけを決めれば、あとの細かな政策はこの組み合わせです。どういうことかというと、公共工事も必要な工事はやればいいんですよ。でも、景気対策の公共工事というのは、必要性があるかどうか関係なく、とにかく国内に税金を撒く。いわゆる国内消費を温めるために、わざわざ公共工事の手法をとっているだけです。そうしたら、そんな公共工事をやるぐらいだったら、3兆円、4兆円、5兆円、補正予算を組むぐらいだったら、これを国民に直接還元したらいいのではないかと。ただ、減税ということをやると高額所得者も減税になってしまうので、そうであれば、中所得者層にきちんと商品券、クーポンとして使い道をあまり絞らないクーポンを期間限定付きで渡した方が消費を温めることになるのではないかという思想ですよ」
遠藤キャスター
「橋下さんのイシンノミクスを経済学的にどう見ればいいですか」
小幡准教授
「実際、何をおやりになるのか、ちょっと現在わからなかったのですけども。私も先月、この番組に出た時に公共事業で賄賂を配るんだったら、現金をばら撒いた方が賄賂としては効率的だと。学者としてはそういう考え方があるんですけれど、実際にやるとなると話はまた別なので、実際に、何をどうおやりになるのかわからないと、経済的な効果はわからないんですけれども、ただ、今のお話を聞いていると、基本的には景気対策にはならないと思うんですね。公務員の給料をカットしてもそれは政治的には素晴らしい可能性はあります。公務員から奪って庶民に配ると。これ移転ですから。これは政治的には良い悪い。良いとしてもいいと思うんですけれども、ただ、景気対策としては、公務員が貰い過ぎていっぱい使い過ぎるのか。庶民に配って、庶民が使うのか。効果は基本的に一緒なので、景気対策にはならないと思うんですね」
橋下共同代表
「それは景気対策だけではないですよ。イシンノミクスというのは、要は、国民の皆さんに直接、税を配って、消費をあたためるというのは景気対策ですけれども、たとえば、公務員の人件費を抑制したものを、教育クーポンとか、保育クーポンで渡す時は、これまでの政策転換ですよ。だから、事業者サイドの方に補助金を出して、既得権を生ませるのではなくて、これは国民サイドの方に、クーポンは渡していわゆる可処分所得を増やしてあげると。可処分所得、中所得者層のですよ。それと既得権というのを生まずに教育クーポンとか、保育クーポンをもって、国民の方が保育所を選んだり、学校を選んだり、自由にやってくださいと。事業者には切磋琢磨させましょうと。これは景気対策でも何でもないですね。景気対策というのは、先ほど言ったように、補正予算を組み、3兆円、4兆円、5 兆円の公共工事をやるぐらいだったら、公共工事をやるような景気対策よりも、これは商品券を渡した方が景気対策としては有効でしょうということです」

アベノミクスは賛成?反対?
伊藤氏
「橋下さんにちょっとお聞きしたいのは、アベノミクスに対する評価です。現在、おっしゃった中でも、いろいろ出て来るんですけれども、たとえば、この間の、2日の街頭演説の時に、アベノミクスは否定しませんとはおっしゃいましたね。最後の方でも、たとえば、アベノミクスをバーッとふかすためには、我々みたいなハイオクガソリンも、維新の党も混ぜてもらわなければいけないという言い方をされている。ただ、一方で、公約集、改革メニュー13の前文を読んでみると、異次元の金融政策のみに頼り切ったアベノミクスに、もはやこの国の経済を再生させることはおろか、国民の生活を守ることもできませんと。公約の方ではかなりアベノミクスに対し、全面否定に近いような文言が使われているのですが、橋下さんの演説の中では、アベノミクスは否定しないという言い方をしていると。このへんは矛盾しませんか」
橋下共同代表
「現在の論争はアベノミクスの是か非か。アベノミクスと、民主党政権が言っている『人への投資』。それが対立構造になっている。これをあわせてやらなければいけないでしょうという、第3の道を言っているわけですよ。だから、アベノミクスは、これは進めなければいけない、競争政策として。これはある意味経済戦略と言いますか、景気対策と言うか、一時的な景気対策というよりも国力を上げていくという意味で、経済政策です。アベノミクスはどんどん進めなければいけないけれども、でも、アベノミクスに欠けているのは所得の再分配。また、いわゆるアベノミクスというのは大企業の社員の給料を上げる。そして、株を持っている人の資産の価格を高める。この人達が消費をすることによって最終的にはトリクルダウンで滴り落ちて、国民全体の収入が上がるでしょうという、このトリクルダウンの理論ですけれど、それだけでしょうと。株を持っていない人もたくさんいるし、大企業に勤めている人もごくわずか。そうであれば、大多数の中間層。まさに民主党が言っているボリュームゾーン。中間層のボリュームゾーンを厚くしていくということが必要。その場合に、中間層の可処分所得を広げてあげなければいけない。税の直接投入をしていくような、そういう政策も必要ではないですかということを言っているわけです」

トリクルダウン効果をどう見る
反町キャスター
「先月の11日。また、大阪市における発言。橋下さんの話で、こういう発言がありました。『株価が1万7000円まで。家計の方に恩恵が行きわたっていないというけれども、全国民の全世帯に恩恵をこうむらせることができる国会議員なんていませんよ』という、この話があったんです。また一部だと言うかもしれないけれど、確かに、こういう発言をされている。どういう意味で受け取ればいいのか。先ほど言ったトリクルダウンということには限界があるという意味なのか。ないしは再分配が機能しないという意味なのか。これは何を意味した発言だったのでしょうか?」
橋下共同代表
「だから、政治に携わっている人は本当に頭が凝り固まっているなと思うんですけれども、トリクルダウンとか、株価を上げる話とか、大企業の成長を促す話とか、これを否定したら意味ないではないですか。企業はどんどん儲けてもらったらいいんですよ。株価が上がって、株を持っている人もどんどん裕福になってもらったらいいではないですか。でも、それだけで本当に全国民が裕福になるかと言ったら、違うでしょうと。だから、中間所得者層を分厚くするためには他のこともやらなきゃいけないということです。だいたい政治家、選挙で選ばれた我々が、1億2000万人の国民の皆さんの生活を豊かにできる能力が1人の人間にあるのかと言ったら、そんなのないですよ、選挙で選ばれただけですから。だから、いろんな政策を積み重ねていって、以前よりもましにしていくということが政治ですよ」

“イシンノミクス”と“アベノミクス”
反町キャスター
「アベノミクスを進めている人達、政府与党の人達は、まず元気なところをある程度元気にして、引っ張っていかなければいけないということを言いますよね。橋下さんも部分は同じ。つまり、景気回復期における格差の拡大。これは一時的にはやむを得ないと思っていますか?」
橋下共同代表
「伊藤さんがいつも対立で、『大、強、富』と『小、弱、貧』と2つ分けていますが、2つに分けるのではなく、両方同時にやったらいいんですよ」
伊藤氏
「それは理想ですよ」
反町キャスター
「でも、それがなかなかできないから」
橋下共同代表
「できるんですよ。だから、言っているではないですか。公務員の人件費を削って適正化したら、年間5兆円のお金が出てきますよ。公務員の人件費をカットしろと言っているのではないです。日本の国を命がけで守ってくれている、尖閣諸島に行っている海上保安庁の職員とか、それから、災害の時には、命をかけてやってくれている陸上自衛隊とか、市民の安心、安全を守るために、命をかけて働いてくれている警察官や消防隊。しっかりと給与を出さないといけないですよ。でも、日本の公務員の給料のおかしさというのは、北は北海道から南は沖縄まで、全国津々浦々の350万人の公務員が一流の大企業の社員並みの給料をもらっている、全員が。それは直しましょうと。国民の平均収入に、地域の皆さんの平均収入に直していけば年間5兆円のお金が出てくるんです。だから、この5兆円のお金を中間所得者層の方に還元していったらいいじゃないですか。だから、アベノミクスを進めながら、公務員人件費を抑制して、それを中間所得者層に渡せばいいんです。今回、安倍さんが消費税の増税を先送りしたではないですか。低所得者に対して5000円の給付金を渡す政策も先送りしたんです。低所得者の人に5000円の給付というのは、5600億円でできるんですよ。僅かです、5600億円。公務員の給与の適性化をやればこんなにお金出てくるんです。だから、同時にやればいいですよ。理想でも何でもない。夢物語でも何でもない。やればできるんです。アベノミクスは税金を使わない改革ですよ。財源を生み出し、公務員の給与の適正化をやれば、中間所得者層の可処分所得を上げてあげる。低所得者の生活を支えてあげる政策ができるんですよ」
遠藤キャスター
「同時にやればいい、あわせてやればいいという発言ですが、小幡さん、これは現実的にどうなのでしょうか?」
小幡准教授
「財源はともかく、考え方としてはちょっと対立しているのではないかなと思うんですね。第2の矢も、事業サイドで、公共事業をふかすのではなくて、消費者に配るということで、サイドが別ですから、どちらかしか成り立たないし、第3の矢でも規制、成長戦略と言っても、基本的に企業を強くして、国際競争力をつけるという施策と、消費者に自由に選ばせて、その中で自由競争で勝ち残りというのは両立しないことが多いですね。現実的には。たとえば、農業でやる場合に、その強い生産者を作っていかないといけない時に、どうしても供給側をまず強くしてからでないと始まらないという考え方と、いやいや、そんなことを育てていても、太っちゃうだけだから、もう最初から、ゼロから消費者に選ばせて…」
反町キャスター
「規制を完全に撤廃をして?」
小幡准教授
「撤廃をして、自由にして、お金はコメの券でも、フードスタンプでもいいのですが、消費者に配って、自由に選ばせることによって勝ち残りを選ぶということは、考えとしては両立し得ないと思うので。両方やっちゃうと矛盾をして、制度がうまくいく効果を発揮しないと思うんですよ」
橋下共同代表
「それは、学者さんはそんな理論ばかりでやっているから、そうなのかもわかりません。現実にあわせた政策というのは、やるんですよ。だって農業の場合も供給者サイドを強くするのには徹底した新規参入というものを認めると。現在の農協だけではなくて、いろんな団体の、いろんな商社も入ってきてもらって、農家を支える団体というものを強くしていくということをやっていきながら、ただ、これをコメの販売にしても、何にしても需要者サイドの方がきちんと選べるような体制を取っていくということも必要です。これは別に、需要者サイドの可処分所得を増やす話ではないんですよ。ちょっと、小幡さんが何をどう考えられているかよくわからないのは、だって理論とかそうではなくて、考え方として徹底して国際競争力を高めていくために規制緩和をやって、それから、一時的な資産効果を高めるために大胆な金融緩和を行うとか。それはやっていけばいいと思います。ただ、たとえば、機動的な財政出動の時に、僕のような発想、僕のような考え方だったら、公共工事とか、役所の方に基金を積み立てていくなんてことはやりません。これは景気対策とか、そういうことではなくて、供給サイドの方に税を入れるというやり方を止めようということです。これは国民の皆さんに商品券を配るということをやれば、これは別に供給サイド、切磋琢磨するのではなくて、単純な機動的な財政出動というのは、これはいわゆる景気対策、消費をあたためる話ですから、やり方として商品券を渡せば、それは国民の皆さんも懐があたたまるのではないですかというだけの話ですよ」
反町キャスター
「それは必ずしも、アクセルとブレーキを同時に踏むことにはならないのですか?」
橋下共同代表
「なりません。たとえば、私学助成。私立の学校を支えるやり方というのはこれまでは供給サイドに偏っていたわけですよ。いわゆる私学団体、学校法人の方に、どんどん補助金を入れていたんです。大阪府は、僕が知事の時にそれを変えました。ただ供給サイドへの私学団体の助成金をゼロにしたわけではないんです。小幡さんは、そこは100かゼロで考えるから、供給サイドの方の助成金をゼロにするのではなくて、そこは抑制しながら、子供達の方に税金を投入していたんです。そのことによって大阪は私立の高校も無料で行けるような政策をつくったんですよ。私立の高校を無料で行ける政策は、何に資するかというと、中間所得者層の可処分所得を広げてあげることにつながるわけです。その人達が消費できるではないですか、その分。学費を払う分を消費にまわせるわけですから。これはゆくゆくは景気対策になるかもわからない。景気対策と政策というものを分けるのではなくて、世の中の現実は全部あわさった、混合ですよ」

税制の公約については
遠藤キャスター
「維新の党が掲げる税に関する公約です。消費税10%に自動的に上げる、景気条項削除に反対。マイナンバー制度を前提に給付付き税額控除を導入。歳入庁設置により税と社会保障料を一体徴収。円安対策としてガソリン税の減税を行うなどですけれど、橋下さん、そもそも維新の党として(消費税増税は)反対の立場だったと思うのですが」
橋下共同代表
「反対というか、現在のタイミングでの増税は反対ということですよ」
反町キャスター
「もっと根本的なところで、国税としての消費税には反対ではなかったでしたか?」
橋下共同代表
「そうですよ。消費税の地方税化を目指しますよ。地方に責任を負わせる。地方に、責任を負わせることになれば、財政の自立というものが必要ですから消費税はもともと地方税化にするのが本来の原理原則ですよ。これは」
反町キャスター
「であるにもかかわらず、たとえば、現在国庫に対し、国庫に納入する税で、しかも、社会保障目的税となっていることについて、たとえば、条項削除に反対、いわゆる反対する流れに乗って相撲をとっているように見えるのですが、これは違う?」
橋下共同代表
「それは理想の政策と、現実には、与党がいろいろやってくるわけですが、それに対する対応をしなければいけないではないですか。だから、我々が政権をとれば、消費税を地方税化しますよということです」
反町キャスター
「要するに、現在の与党と相対するところにおける公約、自分達が政権をとった時の将来目標と混ぜたものが、この公約集に入っている。そういう理解でいい?」
橋下共同代表
「入っていますよ。政治グループですから。それは入れていますよ。自民党だってそうじゃないですか。自分達が理想の話と現実的にやる話とが混在しているではないですか。だから、消費税の地方税化というのは公約の中にも入っていますよ。それは入っているけれども、現実問題、自民党が2017年の4月に景気条項を削除して、確定的に消費税を上げるように言っているけれども、それは違うでしょうと。消費税を増税するかどうかというのは時々の状況の政治判断でやるべきなので、これを一律に増税ということを決めるのはおかしいでしょう。だいたい国会議員の給料月額25万円も上げておきながら、それで国民の皆さんに負担を求めるというのは筋違いではないですかということです」

民主党との候補者調整の効果は
遠藤キャスター
「民主党との候補者調整は効果が出ているのでしょうか?」
橋下共同代表
「僕は選挙実務は任せていますので、実務者担当に。そこはわかりませんが、維新の党支持者と、これまでの民主党支持者というのは考え方が違うと思いますよ。だから、選挙区調整と言ってもどういう調整をしたのかはわかりませんが、1つの選挙区に与党と野党が2人いたら、これは与党を利することになるので、野党は1人にしましょうというだけであって、お互いに応援しあうとか、そういうことではないですよ」
反町キャスター
「愛知12区で、民主党が譲った区で、民主党はやっぱりダメなんだと。批判する。譲った民主党の側にしても、民主党の支持者も今回維新を応援しようという気にならないのではないですか?」
橋下共同代表
「それでいいんじゃないですか。事実なのだから。民主党とこれだけ考え方が違うと言っているのに、そこを抑えて維新らしい主張をしなかったなら、今度は日本全国の全国民の中で維新の応援者が離れていっちゃいますよ、そんなの。だから、それはミクロ的にその党が、選挙区の事情がどうか知りませんけれど、当選したいだけでそんなことをやったら、維新の応援者の方は見限ります。それだったら自民党応援するとなってしまいますよ。だから、野党再編が必要です。民主党の皆さんはまた民主党を復活させて、自民党に対抗できる勢力をと思われているのかわかりませんが、僕はそれは無理だと思いますよ。民主党の中に2つのグループがあって、僕と考え方があう人達がたくさん民主党の中にいますから、そういう人達が旗を振って新しい自民党に対抗できる政党をつくれば、国民の多くの皆さんは期待を寄せてくれるのではないかと思います。だから、民主党の皆さんは55年体制の社会党と同じように、とにかく万年野党で自分が当選するだけでいいと考えるのか、それとも本気で政権奪取を目指していくか、政権奪取を目指していくということであれば、新しい国民の期待に応えられる政党というものをつくらざるを得ないと思いますよ」

民主党との選挙協力は難しい?
伊藤氏
「そもそも維新と民主党は基本的に天敵ですよね。つまり、維新がある時期非常に高い期待を集めた、支持を集めた。それは当時の民主党政権に対する不平不満、批判、それの受け皿としての期待感だったと思います。逆に言うと、安倍政権に変わってから、多くの国民の皆さんが安倍政権でいいじゃないかと思うようになった段階で、維新の存在感というのはまったく違う性格に切り替えなければいけなかったのかもしれない。しかし、ある意味、見ていると、そのままの状態でここへ来て、民主党と選挙協力というか、棲み分けに進んでいるわけですけれど、これは橋下さんには失礼な言い方だけれども、維新の支持者の多くの方というのはおそらく非常に固定的な支持者というよりは、かなり流動的な支持者が多いわけですよね。ですから、そういう方々に対し、前回維新に入れてくれた人、ここは選挙区調整したから今回民主党の人に選挙区を譲りましたから、民主党の人に票を入れてくださいと言ったって、それは入れないし、その票自体がどっかに消えていると思っていいと思うんです。ですから、そういう意味で言うと、棲み分け、あるいは候補者を絞り込む。共倒れを少しでも防ぐというのは考え方としてはわかるけれど、実態的には機能していない気がしますね」
橋下共同代表
「重要なのは、今回の選挙で維新の党の比例票がどれぐらいなのかということですよ。浮動票はたぶん安倍、自民党の方にいくのでしょうけれど、改革というものを重視する、国民の皆さんがどれぐらいいるかというところです。この票を見て、民主党の中に改革というものを思考するグループの人がこれまでの民主党のままでいてもどうせ政権交代できない。そうであれば維新に集まったこの票、ある意味改革、僕らを応援してくれたというよりも、改革というものを、自民党でもない、民主党でもない、改革というものを求めている国民がどれぐらいいるのかということを見てもらうとたぶん新しい政党に踏み切られるのではないでしょうか」
反町キャスター
「そこまで言うのであれば、選挙区調整をやらない方が良かったのではないですか?」
橋下共同代表
「選挙区調整をやったつもりはないですよ」
反町キャスター
「だって、大阪で、たとえば、民主が立たない状況がいくつも出ているし、実際に愛知12区は選挙区調整と言わずして何ですか?」
橋下共同代表
「選挙区調整というのはお互いが応援しあうとか、そういうことを指しての選挙区調整はやっていないということで、お互いに出す立候補者を、1人に絞るというのは、それは与党を利するようなことはしないだけであって、僕は民主党を応援するつもりはまったくないですから」
反町キャスター
「その意味で言うと、自民党に利することになってしまうわけですよね」
橋下共同代表
「いや、それだったら改革思考を目指す国民の皆さんを裏切ることになります。反町さん、まだ選挙期間中なので、ちょっと政策の話をさせてもらいたいのですが、小幡さんとも話をして、どこで何が違うのかなと思ったんですけれど、現実の政治、現実の政策というのは、理屈だけで100対ゼロで割り切れるような話ではないですよ。だから、それは理屈と言って、供給サイドの政策なのか、需要サイドの政策なのか、それは整合性がとれないとか、言いますけれども、世の中の政策というのは皆いろんなものが混じったものですよ。それはパッと見れば、景気対策に見えないけれども、実はそれが景気対策につながっているとか、確かに行き過ぎた円安は良くないですよ。その時に金融緩和というやり方は考える必要もそれはありますよ。でも、単純に現在のガソリンの問題とか、そういうものを見て、円安をまたドンと変えるのかと言ったら、円安によっていろんな効果がいっぱいあるわけですよ。失業率の改善から何からいろんな効果がある。その中の1つの副作用としてガソリンの問題があったとしますよね。こういう状況の時に円安というものの流れを、逆振れにさせていくのかといったら、そんなことはないですよ。そんなことをやってしまったら、現在生まれているあらゆるいろいろな効果を全部消してしまうことになるわけですから。そうしたらこの問題になっている部分だけ、ある意味、対処法やればいい。それはガソリン税の減税ですよ。それを理屈の世界でいくと、ガソリン税の減税をやるぐらいなら、国富の流出がどうやらかんやらで、円安というものを逆振れさせないといけない、また円高にさせるのかという話ですよ。それは違うんですね、現実の政治は。だから、円安の現在の流れ、行き過ぎたものは止めなきゃいけない。止めなきゃいけないけれど、副作用があるのだったら、副作用ごとに対処法をやっていく。それでそれは最後に天秤にかけてどちらをとるのかというのが、現実的な政治だと思うんですよ」
小幡准教授
「アベノミクスを支持したまま、イシンノミクスを出すというのはそんな必要全然なくて、イシンノミクス1本でいいと思うんですよね。アベノミクスも金融政策、黒田緩和第1弾と言われる昨年の4月、これも賛否が両論ありました。私は反対でした。ただ、結果として良かったという声が多いです。その人達も今回10月の第2弾は今回はいらないのではないかと、円安のコストも出ているし。ここで同じやり方に固執するんだと、金融政策が手仕まって、いわゆる第1の矢が手仕まって、第2の矢も景気失業率下がりましたから取っ払って、第3の矢に集中したらどうなのかというのが、一番一般的な意見ではないですか。第3の矢のところで橋下さんと安倍さんと考え方が違うわけですから、単に乗ってプラスアルファ両方で第3の道というのではなくて、普通に対立すればそれでいいと思います」

どのような政界再編を望むのか
反町キャスター
「今回の選挙をどう位置づけているのですか?」
橋下共同代表
「新しい野党が必要です、日本には新しい野党が。改革思考を目指すね。その新しい野党は単に政権与党の足を引っ張って、日本の国を悪くするような、そういう野党ではダメです。それは是々非々でやるような野党にならなければいけない。2大政党制になって自分達も政権与党になる可能性が出てきたら、何でもかんでも反対とか、上げ足取りのそんな追求型の野党なんてこれはもう成り立たなくなりますよ。だって自分が与党になった時に同じことやられるわけですから。だから、新しい野党をつくって、政権交代可能なきちっとした政治制度になれば、不毛な足の引っ張り合いはなくなります。だって自分が与党になった時に同じことをブーメランでやられたら、たまったものではないわけですから。そこに民主主義というものが成熟して、一定の与野党のルールができてくるんです。与野党の政権交代がなかった日本の政治にはこのルールがなかったんです。だから、政権交代というものを繰り返しながら、それはある意味、不文律的な、与野党のルールというのは絶対に出てきます。あんな野党になって、参議院で問責決議を出すなんてバカなことはやめなければダメですよ。自分が与党になって、あんなことやられたらたまったものではないとなるわけですから。そういうのはだんだん不文律でできてくる。これはまだまだ日本の民主主義が成熟していないので、もうちょっと時間がかかると思います」

理想とする政治とは
遠藤キャスター
「橋下さんは今後どうなりたいのか、どうしたいのかということをどうしても聞きたいのですが」
橋下共同代表
「僕は納税者の立場で、既得権益に税金が流れるとか、国民に負担を押しつけておいて消費税増税をし、年金を下げておいて、国会議員が月額25万円の給料アップを平気でやっているようなそんな政治にとにかく頭に来ているんですよ。そういうのは変えたい。それから、現在のいろんな日本の不公正な社会制度、政策の面を話させてもらいますが、僕は競争政策を重視しますけれど、教育に関しては大学卒業するまでは教育費は完全無償の国にしたいんですよ。絶対国が強くなるんです。これはもう公務員の人件費、給与をきちんと適正化すればできますよ。それから、年金制度も所得の再分配というものにすごくこだわります。維新の党の公約はある意味共産党的です。所得の再分配については。年金は65歳になった時、資産を形成した人、貯蓄がすごくある人。収入がすごくある人、この人達には年金は諦めてもらうと。こんなこと言っているのは、維新の党だけですよ。それだったら中間所得者層、低所得者の方に年金をまわしていく。また医療費とかについても、現在の自民党は選挙のことを考えて、高齢者になればなるほどこの自己負担が少なくなるでしょう。それは違うと。所得の高い人は負担してもらわなければいけない。所得の低い人は負担を少なくする。こういう世の中をちょっとでもつくりたいんですよ。だから、そういう想いはすごく強い。自分がどういう立場でやるのかというのは、それはその時の判断で決めます」