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2014年11月28日(金)
総選挙“論点”は何か 争点隠しか?安保政策

ゲスト

森本敏
元防衛大臣
柳澤協二
元内閣官房副長官補(安全保障担当)
遠藤誠治
成蹊大学教授

総選挙の争点 集団的自衛権 争点化の是非
遠藤キャスター
「安全保障の法整備についての各党の公約を見ていきたいと思います。自民党は、安全保障法制を速やかに整備する。公明党は、閣議決定を適格に反映し法制を検討する。維新の党は、現行憲法下で可能な自衛権行使の在り方を具体化する。次世代の党は、集団的自衛権に関する憲法解釈適正化。民主党は、集団的自衛権の閣議決定を撤回。共産党は、集団的自衛権の閣議決定撤回、海外で戦争する国づくりを許さない。生活の党は、集団的自衛権の行使容認には断固反対。社民党は、集団的自衛権の閣議決定を撤回。自衛隊の海外派遣の恒久法制定には反対するという公約ですけれども、4つの党に関しては、法整備に積極的な姿勢。その他の4つの党に関しては、閣議決定の撤回を求めていると。党の数で言えば、4対4という構図ですけれども、森本さん、1つ1つは、具体的に、また、後ほど見ていくとして、まず気になるのが、自民党と公明党の公約の中に集団的自衛権という文言が入っていない点について。これはどう見ればいいのでしょうか?」
森本氏
「この公約はあくまで総選挙をどう戦うかということでつくられたものですから、これからの党としての政策を述べたものでは必ずしもないわけです。世論調査をすると、集団的自衛権にどちらかと言えば、反対だという国民世論に半数以上占めているので、従って、集団的自衛権の云々を議論しない方が選挙に有利に出てくると与党は考えるわけですから、集団的自衛権という言葉を使っていないんですね。国民が反対している集団的自衛権問題を正面から捉えた方が選挙戦を有利にできると思っている野党は、まさにそれをテーマに党の公約をつくっているということなので、このようにはっきりと区別されているということですから」
反町キャスター
「まさに、安全保障に関する議論ということではなく、選挙戦をいかに戦うべきかというところの材料だと見た方がいいという」
森本氏
「そうです。私はそう見ていますので集団的自衛権に反対する世論があるということを十分に、承知をして、集団的自衛権の云々の否定的な立場をとる公約を出した方が、選挙戦を有利に戦えるという野党は、そこはまだ文字にしているということですよね」

自民 争点化隠しの思惑
反町キャスター
「先日、菅官房長官もその手の質問に対して、受け止め方もいろいろとあったんですけれでも、集団的自衛権については『限定容認については、憲法の現行の解釈の中の範囲ということを国会でも答弁している』という、これは集団的自衛権の安全保障法制の議論というのは、この国会の争点になるのかどうかという、官房長官会見の中の記者団とのやり取りの中で、こういう発言があったんですけれど、まさに森本さんの説明の延長線上にあるように、集団的自衛権など安全保障に関することは、今回の総選挙の争点からちょっとずらしたい。ここで戦うのは得ではないなという与党の気持ちがこのへんにもにじみ出ているような印象ですか?」
森本氏
「日本の世論の中心軸がどこにあるかというのが、これは見方がいろいろあるのですが、私は左、右でいうと、少しだけ右。どちらかというと、いわゆる親米か反米かというと少しだけ親米。反米よりは軸はそこにある。そうでない対立軸の中にあるのが、1つがいわゆる原発反対。沖縄をはじめとする米軍基地反対。それから、集団的自衛権反対。秘密保護法制反対。この4つは、世論と反体軸のところにあるんですね。つまり、それを取り上げることが選挙戦を不利にするというのならば、それは正面から戦わない方がいいということだと思います」
遠藤キャスター
「柳澤さんはこの官房長官の発言をどう見ていますか?」
柳澤氏
「限定容認が現行の憲法改正の中にあるから問題にならないという発想そのものが妥当なのかどうかということを問わなければいけないということです。世論調査も限定的ならいいのではないかという答えが結構多かったのが、それが7月1日の閣議決定以降、特に総理があのパネルを示して以降、何かこれは胡散臭いぞという感じが非常に出てきて、なかなか世論の支持が上がってこない状況にあるわけです。そういうのは国会でもちゃんと時間をとって、2日間の集中審議を7月にやったけれども、本当に論理的な詰めの議論が、まったくできていない。また、そのままであるにもかかわらず、現行憲法の解釈と変わらないのだからという、その理屈そのものが本当にいいのかと。だって昨年、1年前は、安倍総理は憲法96条を改正しようとしていたわけです。それよりももっと政府が勝手にやれるような形でやっている。そのこと自体、集団的自衛権の賛否はじっくり議論をしなければいけないが、それはそれとして、だから、議論をする必要がないですよということが私は問われなければいけないだろうと思いますね」
反町キャスター
「遠藤さんは、安全保障の議論が選挙の争点になるべきかどうか。そのへんはどのように選挙戦を見ていますか?」
遠藤教授
「安全保障の議論を冷静にできる環境が本来は必要だと思うんですけれども、現状では日中関係の緊張や世論の状況なども含めて、安全保障の問題を冷静に議論できる環境はあまりないなと。あるいは韓国に対して、中国に対して冷静な議論をしようという姿勢をとると、親中、親韓と言われたりする。それではきちんと国を守る議論の場がないなと思うんですね。それと関連して申し上げますと、今回の安全保障の議論そのものよりも決め方にいろいろ問題があったと。国の在り方を議論する際には、冷静な、柳澤さんがおっしゃったんですけど、きちんと議論をすべきであったのに閣議決定でやってしまった。本来は多くの国民の納得を得る説得や、反論に対して、いや、だから、再反論というのが必要だったところを、それをしなかったのに、もうそれは争点じゃないよというふうに言われると、また、それは反発が出てくるのは当然だなと思いますね」
反町キャスター
「与党がもし(選挙に)勝ったとした場合、ここに言われているような閣議決定のプロセスだとか、来年の通常国会に安全保障法制の議論にも向け、現在の与党が有権者、国民からここまでの一定の信任を得たと与党がなりますよね?」
柳澤氏
「うん。7月1日に閣議決定をして、それに基づいて法制整備をやっていくということが問われていることは間違いないわけだし、それはここで仮に与党は当然、過半数をたぶんとるのだろうと思うが、そのことを頭からちゃんと言わないままに、勝ったから、これで認められたんだという言い方をするところがまた非常にフェアでないという。もし、そうだとするとね」
反町キャスター
「争点隠しだと思っていますか。争点隠しとは言わないまでも安全保障隠しだと思います?」
柳澤氏
「うん。実は隠して隠しきれていないんだけれども、隠しきれていないから、もっと本質的な中心になるところをしっかり主張をされることが必要だろうと思うんです」

日本の安保政策をどう示すべきか
遠藤キャスター
「来年の通常国会に向けての与党協議で、安全保障法制の議論を本格化させるとしている自公ですけれども、森本さんは自公、与党両党の安全保障を巡る政策については、そこは足並みがそろっている。同じ方向を向いていると考えていますか?」
森本氏
「7月1日の閣議決定をあそこにまとめるに際して、細部に渡って、政府が、特に法制局、並びに与党協議。自公の協議で、いろんなシナリオをテーブルの上にのせて相当、深い議論をこれまでもしてきたので、基本的な考え方についてはあらためてやらなければならないほど浅くはない。つまり、自公は相当議論をしてきている。ですけれども、それはあくまで閣議決定をどう決めるかということについてだったわけです。具体的に法整備をするといったい個々の、たとえば、集団的自衛権の行使について言えば、いろんなアメリカのアセットの防護だとか、あるいはミサイル防衛だとか、防空、あるいは基地施設の防護だとか、海洋安全保障だとか、個々のメニューは中間報告の中に書いてあるのですが、それをどのような条件の下でどの程度やるのかということはまさにその法整備の中で、法律の形で、既存の法律、あるいは新しい法律を組み合わせて、どこまで書き込んでどこまで可能とするかというのはもう1回議論をしなければならないことですね。その際、公明党の基本的な考え方はできるだけ安保条約の枠の中で、アメリカに引きずられて戦争行為をやるとか、あるいは武力の行使をやるということはできるだけ控えたいという党の非常に強い想いがあるので、日米同盟を強化するためにどこまで日本がやるべき領域を増やそうかと考えている自民党とどこで折り合うかというのは、これは法制の骨格をつくる時と、実際の骨格が了承されて、法整備が行われ、法案ができた。法案を見ながら審議をする時に2回に渡って、自公の協議がどこまでいきつくのか。なかなか難しいと思う」
遠藤キャスター
「柳澤さんは自公の足並み、方向性は揃っていると?」
柳澤氏
「閣議決定の抽象的な文言の限り、合意はしたけれども、実は答弁を聞いていると、言っていることがかなり違っていて、公明党の主張というのはほとんど個別的自衛権でもやれるようなことに限定されるんだという言い方です、ざっくり言えばね。私も政府が出してきた15事例というのは、これはいわゆる立法事実に相当する。なぜそういう解釈を見直さなければいかんかということも背景にある事実の説明だから、非常に重要なポイントなので、1つ、1つ、私はこういう疑問があるよというのを、親しい公明党の人にも話をしていたのですが、3、4回しかやっていないですね。だから、具体的な中身はほとんど詰まっていないですよね」

閣議決定の是非 各党の公約は
遠藤キャスター
「一方で、民主党ですけれど、民主党は閣議決定を撤回するということですが、森本さん、民主党政権時代に防衛大臣を務めていましたが、立場として、民主党の公約というのは?」
森本氏
「私は、民主党はまだ一枚岩でないと思います。こういう考え方に立っているのは現在の執行部なのですが、民主党の個々の議員がこういう考え方に全員がなっているとは思いませんし、また、そうなっていない議員が次の選挙で当選してくる可能性があるので、民主党はこの公約通りにはならないと思います。私は、基本的にこの集団的自衛権の閣議決定を撤回というのは全面否定と言っているのと一緒ですから。これだと、共産党と変わらない。それは民主党としてはいかがなものでしょうか。民主党は、私は健全な保守主義を守りながら、常に自民党に対する政策への、健全な抑制要因を野党として働かせるというところに民主党の生き方があるのであって、その基本的な考え方に照らせば、この表現は、私は民主党の一致した意見ではないと思います」
遠藤教授
「民主党の中に集団的自衛権についていろんな立場がある。これはそうだと思いますし、議論をまとめ切れていない。しかし、民主党の中にも、森本先生は健全保守とおっしゃったんですけれども、民主党の中にはリベラルな人達もおられて、リベラル派の方達には立憲主義であるとか、国民的議論を経て結論を出すべきだという立場の方もたくさんおられて。であるとすると、その立場を踏まえて決定に至るプロセス自体がおかしいではないかと。その点についてはたぶん党内合意ができると思うんですね。集団的自衛権を認めるや否やではなくて、その決め方がおかしい。決め方がおかしいのだから、それは撤回をして、きちんと議論をし直せというのは選挙戦の戦い方というよりも、理屈が通っているかなと思います」

普天間基地移設 各党の公約は
遠藤キャスター
「今回の総選挙を前にした沖縄県知事選では、普天間基地の辺野古移設反対を唱えた翁長候補が圧勝しました。同じ日に開催された那覇市長選と、県議補選でも、沖縄市選挙区を除いて自民党が推薦した候補が落選しました。これを受けて出された普天間基地移設に関する各党の公約ですが、移設に積極的なのはまず3党ですね。自民党は、日米合意に基づく辺野古への移設を推進。公明党は、移転先の自治体との調整、本土への訓練移転を進める。維新の党は、合意可能な基地移設の包括的解決をめざし、日米が沖縄と対話する。一方、消極的なのも3党。共産党は、辺野古新基地建設に反対。普天間基地の無条件撤去。生活の党は、辺野古移設計画を中止、国外、県外への移設を検討。社民党は、辺野古新基地建設に反対、国外、県外への移設。民主党と次世代の党に関しては記載がありませんでした。遠藤さんは普天間基地移設に対する各党の公約をどう見ますか?」
遠藤教授
「とりわけ民主党の記載なしというのが目立ちますが、鳩山政権のあと、野田政権までの間に辺野古移設といってきたわけですから、自分達で決めたことを覆せないという議論が当然党内にはあるわけですが。他方で民主党の議員さんの中にも今回の沖縄県知事選挙の結果は正面から受け止めると県内移設は受け入れられないだろうという立場の方がおられるわけですが、そうすると党内では議論がまとまらないので、記載することが難しいということだと思うのですが、沖縄の様子を私なりに拝見しているとオール沖縄という体制がもうできあがっていますし、10万票近い差ができている。次の選挙でもおそらく自民党の候補は勝てないであろうという、議席が全て自民党以外になってしまうというようなことが起こっていくと、沖縄の声を本当に聞かないのかということになっていくわけです。沖縄も日本の一部であるにもかかわらず、沖縄と本土。沖縄の人達の安全は考えてくれないのかという議論が当然強くなっていくでしょうし、その問題を正面から、日本国の安全を考えるのであれば、沖縄の安全も考えなければいけないわけで、包括的に取り組む姿勢が、新しい工夫をしていかないと済まないのではないのかというのが私自身の見通しですが」
反町キャスター
「柳澤さんは、各党のマニフェスト、公約を見ていると、苦労して、無理して書いている節もあって、民主党はそこのところをパスしたのですが、どう見ていますか?」
柳澤氏
「民主党は一時、政権にいたとは言え、政権を失ったわけですから、失った原因の1つにこういう問題もあるわけです。だから、それはそれで謙虚に総括をし、間違っていましたと言って元に戻るなら戻る。変えるなら変えるということをちゃんとやらないといけないと思うんです。これは沖縄として一種のアイデンティティの問題になっちゃっているんです。20年近く動かないことにもってきて、一言で言えば、政府は県知事選の結果がどうであれ、決まったことだから粛々とやるんだと。あの発言が沖縄の立場から見ると、俺達が何を言ったって東京は聞く耳を持たないんだというふうになっちゃうわけですね。そういうニュアンスもあると思うんですね。確かに、具体的にどうやるんだって、それは沖縄に投げかけたって、それは日米政府が決めることでしょうということなので。ただ、私は森本さんと何回か議論させていただいたこともあるのですが、そもそも抑止力、一般的には米軍の抑止力で、海兵隊がどうしてもあそこにいないと日本に対する抑止力がなくなってしまうんですよと言う、そういう位置づけではないと私は思うんですね」
反町キャスター
「逆ですよね、あそこにいなくてはいけないから、普天間、辺野古だという話。いなくてもいいというのだったら、減らせばいいという話になりますよね」
柳澤氏
「私は、そういう安全保障の観点から見て、海兵隊があそこにいるのは必ずしも抑止力という効果は果たしていないんじゃないかと。だから、県民の意向をもっと汲んで移転を考えたらいいと。たとえて言えば、これはちょっとつまらない話かもしれませんが、オスプレイという新しい飛行機が入りましたね。これまでのヘリの4倍の航続距離がある。それなら、同じことをやるのに、4倍遠いところへ行ったっていいですよという単純な疑問ですよ。そういうものに十分応えられていないわけですから、そういうところが、沖縄の人だって本当に必要だと納得できることがあるなら、それは最後は理解してくれると思うんです。そこのところが本当に丁寧に説明しているか、内容がちょっと違うという意識があるんじゃないでしょうかね」
森本氏
「私が大臣の時、私のあとの小野寺さん、現在の大臣と3名に渡って、佐賀空港に陸上自衛隊の水陸機動団を持ってきて、その時の施設をつくる時にオスプレイの飛行機を佐賀空港に持っていける努力というのをずっと続けてきましたし、現在も続けている。もし沖縄でなければならないのなら、そんな努力はしませんよ。それをきちんとこれまでやってきて、現在その努力がどういう状態で実るかわかりませんけれども、ずっとそれを数年に渡ってやってきた。その心というのはどこにあるのかというと、できれば抑止機能がきちんと果たせて、かつ沖縄だけではなくて、その他のオルタネート。代替施設を他に求めて、柔軟に運用できるところを探すのは沖縄のためにもいいし、日本のためにもいいし、全体として抑止機能を発揮できるだろうと私は思っているわけです。我々は随分努力をしてきたし、それを引き続きやっていくと思います。実現するかどうかというのはこれからの政治状態を見ないと何ともわからない」

普天間基地移設 知事選の余波は
反町キャスター
「沖縄の4つの選挙区。自民党が苦戦するような状況になった場合に、そのあとの基地の問題、沖縄と本土の関係に何らかの影響が出てくるのでしょうか?」
森本氏
「県知事がどのように振る舞われるかということもあって国政の国会議員と言いますか、だから、決まるのではないですけれど、基本的に4つの区に立候補される自民の議員は非常に厳しい現実に直面しながら、厳しい選挙戦をやられるのだろうと思いますが、結果として自民がどこかで議席を失うということになると、中央との捻れという状態が起こってなかなか自民党政府がやろうとしている政策が沖縄に届かなくなって、国会議員の協力を得て沖縄政策を続けることも難しくなりますから、客観情勢としては明らかに影響が出てくると思います」
柳澤氏
「要するに、今度翁長さんが当選したのは基本的にもうオール沖縄で新しい基地をつくらせないという1点だったわけですね。もちろん、それは当選してからの方がはるかに大変なことだというのはご本人も良くわかっていると思うのですが、ただ、その流れがそのままきているということです。つまり、仲井眞知事が昨年の暮れに埋め立てを認めた時には、自民党の議員が選挙の時の公約に反して、それを認めちゃったと、県民からしてみれば公約と違うじゃないかという話になっている。こういう流れでよりその翁長さんにとってオール沖縄としてのサポートというのが、民意がより明確になるということの意味はあって、それだけこの対立点が非常によりはっきりしてくる、より強くなるということですね。しかし、日本政府が急に態度を変えられるでもないし、要するに、オール沖縄という勢いを持って翁長さんをどうサポートし、翁長さんがそれをどう活かして、反映していくかということに、これからの問題の進展がかかっているということだと思います」
遠藤教授
「おそらくオール沖縄が具体的にできてきた(のには)沖縄の中の政治運動があります。その方達が中心になって、柳澤さんおっしゃったように公約破りであった自民党の議員さん達ではない代表者を国会議員として選ぶという運動が大変強力ですし、これはそのままの流れのまま強くなるんだろうと。聞いているところでは、比例復活すらできないぐらいがんばるぞというような運動をされているようですし、沖縄県内の中のオール沖縄意識がかなり強固だなと思います。それを背景にして、翁長さんが自分達県民の総意がここにあるのだということになるわけですね。その総意を背景にして、では、どういう交渉やどういう手段、方法を提案されるのかと言われても、沖縄の立場から見ていると、問題は我々の方にあるのではなく本土の政府が私達の方に問題を持ってきているのだから、これは沖縄の問題ではなくて本土の問題でしょう。私達の求めているものへの代替案を示してくれないと、私達としては受け入れる環境にはないですということになっていきますから、基地の建設をそのまま力で強行していこうとすると、沖縄の中の問題が片づかなくなり、それは現在存在している基地の運用すら難しくしていくことになりますから、アメリカにとっても好ましい状況にはならないという効果が出てくるのではないか。そういう意味では、ぶつかりあわない解決策をおそらく日本政府の方が工夫していく必要があるのだろうなと思います」

中国進出 各党の公約は
遠藤キャスター
「対中政策に関する各党の公約について、自民党と公明党は実効支配の具体策をあげていて、一方、野党の多くは外交的な記述が多いと思いますが、この与野党の違いをどう見ますか?」
森本氏
「現実問題として対話をするということは、領有権問題があるということを日本政府が認めるということですから、できない話をやれということです。たとえば、社民党がやっている領土問題は対話を積み重ねて…、対話と言ったってもともと日中間に領有権問題はないという立場をとっているわけですから、その日本の立場に対して対話を積み重ねることで解決しろというのは、我が国の政府の基本的な考え方とまったく相容れないので、こういうのは政府の政策としてはおそらく受け入れられないのだろうと思いますね。だから、国際法に反して入ってくる中国に対してキチッと対応できる能力を我が国として持ち、しかし、不要に中国を挑発したり、刺激するということはしないように冷静に対応し、いつでもそういった国際法上の違反行為に対して対応できる能力と体制を持ち続けるということが有効な支配を強めるということなので、私は、この表現そのものだけを見て、私は公明党のポジションが比較的納得できるというか、こういう考え方でいいのではないかなと思います」
反町キャスター
「バランスのとれている党はありますか?」
柳澤氏
「尖閣の話のそもそも発端は、民主党の野田政権の時の国有化のところに端を発している部分があるわけです。もちろん、中国自身の大国主義的な振る舞いの一環という側面もあるけれども、国有化の外交的処理のまずさが問題をこじらせたという側面があるのだが、しかし、安倍政権ができる時、一昨年の選挙の時に、だから、自分としては尖閣に公務員を常駐させるといったような、もっと強行姿勢で望むということを安倍自民党は当時、売りにしてやったわけですね、選挙を。それに比べるとすごくモデレートになっているなと思います。本来これはすぐに自衛隊を使ってどうこうするという話ではなくて、まさに法執行の話ですから、海保の体制を本当に強化してやらないと、尖閣にも相当精力をとられているから、珊瑚の密漁にも手がまわらないわけです。そんなところで手が足りないが故に自衛隊が出るというのは、ちょっと筋が違う話なので、本当に海保の体制強化をちゃんとやっていただく必要があるのだろうと。ただ、尖閣というのは、当初出発点は国有化の問題だったのかもしれないけれども、遂この間の日中首脳会談までは安倍政権の強行姿勢と靖国参拝が逆に安倍さんの尖閣問題に変えちゃったという側面があって、それを今度は確かに領土問題が対話の妨げにならないというのが、戦略的互恵関係の発想ですからね。ようやく首脳会談の入り口まで漕ぎ着けたということだと思うんですね。それはそれで、そんなことができるのだったらもっとはやくやれよと私は思うんですけれども。そういう意味では、自衛隊というか、軍事に結びつけずに法執行の問題として、しかも、過激にならずに対応するというところが、この問題の一番バランスだろうと思うんです」

領域警備法案で対応できるのか
反町キャスター
「軍事力による対応ではなく、継ぎ目のない対応を考えることが、海上保安庁の能力を強化することが大切だという意味だとしても、今回の総選挙の直前に民主と維新は領域警備法に対して両党は合意しているんですよ。海上自衛隊の護衛艦を使って対応してもいいというスキームをつくろうとしている。これはどうですか?」
柳澤氏
「それは、現在でも海上警備行動というようなスキームはある。海上警備行動は警察権だから海保と同じことしかできないわけですね。誰か不法行為者が上がってくれば、入管法違反か、武器を持っていれば、自衛隊が治安出動で対応するかという、そういう話になるので、私は民主党の人とも話をしたんだけれど、領域警備法をつくってもいいけど、絶対政治の関与をさせなければダメなんです、ここは。現場に任せてはいけません。それだけ政治が責任をもって拡大しないようにすべき問題だと言ってきています。そこは選挙にあたってあまり弱腰と見られたくないという思惑があるのかなという感じがします」

森本敏 元防衛大臣の提言:『法制の骨格も選挙のテーマにすべし』
森本氏
「私は先ほど申し上げたように、今回の総選挙は経済だけではなく、外交、安保、防衛、全ての安倍政権2年間の政策について真意を問うということですから、当然、安保法制という重要な課題についてはその骨格をキチッと示して国民の真を問う必要があるのではないかと思っているわけです。先ほど述べた通りです」

柳澤協二 元内閣官房副長官補の提言:『集団的自衛権 コスト×リスクも!』
柳澤氏
「私は、これは国会の議論を聞いていても、集団的自衛権を使えば、抑止力が高まって日本が平和になるんですというような単純な議論しか出てこないものだから、特に危機感を持っているのですが、集団的自衛権が抑止力になるのは、たとえば、アメリカが攻められれば日本も一緒になってアメリカと戦うぞという意志がなければ抑止力にはならないわけですね。それは日本も攻撃を受けるというリスクを伴うんですよというところを、そこを理解して議論をしないと。安全保障というのは、本当に必ず強くなれば相手も強くなるという、そういうジレンマを抱えた政策であるということをちゃんと認識したうえで、是非実のある議論を今後もやっていってもらいたいなと思っているから、こういう言い方をさせていただきました」

遠藤誠治 成蹊大学教授の提言:『人間を中心にすえた安全保障を』
遠藤教授
「私自身は冒頭に申し上げたように安全保障について語る冷静な環境に欠けているなと思います。柳澤さんがおっしゃるように、コストとリスクについてきちんと計算高く議論をする場も欠けているなと思うんですね。森本さんがおっしゃるように総選挙の争点にすべきであるのに、それもなっていない。そうすると、時間をかけて戦後の日本が積み重ねてきたような平和主義を安全保障政策に組み立てていく工夫が必要で、その時に、安全保障の問題を考える時には、具体的に人が人を殺すとか、人が殺されるという問題であるというにもかかわらず、何となく抽象的な軍事の話をしていると勇ましいし、そこに答えがあるかのように議論してしまう。それはとても危険なことなので人の命がかかっているんだと。人の命を、自衛隊員の命だってかかっている。その点を考えた冷静な議論をしていく必要がありますし、選挙を超えてこの問題を考え続けていかないといけないなと思いますね。最終的に問題を解決するのは政治ですし、人と人が語りあうことです。語りあうことが難しい時に、語りあう環境をつくっていくのが政治の役割なので、このような強い姿勢をとれば解決しますではなくて、強い姿勢をとったら、相手も強い姿勢をとってきてしまうわけです。そのような関係でなく、緊張を緩和していく工夫。軍事をなるべく使わないで済む、安全保障の工夫というのを、落ち着いて議論ができるような政治環境をつくっていくべきだなと思います」