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2014年11月27日(木)
産経前支局長初公判 検察の狙いと争点検証

ゲスト

高初輔
弁護士
李洪千
慶應義塾大学総合政策学部専任講師
浅羽祐樹
新潟県立大学政策研究センター准教授

朴大統領の名誉を毀損? 裁判の争点と今後の見通し
秋元キャスター
「4月に韓国の客船セウォル号の沈没事故が発生しました。その後、事故当時に、朴大統領の所在が不明な、いわゆる空白の7時間があると国会などで問題になりました。朝鮮日報が大統領に関する噂として、ある男性の存在などの記事を掲載。それを引用した産経新聞のウェブサイト上の記事が名誉毀損に当たるとして、政府の広報担当者は責任を問うとも言及しています。8月から出国禁止。そして10月に在宅起訴という流れになっているわけですけれども、その産経新聞のウェブサイトに掲載されました、加藤前支局長のコラムの記事につきまして、どのような点が名誉毀損とされているのか、今日の検察側と、弁護側の主な主張ですけど、弁護側は、被害者、朴大統領の処罰感情の意思が不明と主張しています。それに対しまして検察側は処罰を望まない意思が認められないと、つまり、処罰しないでほしいという意志が認められないのだから、起訴は可能だと主張しているんですね。一方、誹謗の目的についてなんですけれども、弁護側は大統領への国民支持の低下を報じる公益性を主張していて、誹謗中傷の目的はないと主張しています。一方、検察側は虚偽の事実により名誉を毀損されたと、誹謗目的があったとしています。記事の真実性についてですが、弁護側は、該当機時をウソとは断定できないとしていて、さらに、作成当時も認識できなかったとしています。一方、検察側は大統領とチョン氏の男女関係を示唆する虚偽事実を概括したと主張をしているわけですね」
反町キャスター
「弁護側は処罰感情の意思があるかないか、わからないだろうと。検察側は望まない意思が認められないんだから、起訴は可能だと、ここの部分はどう話が今後進んでいくのか?」
高氏
「法律の条文としては、被害者の明白な意思に反しては控訴できないと。ちょっとまどろっこしい言い方ですけれども。従って、明白な意思に反していなければいいんです。と言うことは明白に処罰をしなくていいですということを言っていない限りは、起訴していいんです」
反町キャスター
「起訴について、これではたぶん検察側の方が有利な展開をしている?」
高氏
「おそらく有利だと思います」
反町キャスター
「誹謗の目的があったのか、なかったのかはどう議論が進んでいくと見ていますか?」
高氏
「1つは、もしその内容が公共的なことであれば、誹謗の目的は否定される方向に動くわけですね。従って、本件について、まず公共的な事項であるかどうかというのが問題になります。考えるに空白の7時間の問題は公共的な問題だと思います。男女関係の問題はちょっと公共性があるのかどうか、クエスチョンマークはつくだろうと思います。もうちょっと詳しく言いますと、誹謗の目的があるというためには、公共的なことではないと。つまり、極めてプライベートなことで、その適示した事実が虚偽だということ、客観的に。客観的に虚偽の事実でなければ誹謗の目的があるとはあまり言えないですよね。それから、もう1つは虚偽だということを、本人自身が知っていたこと、主観的にも。ここが重要ですね」
反町キャスター
「立証責任はどちらにあるのですか?」
高氏
「検察にあります」
反町キャスター
「検察側に誹謗の目的があったと立証する責任があるんですね?」
高氏
「そうです。客観的な虚偽性も、主観的に、その虚偽を認識しているということも、検察が立証すべきです。このことは大法院が言っています」
反町キャスター
「これはなかなか立証するのは難しくないのですか?」
高氏
「そこが難しいと言われているわけですね」
秋元キャスター
「その場合、立証する内容というのはどこの部分になるのですか?男性と会っていたのかどうか?」
高氏
「男性と会っていたということが客観的に虚偽だということは、おそらく、これが客観的に虚偽であればですが、たとえば、証人尋問。あるいは書類等々によって、検察は立証していくと思うんです。仮にそれが立証されても被告側で、いや、虚偽だという認識がなかったんです。本当だと思っていましたということを言った場合に、その主観、心の中身を立証するのはなかなか難しいと思います」
反町キャスター
「今回、名誉毀損にあたるという全体のスキームで見てよろしいんですよね」
高氏
「はい」
反町キャスター
「その名誉毀損にあたるかどうかというボーダーラインというのですか、どこをもって名誉毀損であるかどうかという、1つの目印とか、物差しはあるのですか?」
高氏
「男女関係のところが一番ポイントになると思うんですけれども」
反町キャスター
「たとえば、産経新聞にしても、朝鮮日報にしても、噂があるという書きぶりになっていますよね。この書きぶりはどうなのですか。アウトとか、セーフの話になっちゃうのですか?」
高氏
「アウトかセーフかと言ったら、アウトです。要するに、たとえば、噂を噂として事実を記事にしましたと言っても、名誉毀損にならないわけではないんですね。たとえば、これはデマですと言って何か事実を言ったとしたら、デマですというのは、嘘ですということだから、たとえば、男女関係がないということだということですよ、デマだとすれば。でも、男女関係があるという噂がありますというのは、その噂そのものが、名誉毀損であるならば、これは名誉毀損に該当します」

産経前支局長初公判 表現の自由と裁判の行方
秋元キャスター
「セウォル号の事故発生当日、朴大統領が日中7時間行方不明だったというファクトが飛び出し、政権の混迷が際立つ事態を招いていると。朝鮮日報の記事は、大統領をめぐる噂から、大統領は当日あるところで秘線、いわゆる秘密に接触する人物と共にいたと、その相手は元側近で当時は妻帯者だと引用しながら紹介をしています。おそらく大統領と男の話は韓国社会のすみの方ではあちこちで持ちきりとなっていたであろうと。朴政権のレームダック化は着実に進んでいるようだと記事をまとめているのですが、李さん、この記事の内容についてどのように見ていますか?」
李氏
「その部分で日本の学生達に朝鮮日報の記事と産経の記事、2つが同じなのかどうかということを課題として出したんですよね。その時にこの朝鮮日報の記事か、産経の記事かということは表示をしないで、誰が書いているのかということを表示をしないで、課題として出しました。それで47人が課題を提出しているんですけれども、その中で74%は、これはまったく違う記事であると明確に出しているんです。日本でこの記事はまったく同じであると、朝鮮日報の記事をそのまま引用しているのに、なぜ産経だけが問題視されたのかということが言われていると思うんですけれども、日本の一般的な大学生レベルから見ていても、この2つの記事は違うということなので、何が違うのかというと、その意図が違うということです。朝鮮日報の記事は、この7時間の問題というのはその政権の中で、コミュニケーションができないものとか、ブレーン達の問題ということが非常に多いので、そこを直せばもっと良くなるんですよという。なぜ直さないのかというような主旨のことですけれど、産経の記事の方はこの7時間というのは男性と会ったのでしょうと。秘書の発言のこともあるし証券街で出ているような情報でもそのようなことをちらつかせているんですというような話なので、終始そのような7時間の空白が男女関係ということに集中しているという、そこにフォーカスをあわせているということですね」
反町キャスター
「その意味で言うと、仮に産経の記事が、他の記事と比べても、飛び抜けた悪意と申しましょうか、朴政権に対する攻撃性や悪意がそこにあるとした場合ですよ。そういうようなことがあった場合、それに対しての青瓦台の反応というのは、これは韓国のメディアと青瓦台の関係においては、これは普通のことですか?」
李氏
「韓国の方ではメディアと政権の関係は非常に緊張した関係であります。今回、朴槿恵政権も12件ぐらいの民事訴訟ということもあるし、セウォル号に関連しても5件、青瓦台がメディアに対して訴えているということですね。その中で、権力とメディアという関係は、保守政権であっても、リベラル政権であっても緊張関係が続いているということなので、今回だけは特殊なのかという点では、そうではない部分は申し上げたいと思います」
浅羽准教授
「朴政権の権力の在り方が如実に出ているなと思います。自らに対して批判的な見解、言論、メディア、一般市民、ネット上の書き込みに対して、非常に高圧的に、抑圧的に臨んできた中で生じたことです。前任の李博明大統領、盧武鉉大統領、金大中大統領はどういう食べ物が好きでというような発言を普通にするとその出身地域の食べ物の食堂が人気になると。そういう面から漏れ伝わってくるわけです。ところが、朴大統領は本当に何が好きというのはなかなかわからない。通じない大統領。コミュニケーション不足というのをずっと批判されてきたわけですね。本人が処罰しないということを明確に、今回の件でしたら述べると、この件、そもそも起訴されていなかったわけですけれども、かといって、処罰するともはっきり言っていないわけで、ですので、加藤さんは、処罰意向があるのかどうか、公判の中で、はっきりするようにというふうに求めているわけですが、大統領がはっきりと言わないので、周りのブレーン達が忖度する、慮ると。場合によっては、朴槿恵大統領の意向以上に慮って、より強いことを求めてしまうわけですね。今回のコラムが掲載され4日後だったと思うのですが、刑事上、民事上の責任を追及するというようなことを、大統領の高官が発言していますし、検察がその意向を、そのまま汲む形で、起訴まで持っていっていますよね。ですので、大統領が何を考えているのかがよくわからないと。周りの人がこんなことをやると、朴大統領の名誉が仮に守られるとしても、韓国の国家の威信、民主化して二十数年経って、フィリピンとか、タイとか、同じ時期に民主化した国に比べると優等生だったわけですよ、韓国が、一番安定している。定着した民主主義だ。ところが、韓国で報道の自由とか、表現の自由とか、民主主義の根幹にかかわる部分がどうも違うらしいと。その批判が当然出るということは十分予見ができたわけですから、それと比べられると、大統領の意向と比べて引っ込めるというような、そろばんを弾くはずですがね。でも、そういう合理的な計算、そろばん勘定をブレーンが思っていても大統領に進言できないような空気になっていると。それが不通、通じない大統領とこれまでも強く韓国国内で批判されてきた在り方が今回の件でメディアに対して出てしまったと。それは開かれた韓国にとって非常に不幸なことだろうと思います」
李氏
「今回は韓国の保守団体が告発しているんですね。韓国の保守団体が日本の保守紙を告発していると。このような報道があるということをまず1つ指摘しておきたいということと、その事実のことですけれど、朴槿恵大統領が噂の男性と会っていないということは、もう検察の方で確認されているんですよね。その人の携帯の電波まで調べましたので、同時に大統領に会っていないということなので、その記事の根幹の部分は、意味がなくなっているわけですよね。だから、そのようなことを、まずジャーナリズムのレベルで考えるべきではないのかなと。政治に解決を求めるということは、私は、両国のジャーナリズムの質の問題にかかわると思います。なぜかというとジャーナリズムは政権を監視する役割なんですね。監視する人に、自分のことを解決してくださいとお願いすることですので、もちろん、続きとしてはそのようなことがあるかもしれませんけれども、これはジャーナリズムの中で問題を解決しようとしない限りは結局、両方とも政治がジャーナリズムのいろんな問題にかかわるという、ある意味で余地を与えてしまうということなので、私は、韓国のメディアの方でもこの問題にもっと強くコメントをするべきだし、日本の方でも外交問題としてこの問題をもっと強く韓国政府に主張しろというような話よりは、この問題をメディア間でするべきであって…」
反町キャスター
「ただ、名誉毀損で訴えている以上は、それはジャーナリズムとしての、誤報だから訂正しなさいというレベルとは違う次元で話が進んでいますよね。だったら、ジャーナリズムとしての議論で進めるのであれば、名誉毀損としての訴えは、別に話が進んでいるわけではないですか」
李氏
「でも、この問題は8月25日にある程度、この事実という問題が脅威であるというようなのは、韓国の中でもその情報が流れているわけですね、国会を通じて。なので、8月の段階でこの根幹になる情報というのは、もうあまり自信がないということがわかっていたので、その時に間違ったものに対しては間違っていると認めればいいことばかりですね」
反町キャスター
「産経が誤報を認めれば、名誉毀損の裁判も途中で取り下げになったかもしれないと、そういう意味ですか?」
李氏
「それは結果的にそうなっているのかという話ではないですけれども、おそらく。でも、メディアは自分の間違った部分に対して間違っているということを、はやく、そのケースで明らかになった段階では、そうする方がある意味で、正しいメディアの姿勢ではないかと」
反町キャスター
「ただ、8月の7日に出国禁止になっているんですよ。その時点で、裁判に向けて産経新聞としては戦闘態勢に入っていると思うんですね。8.25の時点で、これは間違いだったというところで、誤報でしたというような戦術。取り得たのか。そのへんはどう見ていますか?」
高氏
「8月3日の段階で、このコラムが出て、確か8月12日ぐらいでしたか、検察の方から出頭要請が入ったということからして、刑事事件化することが目に見えている状況の中で、これは誤りでしたということを言うことはおそらくできませんね」
反町キャスター
「法廷戦術上できない?」
高氏
「できません」
反町キャスター
「できませんよね。つまり、政府は先にその保守団体の告発を受けて、表沙汰にするぞと考えた時点で、産経新聞側の謝罪のチャンスも、そこで潰れていたのではないかなという印象があるんですけれど」
高氏
「はい。おそらく潰れていますよ」

韓国の三権分立は? 政治の意向と司法判断
反町キャスター
「韓国を見る時に、大統領がすごく強いんだと、直接国民から選ばれて行政におけるいろいろなポストを全て自分で決めることができる、その意味において、他の権限も大統領の表情を伺いながら、いろいろな判断を下していくのではないか。これは言い過ぎですか?」
高氏
「たとえば、それが司法権、立法権も大統領の顔色を伺ってというのはちょっと言い過ぎだし、大統領は直接制ですから、国民から選ばれている。そういうところからして実際の権力は持っていると思います。司法権に関して言うと、1987年の民主化以降、憲法裁判所というのができまして、憲法裁判所がいわゆる軍事政権時代の法律を違憲だということを言って、非常にその斬新な積極的な司法積極主義に基づく人権擁護。そこに引っ張られてというか、従前のような憲法裁判所ではない大法院を一番トップとする通常の司法裁判所の系列も非常にある意味、民主的な人権擁護的な方向でいったんですね。その意味で、司法権に関しては独立性というのを重視してやっているなと私自身は感じますね」
浅羽准教授
「はっきりと大統領が検察に手を入れるというのは、さすがにそんなことはしないですね。ただ、今回の件も大統領が処罰する意向を明確にしないという部分で検察側が先に慮って、汲んで動いてしまう。これはこの間のセウォル号の事件もまったく一緒で、沈没して5日、まだ救出作業が続いていた時ですけど、船長は殺人に等しいと大統領がはっきり言って検察が殺人罪で起訴したわけですね。一審判決は殺人罪の適用は見送りましたけれども、司法の独立性とは別に検察が大統領の意向、明示的な指示ではないとは思いますが、意向を汲んで動くという傾向が見られますね。傍証ですけれども、検察総長の人事は常に国会で激しく与野党で争われます。新聞の1面トップです。名前がそれだけ知られると。日本で検事総長は誰ですかと(聞いても)ほとんどの方は答えられないし、それぐらい中立的に処分も遂行している、信頼しているからですけれど、韓国でそこまで争点になるのは、誰が、どういう人がそのポストにつくかによって、大統領、与党の意向を汲む形で捜査、指揮をするということがこれまで、この政権も、それ以前の政権もずっと疑われてきたわけです」

司法制度と政治の思惑 韓国社会の実像を探る
反町キャスター
「韓国政府が日本政府に対して元徴用工の問題を請求しないのは韓国の憲法に反しているという理屈立てなのですか?」
高氏
「韓国の憲法で定めた人権ですとか、そういったものに反する結果になる。それを認めてしまうと」
反町キャスター
「日韓の基本条約、国際法ですよ。一方で韓国の憲法の理念があると。どちらが優先されるのかという議論はどう見たらいいのですか?」
高氏
「韓国の憲法に書いてありますけれど、条約は国内法と同じ効力がある。結論から露骨に言うと、条約の国内法的効力は法律と同じ、憲法の下だということです」
反町キャスター
「憲法の理念に反するということになった場合には、国際条約というのは無効であると決められるという話になるわけですか?」
高氏
「そこまでは言っていませんけれども…」
反町キャスター
「でも、今回の韓国首脳の判断はそういう意味ですよね?」
高氏
「いや…そこまでは言っていないです」
浅羽准教授
「難しいのは、韓国の大法院が2012年に徴用工の問題で判決を出したのと、その1年前、2011年8月に憲法裁判所が慰安婦問題で判決を出したのは基本的に同じですね。韓国憲法の根幹は、日本による植民地支配は強制的な占領だったと。これは韓国憲法。日本は、韓国併合条約に基づく合法的な統治だったと。1910年から1945年までの日本による統治時代の法的制度を巡って国交正常化当時に激しく争ったわけです。それをもはや無効という曖昧な形で乗り切ったわけです。果たしてこれは政治的なプルーデンスだったと思いますが、それに対して、そもそも無効だというのが韓国の当時の主張ですし、現在の司法はそもそも無効論に立っていると解さざるを得ないと思うんですね。韓国国内ではそういうことになっている」

日韓関係の今後は 社会ルールの相違点
反町キャスター
「元徴用工が損害賠償請求を日本政府に求めてくる。ないしは日本の企業に対して求めてくることは可能なのですか?韓国にある企業の資産をおさえるとか、それはあり得る?」
高氏
「それはあり得る。日本の裁判所では徴用工の請求をしましたけれど、結局、棄却されましたよね。ただ、日本の判決が韓国では受け入れられていない、承認されていない。それは韓国の公序に反するからという理由で受け入れられないんです。そこで韓国の裁判所では徴用工の請求は認容しますよということになりました」
反町キャスター
「資産の差し押さえの実行部隊は、検察になるのですか?それとも司法になるのですか?」
高氏
「司法になります」
反町キャスター
「朴大統領が悩もうと悩むまいとやろうと思えば、司法の力でどんどんおさえることができるという状況なんですね?」
高氏
「法律的にはできると思います」
反町キャスター
「そこに、朴大統領が何らかのブレーキをかけるとか、別の方法を提示して、クールダウンさせるとか、大統領権限としてやれる手はあるのですか?」
高氏
「法律的にはないです」
浅羽准教授
「昨年7月の釜山高裁の段階から執行は可能だったんです。1年数か月やっていないわけですよ。と言うことは政治的にはやれない。現在、大法院最高裁の上告審待ちですけれども、これは日本企業が負けるのは必至ですので、そうなって確定した時、どうするのかという時に、別のスキームで基金をつくってという模索はされていますね。その法案は通っていますし…ただ、韓国政府はこれまで通ってきた解釈とそぐわないわけですよ。2005年に1度見直しをして、慰安婦は個人請求できると、2005年にひっくり返しているんですけれども、その時も徴用工が話題になったのですが、それは国内の立法措置でやると。特別法を2回つくって、支援の委員会をつくって、実際にお金を配っているわけです。そことの法的立場との整合性があるので、韓国政府もさすがにこれは崩せないですね。9年前の自分の立場との整合性が問われるわけですので」
李氏
「私は専門家ではないので、詳しい話はコメントできませんけれど、私は、日本と韓国でこのような法的な議論をする、それも両方で、韓国の経験とか、一貫性とか、憲法と法律の関係ということを気にするということ自体がある意味、非常に日韓関係というのは前向きに動いているんじゃないのという、そのような意味で、現在の日韓関係に対してかなり否定的に見ていらっしゃる方が多いと思うんですけれども、逆に非常に良い方向に向いていると私は考えています」

弁護士 高初輔氏の提言:『善解』
高氏
「法曹界といいますか、裁判等に携わる中ではよく使われる言葉で、これは相手の主張に対してきちんとした理由があるんだというふうに見ましょうという考え方ですね。相手の言っていることは非常に感情的だし、まったく根拠がないんだと考えるのではなくて、相手の言っている主張等について、できるだけ根拠があるものとして、考えて、その根拠を探りましょうと。日韓に関しても、先ほど卵を投げつけたという映像が出ましたが、感情的な対立を引き起こすのではなくて、お互い相手のちょっと変に見える行動や主張に関しても、どんな理由があるんだと細かく確認をしていくという対応をとった方が良いのではないかと私は思います」

李洪千 慶應義塾大学総合政策学部専任講師の提言:『対話』
李氏
「日本と韓国は来年国交正常化50周年ですけれど、実際に同じテーブルへ同じような立場で話し合えるという時期はあまり長くなかったと思うんですね。現実的に韓国は、日本と同じような立場になるような国になるまでは非常に時間もかかっている。ようやく2000年以降に日本といろんな問題で話ができるように韓国も民主化され、韓国国民も多様な視点を持つようになっているということなので、来年50周年ですけれども、実際そんなに対話をしていないということですよね。なぜ韓国はすぐに変わらないのというように考えるよりはもっと対話をしましょう。これまで50年ぐらいやっているんですけど、これでできなかったら、また50年やりましょう。これでできなかったらまた50年やりましょうよというようなことであれば、現実の対話というのはもっと効率的に相手をちゃんと見て対話をするようになるということです。そのような覚悟を決めるべきだと」

浅羽祐樹 新潟県立大学政策研究センター准教授の提言:『ビジネスライク』
浅羽准教授
「韓国がすることなすことはちょっと良くわからないと。珍プレーに見えると。そうではなくて、その世界のそのゲームのそのルールをわかると、よくあるプレーの仕方だなと傾向がわかり、傾向がわかると対策もとることができる。相手にも合理的に何らかの根拠があるので、それをちゃんと了解するという姿勢でまず臨み、友達になるとか、千年来のようにお互い好きになるという高いハードルを掲げるのではなくて、一緒にビジネスをすると得することが互いにあるので、ビジネスライクに付きあいましょうというのが、今後とっていく姿勢だと思います」