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2014年11月14日(金)
米中首脳“蜜月”演出 日・米政府中枢を知る男

ゲスト

岸信夫
前外務副大臣 自由民主党衆議院議員
古森義久
産経新聞ワシントン駐在客員特派員
ケビン・メア
元米国務省日本部長

米中首脳“蜜月”演出 オバマ大統領と習主席の距離感
遠藤キャスター
「今週火曜と水曜、2日間に渡って、中国北京で米中首脳会談が行われました。その協議は9時間以上となり地球温暖化対策や米中両軍の衝突を避けるシステムをつくるなどで合意したものの、中国の海洋進出など意見の異なる分野では、議論は平行線を辿りました。会談後の共同会見では両首脳がこのように発言をしています。まずオバマ大統領は『重大な相違がある中で、国家主席の意志に支えられて建設的な対話が進んできた』と発言し、一方、習近平国家主席は『米中双方が新型大国関係の構築に努め、この1年積極的な進展が見られた』という発言ですけれども、まず古森さん、この共同会見の発言から、今回の米中首脳会談はどのような結果だったと読みとれますか?」
古森氏
「基本的にはこれまでの状況に大きな変化はないと思うんですね。ただ、現在のオバマ大統領の立場というのは弱いですから。国内的に特に弱いと。対外的にも挫折とか、反転とか、後退とか、ばっかりで。せめて中国との関係ぐらい事なかれでまあまあうまくやっているんだという印象を与えなければいけない。だから、たとえば、気候変動を最初に持ってきて、人類によっては大事なことだけれども、目前のことではないではないですか。しかも、アメリカ側が2030年までに2005年よりも26パーセントぐらい、28%排出を減らすというのは具体的に出しているんだけれども、中国、習近平さんは一言も言っていないですよ。2030年頃をピークにして、それよりは悪くはしないと言っているだけでね。だから、すごくオバマさんは譲歩しているということ。それから、だけれども、アメリカ全体を代表している大統領だから、アメリカから見て困っちゃうこと。中国にあらためてほしいこと。たとえば、海洋進出の問題、人権、一応言っていますよ。サイバー攻撃まで言っているし。だから、とってつけたようなことを言っている。習近平氏が新型大国関係ということを2回か、3回言ってですね。これもオバマ政権として否定はしないわけですよ。スーザン・(エリザベス)・ライスという大統領の安全保障担当の補佐官がそうだ、そうだという人だったということもあるんだけれども、またそれがちょっと引き下がって、新型大国関係はそのまま受け入れますよという抱擁は決してオバマ政権はしていないけれども、否定はしない。これは受け入れちゃうと、これは考えるうちに大変なことになって、世界を米中2国で仕切っちゃうみたいなことがあるというのと、それから、中国が言っている新型大国関係というのは、中国側がずっと言っている核心的利益というものが、セットになってくっついているわけですよ。だから、新型大国関係を受け入れるんだったら、中国の核心的利益というスタンスも受け入れてくれということを言っている、これは」
反町キャスター
「イコールですか?中国の言う核心的利益をアメリカが認めることと、新型大国関係を認めることはイコールになりますか?」
古森氏
「中国からすればそうですよ」
反町キャスター
「そうすると、尖閣?」
古森氏
「だから、尖閣もほとんど入りますよ。一貫して核心的利益の中に入れている時があるけれども、入っていない時もあるよね。だから、これはチベットも入っているし、ウイグルとか、台湾も入っているし、一番アメリカ側にとって、少なくとも、人権とか、普遍的価値ということから見ると、許容できないことを受け入れろと言っていることに等しいわけで、そこのところまで突っ込まないでまあまあいいじゃないのと言っていたわけですよ。スーザン・ライスという人達は。それがアメリカの中にもいろんな人がいるから、バシッと指摘されてきて、核心的利益がセットになっているような新型大国関係は受け入れられないという方が、少し考え方が多くなっているから、そこのところはオバマさんも気をつけているわけだけれども。だから、両方とも食い違う部分というのは、現前とあるわけですよ」
岸議員
「新型大国関係。これはまさに大統領がスルーしたわけですね。その話に乗れるはずがないわけです。時間についてはもちろん、アメリカと中国ですから、話すべきことはたくさんあるわけです。その中でいろんな合意できることもあり、合意できないこともある。最初のオバマ大統領の『重大な相違がある中で』、それが大前提なわけです。だから、たくさん話が食い違っているんですよというのが大前提にあって。だけれど、国家主席が習近平さんであるから、そこは立てたということではないのではないかなと思っています。それで、それ以外のところで、たとえば、オバマ大統領が平和的に豊かな、安定的な世界で責任ある役割を果たす中国の台頭を支持すると。こう言っていますね。単に中国が強くなることを支持していたわけではなくて、責任ある役割を果たしてくれなければいかんと。世界の安定に寄与する形で台頭してくれないか。これはしっかり注文はつけながら、支持をするという言葉を使っていると思うんですね。ですから、必ずしもオバマさんが受け身と言いますか、譲歩したというわけではないんだろうなと。これは共同文書ではないですよね。それぞれが言っているわけですよね。それぞれが自分の立場で言っているわけです。ですから、習近平氏はなかなか大変厳しい中国の国内情勢の中で、言えることというのも限られてくるでしょう。オバマさんも同じような状況かもしれない。だからと言って、2人が言ったことが必ずしも合致しているわけではないと。こういうことではないのでしょうか」

中韓・中露接近 米国はどう見ているのか
遠藤キャスター
「さて、今回のAPECにあわせた首脳会談で、中国は韓国とFTAで実質合意をしましたし、ロシアともエネルギー、金融分野の協力推進で合意しています。こうした中韓、中露の接近をアメリカはどう見ていると思いますか?」
古森氏
「中韓と、中露と分けて考えないといけないと思いますけれども、中国としては、アメリカに対抗するんだというような長期のボワッとした、決して表面的にはっきりしたと言わないような目標というか、ガイドラインがあって。アメリカの力が相対的に弱まるような動きというのは、中国に利するというような基本の計算があると思うんですよね。だから、そういうことで言うと、たとえば、韓国との関係をどんどん良くするというのは、これは中国にとっても長期の東アジアの戦略としていると。だから、一番アメリカが気にしているのは、安全保障の面で、韓国が米韓同盟という現前たるものがあって、アメリカの人が朝鮮戦争で勝って、韓国を守って、何万という人が死んでいる歴史があるわけですから。それを韓国もよく知っているし、北朝鮮の脅威というのもあるわけだし。安全保障で、アメリカお願いしますよ、仲良くビッチリやりましょうというのに、ほとんど揺るぎはないと思うんですよ。だけど、経済、その他で、ここに日本という要素が、1つ出てきて、現在の朴さんが、とにかく日本を叩くことによって国内で人気を上げているようなところがあるから。だから、そういうホワホワした部分に対しては、アメリカというのがどこを見るかにもよるんだけれども、政権は決して喜んではいなくて。だから、韓国の反日ぶりもある程度以上はやらないでくれよというメッセージというのはあると思うんですよね。そういう文脈で中国との接近、それは貿易面でこれはいくら発展があっても、アメリカとしての大きな旗印は自由貿易で、市場経済の拡大というような概念は、皆がコンセンサスで認めているわけですから、それは反対する必要はないわけだけれども。それがあまりにも、安全保障とか、政治面にまで及んで、韓国が中国の方に行っちゃうというのは、懸念するでしょうね。アメリカは、中国とロシアの接近というのは、本当に接近であればすごく気にすると思うんです。現在、ウクライナの問題があるし。だから、これもパイプラインとか、非常に限定された、両方が相互に経済だけで得をするという互恵の関係の小さな、小さいわけにはいかないな、特定のプロジェクトですよね、これがまとまったというのは、象徴的な意味はあるのだろうけれども、全体の、中露の経済関係全体を変えるようなものではないから。大慌てすることもないのではないでしょうか」
反町キャスター
「米韓首脳会談を見ると、時間、場所も事前にあまり決められていない。場所も非常に何かオフィシャルな場所ではなく、どこかソファーみたいなところでやっている。時間も、しかも、20分程度。短かったと思うんですけれども、そういうところから、たとえば、現在の古森さんの説明にあったみたいな、アメリカはもしかしたら中韓の接近も喜んでいないから、米韓首脳会談をそういう形で、そういうところにアメリカの牽制を、韓国に対してしているのではないか。これはどうですか?」
メア氏
「経済の面で韓国の方が中国を見ていたら、ほとんど市場、マーケットだけを見ているのではないですかと捉える方がいいと思います。古森さんがおっしゃったように、もし韓国が安全保障の面で中国と接近をしたらもちろん、アメリカが望ましくないと思う。韓国はアメリカとの安全保障のため、アメリカに頼っているから。でも、そういうことはないと思う。でも、考えると、アメリカ政府が韓国政府に何回も強調をしていることは、韓国も日本との関係を改善しないとならない。中国からの安全保障の面の脅威を考えると、アメリカと日本と韓国が協力する必要があるから、韓国の方が…たとえば、最近安倍総理が習近平氏にも会うことができたのに、何でまだ朴大統領は会ってくれない。おかしいと、アメリカ政府が思っている。そういう話がよく裏である。アメリカ政府からの圧力はあると思いますよ。韓国の安全保障の方を一番懸念しているから」

共和党 上下院で過半数確保 オバマ大統領の今後の政権運営は
遠藤キャスター
「APECでの首脳会談の話を聞いてきたんですけれども、それに先立ってアメリカで中間選挙が行われましたね。その敗退によってオバマ政権の主導力が低下しているとのことで、ここであらためて中間選挙の結果をもう一度おさらいしていきたいんですけれども、野党共和党が下院で244議席。上院でも52議席といずれも過半数を確保して、8年ぶりに共和党が上下両院を制したことになるんですけれども、その結果、オバマ大統領の支持率といいますのも就任時69%あったのが現在41%と、このように低下しているのですが、メアさんはオバマ大統領をアメリカ国民がなぜ現在支持しないと?」
メア氏
「簡単に言えば、優柔不断なやり方ですからね。特に、1年以上前にシリアの化学兵器の問題があった時にデッドラインを引いていて、超えたらこうやるよと言って、何回も何回も超えたことがあっても、アメリカの議会に任せると。次は、ロシアのプーチンに任せる。アメリカがシリアに入るかどうかという政策、いろいろ議論があるんだけれども、政策というより、本当に素人のやり方です。だから、アメリカの大統領の信頼性を失ったことという。共和党の中でも、民主党の中でも、そういう批判がすごくある。私もシリアの外交官でしたから、外交の基本は相手国に本当に対応、対処する覚悟がないんだったら、脅すわけがないです。そうしたら信頼性を失うから。でも、変な言い方であるかもしれないけれど、ある程度、アメリカの大統領が怖い立場にいないと、世界が危なくなるということですから、それはすごくアメリカの国民に反発がある。それだけではなくて、オバマケア、医療保険のこと、導入した時に、国のウェブサイトで半年ぐらい用意する余裕があっても、そのウェブサイトが機能していなかった。そのぐらいのことができなかった政権が、機能していないという批判も強いし、そういういろいろあったから。でも、前に申し上げたように、オバマ政権は弱いのだけれども、アメリカが国として弱くなっているわけではないでしょう。経済も少し良くなっているし、米軍の予算は前ほど増やしていないのだけれども、まだ大国ですし、それを念頭に置く必要があると思いますよ」
古森氏
「先ほど、メアさんのお話があったように、内政をまず見ると、医療保険介護、オバマケアの失敗、挫折がこれは一般に伝えられている以上に非常に大きくて。その背景には、反町さんもご存知のようにアメリカ人全体の中でオバマケアというのは反対が多いんですよ。世論調査をずっとやってきて、おそらく大賛成は、全面的でなくてもいいや、賛成という方が完全に多かった世論調査というのは全国レベルで1つもないかもしれない。とにかく民主党は上下両院多数をとっている時に、オバマ政権がもう全力を挙げてロビー活動をやって、民主党議員の中にも反対の人がいっぱいいたんだけれども、選挙区の利権と絡めて、どんどん引き込んで、必死になってやって通しちゃったわけですよ。ところが、アメリカの国民の多くの人はほとんどとは言わないけれど、多くの人が反対だったというのがあって。だから、反対がそもそもあるところにうまくいかないことがいっぱいあると、これは相乗効果でどんどん大きくなっていくということ。もう1つ、オバマさんがやろうとしてきたアメリカの一種の革命ですよ。小さな政府のアメリカというものを、グンと押していって福祉をウンと大きくして、弱い人、恵まれない人、貧しい人のために、とにかく国政を維持していく、運営していくという、この部分は素晴らしいんだけれど、お金は誰が出すのかというと、一生懸命に働いている中間所得層、あるいは富裕層からバーッととって、下に撒いていくという、ロビンフッドですよ。上からとって、下に撒くという、だから、世の中、ロビンフッドが偉いと褒める人がいるかもしれないけれど、もしロビンフッドが普通の人からお金を、税金をどんどんとって、全然働かないという言い方は良くないけれど、そういう人もいますよね。そういう方にどんどんやるという、だから、自由に競争をして、一生懸命に働いている、一所懸命にがんばった人達が結果として勝つんだと。我々が理解してきたアメリカ。アメリカらしさが、どんどんなくなっていくという、そういう大きな背景があって、それを歓迎する人もいますよ、もちろん。ヒスパニックで、やっとアメリカ国籍をとって、これからがんばるという人。でも、中西部か何かに行って、白人でおそらくメアさんのような方、だいたいこういうタイプの人がアメリカを動かしているわけですよ。人数からいうと。白人の、キリスト教で、欧州系で、一生懸命に働いていて。だから、そういう人達の立場というのはないわけですよ、オバマさんというのは、非常に内政に関してはドラスティックな考えを持っていて、そういう人の福祉よりも、貧しい人、恵まれない人の福祉を優先しようと」
メア氏
「それに関連して、アメリカの経済を見ると、かなり最近、発展が始まっているのだけれど、良くなっているけれども、でも、特に若い人と中間層があまりうまくなっていない。いろいろと、特に、若い人達が苦労をしている。経済が発展しても、そういうのには反発もあったし。でも、政策という問題の反発があったけど、それだけではなく、加えて政治家としてオバマ大統領があまりうまくやっていない。たとえば、ホワイトハウスと議会の関係がうまく機能していない。いわゆるねじれ議会、ねじれ政府は珍しいことではないですよ、アメリカで。前の大統領達が初めから、当選してから、議会の両党、共和党と民主党ともいろいろ夕食する、朝食する、お昼する。仲良くして、協力関係をつくるでしょう。オバマさんは絶対にやっていない。そういう政治家の活動も嫌みたいですね。だから、そう批判されているところ。キャンペーンがうまい、演説がうまい。説得力があるけれども、でも、いわゆる政治家の汚い仕事はやりたくない。やっていないという批判がよくありました。でも、遅いですね。第1期でやらなかったから、第2期に入ってもう遅いです」
反町キャスター
「そうすると、中間選挙で上下両院が共和党になって、任期が残されている、あと2年ですよ。2年間のオバマ政権はどうなるのですか?」
メア氏
「1つ良いことは、上院と下院のねじれという状態がなくなった。両方、共和党になった。これまで三角関係でした。オバマ大統領と民主党であっても、上院議員との関係も良くなかった。それが現在、議会の方が法案を可決できるようになりました。だから、両側が、ホワイトハウスと議会の方が、妥協する覚悟があれば、交渉する覚悟があれば、もううまくなる可能性が少しあるんだけれど、問題は、初めから気候変動、中国と合意して共和党が反発している、これが一番。すぐ対立になることは移民政策。オバマさんが言っていることは法律が成立できないから、大統領の行政権を使って、何百万人の不法移民に恩赦を与えるという話です」
反町キャスター
「アメリカの市民権を与えるのですか?」
メア氏
「そう」
古森氏
「市民権まではいかないけれども」
メア氏
「永住権」
古森氏
「追い払わない」
メア氏
「それだったら共和党はすごく反発します。現在からの関係の始まりだったなら、2年間も対立が続くと思います。でも、その可能性が高いです」
反町キャスター
「いわゆる上下両院が共和党になって、議会とオバマ政権の関係はこの中間選挙の結果を踏まえて、どんなふうに今後なると見ていますか?」
岸議員
「過去をちょっと振り返ってみますと、2期8年やった大統領の、最後の2年って、結構、議会は上下共、反対がとっているケースが多いですよね。レーガン氏もそうだし、クリントン氏もそうだし、ブッシュ氏も、そして、オバマ氏。最後の2年で本当に、その逆になっているわけですよね。それは確かに厳しい。その中でも乗り越えてきている。もちろん、対立は激しくなることは予想されます。ただ、逆に言うと、これまでは少数野党であった共和党が主導権をとれるわけですから。それこそ責任を持つわけですね。何にしても。ですから、これまで、たとえば、予算の執行を止めることができた。必要な政策を止めてきた。そうしたことだけでは許されない。国民の目から許されなくなる。結局、今回の選挙というのも共和党が勝ったという人はいないわけですよね。むしろ、現在のオバマ政権にNOだというところで、二大政党ですから、それは民主党でなければ共和党になるというだけの部分で、結果が出てきているのかなと。ですから、議会自体の信頼感というのが国民から失われてきている部分というのもあるんだと思うんですね」
メア氏
「支持率はたぶん14%ぐらい。ただ、いろいろな世論調査、どういう組織とか、信頼されているという世論調査で。議会自体はすごく低いです」
岸議員
「ですから、まず議会が国民からの信頼を取り戻す努力をしなければいけない。特に、それをやるのは主導権をとった共和党であるわけですよね。そうした中で、オバマ大統領に対して当然共和党としてやってほしい政策についてどんどん言っていくのと同時に、オバマ大統領のやってきた政策を、自分達が受け入れられるように修正をさせていくと。そうした努力によって、自分達が政権を担えるんだぞということを、ここから示していかないと、結局、一番大切な、2年後の大統領選挙に勝つこと。これができなければ意味がないわけですね。ですから、本来、共和党は議会で勝ったとは言っても、本当に勝ったと言えるのは2年後で、大統領選挙で勝って、上下両院を制して、初めて勝ったと言えるわけですから、そこを目指して、安定だけしている。国民の信頼を失っているような状況ではダメだと思いますよね」

共和党が過半数獲得 TPP交渉は加速するのか
遠藤キャスター
「視聴者からの質問ですが、『現在のオバマ大統領からはTPPに対するやる気が全く感じられません。多国間貿易を妥結させるには、相当なエネルギーを必要とします。現在のオバマ政権下でTPPは妥結するのでしょうか?日本政府は、議会共和党と直接話をつけた方がTPPは進むのではないでしょうか?』とのことですが」
メア氏
「オバマ大統領はTPPを積極的にやりたいのですが、交渉にはもちろん、前から関心があって、なぜかというと各国の経済発展に有利に働くと思っているから、正しいと思う。何でまだ合意できないかというと、基本的な問題はアメリカ以外の国々から見ると、アメリカの大統領が、アメリカの政権がいわゆるTPA(大統領貿易促進権限)がないから。皆が懸念していることは、他の国々が懸念していることは、アメリカと合意をしても、一番妥協して、できる限り妥協して合意しても、TPAがないとアメリカの議会が批准する必要がある。また交渉が始まる。TPAがないとあまり合意することが期待できないと思います」
古森氏
「補足していいのならば、オバマ政権がTPAを得てない、この最大の理由は民主党のこれまでの上院の院内総務のハリー・リードという人がいて、この人が猛反対なわけですよ。これは保護貿易の塊みたいな人で、これはもう国内の利益を守らなきゃいけないというのはどこの国でも同じですからね。でも、このハリー・リードさんというのは特に労働組合なんかの支援も強いけれども、おそらく農業のある部分がそうですけれど、とにかく一括方式、これはTPAには反対ということは、これはある程度公の場で言っているんです。だから、民主党は上院で多数派ですから、これまで。多数派の一番偉い親玉が反対と言っていて、オバマさんの後ろにいるわけだから、引っ張られているところがあって、出てこられなかったと。だから、共和党は今度は多数派になるから、TPAにおそらく賛成するからね。だから、それは良い方に動けば、TPP全体が前進するという見通しはかなり強いのではないかなと、アメリカに関して言えばね」

任期残り2年のオバマ大統領 日露接近をどう見ているか
遠藤キャスター
「アメリカは、日露の接近をどう見ていると思いますか?」
メア氏
「考えると、プーチン氏の最近のやり方を見て、冷戦時代に戻りましたという感じがしますね。共産主義者ではないかもしれないけれども、本当の民主主義ではないし、最近、ロシアの爆撃機が西海岸に近づいていて、スクランブルも何回もした。これからカリブ海でも警戒飛行するという発表もしましたし、いろいろ挑発的なことをやっているから日本も警戒しないとならないと思います」
反町キャスター
「その立場だとすると、たとえば、はっきり言っちゃうと、安倍総理とプーチン大統領はたぶんケミストリーがあうんですよ。お二人の話というのはたぶん非常に盛り上がっているという雰囲気ですし、個人的な信頼関係も、オバマさんよりプーチンさんの方が安倍総理は好きなのだろうと一般的に思っているわけですよ」
メア氏
「そうかもしれない。日本のマスコミが言うことは、もしプーチン氏が来日したら、アメリカが反対するという説があるでしょう。そうではなくて、会ってもいい。でも、総理が何を言うかによると、反発があるかどうか。例えば、クリミアの制裁措置にこれまで日本が協力しています。プーチン氏が来日したら、日本の総理がはっきりとこれまでの挑発行動は認めないと。アメリカと協力して、たぶん総理が、日本政府がプーチン氏が来る前にアメリカといろいろ立場を調整する可能性が高いと思いますよ」
岸議員
「これまで1年を振り返って見ても何回もプーチン氏と安倍総理は会っていますね、いろんな場で会って、おっしゃる通り、非常にケミストリーがあっているように感じますし、それはその通りだと思います。そういう意味からして、我が国のロシアとの最大の懸案である北方領土。それから、平和条約。これを一歩でも前に進めていくチャンスであることは間違いないと思いますね。プーチン氏が相手ならその話ができるということだと思います。一方で、クリミアで何が起こったか、ウクライナ問題、これについては総理も何度も言っているわけですけれど、東シナ海で何が起こっているか、これとダブるわけです。ということを考えてもクリミアの状況、結局、力によって現状を変更してしまった。そのことを認めるわけには絶対にいかないですね。それはどんなにケミストリーがあっていても、国と国との関係であります、国際社会の中でのそれぞれ責任ある国としての関係である限りは、そこは譲れない部分と、合意できるところというのは区別されると思うんですね。一方で、北方領土の問題、平和条約というのはその先にあるわけですけれども、北方領土の問題というのは日本がロシアと話さなかったら誰がやってくれるのですか。我々しかできない、自分でやるしかないわけです。そこでもちろん、この日露関係というのはアメリカも相当気にはしていると思うんですよ。そこはきちんと現在どういうふうな状況にあるかということをアメリカとも意思疎通をしっかりとっておくことが必要だと思いますし、それから、ウクライナにおけるG7の枠組み。これが壊れるような状況というのはもちろん、避けなければいけない。その中で話をしていくことになると思います。プーチン大統領の訪日ですね。これができたから、日米がおかしくなる、これは直結しないと思います。おっしゃったようにプーチン大統領が日本に来て、それで総理がしっかり釘を刺すところは刺す。合意するところは合意する。そういうこと自体は、むしろアメリカにとっても歓迎すべき状況というのもつくれると思うんですね。現在むしろその米露関係というのは相当最悪な状況、話はマルチの場ではいろいろあると思うんですけれども、バイの関係で言えばとても腹を割って何か話をできる状況ということではないと思うんです。そういう状況の中で日本ができることをやっていくことは、これはむしろプラスに考えておくところがあるのではないかと思います」

ケビン・メア 元米国務省日本部長の提言:『前進』
メア氏
「アメリカに対するというより安倍政権に対する提言。何を前進すべきかというと、まずは安全保障のこと。中国、北朝鮮、最近ロシアも脅威があるから、この2年間で安倍政権はすごく安全保障の面で成果がありますので、でも、これからも進まないといけない。集団的自衛権も行使できるようになったのに、日米同盟をこれからも強化する必要がある。そのためにはアベノミクスも前進しないとならない。日本の経済が発展しないと、成長しないと政府の収入が増やせないから防衛予算も増やすことができないから、アベノミクスもすごく重要であるし、選挙があるかどうか、増税するのかどうかというのは別にしていろいろ難しい判断があるけれども、遠慮なく前に進む必要がある。経済発展から言っても、原子力発電所も、再稼働も必要であると思います。それこそ化石燃料のコストすごく高いから。いろいろ難しい問題があるから、オバマ政権が弱くても、幸い日本は強い政権があるから、日米同盟を心配する必要がないと思います。考えると、日米同盟が鳩山政権を乗り越えたから、オバマ政権も乗り越えることができると思います。野田政権の時はそんなに問題はなかったけれど、その前の2人は問題だったでしょう。オバマ氏はそこまでならないけれども、確かに弱く見られているから、ちょっと危機感があるのだけれども、幸い安倍政権が強いから、日米同盟が前に進むことを期待したい」

古森義久 産経新聞ワシントン駐在客員特派員の提言:『自立あっての同盟』
古森氏
「現在の日本というのは、経済も大切ですし、社会福祉も大切ですけれども、国としての安全保障というのが一番大切であって、その点で戦後でも最大の危機に直面していると感じるわけです。これは中国のとっている言動、中国の国家としての方針の、一番根幹の部分に埋め込まれているような日本に対する政策。しかも、軍事的な力を使って、使えるとなれば断固として使ってくるという状況、領土的問題で日本が攻め込まれているわけですね。プラス、これはメアさんとちょっと違うのですけれども、日米同盟そのものは頼りになるけれども、オバマ政権下の同盟というのは、私はこれまで初めて危惧というか、懸念を感じるようになって、本当に有事の時、オバマ政権はどこまで日本を防衛してくれるのかと。そういう時に日本自身がどこまで自立、安全保障の面で、独立というか、日米同盟から離れるわけではない。日米同盟を補強する形で、自国だけの努力というのをしていかなければいけない。そういう意味でオーストラリアとか、インドとか、あるいは東南アジア諸国との安保がらみの連携を強めるという安倍政権の政策というのは非常に理にかなっていると思うのですが、ある程度、日本としての自立を持ちながら、日米同盟をあらためて強化していくべきだと思います」

岸信夫 前外務副大臣の提言:『重層的な関係構築』
岸議員
「もちろん、日米同盟、日米間というのは既に様々な重層的な関係になっていると思うんですけれども、それをもっと進めて強固なものにしていくべきだと考えています。安倍政権ができてから、様々な安全保障の政策をとってきましたけれども、これはまさに古森さんがおっしゃっていたところですね。日本が自立をして、自己の防衛ができるようにする。そのうえで、アメリカも、特に東アジア、極東にコミットさせる。こういうことがどうしても必要だと思う。そのことに対して特に日本人、アメリカ人、日米の国民同士がそれぞれ理解を深めていくことが大切だと思うんです。確かに、オバマ政権がこれから2年間大変だと思います。でも、我々が付きあうのはオバマ政権、オバマさんだけではないわけです。もちろん、オバマさんとも付きあわなければならないけれども、将来の大統領候補、共和党かもしれません。共和党とも付きあわなければいけない。そうした中で誰とでも、アメリカと相対で付きあうことができるんだということを示していかなければいけない。民間の交流というのは既に経済を中心にやっていますけれども、議会の交流が少ない部分だったのかなと思います。ただ、ここ1年、アメリカの議会の皆さんが結構、日本に来るようになった。このところ、かなり来るようになっています。そのへんの問題は多少あるかもしれないけれども、ただ来るようになったこと自体は悪いことではないし、日本の国会議員もアメリカに行った時に、いわゆる政権の人達だけに会うのではなくて、向こうの連邦議会の皆さん、あるいは連邦だけではなくて、州議会の方々ともやらなくてはいけないかもしれないんですけれども、そうした多層的な深い交流を進めていくことが日本の評価を高めることにもなるし、最終的にはアジアの、日本の周辺の安全を確保する。中国もおかしなことはできないなと思えるような、そういう関係をつくっていくことが大切だと思います」