プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2014年11月11日(火)
APEC首脳会議総括 日中首脳会談の成果は

ゲスト

小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 前防衛大臣 衆議院議員
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
朱建榮
東洋学園大学教授

日中首脳会談実現 日中関係前進なるか
秋元キャスター
「およそ2年半ぶりに日中首脳会談が実現したということで、安倍総理もかなり成果を強調されていましたけれども、どのように見ていましたか?」
小野寺議員
「こうして会って、特に海上連絡メカニズムについての一定の合意だったということを、これは大変重要なことだと思っています。世界経済力第2位、第3位の国が対話もできないという状況。これは決してよくないですし、これは総理が今回かなり努力をされた中で、実現されたことだと思っています。私は、映像を見て、中国と一緒だなと思ったのは、私も実は中国の防衛大臣にあたる方と何度か会談を、立ち話とか、することがありました。大臣会合でです。向こうは当然2国間の会談をしませんが、たまたま立ち話で、ある大臣と握手をしてニコッとお互いを撮ったんです。それが流れたんです。映像も流れたんですけれども、そうしたらすぐに翌月だったと思いますが、その方は変わってしまいました」
反町キャスター
「小野寺さんと笑ったことで、パージされたのですか」
小野寺議員
「そういうことよりも、それを見た中国国内の様々なネットの世論がかなり大きくなっていくという中で、正確なことはよくわかりませんが、その方が変わられたという情報を聞きましたし、実はそのあと変わられた方と、また別な会議で一緒になる時には、その相手は手をポケットに入れて、絶対に手を出しませんでした。でも、それが逆に言えば、そういうことなのだなと。また、別な会議で別の大臣とお会いをする時は向こうが話しかけてもですね。なるべくカメラに見られないように、冷や汗をだらだら流し、なるべく避けるようにされていましたので、おそらく気持ちの中では会談をしたくても、中国のいろんなネットのいろんな世論があって、万が一ニコニコ笑って握手するということが出た時、これはどういうインパクトを与えるか。これはそれぞれの国が持っているバックだと思うんです。ですから、日本は、習近平さんと総理が握手をしてニコニコすることはいいことだとたぶん国民は思っているのですが、中国の国民全てがそういう雰囲気でないというのが表情に表れている。私の時と全く同じ握手するけど、笑わないとか、そういう姿がそのままだなと思って見ていました」
反町キャスター
「日中会談の中身を、成果としてはどう評価されていますか?」
宮家氏
「成果は、お互いが合意した認識が一致したと言えたこと。そして、細かいことは詰めない。詰めちゃいけない。詰めないで、これは戦略的な曖昧さですから、これは、このまま置いておいて」
反町キャスター
「戦略的曖昧さというのは、今回初の言葉ですか?」
宮家氏
「私は、strategic ambiguityと言っているんだけれど、それはよく使う言葉ですよね。そういう形でないと、現在のこれまでの日中の関係からすれば、まとまらないわけですよ。双方は、中国側も含めてですよ、大局的に判断をし、歩み寄った。それは良かったと私は思いますし、それは戦略的な曖昧さがあるからこそ、歩み寄れたわけです」
秋元キャスター
「日中首脳会談の中国側の反応というのは?」
朱教授
「今回の日中の首脳会談というのは、セットで11月7日の4項目の合意と、その次の首脳会談。あわせて見ないといけないと思いますね。私の聞いたところ、11月7日の、4項目の合意の前は、どうも首脳会談というのは、行われるんでしょうけれども、10分、せいぜい15分の儀礼的なことではなかったのかと。しかし、現在は明らかに25分間で、しかも、過去のことについては触れる必要がなく、前向きにいろんなところでできたと。そういう意味では成功だったと。さらに、もう1点でいえば、最初に立った時にはぎこちない固い表情だったんですけれども、2回目に会場で両首脳が会った時には、習近平主席から、1回目は初対面で2回目からは友人になると。そういうような表現で、これからのための関係ですね。私は、今回1つのきっかけはつくったと評価したいと思います」
反町キャスター
「先ほどの宮家さんの言われた、ぼやかし戦略の中で、日中はこれから、たとえば、尖閣の問題とか、靖国の問題というものを扱わないで、先に進んで行ける状況に今回立ったと思っていいのですか?」
小野寺議員
「おそらく今回この中で確認をしているのは、もともとの戦略的互恵関係ではないですか。戦略的互恵関係というのは、両国は様々なことがあるけれど、大きな意味でしっかり掘り起こしていって、先ほど、宮家さんが言ったように細かいことをギリギリ詰めて、そのことであわないとか、協力をしないとかということではなくて、それはそれで、そのうちに話が進むかもしれないけれど、まず大きな意味でお互い戦略的にしっかり関係を結んでいこうと。そういう原点を確認したということですから、そういう意味では、宮家さんがおっしゃったように、細かいことをギリギリ詰めるのではなく、大きな意味で、これから対話が進んでいくという、そういう良い面を見ていこうということだと思います」
反町キャスター
「そうなると、安倍さんは今後、たとえば、様々な節目において、靖国神社参拝をしても中国側が怒らない切符を手に入れたと思っていいのですか?それとも、総理は行かないということを暗に示唆したことがこういう文書になり、そこを中国は受け入れたと見たらいいのか?」
宮家氏
「どちらでもないと思うんです。ただ、この解釈は私個人の解釈ですから、総理を代弁しているわけでもなんでもない。私の理解は日中の戦略的互恵関係において、尖閣の問題が確か2006年も問題がなかったわけではない。私の理解は、戦略的互恵関係の中で、日本の安倍総理は靖国に参拝するかどうか言わないという態度だったと。それは中国側も、それを敢えてとやかく言わなかった。それが靖国問題についての戦略的互恵関係の本質だと思っています」
反町キャスター
「結局、あの時は行かなかったですよね」
宮家氏
「それは知りません。彼は言わないですから。行ったか、行かないか。行くか、行かないかは言わないというご判断をされたと私は理解しています」
反町キャスター
「異なる見解を有していると認識しという、このへんの話から言っても、これによって、中国の公船や漁船が尖閣の領海内に入ってくることをやめるのかどうかと言えば、そこはたぶん続けるということですよね?」
宮家氏
「これはご承知の通りあまり言いたくないんですけれど、この話し合いについてと書いてある紙は、あれは中国が言ったのではない。日本の外務省の紙です。日本の外務省の紙には日本語版と英語版がある。中国語には中国語の版があって、その英語版もあると。皆微妙に違う。だから、詰めてはいけないと言っているんです」
反町キャスター
「靖国の問題、尖閣の問題をいわば小っちゃくすることによって、他の話を堂々と表通りで話をしやすくしたという、こういう理解でよろしいですか?」
宮家氏
「それが1つでしょうね。もう1つ大事なことは、日本も中国も同じですけれど、国民もそうだと思いますが、英語を使って申しわけないんですけれども、agreed disagreeという言葉があるんですよ。つまり、意見が違うということを認め合うということです。agreed disagreeができるようにならないと、お互いの関係にならないですよ。お前が悪い、お前が悪いと言いあっている限りには、これはただのdisagreeですよ。しかし、agreed disagree、大人同士なのでできるはずです。それを現在始めようとしているんだと思いますし、この合意は、認識の一致、要するにagreeとdisagreeです」
反町キャスター
「朱さんはいかがですか。中国政府はこれで、たとえば、靖国に総理が行くか、行かないかどうかということと。あなたは行くのか、行かないか、行ったのですか、行かないと約束するのですかと詰めることはもうしないのですか?」
朱教授
「日本の首相は、日本の国内向けにも説明がありますので、自分が中国に対して行かないという約束をしたということは言えるのか。これは当然、言えないし。そこは当然、日本の自由。一方、中国も当然もし本当に今回何も約束がないまま、11月に会って、12月、あるいは来年4月に、総理が靖国参拝に行っちゃったら、中国の内政がどうなるかということで、それを考えると、君子のお互いに、どこまで協定ではないのですが、暗黙の了解で、お互い言わない。ただ、この問題については一定の互いの心証を得たと。これは私はあったと思います」
宮家氏
「それは中国側のバージョンです。そこを詰めちゃいけない」
反町キャスター
「朱さん、尖閣の問題はどうなりますか?」
朱教授
「尖閣は、もともと日本に中国が主張しているところで認めろというところからは一歩下がって、互いに異なる主張をするということ、もちろん、鄧小平時代から互いに、中国は自分のものと主張して、ただ、日本がこういう主張を持っていると。そういう意味で、今回異なる主張、見解を有していると。互いに認識したというのは、私は互いに大局を考えた、良い1つの表現だったと、そこで思い出すのは、実は台湾と中国、大陸が1つの中国を巡る表現。中国ではこれが1つの中国について、それぞれ表現すると。台湾側は、いや、1つの中国というのが、我が中華民国だと。北京は1つの中国だと中華人民共和国だと。そういう意味で、今回日本語バージョンでは尖閣諸島ということ、中国語バージョンでは魚釣島などというようなことで、しかし、そこのところは互いに大局に立って、これ以上詰めない。これは宮家さんと同じ考えだと思うんですね。ただ、具体的に船とかは、これから詰めていって、私は、究極的にはただ船が入っているかどうかじゃなくて、この地域、海域で衝突が起きないことです。この問題を日中関係に関して限りなく小さくして、ちょっとそこであれば日中関係全体がひっくり返されてしまう。そのような局面を避けて、小異を残し、大同に就くという局面に持っていく。それの1つの良いスタートの地点に立ったと。それは評価したいと思います」

中韓FTA事実上妥結
秋元キャスター
「この日中首脳会談が行われる前に、中韓首脳会談が行われ、中韓FTAが事実上、妥結をしたんですね。この中韓FTAの主な内容を見ていきたいと思うのですが、貿易品目のおよそ90%を20年かけて関税撤廃。農産品は70%を関税撤廃。ただし、コメは除外と。それから、自動車は関税撤廃の対象から除外すると。このような内容となったわけですが、小野寺さん、この内容をどのように見ていますか?」
小野寺議員
「それほど中身が詰まっているFTAとは思えないので一応FTAという名前の表題はつけていますが、これで本当に自由貿易が踏み込んだ形になっているかというと、必ずしも一概には言えないと思っています。そして、両国とも実はTPPについて、交渉に参加していない国同士であります。ですから、北京でTPPに関する首脳会合が開かれたということに関して、この両国が大変緊張感を持って成り行きを見ていますので、そういう意味では、入れなかった同士が何か一応の成果をお互いに表に出したという内容かなと思っています」
宮家氏
「中身はすかすかですね。だってコメが入っていなくて、自動車が入っていなくて20年かけてやるというんでしょう。19年やらなくていいということですよ。これはプロパガンダですね」
反町キャスター
「今回の日中首脳会談をやることについて、韓国側の言葉が微妙ですが、焦るとか、外交的に遅れをとったのではないかというのが、韓国の国内の報道とかで出ているんですけれど、そういう韓国側の焦りに対して、中国が配慮したのではないかという。つまり、今回の中韓首脳会談を日中首脳会談よりも先にやっていて、そこで、中韓FTAというものを、さも大変な成果であるが如きで大発表して、その後、日中首脳会談に持っていっている。そういう段取り、韓国に対する寂しい思いをしなくていいよ的な、そういう配慮があったのではないか。そういう外交的な韓国への配慮の可能性は、どう見ていますか?」
宮家氏
「それはなかったとは、私は言いませんけれども、しかし、今回のを見ていると、どうも中国のやり方はあまりうまくいっていないなという気がしますよね。TPPで、ああいうふうな形で置いてけぼりをくっているわけでしょう。そうして、日本との関係でも動かしていっているわけ。そうしたら、日本の国内にも中国とちゃんと話をつければ、韓国はついてくるんだという考え方も一部にあるという話を聞いています。韓国の中にもいろんな意見もあって、大統領と大統領以外でも意見も違うでしょうし、ですから、おそらく中国側が配慮したのかもしれないけれども、一番の問題は韓国の中で、意見が割れているのではないでしょうか。どのようにしてやっていくべきか、日本との関係を。ですから、おそらく大統領も考えておられるからこそ、会談はしないけれども、横にいていろいろと話をし、日本との関係を中長期的に動かしていかなければいけない。中国が何をしようとしても。韓国側にもちゃんとした考えがあると信じたいですね」
小野寺議員
「同じような会議、ASEMの会議の時には、これまではコリアとジャパンというのは隣の席だったのですが、わざわざ韓国側が、リパブリック・オブ・コリアという形で、Rをつけて別な場所に席を設けてくれということで、実はASEMの時には、席が離れている形らしいんですよね」
反町キャスター
「ASEMはイタリアでやったやつですか?」
小野寺議員
「そうです。今回はそういうことは言わずに、元のジャパンとコリアという形で、席を並べることについて異議を挟まなかったということについては、微妙な内容ではありますが、一応隣の席になることは嫌がっていない。隣の席ということは当然、会話がある。数十分はおそらく深い話ではないかもしれませんが、おいしい食事をということで話ができたというのは、これは韓国側の前と違った微妙な変化ということが読み取れるかなと思います」

日韓関係の行方
反町キャスター
「小野寺さん、その首脳会食の場での普通の会話かと思ったら、首脳間の会話にもちゃんとなっていると思うんですけれども、どう我々は受け止めたらいいですか?」
小野寺議員
「かなり用意をした形での食事会という。たとえば、私も経験する中で普通の2国間会議というのは、机を並べてお互いにやり取りをしますね。ですが、会食での、通訳を挟んだだけの、言ってみれば首脳間だけのひそひそ話ということがある意味ではできるわけです。そこの中で話された内容で、今日総理は記者会見されていましたよね。普通はその中での話というのは非公式ですから、記者会見の中で成果を出してこないのですが、正確に今年4月から始まりました局長級の協議の継続と今後の加速という形を合意したということについては、これは予め何を話すか。何をお互いに決めて、対外的に、これは韓国側にも当然、同じことを言っておかなければなりませんから、そういう意味では、一定の準備のある合意の中で、今回は準備ができて、夕食会を共にしたということかなと私は思います」

日露首脳会談の成果
秋元キャスター
「ロシアとの関係についてですが、今年、安倍総理はロシアのプーチン大統領と会談しまして、北方領土問題を含む平和条約締結交渉を巡って意見が交わされているんですね。この秋に予定されていましたプーチン大統領の訪日について、これは正式に断念すると。それから、来年の適切な時期の訪日に向けて、準備を始めるということで合意と。また岸田外務大臣のロシア訪問について引き続き検討をすると。それから、外務次官級協議の再開を確認という、このような内容なわけですけれども」
宮家氏
「ロシアとの対話はどんどんやるべきだと思いますが、しかし、それはあくまでもG7の連携という戦略的な枠組みの中での日露対話でやるべきだと思っています」
反町キャスター
「欧米との連携も主にし、その枠から外れる、ちょっと頭を出すぐらいもダメと。そんなイメージですか? 頭とはどこまでですか?」
宮家氏
「いや、そうですね、それから、確かに制裁破りをしようと言っているわけではありませんけれども、日本には当然、ロシアとの関係を改善する意味があるわけですから。それはヨーロッパ諸国にも同じようなことが言えるわけですよね。だってアメリカは大西洋の向こう側かもしれないけれども、ドイツにせよ、フランスにせよ、同じ大陸ですから。近いですから。昔からのいろいろなしがらみもありますから。そこはヨーロッパにも同じような立場の国もあって、ロシアとつかず離れずの関係を維持しようとしている国がある。それと同じようなことを日本がやることは別に不思議ではない」
反町キャスター
「APECで北京に総理が入ってから、いろんな形で解散の風がワーッと吹いてきた背景には、たとえば、総理が日中首脳会談とか、日露首脳会談とか、そういうのを経て、来年の外交日程とかが頭にどんどん埋まってくる中で来年選挙をするんだったら現在やって、ある程度、政権基盤を固めて、再来年の夏以降の参議院議員選挙まで1年間ぐらいがっちりと外交内政をやりたいなと頭を固めたから解散風が吹き始めたと。それは臆測ですか?」
小野寺議員
「少し引いて今後の政治日程を見ると、おっしゃる通り、外交面でちょうど今回は1つの区切りです。毎日、毎日、様々な国際会議があり、節目があって、来年に向けて少し12月の時期が空く。この時期を狙って、もし解散を打つのであれば、戦略的に見れば、ちょうどその空間は空いているということだと思いますので、特に、今回のAPECの中で日中、あるいは韓国と隣で食事ができた。日露も90分話ができた。これはこの段階で既に日本が外交面で、現在非常に重視している日中、日露、日韓。これがワンセットで終わったわけですよね。ですから、そういう意味では、外交的な成果という、大きな成果。すごく進んだのではないのですが、これまでの懸案について一定の前進を見た。そういうことについては評価できる、今回の外遊、APECだと思います」

APEC首脳会議を総括 日本の外交戦略を議論
宮家氏
「私がいつも考えているのは、TPPというのは単なる貿易協定ではないと思っています。それは単に経済の問題ではなくて、経済のシステム。そのシステムから、ある意味では政治的な問題も含めて、より多くの国が同じシステムでやりましょうと。ここで明確に入っていないのは中国ですけれども、TPPというのは、中国はもちろん、入れないし、現在のような形でどんどん枠組みができ上がり、約束事ができ上がっていく。中にはベトナムも入っている。ベトナムには国有企業がある。国有企業の規制も含め現在、話をしている。そのハードルが高くなればなるほど、中国は中国自身が国内の経済の構造を変える、もしくはルールを変えないとTPPに入れない。TPPに入れないということは、要するにFTAAPができない。ただ単なる貿易交渉の話をしているのではない」
反町キャスター
「中国はTPPに入りたいのですか?」
朱教授
「TPPの動きは相当注目していることは間違いないし、現在の日本とアメリカの交渉を注目しているのは間違いないですが、ただ、現時点では日本がどこまでアメリカと歩み寄れるか。そこの部分をずっと見ているので、日本すらそれは合意していないというところで、中国が沿海部で発展しているところもあれば、内陸部は遥かに遅れるところもある、ですが、中国は、そこは急いでいない。そういう意味では、現在のFTAAPというのはもっと広い意味で、ただのアメリカ主導のTPPではなく、あるいはこれまで中国、東南アジア、RCEPで来年まででき上がるというようなことをどうしても中国主導と言われるのですが、そうではなくて今回は米中ですね。もちろん、日本も含め、一緒に入って最大公約数で枠組みをつくると。その動きがこれから注目されるし、明日12日に米中首脳会談を行うんですね。こういうような地域全体の枠組みづくりで、米中がどういうスタンスをとるか、どういう協力をするかというところも表明されると思います」

経済的主導 中国の狙い
小野寺議員
「中国が本当にやりたいのは、自分の言ってみればルール、経済圏をつくりたいわけです。8日のAPECが行われる前になりますが、中国国内でバングラディッシュ、ラオス、モンゴル、ミャンマー、タジキスタンというAPECに入れない国の首脳を集めて中国は会議を行っていまして、ここで、たとえば、シルクロードの経済ベルトをつくろうとか、自分達のいいような形でのルールを本当は、中国はつくりたいわけです、経済連携を。ところが、そこにTPPというのが出てきて、このスタンダードに中国はなかなか入れない。これから出てくるFTAAPについても、なるべく中国が入れるようなルールにしたいのですが、おそらく現在の構図を見ると、中国が入るには、自分達で難しい問題をクリアしなければならない。それをテコにするという朱先生のような意見もあるのですが、逆に中国は本来、自分のルールで経済圏をつくっていきたいと。たとえば、最近、中国が設立しましたアジアインフラ投資銀行とか、そういう自分のルールのものをどんどんつくっていき、できればヨーロッパ型のいろんな難しい審査ではなくて、どんどんお金貸しますよと。中国の枠の中に入ってください、私達は私達のルールでやりましょう、自分達に一番良いルールをつくっていきたい。これは当然、大国中国の考えだと思います。ですから、安倍総理はそれに対して明確にTPPの話、その先にありますFTAAPの話をしっかりと言っています。FTAAPは2010年横浜のAPECにおきまして宣言ができ、スタートした内容ですから、言ってみれば、日本が発祥の場所になります。おそらくこれも中国はあまり楽しくないのだと思います。いずれにしてもこういう大きな枠の中に中国にどう入ってきてもらうか。たとえば、知的財産の問題を含め、あるいは国際的な商慣行の問題を含めて、中国にしっかりと国際スタンダードになってもらうというのが日本としては中国の経済に、さらに日中を良くするための方向ですので、安倍総理はそのことを踏まえて先ほどの会見で述べたんだと思います」

米中関係の行方
秋元キャスター
「米中首脳会談のどこに注目されていますか?」
宮家氏
「ホスト国が北京ですから、アメリカに対して中国は非常に下手に、良い意味で友好的にやっています。ですから、何らかの形で合意ができて、発表されると思います。しかし、それ自身が中国とアメリカの戦略的な関係を変えるかと言われれば、それはまだまだそこまでいっていない。従って、このような状況は比較的長く、今後も続きますから、小さな合意ができても、戦略的な部分についての進展はなかなか難しいだろうと思います」
朱教授
「明日の米中首脳会談というのは結構注目されていて、数日前にかつて駐日大使だった、現在駐米大使の崔天凱(さいてんがん)さんが今回は大きなサプライズがあるという表現を使っているんですけれども、正直言って何なのかは明日にならないとちょっとわからないです。米中は宮家さんがおっしゃるように、2つの大国が構造的に対立する部分ですぐ変えるということはできないし、一夜にして日米同盟を超えて、米中がさらに接近することもあり得ないと思います。ただ現在、米中がいくつかの点で握手、協力する可能性がある。1つは地球温暖化の問題。かつては両者とも世界の動き、日本がリードした動きの足を引っ張ってきたんですけど、米中の協力。第2はアメリカの提案しているアフリカへの共同の支援。もう1点は、アメリカのアフガニスタン撤退後で、アフガニスタンを含めて中東に中国がもっと協力して、地域の安定に協力してほしいと。最近は、中国はアフガニスタンへ相当の援助をし、言ってみれば、アメリカとの協力ということを始めたわけですね。ですから、そこのいくつかの分野では米中の前進というのがあると思います」
反町キャスター
「サプライズになりますか?」
朱教授
「そこはちょっとわからないですけれど。どうして大使がわざわざ数日前にこのような表現を使ったのか。一定の何かを詰めて、発表があるのは間違いないでしょう」
小野寺議員
「何か成果が出ることを期待しているのですが、1つ私が注目しているのは、これは中国国内の国営のメディア、海外向けのメディアの中で、オバマ大統領を酷評しています。オバマ大統領は、自分の役割、仕事の中でしっかりしたことができなくて、アメリカ国民は非常にオバマ大統領に失望しているというような…しかも、その記事の中では、たとえば、チェンジという、空虚な発言をしているとか、かなり辛辣な評価を中国の国営メディアがしている。これはAPECの前であります。ですから、私はだいたいオバマさんとあまり話をしても仕方ないよねという雰囲気をわざわざ会議の前に出すということは、あまり期待値を初めから上げないようにしているのではないか。そういう意味で、すごく大きなサプライズが出れば良いのですが、どうもこれまでにない、そういう中国メディアで、オバマ大統領の中間選挙後のことについて酷評しているという記事が出ていますので、それはどうも穿った見方をすると、そんなに大きな成果がないのを事前に、オバマさんはそういう人だとレッテルを貼っている印象を持ちます」

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言:『(大人の)危機感』
宮家氏
「日本が現在、東アジアで大きな変化がある時に、冷戦時代のように、のほほんとしていないで、もちろん、戦争しようとか、戦うとかではなく、良い意味での危機感を持って日本が生きのびるために何をしなければいけないのかというのを考えないといけない時期だと思います。危機感も、子供の危機感だったら、ギャーギャーと騒ぐだけでしょうが、大人の危機感というのは冷静に考えて次の手を打つ。そういう危機感を持ってほしいと思います」

朱建榮 東洋学園大学教授の提言:『20年後を見据えた重層外交』
朱教授
「今回のAPECで現れているのは、それぞれの思惑、違いもあるのですけれども、アジア太平洋地域は大きな地殻変動を迎えようとしている。日本は現在の延長だけでなく、将来のアジア太平洋地域がどうなるか。それを見越してこれから外交展開する。たとえば、当然朝鮮半島の統一。アジア太平洋地域全体がFTAなどで経済統合が実現すると。米中日の関係が緊密化する。そういうようなところを考えて、遡って、現在はこれからどう対応するか。そういう意味で、ただ現在の延長だけでなく、複合的な重層的な発想ということも求められ、日本国内でもっと戦略論争があっていいのではないかなと思います」

小野寺五典 自由民主党政務調査会長代理の提言:『安定政権』
小野寺議員
「日本の政権の安定だと思います。実は外交で、様々な国と交渉をする時に相手の国が政権としてちゃんとしっかりしているかどうか。これを必ず見ます。たとえば、タイで様々な政変があった時に、これは外交で様々議論することはできなくなっていますし、今回もしオバマ政権がレイムダック化すると、オバマ政権との外交面での話し合いというのは、いったん新しい政権の方におそらく皆ひと呼吸置くと思います。その国の政権が安定しているかどうか。これは外交力を強くするかどうか。非常に影響がありますので、私は政権の安定ということが重要だと思っています」