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2014年11月10日(月)
日中首脳会談が実現 ▽ 若田宇宙飛行士生出演 日本人初の船長論

ゲスト

逢沢一郎
衆議院議院運営委員長 自由民主党衆議院議員(前半)
興梠一郎
神田外語大学教授(前半)
山口俊一
内閣府特命担当大臣(宇宙政策担当) 自由民主党衆議院議員(後半)
若田光一
宇宙飛行士(後半)


前編

2年半ぶりの日中首脳会談 『戦略的互恵関係の原点に』
秋元キャスター
「日中首脳会談が今日、実現したことについて、どう受け止めていますか?」
逢沢議員
「世界第2位、第3位のGDPを誇る、大きな国同士の首脳が何年も会えない。どう見ても普通のことではないですね。世界も期待をし、また心配もしている。そういう状況の中で、ようやく首脳会談が実現した。良かったと思いますね。願わくば、もう少し習近平主席も穏やかな、にこやかな、最初からそういう表情でいていただければ、もっと良かったかなと思いますが、とにかく責任ある両大国ですから戦略的互恵関係をもう1度確認し、もちろん、歴史的な4つの文書の大切さは言うまでもありませんけど、もう1度確認をし、日中関係を前進させる。このことはアジア太平洋、ひいては世界の安定、反映にもすごく大きなことでありますから、非常に今日の会談は良かったと思います」
興梠教授
「笑えないというか、こわばった顔が印象に残りましたよ。あれが全てを物語っているというか、一貫して中国側の、日本に会ってやるという姿勢で宣伝してきたわけですから、新華社の文面も、安倍首相と会ったところだけ招請に応じてという言葉、2文字を引用というのを入れている。これを見ると、日本側の方が会いたがっているんだということを常に強調しなければいけない部分があったと。だから、非常にぶっきらぼうというか、話しかけても知らん顔をするとか、そういったちょっと演技がかった…」
反町キャスター
「芝居がかった感じですか?」
興梠教授
「無理してやっていたなという」
反町キャスター
「ザクッとした印象で言うと今日、習首席は、2つの首脳会談をこなしていて、朴槿恵大統領と会っている時は笑顔で、総理と会っている時にはこの表情になっているという」
興梠教授
「写真は一瞬を捉えますから」
反町キャスター
「そうですけれど、雰囲気として、こういう雰囲気が漂っていたというのは、これは話し辛いかな、興梠さんが先ほど言われた、まさに芝居がかっているというのがここに出ていると見ていいのですか?」
興梠教授
「もう1枚、写真があるんですよね。新華社の写真全部見ましたが、もう1枚は、安倍総理がちょっと頭を下げているのを習近平国家主席が上からこう」
反町キャスター
「握手しているのですか?」
興梠教授
「新華社はいっぱい写真を撮るじゃないですか。意図的に選ぶわけです。全て選んでいると思います。この場合はこの写真を使う。毛沢東時代からずっとそうですから。毛沢東が弱っているところは撮らなかったとか。そういったことは、ある程度メッセージは発信しているんですよね。それは何かというと国内世論の中にかなり厳しいものがあるというのも感じているのでしょうし、あと文面ですけれども、私がこれを読んでいると…」
反町キャスター
「これとは金曜に発表された、谷内さんと楊潔篪さんの間でまとまった文書ですね」
興梠教授
「そうです。中国の国内でも、これは中国がかなり譲歩したという見方もあるんですよ。何も取れなかったじゃないかと。要するに、靖国という言葉が入っていない」
反町キャスター
「靖国に行かないという言葉が入っていないし、尖閣問題は存在しない。領土問題も存在しない」
興梠教授
「領土問題という言葉も入っていない。つまり、会うために2つ要求を出したのに、これをクリアすれば会ってやるぞと言っているのに、2つとも入っていないじゃないかというのがあって、だからこそ相手の招き入れに応じてあげたとか、何か会いたくないけれども、会っているみたいな態度をとらなければいけなかったと。逆読みですけれど」
反町キャスター
「そうすると、歴史を直視し未来に向かうというところで、若干の認識の一致を見たという表現にとどまって、靖国に行かない約束をとれなかった」
興梠教授
「とっていない」
反町キャスター
「尖閣諸島等々における問題、異なる見解を有していると認識しということはあっても、領土問題が存在するとは…」
興梠教授
「領土という言葉が入っていない」
反町キャスター
「領土という言葉が入っていないという、その曖昧さの裏返しが、この固い表情で、その埋め合わせをしている?」
興梠教授
「だから、向こうの報道というか、宣伝を見ていると、中国のメディアは相手に言われたくないとこころを先取りして言うんです。つまり、そこを言われているということです。だから、会ってやったと。それを知られたくないわけです。それを知られたくないから、会ってやったんだという、殊更強調をするんです。そういう傾向があるんですよ、中国のメディアは」
逢沢議員
「興梠先生の解説の通りだと思いますね。領土問題という言葉が入っていない。そこが非常に大きなことですよね。歴史的にも、国際法的にも、尖閣は日本固有の領土である。そして適切に実効支配が行われている。この日本の立場はいささかも変わらないし、微動だにしないということですよね。そのことは引き続き、国際社会にももちろん、日本の国民の皆さんにも、また、日本がそういうポジションであるということを中国の皆さんにも必要に応じてお伝えをするということになりますね」

習国家主席の思惑は
反町キャスター
「習近平主席と安倍総理の時の、ちょっとぎすぎすした雰囲気については、今日の夕方の官房長官会見でも質問が出ているんですよ。それに対し、菅さんのこれ名文句だと思うんですけれども、『私も映像を見ましたけれども、どうしたらよかったのでしょうね』と言うのが、官房長官の発言だったのですが。逢沢さんのアイデアとして現在みたいな、こういう感じで習主席が来るとわかっている時に、でも、総理は他にやりようがなかったのではないですかと。そこはいかがですか?」
逢沢議員
「安倍総理の表情は非常におだやかで柔らかな、首脳同士初めて会うわけですから言葉をかける。非常に大きな国の、大きなリーダー。余裕、ゆとり、礼儀。そういうものを映像から世界の人達は感じたのではないでしょうか。そういう意味では、ちょっと点数をつけるとすれば、習主席の方が少し国際世論に関しては損をしてしまったという」
反町キャスター
「その分、内向きの態度をとったという理解ですか?」
逢沢議員
「そうではないかなと私には見えますが」
反町キャスター
「ホスト国として、首脳会談を開いて、こういう曖昧な合意文をつくり、先に何かをつなげたかった中国の真意はどこにあると思いますか?」
興梠教授
「逆に自分の権威づけのために会わざるを得なかったというのもあるわけです。要するに、世界1位、2位、3位。アメリカ、中国、日本という順番になっています。たとえば、日本との会談がやれなかったとか、ケチがつくわけですよね。習近平さんにとっては、すごい会議ですよ。お披露目というか、ここで彼が自分の権威を樹立する、世界中のリーダーが集まって、それを取り仕切る。何とも言えない昂揚感を国民にも与えるんですよ。アメリカの大統領も来て。そこに、たとえば、1つでも欠けたものが出てくると、ケチがついちゃう。非常に嫌うんですね。全て円満にやりたい。だから、自分のそういった大きな目的の前には、必ず日本との関係改善。周辺諸国との関係改善。実は今回ケンカしたベトナムと和解っぽい発言をしています。あの写真もそんなにニコニコ笑っていなかったです。だから、こう微妙に、そういうのが見え隠れするんですよ。ホストとして格好いいところを見せたい。これは、彼が権力闘争をやっている国内基盤をがっちり固めるための要因でもあるんですよね。だから、そういったところの方がより優先度が高かったという。人民日報にこの4つの項目が出ている、翌日の評論が非常におもしろくて、日本が解き放った尖閣問題という虎をカゴに戻したと書いてある。要するに、お互いが知恵を使って、実際の行動で日本が解き放った虎を、元のところに戻したと。日本というのは当時、民主党政権ですから、お互いに知恵を絞って尖閣問題を元のカゴに戻したと。つまり、彼らは虎と考えているんです、尖閣問題を。やっかいな。ここは結構本音じゃないかな。だから、本当は尖閣問題というのは非常に処理に困っている。この人民日報を読むと」
反町キャスター
「日本も困っていますけれどもね」
興梠教授
「ええ。これを見るとわかるんです。お互いに知恵を使って、それをリセットして、元のところに戻したんだと。私はこれが一番気になったというか、おもしろい論評だと」
反町キャスター
「元に戻したということは、たとえば、領海侵入とかいうのはこれからどうなるのですか?」
興梠教授
「それはやるんじゃないですかね。元に戻したというのは、彼らが一歩進んだところまでですよ。あれを利用して、入ってこられるようになったというんですから。2回の尖閣のいろんなトラブルがあってね。相変わらず監視船は入って来るのではないかなと思うんですよ。パタッと来なくなるってちょっと考えにくいです。せっかく得た権利をね。だけど、それ以上のことをやると、たとえば、香港から最近活動家が出ようとすると全部止めていますよね、見事に。習近平さんになってから行くなと。いろんなケチをつけてね。それを見ていると、これ以上は大きくしたくないというのがあるのではないですか。現状をできるだけ維持したいと。そうすると、これは日本側には非常に有利で、多少前よりは不利になっていますけれどね、ここを読むとこれをあまり高い位置に置きたくないのかなと。全体の関係の中で見ると、尖閣の位置づけというのは、人民日報なんかを見ると多少、変わってきていると」
反町キャスター
「そうすると、よく日中間の問題、これまでの議論、この番組での中でやる中でも、尖閣の問題をいかに小さくするかというところが知恵の出しどころだという話、いろんな方が言いましたけれども、そういう意味で、今回この文書とか、首脳会談を行ったこととか、どこで見るかは別にしても、今回、日中両首脳の間では、尖閣問題を小さくしようということでは、暗黙の了解が得られていると見ていますか?」
興梠教授
「危機管理のメカニズムと同じ項目に入れています。危機と思っているんですよ。危機管理メカニズムというのに尖閣が入っている。だから、危機と捉えていることは確か。だから、虎と」

中韓首脳会談 FTAで実質合意
秋元キャスター
「今日、北京で日中首脳会談が実現しましたけれども、一方で、習近平国家主席、朴槿恵大統領の中韓首脳会談も行われていまして中韓FTA交渉が実質的に合意しました。その内容、中韓FTAの実質的妥結内容ですね。貿易品目のおよそ90%を20年かけて関税を撤廃するというもの。それから、農産品については、およそ70%を関税撤廃。ただし、コメは対象除外ということですけれども、中韓が、日中首脳会談と同じ日にFTAで実質合意したということについて、これをどのように受け止めていますか?」
興梠教授
「韓国の報道を見ているのですが、韓国は結構、メディアが動揺していまして、中国に裏切られたとか…」
反町キャスター
「日中首脳会談を見て?」
興梠教授
「うん。これじゃ、置いていかれると。結構、日本側にとっては韓国が揺れているというのは見えてくると思いますけれども。それも戦略的にやったのかもしれない。先に中国を押さえれば、韓国が接近してくるだろうと。最近竹島の件もそうですね。韓国がちょっと控えている。ですから、そういった意味では、これは逆に言うと、韓国と中国の関係が緊密化しているというのを、日本に見せているというのもあるかもしれないですが、逆に言うと、韓国もやりたがっていると思いますよね。自分達の工業製品のはけ口というか、小さなマーケットですから。これを見て、農産物とか、そういったものがネックになってくるので、戦略的にこれをやっているとしても、2国間ではダメでしょう。日本という巨大なマーケットが入らないと。ただ、現在の時点では中韓が急接近していますから、こういう話になるけれども、日中の関係が良くなってくると当然3か国で外相会議をやるという話もある。そういう流れになっていく。あとは、中国としてTPPの向こうを張って、アジア自由貿易圏を出してきた、独自のアジア投資銀行ですか、あんなものを出してきたと、一種の覇権的な部分もかなりあるので、政治的な戦略としてやってきているところもあるので、ただ、流れ的に中韓でくっついているのを、日中との関係が良くなると、これは当然、日本が戦略的地位になってくるので、あまり気にしなくても」
反町キャスター
「中韓のFTAの発表、まさに、今日の日中首脳会談の前に中韓がやって、そこで取りまとめて発表をするみたいな、この段取り、手順。そこに政治的なメッセージがありますか?」
逢沢議員
「韓国にとって中国はべらぼうに貿易では儲けさせてもらっている。驚きますよね。韓国にとって、韓日貿易、韓米貿易の足し算よりも現在韓中貿易のボリュームが大きくなっている。それだけ両国の関係は近い。しかも、韓国、日本との貿易では大赤字がずっと続いているんだけれども、中国との貿易で黒字を稼ぐ。そういう構造になっている。ですから、韓国にとってもFTAを進めていこうというインセンティブ、非常に強いものがあったんだろうと思います。ただ、通商のプロからしますと、いわゆる自由化率はさほど高くはないとも言われています。従いまして、先ほど、興梠先生がおっしゃったように、そこに日本というものが入ってこなければ、本当の意味での東アジアの自由貿易圏というか、それは確立しない。しかし、こういうものを見ながら、TPPはアメリカの政治状況が非常に物事を動かす要素になっていますけれども、できるだけはやく、このTPPを妥結に導いていく。このアジア太平洋の大きなルールとモノや人が動く仕組みをつくって、中国をそこにいずれ迎え入れるというか、中国もそこに入らざるを得ない政治的な、あるいは通商上の状況をつくり上げていく。そこはある種のゲームの部分もありますけれど、そのことが現在、一番大切なことではないかと思いますね」
反町キャスター
「中韓FTAを、今日、日中首脳会談の前に、中韓をやって決めたという、この段取りに関して言うと、日中の接近に対して、韓国が何か不安を感じているとの話が先ほどありましたよね。韓国に対して大丈夫だと、お前達のことを一番大事に思っているんだよという、中国からの韓国への、なだめすかしの手かどうか。ここはどうですか?」
興梠教授
「私はそれを感じましたよね。ここ最近、韓国のメディアはそういった置いていかれているという批判が強いので、多少そういった部分も政治的には配慮があったのかもしれないでしょうね。ニコニコして会う、顔と顔ね。だけど、中国は逆に言えば、常に、韓国と国交正常化した時も、北朝鮮が怒っちゃったわけですよ。アメリカと手を組んだ時も北ベトナムが怒ったわけですよ。常に、自分の国益の下では、そういうことをするので、それは韓国の方が調整せざるを得ないです、今度。日本という巨大な経済大国を置いておいて、この2か国でやるというのは、所詮不可能なわけですから、流れとしてはそれほど日本には大きな影響はないと、私は思っているんです」
反町キャスター
「日中韓の話をここで聞いてみるにしても、たとえば、今度、東シナ海とか、南シナ海の、たとえば、尖閣の話も含めて、日中韓がある程度ですが問題の先送りとか、棚上げみたいな感じになってくると、フィリピンとか、ベトナムとか、南シナ海で中国と、その領土を巡る係争をしている国々は、日本と中国はどうなるんだとすごく心配をしていると思うんですよ」
逢沢議員
「それはもちろん、そうですね。注目もしてきた」
反町キャスター
「ここはどう我々は配慮をしていくべきなのか。どう感じますか?」
逢沢議員
「もちろん、ある意味では、東シナ海よりも、南シナ海はもっと厳しい状況に、対ベトナム、対フィリピンの間でなっている。中国にしてもこれ以上問題を拡大していく、こじらせるということは、国際社会における自分達のポジション、あるいは自分達に対する信任。そういうものが、ああいう国ですからね、海に出ていって、大海洋国家をつくっていこうと。太平洋の向こう側半分はアメリカが仕切るにしても、こちら側は自分達が仕切るんだと。そういう意図、意欲がもちろん、あるのでしょうけれども。しかし、それは国際社会の世論とある意味で向き合いながらじゃないかなという。中国だって物事を前向きに進めることはできない。ですから、今回、こういうことで日本との間で、1つの新しい状況をつくるという意味だし、次に、南シナ海との間で、どういうものが生まれてくるのか。これは非常に注目をすべきところだと思いまして、我々の国益にも、直接、関わってくる問題でありますから、良い意味で、ベトナム、フィリピンをあと押ししながら、中国に対して良識的な、抑制的な対応を取るということは結局、中国の利益につながるということを、あの手、この手で、いろんな言葉で、行動で、中国に対してもメッセージを強く送るということ。日本の役割もあるんだろうと思いますね」


後編

国際宇宙ステーション<ISS> 日本の宇宙政策
秋元キャスター
「今回はスペースシャトルではなく、ロシアのソユーズで行ったということで、何か乗り心地ですとか、違いはありましたか?」
若田氏
「スペースシャトルは様々な能力を持った宇宙船ですね。人間を宇宙に届けたり、人工衛星を放出したり、宇宙ステーションを組み立てたり、いろいろな能力があります。ソユーズというのは基本的に人間を打ち上げるためにつくられたものなので、非常にシンプルですね。打ち上げの時というのは、スペースシャトルは振動がけっこう激しいですね。打ち上げの瞬間は。それに比べソユーズは液体ロケットを使っていまして、打ち上がった瞬間がわからないぐらい非常にスムーズに上がっていく。打ち上げの乗り心地はソユーズの方が良いですね」
反町キャスター
「えッ?ソユーズの方が20年か、30年ぐらい古いモデルじゃないですか?」
若田氏
「ですけれども、次々に改良を重ねていますので、信頼性も高まっていますし、ソフトウェアは2、3回のフライトごとに新しいものになっているという形になっています。着陸の方は、シャトルの方は飛行機のようにスムーズに降りていきますので、乗り心地は良いですね。ソユーズはパラシュートで落ちるような感じですので、着陸はシャトルの方が快適ですね」

若田宇宙飛行士に聞く 国際宇宙ステーション船長とは
反町キャスター
「日本人初めての船長にははどういう意味があるのか。何がすごいと感じたらいいか?」
若田氏
「有人宇宙活動と言うのは、宇宙飛行士だけでできることではなく、『きぼう日本実験棟』『国際宇宙ステーション』を2009年に組み立てが完了してから、大きなトラブルなくきちんと動いている。それと『こうのとり』の方も種子島から4回連続で、定時出発できちんと物資を宇宙ステーションに送り届けている。はやぶさ含め、日本の宇宙技術に対する高い信頼感があって初めて日本人に宇宙ステーションのリーダーをとらせてもいいと。ですから、これは日本の宇宙技術、信頼があって初めて私達がこのような任務を担当できるのかなと思います」
秋元キャスター
「船長の資質ですとか、こういうものを持っていないとなれないというのはあるんですか?」
若田氏
「たとえば、冬山で今日はあなたがリーダー、今日はあなたがリーダーという形で安全にA地点からB地点までソリを引きながらスキーで歩いていくような集団行動訓練みたいなものもありますけれど、緊急時も含めて状況判断能力をきちんと。そのリーダーシップ。逆にフォロアーシップと言うんですか、仲間を立てるようなこととか、自己管理能力。そういった集団行動全体の資質みたいなものは、技術的な能力に加えて評価されるところだと思います」
反町キャスター
「お互いの相互評価で決まってくるのですか?」
若田氏
「そこが非常に大きいところですね」
反町キャスター
「自分が船長になりたいと思っていたら、政治的な打算とかが働きそうなものではないのですか。そういうもののない世界なのですか?」
若田氏
「そういうところもあると思うのですが、率直に意見を述べあいながら、フェアに評価しなければいけませんし、自分だけが仲間と違う見解を持っていると、それは問題になりますから。ですから、同僚に評価されるというのが一番フェアではないですか」
反町キャスター
「同僚に若田さんがキャプテンでいこうと思わせた決め手は何ですか?」
若田氏
「キャプテンで行こうというか、この人がリーダーになってもいいか、悪いかというような評定があります。コマンダーにしてもいいという人が数人いる中で、あとは誰にしようかといったところで、たとえば、JAXAが若田をコマンダーとして次のフライトに採用したいということで、国際調整があって、初めて船長が誕生するので、資質を訓練で磨いておいて、国際調整がものを言う」
反町キャスター
「アメリカ人やロシア人には『和の心』がないのですか?」
若田氏
「それは皆さん、あると思いますよ…」
反町キャスター
「日本人の和の心というものが他の人を魅了する何かがあったわけですよね?」
若田氏
「私は生まれてからハーモニーというのをずっと大切に生きてきましたし、それは外国人の方も同じような意見を持っている方が多いかと思いますけれど、チームワーク、和の心というのは、日本人が大切にしている心だと思いますし、それは妥協点を見つけるというよりも、互いに率直な意見を言い合えて、個人ではなくチームとしてきちんと仕事をしていくためにどうしたらいいかという価値観ですね。それは外国の宇宙飛行士も同じように価値観を共有してくれていると思います。そういう意味でお互いの信頼関係を構築するための円滑なコミュニケーション、その中で和の心で1つにベクトルをまとめていくことに留意して、毎日を過ごしましたけれど、そこは仲間からも価値観というものは共有してもらったと思います」

これまでの成果&今後の課題
秋元キャスター
「国際宇宙ステーション(ISS)のこれまでの成果をどういうふうに評価されていますか?」
山口内閣府特命担当相
「15か国がお互いに協力をし、まさに国際協力。宇宙の民政利用に関する国際協力ですよね。かつてない枠組みですね。このグループというのは国際協力という意味で大きな意味があるんだろうと思いますし、中身に関しては文科省の通りですが、たとえば、創薬につながるタンパク質にしても、あと一息で新しい薬ができそうですね。そう最初はアメリカとロシアの様々な技術を吸収するというか、ある意味で追いつけ、みたいな話だったんですけれども、徐々に相当技術力も上がってきて日本独自の研究開発もやりました。結果としてそれをいかに民政、あるいは経済活動等に転嫁できるかという話が見えてきたと思うんですね。これは非常に大きい、たとえば、『こうのとり』に関しても400社ぐらいですかね。『きぼう』に関しては650社ですか。しかも、この間、若田さんにお伺いしたら、『こうのとり』、要するに宇宙ステーションのドッキングシステムというのか、アームシステムですね。これは良いのではないかということでNASAも取り入れて、これだけでもう60億円の輸出ができているわけですよ。そういう意味で、ISSもいわゆる宇宙の科学技術の研究開発から、そういったところが見えてきたなという感じもします」
反町キャスター
「日米のISS計画への投資額は、2013年まで日本は約8260億円、アメリカは約7兆6800億円。投資していますが」
若田氏
「たとえば、ヨーロッパ宇宙機関は日本以上に9000億円ぐらいまでかけているんですよね。アメリカは日本の10倍ですけれど、その中で日本が獲得してきた技術というのは非常に大きいものがあると思います。たとえば、宇宙船にランデブーする『こうのとり』は宇宙ステーションにランデブーしますけれども、そういう能力を持っている世界の国というのは、アメリカ、ロシア、ヨーロッパ、中国、日本だけです。そういった技術を持つということ自体が宇宙外交的な面でソフトパワーを持つことに至っているのかなと思うんですよね。そういうことをすることによって、科学技術立国としての使命を果たしていくことにつながると思いますし、宇宙外交的な意味がすごく大きいのかなと感じます。それから、先ほど、日中首脳会談のニュースがありましたけれども、国際宇宙ステーションに参加している唯一のアジアの国が日本ですよね。ですから、それは非常に大きい意味を持っているのではないかなと思います。そういった技術を持っている国でないと、国際協力プロジェクトでは同じ土俵に上がれないわけですよね。ですから、我々がこれまで築いてきた技術を活かしてさらに国際宇宙ステーションを成功させて、その次の有人宇宙探査の分野でも、日本が科学技術立国としての役割を果たしていかなければいけないのではないかと思います」

新宇宙基本計画提案 見直しの方向性&内容は
秋元キャスター
「新たな宇宙基本計画を公表しましたが、宇宙安全保障の確保が重要になるのですか?」
山口内閣府特命担当相
「現在の基本計画というのは、いわゆる研究が中心ではなくて、実際、民政にどう応用するかみたいなところにウエイトを置くというのがベースだったんですね。今回はそれにプラス、安全保障上の環境が随分変わってきましたし、国会の方でも安全保障をもっと考えるべきだという議決もいただきました。とりわけ中国が衛星、自分の国の衛星ですけれど、ミサイルで破壊しましたよね。ああいうこともあるわけです。それから、北朝鮮の問題に関してももっとしっかり高精細度であそこの周辺が見えるような体制等々、そういったいろいろな中で安全保障というものをもう少し考えたらどうかということを今回の基本計画の中には入れさせていただいたということです」
反町キャスター
「若田さんは、実際宇宙事業にメインで携わっているお立場として安全保障と宇宙開発のバランスの矛盾を感じるところと、ここ難しいと感じる部分はどういうところにありますか?」
若田氏
「そうですね、宇宙飛行士の仲間、ロシアであったり、アメリカだったり、9月に世界宇宙飛行士会議というのが中国であって、中国の宇宙飛行士と話す機会がありましたけれども、協力と競争、そのバランスがあって初めて平和で、しかも、その技術というのが世界人類に貢献できるのかなと思います。ですから、そういう意味で、たとえば、宇宙ステーションのような利活用を推進することによって発言力や主導権がある。そういった技術を持って、各国が協力することによってお互いに切磋琢磨して技術を高める。そしてそれをお互いに監視するような国際協力プロジェクトを通して、平和を維持しながら技術を高めていくことにつながるのかなと思いますので、バランスというのが非常に重要ではないかなと思います」

日本の宇宙政策 中国・インドとは
秋元キャスター
「中国、インドの宇宙開発をどのように見ていますか?」
山口内閣府特命担当相
「それぞれ重い意図、国としての考え方というのがあるのだろうと思います。我々としては技術開発、科学技術、それから、探査等々ということでやってきたわけですが、結構アメリカにしてももともと軍事からの…みたいなところがありますよね。そこらへんの差もあるのではないかと思います。もうちょっとがんばらないとダメですかね。ですが、今回の基本計画では相当しっかり書き込みますから」
反町キャスター
「中国の宇宙技術をどのように見ていますか?」
若田氏
「無人機の月着陸も成功させていますし、ロケットの打ち上げ回数も非常に高いものを持っている。インドも同様だと思いますけれども。1つ1つ技術を高めてきている。有人宇宙活動でも、既に神舟(しんしゅう)という有人宇宙船ですね。宇宙ステーションに宇宙飛行士を運んで、また安全に帰還させる乗り物が既に確立されていて、また2022年までに中国は新しい独自の宇宙ステーションを建設すると。彼らはきちんとやるとなると、予定通り遂行しているというところもあると思いますし、技術力は非常に高くなっているのかなと思います。ですから、そういう意味で我が国が誇れる技術を活かしアジアの中で唯一のISSの参加国というのもありますし、国際宇宙ステーション。その先の宇宙探査に、おそらく中国、インドも入ってくると思いますし、私達も切磋琢磨できる技術を活かしてアジアでのプレセンスを維持するために技術開発を進めていく必要があるのではないかなと思います」

若田光一 宇宙飛行士の提言:『挑み続ける』
若田氏
「『はやぶさ』もそうですし、国際宇宙ステーションの『きぼう』や『こうのとり』もそうですけれど、日本は世界から高く信頼される技術を確立してきたと思うんですよね。その技術を高めるという挑戦をやめると世界的なプレゼンスというのは失われますので、私達が築いてきたもの。これは人材であったり、技術であったりというのがありますけど、それを元にして挑み続ける姿勢が宇宙開発でも重要ではないかと。それが科学技術立国としての使命だという気持ちで、この言葉を書かせていただきました」

山口俊一 宇宙政策担当相の提言:『夢』
山口内閣府特命担当相
「小さい頃、宇宙は少年の憧れだったものですから、夢と書いたのですが、ただ、これからもっともっと宇宙に関して技術革新イノベーション含めていろいろやっていくことによって、世界、地球的課題。たとえば、気候変動もそうなのでしょう。そこらへんの問題に、しっかりと日本の宇宙の技術が答えを出せるのではないか。まさに、世界全人類の幸せな生活というか、安全、安定、安心を提供できるようになればいいなという思いで、夢と書いたんです」