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2014年11月5日(水)
櫻井よしこが緊急提言 中国APEC潜む危機

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト
凌星光
日中科学技術文化センター理事長

200隻を超えるサンゴ密漁船 日本の守りは大丈夫か
秋元キャスター
「 中国漁船によるサンゴの密漁について最初に海上保安庁がまとまった中国籍サンゴ密漁船を発見、確認したのが9月15日で、その時はまだ17隻でした。その後も密漁が続いたため、海上保安庁は10月5日に中国漁船船長を逮捕しました。ところが、密漁は減らず、30日には伊豆諸島周辺まで範囲が拡大。合わせて200隻を超える密漁船が確認されています。こうした事態を受けまして、島民の不安を取り除くため、警視庁も31日に小笠原に機動隊員ら28人を派遣しています。中国政府もサンゴの密漁に関して、今月3日、中国は赤サンゴの密漁を禁じてきたと、関係部門が違法行為に対する取り締まりを強めるだろうと発言をしています。一方、太田国土交通大臣は、海上保安庁では小笠原周辺で巡視船や航空機を集中的に投入して、特別態勢をとっていると述べています。まずこの状況をどのように見ていますか?」
櫻井氏
「 サンゴの密漁と皆さん決めつけていますでしょう。商業目的だと。商業目的であるかどうかというところから疑わなければいけないと思います。船を見たら、まったくオンボロ船もあるし、いろんな種類の船が雑多に入っていますよね。これはいろんな船をかき集めたと思われるんですよね。サンゴというのはもちろん、赤サンゴはすごく高価なモノですけれども、これも凌先生はよく御存知だと思いますが、きれいな形をしていて、初めて価値があるんですよ。船は網をボーンと落として、底からガーッと、採れたものは壊れているんですね。そのような採り方をして採算があうのか。だいたい、彼ら2000キロぐらい走ってくるんですね。往復4000キロとか、走りまわれば5000キロ。あの小さな船は、東海大学の山田さんに聞いたんですけれど、だいたい1リットルで100メートルなんですって、漁船が走れる距離は。と言うことは、2000キロとか、3000キロ、4000キロと、数百万円の燃料代がかかるんです。それを払ってまであの海域にこれほど多く、200隻とか、船が来て採算がとれるはずがないと言うんですね。ですから、背景には、政治的な背景が、そこにあって…」
反町キャスター
「 櫻井さんの見立てというのは、あれは赤サンゴとか、漁業目的でなくて、もっと政治的な意図を持って、大量に中国政府が漁船団をかき集めて派遣している?」
櫻井氏
「 私はそうしかないと思っています」
凌氏
「 中国政府が意図的にやっているという今の櫻井さんの考え方には賛成できません。これは、1つの経済的な行動であって、それを政治的に結びつけるというのは、現在のAPECで日中首脳会談が行われようとしている時に、このような私から見れば小さな問題を、大げさに扱うということは、これは決して日中関係の改善にプラスにならないと思います」
秋元キャスター
「 そもそも日本の排他的経済水域(EEZ)で、外国人が漁業をしようとした場合ですが、農林水産大臣の許可を受けたうえで入漁料を納付しなければならないと、日本の法律では決められているんですね。もし違反した場合というのは、1000万円以下の罰金を支払わなければならないと言われているんですけれども、実際、逮捕をされても、中国で質の高い赤サンゴが数千万円とも数億円とも言われる価格で取引されているという話もありまして、こういう事態が絶えないということですけど、広い排他的経済水域を守らなければならない海上保安庁としてもかなり難しい状況ではないでしょうか?」
櫻井氏
「 密漁というのは現行犯でないといけないんですよね。ただ網を船べりにかけて、航行しているだけではダメで、網を下ろし、実際に採ろうとしている現行犯でないとダメですね。日本の海は中国の海の6倍ですよ。その広い海で、しかも、このようにたくさんの船が一時期に来て、海保の船は5隻、6隻で一生懸命にやっているわけです。そうすると、1つ1つの船が現行犯で、網を下ろした、それ行け、ということは事実上不可能ですよね。ですから、このへんのルールに従おうとした場合に、かなり無理があるんです。それから、事前に許可を得なければいけないことを、向こうは全然していないわけですから。これは、それで違反だと思いますけれど、現実に捕まえるというのはかなり難しいと思いますね」
反町キャスター
「 と言うことは、今回のサンゴの密漁ということに関しては正直言って打つ手がないという感じで見ていますか?」
櫻井氏
「 ですから、打つ手がないでしょう、あなたはどうするのですか、というのが、中国が日本に突きつけている一種の現実ですよね。こういったことが他でも起こり得ますよと。APECがあるが故に、日本からの譲歩を引き出すという1つの目的があって、このようなことを仕かけたと思います」

マネーで中国の影響力拡大 アジアインフラ投資銀行
秋元キャスター
「 経済の分野でも中国の影響力というのは強まっているんです。1つが、中国が中心となって設立を目指す国際金融機関、アジアインフラ投資銀行ですね。アジアインフラ投資銀行というのは、経済の発展に伴ってインフラの整備が必要となる途上国に資金を貸し出す目的でつくられた国際銀行で、中国の莫大な資金が発展途上国のインフラ整備に使われることになり、当初は500億ドル。将来的には1000億ドルの資金を供給するとしていて、加盟国は東南アジア諸国など21か国が入っています。一方、同じような目的のためにつくられた、アジア開発銀行というのがあるんですね。こちらは日本やアメリカが中心となり、歴代総裁を日本人が務める組織です。加盟国は世界67の国と地域となっているんですけれども、櫻井さん、既に似たような性格のものがあるにもかかわらず、中国がアジアインフラ投資銀行をつくった狙いはどこにあるのでしょうか?」
櫻井氏
「 中国はアジア開発銀行の総裁のポジションを得たいということで、かなり運動していた時期がありますね。でも、アジア開銀の総裁は伝統的に日本人。それから、世界銀行は伝統的にアメリカ人。国際通貨基金(IMF)は伝統的にヨーロッパ出身の方というので、これはある種の秩序で変わらなかった。そこで中国は自分達も力をつけてきたので、自分達の思うような形で金融というものをやってみたい。もう1つの柱が、人民元の国際通貨化ということですけれど、それで始めたんですね。1000億ドルというと、100円換算でいうとだいたい10兆円ですね。アジア開発銀行(ADB)は現在、7兆5000億円ぐらいの貸し出し残高ですね。それから、世銀が29兆円、30兆円ぐらいですか。そのぐらいですから、最初500億ドルで5兆円。どのようになるかはわかりませんけれども、あまり融資の条件をどういうふうにするのかということについても、中国はこれまで政治的な融資がかなり多かったですからね。本当に商業ベースできちんと試算し、回収ができるかということも担保してやっていただかないと、これは国際金融秩序に大きな、その負の影響を与えますから。これは中国に責任を持ってやってほしいと思います」
凌氏
「 アジアインフラ投資銀行ができたことは、これは現在の国際金融に対して大きな影響を与えると思いますね。中国側の思惑といいますか、目的は1つは周辺諸国との関係強化。今回21か国が参加しましたけれど、それによって中国の平和外交を展開するという、経済の協力を通してという、これがまずあると思いますけれども。それから、もう1つは、既存の国際経済秩序といいますか、これが完全に英米、あれは先進国主導ですね。日本が、かつてIMFにかなりの、アメリカに次ぐ、お金を出しましたけれども、日本はそこの重要な役職に就けないという、これは谷口誠先生が言ってらっしゃいましたけれども、つまり、完全に欧米主導ですよ。日本にもまわってこなかったんです。中国が現在、資金的に大変余裕が出てきて、援助をしたい。しかし、国際的な面で透明性を高めるためには、アジア開発銀行は確かに日本が、かつては大きな役割を果たしたけれど、中国がこのウェイトを高めると。日本もアメリカも反対です。そうすると、総裁を譲らなくちゃいけないから。規定がそうなっていますから。だから、それだったら、アジアインフラ投資銀行で、中国主導でとならざるを得ないですよね」
反町キャスター
「 ポスト狙いですか?」
凌氏
「 ポスト狙いというよりも現在資金が足らないですよ。それで、世界銀行もアジア開発銀行も、それを賄えないです。これをもっと増やせればいいんだけれど、増やすのは中国からしかないですよ。他の国、日本もアメリカもそれを出したがらない。そこで中国はやむを得ずこれをつくった。だから、現在、多くの国が参加して、是非日本も参加をしてくださいと。それから、アメリカもどうぞ参加してください。これを運営しましょうと。ノウハウを学びますと言っているんですよ。ところが、これまで、アメリカと日本は圧力を加えた、主にアメリカですが、韓国は入ろうとしていたんです。(それを)入るなと。オーストラリアも入ろうとしていたんですよ。オーストラリアも入るなと。見合わせています。たぶんオーストラリアと韓国は来年、入るのではないかと思います」
反町キャスター
「 それは、中国が最大の貿易相手国だからですね」
凌氏
「 それもあるし、これは皆が見ろと言うんですよ。そこで、支配するという、中国はそれを言っているんですよ。我々は、必ずしも50%以上をとる。現在GDPに応じて、つまり、加重平均に応じて出すということになっていますし、どうしても中国が多くなりますよね。日本もGDPが大きいですから、そうすると、日本のウェイトが高くなるんです。アメリカが入ってきてまた高くなりますよね。いずれにしても、現在の既存の金融機関というのが、いわゆる価値観とか、あるいは環境基準とか、それはいいですよ、合理的な点は。しかし、発展途上国の条件にあわないようなこともやっているわけです。特に、価値観というか、政治的な価値標準というものに対して、発展途上国として受け入れられないですよ。それは先進国では常識かもしれませんけれども、中国も含めて、発展途上国は、それはおかしいよと。経済が発展する中で、政治的な環境も、政治的な状況も良くなってくるのだから、まずお互いに経済を発展させましょうというのがアジアインフラ投資銀行」
櫻井氏
「 お金というものは、どう何のために使うかということがとっても大事ですよね。凌先生は条件をつけることがいけないとおっしゃいましたけれども、たとえば、アフリカ諸国の独裁国に対して、大量の国民を虐殺しているような国に対しても、中国はこれまで、その国の国内事情は問わないといって融資をしてきたわけですね。それはもちろん、その国は発展したいんでしょうけれども、発展するのであれば、国民を虐殺したり、環境も著しく破壊したりということはやめましょう、異民族を排除したりすることはやめましょうという大枠のルールがなければ、私達のお金というものは使うべきではないと思うんですね。確かにインフラ資金があと20年、2030年の頃までに足りないということはわかっています。だけども、中国はそれを出すために、インフラ投資銀行をつくったのでしょうか。私は、そこも1つあるかもしれませんけれども、本当の狙いはできたら、アメリカ抜きに、中国がこのような金融機関をつくって影響力を広げたいという国家の戦略、意図があったと思いますね。本当に、純粋にアジアの国々、他のアジア、アフリカの国々も、インフラのための投資をしてあげたいと思うのであるならば、現在のADB(アジア開発銀行)を何とかもっと説得して、大きくするということだって、チョイスとしてあるわけですよね。私は、そう思いました」

中国の戦略と日本の対応
秋元キャスター
「 このアジアインフラ投資銀行の加盟国は、東南アジア諸国だけでなく、中央アジアへとつながる国々、産油国のカタールとか、クウェートといった国々も参加をする予定となって、ただ、日本、韓国、オーストラリアは参加を表明していないですね。オーストラリアは不参加の理由の1つに透明性のなさというのを挙げているんですけれど、凌さん、要するに、中国にとって得のあるところに優先的に投資していくということも考えられるんでしょうか?」
凌氏
「 もしそれだったら、2国間関係でやればいいでしょう。ですから、こういう多国間のモノをつくると言うのは、透明性を高めるもの。いろいろな意見を聞くということですから、だから、日本の経済専門家もこれまでバイでやってきたが、これは透明性がない。今回インフラ投資銀行は、透明性、運営の方法とか、まだ、そういうのがわからないと。いや、これから1年かけて相談しましょうと言っているんですよね。ですから、透明性がどんどん出てきますよね。まだ決まっていないです。ですから、これは中国が現在、世界経済に対する貢献をしようという意志の表れですよね。ですから、現代の世界経済をどうやってもっと発展させるか。現在のアメリカ、それから、日本のように、ただ、お金をじゃぶじゃぶ出して実態経済が動いていないと。中国は今、金融というものが、実態経済に奉仕すべきものだ、マネーゲームはダメだと。中国もそういったマネーゲームに陥ったんですよ。その反省に立って、国内においても、国際的にも、金融が実態経済に奉仕する。投資銀行をつくることはまさにインフラの整備でしょう。これは実態経済を動かすんですよね。つまり、経済の発展する土台をつくろうということ。世界経済にとっても大変好ましいわけ。日本の現在の経済、金融専門家はだいたい前向きですよ。日本政府が消極的です。いや、政治的に考え過ぎ」
反町キャスター
「 そうすると、凌さん、日本が、たとえば、アジアインフラ投資銀行に参加をして、一定の出資をすることによって、それは日本にとっても得になる?」
凌氏
「 そうです。そうすると、日中が現在、大変対立していますよね。これは、日中が協力する1つの重要な場になりますよ。現在、発展途上国に支援する場合に、日本の長所、中国の長所、そこを結びつけて援助するのが一番効率的ですよ。これは、私の友人の笹沼充弘氏というODAの彼(元海外経済協力基金理事)が主張していましてね、現在、日本の長所と、中国の長所だと。新幹線の建設にしても、彼はこの方面の専門家で。結びつけることが1番安くできるんですよ。だから、ベトナムの新幹線も、彼は、日中が協力してベトナムの新幹線を建設したらいいと。ところが、ベトナムも日本だということになったら高すぎるというわけで、ベトナムは新幹線の建設が結局、中止になっちゃったんですよね。私の友人は、日中が協力をして初めて、経済的に効率的な援助ができると。それで日本にとっても、中国にとってもプラスになるんですよね」
櫻井氏
「 ごめんなさい。凌さんのおっしゃることが中国の本当の真実であるならば、私もその通りだと思います。中国という国は、面白い国で、史実談という本がありますね。古代中国の1500年ぐらいの歴史を書いた何万ページにのぼるものですね。これを毛沢東は、17回読んだと言うんですよ。日本でも坂本竜馬とか、橋本左内、錚々たる日本のリーダーがこれを読んだんですね。何かというと、中国人のすごく素晴らしいところ、すごく醜いところ。中国人の幅というのは、日本人の人間の幅より、うんと広いんですよ。日本人は良い人もいる、悪い人もいるけれども、この幅が少ないと。飛び抜けて良い人というのもいない。飛び抜けて悪い人というのもいない。でも、中国は両方すごい。素晴らしいこともたくさんあるのだけれど、謀略とか、人を騙してということになると、これだけ読んでみると恐ろしいようなことがあります。そのようなことから言うと、日本は中国に対して、すごくナイーブな憧れを持っていたんですね。漢詩の世界を通じて、中国人を尊敬し、凌先生のような学識ある方のことも尊敬をして。できたら日中友好をしたいというのが日本人のほぼ全員の国交正常化の時の考えでしたよ。ところが、何十年か経ってみたら、そうじゃなかったのではないかということに、私達は否応なく、気づかされているわけですね。日本と中国は協力して新幹線をアジアの国々に広げたい。当たり前ですよ。だけれども、日本の新幹線を輸入した中国は何をしましたか。技術だけを盗っちゃって、日本は酷い目に遭っていたわけですね。これは新幹線だけではないです。他のことについてもほとんど、皆例外なくそうですよ。ですから、私達は、中国を本当に好きだったし、信頼をしていたのだけれども、残念ながら、我々日本人の大方の人の信頼とかというものを消し去ったのが中国なのではないですかと。だから、現在一緒にやりましょうと言われても、ちょっともう1回、信用をして、またやけどをするじゃないかなと。へたをすると、命をとられるのではないかなというような考えを持ったとしても、当たり前な話ですね。だから、このインフラ投資銀行にしても透明性がないとオーストラリアが言ったといいましたけれども、その通りですね。中国の経済、中国の統計。これはナンバー2の李克強さんが、2007年にあの方は遼寧省の偉い役人をしていたんですね。遼寧省の上の役に就いていた頃に中国のGDPの数字はもう信用できないと。李克強さん自身が嘆いていた。これはもう少なからぬ専門家が中国の経済統計、経済指標というのはもうほぼ信用できない。つくりモノである。私は、それは話半分として聞いても、かなり中国の経済というのは、そういった政治的な積み上げがある。面白い話があるんです。日本でいろんな統計をとる人がいるでしょう、計算をして。これはだいたい係長さんとか、そのレベルではないですか。計算するのは、実践的な比較的ランクの低い人でしょう。中国というのは、閣僚クラスの人がそれをやると言うんですよ。なぜならば、統計を発表する時に政治的な考慮をしなければいけない、高度の政治的判断が求められるから。これはかなり信頼できる筋から聞いた話ですけれど、そのように中国経済というものを一緒に信用して、インフラ銀行に入っていって、しかも、透明性のない基準で投融資をして、いったいどうなるんだろうということ。私は、本当に中国政府がうまくやってほしいと思いますよ。中国がコケれば、日本だって、世界だって大変な目に遭うわけですから。これはうまくやってほしいと思いますけれども、どうも、現在のインフラ投資銀行の在り方を見ると、それから、BRICS開発銀行のこともありますね。それを見ると、もうちょっとしっかりウオッチしないといけないのではないかなということを感じますね」

APECにて首脳会談は?
秋元キャスター
「 以前の頑なな姿勢に比べますと、中国にも変化が出てきているようにも思うんですけれども、この変化はAPECでの日中首脳会談開催に向けての変化と見てよろしいのでしょうか?」
櫻井氏
「 中国政府がホスト国としてきちんとやりますということをおっしゃいましたね。そういったこともあると思いますよ。それから誰にとっても日中関係が冷え込んでいるというのは良くないですから、経済的にも、安全保障の面でもです。だから、当然首脳会談ができるのであれば、やりたいと、普通の政治家リーダーならば思いますよね。ただ、ミラノで安倍さんが李克強さんと握手した。ミラノでは安倍総理はどこでも繰り返して言っているんですけれども、海洋の自由とか、物ごとの紛争の国際法に基づく処理とか、私達が守るべき原則というのを繰り返しているんですよね。まとめの文章にもその文章は入りました。それは日本の努力ですね。それに対して反対をするというか、不快感を抱くとしたら中国です。これは南シナ海の問題でもそうですし、今年5月にアジア安全保障会議がシンガポールのシャングリラホテルで行われましたけれども、あの時も安倍総理は基調講演をなさって、中国と名指しをしないで、海洋の航行の自由、国際法による問題の解決、平和的な解決による現状変更は許されないということを言ったんですね。中国の人民解放軍の副総参謀長、王冠中さんと言ったかな…非常に感情的に安倍総理を批判するスピーチをしました。たぶんご存知だとは思いますが。このような状況の中で、何とか首脳会談をしたいということですから、会うこと自体に意味があるやもしれませんけれど、どのような話、条件で会うのか。我々は無条件で、本当に白紙の状態で会いましょうということを貫くことが大事だろうと思っています」
凌氏
「 現在の状況で、安倍さんが臨時国会において中国との安定的な友好ということを言いましたよね。これは大きな進歩だと思います。これを中国側に発信をした。安倍さんはずっと対中友好外交を批判してきたんです。それが一応友好と言ったということは、かなり重みがあると。しかし、これが本音かどうか。それは私もよくわからない、たぶん本音じゃないでしょう。ですから、現在中国としてはそこは進歩と認めているでしょう。従って、言われているようにかなり前向きの方向に少しずつ動いていますよね。安倍さんがこういうことを言ったのも、その前からいろいろあって、日中双方の、私も含め、いろいろな働きかけをして、現在、お互いに良い方向に努力するということですけれど、そういうのが出てきたことは肯定すべきだと思うんです。しかし、中国から見ると、まだ2つの条件を出していますよね。それが満足のいくものになっていない。私は、そこを落としどころと言うか、妥協点をと言っていますけれども…」

尖閣諸島問題への対応
櫻井氏
「 どんな妥協点なのですか?」
凌氏
「 たとえば、靖国参拝問題については記者に答えるという形で、私は首相として国のために云々、参拝するべきだと思いますと。しかし、これは外交問題に関わるので慎重に対応しますということで、基本的にはもう私が首相の間は行きませんよという案、それを中国側が受け入れたらどうか。しかし、これは中国で話しても信用できないという反応が彼らにかなり強いですね。でも、これは、安倍さんが自分でこういうことを言ったら、たとえば、高村さんとか別の人の感触ではなく、本人が言えば、これは信じてあげたらどうかと。安倍さんとしての面子もあるかと言ってきたんですけれど。それから、尖閣の問題については、これは鳩山由起夫さんが昨年の春でしたか。中国に行った時に外交問題が存在する、というところで妥協を示したと。私は、当時、もしそうだったら実際にキリストを認めているようなものだから、実をとればいいだけで日本はそれで良いと言ったら、それで妥協したらどうかと言ってきています」
反町キャスター
「 尖閣との名指しをせずに、日中間には外交問題があるというところでどうかという、そういう意味ですね?」
凌氏
「 それは領土を巡って外交問題があると。そう言わなかったらダメですよ。領土を巡る外交問題。しかし、これが受け入れられるのかはわからない。最近の報道によると、日本側の案として、日本の固有領土であるが第1。第2は、中国側がそれに異を唱えていることは認めますと。第3として時間をかけて話しあいで解決しましょう。この3点だったら、中国側も受け入れていいんじゃないかと言ってきているんですよね。しかし、どうもそのへんのところはまだダメだというような雰囲気のようですけれども、私はこのへんのところで落としどころとして前向きに対応してほしいなと思っています」

中国の本音と日本の対応
秋元キャスター
「 王毅外相が日中首脳会談を行うために2つの条件をクリアしなければならないと言っていますが、日本はどのように対応するべきだと思いますか?」
櫻井氏
「 先ほど凌さんがいろいろおっしゃいましたが、靖国参拝は日本人の精神の問題ですよ。だから、そこに中国も本来、介入すべきではないです。もともと中国は靖国参拝問題を最初は問題視していなかったわけですが、政治的に問題視するのはおやめいただきたいと思っています。尖閣諸島の問題は、領有権問題があることを認めたら、これは国民に対して何と申し上げればいいのか想像がつかないですね。だって、これは日本国の領土ですから。それで、中国とフィリピンのやりとりで面白いのがあって、日本人にとっても参考になるかなというのがあるんですね。南シナ海の1番南の南沙諸島にミスチーフ島というのがあります。そこは中国に盗られちゃって、中国の軍事基地ができているのですが、この島を巡って彼らと40年ぐらいやりとりがあるんです。最初が1975年マルコス大統領の時に、鄧小平中国側と友好的、協力的な交渉で南沙諸島の問題を解決しましょうというんですね。友好的、協力的ですよ。1988年に今度はアキノ大統領がまた中国に行って中国側は領有権問題を棚上げしましょうと言うんです。今度は1993年、ラモス大統領の時ですけれど、その時は1992年にアメリカがフィリピンから引き上げて、1993年4月にラモス大統領に中国側が紛争の棚上げとともに、南沙諸島のミスチーフ島の共同開発をしようと持ちかけるんです、共同開発を一緒にやりましょうと。これもどこかで聞いたことがありますね。1995年2月ですけれども、いきなり力で盗っちゃったんですね。だから、棚上げしましょう、平和的に解決しましょう、共同開発しましょう、いろんなことを言いましたけれども、チャンスがあったら盗るということですよね。だから、これはミスチーフ島と尖閣諸島、もしくはフィリピンと日本を同列に並べるということは、私はいたしませんが、中国の戦術、戦略の1つのパターンとして私達は頭に入れといた方がいいと思いますね」
反町キャスター
「 日本側から譲歩の余地はない?」
櫻井氏
「 私はここで譲歩することは日本国の利益になりませんし、国益にならないことを総理大臣がなさるべきではないと思います。日本は、きちんとした論理で、道義的に、非難されないように行動すべきだと思っています、内外において」
反町キャスター
「 形式的な会談に留まる可能性が高くなる、そこはどうですか?」
凌氏
「 儀礼的会談になる。ここで考えなくてはいけないのは韓国の大統領と日本の首脳会談が行われていませんよね。私は、中国と日本の首脳会談が行われる前に、韓国と日本の首脳会談が行われて然るべきだと思いますね」
反町キャスター
「 何で、日韓が先にやらないといけないのですか?」
凌氏
「 韓国が現在、中国との関係にとって大変重要ですね。これは対米関係においても、あるいは対日関係においても、あるいは東アジア全体において、中国の外交にとって大変重要です。ですから、もし韓国が日本と首脳会談ができない状況で、中国が日本との首脳会談が行われるということはまずあり得ないですね。しかし、儀礼的な会談は別ですよ。ですから、儀礼的会談と言いますか、中国は礼儀を重んずる国。現在、中華文明を世界にPRしようとしているでしょう。なのに、隣に重要な日本という国、安倍さんが右寄りだと歓迎しないとしても一応、日本の首相である以上、会わないというのは中国が礼儀を重んずる国として、これは問題ではないかと。従って、儀礼的に会う、たとえば、15分ぐらい。立ち話ではないですよ、ちゃんと座って、礼を尽くす。これはあって然るべきだと。これについては皆なるほどと。これが今回、王毅さんの言葉で、そういうことが出てきているので、私は大変嬉しく思っているんですけれども、ただ私はプラスαにしたいですよね。と言うのは、首脳会談が儀礼的だけではなくて、これが良い方向に向かう1つの転換点になってほしい。それには安倍さんがもう少し努力してほしい」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言:『王道と戦略』
櫻井氏
「 日本らしく、卑怯なことをしないで、しかし、きちんと戦略的に考えて、相手の動きを分析しながら、正しい道を行きましょうということですね」

凌星光 日中科学技術文化センター理事長の提言:『君子豹変・平和友好へ』
凌氏
「 これは安倍首相に君子豹変して40年前の平和と友好、国交正常化の原点に戻ってほしいということです。つまり、4つの政治文書の原点に戻る。対中包囲網外交は失敗していますから、それも調整すること。それから、日中協力による経済、アベノミクスを成功させる。同時に、発展途上国を支援するということですね。そういう意味で書かせていただきました」