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2014年11月3日(月)
警鐘乱打!消費税増税 上げる危機延ばす危機

ゲスト

浜田宏一
内閣官房参与
榊原英資
青山学院大学教授
安藤至大
日本大学准教授

日銀・追加金融緩和決定 日本経済への影響は
秋元キャスター
「金曜日に発表された日銀の追加金融緩和ですが、その中身ですけれど、まず日銀が世の中に供給するお金の残高である資金供給量、マネタリーベースの年間増加ベースを60兆円~70兆円のものを、10兆円~20兆円増やして80兆円にする。長期国債の保有残高の年間増加額を現在50兆円のものを30兆円ほど増やして、80兆円にすると。それから、長期国債買い入れの平均残存期間7年程度のものを、最大3年拡大して、7年~10年にすると。さらに、株価に連動する上場投資信託、ETFの年間購入ベース現在1兆円のもの、上場不動産投資信託、J-REITの年間購入ベース現在300億円のものを、それぞれを3倍にしまして、3兆円、900億円にするというものですが、この4つの柱は、日銀としてはどういう政策的効果を狙ったものなのでしょうか?」
榊原教授
「一言で言えば、量的緩和ですね。それで、要するに、7-9月期の、データはまだ出ていないですけれども、市況はこれまでいろいろ出てきている月ごとのデータから見ても良くないです。ですから、そういう意味で、積極的景気回復をはかる。マーケットの予測は、来年の春に追加金融緩和をやるのではないかということだったのですが、マーケットの先を越して、サプライズの金融緩和をしたというのが、今度の金融緩和ですね。サプライズだったから、非常に効いているわけですね」
反町キャスター
「マネタリーベースとか、国債の保有残高の話だと、量的緩和だと思うのですが、ETFとか、J-REITは個別の商品へのテコ入れのようにも見えます。これはどう理解したらいいのですか?」
浜田氏
「金融政策は一般的なマクロの需要なり、物価とかにうまく、優しく働きたいというのが理想です。でも、それができなくなって、国債をこれだけ買わなければいけなくなったんです。国債を買うというのは、標準的な商品だし、国民経済に与える影響があるから買うわけですけれども、緩やかだからいいわけですけれども、あまり国債ばかり買うと、そこにしわ寄せがくるわけです。ですから、他の場合では、ETFを買いたくないと思っても、分散をして、金融政策をしなくてはならないということの表れだと思いますね。これは諸外国でも同じだと思います」
反町キャスター
「つまり、マネタリーベースの拡大とか、長期国債の保有残高を広げることでは効かなくなってきている。手詰まり感、違うのですか。そうではない?」
榊原教授
「手詰まりということではないですけれども、追加緩和のインパクトを上げるためには、年限の長い国債を買うとか、ETFを買うとか、金融政策の幅を広げるんですね。それが必要だという判断でしょうね」
反町キャスター
「ただ、J-REITは、あまり文句を言うと怒られちゃうんですけれども、不動産の価値を上げるのかどうかというと、今度は資産バブルへの影響とか、そういう話にはならないのですか?」
榊原教授
「特定の市場をターゲットにしていないと思うんですね。市場の幅を広げたということであって、たとえば、J-REIT市場とか、あるいは株式市場とか、そういうものを単独で狙っているわけじゃない。ただ、日銀が政策の幅を広げて、そういうところまで、しっかりと視野に入れたということでしょうね」

円安進展&日本経済
秋元キャスター
「市場の反応を見ていきたいのですけれども、平均株価ですが、前日比755円高い、終値が1万6413円76銭ということになりました。これはリーマンショック前以来、7年ぶりの高値だということですね。為替ですけれども、1ドル109円台前半から、一気に111円台になりまして、東京の外国為替市場、今日、お休みですけれど、ロンドンはオープンしていまして、1ドル113円台まで円安が進んでいるということですけれども」
反町キャスター
「今回の為替、株の動き。特に為替ですけれども」
榊原教授
「為替市場とか、株式市場というのは過剰反応するんですね。ですから、今回の為替市場もかなり過剰反応気味ですよね。ですから、黒田さんも113円とか、あるいは115円とか、そういう円安は望んでいないと思います。望んでいないと思いますけれども、マーケットとしては110円を上まわったら一気にいくのが、1つのセンチメントということで、そういうことになっていますよね」
反町キャスター
「現在、ロンドンで113円までいっていますが、次の節目というのは、何かあるのですか?」
榊原教授
「115円でしょうね。だから、115円を上まわってくるとまたレンジが上がってくるということになりますけれども、おそらくマーケットは115円を試しにきますよ」
反町キャスター
「それは、115円の壁というのが、もしあるとすれば、その壁になる要素というのは、いわゆる投機的な思惑、バランスに尽きるもので、たとえば、そこに日本の経済の実態経済としての力が判断材料に…」
榊原教授
「投機とか、思惑というのは、ある意味では実態経済を反映しますから、ですから、日本経済の状況はそんなに現在悪くないですよね。1.5%ぐらいで成長をしていますから、そんなに一気に円安にいくような日本経済の状況ではないですよね。アメリカ経済の強さももうマーケットは織り込んでいますから、これ以上、アメリカ経済が強いということでドル高円安にならないですから、当面は110円、115円だと思いますよね」
反町キャスター
「その次に、もし押し上げるとしても、それは日本の景気が思ったより悪いぞという数字が出てくるとか?」
榊原教授
「悪くて、さらなる金融緩和がある。あるいはアメリカがかなり強気に金利の引き上げを早めにやるとか、そういうことがあれば110円を上まわってくるでしょうね」
反町キャスター
「それは日本にとって非常に困った状況になりますよね?」
榊原教授
「円安メリットというのは、ほぼなくなってきていると思いますよ。かつては円安というのは輸出を向上させるというので、メリットがあるといわれてきたけれども、現在海外生産が非常に進んでいるから、円安メリットは昔にようにはあまりないですよね。ですから、どちらかというと、かつてロバートロビンという人が、強いドルが国益だと言いましたけれど、私はどちらかというと強い円は国益だというような状況に日本はなってきたのではないかと思っています」
反町キャスター
「そろそろ止め時だと?」
榊原教授
「そろそろ止め時だと思いますね」
浜田氏
「私は軽挙妄動で言っているわけではないですけれども、まだ円安は十分に有効だとは思います。ただ、それが、たとえば、所得の低い人達に灯油を上げてと。そういう人にはマイナスとして働く。そういうところがどこまで進んでいいかというと、結論的には、榊原さんと違わないだろうと思います。これは現在だから言えるのですが、二月前ぐらいに、日本銀行に初めて政策の議論で行きまして黒田さんと会見したのですが、その時に黒田さんが110円ぐらいまでは大丈夫だねと私には言ったんです。マスコミに流れたら大変、彼に迷惑をかけるからと思って、初めて言うんですけれども、だから、彼もそのぐらいのことは考えていたと。それが113円、115円になった時にこれでいいのかと…」
反町キャスター
「でも、昨日の段階で109円とか、110円というあたりをもし意識するとすれば、今回のバズーカはぶっ放し過ぎではないですか?」
浜田氏
「資産市場は仕方がないですよね。株価はコントロールできないわけですよね」
榊原教授
「中央銀行の総裁というのは為替を念頭において金融政策をやっちゃいけないというのがルールですからね。結果としてそうなるということはありますけれども」
浜田氏
「日本経済をここまで持っていきたいと。そのために金融政策をやったら、たまたまというのが建前ですけどね」
秋元キャスター
「安藤さんは、この円安によるデメリットをどう考えますか?」
安藤准教授
「強すぎる円も、弱すぎる円も良くないわけです。適切なレンジというものがあるはずで、そこをうまく探していくというのが大事だと思います。先ほど、浜田先生がおっしゃったみたいに、エネルギー価格への影響とか、そういうネガティブな面も注意しながら少しずつコントロールしていかなきゃいけないかなと思います」
反町キャスター
「円安によるデメリットというのは、先ほどの話ではまだそれほど深刻ではない?」
浜田氏
「生産の方にまだ働き得るのではないかなというか、経常収支がプラスになっていないと言いますけれども、黒田さんが初めに就任した時にガッと大きく売って、あとは、静観していたわけですね。為替レートも全然、動かなかったし、金融政策も拡大基調ではありましたけれども、そんなに違ったことをやっていない。だから、為替レートがあまり動いていないので経常収支があまり変わらないという面は当たり前のことですから、もう少し為替レートに対する、経常収支がどう変わるのかというのは調べてみないと。私は、プラスの効果はかなりあるのではないかと。ただ、それについては常にプラスとマイナスがあるわけですね。ですから、全く抽象的な、どこか火星か何かに行って、円高がいいか、円安がいいかと抽象的に言ったら、生産が変わらないと言うのだったら日本の通貨が高くなった方が外国で消費した時に良くなるという、そういう面は絶えずあるわけですね」

GPIF年金資金運用見直し 国債減・株式増の意図&影響
秋元キャスター
「ここからは、日銀の金融緩和と同じ日に、GPIF、年金積立金管理運用独立行政法人が年金資金の運用を株式へと大幅に舵を切ったということについて、聞いていきたいと思います。公的年金資金、およそ130兆円のうち国債を60%から35%に減らし、国内外の株式を25%に大幅拡大すること。これで株が全体の5割を占めることになります。これによって国債中心の堅実運用から積極運用に転換するということになるわけですけど、榊原さんは、この株に重点を置いた運用見直しをどのように見ていますか?」
榊原教授
「適切な判断だと思います。これまで年金というのは安全性ということに非常に重点を置いて、それで元本が保証されている国債を中心に運用をしてきたわけですが、国債をゼロにするわけではないので、債権が半分、株式が半分ということでちょうどバランスの良い配分ではないかと思いますね。それから、海外への投資を増やしていますが、これも特にアメリカは現在成長率が高いですし、非常に順調な展開を続けていますから、これもまたプラスだと思いますから、あまり極端に株式を70%から80%にするというのは反対ですけれども、50%ぐらいというのはちょうどいいのではないかと。良い変更だと思いますね」
反町キャスター
「あるエコノミストの人に言わせるとタコが自分の足を食っているようなものだという説明があって、公的年金の資金をマーケット、国内株式に投入することによって株価が上がる。それによって、さらに資産が増えて、それをまた投入をする。このまわし方、これはどうなんだという、ここはいかがですか?」
榊原教授
「しかし、年金資金が入っただけで株価が上がると言うことではないですから。株が上がることのきっかけになるということで、他の投資家が株式市場に入ってくると。そんな効果はあるわけですね。年金基金の資金だけだということになると、まさに、タコ足の話になるのですが、そういうことではないと思っていますね」
反町キャスター
「榊原さん、この目安というのか、拘束力もちょっと聞いておきたいんですけれども、たとえば、国内株式が非常にまずいという時、それでも25プラスマイナス9の枠を守らなくてはいけないのかどうか。逆に言っちゃうと、上げる、下げるということに関しては、もしGPIFの運用の目的が資産運用であり、国民の安心の元である年金基金を大きくすることであれば、この割合を決めること自体がおかしいのではないか。そんなことにはならないですか?」
榊原教授
「ただ、最終的には役員が判断することですから。外にいろいろ出しているかもしれませんけれども、目安を決めておくというのが必要でしょうし、全部お任せしますというわけにはいかないですよね。ですから、目安ですから、若干の上下はいいよということは言っているわけですよね」
反町キャスター
「たとえば、役人と言いましたけれども、たとえば、民間のディーラーがガサーッとポートフォリオを変更するみたいな、そういうダイナミズムというのは、130兆円が、そういう動き方をすると不安定要因として…」
榊原教授
「マーケットにすごく影響を与えます。ですから、そう簡単には移せないですよね。大量の資金を持っている場合にはまず分散しなければいけない。だから、分散しても大きく振ると、これはマーケットが上がったり、下がったり、乱高下しちゃいますから。なかなか難しいですね。大量の資金を運用するというのは」
反町キャスター
「ただ、年金の基金はそうでしょうけれども、たとえば、何十兆の規模を持つファンドはアメリカにもあるではないですか。彼らは思惑で入ったり、出たりして、乱高下をさせて利ザヤを稼いでいるという話を、証拠は見たことがないですが、そういう話がありますよね」
榊原教授
「ええ。ヘッジファンドはそれをやるのが商売ですから。だけど、年金基金がヘッジファンドになっちゃいけないですよね」
反町キャスター
「それをやっちゃいけない。目的をとことん追求するという判断では、ここは入ってはいけないですか、ある程度何か」
榊原教授
「問題は儲けたらいいということではないと思いますよね。年金基金というのは、ヘッジファンドと違うところですよね」
反町キャスター
「そこは多少のブレーキというか、自制がそこに働く」
榊原教授
「ええ、そこで目安というのをつくっているんだと思いますよね」

消費税増税&経済財政の行方
秋元キャスター
「ここからは消費税10%への引上げ判断について聞いていきたいと思います。まず、それぞれの立場をちょっと見ていきたいんですけれども、榊原さんは消費税増税必須、浜田さんは消費税増税延期、安藤さんは消費税増税延期という立場ですが、話を聞く前に、内閣府が11月17日に発表する7月から9月期のGDP速報値について先週金曜日、民間シンクタンク12社の予測が発表されました。物価変動を除く実質GDPは、年率換算の平均が1.9%増ということですけれども、この1.9%をどう見ますか?」
榊原教授
「夏以降、景気が回復するという予測がありますが、していないですね。ですから、そろそろ駆け込み需要の反動が弱くなってということだったのですが、どうも日本経済の状況はあまり良くないということで、それで黒田さんが急遽、積極的な金融緩和をしたということでもあるわけですけど」

消費税引き上げの是非 榊原青山学院大学教授は
反町キャスター
「1.9%が、この通り出てくるかどうかは別にしても、こういう民間予測が出てくる中で、消費税引き上げは必ずやるべき?」
榊原教授
「消費税増税というのは1年限りの話ではないですね。これは中長期的な政策ですよね。ですから、来年上げてずっと上がるということですよね。しかも、現在の日本の財政赤字というのは40兆円あるわけですよ。GDPの8%あるわけですよ。消費税を8%から10%にしたところで増収分というのは5兆円しかないわけですよ。実はまだまだ足りないです、消費税増税が。そういう状況ですから、中長期的なことを考えて、財政再建を考えて、来年10%にすべき。ただ、景気が悪いということであれば、景気対策を別途、打ったらいいと思うんですよ。たとえば、消費税増税はしておいて、公共事業を拡大するということだってできるわけですよね。あるいは日銀がさらなる金融緩和をするということもあるわけですから、景気が悪いから消費税増税しないというのは、これは短期的なことにこだわり過ぎていると思いますね。短期的なことをやるための手段というのは他にありますから、増税をしておいて歳出拡大というのはおかしいではないかという人もいるかもしれないけれども、しかし、一方が中長期的な対策とか、一方が短期的な対策であるとかということを考えれば、それをやっても構わないわけですよね。ですから、その意味で、来年10%で上げないリスクの方が、私は大きいと思う」
反町キャスター
「5兆円の税収増をはかるがために、税収、法人税やら、所得税を含めた税収全体がそれよりも大きくへこむのではないかと。この見立てについは」
榊原教授
「来年1年と考えているのであれば、そういう可能性もありますけれどもね。先ほど言ったように中長期的な施策ですから。当然中長期的に見れば、税収が増えていくわけですよね。そういうことで中長期と短期の施策を分けるべきだというのが私の考え方です」
反町キャスター
「中長期的な話でいくと、最終的に消費税を何%にするのかという前提の議論が行われて、もしいれば、国会議員で現在その話を表でする人が…」
榊原教授
「できないですよ。だけど、私は政治家ではないから言いますけれど、いずれ、20%にしなければいけないですよ」
反町キャスター
「それはどういう根拠?」
榊原教授
「だいたいヨーロッパの水準が20%ですね。それから、日本の財政赤字を解消するということを考えると20%から25%にしなければいけないですよ。だから、いつするかという、何年をターゲットにするのかということはありますが、いずれ20%というのは、実は覚悟をしなければならない。ただ、10%に上げようという時に、一斉に20%と言ったら上げられなくなりますから。政治家は言えないですよ」
反町キャスター
「政治家は言えなくても、でも、20%にはいずれ上げなくてはいけないということを、もし国民的なコンセンサスとしてできれば、そうしたら、8%から10%に上げるところで逡巡している場合かという、この議論が出てくる素地がそこにあるわけではないですか、議論の前提として」
榊原教授
「いや、だけど、8%に上げた時、国民の抵抗が少なかったですよね。それは、わかっているんですよ。国民も日本の財政の赤字が非常に大変だと。おそらく8%から10%に上げるということでも世論調査でそんなに抵抗がないと思います。ですから、財務省がともかく10%に上げるというのが当面の目標ですから。20%なんて口が裂けても言わないでしょうけれども、だけど、10%に上げたあとは、2年ぐらい経ったら、また15%とか、20%と言い出すと思いますよ。私の後輩は頭がいいですから」

消費税引き上げの是非 浜田内閣官房参与は
反町キャスター
「浜田さんは消費税の増税については?」
浜田氏
「最近ビックリしたのはアメリカのシンクタンク、その他から送ってくる…必ずしも増税反対ではないようなシンクタンクから送ってくるTwitterなどを見ますと、日本は増税したら大変だということは1つもないです。むしろ日本が増税したらアベノミクスが全部崩れて日本は全く前と同じ戻ってしまう。それを世界としては耐えられないと。黒田さんがやったことによって世界が喜んでいるということは、まさにそういうことですけど。ですから、昨年は財務省系統の方がここで増税できなかったら、日本の信用が失われるということを心配する、心配すると言ってしましたけれども、逆のリスクも少なくとも同じぐらいはあると思います。ですから、ここで財務省の言う通りに増税をしたとすると日本のアベノミクスそのものと、増税とは正反対のベクトルですから、アベノミクスを潰すという力と同じに働くと僕は思います」
反町キャスター
「アベノミクスと消費税の2つの命題で聞くとすると、アベノミクスというのはもともと消費税は中に組み込まれていなかったことですよね。だから、その意味で言うと金融緩和を行って、財政支出を行って、成長戦略で日本経済を何とか好循環に持っていこうというのがアベノミクスだとすれば、その中に消費税を入れること自体、異物の取り込みみたいなもので、それは非常に歪みを生じるという話かと思ったんですけれど、よろしいですか?」
浜田氏
「ただ、それなりに消費税を増加したりしなければならないいろいろな理由を考える人がいるから異物が入ってくるわけですね」
反町キャスター
「そうすると、現在日本の現状において、日本の経済の現状とか、アベノミクスの進捗状況を見た時に、現在消費税のさらなる2%増税というのはノーということでよろしいですか?」
浜田氏
「はい」
反町キャスター
「そうすると、残り2%はどうしたらいいのですか?」
浜田氏
「延期して…」
反町キャスター
「いつ頃まで延期すれば?」
浜田氏
「たとえば、1年半延期する」
反町キャスター
「2017年の4月にするということですか?」
浜田氏
「そうですね」
反町キャスター
「1年半延期することによってどういう環境が整うと考えていますか?」
浜田氏
「アベノミクスの需要の矢の方は、金融政策を中心としてこれまでうまく働いてきた。それが完全雇用でデフレギャップがなくなるようになりますと、もう金融政策ではダメになって、構造政策の第3の矢が必要になるわけですけれども、現在の状態でデフレギャップがまた2.3%に落ちてきたということは需要の押すところが不足している。実は、そのへんは私も割と甘くて、これでアベノミクスの1、2の矢がうまく働いたのだから、次は構造政策をやらなくてはいけない。これは事実ですけれども、そう思おうとしていたら、安藤さんの友人達に大変厳しく言われまして…現在2.3%のデフレギャップがあって、インフレの目標、消費税で上がった分はインフレしたと数えるわけにはいきませんから、それを考えるとまだなかなか目標までいかない。そういう状態で需要促進、金融政策をやめていいのだろうかということをだいぶ心配している人は心配していますね。現在たぶん黒田さんの新政策がこれだけ反響を受けているというのは、そういう政策をやるということは世界が最も喜ぶような政策であるということなのだろうと思います」
反町キャスター
「1年半後に2%を上げれば、そのショックで経済が著しく減速せず、現在よりは遥かに脆弱さを克服できるであろうという根拠があるのですか?」
浜田氏
「これは賛成してくれる人はいませんけれども、私は法人税を減税して、しかも、法人税にいろいろついているお役人の特権の所得をやめて、十分かどうかはわかりませんけれども、そういうことをするのが、これからの10年、15年を考える時に、そういう需要、完全雇用まで持っていきましょうという政策ではなくて、日本の投資が地方に残るように、外国からも戻ってくるように。それを実際にイギリスはやって成功しているんです。そういうものが入ってくれば、構造も変わってきて、消費税を2%上げるぐらいまでは大丈夫になるだろうと…」

消費税引き上げの是非 安藤日本大学准教授は
安藤准教授
「長期的には消費税はとても大事なものになってくるんですね。と言うのは少子高齢化社会で生産年齢人口が減ってきます。所得ではなくて消費のところで取らないといけないのはあるんだと思うんですけど、大事だからこそ現在ではないと思っています。たぶん消費税増税はこれでは終わらないと思うんです、10%では済まないと思っています。しかし、今回皆が不安な中で…しかも、前の引き上げから半年の段階で決めてしまって上げたとしますよね。このあとちょっとでも景気が傾いたら何が起こるか。おそらく多くの人は消費税の引き上げはもう絶対嫌だと思うわけですよ。我々若い世代からしたら税収の構造を変えていかないといけないと思っているので、これからも消費税を上げていく余地というのをつくっておかないといけないですよね。なのに、現在うまくいかないと今後上げられなくなるのではないかと。今後上げるための選択し、まさに1年半とかでいいと思いますけれど、先に延ばして、このぐらいの痛みだったね、というのをわかってから引き上げたという実績があってもいいと思うんですね」

財政健全化に向けて どうする社会保障費
安藤准教授
「現在どういう分配をしているかと言ったら、現役世代が、リッチな高齢者、また困っている高齢者を全部まとめて再分配しているという形だと思うんですね。この形というのは、年金というのはお金がなく長生きしてしまったリスクに対する保険だと割切って、考え方としては世代内での再分配みたいなものをもうちょっと考えようと。リッチな高齢者がその世代の中の人を支えるということをもうちょっとやってほしいと思います。また、世代間の助けあい。よく世代間の助けあいというのは若い人がシニアの人を支えるという話になっちゃいがちですけれど、そうではなくて、現在の高齢者の人達はこれからまだまだ健康で長生きするわけですよ。この人達が安心して年金をもらい続けるためには少し給付水準を下げてでも若い人達の生活を支えて上げる。そうしないと結婚はできない、子供は産まない、仕事は見つからない。そうしたら、結果的に『角を矯めて牛を殺す』という言葉がありますけれども、高齢者にとって損になると思うんですね。いかに高齢者である程度資産があったりする人に年金を諦めてもらえるか。それこそが政治にがんばってほしいポイントだと思います」
反町キャスター
「リッチな高齢者から多少削って、それを現役世代にまわしてもいいのではないか、ないしは世代間の助け合いの形があってもいいのではないかというのは」
浜田氏
「賛成です」
反町キャスター
「それを具体的に進めるためには大きな制度改正が必要になってくるのでは?」
浜田氏
「消費税を上げる度に、社会保障をやるためにと縛りをつけてしまったところにあまり賛成ではなかったですけれど。税は全部とって一番良いところに使うしかないとは思います。皆さんの言うことに賛成です」
反町キャスター
「厳しいことですか?」
榊原教授
「おっしゃることをやろうとすると、既得権益を剥ぎ取ることになる。政治が既得権益を剥ぎ取ることは極めて難しいです。そうやっちゃいけないと言っているのではないですよ、だけれど、政治論としては既得権益を取ることはまずできないと考えないといけないですね。だから、老人の方の既得権益をそのままにして、若者の福祉を増やすということはできますよね」
浜田氏
「リッチな人が高級品に使う、そういうところでとられる消費税は20%になってもいいですよね」

浜田宏一 内閣官房参与の提言:『“財政再建は国際公約”を信ずるな』
浜田氏
「最近は、『財政再建をする』と、財務大臣が(海外から)帰る度に、財務省のお役所の人に言われて、いつも国際公約をしてきたと言うけれど、本当にちゃんと国際公約をする場所というか、国際会議…そんなものはないですね。国の中で民間は〝金持ち母さん"で、政府は〝ひどい貧乏人"だと。そこにお金を動かす、そのこと自身は悪いとは思いませんけれども、そのために外国の場所を使って宣伝戦をやっていると思えるんです」

榊原英資 青山学院大学教授の提言:『消費税増税と公共事業』
榊原教授
「消費税増税は着実にやっていかないといけないと思いますね。だから、10%で終わるわけではなくて最終的には20%までもっていくと、ヨーロッパ並の消費税増税をしなくてはいけない。来年のことを考えても10%に上げるということは、景気に対する悪影響がありますから、それに対しては歳出の増大。たとえば、公共事業、(東京)オリンピックがありますから、オリンピックを念頭に置いた様々な公共事業をやって、そこで経済を刺激していく。それを両立させるということですね。財政再建と経済成長をそこそこ維持して両立させていく。それが非常に大事だと思いますね。これからの日本の経済政策の基本は、それをどう両立させるか。おそらく消費税増税と、公共事業など歳出の拡大を両立させるということだと思います」

安藤至大 日本大学准教授の提言:『世代“間”の助け合い』
安藤准教授
「若い世代がシニア世代を支え続けるというのは人口構造では無理なので、リッチな人が困っている人を支えるという構造をいかにつくっていくか。榊原さんになかなか難しいと言われてしまいましたが、これを考えていくことこそ学者もそうだし、特に政治家の役割だと思います」