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2014年10月30日(木)
進むも退くも… 消費税10%と自民党内の亀裂

ゲスト

山本幸三
自由民主党衆議院議員 「アベノミクスを成功させる会」会長
後藤茂之
自由民主党税制調査会幹事 衆議院議員
熊谷亮丸
大和総研執行役員チーフエコノミスト

再増税か 先送りか 両論に揺れる自民党
秋元キャスター
「まずは、先週『アベノミクスを成功させる会』の第1回目の勉強会が開かれました。基本的な方針としては、増税に慎重ということでよろしいのですか?」
山本議員
「消費税の増税に反対しているわけではありません。将来的には上げなければいけないと思っています。しかし、タイミングを誤ったら全てがダメになるということでありますので、タイミングをずらして、成長と財政再建が両立できるようにするのが1番いいということを言っているわけです」
秋元キャスター
「現在ではないということ?」
山本議員
「現在ではないということです」
反町キャスター
「出席議員の数は45名?」
山本議員
「本人が45名で、代理が37名。ですから、代理の方を入れれば80名を超えています」
反町キャスター
「これは、数的にいうとおっと思う数字ですけれど、山本さん的にいうと手応えは?」
山本議員
「十二分に手応えがあったと思いますね」
反町キャスター
「あと何回開いて、いつまでに提言をとりまとめるとかは?」
山本議員
「毎週1回やりまして、5回やります。11月の18日が最後と思っています」
反町キャスター
「11月18日というのは、前日の17日に、7-9月の速報値が出る」
山本議員
「それを踏まえて、そこまで勉強会を重ね、何らかの提言をまとめて、先送りの中身になると思いますけれども、11月中に安倍総理のもとに届けたいと思っています」
反町キャスター
「18日に方向性を出す。総理が結論を出すのは12月8日以降だと思うんですけれど」
山本議員
「8日かどうかは知りませんけれども、12月の初めになることですから」
反町キャスター
「それまでには持っていく?」
山本議員
「提言をお届けしたいと思っています」
後藤議員
「確かに私達も円安、株高、金利安で輸出関連の大手産業が相当に良くなっていると感じていますが、しかし、その効果が、地方に波及しているのかどうかということから言うと、地方の経済は厳しい。地方の中小企業も、地方で暮らしている、どちらかというと所得の少ない方達も厳しいという認識をもっているということは、我々も政治家として日々歩きながら、実感をしてはいます。ただ、問題はなかなかデフレマインドが、直ってこないというのは、1人あたり、たとえば、実質所得がなかなか上がってきていないというようなことで、影響があるとは思いますが、しかし、基本的には、社会保障の財源に大きな穴が開いていて、将来の若い世代にそのツケをまわしながら、社会保障をそのままやり続けるという体制をいつまでも続けているのはまずいのではないかと思っているわけです。これは単なる財政論だけではありません。日本が約束通りのきちんとした財政構造改革をするのかどうかということは、これは市場も見ていると思います。その市場の織り込んでいる予想にある程度、きちんとした責任のある政策で応えるということが、円安、株高、金利安という、現在のアベノミクスを支えている前提条件を守ることになるだろうと思っているので、そういう意味では、経済対策にしてもなかなかこういう局面で増税ということについては、国民の皆さんによく説明をして、ご理解を賜らなければならないことだと思いますけれど、ここは踏ん張るところでもあると思う。また、第2四半期の数字が11月に出ますから、そういうことも見ながら、責任ある決断をしていかなければいけないと思っています」

アベノミクスの成果と課題
山本議員
「アベノミクス自体はうまく動いていました」
反町キャスター
「過去形ですか?」
山本議員
「過去形ですね。それが4月の消費税増税で一気に冷水を浴びせられて、失速しつつあります。もともとアベノミクスと消費税増税というのは相反する政策で、一方はアクセルをガーッと踏む政策ですから。物価の安定と完全雇用を達成するという政策ですけれども、増税はそれにブレーキをかける政策ですから、通常、相容れないわけですね。アベノミクスの前に増税が決まっていたので、そこの調整をどうするかということで、皆は頭を悩ませて、アベノミクスをやりだした時に、アベノミクスは本当にうまくいって、どんどんいけば、私はその時に円安が回復するから、それでアベノミクスが消費税増税の悪影響を相殺できるだろうと思ったわけです」
反町キャスター
「消費税引き上げも織り込んだうえで円安による輸出ドライブでうまくいくだろうと」
山本議員
「うまくいくだろうと。ところが、これが完全な大誤算でしたね」
反町キャスター
「その資料で製造業の生産能力指数なのですが」
山本議員
「まさに、製造業が円高の時代にどんどん海外に出て行ってしまって、日本の製造業の生産能力指数が落ちてしまった」
反町キャスター
「ここに来てグーッと落ちて来てしまっています。これはアベノミクスが始まったあとも円安がグーッと広がっていると普通、事前の予測では」
山本議員
「それは、簡単にはすぐには変わりませんから」
反町キャスター
「円安になれば、もしかしたら、製造業ががんばって、元気になって伸びるのではないかという想定があった」
山本議員
「あったんです。ところが、そうならなかった。そうなると、私の議論の前提が崩れてしまっていて、消費税の増税はマイナスの影響しかないということになります。消費税増税は人々の所得を、購買力を奪い取っていくわけですから、実質賃金がガラッと落ちました。これから、7-9月でガーッと戻るかと思っていたら、戻るどころか、消費はまだ落ち続けている。消費マインドも落ちている。それから、1997年の増税時のいろんな指標と比べると、全部悪い。良いのは株価と為替レートと雇用ぐらいですね。あとは全部悪い。そういう点から考えると、私は7-9月の数字がいくらになるかと読んでいるんですけれども、7-9月の数字が3.8を超えない限りは、1-6月の平均の成長率より、マイナスになるんですね」
反町キャスター
「右肩上がりにならないということですね」
山本議員
「ならない。だから、マイナス成長というのが、おそらく3を切るのではないかという話も出ていますから、マイナス成長というのははっきりしてくるんじゃないかと。そうすると、今年度、2014年度の成長率は、私は実質0%成長になると」
秋元キャスター
「再増税そのものに反対なわけではなく、現在ではないとおっしゃっていたのですが、仮に延期した場合は、増税のタイミングはいつ頃がいいと考えますか?」
山本議員
「私は、1年半延ばして2017年4月からということがいいのではないかと思います。その理由は、最大の問題は実質賃金が下がっている。つまり、消費増税と円安等による物価の上昇に賃金が追いついていないわけですから、従って、実質賃金はマイナスになったので、皆さん財布の紐を締めだし消費が落ちだした。特に地方と低所得者。従って、これを前提として、実質賃金が次の所費税を引き上げても、プラスになると…」
反町キャスター
「でも、現在実質賃金がずっと下がり続けてきていますよね。たとえば、1年半消費税を先送りすることでプラスに転じてくるだろうという前提ですか?」
山本議員
「そういうことですね。それぐらいの見込みを私は持っているわけであります。ここで変に経済全体を失速させるということをしなければ、それが効いてきて、名目賃金も上がって、実質賃金がプラスの領域に入ってくる。次の消費税を上げても大丈夫というようになるのではないかと思っています」
反町キャスター
「実質賃金の1つの要素として、インフレ、物価上昇率との兼ね合いがあるじゃないですか。現在このまま人手不足の中で賃金が上がっていくのは、あるにしても、それがこの物価上昇率と相殺してプラスにまで上がっていく。つまり、物価の上昇率と、これより少し低下していくのではないか、そういう意味で言っていますか?」
山本議員
「物価は、今年は消費税の3%が乗っているわけですから、それが来年以降は、その分がなくなりますから。そうすると、名目賃金が上がっていってくれば、追いついてくるわけです。実質賃金がプラスの領域に入って、次の2%を上げてもプラスになるというところまで来るのを、そこまで待たないといけない」
反町キャスター
「1年半待てば、実質賃金も上昇して2%の消費税増税に耐え得るだけの素地ができる?」
山本議員
「そうです」
熊谷氏
「現在、先送りをする考え方として、実質賃金が低迷をしているから、これは上がるまで待たないといけないと。こういう考え方があるわけですね。ただ、1つは、今回の増税の部分というのは、基本的には社会保障に全額充当されるわけですよね。ですから、決して国が全部召し上げているわけではなくて、その分は個人の懐というか、支援する形になっているということが1点目。もう1つ、私は実質賃金が上がるタイミングというのは、山本先生がおっしゃっているのよりももうちょっとはやいのではないかと思っているんですね。なぜかというと現在増税によって、物価が2%上がっている。ところが、この2%の物価上昇というのは一過性のものですね。来年の4月になれば、前年比で計算をすれば、ここの部分は1回ゼロになってリセットされると。ですから、私どもの見方としては今年度の実質の雇用者報酬、これは1人あたりの賃金に雇用者の数をかけたものですが、これは1.5%減りますけれども、来年度はこの2%分がリセットされる。つまり、物価が下がることで実質の雇用者報酬などが2%ぐらい上がってくるわけですね。ですから、この結果、来年度はむしろ0.4%ぐらい所得が実質で上がるんじゃないか。これがもう1つあります。それから、もう1つ、1年半先送りをした時に何が起きるかというと財政と金融の同時引き締めが起きるのではないかという懸念がある。これはどういうことかと言えば、2017年の4月に増税をするということは、タイミングによっては、日銀が2%の物価を達成すれば、その後、出口戦略がいつになるかという議論はありますが、これまでのような大胆な金融緩和はしなくなるわけですね。その意味では、現在増税をすれば、たとえば、黒田総裁は、もし増税で景気が悪くなればいくらでも金融緩和はするという主旨のことをおっしゃっている。ですから、増税して財政で引き締めても、金融は現在では緩和です。ところが、1年半先送りすると財政と金融が同時に引き締められる可能性がある。これらの点を考えると、実質賃金の問題は、私はそれほど重視する必要はないのではないかという考え方です」
山本議員
「その議論は、私は間違っていると思って、要するに、もし増税をしなければ所得は伸びていくだろうと、所得と支出が伸びていくだろうというラインがあるんですね。これは時間の経過とともにだんだん上がっていきます。それに対し、増税をして駆け込みと反動が出るのですが、プラス実質所得がマイナスという影響が出てくる。これは、実質賃金が下がった時の影響なのですが、これは永遠にしない場合に対して、そのまま続くんです。だから、リセットすることはありません。それが1つ」
反町キャスター
「金融引き締めと増税のダブルショックになるのではないのかという、このスケジュール感はいかがですか?」
山本議員
「いや、まさに、そこまで来れば、ありがたい話でね。と言うことは、まさに、金融緩和で2%の物価が安定できて、将来がむしろ、逆に、インフレが怖いみたいな、話になりそうだったら当然そういう政策は出るでしょう。その時、経済はもう活き活きとして元気になっているはずです。私達は、デフレから脱却できるかどうかという瀬戸際にある。まさに、非常事態です。その時にそれを潰すようなことを、もしやったら、アベノミクスの前のデフレに逆戻りするわけです」
反町キャスター
「物価下落がもう始まっているという話もあるんですよ」
山本議員
「日銀の物価を見ていると下がっています。それはどうしてかというと、所得の低い人達が安いものしか買えないという形で動いているので、日常買うやつがどんどん下がっているんです。だから、デフレに逆戻りするという最大のリスクがある時に、ただちゃんとすることをやらないといけないかという、道義的な、心情、倫理的な話でやってはいけないと思うので、私は7-9月の数字がどれぐらいになると見ているのか、あるいは今年度の成長率はどうなると見ているのか。来年度の成長率はどうなっていると見ているのかという、客観的な、事象的な議論をきちんとしないと、日本をデフレに逆戻りさせて、アベノミクスを失敗させることですから。これは絶対避けなければいけないと思います」
後藤議員
「これ(賃金)、たとえば、4月の数字が名目、実質賃金が下がったあと、そのあと下がっているというような形でもあります。これは非常に錯覚が起きるような場面であると思います。と言うのは、昨年までボーナスがあまり出ていなかった、今年ボーナスが相当出たということで、4月の数字は前年同月比では非常に高くなっています。しかし、そういう要因がなくなっているので、翌月には名目賃金、前年同月比…」
反町キャスター
「この延長線上ぐらいのイメージで見ると上がっているよと」
後藤議員
「どちらかというとトレンドラインとして上がっていると見るべきで、直近で、すごく下がったと考えるのは、前年同月比の捉え方で、ちょっと錯覚になるのではないかなと」
山本議員
「もちろん、上がっていると見ているわけだけれども、それがそんなはやくに、簡単にはいきませんよ。と言うのは、今年度の成長率はゼロ成長になりそうだし、来年度はゼロかマイナスになりそうだと危機感を持っているわけでね」

社会保障の充実と安定
秋元キャスター
「基本的に、消費税は社会保障の財源として、年金の国庫負担分などに充てられているんですけれども、政府は増税によって増えた税収は新たな充実策に使うという政策を明らかにしているんですね。待機児童解消など子供、子育て支援。低所得者が多く加入している国民健康保険の財政支援。低所得高齢者の介護保険料の軽減などとなるんですけれども、これからの予算規模は、今年は0.5兆円ですが、来年10月に消費税率10%へと引き上げ、予算に織り込める2017年度には2.8兆円と試算されています。山本さんに聞きたいのですが、もし仮に10%増税の時期を遅らせた場合はこのような社会保障の政策も何らかの見直しが必要になるということになりますか?」
山本議員
「いや、財務省は、そういう仕掛けをして、どうしても消費税率を上げないといけないというロジックに使っているのですが、大事なことはその政策が、本当に必要な政策なのかどうかというのが根本的に大事であって、本当に必要な政策だったら、消費税でなくたって、他のところから財源を持ってきてやらなければいけないですね。そういう意味で、その政策が必要かどうかをしっかり議論すればいいと。もし必要だったら…」
秋元キャスター
「本当に必要ではないのですか?」
山本議員
「だから、必要ということもあるでしょうし、消費税という財源がなければ、どこからか持ってくるという議論をしなければなりません。その時に、消費税を上げたら、財源がそのまま出ますと言っていますが、今度、景気が悪くなって、法人税とか、税収が落ちて、1997年の時みたいに、逆に税収が減るということがおおいにあり得るわけですよ。その時こんな議論をしたって意味がないのではないかと。もし必要であれば、たとえば、今年の剰余金とかを利用してもいいし、あるいは場合によって、それは赤字国債を出してやらなければいけないということも出てくるかもしれない。だから、そういうのは消費税のところでやって、他の税収は変わりませんよという議論をしたって、何も意味もないと思いますね」
反町キャスター
「3党合意というのがありましたね、自公民の。自公民の3党合意の成り立ちから全部見直すことにはならないですか?使い道まで合意したうえでの3%と2%の5%引き上げというのが自公民の3党合意だったと思うんですけれども、国会において消費税の議論をした時に、民主党が中の内輪もめも含めて、はっきり言うと反対の議論を立ててこないのは3党合意が彼らの手かせ、足かせになっているからですよね。いかがですか?」
後藤議員
「用途は皆決まっています。ですから、たとえば、充実には2兆8000億円ですが、待機児童解消ということで平成29年度末までに40万人分の保育所の受け皿をつくるだとか。それから、国民健康保険の財源とか、そこにも出ていますし。また、低所得者への年金加算で800万人の方に年間6万円の福祉給付金をお支払いしようと。そういう財源も皆その中にセットされています。ですから、そういう意味では、我々は増えていく社会保障の財源をきちんと国民に安心していただけるように、調達する必要があるという意味で3党合意、与野党が一緒になって、政争の駆け引きにしないで、税と社会保障の問題を一体としてきちんとしようと。社会保障を充実させたり、財源をしっかりさせたりしていく。たとえば、基礎年金の国庫負担を2分の1に上げる財源も3兆2000億円必要です。打ち出の小槌で出すわけにはいかないので、この3兆2000億円分も増税分から出ます。それと、待機児童解消、子供、子育てと書いてありますが、これは従来高齢者に偏りがちだった社会保障の支出を少子化対策、いわゆる全世代に向けて社会保障を充実させていこうと。いろんな意味で社会保障制度改革と財源の問題をセットにしてやってきていると」

景気回復と腰折れリスク
反町キャスター
「社会保障の充実のためだからという話で、ずっと議論を進めていくと、たぶん反対しにくくなるんですけれども、ただ現在みたいな景気の減速になるのかという話とか、ないしはもともと消費税の引き上げというのは社会保障充実目的と言いながらも、要するに、国の収入が足りないから、そういうことを理由に消費税で歳入を何とか増やしましょうという理屈に立っている。そうでなかったら1銭も借金ができるわけがないですから。その議論からいくと、消費税5%アップの14兆円のために、国の財政全体が大きく棄損していくのかどうか。その議論というのもやらないわけにいきませんよね」
後藤議員
「いや、それが、だから、経済の議論とかには関係があると思います。ただ、その社会保障を充実させようとか、そういう議論は財源と併せてやってきているわけですから。そういう意味では、そこは歳入と歳出を見あわせてやっていかないと、社会保障の持続的な制度を維持するためにどうしていくのか。高齢化が進む中で、少子化が進む中で、新しい対策をやる、責任ある政策をやっていく時に、どれだけ財源が必要かということをセットで議論をする話なので、よほどのブレーキがかかるような事態であれば、法律にも景気条項が入る。しかし、法律の中には引き上げると書いてあるわけで、景気条項で重大な事態が発生するような時にはもちろん、ストップするという検討の余地を残してあるということなので、この部分について言えば、社会保障と税の一体改革として1つ括って議論をしていることだろうと思います」
山本議員
「私は、まさに、重大な事態が起きているという認識を持っているから」
反町キャスター
「そうですよね。発動要件を満たしているという意味ですよね?」
山本議員
「だから、発動要件というのはちゃんと書いてあるわけで、実質2%の成長で、名目3%成長です、10年で平均して。それは到底達成できるような状態ではないでしょうと。そうであれば、いくら消費税を上げて、社会保障のところだけがちゃんとできましたと言ったって、他がガタガタに崩れるのですから、意味のない話だと私は思いますね」
反町キャスター
「ちなみに、先ほど、1年半先送りと言うことですけれど、1年半先送りした先にも、景気条項というのは付けておくのですか?」
山本議員
「そうです」
反町キャスター
「そうすると、景気が悪かったら、またさらに先送りするかもしれない?」
山本議員
「それはリーマンショックみたいなことが起こるかもしれませんからね」
反町キャスター
「先送りの歯止めはつけない方がいいか?そのぐらいのフェイルセーフ機能は当然の如く必要だと、こういうことになるわけですか?」
山本議員
「柔軟な機能はつけておいた方がいいと思いますが、まさにリーマンショックみたいなことが起こっていますが、そうでもない限りは必ずやるという覚悟を決めてやらなければいけない」
反町キャスター
「先送りの繰り返しというのが、マーケットからどういうジャッジを受けるのか。そこが心配になってくるのですが、どう見たらいいのでしょうか?」
熊谷氏
「今週、大手のメディアが市場関係者100人にアンケートをしているのですが、増税するべきだという意見が78%ですね。対象は市場の、たとえば、エコノミストを運用している人とか、市場関係者になります。彼らのアンケート結果によれば、増税を先送りすれば、株は若干安くなるし、金利も上がるという結果が出ているんですね。私が申し上げたいのは、これからの日本の構造変化を踏まえたうえで、先送りした時のリスクを認識する必要があるのではないか。確かに金利が低いから大丈夫だという議論があるわけですが、たとえば、ギリシャなどでも危機の直前までは金利が低かったわけですし、皆大丈夫だと思っていたんです。信用だとか、信頼というのは一瞬にして崩れるわけですし、これが崩れてしまえば、逆心的な形で所得が低い人達に対して厳しい対策が打たれてくると。構造変化を踏まえたうえでやっていく必要がある。もう1つ申し上げたいのは、もし増税をして景気が悪くなっても、その時は小雨の状況だと、いざとなれば財政政策も打てる。要するに、打てる手段が残っている。他方でもし先送りして、可能性は極端に高いものではありませんが、国債が大きく崩れてしまった時には、その時に日本には、全く打つべき手段が残されていないということが最大のポイントである。ですから、その意味で、世界3位の経済大国が蓋然性は極端に高くはないにせよ、そういう危ないギャンブルのような橋を渡っていいのかどうか。私はそう考えています」

どう回避? 日本の国債リスク
後藤議員
「これは、日銀総裁もおっしゃっているところでありますが、消費税を上げたことによって、たとえば、景気後退というリスクについてであれば、それは財政や金融の出動によって対応の手立てもある。しかし、そういうことはないと信じているがと、もちろん、おっしゃっていますが、上げなかったことによって国債の信任が落ちて長期金利が上がるようなことがもしあったとすれば、それに対して対応する手立てはないということもおっしゃっているわけです。私は、債務残高がGDP比で倍を超える中できっちりとした財政構造改革、世界に約束している公約を果たすことが、現在のアベノミクスを支えている金利安や、あるいは株高、円安をきちんと担保しているわけでもありますし、また、国際政策協調から言っても、ヨーロッパ各国は、それなりに日本の円安について正直言って、競争国としては言いたいこともある。しかし、それは全体としてそういう政策パッケージの中で、それを認めているということなので、日銀が異次元の金融緩和をする前提に財政規律を政府との政策協定で決めていることを前提として、これだけの異次元の金融緩和をやることも含めて、長期金利が上がっていくリスクというのは本当に起きるか、起きないかは別として、非常に大きなリスクで、これは経済の観点から見ても無視し得ないことだと思います」
反町キャスター
「いかがですか?」
山本議員
「まったく心配ない」
反町キャスター
「なぜ心配ないのか?」
山本議員
「まず財政と金融で打つ手があると言っていますが、それをやって4月に消費税を上げても大丈夫だと言っていたのでしょう。ところが、景気の現状として、そうではないということがはっきりわかったわけです。つまり、財政の公共投資は効かない。あるいは金融政策の効果も弱まっています。これは消費税の増税によって。だから、そういう政策を同時にすれば、消費税増税は乗り切れると言っていたことが、できなかったということがはっきりしたのだから、次はうまくいきますというのはあり得ません。もし国債が売られるということになれば、これは日銀が買えばいいんです。日銀は金融システムを安定させるというのが、日銀法の第一条の目的にちゃんとあるのですから。何か異常なことが起こった時に、最後の貸し手で動けるのは日銀ですよ。ギリシャにはそういう中央銀行はなかった。だから、ギリシャは大変なことになった。日本には日銀というのがある。それから、もう1つ言いますが、現在、日本の財政はすごく健全化しているということを皆、知らないんだけれど。それは日銀がどんどん国債を買って、235兆円買っていますよ。1000兆円のうち235兆円は日銀の懐にある。いったん日銀の懐に入ったら、財政当局は負担の必要はない。日銀に金利を払ったって、元金を払ったって、日銀に戻ってくるのだから。だから、日銀が持った途端に日本の財政負担はなくなっているということを理解しないとダメです」
熊谷氏
「国債が暴落しても日銀が買えば大丈夫だというお話ですが、黒田総裁が折に触れておっしゃっているのが、自分達の金融政策を効かせ続けるために予定通り増税をした方がいいのではないか、ご自身がおっしゃっているのを重く受け止めるべきだと思いますね。マネタリゼーションという言葉があって国の債務を中央銀行がやってしまうと、これは諸外国から見れば蛸足配当というようなものですね。要するに、日銀が国債をどんどん買って、国債は崩れないのだけれど、実は日銀の持ち主は国である。そこが見透かされてしまうと、黒田総裁が懸念しているのは、金融緩和をやればやるほど、国債を買えば買うほど、結果的に国債が売られてしまう。こういう金融政策が効かなくなることを懸念している。もう1つ、ギリシャと違って中央銀行がある、円建てだから大丈夫だという議論がありますが、これも諸外国で調べてみると、自国通貨建てで出したとしても、悪性のインフレが起きたりしている。ほぼデフォルトに近い、債務不履行に近いところにまで売り込まれるケース。こういうケースが1979年以降、21例ぐらいあるんですね。そのあたりを考える必要がある。もう1つは、今回2%先送りしたとしても、これは2%分だけを先送りする話ではなく、いずれ1年半後にまた延ばすのではないかという懸念。現在なぜ格付を保てているかと言えば、担税能力。将来的にはまだ十数パーセントぐらい消費税を上げることができるだろうと、ここが日本の国債の格付の最後の砦ですね。ですから、2%がダメになるだけではなくて、その先の数十パーセントもダメであると思われてしまう可能性がある」
秋元キャスター
「実質GDPの見通しについてはいかがですか?」
山本議員
「下ぶれすると思います。この時の前提は消費が少し回復してくるという前提だったのですが、8月も9月も消費は減っています。マインドも落ち込んでいます。回復がそう簡単には見込めないというのが、私が非常に心配していることですね。しかも、7~9月の3.66というのは1~6月の平均に対してはマイナスですよ。3.87以上ないとダメです。つまり、7~9月はマイナス成長になったということになります。マイナス成長から少し上がったと言っても、そう簡単ではないというので私は0になるだろうという感じで、過去の1997年の例を見て、試算のやり方があるんですけれど、0%か、あるいは実質的にマイナス成長になる。これは極めて危険な状況。それに消費税が追い打ちをすればマインドをまた悪くして、デフレに逆戻りすると思っています」

景気回復と財政健全化 アベノミクスと消費増税の行方
反町キャスター
「財政再建に向けたラストチャンスだと山本さんも後藤さんも同じ考えですよね。ただ、言っている方策がまったく違うように見えるのですが」
山本議員
「財政再建は当然大事です。財政再建というのは、経済の名目成長率が順調に伸びない限り何をやってもできません。だから、まず名目成長率を巡航速度に3%にもっていくという政策がなければ消費税にしろ、他の税金にしろ、上げても財政再建できません。それがきちんとしないと議論の出発点にならないと思いますね」
後藤議員
「現在の債務の状況等を考えてみた時に、このまま日本が、長期金利が上がり、債務のGDP比に対する大きな赤字の状況を放置していくということは、そういう意味では長期金利の上昇という形で将来の日本にとって足かせになると思いますし、現在がラストチャンスだということもいろんな意味の中で…たとえば、日本の企業が将来の日本の国内での生産、すなわち新しい開発投資を守れるようなラインを日本の工場の中に残せるのかなと。つまり、日本の国の中に残せるか。そういうギリギリのところのラストチャンスということでもあると思います。一方で、地域経済や地域のことを考えてみると現在、安倍内閣は、まち・ひと・しごとの地域創生に必死になって取り組んでいるわけですが、その意味においても、たとえば、長期ビジョンで50年後の地方をどうするのか。たとえば、地域経済改革で5年後の姿をどうするのか。それから、足下の経済対策をどうするのか。おそらく消費税の議論があろうがなかろうが経済対策は必要だと思います。それは単なるバラまき政策をやるということではなくて、本当にターゲットにきちんと当たるような政策を我々が知恵を出して、それは山本さんと皆で知恵を出して、そういうことをやっていく必要があるし、そういう意味では、現在の日本の状況は非常に重大な時で、最後、最後と言って脅すのがいいのかどうかは知りませんよ。しかし、そのぐらい危機だという認識を持って…」
反町キャスター
「ラストチャンスと言いながら、方策は2つある。どう見たらいいですか?」
熊谷氏
「私は、消費税の増税と金融緩和というのは、アクセルとブレーキという位置づけではないと思うんですよね。もともとのところで安倍総理はそれを両立させるということを、所信表明演説でおっしゃっていたわけですし、むしろ財政の問題は、車自体が壊れているわけですね。その時に、アクセルを踏むとおかしくなってしまうわけですから、車をちゃんとなおしながら、増税をしながら、金融緩和でアクセルを踏む。これがポイントだと思いますよね」

山本幸三 自由民主党衆議院議員の提言:『急がば回れ!』
山本議員
「経済成長と財政再建は両立させなければいけません。アベノミクスと消費税増税。そのためには、タイミングをうまく調節することができなければ、失敗してしまいます。あまりに増税を急ぐことによって、人々のマインドを悪くして、皆が消費をしなくなってしまえば、どんなに将来税率を上げたって税収はとれなくなるわけですから。これは1997年の時に経験していますから。そのことをもう1度勉強し直す。ただ、タイミングを1年半遅らせることによって実質所得がちゃんとそれに耐えられるように上がってくるということになれば、両方が1番うまくいくと思いますので、急いてはことを仕損じる、急がば回れ、ということだと思います」

後藤茂之 自由民主党税制調査会幹事の提言:『責任ある国のかたちを示す。』
後藤議員
「社会保障制度を持続可能なものにし、後代にツケをまわさないようしっかりと財政を再建することも安倍政権の重大な政策課題。それも3党合意から引き継いでいる政策課題だと思いますし、また国の中でどう雇用をつくり、皆が元気に暮せるようにするのか。地方の地域が非常に厳しい中で、どうやって地方創生、まち・ひと・しごとで地方を将来のビジョンとしても、中長期的な展望としても、足下でどうやって元気を出してもらうか。そういう構造的な政策を、責任を持って前向きに打ち出していくことが必要だと思います」

熊谷亮丸 大和総研執行役員チーフエコノミストの提言:『三位一体~成長、増税、歳出カット』
熊谷氏
「成長と歳出カットと増税をバランスよくやっていくことが必要になってくる。これまで日本は、増税の前にやることがあると言って、どんどん議論がグルグルまわってしまって、実質的な先送りを繰り返してきた。ただ、現在の日本は成長だけで財政再建ができるほど甘い状況ではなくて、たとえば、内閣府が中期の試算を出していますが、名目で3%成長したとしても、2020年の段階でまず11.9兆円の赤字が残ってくる。長い目で50年、60年先を見れば、その時は成長率が上がっても、それはあまり影響がなくて、むしろ金利が上がってしまうことの方が、国の債務が積み上がっているわけですから、影響が大きいわけですね。ですから、そのあたりを考え、現在の選択としてはある程度の経済対策を打って、景気に万全を期したうえで予定通り増税はやるべきであると考えています」