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2014年10月21日(火)
政府調査団を現地派遣 北朝鮮当局者が語る裏

ゲスト

松原仁
元拉致問題担当大臣 民主党衆議院議員
小此木政夫
慶応義塾大学名誉教授
平井久志
立命館大学客員教授

“北”宋日昊大使が語る 拉致再調査と安倍政権
反町キャスター
「ストックホルム合意というのは、今回の日朝協議のスタートラインとなったものですけれども、5月29日に取りまとめられた前後から『山谷拉致問題担当大臣を除き、菅官房長官や岸田外務大臣などの我が国への対応は、孤立しろ、制裁せよなどの表現がほとんどなくなり以前とは異なってきていると感じている』と。『制裁解除はもっとはやい段階でやってもらわないと』いう希望も述べています。また『日本政府が動けないような世論が形成されている』と。そうした流れにおいて『日本政府も困っているのでは』と宋大使は述べています」
小此木教授
「ストックホルム合意というのは、日朝の平壌宣言の精神を引き継いでいるんだと。その原則に沿ってできた合意だから、それに沿って一生懸命に、日本政府は交渉しようとしているんだから、我々もそれに応じているんです。ということで、それに横槍を入れる人達がけしからんと。こういうことなのではないですか」
反町キャスター
「なるほど、新たな世論の形成やら、拉致問題担当大臣がいろいろ言うものだから、逆風が吹きつつあることが心配なんだよという主旨の発言ですか?」
小此木教授
「そうでしょうね。ちょっと苛立ちを感じている。つまり、自分達は、日本側とそういうことで、誠意を持って交渉、努力をしようとしていると。だけれども、その調査の結果が出る以前からいろいろ横槍が入ってくる。だから、日本の中には2つの流れがあるんだという。宋さんが批判していない安倍さんや菅さんと交渉をしようと思っています。こういう二分法でしょうね、きっと」
反町キャスター
「山谷さんにしても、安倍さんが指名した閣僚ですし、北朝鮮に宋日昊さんが言うところにおける北朝鮮に対して不必要に厳しいことを投げつける集団といっても、それは安倍さんがこれまでに言われていること、ないしは現在言われていることから見ると、それほどかけ離れたものはないようにも見えるのですが、そこに敢えて、小此木さんが言われたように二分法、無理やりそれに割れ目を入れようとしているように見えて、ちょっと違和感がある、宋日昊さんの日本分析はどう感じますか?」
平井教授
「むしろ安倍政権の主軸にある人達の姿勢がストックホルム合意以降変わったんだと。もともと山谷さんと同じ様なことを言っていたのにストックホルム合意によって、彼らの姿勢が変わったんだと。それを我々は評価し、やろうとしているんだという姿勢だと思いますね」
松原議員
「宋日昊氏の発言というのは、それは、そうですかという部分であって、彼の発言というのに重みがあると言う議論に、私はならないと思っています。彼が、たとえば、拉致の問題に関して一定の時間がかかるということを言いながら、国連において、その後の打ち解けた会では全く違うことを言っているという話があって、外務省に聞くと、こういう発言をしている人の議論を信用できるのかということ。それは非公式な発言ですからみたいな、そういった意味ではまさに宋日昊氏の発言で、この局面を検討すること自体が極めて意味がないことだと思っています。だから、彼は彼の立場で言っているのでしょうけれども、しかし、我々は、それは宋日昊がそう言っているというレベルであって、それ以上のものではないということですね」
反町キャスター
「彼の発言は、北朝鮮の平壌の意向を体現していないのですか?」
松原議員
「おそらく平壌の意向を体現していないということはなくて、それはそれなりに彼らは、そう仕向けたいというのが事実だと思います」

拉致再調査 日本の報道
反町キャスター
「宋日昊大使の発言をまとめるとこうなります。他国はストックホルム合意を評価しているけれども、日本では拉致問題に集中して騒いでいる。日本経済新聞の、23人の拉致被害者名簿を北朝鮮が、日本側の代表団に渡したとの報道は事実無根である。行方不明や拉致被害とされる人が約600人いるとの報道もある。そういう報道が出ると、確認作業で時間を浪費する。一方的な報道は合意に反するのではないかというのが宋日昊大使の発言だったんですけれども、日本の騒ぎ方に対する物言いをどう感じますか?」
松原議員
「北朝鮮ではマスコミというのがわからないんです。私も北朝鮮関係者と接触した時に、仮に拉致被害者がさらに戻ってきた時に、松原大臣はマスコミとの接触を遮断できるかと真顔で聞いてくるわけですよ。つまり、マスコミというのが日本のように自由に報道し、自由にやるということはわからないので、マスコミは当然政府に対してイエスマンであるべきだと、彼らはそういう認識ですよ。従って、そういう認識の中で彼ら政府に対してマスコミに影響力を使えと言っているのかどうかはわかりませんが、そんな認識も含めての発言だろうと思っています。いずれにしてもここでストックホルム合意というのはありますが、これこそが今回、安倍政権下における拉致問題が十分にというか、一定の解決と私は概念的に言いましたが、そこにいかなくなる可能性を秘めた、本当に大きな日本側のミスリードであったと思いますよ」

ストックホルム合意と拉致再調査
秋元キャスター
「ストックホルム合意ですが、この合意で、北朝鮮側は第1に、1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を、包括的かつ全面的に実施するとしています。そして第5に、拉致問題については、拉致被害者及び行方不明者に対する調査の状況を日本側に随時通報し、調査の過程において日本人の生存者が発見される場合には、その状況を日本側に伝え、帰国させる方向で去就の問題に関して協議し、必要な措置を講ずるとなっています。平井さんは、先ほどの宋日昊大使は会談の中でこの一方的な報道は合意の精神にあわないと言っていましたけれども、ストックホルム合意のどの部分が反すると言っているのでしょうか?」
平井教授
「その明確な、条項に反するという意味ではないと思いますね。だから、この合意に基づいて日朝協議をやろうとしているのに、こういう報道が出ることは、そういうストックホルムで合意した精神に反することだと。そういう概論的な話だと思いますね」
反町キャスター
「ただ、今回のストックホルム合意というのは、日本側の文書と北朝鮮側の文書の2つに分かれている体裁になっていませんか?」
平井教授
「ええ、ですから、日本側が履行しなければいけない7項目。それと北朝鮮側が履行しなければいけない7項目。その前に前文があるという、そういう構成ですよね」
反町キャスター
「北朝鮮側のところには全ての分野において同時並行的に行うと書いてありますよね。その全ての分野において、同時並行的に行うという現在のストックホルム合意にある、遺骨、残留日本人、日本人妻、拉致問題という4つの問題を、同時並行的に進めるというのが北朝鮮側のアジェンダというか、ルールになっているわけではないですか。その考え方においては、拉致だけを突出して解決しようという日本側の想いと、突出というか、先行ですか、拉致をまず解決させたいという日本側の思い、北朝鮮側がやるぞと約束したストックホルム合意の中の、北朝鮮側のやる手順。既にスタート段階からして食い違いがあると思うんですけれども、この文書のこの部分をどう受け止めたらいいですか?」
平井教授
「ですから、日本側が履行することと、北朝鮮側が履行すること、トータルとしてストックホルム合意というものが存在しますから、そこの北朝鮮側に書かれている文案も一応、日本政府が承認した格好になっているんですね。ですから、1つの問題を拉致とは言っていませんけれども、特定の問題を優先させずに、同時並行的に行うという言い方をしているわけですね」
反町キャスター
「日本政府はここの部分で、同時並行ということを認めたということというか、容認した、敢えて、容認したと言わせてもらいますけれども、これは外交的に、失敗なのかどうか。ここはどう感じますか?」
平井教授
「僕は必ずしもそうではなくて、たとえば、戦後ずっと残っている残留日本人の方とか、日本人妻の方とか、そういう人達が日本に帰りたいと。これも大変深刻な人道問題なわけですよね。ですから、その問題を解決しなければいけないということを忘れてはいけないということだと思うんです。ただ、北朝鮮の思惑としては、4つの問題を併記することによって拉致問題の比重を下げようという、そういう思惑があると思うんです。ですけど、1年という一応、調査期間を設定しているわけですから、最後の部分においては、とにかく拉致問題には着手せざるを得ないわけですよね。だから、極端な言い方をすれば、人道的で、あまり双方に見解の違いのないものは、はやく片づけてしまって、はやく日本が要求する。『あなた達はこれとこれをやったのに、これはやっていないではないですか』というアプローチもあり得るのではないかなという気がするんですね」
小此木教授
「同時並行的にやるというのは日本側の要請でもあったのではないかという気がします。だって、拉致問題で置いていかれたら困るという意味で、だから、ちゃんと、他をやる時は一緒にやってくださいよという意味合いも含まれていると思いますよ」
松原議員
「小此木先生と平井先生が、拉致問題の解決と遺骨問題を同列に、お話になること自体が極めて遺憾だと思うんですね。それは、遺骨問題は遺骨ビジネスとも言われていまして、アメリカ軍の兵隊を北朝鮮が引き渡す時に1体100万円という金額で渡したのは、皆さん、承知しているわけで、そういった金額を、北朝鮮側が日本に、たとえば、1000体で、1体200万円だといくらぐらいになるんだろう、大変な額を、日本にお金を要求してくる。そういったですね、ビジネスチャンスを北朝鮮に与えることになることはわかっているわけですよ。だから、昨日の拉致対策の、与野党の協議でも遺骨ビジネスはやらないでくださいと総理に対して敢えて発言する者がいて、そういうことは想定していなかったという話でしたが、北朝鮮は想定していることですよ。遺骨ビジネスってものすごい金額が、これで北朝鮮に入ると。そういう北朝鮮にメリットのある議論がこの順番も順番ですよ。先に遺骨があるんですよ。遺骨、墓地、日本人配偶者とくるんですね。拉致が最後ですよ。ところが、時間的に日本も無理やり誘拐されたというのは拉致ですから、これを仕事でやるのは当たり前だし、しかも、今回は、拉致問題の基本的な交渉でやっている話ですから、拉致問題の解決なくして日朝平壌宣言履行なしと、小泉さんも言っているわけですから、その意味では、私は、このストックホルム合意がつくられたのを見て、やられたなと。これは完全に北朝鮮側は祝杯を上げている。そういう内容だと思うんです」
反町キャスター
「政治論として、たとえば、平井さんや小此木さんが言われたみたいに、4つのテーマを同時並行的に進めるという日朝合意に基づきやりましょうというスキームだけを守っておけば、遺骨が片づきました、残留日本人が片づきました、日本人妻が片づいたという時に、拉致が残っているではないか。これをやれよと、そのように北朝鮮に求める。それで日本の国内世論としても、そう説明をしていくという、これは政治論としては成り立たないですか?」
松原議員
「成り立たない。なぜなら遺骨の問題、日本人妻の問題はすごく時間がかかりますよ。大変に時間がかかる。それで、彼らは遺骨の問題で、1体200万にするのか100万円にするのかの交渉に始まって、ずっと引っ張っていくことができるわけです。ここにもあった、あそこにもあったと。それは終わらないです。一方、横田ご夫妻を含む、拉致被害者家族と安倍さんが言うように、拉致被害者家族と拉致被害者が抱き合うところまでいかなければ、拉致問題の解決ではない。私はその通りだと思う。私も担当大臣の時そう思っていた。その立場から言ったら、こちらは1日を争う議論で、その意味において何年、時間がかかるかわからない、長大に時間がかかる。その遺骨の数は非常に多いですから、その部分で引っ張られてしまったら、これは皆生きているうちには会えないと。だから、当然、我々はそのことも含めてというか、そもそも拉致問題の解決が最優先であるというのは、当初から政府が言っていたわけですよ。我々がこの順番がおかしいではないのかというと、いや、拉致問題が最優先ですと。北朝鮮側は理解していないだろうと。私達は、そう思っていますと。思っているじゃダメだと」
反町キャスター
「ちょっと待ってください。小此木さん、現在の松原さんの話をどう感じますか?」
小此木教授
「それで交渉がまとまるのであれば、そうやったのではないですか」
反町キャスター
「北朝鮮がそれで乗ってこないから、こうなっているという意味ですか?」
小此木教授
「そうです」
反町キャスター
「北朝鮮を乗せるためには、この合意しかなかったという現実的なことからの話だという意味ですか?」
平井教授
「遺骨の問題はもちろん、全ての遺骨を返還するというのであれば、事案は変わるでしょうけれども、ここで言っているのは1年という枠を決めての話ですから、そのシステムのようなものを決めれば、それで一応の区切りとせざるを得ないです。1年という枠組みの中で現在やっていることですからね。それをむやみに何十年も伸ばすというのは、それは誰が考えたって、この合意の枠組みから外れちゃっていることですし、最大伸びて1年前後というところで、この問題を解決しようというのが、この合意だと思います」

平壌へ調査団派遣決定 家族会 拉致議連の反応は
秋元キャスター
「昨日、政府が政府担当者の平壌への派遣を決定する前に、政府与野党拉致問題対策機関連絡協議会が開かれ、松原さんが出席されています。菅官房長官は、様々な意見を聞いたとのことなのですが、松原さん、協議会はどんな様子だったのですか?」
松原議員
「平壌に行くことに対して、慎重という議論が多かったのは事実です。家族会の皆さんも一刻もはやく肉親に会いたいと。しかし、現在の空気感は極めて危険だと思うというようなニュアンスで、極めて平壌行きには慎重でした。安倍総理は、しかし、こうおっしゃった。とにかく向こうの、いわゆる国家保衛部ですか、そういった拉致を本当に認識し、わかっているキーマンですね。会えるとしたら、そこに行く価値はあって、情報をとってきたいと。私はその部分はそうだと思います。そこでお互いに、本気の話し合いをわかっている人間がするということは、これは問題解決の前提であって、そこは本当の議論をしてもらっていいと思うんですね」
反町キャスター
「会いに行くのにトップが(アジア大洋州局長の)伊原さん。外務省でいいのですか?それはバッジ(国会議員)なり、拉致担当大臣なり、そういう人達が行くべきではないのですか?」
松原議員
「私は、それを提言しました。ただ、あくまでも、それは情報をとるんだと。交渉ではなくて」
反町キャスター
「そこはおかしいですよね。情報をとるのと人を見るというのは、全然意味が違ってくるではないですか?」
松原議員
「私が言ったのは、いずれにしても、本来であれば、バッチ組が行って議論をするべきだと。行けば必ず交渉になるんじゃないかと思っています。それが遺骨の話とか、日本人妻の話で、厚生労働省が行って、そういう話になってしまっては、拉致の議論までおそらくなかなか及ばない。従って、私が前に言っているのは、たとえば、日米の農産物の交渉では農林水産省と外務省がやる。日米の自動車摩擦では経済産業省と外務省がやる。主体はむしろ外務省ではなくて、農林水産省であり、経済産業省であると。従って、拉致問題というのは外交交渉ではなく、はっきり言わせてもらうと、テロ国家から人質を取り戻す人質救出作戦であって、その知見やノウハウというものは警察にあるけれども、外務省にはないと。従って、農林水産省と外務省がやるのと同じように。これは警察庁が主体で、外務省も添えてもいいよと。これがこの問題の本質であって、だから、いわゆる人質を、無辜の日本人を連れて行った誘拐犯に対して外交交渉でという議論ではなく、それは人質解放交渉。テロ国家からの人質解放交渉でなければならないし、そこに関しては手練手管がわかっている、相手のそういうマインドもわかっている人間がやるべきであって、私は安倍総理に外務省の方にそれを任せるのは荷が重いのではないかということを言ったんです」
平井教授
「平壌へ行くべきかどうかという問題に関して言えば、現時点では、要するに、3か月ほど経っているのに何の情報もないわけですよ。どういう体制で、何をやって、どうしているかということすら、現在のところないわけですね。このまま動かなければ、この時間がもっと過ぎるのではないかという危惧が1つあるということですね。おっしゃったように、宋日昊さんは我々との懇談の中でも、調査の中身について質問をすると、それは特別調査委員会がやっていることで自分のあれではないということをおっしゃるわけで、特別調査委員会にダイレクトに聞く必要があるということはそうだと思いますね。それと、もう1点が、ストックホルム合意をダメだと言って無視をすれば別ですけれども、この中には北朝鮮側が履行しなければいけない第6項に日本の関係者による北朝鮮の滞在、関係者との面談、関係場所の訪問を実現させると書き込まれちゃっているんですよ。だから、北朝鮮側の関係者が日本に来ること、日本の関係者が北朝鮮に行くことをストックホルム合意で既に合意しちゃっているんですよ。だから、それを無視するというのはちょっと難しいのではないかなという気がしますよね」
松原議員
「大事なことは、ストックホルム合意の中で拉致というものをきちんと、それは官房長官も今回主張しているけれど、拉致がまず最優先であるということを明解にすることが必要だ思う」
反町キャスター
「この合意の中で最優先というのはどこにも出てこないですよ」
松原議員
「いや、だから、そこが問題ですよ」
反町キャスター
「それはできちゃったものはしようがないと思うんですけれど、小此木さんはどう感じますか?
小此木教授
「それは皆、(拉致問題を)最優先にしたいですよ、気持ちとしては」
反町キャスター
「日本側はね」
小此木教授
「日本側は。できなかったからそうなったんじゃないですか」
松原議員
「これは、私は前にもこの番組で言いましたが、安倍総理は万景峰号が新潟港に入る以前にカードは切っているんですよ。一番大きなカードは、それは率直に言って、朝鮮総連会館が1億円の供託金で競売を停止。これは日本は三権分立ですから、それは表においてですよ、安倍政権がそれをしたという証拠はどこにもないですよ。しかし、最高裁判所が1億円の供託で執行を停止するなんてことは前代未聞であって、これ自体すごい北朝鮮にとってのメリットですよ。北朝鮮に対して朝鮮総連会館の競売を停止していますという、この状況は、彼らが拉致問題に関して応分に応えるストーリーがある。昨日も、総理の発言の中にあったのは、12年前、ブッシュ(米大統領)さんの北朝鮮、悪の枢軸という圧力の中で北朝鮮は日本によってきたと。私がこの前、このテレビで言った同じことを安倍さんも言っていました。今回は張成沢氏の処刑によって北朝鮮は日本にアプローチせざるを得ない環境になっている。だから、基本的に北朝鮮は日本にアプローチをしたいわけで、しかも、ミサイルを撃ったあとの北朝鮮との、いわゆる自転車操業を2回、3月と6月にやってきて、そのうえで総連会館の競売を、マルナカが落札したのを停止するという、ここまでの譲歩をしている以上は、これを材料にして、競売停止を解除してもいいのですかと。私は昨日、言いました、そのことを。外務省は言えませんと。伊原さんは所管外ですから、だいたい言えないですよ、それは。しかし、それは政治家が言うべきだといった。政治家が行って、これはそういうことだぞと。競売停止を解除するぞと、現場に対して。それでもいいのかということを言うぐらいの迫力がなかったら交渉にならないと。外務省は、それは外務省にはかわいそうだと。所管外だから、発言できませんよ。警察ができるかどうかは別にして、それは、警察では誘拐犯から犯人を落とす時、あらゆる手練手管を使うでしょうから、私は、その意味において、この交渉に関しては、反町さんの言う通り政府が本来は行くべきですよ。百歩譲って、それは警察ですよ」
小此木教授
「警察に外交交渉ができますかね」
松原議員
「外交交渉ではないですよ」
小此木教授
「釈放交渉でしょう」
松原議員
「釈放交渉じゃない。人質解放ですね」
小此木教授
「人質解放交渉でしょう」
松原議員
「交渉って、相手がスマートな人間じゃない」
小此木教授
「警察を送り込んで、自衛隊でも、何でも送り込むしかないじゃないですか」
松原議員
「違います、それは。極端なことを言っちゃいけない」
小此木教授
「極端なことを言っているわけではないですよ」
松原議員
「警察の関係者を中心にして行って、交渉をするべきだと思って、それは人質解放のための交渉をするべきだということですよ」

平壌派遣 北朝鮮の思惑
反町キャスター
「日本側が平壌に来て挨拶でもするのが筋ではないかと、宋日昊大使は言っています。どう受け止めればいいのですか?」
小此木教授
「日本が挨拶さえしようとしないと言っているんですよ、彼は。ニュアンスとしてはね。言葉の問題というのはいろいろとあるんでしょうけれど。彼が言っていたのは、自分達は調査結果というのはいつでも出しますよと。日本側から要請があれば、その時点でのものを全て出しますということは繰り返し言っていましたよね。だから、最初の報告とか、中間報告とか、最終報告とか、そういうことではなく、日本側から出してくれと要請があれば、その時点でのものはいつでも出す用意はできていますと。だから、それがほしいのであれば一度平壌に来てくださいという意味ではないでしょうかね」
平井教授
「彼が強調していたのは、小此木先生がおっしゃるように、日本側から要求があれば、随時情報を提供するということと情報を共有するのだと。この2点です。だから、この部分を聞いた時に感じたのは、ストックホルム合意に則ってやりたいという意思表明ではないかと思いました。逆に、ここには載っていませんけれども、自分達が日本に行くケースもあり得るのだという発言もしていたんですね」

拉致再調査の期間
反町キャスター
「菅さんが(再調査期間は)1年と言ったので、あわせているという印象なのですが、その受け止めでよろしいですか?」
平井教授
「菅さんがそう発言していたのを報道で見たので、その線でいきましょうかというニュアンスですね。なぜ日本側から1年という発言が出たのかということ、そのことがなぜだろうと疑問をこの時に抱きましたけれどね」
松原議員
「現在すぐにでも彼らは拉致被害者を出せるわけです。全くもって1年という根拠はなくて、そのへんに関しての認識というのが、菅さんの中でどうあったのかということにもなってくるだろし、おそらく安倍さんはすぐに出せるはずだという認識を持っていたと思いますよ。これは本当に北朝鮮側も、私も担当大臣の10か月やりまして、かなり激しくアグレッシブに動きました。彼らは、基本的にはこの問題を解決したいという意識はありますけれども、彼らが拉致した人を北朝鮮に置いておく意味も、彼らから見た価値も私はないのだと思います。基本的にこれを日本に返し、日本に対して、たとえば、中国に対して売るものの10倍の値段で鉄鉱石を買ってくれるとか、そういうことに対する期待感というのは非常にありますよ。だから、前提は北朝鮮もこの問題を解決し日本と仲良くしたいという話、マインドはあると、私自身の10か月の経験から、確信を持っています。問題はなかなか自己表現が下手な国家であり、下手と言うか、言ってみればそういう体質ですよ。それに対してこちらもズバッといかなきゃいけない。金正日さんが、小泉総理が行った時の発言で、テレビでそういう表現を使っていいのかはわからないけれど、金正日さんは、私が北朝鮮のエージェントと話していると、そうか、小泉は俺に褌一丁で来ると言ったかと。これを何回も言っていたというんです。つまり、あの国は論理的な部分だけでなくて、極めてエモーショナルな部分というのを尊重する国で、どういう日本語を翻訳して褌になったのかはわからないけれども、それを何回も言っていたと。私と付き合っているエージェントは会う度に言うわけですよ。そういう琴線というのは、お互いにあって、そういうものの琴線を掴みながら、実際彼らも日本人拉致問題を何とか終局したいと思うなら、そこに持っていく一定の形というのは必要だと思うんです。その形を作るうえで、彼らとしては、彼らから見て生温い外務省主導ではなくて、バシッと来てほしいと思っているのではないかと。そちらの方が現実に、お互いに生々しく議論した方が結果を出せる。彼らはそれを全部隠しきろうと思っていなくて、私は一定のところで日本に対して、そういったカードは切っていこうという意識が一方であると思うんですよ。それをこちらからハードルを下げるのではなくて、ストックホルム合意みたいに、向こうに対して阿るようにしてやるのではなくて、もっとハードにタフネゴシエートをやってもらって、そのことでしか、結果は出ないと思うんですよ」
反町キャスター
「1年という話をどう感じましたか?」
小此木教授
「私は額面通りに、つまり、自分達が1年と言ったわけではなくて、菅さんがそう言うから、その関係を大事にしたいから、当事者ですから、なるべく日本側の意に沿うようにあわせているんだと理解しました」
平井教授
「私はある程度の拉致問題も含めて、初期報告とか、中間報告はないと言っていますけれども、最後の報告というのは拉致の人達がどうなっているかということは通告しなくてはいけないですから、どんなに遅れても、それが1年だという意思表明だと思いました」
松原議員
「我々は、経験と教訓から考えるしかないので、12年前のことは、実際は嘘の診断書だったし、嘘の遺骨だった。今回嘘ではないものを出すという保証がどこまであるのかということを考えた時に、たとえば、認定被害者が死んでいますと彼らが仮に言ったとして、本当に死んだ証拠はあるのかと。もしそれがないのならば、我々は生きているというのが大前提だし当たり前だろうという話になってくるわけで、そういうこともきちんと現場で議論しているのか。たとえば、前に私がストライクゾーンと申し上げたように、特定失踪者の1000番台の中に日弁連人権侵害申立てに関して、それが100%全部かどうかというのは議論があるけれど、その9割に対して答えを出してくるとか、そういう答えの出し方が生きている人を出すのか、そうでないものを出すのかということも含めて、そこまでギリギリの交渉を、果たして現在やっているのかどうかというのが一番問題になってきていて、そのへんは、詰めは専門の知見を持つところにやってもらいたいと思っているんですよ。最後、死んでいる人を生き帰らせるとなれば、それは政府が行かなければ無理です」

小此木氏・平井氏が訪問 北朝鮮・平壌の今
反町キャスター
「どういう経緯で、ことが進んで行って、訪朝団を受け入れたのですか?」
平井教授
「一番疑問だったのが、私は瀋陽事件の報道をしたために、報道をして以降、共同通信にいた時にもビザを申請しましたけれども、許可は出なかったんですね。ただ、ジャーナリストですから変化を現場で見たいという気持ちがありましたので、それで先生方が行かれるというお話を聞いて、現在、私は立命館大学で教えたりしているので、それでご一緒させていただければということで名簿に入れていただくと、なぜか今回は許可になったということで行ったということですね」
松原議員
「日朝の国交正常化はしたいと。それは彼らの意思としては極めてあるんですよ。そのために拉致問題を解決したいという想いもある。日本側が、これは私の想いですが、ハードルを下げなければ、彼らは乗ってくる筋が十分にあって、そのために安倍さんはカードを切っている。総連(ビル)の1億円の問題も含めてやっているのだから。そのことに対してタフネゴシエートをすれば、必ず戻ってくると私は思っています。その点で北朝鮮も北朝鮮側で日朝国交正常化はしたいと。本音は拉致問題を解決したいという想いがある、と逆に僕は思っています」

小此木政夫 慶応義塾大学名誉教授の提言:『この他に道なし』
小此木教授
「日本と北朝鮮に問題を解決したいという意思がお互いにあるんだけれど、信頼関係は全くない。ギリギリつながっているのが現在です。ですから、このつながりを断ち切ってしまったら、たぶんこれが最後の機会ではないかなという気がしますね。ですから、他に道があればいいのですが、他の道を提言してくださると思いますが、私は他に道はないと思いますので、この道でしっかりやるべきではないかな。だから、今回の決定はそれで良かったのではないかなと」

平井久志 立命館大学客員教授の提言:『頻繁に協議し頻繁な情報引き出しを』
平井氏
「協議をすることに腰を引いちゃったら、何も出てこないわけですね。現実に、既に1年ということで、7月、8月、9月、10月と4か月が経っちゃっているが、何も出てないわけですよ。会わないと話が出てこないので、毎月でも北が情報を求められたら情報を提供すると言っているのですから、局長級会談を毎月でもやって、会う度に情報を引き出すという積極的な努力が必要なのではないのかなと私は思っています」

松原仁 元拉致問題担当大臣の提言:『外務省主導から警察主導のオールジャパン』
松原議員
「外務省はこの問題に対してはタフネゴシエーターではないと。これは今回のストックホルム合意を見れば明解でありまして、北朝鮮のペースにどんどんなっていくというのは、関係者全員が大変危惧をしています。その意味では、外務省はもちろん、中に残っていていいかもしれないけれど、まさにオールジャパンであると。オールジャパンの中で、それは拉致対、警察、これは政治家が主導してやっていかなければいけないと思います。北朝鮮もくどいようですが、外務省を相手にこの問題をやっても、最終的に日本国から納得する回答を引き出すことはできないということを12年前のトラウマも含めて学習してもらった。私の時も言われたんですよ、松原さんはハードだと。強硬派だと。強硬派とやらなければ、解決しないのはわかっていると北朝鮮のいろんな人間が言っていました。自分のことを強硬派だと思っていませんが、最も強い強硬な主張をする人間と与してこそ、北朝鮮の拉致問題の解決において日本の了解を取り得るんだという、極めて逆説的ですが、このことを12年前のトラウマを含めて教訓にするべきだと思います。だから、その意味で、拉致対、警察を中心とした部署、オールジャパン。オールジャパンの中身は、この間も言ったように我々はロードマップを考える。そのロードマップというのは、家族会や救う会や調査会も含めて全体で合意をする方向をできるだけとるようにする。そのために昨日も官邸で安倍総理に言ったのですが、この問題に寄り添ってきた人間が出した解でなければ、どうして信用できるのだろうと。こういったことも私は申し上げました」