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2014年10月16日(木)
裁判員制度と極刑 遺族の声に司法判断は

ゲスト

亀井静香
衆議院議員 死刑廃止を推進する議員連盟会長
鳩山邦夫
自由民主党衆議院議員 元法務大臣
四宮啓
國學院大学法科大学院教授 弁護士

日本の死刑制度を考える
秋元キャスター
「今日、最高裁で判決が下された事件ですが、第一審は裁判員裁判で行われ、7回に及ぶ公判の結果、『1人になりたいと考えて家族3人を殺害した、自己中心的で冷酷かつ計画的な犯行』として死刑の判決が出ています。続く控訴審も控訴棄却。今年の9月から行われた上告審で、弁護側は第一審への差し戻しを求め、その理由として『遺族の処罰感情が変化している可能性がある』と主張。今日、最高裁は上告を棄却。死刑が確定することとなります。この遺族の処罰感情の変化というものですが、被害者遺族の1人がこのように第一審の法廷では極刑を求めると意見を述べていました。しかし、およそ4年が経った現在、最高裁に提出した上申書では、『第一審の時も自分の中で被告は死刑以外にはあり得ないという意見がしっかり固まっていたわけではなかった。事件を第一審の裁判員裁判に差し戻してもう一度、深い審理をやり直してほしい』と、その気落ちを伝えています」
反町キャスター
「今回、たとえば、上申書が上がって、その上申書も内容を仮に最高裁がちゃんと受け止めて、そのやり直しになるとか、差し戻しになるとかというのは、これはその1人の遺族の声によって、それで全てがチャラになるというか、元に戻る。これもまたちょっと、とも思うんですけれど、可能性として、たとえば、遺族の感情がこういうものであるからということで、差し戻しで、もう1回、一審まで戻るという、この可能性、ないしはもしそうなった場合の影響は?」
四宮教授
「まず日本の裁判システムの問題として、最高裁は原則、証拠調べをしないんですね。憲法違反か判例違反ということしか、上告理由にはなりませんので、原則は証拠調べをしませんから、今回もそうだと思いますけれども、この上申書は、証拠として取り上げられたということではないと思います。それから、反町さんがおっしゃった、遺族の被害感情ですけれども、それだけで全てが決まるわけではないですね。永山基準というのは様々な考慮要素を述べています。その中の1つとして、被害者遺族の被害感情というものがありますが、それだけで死刑かどうかを決めるということではないですね。また、今回のように遺族の方が複数いらっしゃる場合がありますので、ひと方だけの意見だけで、死刑かどうか決まるということはたぶんないと思います」
反町キャスター
「法務大臣として、いろんなケースに当たられたと思うんですけれども、今回のように、遺族の感情が割れている場合、こういうような場合というのはどのように対処したらいいと感じる部分はありますか?」
鳩山議員
「私は、自分での経験ではないですね。『あすの会(全国犯罪被害者の会)』というのがありますね。岡村(勲)先生が会長、現在会長は変わられましたが、要するに、身内を殺された方々の集まりで、そういう方は死刑を望み、また、死刑の執行が1日も早いことを心から望むという方々ばかりでしたから、私には、遺族が気持ちを変えたなどということは経験がありません。ただ、四宮先生がおっしゃったことが全てで、遺族といったって、3人も殺したわけですから、遺族もいっぱいいるわけですよね。それで大きく左右されるようなことは、私はあってはならないと思いますね」
亀井議員
「死刑というのは、簡単に言うと一番凶悪な犯罪ですよ。と言うのはなぜかというと、無抵抗な状態で、国家が絞め殺すんですよ。抵抗できないでしょう。どんな犯罪でもほとんどの場合、抵抗する可能性は若干でもあるんですよ。その中で命を失っていく。しかし、絶対抵抗できないという状況の中で、国家が命を絶つというのは、そういう殺人犯の中でも一番、私は酷いとずっと思っています」
四宮教授
「遺族の方の気持ちに寄り添う、これは大事なことだと思うんですね。しかし、それが極刑かどうかの判断にどれぐらい影響を持つか。遺族の方がいらっしゃらない犯罪というのもあり得るわけですね。そういう場合に、遺族がいないからとなるのかどうかということで、遺族の方のだけのご意向だけで決められない。逆に、今回のケースのように、もしこの方が1人だけの遺族だった場合に、被告人と意思を疎通させることによって遺族の方の気持ちが被告人に伝わって、被告人の更生の可能性を大きくするという場合もあり得るわけですね。ですから、遺族の方のお気持ちをどのように量刑に反映させるか、大変難しい問題で、一概に言えない問題だと思います」

永山基準と死刑制度
秋元キャスター
「司法の世界、いわばプロの裁判官はこれまで被害者感情をどのように扱ってきたのかということですが、日本の裁判で死刑判決を下す際に、司法の判断の拠りどころとされてきたのが、永山基準ですね。ちょっと説明をさせていただきますと、永山則夫死刑囚の連続ピストル射殺事件で1983年に最高裁が示した司法としての考え方で、その後、多くの死刑判決などに引用されています。たとえば、強盗や殺人といった犯罪の性質、それから、犯行の動機、さらには、殺害手段の残虐性、被害者の数、社会に与えた影響、被告の年齢、これは特に未成年者か成人か。さらに、前科の有無、反省の様子など犯行後の情状、これら各般の情状を合わせて考察し、罪の重さが罪刑均衡と一般予防の見地からやむを得ないと認められた場合には、死刑の選択も許されるとされているんですね。四宮さん、罪刑均衡、一般予防とは具体的にはどういう観点なのでしょうか?」
四宮教授
「罪刑の均衡というのは、罪と科されるべき刑とのバランスということですね。ですから、犯した罪がどのくらい、日本の法秩序に違反して、そうすると、それが大きくなれば、当然に科される刑も重くなるべきだという考え方です。一般予防というのは今回その判決を下すことによって社会に与える影響ということです。とりわけ犯罪を抑止する効果というものを考えられているんですね」
反町キャスター
「一般予防の話で言うと、まさに死刑の存続というか、死刑を支持する皆さんからは抑止力があるという話がありますよね。その点についてはどう感じますか?」
四宮教授
「少なくとも私が認識する限りで抑止力があるという客観的データはないです。逆に、抑止力がないというデータがあるんですね。それは、1番いいのはアメリカの調査で、アメリカは50州あって死刑制度を維持するかどうかは各州に委ねられています。ですから、死刑制度がある州とない州があります。現在は、32ですか、死刑制度存続しているのは、18で廃止していると思いますが。そうすると、それぞれの州で、死刑を廃止したところで、殺人が増えているかという調査があるんです。これは1991年以降の統計を見ると例外なく死刑を持っている州の方が殺人率は高いんです」
鳩山議員
「現在の四宮先生のお話は、私も聞いたことがあるし、なるほどと思ったことがあるのですが、でも、これはいつもお話するのですが、死刑を存置するか、なくすかという議論とか、執行についても同じかと思いますけれども、これは文化とか、文明というもの、要するに、日本なら日本独特の情感から、常識からそういうものから判断をしなくてはいけないと思うんです。アメリカの文明というのはすごくドライ。プラグマティズムの国ですよね、発生地的にも。血の滴るステーキを食べるとか。日本は三つ葉のおひたしを食って農家は共同作業をやってきた。すごくウェットな文明。そういう文明から考えると、アメリカではそういう例があるかもしれないけれども、下地の文明が違うから、日本では十分な抑止力があると、働いていると思いますね」
亀井議員
「誰が考えてもそういう犯罪を、犯す場合、死刑になるなら止めようと、死刑がないならやっちゃえという、そういうことは普通のビジネスと違って、ないと思うよ、ほとんど」
反町キャスター
「その犯罪の瞬間に、そんなことを考えている余裕はない?」
亀井議員
「考えるはずがない。だから、そういう意味では、死刑制度が犯罪を抑止しているなんてことは、私はないと思う」
反町キャスター
「一方、四宮さんが先ほど言われた死刑を廃止した県においては、重大犯罪、凶悪犯罪の発生率が下がっているというのは?」
亀井議員
「それは、1つは人間の命の大事さと、先生はちょっといろいろと組んで議論をされたと。人間の命の大事さということを、その州で長い間ずっと皆で議論をした中で、人間の命は軽々に、そういう公権力が抹殺しちゃいかんのだなという、そういう広い意味の常識みたいなものができ上がったのではないかと」
反町キャスター
「鳩山さん、先ほど永山基準の話がちょっとありました。いろんな項目があるのですが」
鳩山議員
「項目が多すぎて、それで総合的に判断するというのだから、こういうものを基準と言えるのかどうか、最後は総合的に判断するわけでしょう。だから、基準かどうかわからないけれども、絶対に私が認めたくないのは被害者の数という部分ですね。つまり、1人を殺しても死刑にはならないと。複数殺さないと死刑にならないというような感じに、これは読めるわけですよ」
反町キャスター
「俗にそう言う人もいますよね?」
鳩山議員
「1人でも死刑になった例はあるのでしょうけれども、だから、1人でも残虐性がすごいから死刑ということもあるのでしょうけれども、私は、数というのは絶対除いてもらいたいんですよね、基準から」
秋元キャスター
「四宮さん、この比重というのはどうなっているのでしょうか?」
四宮教授
「永山判決そのものは比重について何も触れていません。ただ、量刑の考え方として、現在多くの裁判官が考えている量刑の決め方ですけれど、大雑把に言うと、まず何をやったか、客観的な行為ですね。行為によって量刑の大枠を決めると。犯人の個性に関する問題。人に関する問題はその大枠の中で、刑を上下させる微調整の要素であると考える人達が多いですね。私はこの考え方、死刑については問題だと思っていますけれど、そう考えると、たとえば、犯罪の性質とか、動機とか、殺害手段の残虐性、被害者の数、そういう客観的なものが、まず優先的に考えられるという傾向にはあると思います」
反町キャスター
「いろんな永山基準、だいぶ全体としての機能も棄損されているという話ですけれども、これだけの要素を比較考慮しながら、これが死刑にあたるのかどうか、微調整が行われるという話がありましたけれど、それは別に科学ではなく、数値化されているわけではないですよね」
四宮教授
「そうです」
反町キャスター
「これで4点、これで8点、3点、全部で50点を超えたらアウトとか、そういう話ではないですよね。そこの部分というのは、この基準を設けるところで、最終的にはその裁判官の心証による部分がすごく大きいと思うんですけれど、そこはどう受け止めたらいいのですか?」
四宮教授
「実際には、永山基準が全く役立っていないわけではなくて、たとえば、現在、裁判員が判断しなければいけない事件についてどういう点を考慮しようかという時の1つの項目で犯罪の性質について見てみましょう、動機について見ましょうというような議論をしていくわけです。その意味では、議論の対象となる点では役立っていると思います。大枠が決まったとしても死刑にするかどうかという時には1つの重要な判断基準が、先例ですね。同種の、同じような事件でどのような判決が出ているかと。死刑になっているか、あるいは死刑を回避しているかと。先例ということを考えて決めるということもありますね」
亀井議員
「こう永山基準とか言っておられるけれども、私はもともとそんな基準なんかはあるはずがない。泥棒にしても、強盗にしても、殺人にしても、やる人は全部別でしょ。別な人間がやるんですよ。それで、それぞれが人格を持っているんですよ。生まれ育ち、犯罪した時の環境、動機から、全部違うの。私は、裁判官がそういう意味では個々のそういう、いわゆる犯罪、犯した者に対してどういう処罰を加えるべきかというのを、自分が独立して、それで斎戒沐浴して、私は判決すべきだと。自分の価値観と言ったらおかしいけれども、自分の人生観を含めて、いや、これはこういう刑にすべきだと。だから、私は裁判官によっては変わるはずですよ。1つの方程式に則って流れ作業みたいに類型化できないですよ。窃盗だって全部違うのだから。贈収賄だって全部違うのだから。それを1つの物差しではめて大根切るみたいに整理していこうというのは人間を扱うには乱暴すぎると」
四宮教授
「永山基準の1つの問題は、こういう客観的な行為についてはあるんだけれど、被告人、つまり、刑を受ける人がどんな人かに関する要素があまり取り上げられていないんですね。死刑というのは他の刑罰とは質的に違うんだと。それはそうですよね。生きていてはいけないという刑罰ですから。その人がどんな人なのかというところが、きちんと調べられる姿勢はあると思うんですけれど、現在死刑事件の量刑に関する審理で私が1番問題だと思うのは、どんな人なのかということの証拠があまり出ていないことですね」

裁判員裁判と死刑制度
秋元キャスター
「永山基準などに照らし合わせながら、近年の裁判ではどのように死刑判決が下されてきたのか、その推移ですが、2000年代半ばから死刑判決の確定者が増えています。ちなみに、これは2009年の裁判員裁判制度導入前からの傾向です。再審請求などが行われていない場合、原則として6か月以内に法務大臣の命令を受けて執行ということになりますが、死刑の執行数の方はそれほど急増しているわけではないということですが」
鳩山議員
「裁判員裁判というのは、私が法務大臣を辞めた、暫くあとから始まったんですがね。私は裁判員裁判というものが必要だとは昔は思っていなかったんだけれど、だけど、法務大臣をやっていた頃からは、これもいいなと思って1番注目したのは、裁判員の判断、6人と、3人の裁判官で評議をする。そのことによってどういう傾向が出るかなということをすごく興味を持っていたし、その傾向は基本的に国民はそれを納得するべきだと思っていたんですね。だが、死刑に関して、特に大きな変化はなかったかもしれないけれども、求刑よりも重い判決というのがどんどん出るようになった。これは非常に重要なので国民の犯罪を憎む気持ちは検察官よりも強いということですよね。と言うことは、ある意味でいうと、検察が最近いろいろと不祥事があったりして、だらしがなくて、弱気の求刑をしているのではないかと、我々は思っているんですよ」
反町キャスター
「1995年のサリン事件によって、政治家としてバッジをつけている実感として、サリン事件によって有権者の刑に対する抵抗感。もっとわかりやすく言っちゃうと、悪い人は死刑になってもいいんだという気持ちが、国民の間に強まったというような実感はありますか?」
鳩山議員
「ありますね。ありますねというか、サリン事件、オウム事件だけでなくて、凶悪犯罪が増えてきているという思いは、国民の中に相当あったのではないでしょうか。たとえば、死刑を廃止すべきかどうかという世論調査でも、5年に1ぺんやっていますね。だんだん増えてきていますね。死刑があった方がいいという方が。それとパラレルにきているのではないのかなと思いますね」
反町キャスター
「たとえば、歴代内閣改造が行なわれて、新しい法務大臣が就任される度に、法務大臣の就任会見において死刑執行にサインされますかという質問が必ず番記者、官邸記者団から出ますよ。中には死刑執行にサインしないと言った新閣僚の方もいました。その後、いろいろ騒ぎになったのですが、そういうことが政治の場において、日常的に起きるということ自体が実はまだ死刑の議論が煮詰まっていない証拠なのかなという印象を受けるのですが」
鳩山議員
「日本の法制では、死刑は確定するのは三審制で最高裁だけれど、死刑の執行は法務大臣の命令によると。半年以内に命令をし、命令をしたら5日以内にやるのかな、執行するということになっているでしょう。法務大臣にすごく重い責任を負わせている。これは1つの考え方かなと思うんです。なぜそうなったのかというのはわからない。でも、それだけ重い責任を負えば、法務大臣になる場合には、死刑はきちんと執行するという人がなるべきであって、自分のいろんな倫理、宗教観か何かで死刑を執行しないという人間は絶対に法務大臣になるべきではないと」
反町キャスター
「大量の未執行囚がいるという、この状況についてはどう思っていますか?」
鳩山議員
「私はそれも考えて、一時的にちょっと減らしたけれども、私が辞めたあとも、どんどん未執行の人が増えています」
亀井議員
「これは前、帝銀事件の平沢さん含めて、執行がなぜされないんだろうと。皆が思っているような死刑囚もされていないのがいるんですよ。これはこんなことを言ったらおかしいけれども、大勢の死刑判決を受けた中でも、やった方がこれは本当に冤罪ではないかという自信のないのがいるんです。鳩山先生みたいに自分で徹底的に調べられた方もあるのでしょうが、そういうことをされている歴代の大臣、あるいは法務省の事務官僚との中でやばいというので、されない人もたくさんいるんですよ。これは死刑制度というもの自体を、それが国家にとって、本当に良いことなのか、国民にとって良いことなのかどうかということを考えないと。冤罪というのがあるから。それは警察官僚をやっていたから、はっきり言いますけれども、ありますよ」

極刑をめぐる論点と課題
秋元キャスター
「日本弁護士連合会の提言ですが、『現行の仮釈放が可能である無期刑とは別に仮釈放のない終身刑についても議論がなされるべき』ということですが」
四宮教授
「現在の無期懲役刑というのは、制度上は10年経つと仮釈放の申請ができるということになっています。ただ、これは現実には30年以上経たないと仮釈放できませんし、実際に仮釈放になる人はほとんどいないですね。それとは違って、仮釈放のない終身刑というのは釈放そのものがない。つまり、一生を刑務所の中で過ごすという制度です」
反町キャスター
「恩赦とかは終身の対象にならないのですか?」
四宮教授
「恩赦は別です。恩赦というものは確定した刑について行われるものですから、これは死刑も適用の対象にはなり得る。なかなか認められませんけれども、現在ほとんど恩赦はないですね。制度としては対象になり得ると」
反町キャスター
「現在の司法制度下における常識からすると絵に描いた餅みたいな印象ですが」
鳩山議員
「死刑をやめてというところにポイントがある。だから、実際は現在の無期刑は終身刑に近いのだけれど…だから、私は死刑があって、終身刑があって、無期刑があるならいいけれども、死刑をなくすのは、私は反対だと申し上げたい」
亀井議員
「現在、議連で考えているのはなかなか一気に死刑を廃止することにまで辿り着けないとすると、その間も命を失う人間が出てくるからね、重無期刑というのを、無期と死刑の間に創設する」
反町キャスター
「それは終身刑と同じですね」
亀井議員
「同じではなく終身刑みたいに仮釈放はない。それで衆参にそれぞれ死刑制度が良いかどうかという調査会を置く。その結論が出るまでは執行しないという法律を準備して加藤さんを会長にして、そういう議連ができた。これは、自民党、各党ともに極めて賛同者が多いですよ。だから、これはできれば来年の通常国会に出したいと思っているんですけれども、これは一気にいくのが無理であっても、これをやると死刑判決が事実上減ってくることは間違いないです」
鳩山議員
「今の亀井説には、私は賛成でも反対でもないですね。それによって死刑が減るのは望ましくはないけれども、先生の言う重無期刑というのが間に挟まって、ちゃんと死刑はあるんだというならば、量刑判断の選択肢が広がるのは事実ですね」
四宮教授
「私自身は、死刑はなくした方がいいと弁護士会と同じ考えですけれど、死刑判決が減るということも次善の策としては良いと思います。死刑というのは、本当に特殊な刑罰なのでできるだけ少なくしていく。できればゼロが良いと思いますけれど、できるだけ少なくしていく努力をすべきだと思うんですね。ただ、仮釈放のない無期刑というのは外国でもいろいろな考え方がありまして、希望のない刑だと。一生出られないわけですから。その意味でも残虐だという意見もあることはあります。ただ、弁護士会でも言っているように、中に入っている人をどのように処遇していくかということとか…」
反町キャスター
「受刑者処遇の適正化とはどういう意味ですか?」
四宮教授
「それはおそらくは現在、無期刑であれば、たとえば、特別な処遇をしていかないといけないわけですね。希望がないということになれば。ですから、一生出られない人の処遇プログラムというものを考えて…そういう人達でも。たとえば、刑務所の中で働いたお金を遺族の人に弁償していく仕組みだとか、あるいは自分自身の罪と向き合うための別のプログラムですとか、そういったものを指しているわけですね。それから、恩赦もほとんど現在、機能していないです。しかし、本当に更生して変わった人を社会に戻してこそより更生が進む、あるいは協力者もいる。そういう恩赦制度は日本に制度としてあるわけですから、それをきちんと機能させたらどうかという意見だと思います」
秋元キャスター
「法律上、事実上、死刑を廃止している国が140か国あります。通常の犯罪に対して死刑を存置する国が58か国あります。これには日本も含まれます。中国なども含まれています」
四宮教授
「世界の趨勢はこうですね。圧倒的に多数の国が死刑を廃止、事実上も含めて廃止をしている。これは増え続けているんです。それから、2012年には国連総会で廃止を視野に入れた死刑の執行を一時停止。死刑情報の公開を求める決議案というのが、賛成111か国、反対41か国。41の中には日本も入っていました。その決議が成立している。世界はそうですね。鳩山先生が先ほど日本の文化のお話をおっしゃいましたけれども、日本には平安時代に350年ぐらい死刑執行をしなかったという、我々は歴史を持っているわけです。これだけの国が廃止してくるとなると文化の問題というよりは、私はもっと普遍的な個人の尊厳、人間の尊厳の問題として世界では考え始めているのではないかなと思います」
反町キャスター
「更生の可能性がそこにあるのかどうかというのが1つのポイントだと思うんですけれども、四宮さんは大量殺人、残虐なことをやった人間でも、そこに更生の可能性があるから死刑はすべきではないという立場ですか?」
四宮教授
「それは個々の事件の判断としては、更生する可能性というのはとても大事な要素だと思います。ただ、その更生の可能性を先ほども申し上げましたように本当に裁判で裁判員達に更生を示す証拠が十分に与えられているかどうか、これがないと私は問題だと思うんです。私自身が死刑に賛成できない、反対なのはそれとは別でシステムの問題として言うと1つは誤判です。必ず間違いはある。最近も袴田さんが死刑判決を受けて40年も拘束を受けたという件がありました。その前に4人の方が誤った死刑判決を受けて生還しているわけですね。人間がやる裁判には必ずそういうことがある。死刑は、取り返しがつかないわけです。だとするなら一歩踏みとどまって死刑をやめるべきだというのが1つです。もう1つは、人の命は尊いもの、殺してはいけない。どんな理由であろうと殺してはならないというのがどの国でも殺人を重い罪にしている理由だと思うんですね。その人の命を殺めたということを、命を奪うことによって確認するのかと。実はそれは矛盾だと思うんです。つまり、死刑制度というのは、理由があれば殺していいということですね。それはどんな理由があっても人の命は尊重しなければいけないという社会の規範とはそもそも相容れないものがある」
亀井議員
「とにかく冤罪があるのは事実。そのうち、それがはっきりする場合、しない場合もある時はいかんですよ、これは。そういう人と人との争いの犯罪の中で、そういうことが起きた場合、これはちゃんと裁かないといけませんよ。ある面では身体的な苦痛が起きるようなこともやらなければいかん。しかし、命まで奪って人間が人間を、私は裁くわけにはいかないと」
鳩山議員
「冤罪は今後科学的な捜査が進んでいるから極めて減っていくだろうし、努力をしなくてはならない。私は三審制で死刑判決が出るような残虐なことをした人間には、更生は全く関係ないと思います。それだけの報いを与えなくてはいけないので、その死刑囚が更生したとか、しないというのは全く考慮してはいけないことだと思っています」

亀井静香 衆議院議員の提言:『質問の中味をキチッとして国民の判断を』
亀井議員
「法務省の現在の、調査の中身をきちんとして、国民の意見を十分に聞くことをやるべきだと。たとえば、重無期刑などを入れたらどうですかと、選択肢をつくって、そうすれば結果は変わってきます」

鳩山邦夫 自由民主党衆議院議員の提言:『半年を2年か3年にする』
鳩山議員
「死刑の確定判決が出たなら半年以内に死刑執行命令をしなくてはいけない。現在130人も140人もたまっていて、皆長く拘置所にいるものだから、これは訓示規定だと法務省は逃げる。しかし、あれは訓示規定であるはずがないので、だから、半年以内に執行命令というのがちょっとキツいのであれば、これを2年、あるいは3年と書き変えて、3年以内には…もちろん、再審が決まれば別ですが、3年以内には絶対やると変えたらいい」

四宮啓 國學院大学法科大学院教授の提言:『死刑情報開示を』
四宮教授
「実は死刑制度というのは国民が維持している制度ですよね。しかし、国民は死刑についての実情をほとんど知らなかった。そのことに気づかせてくれたのは裁判員制度です。死刑を巡る議論をいうのは今日の議論もそうでしたけれども、非常に対立が激しい。だとすると、まずは情報を開示して、開かれた議論をするべきだと思うんですね。死刑は必要だ、しかし、語らない方がいいというよりは、死刑がどんなものか、そういうものが果たして私達の社会に必要かという議論をすべきだと思うんですね。そのためには、死刑に関する情報が徹底的に、できるだけ開示される必要がある。裁判員に死刑判決、判断を委ねる以上は、これは待ったなしで情報を開示すべきだと私は思います。死刑囚というのが確定後にどのような生活を送るのかと、執行というのは何なのか。どんなことがその人の体に起こるのかということが全く知られていない。そういう実情まで公開すると」