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2014年10月13日(月)
平均寿命と健康寿命の差10年をどう縮める?

ゲスト

田村憲久
自由民主党政務調査会長代理 前厚生労働大臣 衆議院議員
宮城島好史
静岡県健康福祉部長
鄭雄一
東京大学COI副機構長

健康長寿社会への課題 平均寿命と健康寿命
秋元キャスター
「国が目指す、健康で長生きできる、健康長寿社会ということですが、その1つの指針となりますのが健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を示す健康寿命ということになるんですね。今月1日、厚生労働省が発表した2013年の健康寿命と平均寿命との差、まず男性ですけれども、健康寿命は71.19歳。平均寿命は80.21歳ですから、その差が9.02歳となっています。女性の場合は健康寿命が74.21歳。平均寿命は86.61歳ということで、差は12.40歳ということになりますけれども」
田村議員
「健康寿命は伸びて、平均寿命が伸びていくというのが重要ですが、伸びれば伸びるほど、お元気な高齢者の方々が増えるということですから。現在、全員社会、全員参加の社会をつくろうと安倍内閣はしています。これからは高齢者の方々にもますますいろんな役割を担っていただきたいという思いもありますので、そういう意味で、元気な高齢者の方々をたくさんつくっていくということが大変重要であろうということで、健康寿命の延伸ということを大きな目標にあげているんですね」
反町キャスター
「たとえば、健康であるというふうに少なくとも自覚している人達が、男でも71歳以上だし、女性でも74歳であるということは、これは、定年も含めて、労働力としてカウントする年齢も、たとえば、現在60(歳)とか、65(歳)ではないですか。これと当然伸ばすべきだというこういう話はリンクする話ですよね。元気なうちは働けという意味ではないですよ、財政の話もするのであれば、そういう話もリンクする話ですよね」
田村議員
「ですから、そのためには基本的に働ける社会をつくらないといけないですよね。これからは生産人口年齢が減ってきますから、当然、社会の中で、女性もそうですし、高齢者の方々も働く意欲のある方々には働いていただける社会になっていくとは思いますが、それにしたって、その環境を整えるのは、行政の責任でもあるわけですから、それを整えることによって結果的に働けるようになると」

医療・介護費の増大化
秋元キャスター
「高齢化社会の中で、医療費と介護費について見ていきたいのですが、医療給付費は2012年度が35.1兆円。これが2025年度になりますと、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になるのが2025年ということですが、54兆円にまで膨れ上がるんですね。介護費も見ていきますと、2012年度が8.4兆円。2025年度には19.8兆円になるわけですが、この試算をどう見たらいいですか?」
田村議員
「これは現在の伸びを、そのまま伸ばしていくとどうなるかというのと、あとは改革モデル等々を入れているんですね。改革モデルを入れると改革するから減るのかというと、そうでもなくて、いろんな改革は、手厚い改革もしなければいけないので、逆に、伸びたりしますので、そういう数字を入れたうえで出した数字が、そういうような形でありますから。必ずそうなるかどうかはわかりませんが、一定の条件をおいたうえで、試算をするとそういう数字になってくる」
反町キャスター
「たとえば、現在の、医療サービス水準、介護におけるサービス水準を守った場合という、こういう前提?」
田村議員
「いや、守った場合、もうちょっと落ちると思います、数字が。改革パターンというのは、逆に、強化する部分がありますので、その分伸びているんです」
秋元キャスター
「改革で増えた分も入っているという」
田村議員
「入っていると思います」
反町キャスター
「宮城島さん、いかがですか?この数字。県とはちょっと財政の規模も違うでしょうけれども、この伸びしろに注目をしたんですけれども。どう感じますか?」
宮城島氏
「我々の方でも大変に医療費に対する負担。それから、介護に対する県の負担。これは市町村も含めてですけれど、大変に伸びていると実感しています。介護保険料も年々上がっていますし。こういったボディブローのように効いてくるような財政増というのを、現在大変感じています」
反町キャスター
「鄭さんはいかがですか?この数字を見ると、医療費の方が年間1兆円以上ずつ伸びていって、介護も年間でどんどん伸びていくというですね…」
鄭氏
「現在の考え方とニーズですと、病気になったら病院に行くと。それから、若者が高齢者を一生懸命に支えると。とにかく医療費は削減したいと。そういう考え方ですが、これから、たとえば、2059年ぐらいまでの人口を試算しますと、高齢者は4000万人で、ずっと変わらず。人口は8000万人にどんどん近づくという、そういう状況になってきます。そうすると、現状だけを見ていてはダメで、自分の健康は自分で守ると。それから、高齢者も、先ほどおっしゃいましたが、社会を支えるようにならなければいけない。単に医療費を削減するのではなくて、そこから医療産業のようなものを起こして、GDPを増やすという積極的な、ポジティブな考え方が必要になってくると思います」

都道府県別健康寿命 なぜ静岡県が日本一
秋元キャスター
「ここから健康寿命日本一の静岡県の取り組みについて聞いていきます。健康寿命のランキングを見てみますと、静岡県が男性は第2位、女性は第1位となっているのですが、平均寿命と必ずしも健康寿命が同じではないということですけれど、宮城島さん、この静岡県の男女ともに健康寿命の平均は長いのですが、その理由はどこにあるのでしょうか?」
宮城島氏
「昭和62年から30年近く、こういう健康づくりをやってきた成果ではないかなと思っています」
反町キャスター
「たとえば、昭和62年に始めた、昭和62年と言ったら1987年、本当に30年弱前ですね。その時というのは、始めた動機というのは、その頃は静岡県の平均寿命は他県に比べて著しく悪かったのか、何か理由があったのですか?」
宮城島氏
「その時は、私は若かったから知らないんですけれども、知事のトップダウンで決まったと。富士山運動と言って富士山にひっかけた健康づくり運動を始めようということで」

静岡県の取り組み
秋元キャスター
「静岡県ですけれども、さらに、健康寿命を伸ばそうということで、様々な取り組みが行われているんですよね。健康マップによる見える化。『ふじ33プログラム』『お達者度算出』『健康づくりマイレージ制度』などがあるわけですが、まず健康マップによる見える化。これは具体的にどういうことなのでしょうか」
宮城島氏
「見える化しなければならないということで実は静岡県内で健康診断をやった方の50万人のデータを集めました。その50万人のデータを分析して、どういう市町村が良いか、悪いかというのを調べたんですよ。これとメタボについてなんですけれど、西の方ですけれども状態が良いと」
反町キャスター
「状態が良いというのは長生きという意味ですか、それともメタボ率が低いということですか?」
宮城島氏
「メタボ率が低いということ」
反町キャスター
「県の東部と西部ではっきりと違いが出てきているわけですね」
宮城島氏
「そうですね。こういった形ではっきり出てきました」
反町キャスター
「要するに、伊豆半島並びに富士山麓の人、男性の場合は、伊豆半島でメタボの人が非常に多いと。そうではなくて静岡県の西部の方が非常にメタボ率が低いと。理由は何ですか?」
宮城島氏
「食生活ですとか、そういったものにあるのではないかと思います。あとで、食べ物についての分析をするんですけれども、食の地域差があるんですよ。西部の方は、野菜ですとか、おイモをよく食べる。それから、お茶もよく飲む。東の方の方は、揚げ物ですとか、それから、干物、味噌汁といった、簡単に言うと、塩分とカロリーの高そうなものですね。どうもそういったところに原因があるのではないかと思っています」
田村議員
「見える化というのは、私は健康づくり推進本部というのを大臣になってすぐに厚生労働省につくったんですね。これは健康づくり予防、こういうものをしっかりと進めていこうということですが、この中でも見える化というのが、1つのキーワードでして、見えることによって、何が問題であるかということがわかるんですね。理解できるんですね。それに対してどう対応をしていけばいいかというのはわかるので、こういう見える化の取り組みであるとか、他にもいろんな良い取り組みを、実は厚生労働省のサイトの中に、ちゃんと示させていただいていますが、そういうものを見ていただきながら、各自治体にご努力いただくと。あわせてデータヘルスというような形で、現在いよいよ、我が国全体で取り組もうとしていますが、各自治体で県ごとにつけるものですよ。データヘルス推進計画をつくっていただいて、目標値をおいていただいて、医療費の。これはあくまでも、こちらから強制的には渡しませんので。県で目標値をおいていただいて、それをPDCサイクルでまわしていただいていただくというようなことも含めてやっていますので、各都道府県間のいろんな、これは良い意味での競争ですから、皆さんが健康になっていただける競争でありますから、こういうことを促していくということが重要だと思いますね」
秋元キャスター
「引き続き、静岡県の取り組みについて聞いていきたいのですが、『ふじ33プログラム』とありますけれども、宮城島さん、これは何なのでしょうか?」
宮城島氏
「実は静岡県でこういう調査を行いました。高齢者1万4000人を10年間追跡して、長生きにつながるにはどうやったらいいのか調べたんですよ。そうしましたら運動、栄養、社会参加。この3つに取り組むと死亡率が半分になったと、これを健康づくりに活かしたいということでつくったのが健康プランの『ふじ33プログラム』です。普段の生活に、実行可能な3つの分野、運動、食生活、社会参加、3人一組で3か月実践する。先ほどの運動と栄養と社会参加をセットにするわけですけれども、特に社会参加を加えたところがポイントです。人と交わることが健康づくりに素晴らしいということの結果が出たものですから、それを入れた健康プログラムをつくりました。これを全体に広げるよう行っていますし、若い人にもやってもらおうと思ってスマホのアプリケーションをつくりまして、これで普及に努めているところです」
反町キャスター
「社会参加というのは働くことではない?」
宮城島氏
「広い意味では働くことも社会参加ですが、働くこと以外にボランティア活動をすることもそうだし、家族以外の人とどれだけお付きあいをするかというのが社会参加のポイントです」
反町キャスター
「3人一組で3か月というのはどういうことなのですか?」
宮城島氏
「我々も調べたのですけれども、1人でやるのと2人でやるのと3人でやる時は、3人が1番長続きしたと。3人で、というところに人と交わるという、そこの意識も込めているんです」
反町キャスター
「要するに、友達2人を見つけ、3人で1つのグループを形成し、お互いに何か面倒くさいなという時にも、2人が引っ張り出すような、そういう人間関係をつくりなさいと。そういうことですか?」
宮城島氏
「その通りです」
反町キャスター
「初動で何もやらなかった人達にいきなり3人一組で3か月何かやれと言ったって、これはできないと思いますよ。最初の動き出しはどういうモチベーションのかけ方、スターター、どうエンジンをかけるのですか?」
宮城島氏
「たとえば、市町村であれば保健師さんが動かすというような、それから、地域の町内会の世話役とか、そういう初動を動かす人が必要ですよ。企業で言うと保健担当の方とか、いわゆる世話役の方。そういう方が1回動かさないと。動き始めると、初動のエネルギーに変わります。ですから、それはある程度、志の高い方に手伝っていただかないと難しいです」
反町キャスター
「それは、地域社会の存在と地域社会におけるリーダーというか、世話役みたいな、そういう人達がいないと、なかなかこういうプログラムもうまく普及しないという理解でよろしいですか?」
宮城島氏
「そうですね。その通りだと思います。ただ、現在、地域にはそういった人達がたくさんいます。やる気を持った人がいますので、そういう方々を動かしていくということの1つのツールになると思います」
反町キャスター
「田村さんはいかがですか?地域社会の存在、リーダーというのが都市部と郡部で全然状況が違うと思うんですけれども」
田村議員
「ちょうど介護保険法を改正しました、6月に。医療と介護の大改革でしたが、この中で、要介護者ではなくて、その手前の要支援1、2という、そういうクラスがあるんですよね。そういう方々はこれまで介護保険から一律の、たとえば、デイサービスを提供していたんです。ところが、デイサービスに行きたい人もいれば、行きたくない人もいるんですよね。これも一律というような、比較的軽い方ですから、要介護の手前ですから。そこで現在おっしゃられたような形で、各地域、地域でいろんな工夫をして、それを地域に住んでいる高齢者の方々が求めているニーズのサービスをつくっていけばいいのではないか。たとえば、健康づくり体操。それから、認知症予防の体操もあると思いますが、そういうものをやっていただくとか。それから、生活の支援ですね。たとえば、家事のお手伝いも、そういうような形で、地域の方々が手伝っていただくのもあると思います。ただし、これはボランティアだと続かない部分もありますから、そういうサービス系は、逆に言うと、NPOだとか、株式会社が入ってもいいのかもわかりません。そこで高齢者の元気な方々の雇用の場もつくれるのではないのかと思います。それから、他には、集いの広場みたいな形で、引きこもりにならないようにお声がけいただいて、高齢者の方々に出てきていただいて、そこでいろんな趣味も含め、いろんなことをやっていただくと。そういうサービスを地域、地域でつくっていただきたい。そのためには、どうやってやるかという話がありますから、コーディネーター等々をしっかりと養成もしなければなりませんし、ノウハウを伝えていかなければならない。そういう意味では、国の方からの補助金もつけましょう、問題はいっぺんに全部やってくださいと言っても無理ですよね。よく国会の審議で、全国がこういうことではないではないですかと、そうしたらサービスがなくなるのではないですかと言われたのですが、別にこれまで通りに、介護業者にお任せすることもいいですが、それだと現在と変わりませんから、良い地域は街づくりになるんですよね。必ずリーダーがおられるところはおられます。そこで良い事例が出てくると、隣の町を見に行って、あそこは良いことをやっているが、どうやっているのだろうと、教えてもらえないかなと。ここでまた地域間のつながりができながら人が育っていく。こういう町づくりも兼ねて介護保険法の改正をしながら、この予防というものをしっかりと進めていこうというような、そんな我々の考え方をもとに改正させていただいたんです。まさに、同じような考え方のもとで、介護保険という中から、要支援というものは新たなステージの方に移したという形ですね」

健康長寿ループとは
秋元キャスター
「ここから東京大学を中心に進められている健康長寿社会実現に向けた取り組みについて話を聞いていきます。鄭さんが携わっている『若者と共存共栄する持続可能な健康長寿社会を目指す』というプロジェクトですけれども、具体的にはどんな将来像を描いているのでしょうか?」
鄭氏
「将来社会ニーズというものを割り出しました。それは自分の健康は自分で守る、高齢者も社会を支えると。新しい産業を起こして、GDPに貢献する。その時に、キャッチフレーズとして『病院を外来に。外来を家庭に。家庭で健康に』ということで、これまで病院でやっていたことを外来に、外来(でやっていた)ということを家庭に。家庭でなるべく健康にということで、要するに、入院を減らし、外来に滞在する時間を減らし、なるべく家庭で健康に過ごせる時間を増やすということです。我々は大学、それから大学病院ですので、大学の側から、疾患地の方から、それをどんどん家庭に持っていこうと。そういうアプローチをしています。その時、4つの健康長寿ループと呼んでいるのですが、このループが生めれば、そういうことがまわっていくだろう、幼い方から老人の方まで。その真ん中に書いてあるのが、医療ICTネットワークで、医療ICTのネットワークが全体の鍵になってきます。ここのところが、先ほど『ふじ33運動』。それから、『厚労省のスマートライフプロジェクト』等々もありましたが、ここは家庭で健康増進しましょうということ。それから、超早期に病気を診断しましょうということです」
反町キャスター
「それによる家庭における超早期診断と予防ということによって、狙いとしてはまず重大な疾病になる前に事前に抑えるということもあれば、そこで当然、医療費の削減というところも視野に入ってきているということでよろしいですか?」
鄭氏
「その通りです。未病の段階でインターセプトするということが大目標であります」
反町キャスター
「次に、外来で、即時診断で、日帰り治療。これをどう見たらよろしいですか?」
鄭氏
「外来で即時診断というのは、たとえば、外来にかかると結構、長い間待たされて、血を採って、すぐ検査(結果)は出ないので、1週間後に来てくださいと、1か月後に来てくださいと言われるわけですが、これは科学技術で結構解決が可能で、外来をやっている間にデータが出てしまう。そういうことをつくることができます。そうすれば、1回外来に来れば、その時にデータが出て、方針も決まって、外来にまた来なくて済むと。そうすると、生産的な方に時間をまわせるということになります。それから、日帰り治療は現在、たとえば、入院を1週間しているような治療であっても、非常に低侵襲な治療。特に、超音波などはそうなのですが」
反町キャスター
「低侵襲とは何ですか?」
鄭氏
「非常に、体にやさしい治療ですね。実際に体を切り開いたりするのではなくて、たとえば、超音波の例を言いましたけれど、超音波は体を開かなくても、たとえば、ガンを治療したりとか、そういう試みがされていまして、それだと1週間かかる入院が、1日でできたりします。そうすると、医療費はもちろん、その人の社会での満足度というものも非常に上がるということになります。これも科学技術である程度、貢献できると思います」
反町キャスター
「最後、家庭での予防管理ということで、パーソナルモニター、一体型小型デバイスというのがありますけれど、これは各家庭にこういう先進機器を置くのですか?」
鄭氏
「はい。我々のスタンスは一足飛びに家庭に小さいものを配るというよりは、とにかく病院の専門的な機能をどんどん外来から家庭におろそうということで超未来的なことを示していますけれども、ゆくゆくは家庭なのか、地方の病院なのか、あるいは薬局さんなのか、コンビニなのかはわかりませんけれど、そういうところで予防管理ができるようなデバイスを置いて…」
反町キャスター
「コンビニ?」
鄭氏
「はい。コンビニなども入ってくると思います」
反町キャスター
「コンビニで血液を抜く?尿のサンプルを」
鄭氏
「(コンビニで)血液まで抜くというと、いろいろと問題があります。現在薬局では、自己採血は認められるようになりまして、そういうデバイス等を置いて血を抜くかどうかはわかりません。そういうところでも管理ができるようにすると。これは非常に未来の姿ですけど、ゆくゆくはそのようにしていきたい。これも外来に通院する時間を減らしたいということで、これも科学技術と大学が持っている科学技術で可能なものであると思っています」
田村議員
「考え方としては、これが進んでいくことによって、在宅の医療というもの、できれば、皆さん、自宅で看取りまで含め、本当は自宅でという思いがお強いです。これ以上病床数が増えないとなりますと、年間40万人ぐらいがどこで亡くなるんだという時代が数字のうえですけれども、これはそういうことが言われている中において、一定程度の医療行為が在宅の中において担われていくという形になれば、これからの社会にとって1つの答えだと思いますね」
反町キャスター
「病床数が増えないというのは、それは増やさないという国の方針が、そこにあるという理解でよろしいのですか?」
田村議員
「病床数は、日本は非常に多いですので、1000人当たりの病床数を見ますと、13.6ベッドぐらいあるんです。これは他の国と比べると、たとえば、イギリスやアメリカは3つぐらい、フランスでも6.4ぐらいですから、逆に言うと、100床当たり、100ベッド当たりの医師の数というのが、日本はだいたい16.3人、16.4人ぐらいですよ。フランスがだいたい50人ぐらい。イギリス、アメリカは80人、90人という世界ですから、医師の数は若干、日本は少ないぐらいです。そんなに変わらないですよね。看護師の数はほぼ一緒、世界標準ですよ。なのに、何か足らないというのはベッドが多い。急性期用にベッドが増えちゃったというのがありますので、現在、医療提供体制見直しというのにいよいよ取りかかるのですが、高度な急性期というもの。超高度なものは必要ですけれども、ある程度のことは急性期というものの、これを減らして、一方で回復期やリハビリ期といったものに対してのベッドを増やしていこうと。また慢性期の必要な部分もつくっていこうというので、現在この組み換えを、これから地域医療構想を届け出ていただいて、その下に、各都道府県で、これをいろいろと医療関係者と話をしていただいて、つくっていただく、適正な配分をしっかりつくっていただいて、医療の無駄もなくなりますよね。なくなった部分は、医療の質の改善に向かえばいいわけですが、こういう形の中で、医療費全体を、持続可能な中でまわしていこうということを、1つ考えているんですね」

ビッグデータをどう活かす
反町キャスター
「膨大な医療データはどのように活用していくのか?同時に、個人情報ですよね、どう守っていくのか?」
鄭氏
「医療情報というのは、究極の個人情報ですので慎重な対応が求められます。このことに関しましてはセンターオブイノベーション(COI)ですけれど、こことJSTが中心になって、どのような扱いをするかということで日本全国的なことで、現在話し合いが始まっています。専門家が集まってやっているところですね。どのようにデータをとって、どのように管理するか、一元的なやり方をどうするかということで、話し合いをしているところですので、ちょっとお待ちいただければと思います。我々は、あくまでも大学病院というものを出発点として考えています。たとえば、東大の電子カルテの中には非常に優良な情報の電子カルテがたくさんあるのですが、現在2次データを有効活用するためのシステムを立ち上げています。そういうものは、たとえば、臨床の研究などに使うことができると考えています。まずはそのような病院から利活用していきたいと思っています」
反町キャスター
「現状とこれまでの研究の成果、何かありますか?」
宮城島氏
「データについては県立病院と、それから、薬局でデータ交換しながら、そういった仕組みについては進めているんですけれど、まだ全てのところへの広がりはデータのやりとりについてもいろいろ課題がある」
反町キャスター
「具体的に、たとえば、コストカットにつながるとか、医療の技術水準が上がるとか、その効果が出てくるまではまだもう少し様子を見なくてはいけない?」
宮城島氏
「そうですね。ただ、現在の情報のやりとりというのは、大変重要なことですので、まずは動かしてみないといけない。県立病院を中心に動き始めているところです。国の補助金もいただきながらやっています」
反町キャスター
「これは難しいですよね、田村さん」
田村議員
「我々もいろいろ検討している話です。マイナンバーの問題が一方でありますので、マイナンバーが動き出すと思いますが、実際問題、機能するのにはもう少し時間がかかると思います。実はこのマイナンバーに関しても研究会を立ち上げてどういう使い方があるかということを議論して、今年中ぐらいにはだいたい一定の方向性が出てくると思うんです。出てくると言ってもまだまだかかります、正直言いまして。使い方をそれこそ研究に使うところから、個人のパーソナルポータルサイトみたいなものですね。そういうものを管理するところとかがいろいろあるのですが、段階的に。問題はマイナンバーの場合には1つの番号で全部わかってしまう可能性があります、個人情報が。ですから、マイナンバーそのものを使うのではなく、たとえば、それにくっつくような社会保障番号みたいなものを使って、そこにファイヤーウォールを設けるみたいな形の中で、利用していく。いろんな検討をしている最中ですので、ただ、必ずこの番号で管理していくということは必要なことでありますから、これは進めなければならんと思いますね」
反町キャスター
「マイナンバーは2年後からですよね。医療データも組み込むような形というのは、いつ頃を目処に目標としているのですか?」
田村議員
「始まってから、最終的には時間がかかるんですけれども、その前段階を現在やっているのですが、一番の問題は個人情報をどうやって保護するか。もう1つは、全ての医療機関にそれを使ってつなげると、何をやるかによって各医療機関がそれだけの設備を病院ならいいですけれど、開業医の先生方もシステムを買わなければいけないですよね。さらに言うと、かなりのビッグデータが流れるとなると流す情報通信のツールをどうするかという問題も出てくる。オープンの形で使えるかというとなかなか難しいところもあるかもしれませんので、そういうことも含めると、いくつかの検討課題があって、その検討課題をクリアしていかないと、いきなりスタートしたけれども状況が揃っていないというのもなかなか難しい問題がありますので、うまく平行してこれから進めていかなければと思います」

医療の持続可能性
秋元キャスター
「日本の医療の持続可能性を考えた時に、国に対してどういうことを望んでいきたいですか?」
宮城島氏
「データをいろんな形で出してもらって、できるだけきめ細かいプランニング。現在の県別に出していますけれども、それをできるだけ市町村別に出すとか、いろいろなデータを出して、とにかく日本人は数字が好きですので、数字が出るとまた動いてくると思うんですよ。これが1つと、もう1つは個人の健康についても見える化のメリットが出せないかということですよ。交通事故の対策としてゴールド免許がありますが、ああいうような健康の見える化や、それから、無事故割引がありますよね。そういったこともおいおいできないかと。個人で健康(のため)にしたことが、健康は素晴らしいんですけれども、それをもっと具体的な形で見えるように。経済的なメリットがあるような形の制度を考えていただけるとありがたいです」
田村議員
「見える化は本当に重要なことなので、それをどう進めていくかというのを我々もいろいろと検討しています。見える化によって言われた通りに進むんですよね。見える化によってわかりやすく理解をすることによって、では何をやったらいいのかというのがわかってきますから。ですから、介護も医療もどうやって見える化を進めていくかというのが大変重要なポイントだと思いますし、国もしっかりあと押しをさせていただきたいと思います。ゴールド免許なのですが、現在も保険者で、たとえば、特定検診を受けたり、特定保険指導を受けたり、健康づくりをしている人達に、ヘルスポイントみたいなものをつくって、地域で使える通貨や、場合によっては現金を配ってもいいとしているんですよ。問題は、保険料をこれで下げるというのはどうか。保険料まで入ってくると難しい。健康づくりをやることに対するメリットをつけていくというのは、現在我々も進めていますし、これからもいろいろな方法を考えていきたいと思います」
鄭氏
「医療ICTの共通のプラットフォームづくりは我々も非常に努力しているところですし、他の拠点とも連携をやっているところですが、ぜひとも新しいご支援をいただきい。お金というよりも基本的な政策として、ずっと持続的にバックアップしていただければと。これは必要なこと。マイナンバー制というのが、まさに核となるものだと思いますので、ぜひ続けていただきたいなと思います。それから、我々としては大学…どちらかと言うとこれまで国立は全て国の補助金に頼ってやってきたわけですが、これは先ほどの将来像のからして成り立たないことだと思います。我々としても自分でできること自分でしたいなと思っていまして、そのためにセンターオブイノベーションというのは、新しい産学連携の取り組みをしていまして、これは企業にお金は出ないですね。企業は大学の自分の事業戦略があって、この大学の先生と組みたいと言う人と手弁当で組むんです。アカデミアの方には支援を出すんです、企業の方には出さないと。そうすると、事業戦略のある本気の企業は産学を勉強してくる。これによりもっと社会に本当のプロダクトを出していかないといけない。結局、商品にならないと、ビジネスにならないと長続きしないと思うんですね。ですので、こういうような取り組みを自分も自助努力でしていきたいと思っていますし、基盤的な政策は、たとえば、10年スパンとかで、なるべく変わらないとありがたいなと思っています」

田村憲久 自由民主党衆議院議員の提言:『健康づくり』
田村議員
「私が大臣の時に、これが重要だということで健康づくり推進本部というのを立ち上げました。私が本部長です。健康管理と予防をすることが、ご本人にとっても幸せですし、国全体でも幸せ、家族も幸せということでありますし、いかに自身でその意識を持って生活をしていただくか。私の反省の念も込め、この言葉を書かせていただきました」

宮城島好史 静岡県健康福祉部長の提言:『健康計』
宮城島氏
「これは2つ意味がありまして、1つは健康をはかるということでランキングを出して健康状態をはかってほしいということ。それと、もう1つは健康計と読んで万歩計ですとか、体重計、それから、体脂肪計のような個人の健康をはかるツールが是非できてほしいなと。国の方と、特に大学にお願いしたいんですけれど、こういったことが夢ですので、ぜひお願いしたいと思ってこれを書きました」

鄭雄一 東京大学COI副機構長の提言:『自分で守る健康社会』
鄭氏
「これまでのように病気になったら病院に。若者が高齢者を支える…というのではなくて、自分の健康は自分で守る。それから、高齢者も社会を支える、産業に貢献するという時代になってきたのではないかと思います。そういうことに関しまして、大学として、社会実相を念頭に置きながら、貢献していきたいなと思っています」