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2014年10月10日(金)
香港発…習政権炎上も 中国の思惑とリスクは

ゲスト

小野寺五典
自由民主党政務調査会長代理 前防衛大臣 衆議院議員
凌星光
日中科学技術文化センター理事長
石平
拓殖大学客員教授
リチャード・クー
野村総合研究所未来開発センター主席研究員

香港デモ“雨傘革命”のいま なぜデモは起こったのか
遠藤キャスター
「まず香港で起きたデモの経緯から見ていきたいと思います。今年6月から活動が活発になったのですが、7月1日から2日には完全な普通選挙を求めて、51万人がデモを起こし、これに対して警察が一部強制排除をしたのですが、8月に中国全人代が選挙制度の改革案を決定しますと再びデモが広がりを見せました。9月28日には学生らが幹線道路を占拠し、警察が催涙弾を使用して、雨傘でそれを阻止したということで、雨傘革命と言われているのですが、10月の2日、政府の本部庁舎などを包囲し、学生らが行政長官の辞任を要求します。その翌日、梁振英行政長官は、辞任を拒否するのですが、政府高官と学生と対話をしようという方針を発表しました。しかし、今日、その対話は実際には行われず、延期されることが決まりました」
小野寺議員
「まず1997年に、中国への返還がなされる際に、基本法の中で約束をされている普通選挙です。普通選挙が行われるということで当然皆さんは期待をしていた。ところが、その普通選挙で実際に候補者を決める指名委員会が、実は過半数がないとその候補者になれない。これは正直言って八百長以下ですよね。こんな普通選挙というのはあってはならない。誰が見てもそう思います。そういう意味で、学生を含めて、住民の方が怒るのは当然だと思っています。中国というのは大切な経済大国ですから、これからしっかり成長していただく中で、本来、中国がむしろ香港のような普通選挙に向かうような、民主化に向かうような方向に近づいていくのが正しい方向と私どもは見ています。今回は逆にせっかく民主化、あるいは私どもと価値観が近い自由な、報道の自由がある香港という、一国二制度ではありますが、その地区がかえって中国のような、残念ながら民主化をしていない、報道の自由がない。そういうところにむしろ引っ張り込まれているという、そこのところを、私どもは今回の学生のデモを通じて見るべきではないかと」
反町キャスター
「今日行われるはずだった、学生と当局の対話集会が延期になりました。学生側、集まる学生が少なくなったものだから、当局は対応を拒否している。要するに、数が少なくなったら相手にされなくなってきているという話ですけれども、その理由をどう見ていますか?」
石教授
「いや、私は学生達が言っている通りだろうと思いますよ。と言うのは、対話を、最初に提案したのは当局ですよ。自分達が対話を提案しながら、いざとなったら見送るということは、はっきり言って私達の昔の経験からすれば、当局は最初から対話するつもりも何もないんですよ。要するに、対話というエサを出して、学生達を分断するんですよ。結果的に対話ということになると、多くの学生達は退散したでしょう。それで退散をして、分断をさせる。この目的が達成すると、もうエサが要らないという」
反町キャスター
「もうそこから先は対話をしない?」
石教授
「対話をしないと思うんですよ」
反町キャスター
「今度はたくさん集まれと言っているではないですか。集まれば、また対話しようかと言ってきて、それを繰り返す?」
石教授
「どれぐらい集まるかですね。むしろ、以前よりさらに大量に集まってくると、当局がまた対話をしましょうという話になるんです」
反町キャスター
「そういう揺さぶりを当局が何回も繰り返すうち、皆さんは専従の運動家ではないから、学校もあれば生活もあるでしょう。仕事もあるわけではないですか。1回やると言って、バラけて、やらないと言って、また集まってと。これをやっていくうちに、だんだん先細りになっているのではないかと」
石教授
「それこそが当局が描いているシナリオですね」
反町キャスター
「凌さんはそうですか。当局の狙いはそこですか?」
凌氏
「対話はやるべきですよ」
反町キャスター
「いや、違う。聞いているのは、作戦はそれかということですよ」
凌氏
「学生を含めて意見を聞くべき。しかし、現在のような対立方式ではなくて、あくまでも中国の協商民主主義といいますか…」
反町キャスター
「何ですか、それは?」
凌氏
「話し合いということですね」
反町キャスター
「話し合いによる民主主義?」
凌氏
「ええ。そういう方向に持っていこうとしているわけですね。ですから、現在対話はするけれども、今言ったような対決的な対話。そういったものは避けたいと思っているでしょうね」
反町キャスター
「対決的な対話、話し合いによる民主主義。ちょっと中国の民主主義の、そのテクニカルタームというのはなかなか難しそうですね」
凌氏
「そのテクニカルがなかったら中国はまとまっていきませんよ。これは1つの発展の、民主化のプロセスがあるわけですね。そのプロセスの中にあって、中国はよくやってきましたよ」
小野寺議員
「ただ、今回の香港のこの選挙制度というのは、むしろ逆行ですよね。普通選挙と言って、さらに民主化が進むかと思うと、むしろ逆行ですよ。中国はむしろ逆行のコースをとろうとしている。私は、これは国際社会が中国に求めている方向とは真逆方向だと思うので、しっかり中国は、むしろ香港を1つのテストパターンとして、これから民主化し、国際社会の中で安心感を与える国になってほしい。私どもの防衛当局だってなぜ中国に文句を言うかというと不透明な軍事費がここまで続いていて、いったいどういう意図でこれだけ多くの軍事力を持つのかがわからない。国際社会がこういう想いだからこそ、中国に対して懸念を出している。これを是非、中国の指導者の方によく知っていただいて、香港の民主的な普通選挙を進めていって、将来自分達がその方向に行くのだというメッセージを出す、逆の、使い方をしていただきたいと思っています」

香港の行政長官選挙とは
遠藤キャスター
「今回の香港のデモで、学生達が要求していることは、大きく2つあります。1つ目が完全な普通選挙の実施。2つ目が、行政長官の辞任ですが、その1つ、選挙制度の問題について詳しく見てみたいと思います。香港では、行政長官は選挙で選ばれるのですが、前回、2012年まで地域の代表や業界、職能団体など1200人の選挙委員による間接選挙でした。しかし、今年8月、中国の全人代で、2017年以降は18歳以上の市民に選挙権を与える直接選挙。普通選挙の導入を決めたんです。これは一見よく見えるんですけれども、改正案では候補者の選出方法も変わります。どう変わるかというと、これまでは選挙委員1200人のうち、100名以上の推薦があれば立候補者になれました。つまり、立候補のハードルが低くなっていたので、3人のうち1人は民主派の人が選ばれていたんですね、前回は。しかし、今回の改正案で指名委員1200人のうち、過半数の推薦がないと立候補者、候補者になれないということで、事実上、親中派のみがこの候補者に選ばれる可能性が大きい。このことから民主的な直接選挙ではないのではないかということで、学生達を中心とした市民の反発が今回起きたんですよね」
凌氏
「民主主義について、私は選挙民主主義、協商・選挙民主主義と協商民主主義と3つに分けたのですが、プラトンも言っているように民主主義が必ずしも良いとは限らないと。プラトンは哲人政治を主張しましたけれども。選挙民主主義は選挙第一主義で、これは条件が整っていないところで、中東などでやって決してうまくいっていませんよね」
反町キャスター
「これはいわゆる、日本も含めて、欧米の民主主義ですね」
凌氏
「そうですね。それに対して現在、中国が香港でやろうとしていること。中国国内でやっているのが、協商・選挙民主主義。この協商というのは、中国で協商会議というのがありますけれども、これは選挙ではありません。各界の代表とか、有識者などが選ばれ、どちらかというと有識者の集まり、あるいは団体の代表の集まり。それと、現在、香港である人は指名委員1200人のうち、過半数を…」
反町キャスター
「候補者を、1200人の推薦によって決めるという、そういうことですね」
凌氏
「そうそう。ですから、どちらかというと協商に近いものがあります。最後に選挙、これは普通選挙。年齢の範囲内で資産とか、そういう男女の区別もしないと。これは普通選挙ですね。ですから、協商・選挙民主主義。これをやろうとしている。それから、もう1つ、協商民主主義というのは選挙をやる条件のないところでは、それぞれの、たとえば、部族の代表とか、あるいは宗派の代表とか、そういう人達で話しあって、これも一応民主主義を基盤としているという見方もできるわけですね。そういう中で現在、中国は最初、協商民主主義だった。できたばかりの時。人民代表制度というのがあってどちらかというと協商と選挙民主主義の両方でやっているのが中国の事情です。ただ、これにはいろんな欠陥があって、いわゆる党の依頼、あるいは有力な指導者の話で決まってしまうという。だから、改善する余地はまだたくさんありますけれども、これは一応、中国において機能してきました」
反町キャスター
「協商民主主義から協商・選挙民主主義へ向かっているという話」
凌氏
「こういうやり方を中国はやっていて…」
反町キャスター
「最終的には選挙民主主義までいくのですか?」
凌氏
「いや、必ずしも選挙民主主義がすごく良いとは限りませんからね」
反町キャスター
「中国は選挙民主主義を目的とはしていない?」
凌氏
「必ずしも目的とはしない」
反町キャスター
「選挙民主主義を目的とはしない?」
凌氏
「これをどうやって完全にさせるかということです」
反町キャスター
「これとは何?」
凌氏
「もっとより良いものにしていくか」
反町キャスター
「協商・選挙民主主義を?」
凌氏
「絶えず」
反町キャスター
「協商・選挙民主主義が天井なのですか。中国は?」
凌氏
「そうですね。これをどんどん変えていくのが基本です」
反町キャスター
「選挙民主主義にはいかない?」
凌氏
「たぶんいかない」
小野寺議員
「普通の民主政治のところから出ている私が考えて、地域の、たとえば、区長さんなり、そういう重い役の方と、業界団体、たとえば、いろんな建設だ、医師会だいろんな集まるそういう団体と、それから、他にも既存のいろんな勢力の人が集まっている、そういうグループの人の過半数を了承していただかなければ、立候補もできないという制度であれば、これは永遠にたぶん普通の一般の価値観を持った、いわゆる民衆からリーダーになることはできません。そうすると、相変わらず実はこのままでいくと、一定の人達が経済支配者になり、それが全然民主化せず、いつまでもこの体制をつくっていく。私が心配しているのは、今回の学生と同じように普通の国民の中におかしい、これは変だと、変えなければいけないという、必ずそういうマグマが溜まってきます。それがいつかは民衆運動になって、逆に体制崩壊の方に向かうと、いろんな国で現在起きているように、もっと悲惨な状況に移ってしまうと。民主主義というのは、1つの制度です。安全、セーフガードの制度です。何か問題があっても選挙を通じてその不満が言える。ですから、体制を維持することができる。私は、体制維持というのは口を封じて、ものごとを与えないで、何かあったら、強圧的に抑えて、ものごとを知らせないという、現在協商とか、いろんなお話をされましたが、中国の制度は、これは基本的に崩壊します。基本的に私どもが長年、学んできた民主政治の中で、自由な、いざとなったら選挙ということを通じて、不満を述べられる。だから、1つの体制を維持できる。こういう体制維持の方向に、本来、中国は向かうべきであるのに、今回の香港の制度は、むしろ逆にいっている。決してこれは中国のためにならないと思います」

台湾“ひまわり運動” 香港への影響は
遠藤キャスター
「今回起っている香港デモですが、実はそれに先駆けて、今年3月には、台湾でも“ひまわり運動”というデモが起きました。それはどういったものなのかと言いますと、3月18日、中国と台湾の互いの市場を開放するサービス貿易協定に対し、中国に有利で台湾の民主社会に悪影響があると抗議し、撤回を求める学生らが協定の批准を阻止するため、台湾の国会にあたる立法院を占拠したことから始まりました。治安当局は強制排除に乗り出したのですが、それによって、また衝突が起きまして、12万人にも及ぶ学生達のデモ、大規模な抗議活動が行われました。結果、議会側が貿易協定内容を監視する法律ができるまでは協定の審査を開始しないと約束し、学生らは撤去して、収束したのですが、台湾のひまわり運動というのは、香港の今回のデモにどういった影響があったのでしょうか?」
石教授
「もちろん、おそらく間接的にも、直接的にも、いろいろあったはずです。特に、台湾の学生達も香港に入ろうとしたんですね。ただし、中国と、根本的に違うのは、台湾は民主主義社会です。そうすると、学生達はそういうことをやると、結果的に政府が一応、譲歩をして、それで学生達とそういう約束をする。それが民主主義ですよ。ただ、先ほど、おっしゃった協商民主主義にしても、民主主義の基本制度があるからこそ、政府が、学生達と対等な立場でいろんなことについて相談をしてとり決める。それが民主主義の姿です。だから、おそらく香港の学生達は、台湾を見て、むしろうらやましいと思うんです。台湾が民主主義になった。しかし、香港は残念ながら、現在中国の支配下でそうなっていないですよ。私から見れば、香港の学生達が、台湾のデモと1つ共通したところがあると思いますのは、両方の枠の中では、自分のアイデンティティの問題も抱えています。要するに、彼らが立ち上がった理由の1つがはっきり言って、中国人になりたくないという気持ち」
反町キャスター
「それは、台湾の人、香港の人、どちらですか?」
石教授
「両方です。だから、共通項です。台湾の子達もはっきりと、自分達は“台湾人”という認識。要するに、中国人になりたくない。香港の学生達も自分達のアイデンティティは、あくまでも“香港人”、あるいは中国人と一緒にされたくないよという、おそらくそれが1つの共通項ではないかと」
反町キャスター
「クーさんもそういう感触を受けますか?台湾の人達は、自分達は中国人と一緒にされたくないという…」
石教授
「若者達の一部がで、全員ではないです」
クー氏
「これは、たとえば、20年、30年のアンケート調査を見ていきますと、急激に、その意識は強まっています」
反町キャスター
「分離主義が」
クー氏
「分離主義と言うか…」
反町キャスター
「独立主義?」
クー氏
「中国人と一緒にするなよと。我々は“台湾人”だという意識がすごく、アンケート調査を見ていると高まっている。現状維持というのがこれまで大きかったんですけれども、現状維持だけではなくて、我々は違うと言い出している人達がどんどん増えてきていて、これは、私は中国の政策、もしも私が中国側だったら相当注意してこれから対応していかなくてはいけない問題だと思うんですね」
反町キャスター
「たとえば、習近平さんは、9月にこういうことを言っているわけですよ。『台湾では依然として独立勢力が、(中台)敵意と対立を扇動している。いかなる国家分裂行為も絶対に許さない』と。これは4月に台湾で大騒ぎがあって、9月の26日に、北京で、習近平さんは台湾に対して、こういう発言をしていると。クーさんの言うような感覚で、中国側が動いていない証拠のようにも見えるのですけれど、これは表の発言なので、これだけで判断するのは非常にリスキーですが、ただ、表でもこういう強気の姿勢を崩さない、ないしは崩せない中国側の心理状況をどのように見ていますか?」
クー氏
「これには2つの背景があって、1つは、習近平さん自身の権力基盤がどのぐらい確立しているのかということで、半年前に比べれば、1年前に比べれば、相当強力なものになっていると私は理解していますが、腐敗撲滅運動で、結構、長老、たとえば、鄧小平関係者、胡錦濤関係者、江沢民関係者まで全部敵にまわしちゃったので、一時すごく彼の立場は危なかったんですね。それが現在ようやく中国国民の支持を得て、政権基盤をかなりしっかりしたものにしてきたというのがあって、本当に、彼がしっかりした政権をつくれば、台湾に対しても、日本に対しても、香港に対しても、もっといろんなことを言えるようになると思うんですね。でも、まだその過渡期ですから、9月の段階というのは。半年後はもう少し違うことを言い出すかもしれない。それが1つと。それから、中国は実はすごく巧みなことを何年か前にやりまして、それがどういうことかと言うと、これまでは統一だと。時間を決めても統一だと、江沢民は言ったわけですね。これに対しては、台湾では反発があって、もちろん、アメリカも、日本も、すごく警戒をしたわけですけれども、胡錦濤時代にどこかの知恵者がいまして、現状維持と統一の順番を逆にしたんですね。現在は現状維持だよねと。統一は中長期的な目標にしましょうと。これでどういうことが起きるかと。アメリカはその時点ではイランの問題で頭がいっぱいで。イランというと、イスラエルの問題。イスラエルの問題は、アメリカにとって重大な問題ですから、ここで事を起こしてほしくなかったわけですね。そうすると、それに乗るわけです。それはいいよねと。台湾の中でも野党、民進党の方は独立志向ですが、国民党の方は現状維持。現状維持で共産党も現状維持なら話ができると。それで一気に台湾海峡問題を、自分達のペースに巻き込んじゃった。アメリカに静かになってもらう。台湾では2つに分けて、統一統一と言っている時は国民党も民進党もとんでもないという反応を示しますが、現状維持と言うと国民党は中国寄りになる。民進党はそれに反発すると。こういう分断ができるわけですね。そこは非常に中国はうまくやったなと」

香港デモ“雨傘革命”の余波 欧米諸国はどうとらえている
遠藤キャスター
「香港の民主化を支援する欧米の対応を、中国政府はどう見ていますか?」
凌氏
「これは明らかに内政干渉だということで突っぱねていますよね。それで、オバマ大統領と習近平が首脳会談をやりますが、たぶん争うことになるでしょう。中国は絶対に内政干渉は許さないという基本姿勢は変わりません。一国二制度についての一国というものを、これは前提条件だから、そのうえでの二制度という位置づけですから、ですから、国家の主権に関わる問題について、中国は絶対譲らないということですから、欧米に対しては反発するし、アメリカにしても、ヨーロッパにしても、中国と対立することは望んでいないでしょうから、妥協点を見つけるでしょうね」
遠藤キャスター
「クーさんは、今回の発言の反応はどう見ていますか?」
クー氏
「私も先週の金曜日にワシントンでいろいろな方と意見交換をさせていただいてきたのですが、中国に対する懸念は大変強くなっていました。現在民主党政権です、アメリカは。民主党政権というのはどちらかというと中国という国にはソフトで、共和党政権というのはもっと強く出るというのがこれまでのパターンですけれど、民主党政権のいろいろな方々と話していても、ちょっと現在の中国は行き過ぎであると。我々も強く出なくてはいけないというトーンに変わってきていますね。ヘーゲル国防長官が、尖閣も含めて、安全保障条約を結んだ国々とは約束を全部守ると強く言ったことで、中国は反発したわけですけれど、背景は何かというと、アメリカが懸念しているのは、中国はいろんなところで国境紛争を起こしているわけですが、中国がアメリカと、凌さんの話ではないけれども、こんなつまらないことで対立は望まないだろうと、勝手に想像して一歩一歩進むと。これに対してアメリカは絶対に許しませんよという強い意思表示をしたんだと。こうしないといわゆる読み違いということから、それ自体が雪だるま式に悪化して、それが第一次世界大戦みたいなことになりかねない。だから、現在アメリカでよく言われているのは第一次世界大戦のケースですね。第一次世界大戦というのは本当に些細なところから、読み違いに読み違いが重なって、あそこまでとんでもない形になっちゃったわけで、これは第二次世界大戦と全然性格が違うんですね。現在中国が紛争を起こしている地域というのは、皆見てみればちっぽけな地域なわけですよね。でも、そこで読み違いが起きて、アメリカはここまで手を出さないだろうというところで中国が一歩進むと、そこでアメリカがドーンといく、そこで中国が反発する。こうなったら一気に大戦争になっちゃうわけですから、それを事前に防ぐためにあれだけはっきり言ったのだと関係者からは言われました。そういう意味で、アメリカは非常に強く出ている。もう1点だけ、先ほど内政干渉というお話があったのですが、これはアメリカについても言えることです。どういうことかというと、もしも中国政府がアメリカ国民の我慢できないような行動をとったとします。そうすると、アメリカはどういうことをとるか。経済制裁に出るわけですね。経済制裁に出ると、中国の30年間の経済発展というのは1つの大前提があったわけで、その大前提というのは自由貿易ですね。自由貿易というのは自然に発生したものでは決してなくて、戦後アメリカがつくった政策ですね。それまではフランスのフラン圏とか、ブロックがあって、たとえば、中国でつくっても他の国に売れないとか、いろんな制約があった。それが1945年に、アメリカはこんなことやってはダメだということで自由貿易をつくるわけですが、その影響を一番受けた、最初に受けたのが日本だった。日本は何を表明したかというと、領土を拡大しなくても経済繁栄はできる、つまり、良いモノさえつくれば世界中に売れるわけだから、それでまず日本が成功するわけですよね。それに韓国、台湾が乗っかってきて、最後に乗っかってきたのが中国ですが、中国の開放経済が始まるのが1979年です。1979年ということは、現在中国で政策を担っている方々は、自由貿易以外は知らないんですよ。と言うのはこれ当たり前だと思っているんです。それに対して現在のアメリカは当たり前と思うなよと、はっきり言っています」

小野寺五典 自由民主党衆議院議員の提言:『港人治港』
小野寺議員
「これは香港に限った言葉でよく香港の方が使う言葉らしいのですが、香港の港で、港人治港と言いまして、香港の人が香港を治めるべきだということです。長い間、国際政治を見ていると必ず問題や紛争が起きる時というのは、支配者階級と一般の国民と、たとえば、民族が違ったり、宗教が違ったり、いびつな形での支配階級と一般民衆階級があって、これはある時は安定するけれども、ある時はこれが本当にひっくり返る。中国の歴史も確か漢人と満州人といろんな歴史があったと聞いていますが、おそらく現在様々な国でも同じようなことが起きている。香港の方が香港を統治すると。ですから、鄧小平の時は良くわかっていた。連邦とか、いろいろな制度で多民族が一緒になって国をつくっている制度ありますよね。中国はウイグルの問題とか、いろんなところで苦労されています。何か1つにまとめて1つの民族でこれをガチッと治めていこうとすると、必ずそこにいろんな矛盾がある。日本も歴史の中で、不幸な歴史ではありましたが、たとえば、満州に出ていた時に、そこの国民に対して日本語を強要したり、宗教を強要したり、いろんな形でいろんな問題があったことは歴史の反省です。そういう意味で、私はせっかく経済が中心となって動いている香港。ここをきちんと運営する中で、香港人の活用、香港の皆さんの気持ちを聞いてしっかりつくっていく。いずれにしても香港は中国の経済なしではやっていけないわけですから、すぐにはいかないかもしれないけれども、少なくとも普通選挙、民主主義が根づいた形の智恵が出てくる。今回の制度を中国政府に期待したい。それが、今回の香港のこの話を1番良い方向に持って行くシナリオだと」

凌星光 日中科学技術文化センター理事長の提言:『日中友好関係の回復』
凌氏
「なぜ回復かと言いますと、ずっと40年間続いた友好関係が実は一昨年から途絶えちゃったんですね。安倍首相は、対中友好外交は中国に利して日本の利益にならなかったということを言ったことがあるんですよ。対中友好外交に対する批判者だったように私は記憶しています。最近、安倍首相が日中の友好関係を重視するという発言をなされました。これには大変、私は喜んでいます。中国側が安倍さんの1つの転換のシグナルだと言っています。これがさらに前進して、4つの政治文書に基づいた関係改善に向かっていくことを心から望んでいます」

石平 拓殖大学客員教授の提言:『中国と距離を置けば日本はうまくいく』
石氏
「私は、むしろ別の考え方で、中国と距離を置けば、むしろ日本側はうまくいくのではないかと思います。と言うのは、何が言いたいかというと、歴史的に見ても、日本という国は、中国大陸に深入りし過ぎた時はだいたい残ることが何もないですから。火傷して帰ってくる。むしろ一定の距離を置いた時代は、日本が安定して繁栄しているんです。平安時代にしても、江戸時代にしても。何が言いたいかというと、今後日本も、中国大陸とくっつけるというよりも、中国大陸周辺の国々。たとえば、同じ民主主義の価値観を共有する、そういう国々と連携して、アジアの平和と秩序を守っていく。それこそ日本が国際社会で生きる一番賢明な道ではないかなとは思います。もちろん、中国と喧嘩するのではないですよ、距離を置けば、です」

リチャード・クー 野村総合研究所未来開発センター主席研究員の提言:『中所得国の罠』
クー氏
「経済学の言葉で、1人当たりの所得が年間1万ドルぐらいで成長が止まっちゃうということを中所得国の罠と言うのですが、現在中国は7000ドルまできて、そろそろこの問題に直面しているのですが、彼らもこのことはよくわかっています。なぜこれが重要かと言いますと、今回の中国の経済発展、これは全世界にとっても恩恵があることですし、中国にとってももちろん、いい。ところが、この30年間、人類史上最大の経済成長をやったわけですけれど、その条件がこれからどんどん厳しくなってきます。人口ボーナスもなくなっていくし、賃金も1万ドルと、中所得国の罠に入りそうなところまできている。そういうところで、うんとこれからがんばらないとここを抜け出せないです。これまでの歴史を見ても中所得国の罠を抜け出した国はいくつもないですよ。実は、日本と台湾と韓国とシンガポールと、幾つかしかなくて、欧米を除くとごく僅かしかない。これも大変な苦労をして抜けてきた。中国のこれからの条件を見ますとこれからどんどん条件が悪くなってきます。賃金も上がっちゃったし、人口ボーナスもなくなって、もっと経済成長に力を入れなくちゃならない。なぜこれが重要かというと、今回、中国の直面しているチャンスというのは200年来のチャンスです。200年来というのは、中国のこの200年の歴史というのは大変悲惨な歴史だったわけですよね。中国人は酷い目に遭ってきた。まず列強、イギリス、フランスに酷い目に遭って、今度は日本に酷い目に遭って、内戦をやっちゃって、その開放されたあとでも大躍進だとか、酷い目に遭って、何千万人も人が死んじゃって、ようやくこの30年間に、鄧小平さんがこんなことはやっていられないということで、経済発展をやったわけですが、そうすると、200年来のチャンス。でも、これはあと15年しかないんですよ。15年で人口がどんどん減っていく。現在既に生産人口が減り始めている。これを無駄にするなと。これをもし習近平さんが言えれば他のつまらない話を抑えられる。香港の話ももうこんなことで中国の200年来のチャンスを無駄にできないだろうと言って変われば、全てがうまくいくわけで、そういうことを日本は中国に言うべきではないかと思います」