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2014年9月26日(金)
拉致“報告遅れ”何が ▽ 安倍国連外交の成否

ゲスト

山谷えり子
拉致問題担当大臣(前半)
平井久志
ジャーナリスト(前半)
山本一太
前内閣府特命担当大臣 自由民主党参議院議員(後半)
星野俊也
大阪大学副学長(後半)


前編

拉致被害者らの再調査への対応は
佐々木キャスター
「5月にストックホルムで行われた政府間協議で北朝鮮が拉致被害者らの再調査に合意をしました。7月になって北朝鮮が特別調査委員会の設立を公表したことで、日本が一部の独自制裁を解除しました。再調査に関しましては、夏の終わりから秋の初めにかけて初回の報告がなされるということだったわけですけれども、北朝鮮からの連絡があったのが9月18日。その翌日、菅官房長官が行った記者会見によりまして北朝鮮から、現段階では、初期段階を超える説明はできないという連絡があったことが明らかになりました。山谷さんは北朝鮮のこの対応についてどう受け止めていますか?」
山谷担当相
「被害者のご家族は毎日毎日、期待と不安いっぱいで待っています。夏の終わりから秋の初めの頃に、第1回目の報告をするということでありましたけれども、まだ初期段階だから、初期段階以上の説明ができないという、全く報告にも何にもなっていない連絡が来ていまして、これはとても誠実な対応とは言えないわけですし、納得できませんので、来週の月曜日に瀋陽において日本の外務省の井原アジア大洋州局長と北朝鮮の宋日昊大使との会合の場で日本側が説明を受けるということであります」
反町キャスター
「拉致をずっと見てこられた中で今回、政府の流れの中での被害者家族側の期待感の盛り上がり。これは以前のものと比べて、どこが違うのか、どれぐらい高いのか。そこはどのように見ていますか?」
山谷担当相
「被害者の家族会は平成9年につくられて、小泉内閣の時に、5人の被害者がお戻りになられて、国内世論もこれは大変なことだと、オールジャパンの気持ちが整ったと思うんです。その時点で次は自分の家族が帰って来ると皆さん、思われたわけですけれども、それから、また12年間、闇に閉ざされるような状況でしたから、今回、誰よりも強いリーダーシップと、私の内閣で解決をするという安倍内閣の下で、日朝協議が再開されたということで、今度こそというのか、皆さん、高齢化されていらっしゃいますので、時間がないという思いでいっぱいです」
反町キャスター
「日朝国交正常化交渉担当大使は、共同通信のインタビューに応え、9日、こういう発言をしています。『再調査の結果として、現状でも十分に既に報告する内容は、我々(北朝鮮)は持っていると。日本側が拉致の疑いが排除できない行方不明者数を増加させたことは、再調査をさらに難しくする』と。間口をあまり広げないよう牽制しているんですね。再調査を念頭にしているが、信頼関係が損なわれれば、やたらと行方不明者の調査対象者を増やすようなことがあまり行われると、延びる他ないというふうに、宋日昊さんは言っているわけです。現状でも十分に内容があると9日に共同通信に応えた宋日昊大使の発言ですが、これに関連して共同通信は20日にこういう記事を出しています。共同通信の報道によると、今回の、第1回目の報告において、北朝鮮側が言わんとしたことは、再調査の初回報告で拉致被害者の情報は提供できないが拉致の疑いが拭いきれない特定失踪者、残留日本人、日本人配偶者の安否情報を提供する案を提示したと。4項目の、今回扱うテーマのうち、3つの部分の情報を提供する案を北朝鮮が提示したのに対し、日本側はそれではダメだということで正式に拒否をしたということですけれども、このやり取りをどう見ていますか?」
平井氏
「私は特定失踪者まで出すと思っていませんでした。むしろ、もっと中身のない内容に、第1回目はなるのではないかと」
反町キャスター
「残留日本人と日本人、いわゆる日本人妻と残留日本人?」
平井氏
「もし共同の報道が事実ならば、特定失踪者の方達も、拉致の問題と絡んでいるわけですね。ですから、もしこういう提案をしてきたのが事実であれば、受け取らないという姿勢に若干、問題があるのではないか。もちろん、その回答が特定失踪者という人を調査したけれど、何もありませんでしたと。我が国にいませんでしたと。そういう可能性もありますよね。あるいは自分で進んで来た人達でした。そういう可能性もありますし、拉致の結果、来た人達。いろんな状況が想定されるんですけれどもね。行方がわからないご家族の方達の立場から考えれば、それでも、そういう状況はほしいという気持ちは、私はあるのではないのかなという意味では、もしこの報道が事実であるということを前提とすれば、報告を受けた方が良かったのではないかなという気はします」

北朝鮮とどう対峙するのか
反町キャスター
「初期段階を越える説明ができないと北朝鮮が言ってきた時に、それでも一応報告を受けましょうという形に、29日は、そういう位置づけではないんですよね。こちら側からもう一度、押し込むような場だと理解をしていますが」
山谷担当相
「押し込むという意味がちょっとわからないんですけれども、誠実な回答を出してほしいということを、そして、調査がどこまで現在進んでいるのかということを29日、お聞きするということだと思いますが、それに対して北朝鮮に誠実に応えてほしいと思いますけれど、まだ今日は29日ではありませんのでこれ以上は何とも言えないという状況です」
反町キャスター
「日朝の交渉の状況をどう見たらいいのですか?」
平井氏
「ですから、(2014年)5(月)29(日)合意で、一応そういう合意をしちゃったわけですよね。1つの問題を優先させないと。方向として。私はもちろん、国民感情として、拉致の問題を一番はやく出してほしいというのはわかるのですが、他の問題も深刻な人道問題ですから、日本に帰りたがっている日本人妻の人、残留日本人の方がいらっしゃるのであれば、それはおそらく北朝鮮と日本の大きな意見の違いがありませんから、その人達の問題をはやく解決しちゃって。そうすると、彼らは4つの問題を均衡に扱って、3つ解決なのに何でこれだけ回答しないのと。そういうアプローチもあり得るのではないのかなという気がするんです」
反町キャスター
「何がいいか。800人なのか、12人なのか。全然違うわけではないですか。北朝鮮に対してどう回答を求めていくのか。この間口が広がったり、狭まったりすると、北側も、別に北側を弁護するわけではないですよ、けれども、宋日昊さんが言わんとしていることは行方不明者数が増加をすることは再調査を難しくする。何人を調査すればいいというのが北側の本音の部分ではあるのだと思うんですけれども、ここは日本政府としては間口というか、対象者というのは何人だと北側に通告しているのですか?」
山谷担当相
「昨年、(国連)人権理事会に、その調査委員会が立ち上がって、私は2日間に渡ってヒアリングを受けました。その時にカービー委員長を始め、その調査の皆がお聞きになったのはいったい被害者は何人ですかということでした。被害者が何人なのか知っているのは北朝鮮ですとお答えしました。被害者が何人なのか北朝鮮は知っているわけです。国家の管理下に現在置かれていて被害者は自由を奪われているわけであります。だからこそ、すぐに返しなさいということであります」
反町キャスター
「そうすると、人数は日本側から言わないということですね?」
山谷担当相
「知っているのは北朝鮮です」
反町キャスター
「そうすると、でも、800人とも12人とも言えない、言わない。数字を向こうから、たとえば、今回我々が調べた結果、30人の消息が判明しましたと。こういう返事になってきた時に、その中身を精査するのと同時にこれで終わりかどうかということを日本側が北朝鮮にどういうふうに返事をするのか。このへんはどう見ていますか?」
山谷担当相
「各県警が拉致の疑いが排除できない事案として現在883人を調査し直して、いろいろ情報収集をしているわけですね。ご家族のご意向で、既に六百数十名のご家族のDNAを採取いたしました。ホームページにアップしてもらっていいという方も、四百何十人おられるという状況の中で、全ての被害者を返してほしいと。北朝鮮が不誠実な回答をしてきた場合には、それは違うということをきちんと主張しながら、正しい結果を出していく。普通の外交交渉とは違いますので、相手にも立場があるだろうから、このへんで妥協しようだとか、いわゆる外交交渉とは違いますね。犯罪による、とにかく被害者を全員返しなさいということでありますから、その大原則は貫かなければならないですし、ご家族の皆も中途半端な妥協はしてほしくないとおっしゃられるのはそういう意味であると。そのくらい長く苦しんできましたし、不誠実な北朝鮮のやり方というものに翻弄されながら、今日まで来たということであります」

山谷えり子 拉致問題担当大臣の提言:『必ず取り戻す』
反町キャスター
「必ず取り戻す。これを敢えてもう1度言うということは、安倍政権として、大臣になられた時に、総理からあらためて強い気持ちの伝達とかがあったのですか?」
山谷担当相
「長く拉致問題の解決に向けて取り組んできて、ご家族と一緒に歩いてきた大臣として、安倍内閣で全面解決をしたいから、ということで、本当に長きに渡って取り戻すことができなかった日本国家というのは何なのだという気持ちが強くございます。国民の生命と財産を守るのが政治の第一の責務でありますから、国家が国家としてあるために、そして、被害者のことを思うと必ず取り戻すという。これは国民総意だと思いますし、オールジャパンで与野党対立なく進めていかなければならないと思っています」

拉致被害者らの再調査 迅速化するには
佐々木キャスター
「平井さん、拉致問題を迅速に解決するためには、何がこれから必要になってくると思いますか?」
平井氏
「私の個人的な考えですけれども、現在せっかく協議をやっているわけですから、もっと頻度を上げるべきではないのかなという気がしますけどね。北朝鮮はサラミソーセージみたいに問題を小出しにしてくるわけですから、何週間かとか、毎月でも協議を行って、現在の調査の実態はどうなっているんだと言って、サラミソーセージを何枚も切らせるということですよね。そうすると、少し厚さが出てくるのではないのかなという気がするので、せっかく始まった協議ですので、1回は成果がなくても、そういう追及の場というのですか、どうなっているのですかという、そういうものを積み上げていく、一気に物事が全て全面転換するというのではなくても、一歩一歩勝ち取っていくという姿勢が少し必要なのではないのかなと思うんです」
佐々木キャスター
「途切れさせずにということですね」
平井氏
「ええ」
佐々木キャスター
「この拉致問題に関して日本政府の姿勢ですが、今回の北朝鮮の連絡を受けて、安倍総理と菅官房長官、それぞれにこのような発言がありました。全ては結果であります。まず安倍総理ですね。『今後とも対話と圧力、行動対行動の原則を貫きながら、全ての拉致被害者の帰国という具体的な成果につなげる』という発言です。菅官房長官は『この交渉は、そう簡単にいかないと最初から認識している。これから、交渉の正念場。北朝鮮も調査を誠実に進めていると説明している』と、19日、同じ日に、それぞれの発言があったのですが、平井さんはどのように見ていますか」
平井氏
「私は、これは会社で言えば、会長の方が原則的な発言をされ、実務に一番近い役員の方が少し実務に則った発言をされたのではないのかなという気がしますね」
反町キャスター
「たとえば、遺骨の問題だとか、日本人妻の問題で、北朝鮮はそういうものによって、より大きな、さらなる制裁解除、さらなる日朝関係の改善というものを、向こうは取ろうとする。日本側はそうではないと言って、今後も引き出せるように、数を重ねることによって、より本丸に近づいて行こう。こういうせめぎ合いが、今後も続いていくだろうと。こういう感じで見ていますか?」
平井氏
「そうですし、向こうの基本的な姿勢は、拉致問題というものを薄めようとする姿勢だと思うんですよね。でも、日本人の側からすれば、逆にそんなもので薄まりませんよということを一方で持ちつつ、現在残っている問題もかなり深刻な人道問題なわけですよね。だから、それが問題がいくらかやれば、この問題どうなっているのですか。あなた達は平行して進めると言ったのに全然平行ではないではないですか。この部分だけへこんでいるではないですかという姿勢の方が、非常に短い時間で言うと優先ではないかもわからないけれども、ある期間で考えた場合には、その問題を優先しているという、トータルで、その問題を優先させるということにつながっていく交渉戦術になるのではないのかなと思うんです」

政府としての対応は
反町キャスター
「その交渉の仕方ですけれども、平井さんは、要するに、向こうが小出しにしてくるのだったら、たくさん会うことによって、より多い量を、とにかく得るように努力をするべきではないかと。交渉の進め方については、どのような姿勢で臨べばいいと感じていますか?」
山谷担当相
「安倍総理は、誰よりも、北朝鮮という国の難しさ、また、いろいろなやり方を理解している総理だ思っています。その交渉のやり方は、当然、全ての被害者の1日もはやい帰国というのが目的、結果ですから、その結果を出すために総合的に、またいろいろな角度から考えていかなければならないと思いますけれど、どのような方法で何をということをここでお話するわけにはいかないという状況もご理解いただきたいと思います」
反町キャスター
「ただ、その対話と圧力とずっと安倍総理もずっと言われてきた中で、たとえば、これまでの日朝協議の経過とか見ていると、向こうが短距離ミサイルを撃った直後にも協議をやっている。これまでだったら、それを撃った時点で、飛んでいるような協議もちゃんと、いわば日本政府的に言うと我慢をして日朝協議のパイプをつないできている経緯があると思うんですけれども、そのへんの安倍総理のこれまでの圧力と対話から、最近は対話と圧力と舵を切っているような印象がある、それは違いますか?」
山谷担当相
「拉致、核ミサイルの問題を包括的に考える、解決していくというのが日本の立場であります。圧力に重点を置いた対話と圧力という方針でありますので、その下に総合的に判断をしながら、今日まで進んできているという状況であります」
反町キャスター
「それは現在も変わっていないと感じていますか?あれだけミサイルを撃っても、まだ協議のパイプをつないでいる。これは明らかに舵は切ったと思うんのですが、それは違います?」
山谷担当相
「舵を切ったのか、そして、今後どうなるのか。それも含めて、何か言うというのは適切ではないと思っています」
反町キャスター
「相手に変な、誤ったシグナルを送ってしまうと。そういうことがあると。そういう意味ですね?」
山谷担当相
「それも含めて、いろいろ。はい」


後編

安倍首相国連演説を検証 その狙いは
佐々木キャスター
「今回、(国連演説で)総理が多岐にわたる話題を取り上げているのは、どのような狙いがあったと思いますか?」
山本議員
「地球的規模の課題に対する日本の貢献を表明するということです。たとえば、それは気候変動であったり、総理が演説の中でも言及している人間の安全保障であったり、女性高齢者の問題であったり、もうちょっと広く言うと、安保理改革の問題もあると思うんです。もう1つは重要国。重要地域との関係を強化して、この中で、たとえば、安保理改革を働きかけるとか、特に、2015年に非常任理事国の選挙がありますからね。この働きかけもやったということで、これはかなり成果があったと。3つ目は日本の取り組みを発信するということですよね。アベノミクス、特に、今回総理が強調していた女性が輝く社会づくり。女性に対する人権侵害と戦争下での性暴力の撲滅、これはおそらく慰安婦問題も意識して、もうちょっと大きな切り口から言っているけれど、つまり、女性の活用という点でむしろ諸外国から比べて遅れてきたと思われている日本がこの問題にイニシアティブをとるということを発信したと。これもそうだと思うんですけれど、ご夫妻で着物を着て、レセプションに出て、日本の和食も発信したということで言うと、その3つの目的が全て演説の中に盛り込まれていると。全体で言うとそういう印象だと思います」
反町キャスター
「総花的と言っちゃいけないんですか?」
山本議員
「これは総理が、歴代の総理に比べて、地球儀を俯瞰する外交というのを標榜して、1年8か月の間に49か国に行った。小泉総理の記録を抜いたんですよ。小泉総理は5年やっていますから。なおかつおそらく200人を超える首脳と会談をしている。こういう総理の外交成果の集大成みたいなところがあって、ダボス会議でマルチステイクホルダーが集まる場所での発信力というのは、歴代の総理に比べて図抜けていると思うんですよね。ダボス会議での発信、IISS(英国国際戦略研究所)というイギリスのシンクタンクが主催するシャングリラ・ダイアローグでのアジア安全保障会議、5月の演説というものの集大成ですから、現在日本が打ち出すべき3つのメッセージを極めて15分の演説の中に効果的に盛り込んだと思います」

イスラム国問題への対応は
島田キャスター
「安倍首相の国連演説の中東安全保障部分をどう見ていますか?」
星野氏
「もちろん、現在進行形でアメリカを中心としたシリアにいるISISに対する空爆というのは続いているわけですよね。これに対する日本の態度はもちろん、難しいと思うんです。だけど、テロとの戦いという意味では、それを支持していますし、空爆に対するアメリカの動きに対しての理解を示しているということですけど、実際日本は何ができるのかと言った時に、人道支援であろうということですね。ここでアピールしているのではないかと思いますね」
山本議員
「これはまさしく安倍総理の標榜する積極的平和外交の、最も具体的な例だと思うんですよね。つまり、積極的平和外交と言った時に、たとえば、韓国や中国の一部で何となく日本がもう1度ミリタリズムの道を歩むのではないかという見方がありますが、積極的平和的外交というのはそういう意味ではなくて、日本として安全でより公正な社会をつくるために積極的にプレイヤーとして責任を果たしていくという意味ですから、そこにはできることとできないことがあって、現在の平和憲法の下で、たとえば、日本が空爆に参加できるか(というと)、これはできませんから。では、空爆に参加できなくても日本としてテロと国際社会の戦いに貢献できるとすれば、現在、ISISにあちこちの国の若者が勧誘されているんです、SNSで。そういう事態があるわけでしょう。こういう思想が蔓延しないように特に周辺国、あるいいはイラクやシリア、こういうところにしっかり援助をして、政治の安定、地域の安定をはかるということが現時点で日本が最も貢献できることだということで、5000万ドルの緊急支援があるんだと思います」

中東紛争問題解決に国連は
佐々木キャスター
「今回の国連安保理決議では、『外国人戦闘員の募集や装備供与や資金供与を阻止』などが出されています。この対応をどのように見ていますか?」
星野氏
「まず安保理は首脳級でやったんですよね。それだけ安保理としてもこの問題は国際社会の最重要な課題にして、現在まさに山本先生がおっしゃったように若者達が本当にここに入り込んでいくという、この問題をどうするかということですね。そういうことで、外国人の戦闘員の募集をやめさせることとかも含め、旅行者の入国、通過阻止。これは極めて重要なステップだと思います。ですから、空爆への承認が得られないということ自体が、国連安保理が機能していないという、まさに問題そのものですけれども、できる範囲でいくと、ここが限界だろうなという気がするんです」

国連・安保理改革の必要性 G4外相会合の狙いは
佐々木キャスター
「G4(日本・ブラジル・ドイツ・インド)外相会合の共同声明は安保理改革への一歩前進と言えるのでしょうか」
山本議員
「簡単に言うと、国連改革、特に安保理改革は相当停滞してきたと思うんですね、ここのところ。それをここで来年発足70年になるのを契機にもう1度モーメンタムを復活させたいと。そういう意図が安倍総理にはあったと思うんです。スリランカのラザリさんという人が総会議長になって、初めて各国をまわって、各国の立場を、ヒアリングをきちっとやって、テキストベースと言っていいのか、ラザリ提案というのを行って、もしかしたら本当に安保理改革が進むのかなみたいな話になってきたんですね」
反町キャスター
「小泉政権の時ですか?」
山本議員
「小泉政権よりちょっと前かもしれません。小泉政権の時にここがもしかすると日本が一番常任理事国に近かった時かもしれないんです。なぜならばまだ日本のGDPが世界の10%を超えていると。ちょっと前までは10年ぐらい連続で世界最大のODA供与国だったんですね。実はこれを何とか進めなければならないということで現在からちょうど10年前、国連発足60周年に向けて、何とか安保理改革を進めようということで、2004年か2005年だと思いますけれども、いわゆる新常任理事国の候補と言われている日本、それから、ドイツ、ブラジル、インドというG4の首脳会談をやって、これでもうG4で提案を出そうということをやったんです。このG4提案という決議案を出し、少なくとも国連総会に諮ろうとしたんですね。まずこれを成立させるためには、3分の2の賛成が必要なんです、129か国。なおかつ本当に実現するためには各国、現在常任理事国5か国を含めた、全ての国が批准しなければいけないというすごく高いハードルがあるのですが、日本政府がその時はこの3か国と話をして、本当は総会の決議にかけたかった。採択したかった。なぜかというと当時、129か国まではいかなくも、少なくとも100か国ぐらいの賛同を得られるところまでいっていたんです。特に、日本について言うと中国とか、韓国とかはともかくとして、ほとんどの国が、アメリカも含めて、日本の常任理事国はOKだったんですね。だけど、最後は結局このG4の決議案を総会に出せなかった。なぜかというと表向きというか、一番よく言われている理由は特にアフリカグループと意見があわなかった。とにかくG4の提案は15か国の常任、非常任を両方拡大して、25にしましょうと。6つ常任理事国を増やした、4つ以上に増やしましょうと。アフリカも同じようなことを言っていたのですが、拒否権についてはこんなもの全部なくすか、あるいは新しく常任理事国になったら、全部よこせと。これは絶対現在の5か国がOKしない案だったので、うまくいかなかったので、129か国にいかなかったと言われるのですけれど、本当の理由はやっぱりアメリカの賛同が得られなかったんです」
反町キャスター
「アメリカは、日本はよかったと言っていませんでしたか?」
山本議員
「だけどその当時は、現在は違いますが、アメリカは数を増やすことによって、安保理の非効率性が広がることをおそれて、日本はいいと、当時はインドにはかなりアメリカは難色を示していたんですね。実はその時、私は国連貢献議連もやっていたし、一番期待したのは、ここで小泉総理とブッシュ大統領との特別な首脳関係を活用し、小泉総理がブッシュ大統領にこの件でお願いをしてくれないかなということで、官邸にもお願いに行ったことがあるのですが、小泉総理はもちろん現在でも好きなのですけれど、別に小泉総理を批判するわけではないのですが、総理はブッシュ大統領との首脳関係という、ポリティカルキャピタルをこのことには使わなかった。他にもっといろんな北朝鮮の問題とか、国連の話とか、イラクの話とかいろんなのがあったのかもしれませんけれど、この時にもし小泉総理がブッシュ大統領との特別な関係を使って、アメリカがOKしていれば、少なくともG4の決議案は総会に付託されて、100票以上取っていれば、例え通らなくても大きなモーメンタムになったのではないかと、私は思っているのですが、当時国連代表部におられた星野先生のご意見はどうかはわかりませんが…」
星野氏
「山本先生の提言は、小泉総理が聞き届ければ、100票以上というものはあったと思うんです。でも、それが果たせなかったからですけれども、もう10年経っちゃっているわけですね。ですから、来年を逃せないというのが、現在の総理の言葉にある、常に積年の課題を解くんだと。ファイナリーと先ほど言っていましたよね。リターミネーション、決意と言っていましたけれども、あとがだんだんなくなるんだということを感じてほしいという、切迫感を煽るところが今回あったんだと思います」
山本議員
「ずっとそうなのですけれど、前から決して常任理事国にはなれない中心国で足を引っ張っている人達がいて、隣の国と言う必要はないのですけれど、これは1990年代ぐらいから動いているのですが、コーヒーグループと言って、イタリアとか、韓国とか、パキスタンとか、アルゼンチンとか。これはもちろん、いろいろ理由があってパキスタンはインドをどうしても阻止したい。たとえば、アルゼンチンは、ブラジルはとんでもないとか、そういうことはあるんですけれども、それが名前を変えて、コンセンサス連合とか言って、これがまた活発に動いて、常任理事国を増やす必要はないと言っていますので、こういう嫉妬と言えば言い過ぎですが、いろんな思惑で動いているところを、どうやってうまくこの反対の中を泳いでいくかということも大事だと思います」

山本一太 自由民主党参議院議員の提言:『日本のベストプラクティスを発信する!!』
山本議員
「日本の国連外交に強みがあるとすると、現時点で言うと、安倍総理の発信力ということがあると思うんですけれど、その他に日本が貢献できる分野というものをきちんと絞っていくべきだと思うんですね。1つは、たとえば、科学技術。たとえば、中国のPM2.5の問題というのは一言で言うと中国一国ではなく、ほとんど国際問題ですから、こういうところについて力を発揮していく。さらに言うならば、日本が国際社会にこれから訴えていけるということで言うと、クオリティオブライフだと思うんです。特に、これからいろんな国が発展していって中流階級がどんどん増えていく。そのプロセスにおいて安全とか、たとえば、安全な食料、水、空気、そういったことで、日本が世界に貢献できるところをどんどん国連のような機関から発信していくことが大事だと思います」

星野俊也 大阪大学副学長の提言:『“人間の平和”の主流化を』
星野氏
「国連を変えるということは、国家中心主義からもう少し人間にフォーカスを当てるということになると思うんですよね。国連というのは政府間の取り決めをする外交の機関ということで、結構そこでいろんな貧しい人達も含めて、おいてけぼりになっちゃうことがあるわけです。だけど、日本は人間の安全保障と言ってみたり、誰も目を向けない人達に対してもちゃんと光をあてるんだということを言っている。国連自体がもっとそれを全体として進めるような機関に変わっていくということも非常に重要なのではないかと思うんですね。そのために日本が安保理の中にいて、そういう新しい規範をつくっていくということが重要なのではないかと思っているんです」