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2014年9月25日(木)
“イスラム国”深刻化 空爆と国連協議の行方

ゲスト

城内実
外務副大臣 自由民主党衆議院議員
岡部いさく
軍事評論家(前半)
田中浩一郎
日本エネルギー経済研究所常務理事 中東研究センター長
宮家邦彦
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

イスラム国空爆拡大 作戦の狙いと効果は
島田キャスター
「今回、アメリカなどが初めてシリア領内のイスラム国に対して行った空爆の内容について見ていきたいと思います。今回の空爆は23日と24日の2日間連続でシリアの方に行われましたが、アメリカの他、サウジアラビア、UAE、ヨルダン、バーレーン、カタール。この5か国が参加しました」
岡部氏
「今回の作戦は例によってアメリカの得意な船からの巡航ミサイル、トマホークによる攻撃ですね。それから、空からの爆撃という、今回、その2つの組み合わせでした。今回、特にアメリカのF22ラプターというステルス超音速戦闘機が、実践初参加しました」
反町キャスター
「兵器としては、主にはどういうものが使われたのですか、爆弾なのか。ミサイルなのかという、そのへんのところを含めて」
岡部氏
「ペンタゴンの発表だと投下した爆弾、ミサイル、つまり、弾薬量のうち、96%が精密誘導兵器だったというわけです。精密誘導兵器というのは、いわゆるスマート爆弾です。レーザー誘導爆弾。目標をレーダーで照らして、それの反射波を爆弾が受け止めて、ぴったり爆弾を目標に落とす。命中誤差が1メートル以内とか、3メートル以内という非常に精密な兵器です。それよりは精度が落ちるのですが、GPS誘導爆弾、GPS誘導ミサイルの類ですね。あとは画像誘導ミサイルなども使われたのではないでしょうか。96%の中には」
反町キャスター
「レーザーJDAMとか、JDAMという爆弾、これはレーザー誘導爆弾なのですか?」
岡部氏
「これはGPS誘導爆弾です」
反町キャスター
「レーザーJDAMと書いてあっても、GPS誘導なのですか?」
岡部氏氏
「レーザーJDAMにレーザーの受光部分がついていまして、普通のJDAMは、GPSの電波を受けるだけですが、レーザーJDAMですと、GPSとレーザーをあわせて使うことができて、こちらのJDAMより精度が高いという特徴があります」
島田キャスター
「今回は96%が精密誘導兵器、なぜこれを主要な勢力としたのですか?」
岡部氏
「命中精度が非常に良いので、目標を破壊したあとに他のものにまで影響を及ぼさないで済むことができると」
島田キャスター
「今回、F22というのが初めて導入されたということですけれど、その意味はどういうところにあるのでしょうか?」
岡部氏
「このF22というのは、これはアメリカが大変巨額の開発費をかけて開発した超音速ステルス機です。虎の子で大事にとっておいた戦闘機にいよいよ実戦経験を積ませたのかなという考え方が1つ。そうすれば当然、議会とか、アメリカのメディアにもお金をかけただけの価値がある戦闘機ですということを示すことになりますね。同時に、実は、アメリカは結構、シリアを爆撃するに際して対空兵器、対空ミサイルとか、レーザーとか、レーダーとか。それから、あるいはひょっとしてアサド政権が何か勘違いして、戦闘機を上げてくる。あるいはイスラム国側の手に落ちた戦闘機が発進してくる。そういうおそれも考えていたかなという感じがします。F22でしたらレーダーに映りにくいですし、それから、空中戦を戦わせればほぼ絶対に勝つ戦闘機ですから。ですから、これを持ってきたというのは、そういう懸念を持っていたのかなというのがあります」

国際社会&日本の対応は
島田キャスター
「今回のアメリカの空爆はどこを主に狙っていたのでしょうか。目的といいますか?」
岡部氏
「ペンタゴンが発表した映像ですと、ラッカというところにある、イスラム国の指揮施設みたいなもの。指揮、司令施設です。それから、他のイスラム国の金融センターですとか、それから、パートナー国の戦闘機が爆撃したのは製油施設。イスラム国の支配下にある製油施設と言われています。以前イラク領内でイスラム国を爆撃した時は、たとえば、重要なダムに迫ってくるイスラム国勢力を爆撃したり、あるいは追い詰められた、少数派を救出するために、イスラム国の部隊を叩いたり、いわば、戦術的と言いますか、戦闘の現場での爆撃でしたよね。ところが、今回は、イスラム国の戦略目標と言いますか、指揮能力ですとか、資金源ですとか、資金をコントロールするところとか、収入のもとになっている施設。つまり、イスラム国の戦闘継続能力を根っこから切り倒そうとしている、そういう攻撃のように見えますね」
島田キャスター
「どれぐらいのダメージがあったかというのが、聞こえてこないのですが、どう見ていますか」
岡部氏
「これだけの戦果があったとまだペンタゴンもどこも発表していないですが、1つ状況証拠として面白いのは、イスラム国はインターネットの使い方がうまかったですよね。自分達のやっていることを宣伝してみたり、いわばリクルートというのですか、参加者を募ったり。ところが、今回、爆撃の後、それがピタッと止んでいるというのは面白いですよね」
反町キャスター
「情報発信がない?」
岡部氏
「情報発信がないですよね。ですから、おそらく見えないところで、アメリカ、あるいは有志連合の国々がイスラム国のインターネット活動に何らかの圧力をかけている。あるいはサイバー攻撃をかけている。そういうことがあるのではないのかなという感じがするのですが」
反町キャスター
「そういう情報封鎖をして、そこに集中的に兵力なり、武力を投入する戦争という形というのは初めてですか?」
岡部氏
「情報封鎖をしてというか、情報面の戦いとこういう物質面の戦いの、2つの次元での戦いが平行して行われているというのは、もし、本当にサイバー戦が行われているとすれば、これはちょっと新しい戦争の形かなという印象があります」

関係各国の狙いと真意は
島田キャスター
「今回の空爆を巡って各国の思惑はどういうもなのかを読み解いていきたいと思いますが、シリア国内情勢と各国の関係という相関図を用意しました。ちょっと説明していただけないでしょうか」
田中氏
「一番の肝は、アサド政権がこれまで国内でイスラム国と戦い、反体制派と戦い、欧米をはじめとする諸外国、またアラブ諸国もそうですけれども、こちらからも敵対関係になって退陣を要求されていたと。結構国内でも失地、陣地を失っていく過程が見られたんですけれど、今回はアメリカ、それから、アラブ諸国の一部がイスラム国を実際に軍事的に叩くと。実際に、ホラーサーンとか、ヌスラ戦線など同様に、イスラム国と同様に、アサド政権と対立している組織、武装勢力を叩いています。その点でアサド政権にとっては非常にありがたい、自分のところでは手を汚すことなく、一番手強かったイスラム国を、少なくとも拠点を現在叩いてくれているという点においては感謝しているとは思うんですよ。ただ、もちろん、それは公言しませんけれども」
反町キャスター
「ただ、アメリカも空爆というのは、確かにアサド政権にしてみれば、自分の国の中に巣食っている虫を退治してくれると言いながらも、結局これはアサド政権自体のガバナンスというか、統治能力を弱めることにはならないのですか?」
田中氏
「実際にイスラム国やヌスラ戦線が支配していた地域は、アサド政権自体がなかなか取り返せない状態だったんですね。支配していなかったので、そこに空爆が行われ、仮に力の空白が生じて、それに乗じて地上部隊がどこかから入りますと言った時に、これはアメリカ地上部隊を出さないと言っていますし、イラクのようにイラク軍がアメリカにとっての味方にいるわけでもないので。もしやろうと思えば、アサド軍がそのまま失地を取り返していくということも可能だと思うんです。ただ、それをやるとたぶんアメリカにとってみれば結局敵対関係にある、退陣を要求しているアサドを助けてしまうということになりますので、ある程度、事前の密約のような形で、この連中は掃討するけれど、そこに乗じてノコノコ出てきたらお前も叩くよというぐらいの警告は出しているのではないかと思います」
城内議員
「シリアで反体制派がいるわけですよね。これはアサド政権の悪政、悪い政治で不安定要因になって、そこにイラクからイスラム国が入って来ているということですから。そもそも悪いのはアサド政権であるというのは、おそらくアメリカと日本も同じ立場だと思いますね」
反町キャスター
「現在その通りになっているとアサド政権に文句を言っても状態は何も変わりませんよね」
城内議員
「ただ、イスラム国というのはあまりにも過激で、はっきり言うと滅茶苦茶なわけですよ。外国からも助っ人を、いわゆるインターネットでかなり洗脳して、アメと鞭で、アメというのは、たとえば、イスラム国は油田を盗って、あるいは銀行を乗っ取って、その強盗したお金を北部のスンニ派の人達に、裕福なシーア派に比べて貧乏くじを引いていたところにお金をばら撒いておくと。そういうアメを与えて、支持を得て、同時に鞭としてはっきり言うと、自分達の教えに従わない異教徒とか、土着の宗教、反抗している人達を片っ端からぶっ殺していくとか、滅茶苦茶なことをやっているわけです。はっきり言うと、アフリカで言えばエボラのような、要するに、どんどん広がっていく。これをまず食い止めていくことが大事だと」
島田キャスター
「シリアのアサド政権とアメリカというのはどうなっていくのかというのが、今回のことでちょっと微妙な感じになったのではないのかなと。ロシアとシリアの発言ですが、アメリカなどの空爆前にロシア外務省はこんなことを言っていました。『国連安保理決議なしに空爆するのは侵略である』。シリアも外務省の発言として『アサド政権の同意がなければ国家への攻撃だ』と。アメリカを牽制する形だったんです。時間が経ってくるとロシアのプーチン大統領は『アサド政権の同意があれば容認』と。シリアも『空爆の事前通告があったんだ』と。これは事実上、空爆を容認したかのような発言をしました。空爆後、ここがちょっと面白いんですけれど、ロシアは外務省の発言として『シリア領内への空爆は国際法違反だ』と言っているのですが、シリアはアサド大統領が『テロと戦う国際的な取り組みを支持する』と。ちょっと何か微妙に温度差ができたというような感じを受けるのですが。どのように受け止めればよろしいのですか?」
宮家氏
「この状況を見ていると、ロシアがシリアの動きがどうもちょっと自分達の思う通りにならんな、ふらふらしているなと。その気持ちはわかりますよね。だって、シリアからすれば自分達が生き残りたいわけですから。要するに、ロシアでなくたっていいわけですよ。誰だっていいです。敵対しないのであれば。その意味では、シリアがアメリカと手を握りたいような素振りを見せていることに対してロシアはむしろ原則論を言っているので、牽制しあっていると、私には見えます」
島田キャスター
「これはシリアに対する牽制なのですか?」
宮家氏
「私はそう見ますけどね」
反町キャスター
「先ほど田中さんが言われた、アメリカが空爆した地域に対してシリア政府軍が、イスラム国がいなくなった真空地帯に出てくることには、行くなよとアメリカとシリアが密約を結んでいる可能性もあるのではないかという指摘がありましたが」
宮家氏
「それは十分あり得るでしょう」
反町キャスター
「つまり、その意味においては」
宮家氏
「密約という言い方は難しいけれども、暗黙の、あうんの呼吸ですよ」
反町キャスター
「ただ、シリアの国内において、イスラム国が支配していて、イスラム国がいなくなったところに、いわゆる権力の真空地帯ができるわけではないですか。誰も支配していない、誰も統治していない地域がそこに生まれるわけですよね」
宮家氏
「現在でも誰も統治していないところはいっぱいありますから」
反町キャスター
「そこをイスラム国が支配していたということで、たとえば、製油所があったり、何かの輸送ルートだったり、交通の要所だったり、そういうところが多いわけですよね。そこが権力の空白地帯になることというのはあり得るのですか?」
宮家氏
「あり得ます。これまでずっとそうだったわけです。だからこそISIS(イスラム国)が強くなっていったわけですから。ここでまた仮に力の空白ができても誰かが埋めに来るわけですよ。時間はどのくらいかかるかわかりませんけれどもね。しかし、ラッカでは、あそこは石油も出ますし、本拠地でもあるから、あそこを叩くと、その意味では彼らは動きにくくなる。今回の本来の目的はイラクにおける活動を減らしたい。しかし、臭いを元から断たないとダメなので、シリアにおそらくISISの部隊の3分の2が現在いますから。こちらの方を封じ込めることによって、イラクでの活動を、とにかく減らさせて、クルドに対する、もしくはスンニ地域に対する、ISISの現在の強い動きというのをとにかく止めたいと。これがまず第1段階だと思いますよ」
反町キャスター
「アメリカの立場として、大悪人と小悪人の区別。大悪人がイスラム国だとしたら、小悪人はアサド大統領だと。どちらが誰かはわかりませんが、当面の敵は、こいつだから、こいつを叩く限りにおいては小悪人と手を握る。この判断はできないですか?」
宮家氏
「いや、それができないというよりも、彼らはできないというか、大悪人と小悪人の区別がつかないです。爆撃を機会にころころ変わっているんですよ。ですから、その定まりのなさが、今回の混乱の遠い原因になっていると私が思うぐらい。彼ら自身が戦略というものをつくり出し切れていない」

事態収拾のカギは
島田キャスター
「アメリカは、イスラム国の掃討を目指す有志連合の重要性を強調しまして、各国に協力を求めているんですね。その有志連合の主な顔ぶれです。欧米諸国は、アメリカの他、フランス、イギリス、ドイツ、カナダ、オランダなどです。中東・アラブ諸国は、サウジアラビア、UAE、カタール、ヨルダン、バーレーン、トルコなど。アジア・オセアニアは、日本、韓国、オーストラリアなど世界40か国以上が参加しているとされているのですが、この事態の収束に向けて、各国は掃討(作戦)に賛同しているのですが、いったいどう収束していくのかというところ、鍵を握る国はあるのでしょうか?」
田中氏
「まず今回のシリアにおける作戦に、サウジアラビアなどアラブ諸国がいくつか加わっているというのは、これはアメリカにとってみれば決して文明の衝突ではないと。あるいはアメリカ、キリスト教社会がイスラムに対して牙をむいたわけではないという、そういうメッセージを送るため、あるいはそう見せるためには不可欠だったと思うんですね。それに、サウジアラビアなど能力がある程度ある国が付きあっているという状態だと思うんです。一方で、イスラム国、ないしはこのテロ集団をどのように押し込んでいくのか。弱体化、さらには破壊、殲滅していくのかというのを考えると先ほど石油設備を攻撃したとか、いろいろな拠点を叩いたということは当然、弱体化、いわゆるバックボーンを、背骨のところを弱めようとしているんですけれども、同時にここに入ってくる武器であるとか、それから、人の流れも遮断をしないといけないわけです。現在その点で人が流れているという点においては、トルコが一番疑われていまして、トルコ国内の慈善団体、あるいはNGOなどを名乗って、イスラム国や他の過激派組織に人を送り出すセンターがあると言われているんですね。そこを経由して世界各国から集まって来た人達がいったんトルコを経由して、シリア北部に流れ込んで来ている状態ですので、まずはトルコの立場をどのようにきちんとしてもらうかという、もちろん、同盟国ではあるのですが、NATOの一員でもありますし、そこのところをはっきりさせる必要があると思うのですが、ちょうど昨日、国連安保理決議2178が通って、それによって人の流れといったものを、加盟国にきちんと遮断をする。あるいは刑事法、刑事罰を適用して取り締まりを強化するようになりましたので、そこが担保されれば勢いは少し抑えることができるのかなと思います」
反町キャスター
「トルコの話、この間50人近くの人質が解放されましたよね?」
田中氏
「49人」
反町キャスター
「49人。イスラム国?イスラム国の支持集団でしたか?」
田中氏
「はい」
反町キャスター
「そこに拘束されている人達が、たぶん武力による強行作戦ではなくて、話し合いによる決着で帰ってきたような話ですよね」
田中氏
「はい」
反町キャスター
「そんなことはトルコだけですよね」
田中氏
「そうですね」
反町キャスター
「その背景と、トルコという国がリクルートの場となっているという、その胡散臭さと、さらに、トルコという国が今後、対イスラム国という作戦においてどういう役割を果たし得るのかどうか。ここをどう見ますか?」
田中氏
「人質の解放工作というのがどのように行われたというのはあまりはっきりとは出てきていないのですが、二説少なくとも私が読んだ限りにおいてはありまして、一説はモスルですね。イラク北部のモスルで人質にとられたわけですけれども、そこを支配していたイスラム国の構成、部隊の構成が変わったと。要するに、イスラム国もイラクの国内においては、テロ集団的な連中と、サダムフセイン時代の軍の軍属だった人間が今回加勢しているということと…」
反町キャスター
「バース党の生き残りですね?」
田中氏
「はい。それから、地元の部族勢力などが加担しているという説があるんです。おそらくその3すくみだと思うんですけれど、構成が変わって、強行だったイスラム国の連中が抜けたので、地元の部族勢力やサダムの残党との間での交渉がしやすくなったということが1つ言われているんです。ただ、一方で、それで何の見返りもなしに49人もいきなり解放されるのかというのはいろいろ憶測を呼ぶわけでして、一説には、地上に対する空爆、各国が仕かける場合でも、トルコが基地と領空通過を認めないという、ある種の交換条件みたいなものがそこに存在するのではないかと。これも言われていますけれども、本当のところ何が実際なのか」
反町キャスター
「そういう様々な利害関係がある国が、今回イスラム国との戦いにどのぐらい積極的な役割を、関与をするのかどうか、可能性は。トルコは手も足も出ないのではないかという気もするのですが、どうですか?」
田中氏
「自分のところが、どこの国でもそうですけれど、最大の利益を得ようとすれば、安全保障を確保し、なおかつ最大の利益を得ようとしますので、トルコはシリア、イラクともに隣国でもあるし、シリアの内戦に関しては反アサドと路線をずっと突き進んできていますのでそれぞれのところでまず安全保障をとって、さらに、自国にクルドから入ってくる石油などが滞るようなことがないようにするとか。その他諸々が通れば当面のところ、アサド掃討というか、アサド退治は見送りしてもいいという判断になったのかもしれないですね」

報道&テロ拡大の懸念は
島田キャスター
「負の連鎖がどんどん続いていって、もっと広がっていく可能性というのはあるのでしょうか?」
田中氏
「まずテロを行う人達、このような殺戮を行う人達は決してまだ減っていませんし、攻撃を受けたということの報復にその対応を考えた時に、いきなりアメリカに対する報復ができないものですから、自分のところの身近にいる人達、あるいは既に捉え、その準備をしている人達を対象に見せしめ的に行動を起こすのだろうと思います。これは非常に残酷でもあり、悲しいことでもあるのですが、これまでにいろんな事例で繰り返されてきていますので、今回、特にこれが初めてのことでもないですけど」
島田キャスター
「こういったことは、負の連鎖に見えるのですけれど…」
城内議員
「だからと言って、何もしないというわけにいかないですよね。もともとこの過激な組織が全く罪のない民間人をこうやって報復で殺していること自体異常なことです。だからと言って、それを放置するというわけにはいきませんから、テロとの戦いとして、資金源をしっかり断つとか、あるいは武器の移転を防ぐとか、出入国管理を徹底することによって、こういった地域に欧米諸国からそういった活動に参加する人が行かないようにすることをやりながら、とにかく悪性ウイルスのようなものですから、それは放置したらどんどん広がりますから、叩いて、完全にゼロになるのは難しいにしても活動範囲をどんどん狭めて、活動しにくくするように徹底的にやるということが重要だと思います」
島田キャスター
「イスラム国が声明を出しましたが、『米国人や欧州人、特に不潔なフランス人、オーストラリア人やカナダ人。イスラム国と戦っている国々の人達を神の名の下に殺害せよ』と。インターネットを通じ世界中に呼びかけています。普通に暮らしている人達にも被害が及ぶことがあるのでしょうか?」
田中氏
「まさに過激層の伝播と、それに洗脳されるような人達がいると、それが増えてしまうということの脅威がいかに大きいかということですね。むしろそんなことが実際に起きるようになれば、我々もそうですし、我々以上にイスラム教徒が社会の中にたくさんいる、欧米の国にとってみれば、なかなか生きた心地がしないと思うんですよ。そういう恐怖心をこちらの方にも与えようと、植え付けようという、ある種の情報戦であることは間違いないんですけれども、これに呼応する人達がいないとも言い切れないところが既にこの問題の根深さを語っていると思います」
反町キャスター
「ヨーロッパやアメリカにおいて、アラブ排除というか、移民がいますよね。移民に対する排除の論理。ヨーロッパやアメリカにおけるイスラム文化への攻撃が激しくなるのでは?」
宮家氏
「これがなくても、既にヨーロッパの不健全な民族主義というのは復活していて、反ユダヤ主義も拡大していますから、その中に外国人排除、外国人嫌いの感情がこういう形で拡大していく可能性は十分あると思います」

どう動くイスラム国問題 国連安保理の対応と今後
島田キャスター
「9月25日にイスラム国に対する国連安保理決議が採択されましたが、どのように受け止めていますか?」
城内議員
「その中に日本ができることも入っています。粛々と資金源を断って、彼らに武器がいかないようにするとか、出入国管理を徹底し、味方がいっぱい世界中から集まらないようにすると、これは当然のことだと思いますし、既に日本もISIS対策として人道支援をということでで、780万ドルをやって、さらに、最近2550万ドルということで、日本ができることと言えば、たとえば、シリアやイラクの難民、避難民に対する支援をする。あるいは周辺国のヨルダンに対する人道支援をしていくことでとにかくいろんな貧困とか、政治の混乱があるから、そこを安定化させるような支援を行っていく、いろんな段階があるんですね。軍事作戦に参加する、あるいは武器供与をしてイスラム国と対立している勢力に軍事訓練をするとか、あるいはテロ対策を徹底する、さらには日本が得意とする人道支援と、4段階あるわけですから日本は自分の国ができることをしっかりやって、テロとの戦いで国際社会と連携してくということだと思いますね」
反町キャスター
「国連決議の実効性をどのように見ていますか?」
宮家氏
「日本は全部できるんですよ。やらなければいけないし、やっていますね。中身を見れば、それが中東のアラブ諸国、トルコ等々周辺諸国であることも明らかです。ですから、そこをちゃんとやってくれよというのが第1ですね。第2に日本は全く無関係かと言ったら、そんなこと絶対ないわけですよ。テロというのは現在イスラムのことがあるかもしれませんけれども、国際テロというのは他にもあり得るわけですからね。それはいつ日本が対象になるとも限らないわけですし、このような国際的な連携というものは決して軽んじてはいけません。日本が国際社会の一員としてやるべきこと、それはどこの地域であろうがやるべきことはやらなければいけないと思う。ただ、幸いというか、日本はこの地域の一国ではないから、ですから、その分は温度差はあるなというのはあります」
田中氏
「実際にイスラム国を含めたテロ組織、この地域も含めたテロ組織に、一番アクセスがあり、人も輩出していて、通過国にもなっているというのは、言ってみれば、自ずとわかってくるわけですよね。それらの国がきちんとやるべきことをやってくれれば現在既に行っている人達をどうこうする話ではありませんけれど、これ以上増える、これ以上事態が深刻になるということをとりあえず抑えることはできますね。そのうえで現在既にこれだけ広がってしまった拠点、それから、支配している地域をいかに奪還していくか、潰していくかという、空爆作戦だけでは心許ないのですが、それをやっていくということになりますね」

城内実 外務副大臣の提言:『国際社会と連携しテロと戦う。入国管理』
城内議員
「日本が外に向かって重要なのは、一部の国だけでやるのではなく、連帯してテロと戦って、過激なテロリストを追い込んでいくことが大事です。同時に、日本は島国ですから、比較的国境管理はやりやすいんですけれども、現在どんどんグローバル化して、日本に外国の方が入ってくる。国内では、いわゆる単純労働者をどんどん外国から入れるべきではないかという議論もあります。その正否は別として、出入国管理を徹底し、そういったテロリストが日本に入ってきて悪さをしないようにするということが、私は重要だと思います」

宮家邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言:『人材の育成』
宮家氏
「私はいつも同じです。中東の話が出てきたら人材を育成してください、これに尽きます。これはもちろん、中東(から)の入国管理も大事。その人材も大事ですけれども、私は日本の中東の専門家人材を育成してほしい。要するに、こういう戦争が始まる度に、大変だといって中東の専門家があっちだこっちだと(なる)。そうではなくて、中東の専門家をヨーロッパもアメリカもちゃんと育てていて、この種のことは彼らにとって日常茶飯事ですから、じっくりと取り組んでいるんです。それでもダメですけれどね。まして日本はまだまだ人が足りない。これをまず増やしていただく。お金をかけて、人を育てていただく。これに尽きると思います」

田中浩一郎 日本エネルギー経済研究所常務理事の提言:『薄れる国境に対応』
田中氏
「要するに、グローバル化とか、グローバリズムによって国境がよくなくなると。あとインターネットによってもそういうのがなくなってきていると言われますけれども、物理的に人がいろんなところを動きやすくなっていますし、国境というものの意識、今回イスラム国が国の名前、自分達の組織の名前に、ないしは国として創設した名前に、いわゆる地理的な概念、民族的な概念とか、そういうものは一切入っていない。イデオロギーの部分であり、宗教であるイスラムと国ということですから、国境を越える、ないしは取っ払っていくという意識を彼らは持っています。彼らが日本に対してどれぐらいの敵意、悪意を現在持っているかは別にしても、入ってこようと思えば入って来られるような世の中になってきていますので、国境というものが日本は海では守られているけれど、現在の時代、飛行機の移動も非常に楽になりましたから、人がたくさん入ってくると。あるいは行き来している、こういう状態になってきているということをまず認識したうえで、入国管理もそうですし、資金の移動もそうですが、様々なテロ組織に対しての便宜をはかっているような、意識的にはないにしても、ひょっとしたら無意識、不作為によって、やっているかもしれませんけれども、そこをきちんと対応できるようにしていかないといけないです」