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2014年9月24日(水)
“スーパー公務員”が地方を目覚めさせる?

ゲスト

平将明
内閣府副大臣(地方創生担当) 自由民主党衆議院議員
高野誠鮮
石川県羽咋市職員
椎川忍
地域活性化センター理事長

ローマ法王への献上米 神子原米のブランド化
島田キャスター
「地方創生を担う公務員のあり方を、“スーパー公務員”の異名を持つ高野さんの取り組みを通して考えていきたいと思いますけれども、まず高野さんがどんなところで働いているのかと言いますと石川県のちょうど真ん中ぐらいのところですか、羽咋市の職員ですね。1980年代まで東京で、高野さんは仕事をされていたんですけれども、半ばぐらいに、生まれ故郷の羽咋市に帰りました。高野さんが羽咋市の農林水産課に異動されたのは2004年で、中でも担当したのは羽咋市の中で高齢化と人口流出が続いていた神子原地区というところでした。ここは人口が現在、438人。世帯数が159世帯で、この地区の集落の中に、かつて65歳以上の高齢者が50%を超える限界集落だった場所もあります。まず取り組んだ、市長に命令されたのが、ここを何とかしろということですよね」
高野氏
「はい」
島田キャスター
「それでお米が特産物ということで、お米に目をつけられたということですが、そのお米が現在スーパーブランド化した。そのへんのお話から」
高野氏
「ローマ法王に献上品として、お送りすることができたんですよね」
島田キャスター
「何という銘柄ですか?」
高野氏
「神子原米と言うんですけれども、神の子の原ですから、普通、地名は、翻訳はしませんけれども、The Highlands Where The Son Of Gods Dwells。これだけでは英語圏の人は何か理解されませんね。地名の意味というのは。そこにSon Of Godsですね。これはクリスチャンから見るとキリストですよ。キリスト教で一番影響力の強い方は、11億人の頂点にお立ちになる教皇様、ローマ法王しかいらっしゃらないんですね。それでお手紙を何回もしつこいぐらい出して、このお米を召し上がっていただく可能性は1%もないですかというお手紙を出したんです」
島田キャスター
「どれぐらいの期間出し続けたのですか?」
高野氏
「2か月以上になります」
島田キャスター
「何通ぐらい出したのですか?」
高野氏
「5、6通は出しましたね」
島田キャスター
「どこに出したのですか?」
高野氏
「バチカンへ」
島田キャスター
「バチカンとコネクションがあったのですか?」
高野氏
「いや、全然ないですよ」
反町キャスター
「法王庁に出し続けたのですか?」
高野氏
「出し続けたんです。影響力の強い方、お三方を選んで、アメリカという国は、漢字で書いたら米国ではないですか。米の国の大統領に食べてもらおうと思ってそのままホワイトハウスに米を届けた」
反町キャスター
「米の国というのは、日本側のこじつけですよね?」
高野氏
「はい」
反町キャスター
「向こうは何で米を送ってくるのか、こじつけの理由がわからない」
高野氏
「わからないので、ちゃんと理由を書いて、お手紙を添えて一緒に出したり」
島田キャスター
「最初からローマ法王に献上しようと思われたのですか?」
高野氏
「はい。特に、影響力の強い方にいつも召し上がっていただければいいと考えたんです」
島田キャスター
「大変失礼ですけれども、石川県の小さなところの職員の方がバチカンに手紙を送り続けて、法王に食べていただく。上司の方々はびっくりされませんでしたか?」
高野氏
「いや、いろんなやり方ですが、全て犯罪以外なら全部俺が責任をとってやるという上司が出てきたんですよ」
反町キャスター
「市長ですか?」
高野氏
「市長もそうですし、それから、直属の上司が当時そうだったんです。そういう上司に僕は会ったことがないですよ。失敗したら、俺のせいになるから、やめとけと言うのが普通で、ブレーキをかけるんですよ。でも、その池田という上司ですけれど、彼だけは違っていたんですよね。犯罪以外だったら俺が責任をとってやると、この一言で、僕の琴線に触れることができたんですね。この人に恥をかかせてはいけない。何とかしたい」
反町キャスター
「それは神子原地区という先ほどの438人の(地区)。行かれた当時は、もう少し多かったのですか?」
高野氏
「似たような数字ですね」
反町キャスター
「その集落をどうするかと、それは羽咋市全体にとってそんなに大きな意味があったのですか?ここを突破口にして、何か全体で狙っていた。そのへんの何か。なぜここに派遣されて、なぜここをピンポイントで?」
高野氏
「なぜここなのかというと、一番の離村率が高い。平成7年には、小学校がなくなっている。保育所もなくなっちゃったんです。ここを何とかできれば、あとは五分五分。すごく重篤な部分ですね、人間のケガでいうと。ちょっとした傷だとか、他は軽く治せるだろうと。この一番ひどいところを何とかしろということです」

農家出身・経営・運営の直売所
島田キャスター
「お米はとりあえず、滑り出しました。2007年にこの地区に、高野さんが音頭をとった会社が農業法人株式会社神子の里という会社ですね。資本金は、2007年に設立されたんですけれども、当時、役員5人、資本金が300万円で現在増資して700万円になりました。出資者が131人、現在は146人ですね。農産物や加工品などの販売が主な事業ですが、売上げは当初、2007年度は6800万円だったと。かなり大きな成功を初年度から収めた。このへんはどのように」
高野氏
「お米だけでも十分に稼ぐことができるという試算ですよね。でも、あまり期待を持ってもらっても困るということで、最初は赤字になると。3年間は赤字になりますという計画を示しながら、実際やってみるといきなり黒字ということ」
反町キャスター
「神子の里は何かイメージとして、道の駅みたいな感じ?」
高野氏
「そうですね、プレハブで、農家だけで出資しておつくりいただいた会社ですね」
反町キャスター
「失礼ですけれども、この地域というのは、何か大きな街道沿いにある町ですか?」
高野氏
「国道は国道ですが、山の中の国道の淵には中を通っていますけれど、それだけですね」
反町キャスター
「通行量が豊富で、ここにお店を開けば通る人が皆引っかかるという…」
高野氏
「そんなものではないです」
反町キャスター
「神子の里を開くことでどのくらいの人が来るという、マーケティング。そこから始めたのですか。それとも、最初から通販みたいな形で勝負しようと」
高野氏
「通販も当然、視野に入れていましたけれど、要するに、ここだけ、これだけ、現在だけという3大要素ですね。お米で、ローマ法王に献上されているお米って、ここで売っているのと、それを聞きつけて買いに来ますよ」
島田キャスター
「どうして会社をやらせようやろうと。農家の方々ですよね。市の職員の方が、どうして農家の方々にやってもらおうと思ったのですか?」
高野氏
「農業そのものが現在、補助輪をつけて走っているような状態ですね。それはJAという補助輪と役所という補助輪。この2つがないと動けないようになっているんですね。自活、自立するためには両方を外しましょうという提案をさせていただいたんですね」
反町キャスター
「最初この話をした時、農家の皆さんどうでした?」
高野氏
「猛反対です」
反町キャスター
「反対というのはどういう意味ですか。儲かるか、儲からないかわからないから反対?」
高野氏
「いや、違います。169世帯中、賛成は3世帯で、あと全部反対です」
島田キャスター
「3世帯しか、最初は賛成されなかった」
高野氏
「あとは全員反対です」
島田キャスター
「それはどういう理由からですか?」
高野氏
「要するに、売れ残ったらどうするんだと言うんです。生産、流通、加工、販売というサイクルを自分達で持ってください。自分達のつくったものに自分で値段をつけて売ってくださいという世界ですから。売れ残ったらどうするんだと」
島田キャスター
「リスクを嫌ったわけですか?」
高野氏
「誰が責任をとるんだと。農協だったら安くてもいいから全量買ってくれますよ。役所もそんなことを言い出したら、売れ残ったら、役所が補てんするのかという喧嘩ですよ」
島田キャスター
「どう答えたのですか?」
高野氏
「自分で、末端の希望小売価格を付ける以上は自己責任ですよと。それだけです。会社ができる前というのは皆反対ですね。とにかくやってみろというわけです。だったら、客を目の前に連れて来いと言われたんです。そうしたら、俺が好きな値段で米売ってやるからと。とにかく客を目の前に連れて、呼んで来いよと言われたんです。でしたら、役所で米を売ってみますから、私が売ることができたら、皆さんも今度、会社をつくってくださいと迫ったんですよ。僕は2年間、役所で米を売ってみたんです」
反町キャスター
「それが先ほどのローマ法王の…」
高野氏
「そうです」
反町キャスター
「まず先にローマ法王への売り込みが大前提で」
高野氏
「そうです」
反町キャスター
「それで今度、その次は、役所で、いわゆる、通販みたいな形で無店舗販売でしばらく米を売っていたと」
高野氏
「はい。電話だけで受けてそれで米を売っていたんですよ。僕は2年間、1年ずつ700俵、700俵を売ったでしょうと。今度は皆さんが会社をつくって、自分達で売ってくださいと言ったんです。要するに、やって見せて、次やってもらう」
反町キャスター
「山本五十六の世界ですね」
高野氏
「はい。口だけでは絶対ダメですよね」
反町キャスター
「集客能力があるのは米ですよね?」
高野氏
「基本は米です」
反町キャスター
「それが、たとえば、ナスとか、トウモロコシではないわけですよね」
高野氏
「山を高くして、裾野を広げたんですね。とにかく教皇様に献上されているお米だということでドーンと上がっていくわけですよ。そうすると、裾野が広がって他のモノが売れ出すんですね」
反町キャスター
「そういうものですか?」
高野氏
「そうです。お米の量というのは、要するに、増やすことはしなかったんですよ。そのまま上げるんですね。そうすると、裾野が他のものがどんどん加工品ですとか、野菜が売れてくるんですね」
島田キャスター
「農家の皆さんの意識も変わりましたか?」
高野氏
「そうですね」
島田キャスター
「どう変わりましたか?」
高野氏
「自活、自立という方向ですね。農協の支援はいい、役所の支援はいいよ。俺達は十分やっていけるんだからという、そこが最終的な落とし込みかなと思っていたんですね」
反町キャスター
「ちなみに現状で結構ですけれども、農協に卸す、ナスでも何でもいいのですが、農協に卸す価格と、神子の里で売っている価格にはどのくらいの価格差が。3倍ぐらいですか?」
高野氏
「お米でいうと3倍近くですね」
反町キャスター
「他の野菜だったらも、3倍ぐらいになるのですか?」
高野氏
「なりますね」
反町キャスター
「そうすると現在、農家の皆さんはほぼ全量を、神子の里に卸している感じになるのですか?」
高野氏
「その地区の株主が全部、集落の人ですから、それはほとんどここに卸すという感じですね」
反町キャスター
「そうすると、その地域の人達は単純に言うとですよ、農業所得が、皆なさん、3倍になったということですか?そこまではいかない?」
高野氏
「そこまではないですね」
島田キャスター
「そういう方もいますか?」
高野氏
「ええ、国税局の調査が3回ぐらい入っていますので、滅多なことは言えません」

『地方創生』と公務員のあり方
島田キャスター
「やり手の営業マンの話を聞いているようですけれども、市の職員ですよね。こういったやり方をどう思いますか?」
椎川地域活性化センター理事長
「私は、地域活性化とよく言いますけれど、それは地域経営そのものだといつも言っているんです。それは企業経営と同じです。ですから、経営学のようなことということを、公務員の人が持って、もっと勉強をしないと。高野さんは民間にもおられたから、そういうものが身についていたんだと思います。これから、そういう経営ができる公務員、経営ができる農家というものを地域に育てていくということだと思っているんです」
島田キャスター
「平さん、経営ができる方というのは、地方にどれぐらいいるものかというのは」
平議員
「高野さんには本当に驚きました。まさに、商売人というか、企業家ということだと思うんですけれど、いるのだと思います。だから、たとえば、ある限定的な農業とか、そういうところにうまくマッチングしているのか、していないのかという話で、人材自体は日本中見渡せば、人材はいると思います。問題はそのマッチングのところではないかなと思います」

補助金とJAからの自立
島田キャスター
「農協との関係というのは、成功している中でどうなっていったのですか?」
高野氏
「最初は大喧嘩です、組合長に『俺に喧嘩を売りに来たのか』と。2年間、沈黙の喧嘩もあったんです。冷戦時代。ところが、2年後、会社をつくった時に、本来は、農協がやらなければいけないことを、役所がやって見せてくれたと言って、ご挨拶をいただいたんですね」
反町キャスター
「それは同じ組合長ですか?」
高野氏
「同じ組合長ですよ。だから、この時から、私達は、エンジンをやりませんかと。補助輪を止めて、農家の背中を押すエンジンをやりませんかと言って、動力ですね。ことがあるごとに、組合長に出ていただいたり、それから、その施策に理解をいただくように、必ず出席していただくようにしたんです。そして、お互いの関係を良くしていって、農村集落というもの、あるいは農業そのものを活性化していこうという方向に向かっていったと思いますね」
反町キャスター
「そうすると、基本的に、それ以前の農協の役割というのは、たとえば、肥料とか、機械の貸し出しとか、レンタル、販売。上がったものの一括購入、流通という、そこの後段の部分。一括購入、流通という部分はほぼ断念したという理解でよろしいですか?」
高野氏
「断念ではないですね。断念ということではなくて、本当に、何をやろうとしているのか。農業のどこを活性化、底上げをしたいのかということの理解をしていただいたということですね」
反町キャスター
「たとえば、現状においては神子の里の販売システムに農協は関与しているのですか?」
高野石川県羽咋市職員
「関与していません、全く」
反町キャスター
「そうすると、神子の里誕生以前に比べると、農協の果たしている役割というのは変質しましたよね。ある部分が欠けたはずですよね。おそらく」
高野氏
「そうです。供出する部分ですね。お米を出してしまう部分に関してはほとんど消えてしまったんですね」
反町キャスター
「新たな役割は何かあるのですか?」
高野氏
「ありますね。新たな役割というか、従前の役割ですね。本来は、農家のための農協ですよ。現在おかしいのは何かというと組織論。農協という機構、組織だけが残って、農家がどんどんいなくなっている。これは何か考え方が間違っているんです。役所という機構だけが残って、住民がいなくなっている。これと同じです。僕にはそう見えたんです。つまり、本当に大きなところの理念が間違って、狂っちゃっているんです。これは大きな間違いを起こしてしまっていると」
反町キャスター
「たとえば、全中の解体とか、全農のいろいろな競争相手を、きちんといれるべきだとか、そういう大きな話は国会でよく言われていますけれども、永田町で。農協の解体論とか、改造論、改革論とかを見て、どう感じていますか?」
高野氏
「解体しなくていいですよ。方向さえ変えればいい。頭の中身さえ変えればいいですよ。哲学や理念の問題だと僕は思っているんです。矛先を変えればいいんです。日本の農業者のための農協にすればいいんですよ。それは何かというと、国内間競争ではないですよね。外ですよ」
反町キャスター
「海外という意味ですか?」
高野氏
「そうです。巨大輸出産業にできるんです、本来農協は。一気にですね。だから、僕が許せないのは、九州ぐらいの面積しかないオランダが、世界2位、3位ですね」
反町キャスター
「農産物輸出額のね」
高野氏
「ええ。日本が、なぜ48位なのか。これは農協が一丸となってやれば1位、2位になれるんですよ。そうすると80倍も伸び上がるではないですか、輸出高。これほどの急成長する産業は、僕は他にないと思っているんです」
島田キャスター
「農協というのは地方で大変な大きな役割を果たしてきたと。これからはどうあるべきだと考えますか?」
平議員
「中央組織はこれまで、米の価格は国が決めてきました。自由貿易反対みたいな、そういう政治的な役割を、ローカルなJAから上納金を集めてやっていましたと。もう時代が変わったので、そういう中央集権的な組織はいらないだろうと。一方で、そのローカルなJAは、創意工夫をして、競争すればいいし、あと地域に1つのJAというよりは、地域にJAがあってもいいけれども、輸出志向の農産物をつくりたい人には、その横軸のJAがあってもいいと思うので。そういういろんなJAが出てくるのはいいと思います。ですから、今回の改革は中央集権的なJA組織ではなくて、いろんなことにチャレンジする地域のJAが何かチャレンジをした時に邪魔をしないと、中央組織が。そういう改革だと思います」

自治体が消える 人口減少をどう食い止める
島田キャスター
「有識者でつくる民間研究機関、日本創生会議の試算によるとこのまま少子高齢化と人口の流出が続きますと、2040年には自治体の、およそ半分近く、896自治体が消滅するという試算が出ました。人口流出にいちはやく手を打ったのが羽咋市、特に、高齢化率が高い集落、菅池町ですけれども、高齢化率の推移をグラフにしましたけれども、1990年代には、高齢化率は30%の半ばぐらいだったんですね。65歳以上の住民の割合が高齢化率ですけれども、グーンと2000年代に入って急上昇し、2005年には50%を越えて、これを超えると限界集落となるんですね。て限界集落となってしまいました。高野さん達が、2004年から対策に取り組みます。その後ずっと見てみますと、2007年に、徐々に高齢化率が下がってきているんですね。現在は高いですけれども、限界集落を脱して46.05%になりました。3年で限界集落を脱したわけですけれども、どんな取り組みをされたのですか?」
高野氏
「簡単に言うと、若い子に住んでもらった。若い夫婦に住んでいただいて、子供を産んでいただいたということだけですね」
島田キャスター
「いろんな地方の人が見ていると思います。そう簡単には行かなかったのではないですか?」
高野氏
「いかないですね。若い人達に入っていただける要件が何なのかというと、頭を下げないことだと思ったんですね。お願いですから来てくださいとやっているところは、長続きしていないですよ。1年ぐらいで入って、2年で出て行ってしまうとかですね。お金をあげるから来てください、奨励金を出しますとか、あるいは玄関から、バス、トイレ、全部リニューアル、リフォームしました。新品同様にしましたので、この村、この家に入ってくださいではダメですよ。お客さんしか来ないですよ」
島田キャスター
「お客さん意識の人しか来ない?」
高野氏
「来ないです。俺、来てやったんだからと。これではできませんね。周りの先に住んでいる人達もそうですよ。お客さんですよ。お客さん扱いですよね」
島田キャスター
「一体にはならないですか、そういう意識のままだと」
高野氏
「要するに、長続きしていないという失敗例を、日本中から調べることが非常に大事ですね。成功例を見るのではなく、なぜ長続きしていないのかという失敗例を調べるべきです。そこで共通事項を引っ張り出したんですよ。全部、頭を下げている。それでは、頭を下げないで、と考えたんです」
反町キャスター
「頭を下げないでどう集めるのですか?」
高野氏
「試験制度です」
反町キャスター
「試験を受けにくる人もいないでしょう」
高野氏
「いますよ」
反町キャスター
「おかしいな」
高野氏
「この農家に入りたければ、どうぞ書類を出してくださいと」
島田キャスター
「どんな?」
高野氏
「動機です。なぜそこに行きたいのかと。移り住んであなたはいったい何をするつもりですかというのを書類で出していただき、この日に現地見学会をやりますと言って、現地見学会に来ていただいて、名札をつけて、番号をつけるんです。集落の人達が、その番号を見て、あいつはダメだ。ああいう奥さんが入ったら村の秩序が乱れるとか。集落の人が決めちゃうんですよ。あの夫婦に入ってもらった方がいいとか」
反町キャスター
「たとえば、どこの集落でも誰も来る人がいないから、いろいろなものをぶら下げて、人を寄せるわけではないですか。そもそも最初に来るまで、引っ張り込むまでは何か工夫があったのですか?要するに、“おいしいこと”を言って、呼び寄せながら、試験で落とす。そういうことでいいのですか?」
高野氏
「基本的にはそうですね」
反町キャスター
「“おいしいこと”は何があったのですか?」
高野氏
「“おいしいこと”はというか、空き農家農地情報バンク制度。要するに、田舎暮らしをしませんかという呼びかけですよね」
反町キャスター
「それは他の自治体に比べるとここは良い条件だったのですか?」
高野氏
「神子原地区の菅池は決して良い条件ではないですね。条件は良くないのですが、そこに移り住んでみませんかと。まず現物の農家を見てくださいという見学会ですね」
島田キャスター
「空家と農地のセットを貸し出す」
高野氏
「そうです。家だけではダメですよ。農地も必ず、そこの前住んでいた人達が耕していた、田んぼ、畑の面倒を見てくださいねと。要するに、遊休農地化を防ぐためですよ。田舎になればなるほど、遊休農地がどんどん増えているんです。荒廃が始まっているんですね。それを防ぐためにセットにした」
反町キャスター
「たとえば、年間で何世帯ぐらいの応募があって、何世帯ぐらいが合格するものですか?」
高野氏
「一番倍率が高かったのは数十倍ですか。28倍」
反町キャスター
「それは28対1なのか、56対2ですか。それとも、84対3なのか」
高野氏
「いや、1世帯しか入らないところに28世帯が、私達を入れさせてください、と言って」
島田キャスター
「それは集落の方々が見に来て、あの人が良いのではないかとか。そうすると、何が起こるのですか?つまり、集落の方が選ぶという作業もする?」
高野氏
「最後は、直接の最終試験をやるんですよ。真ん中に座っていただいて、円座でグルッと囲むんですよ」
反町キャスター
「これは何か環境が悪いですね」
高野氏
「いやいや、動機を聞くんです。まるで警察の尋問みたいですよ。『あんた、何で、そこに入りたいんだ』と。『農業したい』と。それで『農業経験、何年あるんだ』と。『2年です』『なめんじゃねぇぞ、こら』と怒る。それに全部耐えることができた若い夫婦しか入れなかったんです」
島田キャスター
「農業経験はあったのですか?」
高野氏
「ない人は近くの近所の人が教えるんです」
島田キャスター
「なくても動機さえしっかりしていれば、見抜くと」
高野氏
「そうです。必ず親代わりをつけるんです。烏帽子親と言って。要するに、自分達が選んだんだから、要するに、落下傘部隊でポンと来ると、孤立感が出てしまうんですね。そうではなくて、皆で試験で選ばれた選んだ人だと。過疎になった集落はお客さんがほしいわけではないですよ。一緒になって草刈や田んぼの作業だとか、農道の作業、草刈、あるいは村祭りを一緒にやってほしい、村の住民がほしいわけですね。だから、そういう意味で、俺達が選んだ住民だという意識ですね。これを持っていただくために試験制度にしています」
反町キャスター
「数を急ぎませんでしたか?」
高野氏
「数は急がないですね」
反町キャスター
「慌てて20人、30人を全部入れるということはしなかった?」
高野氏
「ダメです」
反町キャスター
「そこの部分で葛藤はなかったのですか。皆さんの間で。こんなに来ているんだったら、入れようよと」
高野氏
「それはありましたけれども、それはちょっとアレルギーを起こしますね」
島田キャスター
「これまでどれぐらいの世帯が入られたのですか?」
高野氏
「山から始まって裾野までいるんですけれど、13世帯39名、40名ぐらいが他県からの移住者。
島田キャスター
「それから、出て行かれた方々は?」
高野氏
「いないです。誰もいない」

スーパー公務員どう育てる 公務員の力を引き出す方策
島田キャスター
「地域活性化センターでは、地方公務員の研修を行っているそうですが、どんなことをどんな人達に教えているのですか?」
椎川氏
「研修と言うと何か税務職員の研修とか、福祉職員の研修とか、そういうふうに感じちゃうのですけれども、我々がやっているのは、まさに人材育成で、公務員の方は、試験で採用していますから本当はすごく優秀な人ですよ。決められた仕事はすごくうまくやるんです。しかし、高野さんからお話があったような困りごとを解決する能力が、そういう鍛え方をしていないものですから、優秀な人材を採用しといて、本当の意味では育てていないのではないかというのを、私は自治大学校長もやっていましたけれど、そういう実感を持っています。我々の組織では四半世紀に渡って、年間7~8回東京に上京してきてもらって、大学の先生にゼミ形式でつけて、地域の課題解決の論文も書かせるし、実地の勉強もさせる。それから、私達の組織は、全国から30人近くの公務員が来ています。民間の人も10人ぐらいきています。その混ざり合いの中で、どうやったら問題解決ができるかを実地に勉強させる。それから、全国の事例も研究させる。毎週のように活性化の勉強会をやるんです。そういうことで2年間、私達の組織に来れば地域づくりのコーディネーターみたいになれる。リーダー塾は、1年間7~8回東京に3日ずつぐらい来てもらって論文を書かす」
反町キャスター
「困りごととは具体的に何ですか?
椎川氏
「過疎の問題であったり、人口減少の問題であったり、産業保守の問題、安心・安全な地域づくり」
反町キャスター
「これまでに自治体が取り組んできた問題と何が違うと思ったらいいのですか?」
椎川氏
「縦割りの行政の中で、それぞれの国が決めた政策とか、補助金行政を処理するというのは非常にうまくできる。でも、地域って総合的なものですよね、人間も含めて。ですから、それを組み合わせて総合的に、場合によってはこの制度はうちに合わないから変えてくれと国に提案をしていく。あるいはこういう制度を変えてほしいとか、こういうふうに使わせてほしいと言うのが地方公務員の役割」
反町キャスター
「常に入っている人達に対して、何か活性化させていく方法も考えなくてはいけないですよね。よく言われるのが人事の評価を変えろと、キャリアパスも変えろと。これはどうですか?」
椎川氏
「私達が地域に飛び出す公務員ネットワークというのをつくりまして、全国で3000人近くの人が入っていて、驚くべきことに国家公務員も実は若い人達が入ってくれているんですよ。若い人達はNPO活動をやったり、地域興しをやったりしています。次に、私が考えたのは、そういう公務員を育ててくれる首長さんを日本全国につくっていこうというので、首長連合というのをつくったんです。現在60人ぐらいの首長さんが入っていまして、人事評価を申告制でやろうと。首長連合は今年1月に『地域に飛び出す公務員アウォード』というのを実施しまして、全国から200とか、300とかの事例が出たと思いますが、4事例を表彰したんです。これはお金もかかりませんし、褒めてあげることは非常に大事です。公務員の世界は良いことをやっていても、ほとんど褒められることがないんですね。本務以外のところで地域活動やったから偉いねと褒めてくれるところは少ないですね」
島田キャスター
「視聴者の元公務員の方からですが『私は38年間公務員でしたが、高野さんみたいな人材を取り込む姿勢がないと、地方創生はこれまで同様単なるバラまきに終わってしまうでしょう。公務員には原則中途採用はありません。ひと度採用されると定年まで勤めるのが大部分です。こういった公務員の世界で生きている社会に発想転換をしろとか、問題意識を持てと言われても99%は動きません。それが実態です』とのことですが」
平議員
「高野さんはプロジェクトリーダーですよね。プロジェクトリーダーのところにリスクをとって、リスクをおそれない人を置くということ。リスクをとるということは、リスクは顕在化しますから、その時に責任をとらせない、ちゃんとした首長をその地域の人が選ぶということ。あとは官民交流というのもあると思いますが、どちらにしても財政破綻とかが現実になってきているので、一度地方公務員になったら一生安泰という世界は、もう終わっています。一方で、難しい課題だからこそやってみようという人も増えているのも現実です。ですから、そこでシャッフルされる可能性もありますので、その方はリタイア引退されているのかもしれませんけれども、これからはそんな甘い時代ではないので、1回なったから、大丈夫だと思ったら間違い。それはシャッフルすることになると思います」

石破発言『人も金も出す』 具体策とその是非は
島田キャスター
「石破地方創生担当相が『地方から(具体案を)言ってくれば、人も出すし、お金も支援する。だが、やる気も知恵もないところはごめんなさいだ』と発言しています」
平議員
「結局人口が減ってくるという大きな要因があり、さらにお金をバラまくということは財政的な制約もあってできないですし、もしやったとしても現在、人手不足、資材高、結局は経済の足を引っぱる、民間の足を引っ張ることになりますので、ちょっと違う形でやろうと。ですから、全員を救うことはできません。しかも、霞ヶ関が考えるよりも問題に直面する現場が知恵を出した方が成功確率は高い。ですから、そこに人も、お金もつけます。ですから、その成功事例をつくってください。ベストプラクティスをつくってください。周りの人はそれを見てやる気を出してくださいと、そういうことを言っているんだと思います」
島田キャスター
「これは地方にとってどうですかね?」
高野氏
「ありがたいですね。同時に、経験職のある人。やったことのない人が、いくらモノを知っていても、やったことがない人はダメです。判断ミスを起こすんです。要するに、知っているだけの人はいらないですよ。できれば、知恵と愛を持った人がほしいです」
平議員
「マッチングも課題を解決したいという意欲のある人もいますから、希望があればお出しします。希望がないのに、押しつけることはしません。一方で、右腕人材というのが大事で、まさにビジネス経験のある人が大事なので、ビジネス経験のある人を地域とマッチングをして出すというのも別途、国の政策としてやります。霞ヶ関の官僚がほしいですか、それともビジネス経験のある人がほしいですか、地域に決めていただければと思います」
椎川氏
「やる気も知恵もないところでも人材育てるのに時間かかりますから、外部人材を借りてくるというのが割と簡単にできるようになったので、そういう政策を国がやっています。ですから、とりあえず人材、知恵がないといところが、外部の人をレンタルしてくる。それでもとにかく食いついて、国と一緒にやらなければ、何もやらないところは、ごめんなさいだと思うんですよ。だから、自分達の足りないところは、何とかして外からでももってくる。それが簡単にできる時代になった。やる気だと思います、結局は」

高野誠鮮 石川県羽咋市職員の提言:『Philosophy 哲学』
高野氏
「大臣も知恵と言いましたけれども、愛と知恵という言葉はPhilosophy。つまり、哲学になるんです。戦後の日本にはあったんです。椎川理事長も哲学を持ってらっしゃるんですよ。これを持っている公務員は本当に少なくなってきたのでしょう。だから、本当に哲学のある、この一言はすごいなと、重みのある哲学の持った人になってほしいんですよね。哲学を地域も公務員も持ってほしい。持つためには実践ですよね。体に染みついてわかる」

椎川忍 地域活性化センター理事長の提言:『地域からイノベーション』
椎川氏
「地域というのは経営するものです。管理するものでもなければ、国の言われた通り、制度を動かすものでもない。役場は管理を運営していればいいわけではありません。とにかく地域の人が幸せをこれまで以上に感じられるように、地域が元気になるように、と言うことは、これまでの延長線上では難しくなっているんですね、時代が。人口が減少、高齢化社会に入っています。昔調子の良い時はどんどん人口が増えて、人口ボーナスと言われていた。現在は人口オーナスです。重荷になっているんですね。そういう中で生き残っていくためには、延長線上でモノを考えるだけでなくて、自分達の地域を見つめ直して、その資源をもう一度使えるものは、使えないかということを考え、日本はとてもいいものを地域に持っているわけです。地方が日本を支えているわけですね。ですから、地域からイノベーションを起こして国を支えるような心意気でやっていただきたいということですね」
島田キャスター
「どう受け止めますか?」
平議員
「まさに時代は変わったんだと思います。地域からイノベーションを起こすには多様な人材を入れて、そこで摩擦熱というか、科学反応みたいなのが起きないとなかなか大きな変革には結びつかないと思いますので、これまでの常識にとらわれず…今日、高野さんみたいな人にお会いさせてもらったので、いろんな人材が、もし地域に知恵があり、やる気があるのであれば、そういう人を、いろんな人材を導入できるような仕組みを整備していきたいと思います」