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2014年9月19日(金)
規制庁長官に問う原発 再稼働は…安全対策は

ゲスト

池田克彦
原子力規制庁長官
澤昭裕
21世紀政策研究所研究主幹
平松秀敏
フジテレビ社会部デスク

規制委の新旧委員交代 規制委員会の変化は
佐々木キャスター
「原子力利用における安全確保をはかるために安全性を審査する独立した行政機関として原子力規制委員会があります。原子力規制庁は、原子力規制委員会の事務局としての組織なわけです。今日で丸2年を迎えた原子力規制委員会ですけれども、今日、新委員の発表がありました。平松さん、委員の顔ぶれがどうなったのか。まず紹介してください」
平松氏
「原子力規制委員は5人ですが、委員会の委員も2人代わりました。昨日付ですが元外交官の大島委員と地震学者の島崎委員が昨日付で退任されました。島崎委員というのは厳しい審査で、とても話題といったら変ですが、電力会社側から反発もあったという方です。今日付で田中委員、この方は原子力の専門家ですね。石渡委員は地質学者です。この方に入れ替わったという形になります。5人ですけれども、これまでは原子力の委員という意味で言いますと、原子力の専門家は、委員だけで見ると、更田委員だったですが、今回、田中委員も加わったことで、再稼働、安全審査というのがさらに迅速化するのではないかと。2人体制になったことで、さらに、迅速化されるのではないかというのが、期待されているという体制です」
佐々木キャスター
「今回の新人事をどのように見ていますか?」
澤氏
「本当は人が代わったから、審査が変わるというものでは困るわけで、一番、それがポイントですね。ただ、先ほどおっしゃったように島崎さんについては言動も特殊な感じであったのも事実で、特に、地震とか、活断層問題だとか、一番ポイントになるところを出して審査をされていたこともあって、その人が代わるということで、関係者はどう変わるのだろうと注目をしているところと言えるのではないでしょうか」
佐々木キャスター
「池田さんは、今回の新しい顔ぶれに何を期待しますか、長官として」
池田氏
「澤さんがおっしゃった通り、委員が代わったからといって、審査が変わるとか、そういうことはないと思っています。ただ、平松さんおっしゃった通り、これまでは更田委員が原子力を1人で受けていたのですけれども、特に、田中先生はサイクルとか、あるいは再処理だとか、バックエンドとか、そういうことも専門家ですので、そういう面で、非常に力を発揮していただけると思います」
佐々木キャスター
「そもそも原発事故を経て、規制する体制、組織がどう変わってきたのか」
平松氏
「原発事故の前は、規制、原子力行政は、チェックする、監視するという体制で言いますと原子力安全委員会は内閣府にありました。原子力安全保安院、事故直後に記者会見等で結構話題になりましたけれど、原子力安全保安院というのが経産省にありまして、放射線モニタリングなどは文科省がやっていたのですが、このように組織がバラバラなんですよね。バラバラのところで、違う立場で原子力行政に携わっていたというのが、1つの特徴です。1つ問題ですが、それとは別に経産省にありますが、経産省は原発推進役、旗振役ですよね。そこに監視する、チェックする規制機関が下にあるというのは、非常に問題ではないのかというのが指摘されました。その2点の問題を受けて、事故後に原子力規制委員会という、この体制ができあがったということになります」

規制委と規制庁の役割とは
佐々木キャスター
「そもそも原子力規制庁と原子力規制委員会は、どのような役割を担っている組織と思えばよろしいのですか?」
池田氏
「原子力、発電所だけではありませんが、いろいろな原子力の機関についての、安全に対する規制をすると、そういう組織でして、規制委員会の事務局として規制庁が置かれているということになります。従って、かつての保安院のように資源エネルギー庁に置かれていたりしていませんので、稼働のために何かをやるということはなくて、純粋に規制要求をするということになりますね」
佐々木キャスター
「安全の規制を監視していくということが一番の任務ということですよね」
池田氏
「そうですね、はい。監視していくと言いますか、規制要求というのを、私どもがやりまして、その基準に各原子力発電所などが合致しなければいけないということですね」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、経産省のところで、事故前は、推進する官庁の下に規制チェック機関があるというのが問題という前提でいくと、今度の新しい機構というのは、規制する側なのか、推進する側なのかという、その話だとどう見たらよろしいのですか?」
池田氏
「それは規制する側ですね」
反町キャスター
「それははっきり規制する側だと、そういうことですね?」
池田氏
「ええ」
反町キャスター
「同じ政府の中でも推進する側がいて、規制する側がいて、その両方の間のバランスによって、日本の原子力行政が決まっていくという構図になると思ってよろしいですか?」
池田氏
「おっしゃる通りだと思いますね」
佐々木キャスター
「この2年間を通して原子力規制委員会、規制庁に関してどのような評価をされていますか?」
澤氏
「いくつかあるのですが、まず現在の話の続きで言えば、反町さんがおっしゃった、推進する側か、規制する側かという時の規制というのは止めるかのような言い方ですけど、そうではなくて、安全に利用をするために、安全規制を行うわけなので、法律上も原子力の利用に関する安全の確保になっているわけです。ですから、そこが間違うのでまず規制委員会というのは止めるためにあるんだと思っている人が非常に多いんですね。そうではなくて、安全に動かすために、どうすればいいかを考えるのがその組織だということです。そのところが、昔の、福島の前の時代のことをおっしゃったように、あの時には、推進と規制が本当に一体化していたということもあって、ああいう事故が起った原因が、それが一番大きいのではないかということだったわけですね。従って、組織改革が行われたわけですが、この2年間で、規制委員会の発足の時は、国民の信頼が地に落ちたと、規制行政に対するですね。ですから、それを建て直すということで始まって、大変な苦労をされてきたわけですが、一方で、前にやったことを全部否定することが正しいことだということを思いがちなケースもあって、良いものまで切ってきちゃっている部分もあるわけですね。あまり具体的に言うと長くかかるんですけれども、前にあった良い部分と前にあった悪い部分をきっちりと分けて、悪い部分を消していくという中で良いものにベースを置いて、新しく構築をしていくということが必要だと思うんです。ですから、現在は過渡期だろうと思っています」
反町キャスター
「刈り込み過ぎですか?」
澤氏
「いや、そうではなく、まず新しい安全基準をつくらなければいけないということで、まず基準づくりに一生懸命になっているわけですね。それのバックグラウンドにある規制の哲学とか、規制の行政の在り方とかいうことを考える暇がなかったと、僕は思っていて、むしろ、それをこれから2年間、3年間かけ、じっくりと根本論から議論していっていただきたいなと思っています」

原子力規制…日米の違い
反町キャスター
「日本の原子力行政の、お手本と言いません、でも、ベースとなるような考え方というのは、アメリカの原子力規制委員会、NRCの中にあるんですけれど、日本とアメリカ、組織を比較すると、人数にして4倍、予算にして倍。抱えている原子炉の数にして倍という、この日米の比較というのを簡単に表にしてつくってみたのですが、日米の原子力規制委員会の違うところ、ないしは日本が学ぶべきところ、ここは真似をしない方がいいところはどこになりますか?」
澤氏
「まず規制は何のためにあるのか。どうやるべきなのかという活動原則と言われるものがありまして、この決め方が、日米では随分違うというか、詳しさが違うんですね。日本の規制委員会の基本哲学が書いてあって、独立した意思決定とか、実効ある行動とか、書いてあるわけですが、全部2行ぐらいですね。これはホームページからですけれども、非常に哲学が抽象的で、あまり実際のケースをどう判断するかの時に、役に立つ原則にはなっていないと。むしろNRCのやつは、ここでお見せしたかったんですけど、細かすぎてやめろと言われたんですね。それだけ細かいということです。ですから、1個ずつの原則が4行、5行は十分に書いてあり、それを見れば従業者、つまり、これから規制に合格のために申請をしてくる従業者がいろんなケースでどういう判断を規制委員会がするだろうかが、予測できるような原則の書き方をしているわけです。ですから、そういうことを真似るのであれば、ちゃんと真似て、日本でもこれをもっと具体化していったらどうかというのが提案です」
反町キャスター
「基本ルールの書き方、日本が短くて、アメリカがたくさん書きこんであるという、量とか、ルール的に細かく規定してあるところだけではなく、他のところで、たとえば、大きな流れでいうと軍事的な目的のところまでも包含した組織になっているのかどうかとか、ないしは経済性を重視しているのかどうかとか、何かそういう理念の意味に置いて、日米間の比較というのはいかがですか?」
澤氏
「1つだけ、例をあげると、日本の中にないのは、効率性の原則というやつです」
反町キャスター
「それはアメリカにあるのですか?」
澤氏
「はい。リスクを減らすために、いろんな対策はあるわけですけれども、そのうち、一番効率的に達成できる、つまり、資源を使わなくて済むやり方で同じだけのリスクを減らす。そういった手段をとるべきだという原則があるわけです。日本の場合、安全のためならいくらコストをかけてもいいというある種の文化がありますね。それは悪いことではないんですけれど、資源は限られているので、何から、どういう順番で対策を打っていくのが一番効率的かというのがないと、あらゆることに対して、宿題だけ出て、それに対して全部していくということにもなりかねなくて、それは、電気料金にも跳ね返ってくるものですから、そういう意味で効率性の原則というところが、日本で取り入れなければいけないと、僕は思うんですけれども、なかなか福島の事故の後、そういうことをまず入れるというのは非常に難しかったと思うんです」
反町キャスター
「それは厳しくないですか。事故のあとに効率性で原子力行政を進めると言ったら、政権はもたないですよ」
澤氏
「そうですけれど、ただ、リスクの考え方についてもうちょっと詳しく説明しないとたぶん理解されないと思うんですけれども、要は、リスクというのはどういう事故事象が起こるかということと、その事故の確率、起こった時の影響度、これらの相対ですね。ですから、安全と一言で言いますけれども、今言ったように、どういう事故事象があって、その確率がどれぐらいで、影響度がどれぐらいということをいろんなことを想定したうえで、どこにどういう対策をとればいいかを考えないと、無駄なことが起こってしまう。たとえば、あるポンプがあって、その周りの壁を厚いのをつければいいという、そういう判断がありますよね。でも、こんな厚い壁があると、いざ事故の時にそこを通れなくなるかもしれませんよね。そうすると別のリスクが発生するわけですよ。ですから、簡単に言えば、そういうリスクを、それぞれ比較して、壁をどれぐらいの厚さにするのが一番リスクを減らせることになるのかということをやらなければいけないわけですが、日本の場合、どうしても世界最高水準という、この装置が入っているか入っていないかが世界最高かどうかを試すみたいなことがあってすごく誤解が生じているわけです。ですから、効率性の原則というのは、そういうリスクの概念を理解していただいたうえで、初めて出てくる原則だと思いますね。まだそこまでは、たぶん一般には理解をされていないなと思います」

川内原発安全審査の経緯
佐々木キャスター
「原子力規制委員会が7月に九州電力川内原発の1号、2号機について、安全対策は新規制基準を満たしているとする審査書案をまとめまして、規制委員会発足後、初めて合格認定となったわけです。ここに至るまでの経緯にはどういうものであったのでしょうか?」
平松氏
「新しい規制基準というのがスタートしたのが、昨年7月です。そのあと当日に、川内原発の安全審査がされたのですが、そのあと安全審査が進むうちに、川内原発が一番、トップランナーにふさわしいだろうということがわかりまして、今年の3月に、優先的に審査を進めるというのを決めました。ですので、集中的に川内原発に人員を投入し、労力も投入して、審査を進めまして、4月と5月と審査書の訂正みたいなものがあったのですが、それを経て、今年7月に、言っちゃなんですけれども、審査結果をまとめた、審査書案というのができあがって、そのあとパブリックコメントを経て、9月の10日に合格証というのが手渡されたという形になります」
佐々木キャスター
「なぜこの川内原発を優先的に審査するという方向になったのですか?」
池田氏
「審査の一番の論点は基準地震動という地震、ここが一番の議論になったんですね。一番はやく出てきていますのは、PWRという型の原子力発電所です。この中でもそれぞれ全て議論がありまして、一番はやく基準地震動を決められたのが川内原発」
反町キャスター
「基準地震動とは何ですか?」
池田氏
「その原子力発電所で考えられる最大の地震を決めて、それに耐えられるようにしましょうということですね。この基準地震動がもともと、たとえば、川内原発なら加速度で400ガルぐらいだったんですけれども、それを結局、最終的には620ガルということにしています」
反町キャスター
「強めに試算をして、それに耐えられる原発改修を行ったと?」
池田氏
「そういうことですね。その基準地震動というのが、他の原子力発電所ではなかなか議論の過程で決まらなかったということで川内が一番はやく審査が進んだということになります」
佐々木キャスター
「審査には半年ぐらいという見込みがあったわけですけれども、結果、1年かかった。この原因は何でしょう?」
池田氏
「それは地震動がなかなか決まらなかったというのが大きかったと思います」
反町キャスター
「先ほどの話ではないですけれど、人が少ないから審査に時間がかかるという人もいるのですが、それは現実問題としてあるのですか?」
池田氏
「確かに、人が少ないというのはあります、ありますが、それでは人を増やせるかというとまた別の問題ですので、定員を増やす、増やさないというよりは、日本全体にそういう専門家がどれだけいるかという話ですね。アメリカの場合は、海軍がPWRというやつの発祥地、原子力潜水艦ですね。ですから、NRCも必ず海軍の出身者が入っていますし、そういう意味では、供給源が比較的多いですね。日本の場合は必ずしもそうではないですし、そういう意味で、審査にあたる人員をパッと増やすというのは、なかなか難しいというのが本当のところですね」
反町キャスター
「そうすると、なかなか難しいと聞こえるんですけれども」
池田氏
「いえ、モデルケースが出てきましたので、そういう意味では順調に行くと思いますし、また、事業者側のご協力も当然必要だと思います。できるだけ迅速な対応をしていただくということが必要ではないかと思いますね」

審査の円滑化 どう対応
反町キャスター
「澤さん、このスピード感、人材の多い少ない、どう見ていますか?」
澤氏
「初めてのケースですし、審査のプロセスにおいてもやりとりの中で解釈のブレがあったり、ちょっと変わったり、いろんなケースがあったと思いますし、パワーポイントで全部説明しているんですけれども、最終的に審査はWordで書かないといけないわけですので、最初からWordでやらなければいけないですよ。文書をベースにやることが審査なので、面接試験ではないので、そもそもインターネット中継に、僕は反対ですけれど、まず文書でちゃんと出して、文書で質問をし、文書で回答をすると。それによって、文書が溜まってくるので、そうなれば解釈のブレというのがなくなってくるわけですね。次回から、別のところが出てきた時に、その文書が全部公開されるわけですから、それを見ればどういう審査の時にどういう解釈でどういうことを言われるというのは予想がつくので、非常に効率的になるわけです。それを単にビデオがありますからというか、全部あそこで公開していますからといって、結局そういうことが文書化されていないままになってしまうと、結果的に文書をつくるのはすごく労力がかかるのですが、1回つくれば、そのあとの効率性は、担保されると思うので、提案としてはそういうことをやってほしいなとは思います」

原発のリスクと安全をどう考える
佐々木キャスター
「原子力規制委員会の田中俊一委員長は『再稼動するかを私どもは判断していない。科学技術に100%、リスクゼロということもない。安全ということが誤解されて、安全神話とか、今回新しく規制に入ってきた制度が形骸化することのないように申し上げている』と発言しています。この発言の真意はどこにあると考えますか?」
池田氏
「いわゆる安全神話の復活というのはさせないということですね。世の中に100%安全というのはあり得ないと。ですから、100%はないけれども、100%に近づける努力をしていかなければいけない。100%と言った瞬間、それは安全神話になって向上がなくなると。こういうことを田中委員長は申し上げているわけです」
佐々木キャスター
「原子力の安全に関しては、どこに一番の責任の主体があってということを含めて、どのように考えていますか?」
澤氏
「リスクというものは、たった1つの数字とか、確率ではなくて、起こり得る事故にはどんなものがあるのかというのをまず質問で問う。その事故がどれぐらいの確率で起こり得るのか、起こった時の影響がどれぐらいあるか、これとの相対だと。トータルだと思っていただければいいのですが、それをできるだけ下げていくという努力をしましょうということです。ただし、最後はゼロにはなりませんということです。この前の事故よりも前の規制基準がここにあったとすると、厳しくして新規制基準はここになりましたと。しかしながら、規制委員会の権限と責任というのはこの規制基準としてどういうものをつくるかということと、事業者が規制基準を守っているかどうかを検証することですね。ですから、ここを合格ラインとした場合に、川内原発が通ったとした時、でも、ここは残りますね。これが、田中委員長がおっしゃっているリスクゼロということではないんだと。ここは必ず残るんですよということを言っているわけです。それでどうするのかという問題があるのですが、それは全ての安全は事業者に第一義的責任があるということを忘れてはいけないわけですね。むしろ、これが本旨です。だから、地元の人も国民全体もそうかもしれませんが、先ほど言いましたように規制委員会に何か原子力を止めてほしいという気持ちが入っていると、規制委員会は止める権限を持っているはずだとなってしまうわけですが、そうではなくて今言ったような基準を審査するだけの組織なので、極端に言えば、安全は事業者に第一義的責任があって、最終的責任も事業者にある。ですから、ここの部分というのはゼロに近づけていくために不断に事業者がいろんな工夫をしていかないといけないということですね。ですから、川内原発のサイトにおいても、福島の事故で、九州電力がいったいどういう反省をしたか。福島の事故でどういうことが起こって、起こったら何で東電が失敗したのかということを自分達が学んで、川内原発では自分達の九州電力の工夫としてこういうことをやるんですということが、住民やまわりの人達に説明できなければならないわけです。それ自体が安全文化というものであって、田中委員長は安全文化というのが果たしてこの会社に定着しているのかどうかというのをちゃんと見ますよと。だけど、自分達が審査合格書を出すのは安全を保障したということだと思うなよ、ということを言っているわけです」
反町キャスター
「それは国民に対して言ってるんですね?」
澤氏
「もちろん、そうなのですが、それは電力(事業者)に対してまず言うわけですね。ですから、審査書合格という証書をもらうことはゴールではなく、これからがスタートだということが、委員会に言われなくても事業者が自分でわかっていなければいけないわけです。ところが、すごく時間をかけて疲れたみたいな、このテストを通ったなら、これで終わりだ。だから、安全保障されましたよ、お墨付きもらいましたよ、いわゆるお墨付き文化をはやく止めなくてはいけない」
反町キャスター
「我々は検証できないのですが…」
池田氏
「アメリカなどには事業者団体があります。事業者団体が事業者を呼んで、お前達ちゃんとやっているか、ということをきっちり検証する。日本はまだそういうシステムになっていません。ですから、先般、審議会で田中委員長からありましたけれども、各社から来ていただいて、どういう安全に対する取り組みをやっているかを説明してもらおうと考えています」

重大事故対策は万全か
佐々木キャスター
「万が一、福島第一原発のような重大事故が起きた場合には事業者に対してはどのような対処が定められているのですか?」
平松氏
「それに備えて、訓練というのが非常に厳しく規定されているのですが、これは特措法による規定ですけれど、原子力事業者は防災訓練につき原子力規制委員会規則で定めるところによりその実施の結果を原子力規制委員会に報告するとともにその要旨を公表しなければならないという。ちょっと長いのですが、ちゃんと訓練をやりなさい、やったらその内容を報告しなさいと言う規定ですけど、さらにその訓練内容を評価して、ダメな場合は是正を命じることができる。訓練だけとってみても非常に厳しい規定が定められています」
佐々木キャスター
「体制が変わって、重大事故が発生した場合にまず何を最優先にすべきだと考えていますか?」
池田氏
「最初は情報提供です。どういう自体が起こっているかということを知らしめるというのが非常に大きなところではないかと思います。平松さんのお話にありましたように、これは日常的に訓練をやっていますので、いかにして被害を施設内で抑えるか。これが非常に大きなポイントになるのではないかと思います」
反町キャスター
「いわゆる逃げる作戦と、中のトラブルを抑えこむ、鎮圧をする作戦について、鎮圧することに関して具体的に、たとえば、福島のトラブルの時とかを思うと誰が対応するのか、どう対応するのかというのがわからないままに事業者の責任でやれと言われて、吉田所長もがんばられたわけですが、火力発電所だったら消防隊でいけますけれど、原発は消防隊では止まらないですよね?」
池田氏
「これは一時的には事業者が防災をやらなければいけない。実際それぞれの原子力発電所にはそれぞれの基ごとにどういう体制をつくらなければいけないということまで決めていまして、その体制によって鎮圧すると。実際、火力発電所ならば確かにそうかもしれないのですが、専門家ではないと防災はできないですよ。ですから、それは事業者がやらなければいけないということですね」
反町キャスター
「それは、福島第1原発の事故の時にもいわゆる放射線を通さない服を着て、決死隊と呼ばれる人達を編成して、中に入ったという話があるわけではないですか。そこまで命がけで鎮圧する覚悟を持って原子力発電所をやりなさいよということを事業者に伝えている、そういうことでよろしいのですか?」
池田氏
「極端に言えば、そういうことになりますね」
反町キャスター
「それぞれの電力事業者に、トラブルが起きた時には命をかけてでも止めようという、そういう覚悟があると思いますか?」
澤氏
「それはあると思います。ないと運転する資格もないと思いますし、福島の事故前まではそんなことは起こらないだろうなと皆思っていたと思うのですが、そこからあとはそういう緩みを持っていたらマズイな、大変だなという意識を持っていると思いますし、持たないと本当にリスクが起こった時に対処できないでしょうから、今おっしゃっている心配はなくなっていると思います。ただ、問題は、サイト内の話なのですが、サイト外とのリンクをどうつけるか。福島で問題だったというのは輸送ですよね。外から入ってくる輸送の話も詰めておかないと。誰が運んでいくのか、そういったことについて事故対応として考えていく必要があるのではないかなと思います」

池田克彦 原子力規制庁長官の提言:『安全文化』
池田氏
「法律とか、あるいは規制だけで安全を担保するというのは難しいと思うんです。最終的には個々の事業者が自らの安全を高めるという不断の努力をすると。これが何より大事ではないかなと思います。そうしなければ、日本の原子力発電というのは今後成り立たないのではないかと。私はそういう意識を持っています」

澤昭裕 21世紀政策研究所研究主幹の提言:『リスクの制御』
澤氏
「冒頭ありましたようにメンバーが今度交代した。これまで事業者との規制委員会は相互不信の関係にあったと思うんです。結構ささくれだったコミュニケーションだったのが、もう少しスムーズになってほしいなと。共通の目的は安全に動かすということですから、リスクの制御という目標に向かって、お互いコミュニケーションを正常化していくというプロセスになってほしいなと。それが日本の原子力の安全を高めることになると思います」