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2014年9月17日(水)
敷金トラブルは減る? 民法契約ルール大改正

ゲスト

丸山和也
自由民主党司法制度調査会長 参議院議員
松本恒雄
国民生活センター理事長
篠塚力
日弁連司法制度調査会委員長

民法の契約ルール 120年目の大改正
島田キャスター
「民法の契約ルールの大改正ということですが、民法とはそもそも社会を形成するうえでの一定のルールを定める法律です。既に、財産や親族に関する分野などについてはこれまで改正が行われてきました。しかし、契約ルールの分野についてはおよそ120年間も大幅な改正が行われてこなかったんですね。そこで法制審議会が8月末、およそ200項目にわたる改正案をまとめました。その中でも、今回注目される改正のポイントを4つ挙げましたけれども、賃貸住宅。中でも、敷金の定義を明文化したこと。保証人の賠償額上限設定を義務づけたこと。連帯保証については、個人による連帯保証を原則禁止。契約前の公正証書作成を義務化しました。法定利率というのは、借入金、損害賠償金等の算定基準となる法定利率。これを年5%から3%に引き下げました。未払い金とありますけれども、これまで職業ごとに異なっていた未払い金の時効期間を5年間に統一した。こういったことが今回の大きなポイントなっているのですが、なぜ現在、120年の時を経て改正に至るのでしょうか?」
松本氏
「契約法については、本当に変わっていなかったんですね。なぜかというと、私は3つぐらいあると思うんですよ。1つは、外からの改正圧力がほとんどなかったという点ですね。そこは、たとえば、家族法だと戦後の占領時代に変わっていたとかですね。それから、担保法だと金融危機で変わっていった。それから、家族法の一部のところ、最高裁が違憲だという判決を出して変わったとかですね。それから、高齢社会対応のために成年後見法ができたとかがあるのですが、契約法は変わっていないんですね。なぜかというと、特約が優先しちゃう。民法の契約法は、当事者間で取り決めをきちんとしておかなかった場合に、代わりにこれはできますよという話だから、当事者が丁寧に細かい部分を決めておけば、そちらが優先しちゃうんです」
島田キャスター
「基本的には個人個人でやるんですよね?」
松本氏
「ただ、それはそれで、また問題があって、約款とか、契約条項がちょっと不当ではないかという話が出てくるということですね。3つ目は、裁判所が柔軟にいろいろ解釈をしてくれて、120年前の条文を使いこなしているというところがあるんですね。その理由は条文に非常に抽象的な言葉がたくさん使っているということがあって。だから、何とでもなるところがある。ただ、逆にそれはわかりにくいと言う批判にもなるんですね。見ただけではわからないと。何でこの条文をもって、裁判所はこんなルールにしているんだということがわからない。そういう部分もあるのですが、そういう使いこなしということがあります」
島田キャスター
「120年前のルールが現在でも柔軟に使われていたことに驚くのですが、要するに、今回は時代にちょっとあわせようとしてきていると解釈してよろしいでしょうか?」
篠塚氏
「そうですね。時代にあわせて変えていこうということ」
反町キャスター
「いかがですか。自民党の中では、こういった、たとえば、今回の賃貸の問題とか、連帯保証の問題とかで、議論をしようという機運はこれまでなかったのですか?」
丸山議員
「いや、たくさん。トラブルが一番多いところですからね。問題は常にあったんですけれど、その都度裁判になったりして、それによって松本さんがおっしゃいましたけれども、裁判所がそれを救済したりですね。それに従って、実務が自然に、慣習的に直ってくる。変わっていく。いろいろしてつぎはぎ、つぎはぎで修正してきたんですよね。それで、何となく持続してきたのですが、そうは言ってもそろそろ新しく集めるところは、新しく集めなければダメではないかというところにきたということでしょうね」

民法契約ルール大改正 敷金トラブルは減るのか
島田キャスター
「今回の民法改正の中で、一番初めに挙げていますけれども、賃貸住宅ですね。この契約というのは、私達にも身近ですね。敷金のことも」
反町キャスター
「気になりますね。敷金2か月をどうするんだ。何で2か月分払わないといけないのかとか」
島田キャスター
「経験していたりするのですが、地域によっていろいろな例がありますけれども、東京地方の一般的な例で、現在どうなっているのかというのを説明したいと思います。家賃10万円の、たとえば、マンションの一部屋を借りる場合、契約時に借りる人は、貸主に家賃の10万円の他に、敷金だとか、礼金というものを払います。一般的には、東京だと家賃2か月分ぐらいかなと。礼金も2か月分ぐらいかなというものが発生します。また、その他に、仲介してくれた人がいたら、不動産業者であれば、そこに仲介手数料、およそ1か月分を払うようになっています。敷金、礼金ですけれど、敷金に注目しますと、返還されるとなってはいるんですけれど、部屋を出ていく時にこれが返還されないことも多いと。この敷金を巡るトラブルというのが数多く発生している。こういった問題があります。そして、敷金を巡る相談事例として、2013年度の相談件数が、国民生活センターに寄せられただけで、1万3900件を超えていると。たとえば、退去後、1か月以上経過しているのに貸主から『部屋の臭いが取れないのでクロスを全部張り替える』と言われ、敷金を還してくれないばかりか、それ以上を請求されたと。また、ユニットバスを一部壊したんだけれども、全部の取り替え費用を負担するように言われてしまったと。また、ペットOKだよと、ペット可の賃貸マンションだったのに、ここを退去する時、ペットの消臭作業代とハウスクリーニング代を請求されました。これはどうなっているのかと、いろいろな相談事例があるんですけれども、たとえば、ペット可のマンションだということはペットの臭いというのはある程度織り込み済みでいいのではないかと思うんですけれども、請求されてしまった。こういうのはどうなのでしょうねかね」
松本氏
「1つは、退去する時のクリーニング代についてきちんと特別の約束をしていたかどうかというところがまずあって…」
反町キャスター
「入居時に?」
松本氏
「入居時に。契約書の中に約束してあればまずそちらが優先するという、先ほど、言いましたけれど、約束の方が優先する。約束が何もない場合にどうなるかというところで民法がようやく出てくるわけです。そうなると、民法の一般的な原則からいけば、普通に使っていて、少しずつ汚れていく分については、それは家賃で見ているんだという建前がもともとありますね。従って、何か乱暴な使い方をしたとか、ペットの管理をきちんとしなかったから普通のペットに比べて傷つけたとか、そういう場合は、負担するかもしれないけれども、それでなければ負担しなくていいというのが現在の民法でも原則なのですが、そこは民法の条文から素直に読めるかというと、必ずしも読めないところもある。書いていないから。我々は書いていないんだから、払わなくていいんだと解釈するのだけども、書いてないからわからないと一般の人は考えるところがあるんですね」
島田キャスター
「どういうふうにも読めるようだったという、これまでは、ということですね?」
松本氏
「そうですね」
島田キャスター
「今回そういったトラブルを減らそうと、契約ルールが改正されるわけですが、ポイントとしては敷金というものを決めました。これまで民法では明文化されていなかったんです。この敷金を賃料などの担保と定義すること。賃貸契約が終了し、部屋が引き渡されたら、敷金を返還しなければならない。こういったことも今回、明記されるであろうと。経年変化によるものは、賃借人、借主に修繕の義務はないことも明記すると。保証人についても現在、保証人が負う限度額を決めていないのですが、それを廃し、この上限を定めるということを義務づけているんですけれども、現在、民法を読んでもどちらにも解釈できるという、説明だったんですけれども、ガイドラインとか、たとえば、都道府県とかで、ある程度決められていると聞いたこともあるのですが」
篠塚氏
「ガイドラインは、仲介に入る、仲介の業者に対してこういう紛争が起こらないように、先ほど言われたように明け渡す時に畳はどうするかとか、あるいはクリーニング、壁はどうするのかとかいうのをきちんと決めなさいというようなことをして、あとの紛争を防ぎなさいと。ガイドラインはあくまでもガイドラインであって、契約で別の合意もできるわけ。だから、敷金で返還する時の、直す程度とか、完全に直さなくちゃいけないと。経年変化を全部、借主が負担するという合意も民法上は否定されないと」
反町キャスター
「合意するなら、それはそれでそうなっちゃう?」
篠塚氏
「ところが、そこから先があるんですね。もう1つ先があって、そういう合意をした場合に、僕らだとか、企業がそうした場合は、それで拘束されます。しかし、借主が、いわゆる消費者と言われる場合には、消費者契約法10条というのがありまして、その内容が民法にも一応、反していますよね。経年変化だとか、通常損耗というのは貸主負担ですよとなっているのを借主が負担する。内容をはっきりさせていないとか、曖昧なまま契約を結んでしまうと、消費者の利益を一方的に害すると。信義誠実の原則に基づいて反する場合には、その契約は無効になって、その特約が無効とされる。常に無効となるわけではないですよ。そこから、もう1つ混乱が出てくるのは、特段の事情があったり、要するに、明確に言っているような場合には消費者契約法に違反しないと(なる)」
反町キャスター
「そうすると、今度の改正案が通った場合にですよ、2つ目の項目である部屋が引き渡されたら、敷金を返還しなければならない。全額と書いてないところもポイントになるのですか?」
篠塚氏
「そうですね」
反町キャスター
「猫や犬を飼っていて、床がぐちゃぐちゃになってしまったというようなことを、それは、話し合いの結果、経年変化、年月による変化以上の傷があると両方が認めた場合、そこの部分というのはちゃんと敷金から修理代を出しなさいよと。ここの部分もこの中に含まれている?」
篠塚氏
「そうですね。賃料などの担保などの中には、原状回復…」
反町キャスター
「原状回復も入っている」
篠塚氏
「入っている」
反町キャスター
「これまでと何も変わっていないのではないですか?」
松本氏
「それは、賃借人の側に責任があることがらについての原状回復ということですから」
島田キャスター
「ただ、経年などは別に見ていいけれど?」
松本氏
「特約がなければ。だけど、特約で経年変化の部分も、クリーニング代全部負担しますという特約を書いておけば、そちらの方が民法原則からいけば、優先しちゃいますから」
島田キャスター
「細かいところもいろいろあるでしょうけれども、これまでは、借主が、一方的に知識がないので払わされることが多かったと。だから、トラブルも続発していたと思うんですけれども、今回この改正があるということで、そういったことは減っていき、消費者である借主が守られることになるのかどうかという点についてはいかがですか?」
松本氏
「よく知っている人は少し守られると思いますが。しかし、特約で書いてある、クリーニング代全額負担ですよと書いてある場合に、ここを借りるのをやめて、こちら側の方で借りますと、条件をきちんと自分で比較して選べれば、それでいいのですけれども」
反町キャスター
「要するに、自民党はこの法案を取りまとめるにあたって、現在お二人のお話を聞いていると、賢い店子は得をするけれども、知らない店子はという話かなと聞こえてしまうんですよ。そういう意味で言うと、自民党は最終的に法案をまとめて、法制化する時に、どちらに軸を置いた法案をつくっていくのか、それはないのですか?」
丸山議員
「どちらに軸は変ですけれども、公平がありますから。両方の公平を考えますから。それはそうですよ」
反町キャスター
「どういう感じですか?」
丸山議員
「たとえば、先に敷金を還せという人もいるんですよ。これまでは。明け渡す前に敷金を還してくれという人もいたので。これ見ると、貸主を守っていますよ。賃貸契約が終了して部屋が明け渡されたらあとになっているのね。これは、そういう意味では家主を保護しているし、敷金を原則還すものだと。それから、経年劣化については負担をしなくていいんだということも明確になっているということで、借主を守っている。そういう両面があると思うんですよ。どちらがということではないですね」

個人保証の原則禁止
島田キャスター
「中小企業の融資に関する連帯保証は改正案がまとまっているんですけど、そもそも連帯保証とは、中小企業が金融機関などから融資を受ける際に求められる保証人のことですけれども、債務者の返済が滞った場合にこの債権者は、債務者と同じ責任を有しているこの連帯保証人に対して一括で返済を求めることができるんですね。つまり、連帯保証人というのは、本人には何のメリットもない、かつ落ち度もないのにリスクだけを背負い込んでしまっている存在だと見ることができます。そのために『連帯保証人には絶対になるな』が親の遺言とも言われることもあるのですが、具体的には、この連帯保証人にまつわる様々なトラブル、不幸な出来事がいっぱいあるそうですが」
篠塚氏
「そうです。私の経験でも、ある社長さんが、自分の事業と関係のない、本当に人の良い友人に保証人になってもらったんです。それは高利からの借り入れだったのですが、その後、お金が払えなくて、雪だるま式に大きくなっていく中で、友人は家を建てたばかりで、迷惑をかけられないということで、社長さんは自分が自殺をして、生命保険金で払おうとした。しかし、生命保険金は結局出なかった。保証人の人も破産をする。非常に不幸なことがあったと」
島田キャスター
「そういうことがいっぱいあるわけですね」
篠塚氏
「そうですね。非常に多い」
島田キャスター
「そういった不幸をなくすために、今回の民法の改正では、連帯保証の契約ルールを変えようということになりました。企業向けの融資において個人が連帯保証人になることは原則禁止です。ただし、その企業の役員や主要株主、事業に携わる配偶者は例外です。この例外以外の個人が連帯保証人になる場合は、公証人と面談のうえ、公正証書の作成が必要となりますと。こういったことがポイントになってくるのですが、原則禁止となってくるんですけれども、つまり、他の例外がいっぱいあるということですね?」
松本氏
「はい。最初、審議会の議論としては、本当に禁止という方向でいって、先ほどの経営者とか、経営者の奥さんで実質経営に関与している人は、やむを得ないよねというような議論があったのですが、それだと、中小企業の方が融資を受ける場合に融資をしてもらえない場合があるのではないかということを、中小企業団体の方が強くおっしゃったということがあって、友人とか、経営に直接関与していない人の保証というのも中小企業にとっては重要だということで。そこで、そういう場合には、公証人に保証人になる人の意思をきちんと確認をしてもらって、そのうえで契約をしてもらいましょうというようなことになったということです。ですから、原則禁止と言いながら、公証人が確認をすれば、誰でも保証人になれるということですから、禁止していないと言えると思います」

公証人の役割は
島田キャスター
「基本的な質問をしますけれど、公証人というものはどういう方々なのでしょう?」
松本氏
「日本ではだいたい検察官を辞められた方、裁判官を辞められた方が中心です。そういった方が公正証書をつくると。一番よく使われているのは遺言です。公正証書遺言をやるというのが一番よく使われています」
反町キャスター
「そうすると、公証人の人達は、連帯保証人になると言ってきた人に対して、リスクとか、負うかもしれない負債の額とか、そういったものを全部説明し、それでも、あなた、いいですね、と。ここまでやってくれるのですか?」
松本氏
「いや、そこまでやってもらえれば、かなりいいですけれども」
反町キャスター
「そのための公証人。リスク説明をしなかったら、何のためにこの人達が仲立ちになって公正証書をつくるのかがわかりませんよ」
松本氏
「現在の法案ではそうではなく、保証人になろうとする人が、私は保証人になる、本気ですよと」
反町キャスター
「意思の確認だけ?」
松本氏
「(確認)だけですね」
島田キャスター
「現在、それは?」
松本氏
「現在は何もいらない。改正案が通ったとして保証人予定者が公証人の事務所に行って、本気です、と言うこと。口述する。口で述べる」
島田キャスター
「何のためにやるのですか?」
松本氏
「口で述べさせる」
島田キャスター
「何のために、本気ですというのを公証人のところに行ってやることが、今回の原案に含まれたのですか?」
松本氏
「保証人になる人が非常に軽い気持ちでなるという、頼まれて、責任は本当に大きくないんだけれども、ハンコだけ押して終わりという。迷惑かけないからねというのをやめて、軽くやってしまうという形が昔から多いんですね。それを少し手続きを重くして、慎重にさせようということです」
反町キャスター
「リスクを防ぐということをもっと徹底しようと思ったなら、自民党の支持母体ですよ、はっきり言っちゃえば、中小企業の方からあまりそこを厳しくやられると、我々は借金ができなくなっちゃうんだよという話もあって、今回、こういう改正案になりつつあるという部分があるわけではないですか?」
丸山議員
「一部。ですから、会社の代表者だとか、配偶者だとか、そういう一部例外が設けられていますね。どうしても連帯保証、非個人保証が必要だという意見も強いんですよね、一部から。そこで、そこは残しているということがある」
反町キャスター
「連帯保証制度自体本当に存続すべきものですか。もっとわかりやすく言っちゃうと、リスクを負うのは借手なのか、貸手なのかの話になった時に、銀行、金融機関の方がリスクを負うことによって、ないしは別の形で、積み増しをすることによって、こういう悲劇を、リスクをもたらしてきた、連帯保証人という制度自体を見直すつもりはありませんか。政治はどうですか?」
丸山議員
「随分と今回提言をしたわけです。それから、公証人という制度を入れたということで、今回の改正というのは、全部廃止というわけではなく、本当にボランティア的に、それを負担しようと言う人は残そうと。ただし、間違ってそうなっちゃうような人だけを排除しようと。ここでとまっているわけです。だから、これが現実ですよね。それは残してくれという要望も結構、強かったですよ」
反町キャスター
「そうなのですか?」
丸山議員
「そうです」
反町キャスター
「それは貸手側でしょう?」
丸山議員
「借手側が。そうではないと金が借りられないと」
反町キャスター
「連帯保証人制度というのがあるからそのように言うのであって、それを全廃するという選択肢はないのですかという、そこですよ」
島田キャスター
「たとえば、保証会社とか。そういうものは」
篠塚氏
「他の担保ですね。だから、債権を持っている。中小企業とはいえ、不動産を持たなくても、債権を持っていると。その債権を流動化し、担保として安くするとか、あとは金融機関の貸方ですけれども、経営内容をもっと見て、担保がなくても、保証人がなくても、貸せるというのが、貸す方の技術を高めるという先に、保証人を廃止する」
反町キャスター
「世界中どこにでも連帯保証人という制度あるのですか?」
松本氏
「ありますよ」
反町キャスター
「あるのですか?どこの国にでもあるものなのですか?」
松本氏
「ありますよ、基本的にはあります」
反町キャスター
「そこの部分というのはどうにもならない部分ですかね」
松本氏
「ただ、全国銀行協会と、それから、商工会議所でしたか、一緒になって、個人保証のガイドラインというのを今年、つくっていまして、金融庁もかなり関与していますけれど、個人保証に依存し過ぎた融資はやめましょうという方向に少しずつ動かしているところです」

法定利率の引き下げ
島田キャスター
「法定利率を現在なぜ変えようとしているのですか?5%から3%に」
篠塚氏
「運用するわけですね。本来給料が毎月しかもらえないものを、何十年間分を先に貰う。先に貰うから本来運用しているはずだと。運用している時、自分が運用していると3%でもなかなか…5%でもまして運用しない。そうすると、貰う方からすると少ない、5%で引かれてしまうと。実態にあわせるならもっと少ない数字だと。ただ、あまり低くすると損害金につくのですけど、零点零何パーセントで払わない方がいいということになってしまう。そこはある程度上げなくてはいけない。約定金利に近づけてしまうと5%どころではなくて、金融取引は十数パーセントになってしまう。損害金の方でもあまり高い利率でできない。そのような中で、中を取ったような形で3%であれば、損害金としてもそこそこだろうし。ただし、私から言わせると、中間利息控除自体がかなりフィクションですよね。本来なら毎月毎月、毎年…たとえば、損害金も、月額41万5400円も毎月払っていってもいいはずです。そうしたら中間利息は発生しない。だけれど、そういうことも含めて損害賠償金の問題というのは不法行為というところに、もう一度抜本的に考え直した方がいい問題ではあるんです。現在は暫定的にこれまでのルールがある中で、現在のルールを維持する形で法定利率を中間利息に使うということであれば、もう少し低くしないといけないだろうということで3%まで下げた」
反町キャスター
「賠償金の支払いのやり方も今回、議論になったのですか?」
松本氏
「そこが一番大きな問題でしてね。法定利率というのはどういう用途に使われるかというと、損害賠償の先払いでも使われることに現在はなっているんだけれども、もともとそのための制度ではないですよ。もともとの制度は、たとえば、売買をして、代金をいつまでに払いますと約束をしたのに払ってくれないという場合にその遅れた分について予め利息の約定をしておけば、それでいくのだけれども、普通そこまでしないですよね。そういう場合に5%つけますよというのが1つの使い方。もう1つは交通事故の損害賠償で賠償金に対する支払いが遅れた分の利息。これも5%でいきます。貸金業者から借りたお金を返し過ぎた過払いの返還も多いですね。それも5%つけましょうということで、そういうのが主たる分野です。それを損害賠償額の中間利息の控除に使うという、転用と言っても言いわけですが、その3つぐらいのタイプについて別々のルールでやるのか、やらないのかというのが大きな論点になりまして、損害賠償、中間利息の話はちょっと特殊だから、別枠にしましょうということで、保険協会も主張していたのですけれど、3つは同じルールでいくということになったんです」
反町キャスター
「事故が起きた時の損害賠償金が増える流れにになるわけですね?」
松本氏
「確実ですね」
反町キャスター
「保険会社の支出が増えるというのも確実な情勢ですよね?」
松本氏
「確実ですね」
反町キャスター
「自民党としては細かく検証したのですか?」
丸山議員
「それは議論をやりましたよ。これは当然だというのは大筋の流れです。そもそも大きな視点としては、あまりにも5%という、時代とかけ離れちゃっているわけですよ。おかしいだろうと。とにかくこれを下げなければと。だから、3%も高いです。3%だって個人的には高すぎると思いますけどね。それで1回様子を見ようということになったのではないですか」

約款をめぐるトラブル増加 背景と法制化の必要性は
島田キャスター
「継続審議になった問題があります。約款です。約款とは、不特定多数の相手と画一的な内容の契約の締結を予定して準備される条項です。国民生活センターにはどういったトラブルが寄せられているのでしょうか?」
松本氏
「たとえば、携帯電話関係の約款、有名な2年縛り。つまり、2年単位で契約して安くしてもらっているけれど、途中で他の電話会社に交代したいという場合には、非常に高額の違約金を払うということになっていまして、それをめぐるような相談が多いですね」
反町キャスター
「たとえば、ネットショッピングの話は、具体的にどういう」
松本氏
「結局、約款というのは特約の話ですから、そこに事業者に有利な内容の特約がいっぱいついている。たとえば、商品に少々傷がついていても一切交換しませんよとか、中途解約絡みのやつと、免責約款絡みのものが大変多いですね」
島田キャスター
「知らないうちに自分が確認したものとルールが変えられていることも時々あるのですか?」
松本氏
「そうですね。継続的な会員をやっている契約です。インターネットのゲーム、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)もそうですけれども、1回何かを買いますと言うのではなくて、ずっと継続的に利用しますという場合には途中で契約条件が変わっているということがあります、時々。クレジットカードの約款というのも時々変わっているんですよね」
篠塚氏
「保険関係であったのは、26歳未満は保険の対象になりませんという付保を事前の話ではしてなくて、あとになってから約款だけポンと送ってきた。裁判所は、ちゃんと合意していないからダメだと。それと、敷金は公的な団体が貸していた。約款だったですね、賃貸借契約は」
島田キャスター
「約款は、現在のところは法律の効力というのがよくわからない」
篠塚氏
「賃貸借契約の中に、通常損耗を賠償しなさいと書いてあったわけ。ところが、裁判所は具体的な合意でないとダメだと。クリックするような、あるいは全体を渡されて書いてありますよ、という程度のことでは通常損耗、経年変化を借主が賠償するというのはおかしいと。裁判所も内容に応じたしっかりした合意じゃないとダメだと。薄い合意でもいいというためには内容が良くなくてはいけない。それも判例のルールにはなっている」
島田キャスター
「ルールではあったものを今回民法の改正に盛り込むのかどうかというのが法制審議会でも議論されたようですが、結局継続審議になりました。それはどうしてなのですか?」
松本氏
「産業界の方から、反対意見があったということです。つまり、事業者側ですね。約款を用意して、それでビジネスをやっている事業者としては、これまでだとかなり自由なことをやれたけれど、今回、民法でこういうものでないと約款として効力の一部として認めないぞというのを書かれるのはちょっと困ると。自分達がこれまで自由にやっていたものを制約されるのは困るというのが大きな反対理由だったと」
反町キャスター
「保険、電気供給、携帯電話、ソーシャルネットワークサービス、クレジットカード、ゴルフ場、こういうところからほとんど反対が出たという理解でよろしいですか?」
松本氏
「どの業界からかという説明はされなかった。賛成する業界もあったけれども、反対する業界もあったので、この案でOKは出せないという説明でした」
丸山議員
「約款に関して経済界全部が反対と言うのではない。意見がまとまらなかったんですよ。主に経団連とか、重厚長大が基本的に現在でも中心になっているわけですね。ああいうところの意見はどちらかいうとアンチでしたね、積極的じゃなかった。むしろ新しいインターネット業界からは、そんなに反対はなかったと聞いています。これもすごく反対があって、阻止というのではなくて、どこらへんまでは約款の対象にするのかという契約の範囲です。その問題が一番大きかった。それから、もう少し規制の内容を具体的に、ここが規制されて、ここが規制されないと、はっきりするまではちょっと嫌だということで、おそらくこれは私の勝手な見通しですけれども、産業界としてもまとまった賛成する案となって出てくると思いますよ」

松本恒雄 国民生活センター理事長の提言:『積み残しは消費者契約法の見直しで』
松本氏
「今回、積み残された課題がいっぱいあります。約款もどうなるかわからないというところで、それらの中で、特に消費者保護に関係あるテーマがたくさんありました。そこで民法に盛り込めなかった部分について、10月から消費者契約法の見直しというのが消費者委員会で始まります。消費者担当大臣が諮問に出されていまして、従って、民法でこぼれたテーマを今度は消費者契約法の改正審議の中で十分議論していただきたいということです」

篠塚力 日弁連司法制度調査会委員長の提言:『次世代に対する責任』
篠塚氏
「約款も含めて、現在のいろんな業界の利害関係だけではなくて、将来の日本をどうするか。将来の国民にとって幸せな法制度とは何かというものを考えて政治的な判断をしていただきたいということです」
島田キャスター
「丸山さん、いかがですか?」
丸山議員
「基本的に民法というのは法律の王様だと思うんですよ。憲法は最上位ですが。我々はこれを活かすことが重要。と言うことは、日本はわりかし権利を主張しない。これをもっと、どんないい法律をつくっても、それを自分が正しいということを堂々と主張する。そういう態度が絶対必要。そうでないと法は進化しない。だから、提言されていますけど、消費者(契約)法の見直しで、とおっしゃっているのも消費者の視点に立って、不明な点も含めてがんばりましょうということだと思うんですよね。ただ、消費者がもっと自分の権利を主張する、とにかく権利を主張して初めて自分の権利というのが生まれてくるし、守られてくるし、法律も変えていくということを言いたい」