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2014年9月16日(火)
安倍政権第2章と経済 円安株高はどこまで?

ゲスト

西村康稔
内閣府副大臣 自由民主党衆議院議員
野口悠紀雄
早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問
永濱利廣
第一生命経済研究所主席エコノミスト

急速な円安 その原因は?
島田キャスター
「安倍政権が発足した時が85円だったものが、今年に入ってからは100円代前半ぐらいでずっと推移していたのですが、先週の木曜日に一時107円代までつけて、急激な円安です。ユーロで107円代前半というような報告です。ヨーロッパですね。この急激な円安はどういう原因が考えられますか?」
永濱氏
「基本的には日米の金融政策のスタンスの差ですけれども、それだけでは、ここまでは行かないですね、円安は。実は、もう少しいくつか要因があって、マーケットで言われている最大のポイントがアメリカの景気回復、経済指標がいいですからテーパリング(量的緩和の縮小)も来月予定通りに終わるだろうということになると、利上げ観測が高まってくるということですね。日銀の追加金融緩和への期待。プラスアルファで言うのであれば、ヨーロッパ中央銀行ですね。この前、金融緩和をまたやったんですけど、ドラギ総裁が量的緩和に結構前向きな発言をしたということもあって、こちらで、さらなる金融緩和に期待がある。ユーロが売られ、その受け皿がドルになっている。さらに、イギリス、スコットランドの独立問題ですね。ポンドが売られる要因になって、それの受け皿としてドルということで、円安もそうですけれども、それよりもドル高が大きいと思いますね」
反町キャスター
「ドル高と言ってもいいのかもしれません。円安基調というのは、どれぐらい今後続くのかどうか。その見通し、鍵になる部分はどのように見ていますか?」
永濱氏
「アメリカの金融政策だと思うんですけれど、今後どうなるかわからないですが、過去の経験則で言うと、アメリカで利上げの局面になってくると、だいたい4年から6年ぐらい利上げの局面が続くことが多いですね。そういうことを考えると、一方で、日銀がどこまで金融緩和を続けるかというのがあると思うんですけれども、トレンドで考えると、円安ドル高のトレンドは当面は続くのかなと」
西村議員
「円安自体が、いわゆる、マクロ経済全体のモデルをまわしても、日本経済にとってプラス。これは間違いありません。全体で見るとプラスということですので、現在のような形で、緩やかな円安になっていることがプラスになることは間違いないというのがまず基本です。ただ、原発が動いていない状況の中で、エネルギーコストが非常に高くなっていまして、ここのマイナス面も出てきますから、ここをしっかりと手当しなければいけないと。特に、家計に与える影響は消費に効いてきますので。家計、それから、中小企業、あるいは漁業などのように燃料を使う特殊な業種ですね。こういったところへの目配りがどうしても必要になってきますので、全体としてプラスの評価ですけれど、ところどころ、でこぼこプラスマイナスがありますので、全体としてはマイナスのところ、少しよく配慮しないと、手当てをしなければいけないという状況になってきていると思います。日本の株価は、過去の経験則から言うと、為替とアメリカの株価でだいたいの部分の説明できます。ですから、円安基調で、アメリカの株は、非常に堅調な時は当然、日本株も上がって、経験則からいくといいはずですけれど、足元の経済が悪いということ。これ4-6(月期)の数字が悪かった。GDPの成長率が悪いと。駆け込み需要の反動減が非常に谷が深くて、かつ天候要因なんかもあって、長引いている感じがします。プラス実質賃金が上がっていないところで、このあたりをよく分析しないといけないんですけれども、足元の経済が悪い。先行きまで不安だと言うことで上がってきていないんですね。ですから、我々としては経済成長、成長戦略をしっかりやることによって、特に、企業収益が上がってきますので、これをちゃんと賃金上げにつなげていくと。いわゆる、経済の好循環をしっかりやれば、賃金が物価上昇に見合ってくる。若干遅れてでも見合ってくると。そうすると、消費も増えてきますので。企業収益が良くなって、投資も増えるという良い循環になってきますから。これを何とかつくらなければいけない」

上昇する株価 その背景は?
反町キャスター
「この円安の状況が続く中で、経済の好循環に、日本は持っていくことができるのかどうか。それをどう見ていますか?」
野口氏
「それは不可能だと思います。これまでも好循環になっていないですよね。株価が円安の影響で自動的に増えただけであって、実質賃金は下がっているわけですよ。実質消費も伸び率が減少しています。それは決して好循環とは言えませんね。私は、スタグフレーションだと思っています」
反町キャスター
「入口だと?」
野口氏
「入口です。もう1つですが、それは賃金です。最近、有効求人倍率が上昇している。これは雇用情勢の好転だと言われているのですが、私は逆だと思っています。人手不足ですね。つまり、職を求める人が減っているんです。現在まだ顕著ではないのですが、これから賃金を引き上げていく、コストプッシュ。それは企業の収益にマイナスにあたるわけです。このような過程が今後、働く可能性が非常に強いんですね。マーケットはこういうことを予測しているという可能性が十分にあります」
西村議員
「確かに実質賃金は下がっている。つまり、物価上昇に現在追いついていないのですが、それでも7月、ボーナスも含めての数字ですけれども、2.6%上がっています」
反町キャスター
「名目ですね?」
西村議員
「そうです。それから、組合、連合が発表した賃金引き上げ率が2.07%で、300人未満の中小企業も1.76%。それから、一時金も4.78か月出す。経団連が発表した大手企業では一時金は7.19%増ということですし、中小企業も3分の2が賃上げを実施したと経産省の調査に答えています。ですから、好循環し始めたところだと思うんですね」
反町キャスター
「これから賃金上昇が追いついていくのではないかという意味ですか?」
西村議員
「そうです。ですから、これは非常に難しい、賃金というのは、通常企業業績が良くなって、先行きを見通してから、賃金が上がるということが、遅れてきますので、それを今回は政労使の会議で、やや無理やりに、異例なことに、政府が介入するような形で、賃金を上げてもらったということでまだ追いついていませんけれど、この循環を維持しなければいけません。今後さらに賃金が上がるような環境を我々がつくっていかないといけないと」

日本の景気の現状 物価上昇&実質賃金
野口氏
「賃金の数字は、統計によってはちょっと違うんですけれど、家計調査で見ますと、勤労者世帯の実収入は、7月で、名目で2.4%のマイナスです。実質で見ると6.2%のマイナス。かなり大きいですね。それから、先ほど申し上げたのは、賃金が上がることはコストプッシュの要因だから、問題だと申し上げているんです、長期的に見ると」
反町キャスター
「賃金が上がってもいけないのですか?」
野口氏
「賃金が上がることは、企業収益を縮小させますから。長期的に言うと、労働者不足経済で日本が…」
永濱氏
「それは、労働生産性を上がれば問題ないと思いますよ。実際に労働生産性は上がっていますから」
野口氏
「日本の企業の資本収益率は、長期的に見ても減少しているんです。著しく減少しているんです。それが今後も続くということですね」
反町キャスター
「そうすると、現在の求人が苦しいのも、これは別に景気が良いわけではなくて、人が少なくなっているだけ?」
野口氏
「いや、だけではないですね、両方ですけれどね」
反町キャスター
「それは結局、円安がもちろん、コストプッシュになっているし、賃金が上がることもコストプッシュになるし」
野口氏
「コストプッシュの要因になるだろうと。まだ生じていないです」
反町キャスター
「日本経済の方向は、非常に良くない方向に向かっているということで、先ほどからずっとお話になっているという理解でよろしいですか?」
野口氏
「そうです」
永濱氏
「いや、私は逆で、それこそ賃金が2.6%も上がること自体、14年数か月ぶりの状況なわけですね。雇用者数で考えても、5600万人超えて過去最高ですよ。2012年の年末から123万人ぐらい増えているわけですね。そのうち、3分の1は正社員も増えていますし、そういうことを考えると、少なくとも、今年の3月までは非常に好循環だったと思うんです。私は、何が悪かったかというと、消費税率3%は上げ過ぎだったと思うんですね。百歩譲って3%上げたとしても、それに対する景気対策が、真水5.5兆円やったわけですが、直接、家庭に恩恵が及ぶような政策は、6000億円ちょっとしかやっていないんですよ。となると、そもそも消費税の上げ幅が大き過ぎたことと、それに対する対策が私はちょっと良くなかったのではないかなと思いますね」
反町キャスター
「西村さん、悪くはないのだけれども、消費税が余計だったという話もあれば、野口さんみたいに非常に厳しいんだという話しも。どう思いますか?」
西村議員
「公共投資とか、他の補正予算、モノづくり補助金も増やしましたけれども、企業の収益が上がって、そこから回転をしだしますので波及効果を見てやっていますから、直接渡すのがいいのか、波及効果を見てやるのか。いろんなことを組み合わせ、一番効く形で、私達は計算してやっているわけですけれども、従って、間違っていなかったと思うんです。ただ、駆け込み需要が3月にすごく多かったです。3%上がるということは、前回は3%から5%で、2%上がりましたけれど、今回、3%だとすごく大きくて、住宅、自動車を中心にですね。今度は山が高かっただけに、谷がものすごく深くなって、そこから回復することを、我々、期待していたわけですけれども、天候の不順があったりして、それがちょっと長引いていると。さらに、実質賃金が追いついていないところを、皆、気がつき始めて、ちょっと節約しなければいけないかなという、おそらくマインドも出てきているんだと思いますね。ですが、好循環、回り始めてきたところまでは、我々はまだ維持していると思いますね。このあとちゃんと戻ってくるかというところを、よく見なければならないと思っています」

消費税10%へ再増税 どうなる7月~9月期GDP
島田キャスター
「安倍政権が発足したあと、基本的にほぼプラスの成長を続けています。一時マイナス0.5%というのがあったのですが、ほとんどプラスでした。今年4月に消費税率が8%になったあと、4-6(月期)の数字は一気にマイナス7.1%となったわけですね。先ほどの話に出ていましたけれど、安倍政権の大きな課題である消費増税ですけれども、今年の12月には、来年10月に10%に引き上げるかどうか、総理が判断する予定となっているのですが、その材料となるのが、このあと7-9(月期)のGDPですね。7-9(月期)のGDPの、民間のシンクタンクの予測をまとめてみました。様々ありますけれども、上は4.7(%)から、下が2.5(%)まであわせて平均で3.8%ぐらいなのではないかということですが、7-9(月期)の経済成長はどれぐらいが、消費税率アップの目安になるかという、このへんはどう見ているのでしょうか?」
永濱氏
「あくまで、私の個人的な考えですが、先ほどの、表面上の数字だけで3.8(%)と見ると結構成長している感じですが、これは駆け込み需要の反動ですごく落ちたところから、どれだけ成長するかという意味では、それこそ、今回4-6(月期)のGDPが出た時に、よくこの1月から6月に均せば、成長しているという話があったではないですか。ということからすると、私は7-9(月期)の成長率を見ても1月と6月を均した数字から、どれだけ成長するか、その過程が非常に重要だと思いますね。政府が経済成長率の目標何%と立てているのですかというと、実質2%ではないですか。私は、年率換算で1-6(月期)の平均から7-9(月期)が2%上がるような成長をすれば、やっていいと思います。実際、計算をしてみると出ていますけれども、実は1月から6月の水準から全く増えなかったとしても、3.8%いっちゃうんですよ。だから、3.8%、ちょっと足りないかなと。実際、年率2%にいくために、計算をすると5.8(%)なので、6%近いぐらい成長すれば、私はやってもいいのではないかなと」
反町キャスター
「そうすると、この次の(消費税増税)2%というのは、永濱さんは上げない方がいいという意味ですか?」
永濱氏
「経済状況だけを考えたらとても上げられないのでないかなと思います。ただ、経済状況だけではないですか、いろいろと、政治の、いわゆる法律をひっくり返すために、いろんな政治的なことがあるというのが、仮に相当大きいのであれば、それはやらざるを得ないかもしれませんけれども、その時は、相当効果的な景気対策をやらないと、景気が、好循環が殺されちゃう可能性があると思うんですね」
反町キャスター
「あと2%をやらないと何が起きるのかということで、政府からの発言、、たとえば、もともと10%にした時の社会保障の政策に資金がショートするという話。それと、財政再建に向けた道筋がきちんとできないことによって、永濱さんが、毎日対峙しているマーケットから厳しいしっぺ返しを日本が受けるのではないかと。いかがですか?」
永濱氏
「マーケットに関しては、実は先週にいわゆる格付け会社のスタンダードアンドプアーズの、実際にソブリンの格付けをされている方が、興味深いコメントをしていて、マーケットは単純に消費税率を上げるか、先送りするかで信任を見ているわけではないと。逆に、上げたとしても、それで好循環が途絶えて、名目成長が下がって、財政再建にネガティブになれば、そちらの方が、信任が落ちるとおっしゃっているんですね。となると、いかに消費税を上げるか、上げないかではなく、2015年度のプライマリーバランスの半減に向けて、どの道が最短のパスなのかと」
反町キャスター
「たとえば、2%上げなくて、なおかつ2015年にプライマリーバランス半減は、これもまた」
永濱氏
「でも、半年しかないです。半年しかないし今回ぐらい成長率が落こっちゃったらわからないですよ。かつ景気対策もやらないといけないわけですよね。今回だって…」
反町キャスター
「どちらもダメな話に聞こえてくるのですけれども」
永濱氏
「いや、今回だって、仮にですよ、消費税全く上げなかったとしたら、名目賃金2%も上がっているわけですよね。物価も1.3%しか上がっていないわけですから、私は、消費税を上げなければ、名目2%ぐらいいったと思うんですよ、成長(率)が。結構、税収が増えたと思うんですよね」
西村議員
「まずご指摘もあった点なんですけれども、実質GDP。おっしゃったように、安倍政権が成立してからずっと成長軌道に乗ってきたわけです。駆け込み需要はこの1-3月(期)に、4月前に駆け込みがドーンと増えて、6%成長したと。今回4-6(月期)で、ガクッと、その反動で落ちたと。永濱さんがおっしゃられたように、試算を1月から6月まで均してみると、これはもともとの成長軌道の上にあるではないかということで。この次が、7-9(月期)が問題になるわけですけれども、当然、この低い発射台からですから、当然、高いパーセンテージになるのですが、上回って、成長軌道に乗るかどうか。ご指摘のように1年半のうちに5%に上げるというのは相当厳しい判断になるので、私は、前回上げた時の判断、昨年の10月にやった時よりも、より慎重な判断をしなければいけないんだと思います」
反町キャスター
「スタンダードアンドプアーズのアナリストかエコノミストの話。その10%に上げるかどうかではなくて、日本経済の実態の、元気さを見たいんだという話は、ここはどうですか?」
西村議員
「そういう意味では、財政再建には、まず成長して収入を増やさないことには、増税ばっかりして、経済がシュリンクする。あるいはデフレに戻ってしまっては、意味がありませんので、まずは成長路線を確実に、好循環を確実なものにして成長路線、しかも、民需主導でやるということで。これを実現できるのかどうか。成長すれば、収入は上がりますから。まず収入を増やすのが一番ですね。次に歳出削減。徹底的に無駄を省く。社会保障も、聖域なく、効率化をしていくと。適正化をしていくということで、ジェネリックを使うとか、様々な手法がありますけれど、これをやると。これがどこまで本気にできるかというところも、たぶん見られるのだと思います。最後に、それでも足らないところは、消費税、日本は先進国の中では低いですから、まだ上げる余地があるということで、消費税に頼るという部分ですけれども、まずは1番目と2番目を徹底的に、ある意味で、財政再建にも3本の矢があるわけで、1本目の収入を増やすという方策と、歳出削減を徹底的にやるということを、これから…」
反町キャスター
「いやいや、間に合わないですよ。だって、11月16日に発表される数字を見て、12月に決めるという話をしているのに、何年もかかるようなプランの話になっていますよね」
西村議員
「いや、そんなことはないです。来年度予算から切れるものは切るわけです」
反町キャスター
「いや、そういう意味ではなく、この12月の判断に向けて、どうすればいいのですかという話ですよ。上げなくてもいいのではないかということを、永濱さんは言っているんですよ」
西村議員
「そこは総理もニュートラルと言われていますけれども、まさに経済が好循環から脱して、またデフレに戻ってしまうのではないかというリスクを、最大限評価をして、大丈夫だという確信を持った時に上げるという判断になると思うんですね」
反町キャスター
「7-9(月期)の数字、11月の半ばに出る数字で決めなくてはいけないものですか?次の10-12(月期)の結果まで待っても、たとえば、法案準備とかを進めておいて、10-12(月期)の結果をもって、1月か2月に出てくるのを見て、最終(判断をする)、つまり、先送りのオプションというのはないのですか?」
西村議員
「1つは、一番大事なのは来年度予算編成。これを年末にまでやって、1月からの国会で審議をしてもらって、4月以降の予算になるわけですね。その時の税収はですね」
反町キャスター
「見通し、そうですね。上げるか、上げないかを決めないといけない」
西村議員
「税収、消費税が10月から上がるかどうかで変わりますから。これは年内の、できるだけはやい段階で予算編成をやらなければいけませんから、12月の頭に、1日に、法人企業統計が出ますので、法人の設備投資が出ますから、遅くとも11月に出るGDPの第1次速報と、それから、12月1日の統計あたりを見て判断をして、予算編成につなげていくということになるのだと思います」
野口氏
「消費税の税率引き上げを、短期的な経済動向で結びつけるのがそもそも間違いだと思いますね。と言いますのは、日本の現在の財政状況というのは非常に悪いわけです。それは申すまでもないと思いますが。ところが、国債の利回りは非常に低いですね。これは本来、あり得ないことですよ。日本の財政状況というのは、たとえば、イタリアよりも、ある意味で悪いぐらい。イタリアの10年債の利回りは一時7%ぐらいまでいきましたので、現在、日本の10年債の利回りは0.5%、0.6%ぐらい。これはあり得ないことですよ。そういう非常に異常な事態が進んでいるということは何かがショックで金利が高騰してしまう可能性があるんですね。その1つの大きな原因が日本政府は財政再建に熱意がないというメッセージをマーケットに与えることですね。そうした場合には、本来の姿に戻ってしまう。つまり、0.5(%)なんてことはあり得ない。7%になると思いませんけれどもね。たとえば、2%とか、3%に行くということは十分考えられることです。そういう非常に大きな危険を、日本経済が抱えているわけで、その問題こそ重要ですね、日本にとって。もし金利が高騰してしまって、資本がそういうことを見て、日本から流出すると。円安がさらに進む。資本投機が進むということになれば、日本経済は崩壊をしてしまうわけですね。そういう非常に危険な状況をどうするかということが、第一に必要なことであって、そのための第一歩は消費税の増税を予定通りきちんとやるということだと思います。日本政府の姿勢をマーケットに示すというのが大変重要なことだと」
反町キャスター
「日本の財政が完全にノーと言われるような金利が高騰するような危機感と、景気の減速による危機感というもの、その両方を見ながらということですよね」
西村議員
「金利は現在、日銀が大量に国債を買ってくれていますし、0.5%、0.6%で抑えてくれています。結果的に収まっていますし、将来、成長率が2%、3%になってくれば、当然、金利もそれに見合うような形に、長期的には同じレベルまで上がってきますから」
反町キャスター
「あまり上がると、今度、国債が」
西村議員
「もちろん、だから、成長率も同じように、2%、3%になれば、金利も当然追いついてきますので、これはそうなることも頭に置きながら、我々は、金利は将来、2%になってくるということも頭に置きながらやっていますので」
反町キャスター
「長期金利、2%、3%ですか。そうすると、1000兆円で3%と言ったら、年間30兆円」
西村議員
「ただ、成長していますから、3%成長、名目成長…」
永濱氏
「そうしたら、税収が相当増えますから」
反町キャスター
「増えてくるはずですよね。そうですよね。そこは追っかけっこになるという意味ですね」
永濱氏
「だから、ドーマー条件では、一応、名目成長のね」
西村議員
「一緒になってくるんですけれども」
永濱氏
「問題ない」
西村議員
「短期的には成長率が先行して、金利が安く抑えられていれば、これは財政には非常にプラスになる。名目GDPが大きくなるので、いわゆる借金の比率は低くなりますから、分母も大きくなるので。それは是非我々も実現したい。その間、日銀にがんばってもらうわけですけれども。これも、もう1点追加すると、日銀の政策も、ある意味、時間を買う政策ですので、アメリカもいわゆる金融緩和をやっている間に、シェール革命が起こったり、3Dプリンターが出たり、あるいはグーグル、アマゾンや、新しいサービスが生まれてくる。我々もイノベーション、いわゆる成長戦略をちゃんと現在のうちにやらないと、金融緩和をやってくれているから大丈夫だとか、あるいは円安になったから大丈夫だということは、甘んじてはいけないので、現在こそ厳しい改革でもやらなければいけない」
島田キャスター
「わかるのですが、判断はすぐそこですよね?」
西村議員
「そうです」
島田キャスター
「だから、そういう話は、ちょっとどちらを重視するかという…」
野口氏
「金融市場の変化というのは、急激に起こる可能性があります。だから、金利の高騰というのも急激に起こる可能性があるんですね。既にアメリカの金利が上がり始めている。円安に進行している。この兆しが見えているわけですよね。ですから、徐々に適応するというのは極めて難しいと思います」
西村議員
「だから、基本は法律に書いてある通り、消費税率は上げるということですが、経済の状況が、特に、この7-9月期が悪くなる可能性があるわけなので、それはよく見極めてやらないと、またデフレに戻ってしまうということは判断しなければいけない。仮に、上げた場合でも、これは相当インパクトがありますので、思い切った、いわゆる第1の矢、第2の矢、第3の矢。これを機動的にやらなければいけません。仮に上げないと判断した時も、永遠に上げないわけではなくて、どこかで上げなければいけないし、歳出削減は、強い意思を示して、相当思い切って、予算も効率化をしなければいけないというところの、野口先生が言われたような、我々の意思をちゃんと示さないと、まさに金利が急にポーンと上がってしまうところは、我々が防がなければならないと思っています」

アベノミクス“第3の矢”“成長戦略”の柱は
島田キャスター
「成長戦略の柱はどういうものなのでしょうか?」
西村議員
「1つはコーポレートガバナンスと言って、一丁目一番地、つまり、企業がこれまで内部留保を300兆円近く溜め込んできた。これはデフレの時はいいんですね。デフレというのはモノの値段が下がりますから、その裏返しで通貨の価値が上がっているので、お金で持っていた方が投資するよりいいというわけですから、当然の企業としての行動なのですね。しかし、デフレから脱却してインフレモードにしていこうということですので、その溜め込んだお金を今後は設備投資で使ってもらうとか、まさに今日議論している実質賃金を上げるためには賃金を上げてもらわないといけませんので、物価が上がってきますし、消費税も上がりますから、その賃金上げに使ってもらうということをやってもらう。つまり、人材のために使う、将来の収益を上げるための投資に使う。企業が前向きな投資行動に出るところを株主からしっかりウォッチしてもらって、溜め込んでもしょうがないだろう、ちゃんと未来に向かって投資をしろという、株主が議決権を行使してもらおうというところ。あるいは年金の基金、GPIFもそこを見てちゃんと投資をしている企業に年金も投資をするということを通じて、企業が収益の上がる体質、稼ぐ力をつけていく、収益力を上げていく。ここを一番の柱にしているんですね。一方、人材の話、賃金の話があります。賃金も上げてもらう、そのためには生産性も上げていかなければいけないと。何もしない人に、成果が出ない人に賃金をどんどん上げるわけにはいかないので、基本的には生産性と見合った形で上がってくる。そのためには働き方を変えていこうという雇用改革ですね。これも大きな柱の1つで、法律は通常国会以降になると思いますけれども、今回秋にもしっかり議論をしていきたいと思っているんですね。個人個人の働き方を長時間、企業の言われるままに働くのではなくて、自分のキャリアアップを考えながら、研修を受けるとか、能力アップをしながら、場合によっては流動化する市場をつくっていくというようなところをやっていかなくてはいけない。雇用改革は相当難しいと思いますが、やらないと生産性も上がっていきません、賃金も上がっていきませんので、政労使の場で単に賃上げだけを我々が言うのではなく、働き方全体を政労使の場で考えていこうということをやりたいと思います」
永濱氏
「実は今回の成長戦略は、初めてマーケットが失望しなかったんです。そういう意味では方向性は非常に良いと思います。ただ、方向性が良いところは、踏み込み不足のところも多いのかなと。マーケットが非常に評価したのは、初めて1億人の人口維持が出たのは非常に評価が高いですね。ただ、実際にどうやって1億人維持するのですかというのが見えなくて、私個人的にはやっぱり移民を受け入れないと難しいのではないかという気がするのですが、そこは結構批判的な感じではないですか。それこそ労働規制のところも、先ほどお話がありましたけれども、本来であれば解雇ルールの明確化が非常に重要なところで、一応ここは入ってはいるんですけれども、年内に海外事例を調査というところでとどまっているんですね。賃金を上げるということを考えたら、さらには企業が正社員を積極的に採用するには、ここが必要になってくると思うので、ここはもうちょっと踏み込みが必要かなと。さらには、地方再生をするには、環境とか、農業とか、観光を活性化しなければいけないんですけれども、一応今回農業のところはJA改革にメスが入ったので非常に評価が高いのですが、一方で最終的には企業の農地所有の解禁が求められるんですけれども、これは5年後に検討するということで、相当先なのでここのところがどれだけはやく(できるか)。もう1つ、成長戦略に直接絡まないんですけれども、地方をてっとり早く活性化するにはトリガー条項の発動が一番だと思います。民主党政権の時に決まったものですが、ガソリン価格が160円/ℓ、3か月連続で上まわるといわゆる旧暫定税率の25円が安くなる。復興財源の捻出のために凍結されているんですね。その時、同じように復興財源のために公務員の給与の引下げとかをいろいろやったではないですか。復興特別税とか、それは全部なくなっているのに、トリガー条項はそのままですね。私が実際試算すると、だいたい月1500億円の財源が必要ですけれど、無駄な公共事業を減らすことをすれば、財源捻出は可能ではないかと。実際、試算してみると都市部の家計の平均的な恩恵よりも、地方の恩恵が2倍ぐらい大きいんですよ。だから、地方に非常に効率的に効くので、私はそれが喫緊の課題なのかなと思います」

今必要な成長戦略は
反町キャスター
「成長戦略をどのように見ていますか?」
野口氏
「3点程申し上げたいんですけれども、第1点は、経済成長というのは民間企業、あるいはマーケットが行うべきものであって政府が行うべきものではないということですね。これはいろんな分野について言えるのですが、たとえば、地方創生。地方創生ということで多くの人が考えているのが、政府が地方にお金をバラまいてほしいと。補助金とか、施設をつくってほしいということですね。そういう中央依存の姿勢が続く限り、私は地方創生はあり得ないと思うんです。地方創生というのは、地方が自ら創意を持って何かを始めるということだと思います。それは産業についても同じことであって、成長戦略も政府がやることではないというのが重要ですね。政府がやることというのは、引っ張ることではなくて、現在、成長の邪魔になっているものをやめることですね。特に規制緩和ですね。先ほど農地法の話がありましたが。それが1つの例、非常に重要な例ですね。私は、移民の規制も非常に重要だと思います。規制緩和が重要であることがまず第1点。第2点は、政府がやるべきことはいろいろあるのですが、特に現在の時点で重要なのは社会保障制度の根本的な見直しですね。これも話し出すとキリがありませんけれども、たとえば、成長戦略で言われる女性の方の活用とも関連しているわけで、女性の活用、女性の労働力参加を向上させる。これは大変重要なことで賛成ですけれども、ただ、そのためにいろいろな制約がありますね。その1つは介護ですよね。つまり、現在の日本の政府は、在宅介護でやろうとしている。在宅介護で介護するのは女性である場合が多い。と言うことは、女性の労働力向上ということと、在宅介護という方向は矛盾していることになりますね。このような非常に大きな問題があるんです。そういう問題にほとんど手がつけられていない。もちろん、社会保障は介護だけではないです、年金の問題も、医療の問題もある。それが重要です。第3点は、現在の安倍内閣の成長戦略というのは、産業構造に対するイメージが明らかではないです。私が見るところでは、製造業の復活が基本的なスタンスになるのではないかと思うんです。そのために、法人税率を引き上げるとか、設備投資を年間70兆円にするとか。それによって日本国内での製造業の雇用を増やすということが、私は基本的な方向になっていると思いますけれども、私はその方向は間違いだと思います。先進国において製造業は縮小していくというのは不可避ですね。そのことを認めたうえで、あるいは製造業の海外移転を認めたうえで、製造業に変わる新しい産業としてどういうものを考えるかと。その点が重要だと思うのですが。それに対するイメージがはっきりしないと思うんですね」
反町キャスター
「円安になっても、日本が円安を活かしきれていないという指摘はどうですか?」
西村議員
「当然、円安になれば輸出の量が増えると期待をするわけですけれども、今回、思ったように伸びなかった。これは、明らかに産業構造が変わっていまして、生産拠点が海外に移っているからというのが大きな要因としてあります。海外投資もやってもらって、国内の人口が減ってきますから、当然海外の成長するところで、生産して、そこで利益をあげて還元してもらう、これは当然のグローバル化で我々も進めているところです。一方で、国内の高い技術、技術開発するのもつくる場の近いところでやるようになってしまいますから、高度な技術開発とか、付加価値の高いモノをつくるというのは、日本から出てしまうと大変なことになるので、大学、産学連携も含めマザー工場となるものをしっかり置いてほしいと思っています。それから、輸出が増えなかったもう1つの要因は、中国の経済減速とか、タイの政変とか、アジアが伸びなかった、ヨーロッパも債務危機があって伸びなかった。アメリカは良くなってきましたのでいいのですが、このあたりも今後どうなってくるか、見なければいけませんし、それから今日は議論がありませんでしたけれども、TPP含めて、各国の新興国を含めて関税を下げてもらう。いろいろな先進国のルールの高いものに変えてもらう。それが構築されてくれば、また輸出なり、投資なり、自由な環境ができますので、これもはやくやらなければならないと思っています」

西村康稔 内閣府副大臣の提言:『経済社会変革の強い意志・共有 実行とスピード』
西村議員
「もちろん、日本の良さはいっぱいありますから、伝統や文化をしっかり維持しながらですけれども、しかし、働き方とか、先ほどの農業や社会保障ですけれど、効率性とか、未来に向かってグローバル化とかも考えていかないといけませんので、この変革の強い意志が必要だと思いますし、それを国民全体で共有していく。そのうえで、それを着実に実行、スピードがはやいから大事と思いますので、こういう提言にさせていただきました」

野口悠紀雄 早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問の提言:『人材開国 教育立国』
野口氏
「先ほど、新しい産業が必要と申しましたが結局は人材ですね。そのために国内で教育、特に高等教育ですけれども、それが必要ですし、それから、外国から専門人材を日本に迎えることも必要ですね。それから、人材が量的な面でも必要で、あと15年の間に1000万人労働力が減ると言いました。これは大幅な移民を認めない限り日本の経済は成り立たないですね。これは大変なことであって、そのための準備をはやく始めるということが大変重要だと思います」

永濱利廣 第一生命経済研究所主席エコノミストの提言:『歳出削減』
永濱氏
「消費税については、ベストシナリオは4月-9月の成長率が高くなって予定通り上げるのがベストだと思いますよ。あくまでも先送りがベストだとは思わないのですが、仮に景気状況を考えれば先送りにした方がむしろプラスがあるという考えの中で、現在のところの議論というのが消費税を上げるのではないか、それに対して景気対策は何か。上げることと景気対策しか議論に出ていないではないですか。一方で、概算要求で101兆円、すごく膨らんでいて、ポイントは2015年のプライマリーバランスをどうするかという意味では、消費税を上げようが、上げまいが、実は一番重要なのは歳出削減だと思うんですね。特に、足下で言えば、むしろお金を使ったら民間投資の足を引っ張っちゃう公共事業とかですね。社会保障の改革でも結局、社会保障の増加分を見てみると半分ぐらい医療費です。それを考えるとどうやって医療費を削減するかというのを半ば強制的でもいいのでやっていく必要があるのではないかと思います」