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2014年9月10日(水)
西川農水相最大の懸案 ▽ 北朝鮮の変化と拉致

ゲスト

西川公也
農林水産大臣 自由民主党衆議院議員(前半)
松原仁
元拉致問題担当大臣 民主党国会対策委員長 衆議院議員(後半)
平井久志
ジャーナリスト(後半)


前編

西川農水相に問う TPP交渉の現状と課題
島田キャスター
「西川大臣が取り組むべき大きな課題の1つとしてTPP、環太平洋経済連携協定の交渉があるということですが、昨日から2日間、日米の実務者協議が東京で行われました。この協議では、重要5項目のうちの、牛・豚肉、乳製品の関税引き下げや、セーフガード、いわゆる緊急輸入制限、輸入が急増した際に一定の歯止めをかける、このセーフガードについて話し合われたとされていますけれども、大江首席交渉官代理は期待したほどの進展が得られなかったんだと答えていました」
西川農水相
「どのへんまで大江首席交渉官代理が自分で最初に考えておったかはわかりませんので、イケイケという声があったので、相当高い目標を持っていたと思いますね。その高い目標からすると、大江さんにしてはまだ行きつかなかったんだということにとりたいですね。2日間やっても、カトラー(米通商代表部次席代表代行)さんも、非常に物事をわかっている人です。大江さんとカトラーさんは、どのぐらい会っているかわからないほど会っていますからね。相当、私は意思の疎通はできてきたと思っています」
反町キャスター
「我々の方で、2つのポイントとして、牛豚肉、乳製品の関税の問題と、セーフガード、緊急輸入制限ですよね。何万トンまでだったら、この関税で輸入は認めるけれども、安い関税で大量に輸入された時には、その関税率をパッと上げ、緊急輸入制限をかけるという、この部分がセーフガードという話だと思うんですけれど、セーフガードは日本の、今回のTPPに向けた方針において、1つの大きな柱になっていると思うのですが、現在日米においてセーフガードがどういうような案件について、どういうような協議になっているのですか。あまり細かい話はしていないと思うんですけれども」
西川農水相
「オーストラリアとEPAが調印されました、4月に。その時も関税をうちは冷蔵と冷凍に分けて38.5%、片方は18年かけて、片方は15年かけて下げていきますよ。しかし、量がこれまで想定した約束の数量を超えたら、一気に38.5%まで戻しますという約束でやりました。アメリカは現在も関税ゼロということを主張していますが、そういうことを主張しても収まるところに収めなければいけません。私どもはセーフガードがなければ、この交渉は進みませんから、日本としては、何としてもセーフガードをとります。そういう気持ちで現在交渉しているということですね」
反町キャスター
「そうすると、アメリカ側はゼロと言い、日本側はある程度の関税を残したうえでセーフガードもかけるという、こちら側はゼロ、こちら側は関税プラスセーフガードという、非常に距離感のある話に聞こえるんですけれども、そういう前提を、大江さんの話などを聞いていると、今日は溝が埋まらなかったと。やはりなと思うのですが、こんな高い目標を持っているから、進まなかったというのがあって」
西川農水相
「かもしれないね」
反町キャスター
「もう少し低い目標を設定していたら、進んだなという実感があるかもしれないという意味で話しているとするならば、片方はゼロ、片方は関税率プラスセーフガードという、この溝の寄せ具合。どうしていったらいいと考えますか?」
西川農水相
「私は、フロマンさんにも言っているのですが、現在、アメリカの農産物は、非常に恵まれているんです、結果論として。ミニマムアクセス米もアメリカから入ってくるのが49%。タイからは41%で、あわせて90%ですね。残りを他の国から。アメリカは恵まれているんです。それから、小麦。アメリカから60%買っています。オーストラリアとカナダで両方足して40%です」
反町キャスター
「それは価格によってではなくて、政府として、その割合を決めているという意味ですか?」
西川農水相
「国家貿易をやっていますからね。うどん用、パン用は違いますから。それが結果論として、アメリカのを60%買っているんですよ。豚肉だって、アメリカが1番。2番がEU、3番がカナダ、4番メキシコ。こういうことでアメリカが関税ゼロにしろゼロにしろと言っても、現在非常に恵まれているんです。だから、はやくわかってほしいですね」

関税撤廃の是非
反町キャスター
「アメリカの消費者団体や商工会などとも話をされている西川さんから見て、アメリカの人達は、関税をゼロにした場合、本当に生産原価だけで比較したなら、たとえば、牛肉にしてもオーストラリアの方がはるかに安いですね。アメリカは関税ゼロにしたら日本の市場から追い出されちゃうよという危機感は、彼らは持っていないのですか?」
西川農水相
「だから、豊かな国ですね、これまで。他を全部説得して、アメリカだけは、決して不利にならないことをやってきたでしょう。今回はアメリカとオーストラリアでは、貿易交渉というのは、協定ができているんです。それはこれまで表に出していませんが、そんなことは日本の交渉官はとっくに知っているんです。それでは、豪州とアメリカの間に割って入りますよ。これは言わざるを得ませんね。だから、アメリカの交渉官の皆さんは、日本は手ごわい、日本の主張はそう簡単に引き下がるものではない。これはわかっていると思います」

TPP交渉の行方
島田キャスター
「TPPの交渉が今後どのようになっていくか。年内の合意に向けて節目となる協議がいくつかあるのですが、実務者協議は今月中にもう1度あるのではないかと言われています。そのあとですけれども、閣僚級の協議が開かれる可能性があります。11月に入りますと、アメリカの中間選挙があります。中国でAPEC首脳会議が開かれますが、甘利TPP担当大臣は来月、つまり、10月上旬までに日米の閣僚級協議がセットでできないと、オバマ大統領が掲げている11月の大筋合意は難しいという認識を示していますけれども」
反町キャスター
「時間的なスケジュール感で、7月とか、8月ぐらいに大筋合意しないと、11月の中間選挙には間にあわないなどという話も、以前聞きました、西川さんからではないですよ。他の専門家の方から聞いたことがあるんですけれど、10月上旬までに閣僚級協議がセットできれば、11月の中間選挙前の大筋合意ができるという、非常に融通無碍な政治日程になっているんですけれど、これは、デッドラインはあってなきが如しという理解でよろしいのですか?」
西川農水相
「日本も慎重に扱う分野の農林水産業が、私どもの主張が通ればはやく貿易を拡大した方がいいですね。決める時は日本の農林水産物とアメリカの自動車や工業製品。これは向こうですごく神経質になっていますからね、同時決着と。これがいいところですと。その時に27の作業分野、ビジネスマンの自由往来、ビザなし、電子商取引、こういうものからどんどん決まってきています。あとは関税の問題ですけれど、アメリカは1万0499項目あるんです、タリフラインというのが。日本は9018あるんです。日本は9018のうち、農林水産業の、日本を守ろうとしているのは、2335あるんですね。ここで、はやくカードを切るとか、期限を切って、カードを切ったら、切った方が不利になります。交渉は期限を切ってはいけません」
反町キャスター
「そうすると、期限を切らずに、ずっと交渉を続けていて、自国の日程によって都合が悪くなった方が先に折れてくるはずですよね」
西川農水相
「そうです」
反町キャスター
「それは、つまり、アメリカの中間選挙が向こうにとっての都合の悪くなるスケジュールであろうという、まずいですか、ここを聞いては」
西川農水相
「アメリカの国内問題ですから、私が口を挟めませんが、非常に中間選挙は気にしないということを、何度も強く言っていますね」
反町キャスター
「向こうがそう言うのですか?」
島田キャスター
「何度も言うということは、逆に、すごく重視しているからではないかなと、私なんかは思うんですけれども、大臣はいかがですか?」
西川農水相
「私は論評を挟みませんが、世の中の常はそうだと思います、一般論はね。そうすると、その関税の、日本に一度も譲ったことのない農林水産物834。そのうちの重要5品目。我々は品目と言っていますけれども、586。だから、そこをどうやってはねのけるかですね」

どうする?農協改革
島田キャスター
「日本の農政が抱える大きな課題に、安倍政権が成長戦略の柱の1つに掲げる農協改革があります。岩盤と言われる農協の改革。これまでの動きをまとめました。今年4月、全国農業協同組合中央会、JA全中が自己改革案を発表しましたが、5月に総理の諮問機関であります規制改革会議の農業ワーキンググループが中央会制度の廃止を提言しました。しかし、6月、次の規制改革会議が提出した、農業改革を含む答申では、廃止の文言が消えていました。安倍総理大臣は、答申を受け取る際に、改革が単なる看板の書き換えに終わることは決してないと、岩盤と言われる農協の改革を断行する意思を、ここで明確に示しましたが、6月24日、閣議決定の日本再興戦略では、中央会制度は、自律的な新たな制度へ移行するという文言で落ち着いたわけです」
反町キャスター
「全中の廃止という議論がよく出た時に、JA全中というのは、農協全体の大きな組織の中で、トップの部分ですよね」
西川農水相
「はい」
反町キャスター
「この部分を廃止しようかどうかという議論が出たということは、どういうことなのかというところを、もう1回、確認したいんですけれども、つまり、全中の地域農協に対するグリップやコントロールが強すぎて、地域農協が自由な活動ができないのではないかという指摘がありました。それは資金的な面でも、ないしは何をつくるのかとか、どう売るのかとか、そういうところも全部含めて、政治的な活動も全部含め、その全中の地域農協への指導、監督、コントロールが強すぎるという問題点はいかがですか?」
西川農水相
「私は今日も、愛知県の豊田農協に行ってきました。もう農協は、上からの意見を聞かないで、県の中央会とは仲良くやっていますけれども、見事にやっています。見事な経営をやっています。もう少し所得を上げたい。生産組織が大きいのが5つもできていますね、豊田市で。これは全中のコントロールはないでしょうし、必要もないと思いますね。だから、そういう意味で、日本の農協を見ますと連合会制度というのがあります。連合会は農林中金、巨大な金融機関です。それから共済連合。これは巨大な保険会社ですよ。全農は巨大な商社です。それぞれが、日本のトップ5に入るわけですね。一生懸命にやってくれて、これまで利益を出さないのが農協だと思っていたんですね。皆が、今度は利益を出すことが目標の1つだというふうにしましたから、そういう中で、個別の農協、それから、個別の農家、全中の果たす役割は何かというのはしっかり議論をしたい」
島田キャスター
「JA全中の言うことをそんなに聞いていないと。では、いらないのではないかと思ってしまうんですけれども、果たす役割を大臣自身はどんなことだと思いますか?」
西川農水相
「確かに、監督、指導。これはうまくいったんですよ」
反町キャスター
「最初は」
西川農水相
「最初は。現在でもうまくいっているんです。しかし、あまりうまくいき過すぎると、弊害があるねという意見もあるんですね」
反町キャスター
「全中というと、政治的な話になると選挙の話になるわけですよ。その農協の職員全部で22万人。その人達が全部とは言いません。たとえば、選挙の時に、ある特定の政党、この場合だと、自民党の可能性もあります。自民党のためにがんばる人達がたくさんいるかもしれない。そういう人達を確保しておくというねらいが、正直申し上げて、与党自民党の中にないわけがないだろうと。その意味において農協を解体するとか、廃止するという強気に押し出した意見が、来年、統一地方選挙ありますよね。ちょっとここは違うのではないか。選挙を考えると、もう少し緩めてもいいのではないかと。こんな議論があった可能性はないですか」
西川農水相
「それはありませんね。と言うのは、我々の改革は農家を良くするのにどうするか。それから、単位農協を強くするのにどうするか。こういう議論ですから」

攻めの農林水産業
島田キャスター
「西川大臣は一昨日、自身が本部長となります『攻めの農林水産業実行本部』を立ち上げました。最大の目標は、農林水産物や食品の輸出の増加を掲げているのですが、現在の農林水産物の輸出額は、2013年で5505億円ですけれども、政府は目標を2020年に1兆円にしたいとしています」
西川農水相
「市場を、人口の多い国にターゲットを絞らなければいけません。それから、私は職員訓示でやりましたけれども、農林水産省の職員2万2300人います。皆が、モノを売り込むための意識になろうと、こう言いました」
島田キャスター
「現在はなっていないのですか?」
西川農水相
「まだなっていません。これは、やはり、生産に少し偏り過ぎてきましたよ」
島田キャスター
「しかも、目を国内に向けてきたということですね」
西川農水相
「そうですね。国内でも市場開拓をやってもらいたいし、周辺の産業に農家を連れていってほしい。農家の所得につなげてほしい。輸出もそうです。米の値段だって、驚くほどヨーロッパは高いんですから。世界を見て、シンガポールでよく出ますけれども、60キロ、一俵というやつですね。3万円から3万5000円ですね。周辺もそうですよ。それでは、イギリスどうでしょう。キロ1000円ですから、一俵6万円ですよ。一俵6万円なら、日本の1万5000円の米は、考え方1つでいくらでも入れる。私はやってみたいと思います。パックは、大きいパックではダメです、売れないんです。2キロパックとか、3キロパックじゃないと。それをして、これから売り込んでいきたいと思います」
反町キャスター
「たとえば、以前この番組でやっていた時もグローバルギャップというのですか、農産物の品質を国際基準にあわせることによって売りやすくするのか、どうかみたいな話なんかもありました。西川さんの頭の中に、日本の農作物、農産物をどのように世界に売り出していくのか。何かビジョンはありますか?」
西川農水相
「現在、JETRO(日本貿易振興機構)と一緒にやっているわけです。しかし、私は、農業の総力を結集して、現在統合しようとやっていますけれど、将来に向けては輸出のお手伝いをすると。こういう機構がほしいを思っています。何でもいいから相談に来てくれと。いくらでも対応しますと。こういうことで、国内も海外も農水省が農産物についてお手伝いをすると。こういう組織にしたいですね」
反町キャスター
「日本の米の良さとか、リンゴが3000円で売れるとか、イチゴがいくらで売れるとか、よく断片的な情報は、香港で、上海でという話を聞いたりしますけれども、どこに行ったら何が売れるのかという情報を、輸出の手伝いというものを、農水省がするのかなという、情報提供と輸出のお手伝いをするのかなという話かなと思ったのですが、そのようなイメージでよろしいのですか?」
西川農水相
「農水省には、輸出の手伝いはしっかりやってもらいたい。現在、私が宿題として投げたのは、世界のお米の値段を持ってきてくれと。それを、要するに、これまで調べていなかった。だから、どうやったら、人口の多いヨーロッパ、アメリカに売れるかというのは、皆でやってみたいと思います」
反町キャスター
「いつ頃までに立ち上げるとか、何かメドはあるのですか?」
西川農水相
「関係機関は、全部集まろうねという合意は得ているんです」
反町キャスター
「それは、農水省だけにとどまる話ですか。もしかしたら、経産省とか、民間の商社とか、そういう人達も全部集めて、現在の組織。それとも、農水省の中だけで、まずやろうと」
西川農水相
「農水省、プラス商社の皆さん(の力を)借りたいです。経産省のお手伝いももらいますが、自分のところで売る覚悟をしてやらなければうまくいきません。だから、現在、皆、集合よと、こういうところまで来ていますから、これをどういう組織にするかはこれから少し考えさせてもらいたいと」

西川公也 農林水産大臣の決意:『農水漁村の賑わい』
西川農水相
「非常に強い農家が残ってくると思うんです、これから。しかし、農業から離れる人も出るわけですね。だから、それは働く機会をつくってやらない限りダメですね。農家の所得が増えただけでは、地域社会を守れませんから、皆の所得につながる。賑わいを取り戻せる。そこに焦点を絞って、総合的にやっていきたいと思います」
反町キャスター
「法人の参入ということに関しては、特に問題はないという考えですか?」
西川農水相
「法人は50%未満でいいだろうというふうにします。そこで稼いでもらって、農家に配当があるかないか、これを将来の判断にしたいと思います。所得を上げなければダメ。それから、配当がなければ、私は意味がないと。所得を出してくれるのであれば、また、先を皆で検討したいと」
反町キャスター
「先というのは、法人の資本参加率を49%からもう少し上げていってもいいのではないかという意味ですか?」
西川農水相
「そういうことを含めて検討をしたいと」
反町キャスター
「もっと土地を借りるとか、買うとかのルールももう少し規制緩和してやると。資本率も高めることによってより法人の気持ちがダイレクトに、その場における農作業を、農生産に直結するような、そういうものも視野に入る?」
西川農水相
「現在、そこまで踏み込むだけの見通しがありませんから、状況を見ながら、これで農業者が良くなっているのが、農産漁村が良くなるねということが見えれば、皆で検討して、どういう形で進めるかということになると思います」
反町キャスター
「法人が入るということに関しては、不安もあるわけですか。いわゆる、俗に言われるのは、巨大資本が入ってきて売れる野菜をバッとつくるんだけれども、値段が下がったらワッと撤退するのではないかみたいな」
西川農水相
「その例がありますからね。失敗したところ。だから、主導権はお渡しするわけにいかないと、50%は農業者が持っていてほしいと。推移を見てから判断したいと思います」


後編

活発化する北朝鮮外交 拉致再調査の行方は
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宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使のインタビュー要旨(共同通信)
・再調査結果として現状でも十分に内容がある。
・初回報告にあわせて(制裁の追加解除等)相応の対応をとることが日本の国益にもなる。
・日本側が拉致の疑いが排除できない行方不明者数の増加を発表したことは、再調査を難しくする。
・再調査期間は1年を念頭に活動しているが、信頼関係が損なわれれば延びるほかない。
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反町キャスター
「宋さんの『再調査結果として現状でも十分に内容がある。初回報告にあわせて(制裁の追加解除等)相応の対応をとることが日本の国益になる。日本側が拉致の疑いが排除できない行方不明者数の増加を発表したことは再調査を難しくする。再調査期間は1年を念頭に活動しているが、信頼関係が損なわれれば延びるほかない』という発言をどう見ていますか?」
松原議員
「北朝鮮が、北朝鮮の交渉の仕方を言っているというだけです。最初に、現状でも十分に内容があるということですが、初めからもう結果を、彼らは認識しているわけであって、要するに、どう今回日本に対して出してくるか、イメージです。つまり、その様々な取捨選択をしたうえでこういうことを言っているのであって、こんなことではなくて、素直に全部返しなさいよというのが我々の主義であります」
島田キャスター
「私達にとって、驚きだったのは、いつでもできる状態だと言ったわけですよね。現在、日本側として北朝鮮側が完了したよというのを待っている状態と思っていたわけですが、このへんはどう考えたらよろしいのでしょうか?」
松原議員
「拉致被害者がどれぐらいいてどうだというのは、北朝鮮は全てわかっているわけです。常にわかっているわけですよ。それはだって日本人拉致被害者が北朝鮮で農耕作業に従事しているとは基本的に考えられません。どこに誰がいてというのは、北朝鮮は基本的にはわかっているわけですよ。いつでもそれは出せるんです。その取捨選択をして、現在十分に話すことができると、こう言ってるいだけのことですよ。だから、これ自体がある種の欺瞞ですけれども。それから、あと日本が相応の対応を取ることが日本の国益にもなるって、これはもう全然、意味のない彼らの期待を言っているんだと思います。既に安倍総理はもうカードを切っているわけですよ。北朝鮮側の思いとして、万景峰号が新潟港に入りたいと言いましたが、北朝鮮側が、私が担当大臣の時に一番強く言ってきたのが万景峰号ではなくて、富士見町の朝鮮総連会館の売却をやめてくれ、競売をやめてくれということを言ってきて、万景峰号が新潟に入るよりはおそらくあの競売を停止する方がはるかに彼らにとっては重いんですよ。それに関しては、最高裁判所が、1億円で競売停止をしたわけですよ。手続き停止。これ自体で大変に北朝鮮は、これはすごいな、大変なモノを既に取っているなと思っているので、はっきり言ってもっともっとこの際だから言えば出てくるのではないかと」
反町キャスター
「安倍政権は譲歩し過ぎということですか?」
松原議員
「譲歩し過ぎということではないけれども、譲歩はしていると。たとえば、3月も6月もミサイルを撃ったあと、会っているんです。これは米国の国務省もちょっと待てと言っています。3番目の、これは日本側も、出し方の問題があると思うので、私は前に、松原仁3原則というのをこの場で言いましたが、ストライクゾーンで行くのが筋であって、そのあとは全面解決を目指す。認定被害者の戻ってこない8人、プラス荒木さんのところの特定失踪調査会が日弁連に人権侵害を申し立てしているのは、民間調査会というのは、荒木さんところですね。この700人の中で77人が拉致濃厚というのは1000番台という人達ですよね。その中でさらに拉致の可能性が極めて強い人を日弁連に人権侵害の申し立てをしているんですね。その部分、プラスアルファまで入れてもいいけれど、その人間が25人、26人。ですから、40人から50人。ここがいわゆるストライクゾーン。死んでいる人は死んでいる証拠を出せと。生きている人は生身の人を返せと。その他もおそらくいると思うんです、拉致された人。それはその一定の解決のあとに全部戻せと。こういう2段構えでやらないと、これは北朝鮮側から見たらどこまでやれば日本国民は納得してくれるのか。今回もこの番組に出る場合にいろいろと私もヒアリングしてきましたが、何人か出せば、ほら君たちは嘘をついていたろうと、またすさまじい北朝鮮に対する反感のキャンペーンが吹き荒れるのをおそれていますよ、彼らは。逆に言えば、我々はロードマップをつくってこのストライクゾーンに投げ込んでこいと。それを外務省ではなく、この問題を熱心に扱ってきた組織、団体。たとえば、拉致対策室とか、それから、家族会、救う会、調査会、議連。10年、15年やってきた、こういったところに、ジャッジをある程度させると。そういったことでいけば、逆に言えば、反北朝鮮キャンペーンが吹き荒れないんです、ちゃんとストライクゾーンに来ればね。4番目は、北朝鮮が半分脅しで言ってきているわけですよ。ただ、客観情勢は、北朝鮮は張成沢処刑粛正以降、中国から厳しい状況になっている中で、私は彼らがむしろ我々に対して近づかなければいけない環境にあると思いますから、私はこれに関しても彼らの一種の強がり的なものもあると。ただし、敢えてこれでいくならば、彼らはそれでやる可能性もあるので、逆に言えば、最高裁の判断であるかもしれないけれども、競売停止をもう1回解除だというようなことのニュアンスが伝わっていくなり、そういう交渉を現場でできるのかという話になってくると思うんです」
平井氏
「私は過去の北朝鮮のやり方というのを考えますと、約1年をかけてやる調査だと言っているのに、最初の2か月で、革新的な情報が出ると期待する方が少し過度な期待ではないのかなという気がしますね。ですから、おそらく日本人妻の方だとか、残留日本人だとか、そういう方達の調査というものは、5月25日の合意でも1つの部分を優先してやらないと、わざわざ合意文書に書いてあるわけです。それから考えるという気がしますね。第2項目は、彼らの期待値を述べたもので、あまり気にすることはないのではないかという気がします。それと、検察庁が人数を広げたことに関しては、もし北朝鮮側が何らかの情報を出してきた場合、それがあの860人のもともとの人の中に入ってないと、検察としては大変なことになりますよね。それをできるだけ検察はテリトリーを広げたかったという心理が、行政としての心理があったのではないかと思いますけれども、これは松原さんがおっしゃったように、何百人という、ちょっと日本の中で現在もこの交渉の結果、何百人という人が返ってくるのではないかみたいな、そういうちょっと過度な期待があるのも事実だと思うんですね。そういうものは現実としては難しいし、それに対する牽制ではないのかなという気がしますね」

金正恩体制の思惑とは
島田キャスター
「北朝鮮の外交に変化があることについてはどう見ていますか?」
平井氏
「私は、明らかに積極外交に変化していると思いますね。1つは、昨年末の張成沢さんの粛清によって、一応権力基盤というものを固めつつあるわけで、彼に問われているのは2つだと思うんですね。1つは人民生活の向上、経済の再建。もう1つは国際的な孤立から脱却するという問題だと思うんです。ですから、李外相がASEAN、ARFに出られて、今月の下旬に国連総会に行かれると。姜錫柱さんは現在ヨーロッパに行っていると。ですから、アメリカに対し、あるいは欧州に対し、東南アジアに対し、非常に積極的、しかもこの2人は、今年の春、金正恩さんが新たに起用した人材なわけです。従来の外交を担当していた人達を更迭して新たに起用した人達にそういう役割を与えている。北朝鮮は来年の秋が党創建70周年ですね。それが北朝鮮の大きな政治的な節目ですから、それに向けて経済の向上や外向的な孤立を脱却したいという欲求は当然あると思いますよ」

松原仁 元拉致問題担当大臣の提言:『オールジャパンの解決』
松原議員
「7月2日に安倍総理にメールで送った内容でもあります。オールジャパンでの解決というのは、問題の解決を北朝鮮もどこに玉を投げ込んだら解決なのかがわからない。前に5人返したらすさまじい反北朝鮮キャンペーンで、彼らとしては、アレッと思った。しかし、我々としてはそんなの当然だろうとなってくるわけです。従って、先ほど言ったように少なくとも間違いないと言われる人間40人前後を我々に提示して、それに対して北朝鮮にきちっとした解答をまず求めると。それがまさにストライクゾーンに入っていたかどうかを外務省が判断するのではないです。それは、拉致被害者家族会や救う会、調査会、議連、こういったこれまで拉致をやってきた人が判断する。全体の総意の中で、これは確かに北朝鮮は一定の解決をきちっとしてきたという判断がなされたら、それは人道支援まで行える一定の解決。ただし、その後も全面解決に向けて歩みを進めていくと。こういう流儀しかあり得ないんです。私は、北朝鮮側に言ったのは、そうすれば彼らはそんなことで、また一部の人間が反発するだろうと言うけれど、この主だった組織、救う会、家族会、調査会、議連、全部が合意の中で、全員の総意として一応そうジャッジをしたならば、審判長は安倍総理だ。そうしたらそこで、反北朝鮮キャンペーンが前回のように吹き荒れることはないよと。これが我々のロードマップだよと。もちろん、その後の在り方というのは、寺越さんも含めて、どうするか議論は別途あるけれども、しかし、そういったものでやる。だから、この問題の解決はオールジャパン。これは官邸に我々が行った時に、安倍さんが後ろを振り向きながら、松原さんが言う通り、オールジャパンの解決を目指したいと言っていたんです。総理は理解していると思うんです」

ジャーナリスト 平井久志氏の提言:『過度な期待は禁物』
平井氏
「今回の宋さんの発言を見ても、日本が考えてきたこととは随分違うわけですよね。彼らはサラミソーセージと言いますか、薄く薄く1枚ずつカードを切りながら、対価を取ってくるという外交を基本としていますから、何か日本の中では第1回目の報告から、拉致問題に対する非常に革新的な情報が出て、何人かの方が帰ってくるのではという期待があると思うんですけれど、これは甘いのではないかという、むしろ期待が…でも、そこは冷静に見つめなければいけないのではないかと。彼らが何故この交渉に応じてきたのかということを考えても、彼らは国交正常化に関心があるわけで、日本の側は拉致問題の解決に関心があるという。それで一番少し不安なのは、拉致問題の解決とは何かという合意がないままこの再調査が始まっているわけですよね。ですから、お互いにこれが解決だということに対するおそらく考え方に大きな違いがあると思います。それがこの1年間でおそらく少しずつ煮詰まって、合意に至るのか至らないのかという非常に厳しい外交がこの1年、もし調査が1年だとすれば、続くわけですから、その時点、時点で厳しい現実と我々の強い外向的な努力というものを厳しく見つめていく必要がないと、感情的な期待ばっかりが先行しても、現実に獲得できるものも獲得できないという結果に終わっちゃうのではないのかなという気がするんです」