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2014年8月29日(金)
安倍政権の成果検証② 官邸主導と自公の役割

ゲスト

中谷元
自由民主党副幹事長(特命担当) 衆議院議員
伊藤惇夫
政治アナリスト
河野勝
早稲田大学政治経済学術院教授

安倍・石破会談 内閣改造 石破氏の処遇は
佐々木キャスター
「今日行われた安倍総理と石破幹事長の会談について、まず中谷さん、総理との会談後、石破幹事長から何か直接聞いたたことはありますか?」
中谷議員
「幹事長と副幹事長の関係でもありますし、また20年以上、同じ安全保障政策をやってきた仲でもありますので、テーマがテーマですし、電話をかけました。1時間20分の話で、言いたいこととか、言うべきことは言えたということで、非常に内容的には、有意義な会談であったということだったんですけれど、石破さんも安全保障通ですから、もちろん、本人も現在の安全保障について担当大臣と言われれば当然なりたいという気持ちはあると思うんですね。ところが、集団的自衛権がテーマになってきますと、石破さんなりの考え方がありまして、ラジオでお話したようなことで大臣の答弁というのは、これは記録に残って歴史に残ると。その発言というのはずっとついて回るわけです。ですから、今回は集団的自衛権については自民党と公明党の協議に基づいて閣議決定をされましたが、石破幹事長なりに集団的自衛権に対する考え方、やり方、進め方というのがありまして、担当大臣としての発言というのは非常に重いと。将来、自分の目指すべき理念。こういうものを実現する際に政治家の心情を言わなければいけないので、そういう場合に国会が止まってしまうとか、ご迷惑をおかけしてしまうこともあるということを心配していました」
反町キャスター
「まさに、国家安全保障基本法という、野党時代から石破さんが自民党内、他の野党にも働きかけていろいろ練り上げてきた法案を通すことによって、その延長線上に集団的自衛権の比較的フルスケジュールに近いものをやりたいという石破さんの気持ちと、今回、安倍さんがやったやり方というのは国家安全保障基本法ではなくて、閣議決定をして憲法解釈の変更を行ったうえで、限定容認という道をとられたわけではないですか。その違いがあるということを、石破さんが言いたいというところを僕らも聞いているのでわかるんですけれど、石破さんは、中谷さんも一緒ですが、自公協議の場にいたわけで、自公協議にずっと携われた立場の石破さんがもう1回、閣僚として答弁の場に立つ時に、いや、自分がその前の、いわば先祖帰りというか、そこに戻ってしまう自分、戻らないと自分としては立ち行かないと。ここの部分はわかりづらいんですよ。その石破さんの思いというのはどういうふうに理解されていますか?」
中谷議員
「この自公の協議が終わったあと、7月14日に国会が開かれて、その時に総理が答弁に立った時に、これ以上は憲法改正でないとできないというような答弁があったわけでありますので、担当大臣としても、当然、内閣でそういった中で話をすると、これ以上の解釈の検討というものが、もし自分が将来、総理になった時に安全保障についてのやるべきこととして、もう一度こういう検討もしなければいけない。特に今回はグレーゾーンの、自衛権に至る前の分野だとか、また集団的安全保障です、ホルムズ海峡のことが議論になりましたけれど、そういう集団的自衛権とか、憲法の解釈においては石破さんなりにスペシャリストとして意見もあるし、どうしても譲れないような理論もあります。また、今回の政府の中で、安保懇で有識者の意見が出ましたけれども、それは安倍内閣としては採用しないんだ。安倍内閣としてはこういう方針でいくということですから、そういった安全保障に対する考え方において、担当大臣として立たされるということは、いろいろと問題が発生するというお考えは持っていると思います」

安倍・石破会談で何が?
反町キャスター
「石破さんに対して、安保法制担当大臣は受けられないという石破さんの理屈を総理がもし受けたとすれば、他のポストを提示する可能性があるとすれば、要するに、閣外に石破さんを出すことを怖いと。安倍政権にとって無役の石破は一番怖いと。閣内においておく、ないしは党の役員においておく方が、視野の見える範囲においておいた方が抑えが効くという、この判断ということになるわけではないですか?」
伊藤氏
「だからこその別ポストの提示が、もしあったとすれば、そうかなと思います。虎を野に放つような話ですからね」
反町キャスター
「現在、支持率が50%を超えている安倍政権ですよ。石破さんのこの間の新潟の集会にも30人。石破さんが無役になった時に何人ついていくのかまだわからない。その石破グループというのは、そんなに怖いものになり得るかどうか。そこはいかがですか?」
伊藤氏
「それは安倍政権に対する国民の評価がどう変わっていくのかにかかっていますよね。評価が下がれば、自動的に安倍さんと距離のある方に期待が集まる。これは党内的にも当然なことが起きるわけですから。ですから、距離をきちんとおいている人が、存在するか、しないかということで。党内的には随分変わってくるんです。だから、そういう意味では、まだ現在の段階では何の予測もできません。できませんけれども、たとえば、勘ぐって、来年、自民党総裁選がくるはずですが、総裁選のシステムが変わるんですね。今度は地方票が決戦投票まで残るということもあるので、安倍総理の側からすると、前回の自民党総裁選というのは、ある意味、非常にトラウマのようになっている部分があるのかもしれない。つまり、地方に強い石破さん。国会議員のレベルでは確かにまだ少数派かもしれないけれども、地方人気が一挙に高まったりすると、小泉さんが総裁になった時と同じように、本選でも抗しきれなくなるということもあり得るわけですね。仮定の話ですが。だから、そういうことも、もしかしたら頭の片隅にあるとすれば、石破さんの存在というのは安倍総理にとって決してどういう状況になっても無視できないのではないかなという勘繰りはできますよね」
反町キャスター
「安倍さんが、石破さんの全国的な地方における人気は、前回の総裁選の結果における地方票が、安倍さんを石破さんが大きくリードしたという前提も踏まえて、怖がっているとすれば、石破陣営として、たとえば、今回のここに至るまでの経緯の中で、先日あった自民党の全国幹事長会議の席において、茨城県だったかな、どこかの県の代表者が石破さんの幹事長の続投を求めるという話をした。あれはその人が勝手に言ったのか、ないしは誰かが言わせたのかはわかりませんけれども、ああいう流れが、表に出るような形にするというのは、石破陣営としては作戦ミスだったのではないですか。あんなもの表にしたら、だって、官邸がピリピリするに決まっているのに何でああいうカードを見せるのか。なぜ、ラジオで石破さんは喋るのか。表技を出すことによって、かえって、官邸の石破さんに対する警戒心を強めたのではないかと。これはいかがですか?」
伊藤氏
「いえ、全国幹事長会議の話というのは誰が仕掛けたのかはわかりません。ただ、ラジオに関していうと、ちょっと踏み込み過ぎたということは間違いないと思うんです。ちょっとリップサービスが過ぎたのかなと。サービス精神の旺盛な方ですから、メディアに登場すると、思わず踏み込んでしまうというところがあったんでしょう。だから、それを反省してその後すぐ軌道修正というのかな。ちょっと引っ込んだ。それは石破さん自身、ちょっと踏み込み過ぎたろうなという思いがあったと思いますよ、そこは」
反町キャスター
「そうするとこれから先、石破さんというのは閣内に入るか入らないかで、だいぶ、事情も変わると思うんですけれども、石破さんと安倍さんの距離感というのは今後どうなると見ていますか?」
伊藤氏
「あまり変わらないと思いますね。はっきり言って政治の世界は距離感で動いているわけじゃなくて、利害で動いている部分がありますから、距離が近かろうが遠かろうが利害が一致すれば一緒に動くし、利害が相反すれば、別行動をとるということですから、何もこれで距離が縮まるとか、開くとか、そういう話ではないと思います」

今後の政治日程への影響は
佐々木キャスター
「今後の政治日程を見ていきたいと思うのですが、10月に福島県知事選。そして、11月は沖縄県知事選。大変厳しい選挙が控えています。来年の春に統一地方選。9月には総裁任期満了を迎えて、次の総裁選が行われますけれども、このスケジュールを踏まえて、総理と石破さんのそれぞれの思惑というのは、どういうふうになっていくと、伊藤さんの見通しは?」
伊藤氏
「福島県知事選、非常に複雑な構造になりつつあるんですが、一番の焦点は沖縄知事選挙かなと、当面思うんですね。これははっきり言って自民党がかなり苦戦しているんです。厳しい選挙になるだろうと思いますね。その時の幹事長というのは、逆に言うと責任をとらされる可能性もあるわけですよね。ですから、話が先走ってしまうけれども、次期幹事長というのは、もしかしたら責任をとらされるための幹事長の可能性もあるわけですよ」
反町キャスター
「それは短命という意味ですか?」
伊藤氏
「うん。同時に、石破さんが幹事長留任を望んだことに対して、総理の周辺は、じゃあ、やらせればいいじゃないかと。責任をとらせればいいという説もあったんですよね。そのへんはたぶん消えたんだろうとは思いますけれども」
河野教授
「何でこんなことが起っちゃったのかなというのは非常にある。1つは、石破さんが、ちょっと作戦ミスをしたのかなという感じがしない感じでもないんですけれども、得をした人は誰もいないのではないかなという感じがしますよね。石破さんのイメージもこれでダウンしたし、もし本当に石破さんが幹事長を望んだのなら、石破さんはそれができなかったということで、そういう意味では外れたと。安倍さんにしても、これはドタバタを抱えたということでイメージダウンだし、そういう意味では誰も得をしなかった。こういう事件がなぜ起こっちゃったのかなというのが、私の疑問ですね」
反町キャスター
「人事の今度のポイントはどのへんにあるという何か見立てはありますか?」
中谷議員
「安倍内閣としては第2章と言っていまして、まさにこれからが本格的な成果を出す時期。一番、自民党が心しなければならないのは、1年8か月前の野党だった、それが与党になったと。もう失敗が許されないんだと。今度、自民党がしくじると日本がダメになるという状況ですから。安倍総理は非常に柔軟な人ですので、これからやるべきこと、党内のとりまとめを考えて、ベストの人事を行うのではないかと、私は思いますけれどもね。これ以上のことは言えません」

党・閣僚人事の行方は
佐々木キャスター
「いろいろな名前が挙がっていますけれども、確実に入閣しそうな人としてはどういう見通しを立てていますか?」
伊藤氏
「私は基本的に、選挙の予想と人事の予想はしないんです。必ず外れますから。ただ、メディアで取り沙汰されている方達がいらっしゃって、人事で今回の改造、党役員人事の中のポイントはどこなのかということになれば、1つは、もちろん、安保法制担当相だし、地方創生担当相だし、閣内ではですね。その他の主要閣僚はだいたい財務相とか、甘利さん(経済再生担当相)もそうだし、太田さん(国交相)もそうだし、おそらく岸田さん(外務相)もと言われていますから、主要の部分はあまり変わらないので閣内で言うとそのあたりと、農水大臣はTPPの問題とか絡んできますから。あともう1つは、党役員人事でそれこそ幹事長は誰になるのか。そのあたりが一番のポイントになってくるだろうと。総理が誰を幹事長に据えるのか。石破さんを変えるとして。それによって、変な言い方ですけれど、それによって、解散総選挙に対して総理がどう考えているのかというものも透けて見えてくる部分があるかもしれないですね」
反町キャスター
「実務派か、人気とりか、どちらを置くかということですか?」
伊藤氏
「1つはそうですよね。実務派の方であれば、粛々と知事選挙とか、統一地方選挙を乗り切っていくということでしょうし、もしサプライズ的に人気のある方というかな、人気の出そうな方を据えるのであれば、これはもしかしたら遠くない時期に解散総選挙もやらざるを得ないとどこかで考えているとも読めますから。そのあたりが最大のポイントなのかなという気がします」

安倍政権の成果検証② 党と政府の関係は
佐々木キャスター
「ここからは安倍政権の1年8か月を検証していきます。最初の観点です。政府と自民党の関係はいったいどうだったのか。伊藤さんと河野さんに評価をいただきましたけれども、まずは伊藤さんが△。これはどういう理由からですか?」
伊藤氏
「政高党低とか言われていますけれども、基本的には、政府と党が一体となって政権運営をしてきていると。前の民主党政権みたいに政府と党がバラバラ、政府内がバラバラ、党もバラバラというようなのに比べれば非常に一体感があって、それがそれこそ決められる、決めすぎる政治になっているわけですが、ただ、一方で、確かに議院内閣制ではありますけれども、基本的に三権分立という視点から見ると、行政と立法というのは、それなりに常に緊張関係を持っていなければいけないと。それは与党であろうが、野党であろうが、立法府の存在と行政府の関係というのは必ずしも馴れ合いになってはいけないし、あまり一体化してもいけないという意味でいうとちょっとそのへんが一体化し過ぎているのかなと。あるいは行政が上に立って、立法がその下についているのかなという感じが非常にするんですね。特定秘密保護法案を見ていて、いろいろな視点からの批判とか、賛成の意見もありましたけれど、一番危惧していたのは行政の暴走です。特定秘密保護法を行政が自分達を恣意的に囲い込んでいるという可能性があると思っています。そういうことも含めて考えると、何か行政の方が現在、上に立っている。立法がそれに付き従っているという感じが生み出されている感じがして、そこは問題点なのかなという感じがあるんですね」
佐々木キャスター
「河野さんは、政府と自民党の関係に関しては×です。これはなぜでしょうか?」
河野教授
「昨日、これを評価してくれと言われた時に、誰にとっての評価なのかというのを確かめまして、国民にとってのということで、安倍さんにとってこれがどういう関係、自民党との関係が得になっているのか、損になっているかではなくて、国民にとってどうなっているのかということだったので、現在、伊藤さんが言われた通り、行政府が、与党ではなくて、行政府が前に出ているのではないかということですが、私は伊藤さんと評が違うのは、それは議院内閣制の下ではしょうがないだろうというところがあり、なおかつ現在は連立政権でありますので、自民党のみで政権を維持しているわけではないものですから行政府の中に入っている人達がリーダーシップをとり、政策をどんどん出していくというのは、それはしょうがないのではないかと思うのですが、その一方で、私が特に気になったのは私的懇談会と呼ばれた、安保懇。法的な位置づけが非常に曖昧な組織が非常に重大な政策決定に決定的な影響を及ぼしたと。もちろん、決定的といっても、安倍内閣はとらなかったところもあるんですけれども、それでも方向づけしたということについては、私は非常に不思議なのは何で自民党の方から、そういうことが何でOKなのですかという疑問の声が上がらなかったのかと。そこのところが健全ではないのではないかなということは、安倍さんになかなか忠言すると言いますか、モノを言える勢力が自民党内にはないのかなという感じがしますし、そういう意味で国民にとっては現在の政府と自民党の関係というのはあまり良くないと思います」
佐々木キャスター
「少し補足をさせていただきますと、政権運営の特徴ですが、ある意味、象徴的とも言えるのは、集団的自衛権を巡る流れですけれど、まずは安倍総理の私的機関である安保法制懇の報告を受け、総理が一部は採用できないと会見で言ったうえで、与党協議で合意に至り、閣議決定となった経緯がありました」
反町キャスター
「中谷さん、この流れで、総理は会見で一部否定はしたものの安保法制懇という総理の私的諮問機関からは集団的自衛権にしても、いわゆる集団安全保障にしても、国連決議に基づく武力行使についても、積極的に参加する内容の答申が出たうえで、今度その高い球を総理が会見で、いや、それはとらないと、上を削って、その削り込んだやつを今度、与党協議でどうぞと言って、与党がそれを飲むみたいな、いわば、審議会を非常に上手に使った、官邸主導の政策運営、政権運営が非常にわかりやすい例だと思うんです。それは河野さんから見て、これは与党がきちんと機能を果たしていないのではないか。こういうことでよろしいのですか?」
河野教授
「そうです」
反町キャスター
「今の指摘はいかがですか?」
中谷議員
「実に現在の国の安全に対してやらなければいけないことは、やらなければという強い使命感を持っていると思います。この安保法制懇は、実は4年越しの協議で、前の安倍内閣から続いてきたメンバーで出された報告でありますし、またそれをもとに自公協議で10回以上に渡る、徹底した議論を1か月も2か月もかけて、オープンでやってきた。通常、解釈を変更する場合は、総理が言えばできるのをきちんと閣議決定。この閣議決定も与党の討議をとって了承をとった。これで終わりではないです。本番はこれからということで、法律改正、これに基づく法律を、現在つくっていますけれども、ここで国会論議ができますので、本当の意味の国会論戦というのはこれからですけれども、国会で論議をするうえにおいて閣議決定がないと法律はできませんから、この閣議決定に従って法律をつくっていますので、時間をかけて、非常によくうまくやっているなと思いますよ」

官邸主導の影響は
反町キャスター
「日銀の総裁とか、内閣法制局長官人事とか、全て人事にしても、法案にしても、非常に官邸が強い指導をもってやってきたのがここまでの政権の、1つの特徴だと思うんですけれど、結果スピード感があるし、決定もしているし、進んではいるのですが、それに対するデメリットもあるのではないかと、このへんはどう感じていますか?」
伊藤氏
「現在の閣僚の顔ぶれ、党役員も含め、非常にうまくいっているんですね。ただ、それ以外の人事、今おっしゃった、たとえば、内閣法制局長官の人事とか、もう1つ、NHKの人事もそうです、会長人事もそうです。経営委員の人事もそうです。これは×ですね。私ははっきり言うとあまりにも恣意的というか。自分の考えに極めて近い方をかなり強引に据えている。それによってそれぞれの組織の中でハレーションも起きている。しかし、それで強引に進めていくというのは、それは力がある方が進めようとすれば進むでしょうけれど、ちょっと慎重さに欠けているという気もするし、このあたりの人事については、△をつけましたけれど、そこについては、私は×だと思っています」
反町キャスター
「河野さんは、現在の一連の流れをどんなふうに見ていますか?」
河野教授
「これは安倍政権の国会運営と関係するかもしれないんですけれども、強引さというのは歴代の自民党の首相はいつもある程度持っていたのではないかと思うんですよね。だから、それに対して反対する勢力というのがないというのがこの問題です」
反町キャスター
「現在の与党の中にね」
河野教授
「それもそうだし、野党もそうですね。だから、その力のなさの方が、大きなファクターで、安倍さん自身の政権運営そのものが問題とは必ずしも思わないですけれどね。そういうことをやらせてしまう、チェック機能が働いていないというところが問題ではないかと思います」
中谷議員
「あまりにも民主的で合議制ということで、決めることを決めていなかったので、安全保障もそうですけれども、デフレが進行していましたけれど、黒田さんに決めることによって、ちょっと数字を言いますけど、株価も8000円から1万5000円。失業率も4.3%あったものが3.8%。有効求人倍率も0.83倍から1.10倍。短観、景気の予測も軒並み大企業もプラスですね。物価も上がっていますが、この狙いはインフレターゲットというか、賃金を上げるということで、消費税の部分もありますけれども、非常に現在のところ順調にできたというのはトップの人事ですね。小松さんを抜擢したのも従来の解釈のままではいけないんだということで、非常にそういう意味ではリーダーシップを発揮できたので、結果的にはいい成果が出ていると思います」
伊藤氏
「ただ、失業率とか、有効求人倍率は確かに良くなっているのですが、しかし、たとえば、正社員数が実際は減っているんですね。むしろ、非正規が増えている。非正規の皆さんが増えているので、失業率が改善しているという部分もある。これが1つあるし、それから物価に関していうと、輸入インフレの部分というのは非常に大きいと思うので、単純にその数字だけ見て良くなっているとは即断できない」

安倍政権の成果検証② 自民党と公明党の関係は
佐々木キャスター
「自民党と公明党の関係が△ですが、なぜでしょうか?」
伊藤氏
「トータルで見ると、十何年間の自公の協力関係というのが未だにそれなりに続いている。政権運営の部分でもトータルで見れば、それほど大きな問題は起きていないのでしょうけれど、一方で集団的自衛権の問題に関していうと公明党の支持母体である創価学会の皆さんの中にはかなりフラストレーションが溜まっていることは間違いのない事実ですね。特に学会の婦人部の皆さんは非常にこの問題については引っかかっている。公明党が安倍総理に、あるいは自民党に引きずられているのではないのかという見方が一部にあることは間違いない。それから、たとえば、沖縄の知事選挙を考えますと沖縄県の公明党はどうやら自主投票に現在の段階では動くというような話も聞いています。それから、滋賀の知事選挙は終わりましたけれども、あの中でも公明党票があまり動いていなかったというようなこともあるので、地方の公明党に関しては、もちろん、地方議会で連立与党を組んでいることがほとんどなので、そこは崩れていないにしても、だいぶストレスが溜まっているのではないのかなと、公明党側に」
佐々木キャスター
「河野さんは○ですが」
河野教授
「現在、伊藤さんが言われたことと全く賛成で○なんですね。ですから、どういうことかと言うと、つまり、与党の連立与党の中である程度の緊張関係ができているということは国民にとって良いことではないかと思うわけですね。だから、ストレスと考えればマイナスかもしれないけれども、それを良い方向に考えて与党間では馴れ合いになりにくい。この間の集団的自衛権を巡る協議は、外から見ているだけで全くわかりませんが、普通考えたらかなり危機的な状況にまでいったのではないかなという気がする。公明党の中のことはよくわからないので、表に出てこないですけれど、表に出てきたよりは両党の関係はかなり深刻だったのではないか。でも、それにも関わらずうまく協議を乗り越えて、あのような形で決着した。一方、安倍さんの現実的な指向が1つ垣間見えた。もう1つは、自公の関係はここまできたか。そこまでも相互依存的になってしまって、あるきっかけで、これで解消しなかったら、どこで解消するのだろうというような、かなり深いどっぷりとした相互依存関係になってしまった、それを物語っているのではないかと思いました」
佐々木キャスター
「どう受け止めますか?」
中谷議員
「公明党との関係はある程度評価されていると思います。自民党単独だと官僚と馴れ合いになっちゃって、国民の声に反映されませんけれども、自公協議を通じて公明党の違う考え方で議論できますので、非常に良い関係の存在だと思います。集団的自衛権も最初は距離があったんですよ。まとめる知恵を出してきたのは公明党の方で、昭和47年の9条の憲法解釈。これをよく読めば個別的自衛権だけですよと書いているけれど、あの論法でいくと、個別的自衛権の他でも我が国の安全に必要な集団的自衛権は認められるでしょうという非常に論理的な答えが出てきたので、それでうまくまとまったので、非常に議論、協議を続ければいろんな課題が乗り越えられるということで、公明党の能力、主張は大事な存在だと思います」

公明党の役割とは
反町キャスター
「公明党の役割をどのように見ていますか?」
伊藤氏
「公明党が抑止力になっているとよく言われますけれども、全体の流れを見るとそれほどなっていないんですよ、部分的にはなっていますけれども、まして自民党の中に現在の安倍政権を支持する皆さん以外の意見というのがたぶんあるとは思うんですけれど、一切それが表面化してこないという状況が、長年自民党にいた人間からすると、自民党も随分単色、一色の政党になっちゃったなと、昔の自民党は良い部分も悪い部分も含めカラフルだったんですよ。そういうカラフルさみたいなものが自民党の奥深さであり、幅広さであり、それが長期政権の維持につながっていたような気がするんですよ。何も意識的に喧嘩しろとは言いませんけれども、党内で1つの政策に対して100%一緒の人が全員いるということは気持ち悪いでしょう。あり得ない話ですね。少なくとも8割一緒でも残りの2割の部分でニュアンスの違いがあるのだとすれば、そこを党内で徹底的に議論して、それをクリアしたうえで送り出していくような状態がかつてはあったような気がする。それは派閥の弊害とセットかもしれませんけれども、それがあったからこそ、ある意味、自民党というのがどこかで全体としてバランスをとって、それが安定感みたいなものを生み出し、長期政権につながっていたような気がするんです。このまま突っ込んでいってある時点で国民の安倍政権に対する評価がガラッと変わった場合、自民党全体が評価の対象になってしまうという意味ではちょっと恐い感じがします」

安倍政権の成果検証② 国会運営の評価は
佐々木キャスター
「国会運営については?」
伊藤氏
「政権運営という視点からすると非常にスムーズに動いていることは間違いないので、国民から見たらまた別かもしれませんけど、まずその面から見るとスムーズに動いている。法案の成立率も極めて高い。それこそ決められる政治。民主党時代に国民が散々に批判した、決められない政治の反対側をやっているという意味ではスムーズに動いていると思うのですが、与野党の数がこれだけ大きく開いてしまう状況の中で一番危惧しないといけないのは、国会の空洞化だと思うんですね。国会審議の緊張感の欠如というか。それはもちろん、国会の中で真剣に議論されているのでしょうが、全体の流れから見ると結局数の力で押し切っていくということになるのだろうし、ただ1点だけ評価できるとすれば、第一次安倍政権に比べると強行採決が少ない。それから、これは非常に手法としてうまくやっているのかもしれませんけれども、特定秘密にしても、野党の一部を賛成に引っ張り込んで処理をしていると。与党単独ではないですよという。そのうまさは評価できると思うのですが、国民側から見ると、野党がとにかく非力すぎるので、結局ほとんど抑止力になっていないと言われる中で、自民党安倍政権も3年3か月、野党暮らしをして政権復帰した直後はかなり野党暮らしが経験値として積み上がっていたから、国会審議でも慎重に臨んでいた感じがあるんです。ただ、時間が経つに従って、どうしても数の力、傲慢さというか、そういうものが少しずつチラついてきているという微妙なところで△にしました」
河野教授
「私も伊藤さんの意見と近いのですが、民主党ですよね、問題は。与党の問題ではなくて、安倍政権側の問題ではなくて、一体何をやっているんだということに尽きると思います。国会運営をこれほど順風満帆にさせて、しかも、強引さが垣間みられるようになってしまったのは政権時代の総括もまともにやっていないし、それ以前に自民党政権に対する、たとえば、原発政策に対するような批判も全くあとが聞こえてこなくなったし、いったいどうやって党の再生をはかるのかというのがまったく見えてこない。何をやっているのかと思いますね」

内閣改造のあるべき姿
佐々木キャスター
「この1年8か月の安倍政権の支持率の推移ですが、一時は下がっていましたが、8月に入ってから51.8%まで持ち直しています。持ち直している要因は?」
伊藤氏
「回復しているのはおそらく景気経済だと思うんですよ。そうは言いながら景気が少しずつよくなっているのではないかというので、一時的に批判をして支持率は下がるけれども、景気は上向いているよねということで、また上がってくるのではないかなと、そんな感じで見ています」
佐々木キャスター
「内閣改造の課題はどのように見ていますか?」
伊藤氏
「人心一新と安倍総理はおっしゃっていますが、主要閣僚は変わらないとなると、それほど一新ではないかなという気がするので、この改造を乗り切れば、おそらく安定的な政権運営が行われていくのでしょう。安定した政権の中で当面の課題を処理すると同時に安倍政権の全体としてもし長期的な政権になるのだとすれば、どういう国づくりをしていくのかというトータルのビジョンみたいなものを少しずつ纏め上げていく作業が必要になってきているのかなという気がします」

政治アナリスト 伊藤惇夫氏の提言:『長期ビジョンの構築を』
伊藤氏
「おそらく安倍政権、あるいは現在の自公連立政権、安定政権だし、長期政権になっていくでしょう。だからこそ、これから30年、40年、50年先の日本という国をどういう国にしていくのか。トータルのビジョンみたいなものを個別の案件を処理しながら、しかし、一方でそれなりに英知を集めてつくり上げて、それを国民に提示していく役割が安定政権だからこそ求められるのではないのかなと。ただ単に夢をもう一度とか、日本は元気になるんだよというだけではなく、その先日本はいったいどうなるか。それができて始めて、それから憲法はどういう憲法にしたらいいのかとか、様々な具体的な議論がそこから出てくると思う。安定政権だからこそ望むことだと思います」

河野勝 早稲田大学政治経済学術院教授の提言:『長期と短期を明確に』
河野教授
「安倍政権のこれまでの評価を考えてきた時に、基本は経済政策、まず選挙で圧勝して大胆な経済政策をしてそれでうまくいって、その余勢でもしかすると憲法改正まで突っ走るのかなと思ったが、せずに引っ込めて解釈改憲。ある意味で言うと非常に理念型、原理的主義的なところもあれば、ある意味で言えば、現実的に妥協するところもあって、非常にその2つの要素というのが合い混じっていると思うんですね。どの部分を原理主義で長期的なビジョンとして確立するのか。それとは別にどのような部分を短期的な政治的な要請に従って妥協したり、調整したりするのか、その2つをうまく切り分けないと、見ている側からしてもこれはいったいどちらの政策なのかということで混乱してしまうし、あるいはもしかすると不必要な誤解を生んだりするのではないかと思いますので、このような提言にさせていただきました」