プライムニュース 毎週月曜~金曜よる8:00~9:55(生放送)

テキストアーカイブ

2014年8月28日(木)
安倍政権の成果検証① アベノミクスの功罪は

ゲスト

山本有二
自由民主党衆議院議員 元金融担当大臣
片山善博
元総務大臣 前鳥取県知事
早川英男
富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー

アベノミクスの功罪は
佐々木キャスター
「アベノミクスの全体の評価としてはいかがですか」
片山氏
「特に地方で仕事をしていたことが長いもので、地方の立場から言った時にアベノミクスは地方に恩恵がないと。むしろ長期的に見たら第2の矢、現在やられている公共事業は地方にとっては長い目で見たらやはり良くない。借金はたまるし、地域経済の構造改革にもならないし、これから成長戦略には地方の視点が必要だと思うんですね。これは秋の国会でやることになっていますが、どんなものがでるのかそれ次第で『?』をつけているのですが、それまでの場合、地方の視点から見た場合に、成長戦略が何か地方に寄与するものがあるかと言われればないなと、ちょっと厳しめです」
早川氏
「現時点でという考え方で言えば、それなりの成果は上げているということです。ただし、特に金融政策はそうですが、難しいのは後半の、出口のところが難しいので。現時点では比較的良い成績を収めている。これで最終的にうまくいくかということについては、私は必ずしも楽観視していません」
山本議員
「悩むべきところで悩んだうえで決断したと。特に第1の矢の金融政策、大胆な。これには驚きました。これまでの総理や、保守政治家のリーダーではできなかった。特に白川さんがやっていることと黒田さんがやっていることは全く違いますね。両方とも金融財政の専門家です。2人いるようにA説があり、B説があり、この2つの説があって、どちらが正しいかを政治家が決めるなんてことは絶対にあり得なかった。それをA説だと言う、黒田さんのやっていることが正しいのだと考え、それを断行して、特に日銀総裁を代えさせていただくということをやっていくという、このメッセージは予想インフレ率を上げて、実質予想利子率を下げるという、大変な効果につながった。これが全ての出発であって、日経平均8000円から1万5000円、このことによって日本の株価という資産が倍になるわけですから、それからすると、私は大変な人物だなと」

第1の矢・金融政策
佐々木キャスター
「片山さんは金融政策に×をつけています」
片山氏
「これは1つに、国債を中央銀行がばんばん買い込むというのはやめるべきですよ。これは教科書にも書いてありますよね。それから、もう1つ地方の視点から言いますと結果的に円安になりましたよね。この円安が地方に特にどのような影響を及ぼしているかと言うと、まず円安のメリットというのはほとんどないんです。たとえば、地方に輸出産業があって、そこがある程度輸出しやすくなったということであれば別ですが、本当に地方と言うのはそういう輸出産業が乏しいですから。逆に円安になりますと海外から輸入するものが上がります。一番困るのがエネルギーです。たとえば、私が知事をやった鳥取は、化石燃料は全部輸入ですから。電力も9割は県外から買うわけですね。いずれにせよ、石油代、ガス代、電気代が上がるということは家計がそれだけ苦しくなるということです。産業面でもそれだけエネルギー価格が上がりますから、経済的には非常に大きなダメージがある」
反町キャスター
「円安に振れたけれども、地域経済は疲弊するばかりだという指摘についていかがですか?」
早川氏
「それはそういうことだと思いますし、確かに株は上がりました。ですが、実体経済はそんなに成長しているのでしょうか。昨年は2.3%成長しました。だけれども、それは、0.7%は公共投資によるものであって、少なくとも0.6%くらいは駆け込み需要によるものなので、実力はせいぜい1%。今年はたぶん反動があるので、低い成長率になることは間違いないので、もともとの話だと、皆が物価が下がるから消費しないんだと。デフレで実質金利が上がるから設備投資をしないんだと。デフレで円高になるから輸出が伸びないんだと。だったら現在の状況はデフレを脱却して、実質金利はマイナスで、消費も伸びて、設備投資も伸びて、輸出も伸びているはずで、すごい成長率になるはずだけれど、そんなことは起こっていませんよね。と言うことで、確かに資産経済は上がりました。ですが、実体経済への影響は比較的小さい、これは実は日本だけではなく、アメリカも同じ、世界中で起きていることです」
反町キャスター
「実体経済にプラスがあまりないではないかという指摘はいかがですか?」
山本議員
「それはもう全然違っていまして、輸出主導型産業というのは円安でなければ生きていけませんよ。80円で自動車会社を維持していくというのはまずできないですね。それから、輸入物価については多少上がりますが、我々はこの輸入物価に耐えられるだけの所得と、それから企業の収益力を得たと確信しています。特に夏季ボーナスが8.5上がるというのは、これは普通じゃないですよ、これは円安の効果、そういったものがじわじわと出てきているというように見ていいと思います。特にアメリカのストックマーケット、証券市場が最高値です。日本の最高値は3万5000円で、現在は15000円ですから。まだまだ伸び悩んでいるんです。一番反応しやすいのは、1円円安になると300円、東証の日経平均が上がるわけですから。そのことにおいて我々にとってこの円安というのはこれまで104円までは順調にきたのではないかなと。ただ急激に110円とかになると、いろいろな余波があります。激変については経済が好みませんから。しかし、これまでについては、私は大成功だろうと」
反町キャスター
「未だに円高であると?」
山本議員
「円は購買力平価と貨幣数量説と2つありますから、その点からすると、これから円高基調になることはないだろうと思いますが、しかし、もっと円安になることではなくて。そのことにおいて我々が考えていることは雇用が完全雇用になる、3.5%失業率を維持する、インフレが2%。当時2%ぐらいの緩和的なレベルでインフレになっていることが順調な社会の経済成長を促していくわけですから、この目標に向けて、それぞれがそれぞれの分野で努力すれば企業収益力が上がっていくと」
反町キャスター
「株価の上がった原因と、今後の見通しをどう見ていますか?」
早川氏
「それはいろいろなファクターがありますが、日本の経済政策が変わったことが評価されたことは間違いないし、円安が株価を押し上げていることも間違いない。ただ、実を言うと、世界の株は随分上がっています。日本の株だけを見ていると底堅いではないかというイメージかもしれませんが、現在日本の市場関係者は何となく取り残され気味だなというように思っているのが実態だと思います。そこは4-6月のマイナス成長の要因もあると思いますが、もう1つは、例の成長戦略が結局どうなるのか、一応今回は昨年と違って、成長戦略が発表されたら株価が暴落するということはなかったし、それは良かったと思いました。これでちゃんと実りあるものになるのかしらと、一生懸命見極めているので動きが鈍い状況だと。結果を出していただければ、それはそれなりに株価に反映してくると思います」
片山氏
「私は株価で気になることがあるのですが、株価は本来実体経済を反映したものではないですか、外国との関係もありますが。どうも見ていると、表面上の株価を上げることが大きな政策目標になっているような気がしてならないんですね。それは実体経済が良くなって、株価に影響するということであるはずなのに、株価だけ、表面上のことだけやろうとしている。たとえば、法人税の減税を宣言しましたが、これだってこれで株価につながるのではないかという人もいますよね。それから、年金資金を日本株に向けようと。これは年金の資産管理の面でポートフォリオを考えましょうというのは、これは健全だと思います。現在のような運用ではなくてもっと多様化しましょうと。それとはむしろ逆で日本株を買わせるために年金の資金運用のやり方を変えさせようという面がありありですよね。最近の例の奨学金100万円までは非課税にします、これを拡充しようと。それから、もう1つは、子供の名義でいいよと。これは下手したら他人名義ですよ。今回見ていると、何やら安易に半分他人名義のような状況を認めようというのは良くないですよね。どうも目先のターゲットだけを上げよう、上げようという焦りが感じられるような気がしてならないんです」

第2の矢・財政政策
佐々木キャスター
「機動的な経済政策については」
片山氏
「これはマクロ経済、日本の経済全体に対しては大きな影響を与えたと思います。経済の下支えになったと思います。これは中央レベルのマクロ経済の視点と、それぞれの地域、特に地方ですね、田舎の視点で見た場合に大きく評価が分かれてくる。それはどういうことかと言うと、地方の場合には公共事業をやるのですが、それが地方の内燃機関、自分の力で経済を回復させていくという力に結びつかないんです。従来公共事業をやってきましたが、いつまでたっても地方の公共事業は財力がつかないじゃないですか。これはもう当たり前で、たとえば、道路をつくって、橋を架けて、いろいろとつくった時に何にお金を使うかというと土地代にある程度消えていくのですが、それ以外は建設機器とか、アスファルト、鉄、セメントなのですが、これらは地方で自前ではつくっていないんです。全部外から買うわけですね。だから、公共事業をどんどんやっても外のモノを買うという消費だけです。地元で生産に結びつくとか、地元で何か新しい産業が芽生えて、それを外に売ってお金を儲けるということにつながらないんです。だから、いつまでたっても公共事業でお金を使うけれども、経済効果はどんどん外に出て行くだけ。土地代は3割くらい残ります。それは地元の銀行に眠って国債を買うと。しかも、預金者は高齢者の方が多いですから、その方が亡くなれば相続で都会に出られている子供達の名義になってしまって地域には残らないと。本当に寄与するのはそんなに割合は高くないですが、人件費は残ります、建設事業に従事する建設作業員、それは最近の大型公共事業では比率は相当少ないし、単価もすごく安いです。大型の公共事業は大手のゼネコンが受注しますから、孫請け、ひ孫請けだった地元企業の従業員の取り分は少ないです。ですから、これはいくらやってもマクロ経済はいいのですが、ミクロ経済はうまくいかない」
早川氏
「実は昨年の最初の財政出動はこれで良かったと思ったのですが、もう局面が変わったので、完全に財政健全化の方向に切り替えなければいけないと。先ほど申しあげたようにデフレは脱却しました。幸か不幸か日銀が抱えている2%のインフレはすぐには達成されないですが、何年もかかるものではないと思います。実は2%が達成されたらどうなるかというと、日銀は現在、毎月7兆円の国債を市場から買い入れているわけです。それがなくなるわけ。そうすると、現在の0.5%の長期金利というのはたぶん3%くらいまで跳ね上がるわけですね。従って、2%インフレが達成するまでに財政の健全性について皆が納得するような状況をつくっておかなければいけない。仮にそれができないで長期金利が3%に跳ね上がったら山本先生が期待されている株価も一気に落ちます」
反町キャスター
「長期金利3%というのは危機的な状況?」
早川氏
「極めて常識的です。ほとんど全ての専門家は(インフレ率)2%にいけば(長期金利)3%になると。日本の財政はその2%、3%の長期金利に耐えられる状態に一刻もはやくもっていかなければいけないので、時間の余裕はないですと申し上げているだけです」
山本議員
「片山知事さんとは全然違って、私は補正があることによって、私の地元では四万十中央ICと言って初めて四国横断自動車道の高速サービスを受ける地域ができました。そこにおける購買力、あるいは小売店の売上高、そういったものがぐんぐん伸びていますし、観光客も増えています。そういうようなことを考えれば、片山知事さんのおっしゃる、確かにセメントもつくっていないけれど、できあがった公的固定資本形成でもって、高速道路でもって、サービス、つまり、良い生活、新しいビジネスチャンス、そういったものが生まれてきているということを実感していますし、現実にオランダ型のトマトハウスを3棟ぐらいでっかいのをつくって、四万十町では新しい農業のやり方を考えよう。また尾崎知事さんもそれによって新しい農業後継者を育成しようというような、全然違った話が生まれていますよ。東京で考えても、この間、愛宕山ヒルズに行ってきましたが、あそこには築地までのトンネルができていますよね。あのトンネル効果によって、地域全体が、環状二号線全体の再開発がどんどん進んでいるという経済効果、民間の経済を誘発していますよ。そういうことを考えると無駄ではないし、むしろ楽しい大都市東京であるし、また高知も少しずつ光が見えてきたなというような公共投資ではなかったのかなと思っているんですよ」
片山氏
「先ほど、山本さんがおっしゃられた社会資本整備の意味では、観光客の増加、特産物の振興、これはあるんです。ですから、公共事業が全部悪いわけではなくて、必要な公共事業はこれからも全部やっていかなければいけないのですが、景気対策として公共事業を早急にやりましょうということをやるんですね。補正予算でやるということはそういうことなのですが。そこはかなり社会資本の整備としてあまり有効ではないものがたくさん紛れ込んでくるんですね。と言うのも景気対策として公共事業をやる時には即効性が求められるんですよね。要するに、たとえば、道路を拡張する時に家の立ち退きを10年間かけてやりますということが必要なのですが、それは無理です。必要な子供達の通学道路をはやく歩道をつけてやらなければいけないということはできないんですよ。はやくやれ、年度内着工だという話になると、勢いさあどこができるかという話になると、人があまり住んでいないところがやりやすいですと。土地が買いやすいですから。そうすると、地方の、田舎の方の農地、山林、林野とかが買いやすい、そういうところで事業をやるんですよ。本当は街中の生活道路の改善をやらなくてはいけないのに、補正予算ではやくはやくと政府から言われるから、田舎の方をやると立派な道路ができて、歩道もちゃんとついているけども子供がいない、熊しか通らない道路とよく言われます。私はさすがに熊しか通らない道路というのは見たことないですが、熊も人も通らない道路がたくさんできているということが実情です。実際、安倍内閣になってからも即効性でやれと、補正予算でやられましたから、そういうあまり役に立たないものが、景気対策として蔓延していることは確かです」
早川氏
「日本の財政は成長率が上がらないともたないという、山本先生の話はまったくその通りです。ただ、どうやって成長率を上げるかという時に、需要をつけて成長率を上げるというから、既に完全雇用ですから、そこで需要をつけて成長率を上げたら、先ほどの2%が達成されるタイミングがはやくなるだけ、即ちゲームセットのタイミングがはやくなるだけですよね。むしろ大切なことはそうだけではなくて、第2の矢は引っ込んで第3の矢が潜在成長率を押し上げて成長率を高めていかない限り、公共事業でやったらゲームセットです」
佐々木キャスター
「視聴者からの意見ですが、『物価の伸びが大きすぎて、実質賃金が下がり続けるような気がします』とのことなのですが」
早川氏
「物価が上がり3.3%になっているうちの2%分は消費税引き上げの影響なので、これでどんどん上がっていくという話ではありません。むしろ気になるのは賃金の上がり方がまだ鈍いということで、だからこそ実質賃金がマイナスになっているということですね。もちろん、政府からの要請もあって、今年は久々にベースアップもあったのですが、実はこれはほんのわずかなものです。もう少し期待されるのは夏のボーナスですが、実は現時点までの統計で見ると夏のボーナスがほとんど増えてきてないのでこれは遅れているのかどうか、近々出てくる統計で確認しなければいけないという状況で、現在のところ、データでは全然出ていないという状態です」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
早川氏
「2つ可能性があって中小企業が地方に追いつけていないのかもしれない。もっと単純なことでタイミングの問題、夏のボーナスは6月に払うところと、7月に払うところがあるので、たまたま7月に払う方が増えちゃったりすると、6月は出ないんだけれど、7月はぐっと出ると。これは近々、明日か来週の月曜日に統計が出ますので。ある意味、消費税の引き上げ後消費は戻ってきていますが、戻り方が少し鈍いというのはその部分が影響しているということは致し方ないことと思います。もう1つ考えておかなければならないのは、賃金が上がるという時には2つのストーリーがあって、1つは大企業のベースアップ。これまでこちらに注目が集まっていますが、実は今本当に起こりつつあるのはそちらよりも、むしろ外食とか、建設、流通にしても人手不足がかなり厳しくなってきているので、そういったところのパート、アルバイトの賃金が上がっていくというストーリーがもう1つあって。実は私はこれまで皆が賃金という時に大企業のベースアップばかり見すぎたのではないかと思っていて、むしろ今年起こりそうなのは、周辺部からの賃金上昇というのがじわじわと出てくるのではないかと思っています。ですから、そういった形であれば、これは一気にとは言いません、どうしても周りからじわじわですから。じわじわ上がってくる可能性は十分あると思っています」

第3の矢・成長戦略
佐々木キャスター
「第3の矢の民間投資を喚起する成長戦略に関しては?」
片山氏
「今後地方というものを重点において、いろんな施策を打っていきましょうと、地方創生ということを打ち出されていまして、その中で地方の成長、地方の経済を引っ張っていくようなものが、何が出てくるのか現在のところ具体策はわかりませんから、それで『?』にしているんです。少なくともこれまでの出てきたものを見ても地方の視点から見て役に立つものはほとんどないと。いろいろな分野で良い面を協調する方もおられますけれど、地方の面から見たらほとんどないので、これから何か期待ができるのかなというので『?』にしてるんですね」
早川氏
「△は、実は正直言って昨年出された成長戦略というのは本当に中身がなかったので、まさに×だったと思うのですが、今年、1年経って出てきた成長戦略の中に、注目されるポイントがいくつか組まれているので、たとえば、法人税ももちろんそうですが、農協改革であったり、コーポレートガバナンス改革であったり、注目すべき要素が入ってきていますので、△にしました。あくまで△なのは、先ほどの私見の話で言うと、今度はレポートの私見で、今度は比較的興味深いレジュメが出てきた。これはちゃんとしたレポートであれば○になるんだけれどという意味です」
山本議員
「私は早川先生の話もさることながら雇用所得というのは確実に上がってるというように考えています。それから、人手不足。これは中小企業の製造業でも雇いたいというように判断されていますから、そうすると、これまで一番困難だった人材が確保できないところまで確保しようという意欲につながっています。そういうことを考えれば地方にもやがては、そういう経済成長の意欲は出てくるというように思っていますし、現実に昨年9ブロックに分けまして、日本を。地方産業競争力協議会というのをつくりまして、現在は本部長が総理ですけれど、『まち・ひと・しごと・創生本部』、ローカルアベノミクスという、これをやって昨年の秋にそういうことを考えて募集したわけです。そうすると9ブロック33事業モデル事業をやりたいと。これで成功すればどんどん日本中それを展開していこうではないかという考え方のもとにやっているわけで、1つは安倍総理のアイデアがどこまで浸透するか、1つの試みが既にメニューとしてあるわけですから、早川先生おっしゃるようにさらにそれがきちんとした料理になって出てくるというのを期待してもらいたいというように思っています」
反町キャスター
「潜在成長率を上げるためには、規制緩和が大切だと言われていますが、これまでの安倍政権の規制緩和への取り組みをどのように見ていますか?」
早川氏
「正直言って、岩盤規制の緩和は難しいのは間違いないですよ。誰がやったって、簡単にはできません。昨年はほとんど何も見えなかったので評価できないと思ったのですが、今年は少なくとも、農業に関して農協改革みたいな議論がかなり踏み込んだものが出てきて、これが1つでも動くと、改革ができる政府になったと。外国人の投資家もどれもこれもできるなんて思っていないんですよ、一時期に。ただ、1つでもやって見せないと、彼らの期待も萎んでしまうので、1つでもやってみせるのが大事で、農業の改革が一番やりやすいと思っているので、ここだけでもこれだけできましたと見せてあげる必要があると思いますね」

成長エンジンはどこに? 今後取り組むべき政策は
佐々木キャスター
「成長戦略の改訂版には、稼ぐ力の強化をしようと、産業の新陳代謝、法人税改革、コーポレートガバナンスの強化を打ち出したわけなのですが、実行に移していく、しかもスピード感を持ってとなりますと、何を優先して取り組むべきでしょうか?」
山本議員
「これは法人税改革もガバナンス改革も新陳代謝も全部一致して考えているのは成長にどうやって結びつくか、この1点です。成長というのは人の質が高まる、教育が高まる、あるいは土地やその他のものが簡単に投資に向かうとか、最後にイノベーションですよ。イノベーションというのは技術革新で、この技術革新をほったらかしで成長はできませんから。その意味において、企業が研究開発でお金使ってくれたり、人材確保のために新しい人をどんどん入れると。特に、農業分野で、高知県で飛躍的に伸びたのは、たとえば、フルーツトマト。甘いね、すごく美味しいねというのは、これは人がつくったものだと、ただそれだけを思っていた。違うんです。光センサーを当てるんです。機械的に糖度が瞬時にわかる。高い糖度のものだけパックに詰めて、それを高い値段で売ると本当に高い値段で売れるわけです。と言うようなトマトの新しい産業分野が芽生えたわけですよ。というようなことはITの世界だとか、あるいは科学技術のことだとか、農業とコラボしないと絶対にできませんよ。そういうことを、こういう稼ぐ力の強化というところで、どうやってできるかなということを私は見てみたいなと思っているんですね」
反町キャスター
「たとえば、雇用規制の緩和ですとか、解雇規制です、はっきり言ってしまうと。傷みを伴う部分を国民に対して政権がどのくらい示せるか。大変大きなポイントだと思うんですけれど」
山本議員
「これは昨年すごいことやりました。2015年までにもっと改革を進めるというわけですが、現在いる人が辞めないようにという助成金ばっかりだったんです。ところが、労働移動することにおいて、新しいところに雇用を確保できるよう支援しましょうというように、これを雇用調整助成金か労働移動支援助成金といったところに変化することですが、まさしく私はその通りであり、ドイツがもっとお金入れているんです。この労働問題に対して。失業するとまずはとにかく研修をして、新しいスキルをつくってというところにお金を入れるわけですね。我々は失業と言ったら雇用保険もらって、失業手当もらって、それで長いこと苦しまずに生活ができる、食いつなぐというところに重点を置いています。失業した時がチャンスではないかというような国家の政策に変化させるというようなことが新陳代謝につながるのではないですかね」

地方創生の道筋と課題 持続的成長どう促す
佐々木キャスター
「具体的に地方創生に関してどのような実現のプロセスを考えているのですか?」
山本議員
「地方はどんどん少子化と高齢化が進み、しかも、生産要素における労働とか、資源だとか、いっぱい不足分があります。そういう意味で東京と比べてハンディキャップがありますから、そのうえで経済成長してくれと頼むわけですから、相当、私は手厚い、かつきめ細やかなことをしていくというようなアプローチが必要だろうと思います。その中でやっぱり強みは、自然と気候と、さらに人情と、プラスアルファのこの体制さえ整えば、私は十分戦っていけるものがあるのではないか。特に漁業とか、農業にはまだまだ未来があります。その意味において、我々としては、弱みを強みに、強みをさらに伸ばすというようなことができないかなと」
反町キャスター
「地方創生とか、女性の活用は政策としては重要かもしれない。ただし、地方創生や女性を活用することによって、日本経済が成長するメインエンジンになり得るのかどうか」
早川氏
「なると思います。もちろん、公共投資を何兆円やりました、来年にはこれだけ伸びますという話にはなりませんよ。女性の労働参加率の上昇だって、時間のかかるプロセスです。もともと問題なのは、需要サイドの問題ではなくて、供給力の強化であって、供給力の強化はもともと時間がかかる話で、それはそれでいいんですよ。先ほど、財政は成長力がなければもたないとおっしゃる。その通りだけれど、その成長力は今日明日の話ではないんです。長いタームで見て成長力が上がっていけば持ち堪えられるわけですから、そこのところについて誰もが納得できる変化が起こってくれば、多少財政赤字が大きくても何とかなると思うわけだけれど、現在起こっていることは、潜在成長率が下がっていて、このままでは財政赤字に耐えられる国ではないですよ。だから、成長力を時間をかけても上げていくということが大事であって、そちらの話についてせっかちになってはいけないと思います。むしろ、時間がかかっても確実に進んでいく政策をうっていくことが大事だと思います」

山本有二 自由民主党衆議院議員の提言:『決意断行』
山本議員
「決意断行、何をするにも政治というのはわかりやすく、シンプルに、そして強烈にやっていく必要があります。その意味で20%台への法人税減税。確かに苦しい部分もあります。しかし、思い切ってやることによって国内投資、海外投資、企業がどんどん日本を目指してくるというようになると思います。その意味で決意断行、これが最も大事です」

片山善博 元総務大臣の提言:『余計なことをしない』
片山氏
「これから地方創生について心配しますのは、また従来と同じように政府が政策をつくって、手を挙げて、金と政策と、また人までの援助をもらって地方がやる。これをやっている限りはダメです。もう自立しないと。実勢をもって自分で把握して、それに対して処方箋を書いて、そのうえで政府から支援を求めるというベクトルに逆転しなければいけない。地方の自立を妨げるような余計なことはしないでいただきたい」

早川英男 富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェローの提言:『「3本の矢」の組み替え』
早川氏
「もう既に何回もお話したようにデフレは脱却しました。2%を本当に急ぐべきかということを考えると、急いではいけないのではないかとむしろ思っています。2%を達成するまでに、財政健全化の方向を明らかにし、信頼できる成長戦略を明らかにしていく。そうしないとむしろ先ほど申し上げたように非常に危険な状況になりかねないので。もともと3本の矢というのは毛利元就の話で、3本の矢が束になって意味があるわけで、第1の矢だけが勝手に走ってしまったら、ポキッと簡単に折れてしまうというので、その組み替えが必要であるということです」