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2014年8月14日(木)
起動セヨ 新産業革命 国産ロボット任務とは

ゲスト

弓取修二
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) ロボット・機械システム部長
吉田和哉
東北大学教授 極限ロボティクス国際研究センター長
中村亮一
千葉大学フロンティア医工学センター准教授

日本のロボット技術最前線 その水準と可能性は
島田キャスター
「NEDOが発表した世界初のロボット白書ですが、なぜこのタイミングで出したのですか?」
弓取氏
「現在我々はいろいろな課題に直面していますが、たとえば、少子高齢化、産業の空洞化、インフラの老朽化、大規模災害や事故、こういったことにどうやって対応していくのかということが大きな課題になっているんですね。その中でいろいろと解決方法があると思うのですが、ロボット技術を使うのは1つの大きな選択肢になってきていると思うんです。社会の中でロボット技術も1つの選択肢ではないかなと、役立つのではないかという期待感を社会に取り入れていこう、生活に取り入れていこうというコンセンサスが醸成されてきていると思うんです。ですから、現在このタイミングでロボットというのが、まさに皆様のお近くにあるんですということをお示ししたかった、それでこの『ロボット白書』を製作したんです。ロボット技術というのは何かを検知して、考えて、判断して、行動を起こすわけです。その行動はサービスです、付加価値のついた新たなサービス。検知し、判断して、アクションするサービスを提供する、こういった機械システムのことを我々は広義にロボット技術と呼んでいます」
島田キャスター
「宇宙、災害、ライフ・イノベーション、分子の4つの分野で最先端のロボット研究が行われているということですが」
吉田教授
「これらのロボットは一見ばらばらに見えるのですが、ロボットというのは人が行けない世界に行って、人の代わりに仕事をしてくれる。それが非常に大事な部分です。宇宙も究極のフィールドですね。人が容易に行くことができない、災害現場もそうです。それから、ライフ、分子は体の中で、ミクロ、ナノのスケールの世界の小さなロボットをつくって体の中で仕事をさせると。それも人が入っていけない世界ですね。人ができないことを達成してくれる知能機械が僕らにとってのロボットで、その分野で世界としのぎを削る研究をしていると」

国際宇宙開発ロボット その特徴と性能は
反町キャスター
「月面探査ロボットのテトリスですが、思ったほど重くないですね」
吉田教授
「これは、重さは1kgぐらいです」
反町キャスター
「これが月に持っていくロボットなのですか?」
吉田教授
「そうですね、これは宇宙では物を軽くつくる、重さ=打ち上げ費用に関わるので。小さくておもちゃのように見えますが、おもちゃのように小さくてもちゃんと仕事ができることを我々は目指して開発をしています」
島田キャスター
「何の仕事をするためにつくっているのですか?」
吉田教授
「グーグルルナーエックスプライズという世界的なコンペが走っているのですが、有名なグーグルがスポンサーになっていて、エックスプライズ財団というところが企画して、イノベーションを起こすような、チャレンジングなことを提示し、世界の皆に挑戦してみろというタイプのコンペですね。2015年の年末までに、月に無人でロボットを送り込んで、そこの上を500m以上走らせて、そこからハイビジョンの動画をライブで配信すると。それを達成したチームに賞金を出しましょうと。賞金総額は30億円。なので、世界中の人々は熱狂しますよね。当初、30チームが手を挙げて、できるところ、できないところが絞られて、現在18チームあるのですが、その中で今春5つの達成の見込みの高いチームが選ばれて、私らの主催しているチームHAKUTOが5位以内に入っているんです。HAKUTOという名前は白兎に由来しているのですが、月の上をウサギのように飛び跳ねるように走り回りたいなと」
反町キャスター
「映像をライブで送る?」
吉田教授
「映像を送るのには伝送時間がかかります、トータルとして実際に走っている映像をゆっくり時間をかけて送る形になると思います」
反町キャスター
「本体部分に入っているのはカメラと伝送部分?」
吉田教授
「それと、自立機能、知能に相当する部分です。現在私が操縦してマニュアルで見せたのですが、本番では当然障害物、穴をよけたりしながら走る、そういう知能を持たせたうえでそのミッションを達成しようと。大事なのは、国家プロジェクトでやるのではなく、民間でやりましょうということで賞金レースとしてやることが、イノベーションをもたらす1つの大きな起爆剤になると。どうしても国の進める宇宙開発プロジェクトというのは非常に大きな費用がかかるし、時間がかかります。数十年というスケールで見て行かないといけない。それでは定年退職してしまうので、これをもっとはやいサイクルでまわすと。それは民間が飛びつくようなわかりやすい切り口で、仕事は非常に簡単です、500m走ればいい」
島田キャスター
「どのくらいの速さで走るのですか?」
吉田教授
「時間も制限ないです。1時間いただければ、500m十分走れると思います」
反町キャスター
「リモコンではなくて、自分の意思で走り出すということですか?」
吉田教授
「実際、自立知能と自立操縦という部分があると思いますが、100%ロボットが自分で判断をするというのは現実的にはあまりないです。だけど、100%人間が細かな指示をすることもないんですね。たとえば、お買い物に行ってくださいと言う時に、向こうの角のタバコ屋さん行ってきてというけれど、信号が赤になったら止まってとか、そういうことまでは教えないわけです。障害物があったら避けましょうとか、角があったら右に曲がってとか、そういうところはロボットが判断しなければいけない。だけれど、どこに行って何をすべきかということは人間が指示しなければいけません。その2つの組み合わせがハイブリッドですよ。地上から遠い世界にいるとなかなか通信時間の遅れもありますし、非常にマクロなレベルの指示」
島田キャスター
「こういった技術は他の分野でも活かされるのですか?」
吉田教授
「我々は宇宙開発で最先端を極めている、それは地上で災害対応、レスキュー、救助、そういうロボットにつながる。そういうことでこれまでもずっとやってきています」

災害ロボット最前線 その現状と可能性
島田キャスター
「具体的にはどんなロボット技術が研究されているのでしょうか?」
吉田教授
「そもそも災害、震災に対してロボットは有効ではないか。一番のきっかけは1995年の阪神淡路大震災ですね。その時には実はまだレスキューロボットと呼ばれるものが全然なかった。それを原点に重大な研究が始まっていったんですね。その中で、我々は瓦礫の上を乗り越える能力の高いロボットをつくって、NEDOからも研究をいただいて、2011年の3月に5か年計画の最終年度を迎えるようなロボット開発を進めていたんですね。その中でクインスと呼ばれる開発ロボットをつくってきました。3月に最後の研究発表をしなければいけないという時に東日本大震災が起きたわけです。我々が準備していたまだ実用には一歩及ばない技術を大急ぎでいろいろ組み換えをして、実際にこのロボットが求められる現場が福島第1原子力発電所だったのですが、非常に放射線が強い環境の中で、まさしく人が入って行けない、でも、現場で何が起きているか見なければいけない、そういった現場に投入するロボットの1つとして研究開発として、福島第1原子力発電所に入っていったというわけですね」
島田キャスター
「最初に入ったロボット?」
吉田教授
「アメリカのパックフォードというロボットで、軍事用として開発されたもので、実は世界のあちこちの戦場で既に3000台から4000台使われてきたものですね。そういう目的がいいかどうかは難しい問題ですが、実際に爆弾処理、不発弾処理、現場の兵士の被害に遭わないようにという目的で開発されたロボットが、現場で使われたという実績があるが故に、いつでも誰でも操縦できるというバックアップをとる体制ができていた。だから、それを日本に持ってきて福島に入れたと。福島で問題が起きてその1か月後に入っているんですね。我々日本は残念ながら原発事故を想定したようなロボット開発の準備をしていなかった。ただ、広い意味で災害対応ロボットはやっていたので、それを原発用にカスタマイズすると。最低3か月は必要でしたが、6月に入って、それができ上がって、特に7月以降、放射線が高い建屋の中に入って行って、階段を上って隈なく調べて、線量を調べると。それがその後の全体的な廃炉計画につながっていくということになります」
島田キャスター
「ロボット大国日本が、最初に福島第一原子力発電所に使えなかった。その後、入っていった。その技術が現在、災害のロボット技術の応用につながっている?」
吉田教授
「もちろん、これを教訓に強化していかなければいけないと思いますが、現在の技術でも全然足りないと我々は思っています。クインスというロボットは瓦礫を乗り越えて、あるいは急な階段を昇るとか、そういうことに特化したロボットですが、これは福島の廃炉に向けてメルトダウンした燃料デブリが圧力容器の底に散らばっているに違いない、それをどうやってすくい上げ、安全にブロックコンテナに入れて、クリーンアップしなければいけない。1つの戦略としては、水中作業でモノをきちんと握る、ハンドリングする。マニュピュレーションという技術、そういう技術を駆使して散らかった燃料デブリをクリーンアップする。まだ誰も経験したことのないような新しい技術開発にチャレンジしなければいけないので、それは何十年もかかるような技術開発がもしかすると必要かもしれない」
島田キャスター
「研究は始まっている?」
吉田教授
「国のいろいろな体制ができて、それに向けても動き出しています」

医療ロボット最前線 その可能性と課題は
吉田教授
「分子の話をしますが、これはサイズで言うとミクロのサイズ、それから、さらに1000分の1、10億分の1mmという、ナノmと言いますが、そのナノmのサイズでロボットをつくろうという。薬を目的の場所に運び、届けることについての挑戦が始まっています。DNAはご存じだと思いますが、二重螺旋になっていて、2つの螺旋状のものが引きあって生物の設計図になっていると。ACTGと記号のついた塩基があってAはTに引きあうCはGに引きあう。このサイズが2ナノmとか、そういうスケールであると。これを利用し、これで遺伝子を組み替えて新生物をつくろうという話ではないんですね。AはTに引きあうCはGに引きあう、この性質を利用して、それをナノレベルの機械部品として使おうと。人工的に塩基配列をつくるというのは技術的にできるようになってきたので、自分達で塩基配列を設計して、こういうものをつくると、赤いパーツと青いパーツがのりしろで接着するような、2つの部品をこれでくっつけると、分子サイズでできた構造図をくっつけて、これで平面や立体の構造図をつくっていくという研究が2003年にアメリカの研究者がネイチャーに論文(を発表)して可能性を示唆して世界中が動き始めているのですが。1個、1個のピースを細かく組み立てていくと、網目状の箱をつくる。部分的にこれを蓋のようにすることもできる。これは何かを運搬する容器になるわけです。この容器の中に薬を入れていこう、血管の中でも細胞の中でも到達することができる。そこで普通は蓋が閉じるように配列でくっつくようにしておくのですが、ある特定の生態が持っている塩基配列に出会うと、今度はそちら側にのりづけされたのりの部分がそっちに引き寄せられると、ぱかっと蓋が開くみたいな。そうすると、この内容物が出てくると。薬は良い薬がたくさんできていますが、体全体に作用してしまうと副作用を起こしてしまうという問題がありますので、患部のここにだけ作用してほしいという」
中村准教授
「私は手術が専門ですが、手術や治療が目指している究極の形は、人間の体を傷つけないこと、それから、作用したいところだけを狙ったピンポイントな治療をする。カプセルとか、ある程度の大きさのあるものは、穴が開いているところから入れるか、切って入れるかしかできませんが、こういったものになってくる。注射で開いた穴から血管に入って、何の作用もせずにガンのところにいって、そこを叩くというような究極の、体にダメージを与えない。究極のターゲティング治療というのが目指すところというのは、機械装置では、メカでは難しくて、分子レベルのものでないと目指せないところですね。ドラッグデリバリーシステムという研究は盛んにされています。これ以外の方法でもいろいろな研究者がガンのところで薬剤を効果的に処方するという作用についてはいろいろな方法がとられています」
島田キャスター
「医療現場ではどのようなロボットが使われているのか?」
中村准教授
「いわゆるイメージするのは機械的なロボット、人間の操作によって、その操作を忠実に反映して精密な動きをするタイプのロボット。それから、ロボット的な自動的に手術をするようなロボット。そういったものがあります。技術的にも匹敵するレベルにいっているとは思うのですが、実用化の部分でまだちょっとアメリカに比べてスピードが遅いですとか、障壁があるとか…」
島田キャスター
「何でですか?」
中村准教授
「アメリカとか、国の条件に限らず、まず手術ロボット自体が実用化の部分で非常に難しい部分がいろいろあります」
島田キャスター
「技術的な問題ではないんですよね?」
中村准教授
「たとえば、日本はロボット技術が非常に優れているけれども、たとえば、産業ロボットで言えば、世界的に非常にシェアが大きいですけれど、そういったロボットをつくっている会社が医療ロボットをつくっているかというと、全くつくっていないですね。と言うのは、医療ロボットと産業ロボットは考え方がまったく異なる部分がたくさんあります。たとえば、代表的なところで言いますと、産業ロボットというのは基本的には安全性をどうやって担保しているのかというと、動いている時には近づくな、ですね。手が届くところに人は入っちゃいけないということで安全を担保しているのですが、医療ロボットとか、サービスロボットというのは人に対して何かする装置なのに、作業半径内に人がいなければ何もできない。基本的に手術ロボットというのは人を傷つける行為、切ったり縫ったりという行為をするものですから、安全性の考え方は全く根幹から異なると」
島田キャスター
「医療の現場と工学の現場との携わる方のマインドというか、ベクトルがちょっとずつ違うのではないでしょうか?」
中村准教授
「実際に会ってみると最終的に人を助けたいですとか、医療を進歩させたいというところで共通するところがあるのですけれど、自分が持っている知識が全く違う、文化的にも全然違うので、実際に会ってみるまでは、全然違うことを考えている場合もあります。私自身も学生時代に卒業論文、修士論文の時に鉗子と呼ばれる手術道具をつくっていたんですけれど、鉗子というのは臓器を掴むものなので、掴み方の力の制御はしっかりやって、解放するのはバネで解放するようにつくっていたんですね。それを実際お医者さんに持っていったところ、鉗子というのは掴むだけが仕事ではなく、組織の中に入れてすっすっと開いて組織を分けていくのが重要な機能だから、開くことの重要さを知らないと、鉗子というのはつくれないよと言われたんです」
島田キャスター
「かなり基本的なことなのに、そういうのを?」
中村准教授
「実際お医者さんがやっているところを見ないと、鉗子というのは掴むもの、開くために使うものというのは、普段紙を切っている鋏だと開くのが重要というような考え方なので、全くそういうのは頭にないですね。はやい段階から現場でどう使われているかということを理解しないと、開発はちゃんと進んでいかないと思います」

ロボットで新産業革命 成長の芽をどう伸ばす
島田キャスター
「実際に日本がサービス分野としてロボットを活用できるのはどういう分野ですか?」
弓取氏
「サービス分野で言うと、たとえば、介護福祉分野というのが1つあげられると思います。(パワーアシストスーツの)HALというもの出ましたけれども、サイバーダイン社は今年の4月に上場したのですが、私どもサイバーダイン社に対抗して、それでずっとHALの開発をしてきたわけです。介護の状態にある、少し足が不自由になられてもできることは自分でやりたい、これはどんな方も思っていらっしゃるんですね。ですから、そういったそのHALをつける、足が不自由であっても健常者と同様に歩くことができる。こういった装置というのは今後需要があると思います。ただ、先ほどサービスと言いましたが、それだけではなくて、それをつけて歩くのであれば、それを見守るサービスということも必要になりますよね」
島田キャスター
「見守るサービスというのは周りについている方々ですか?」
弓取氏
「どこに行っているか、GPSでちゃんと追いかけていく。それでパワーアシストスーツもバッテリーで動いていますから、バッテリーも場合によっては2時間とか、3時間とかなるわけですよね。そうすると、行動範囲も狭まってきます。EVでも一緒ですけれど、どうやってエネルギーを交換するかということも重要になりますね。ですから、バッテリーの交換であるとか、そういったことも途中でできるようにならないと。なかなか一泊の旅行に、たとえば、パワーアシストスーツをもっと軽量化して、装着感も良くなってきた時に、それをつけて旅行に行こうかといっても、電池いくつ持って行かなきゃいけないんだということにもなりかねませんよね。だったら、そういうことをきちんと拠点を設けて、そういうものをサービスしてあげるようなものも必要になるでしょう。様々な業種業態がそこに絡んでくる。たとえば、そういうパッケージで考えていかなければいけないということですね」

ロボット大国どう維持 人材と技術育成のカギは
島田キャスター
「日本から高報酬で海外に人材が流出することはあるのでしょうか?」
吉田教授
「基本的にグローバルという言葉がありますけれども、日本とか、アメリカ、ヨーロッパはある意味境界線が消えつつありますよね。だから、そこでより研究しやすい場所に人が動くというのはたぶんありの世界です。実際に動く決心まで行く人はそんなにまだ多くないかもしれないけれども、ポテンシャルとしてはある意味、逆に欧米から我々のところに研究したいと言って来てくれる人もいるんですね」
島田キャスター
「今の話だと環境が整っているのが大切な部分なのですか?」
吉田教授
「そうですね。環境がやりやすいかというのが一番大きいと。研究者は自分の新しいアイデアを得て、それを実現していくかということですよね。そのプロセスがやりやすいか、やりにくいか。研究設備という問題もあるし、制度面でもこんな実験をやりたいと言った時に、規制があってできないとか、規制がない国に行って実験をした方がいいのではないかとか、資金の集まりやすい国、集まりにくい国とか当然ありますよね。別のところへ行ってやりましょうということはありますよね」
島田キャスター
「日本はやりやすいのですか?」
吉田教授
「私達がいる大学は比較的研究がやりやすい環境にあるので、結構世界からも人が来てくれます。そういう意味では、大学と言うのは人材の最先端の現場なわけですね。そこでイノベーションを生み出すのは我々の使命だと思っています」

産官学の連携どうあるべき
反町キャスター
「日本はアメリカと比較して産官学の連携は?」
吉田教授
「産学連携という言葉はずっと昔から言われていて、大学の研究成果をいかに産業界で実用化していくか。何となくその流れで、私が感じているのは、学のアイデアがあって、産はそれを実現する人という関係があるのですが、実は学がインスピレーションを得るために、一番末端の現場を見ることが欠けているんですよ。ですから、産業界はモノをつくるところですが、それを使うユーザーの人達と学をもっと近づけないといけないと思うんですね」
反町キャスター
「直接現場に行くという、産業界を飛び越えた話ですか?」
吉田教授
「そうですね。そういうイメージを私は持っていますね。特に災害対応の部分で強く感じているところなのですが、実際に道具としてのロボットを使う現場の人達の声を聞かずにして、我々ロボット開発をしてはいけないと思うんですね。どう使われるか、何が現場で求められているか、それに応えるソリューションを提示するのが大事ですね。資金をどうまわすか、出てきたアイデアを安定した製品としてつくり込んでいく意味では当然産業界は必要です。ですから、産学官、あるいは現場のサイクルをどうまわしていくか、そこの仕組みをもうちょっと変えていく、工夫していくのが一番大事だと思います」

弓取修二 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) ロボット・機械システム部長の提言:『共創』
弓取氏
「どのようなロボット技術もその未来の技術のままでおわらせたらダメで、役に立つ技術にしなければいけない。新たな価値をつくってくれる技術にしなければいけない。価値が実感できる技術。そのためにはモノづくり、ロボットをつくっている人達だけのロジックで、考え方でロボット技術を発展させていくのは良くない。良くないと言いますか、適当ではないと思うんです。そのロボット技術によってサービスを享受するとか、それを提供する側、そこに関わる皆さんがその価値を考えていく。どういうふうなロボット技術がいいのかというのを共に考えて価値をつくり出していく。こういう姿勢が重要であるし、確かに言うは易し、行うは難しなんですけれど、それを諦めずにやっていくということが極めて重要なのではないかと思います」

吉田和哉 東北大学教授 極限ロボティクス国際研究センター長の提言:『災害対応ロボット オールジャパン体制で国際貢献』
吉田教授
「今日の話の中でもかなり私も震災関連から災害対応の話までしましたけれども、これは昨年から今年にかけて、産業競争力懇談会というところが提言をまとめて発表しているのですが、そこでは災害対応ロボットセンターみたいなものをオールジャパン体制でつくろうという構想、これは非常に素晴らしいことが書かれているのですが、ロボットが災害対応の役に立てるというのは誰が見てもわかるんですけれど、それをもっとちゃんと常に使える技術にしていくためには日頃の訓練に取り組んでもらわないとダメです。これは、ある意味ロボットは道具なので、日頃トレーニングしていないと、いきなり災害が起きたから使ってくださいと言っても使えるわけがないですね。災害が起こる前から、常にトレーニングに取り組んでいかなければいけない。使う人達は誰かというと、警察、消防もあります、自衛隊もありますけれども、そういうところが全部オールジャパンになって、しかも、研究開発部隊、我々大学陣も常日頃からより良い道具をいかに大学が提供できるか、それを使うとどういうふうに災害対応、あるいは人道的な支援救援活動が効率化できるかというところを、現場を通して、オールジャパンでやると。それを世界に輸出していくと。世界中あちこちでいろいろな災害が起きています。そこに日本のチームが一番に飛んでいって、そこで世界最先端の技術で人を助けると。そういう国際貢献なら絶対できるはずですね。そのための仕組みづくりというのが一番大事なのではないかと思っています」

中村亮一 千葉大学フロンティア医工学センター准教授の提言:『リスクの許容』
中村准教授
「医療ロボットが何故実用化できないかというところは、国民全体で日本人はリスクがなかなかゼロにならないと許容しないというような、そこは良い面でもあるのですが、新しいモノを受け入れて、新しいベネフィットを受けようという時にはリスクをコントロールしたうえで、それを受け入れていくということが非常に重要だと思います。この部分で言うと、現在再生医療の部分で国民はリスクをとってでも再生医療をどんどん導入しようという流れになっていますので、是非ロボットの分野もリスクを許容したうえで…」
島田キャスター
「再生医療はリスクをとってもいい、だけど、ロボットだと頑なというのは、そこはどういう心理でしょうか?」
中村准教授
「スター研究やスター研究者が出てくると違うというのがあると思います。もちろん、ロボットでもトップ研究者というのはたくさんいるのですけれど、スターではない。巨人の4番ではなくイチローや松井秀喜ではないと時代は変わらないというところはあると思います。それは再生医療なら山中先生がいるので、私達も、自分自身も目指すところではありますが、人材育成を通じてロボットのスターを創出し、皆でリスクを許容していくということをしたいと思います」