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2014年8月8日(金)
小野寺防衛大臣に問う国防 防衛白書の中国警戒策

ゲスト

小野寺五典
防衛大臣 自由民主党衆議院議員
森本敏
前防衛大臣 拓殖大学特任教授
小原凡司
東京財団研究員・政策プロデューサー

島嶼防衛はどう変わる
佐々木キャスター
「防衛白書でも離島などの島嶼防衛について触れられていますけれど、今回の安全保障を巡る議論では武装した漁民が離島へ上陸したケースなども具体的な事例として出てきました。小野寺さん、国を守るという観点において、今回の閣議決定、それから、今後法整備が行われていきますけれど、島嶼防衛の対応はいったいどうできるようになっていくのですか?」
小野寺防衛相
「島嶼防衛については、基本的には現在、海上保安庁、警察が、我が国の領土ですからしっかり守る、対応をすることになりますが、仮にその能力を超えた場合、警察では対応できなくなった場合に、初めて私どもの役割というのが検討されることだと思っています。ただ、いずれにしても、その動きがスムーズに動けるように、シームレスな形で動けるようにということで、今回、様々なことを想定しながら、私どもとして必要なものは何かということを今後検討していく。特に、現時点でも実態として、たとえば、共同の訓練、海上保安庁や警察との共同の訓練を行っています。大切なことは、相手が、たとえば、海上警察、あるいは民間の人だった場合には、これは我が方としては海上保安庁や警察が対応すべきであって、そうでないと、こちら側が軍が出るとなりますと、それは一気に状況がエスカレートします」

グレーゾーンへの対応
佐々木キャスター
「これまでも、平時でもない、有事でもない、グレーゾーンの問題というのがありましたが、こういった島嶼防衛を念頭に言われてきたグレーゾーンの問題というのはどう考えていけばいいと思いますか?」
森本氏
「大臣のお話のように、まさに、シームレスにというのは、対応として一貫性があって、状況によって適切に対応できるように、どこかで断絶がないようにという意味もありますし、法的にもそうなっていないといけない。法的にそうなっていないといけないところに問題はないのかということについては、今後、いろんなケースを捉えて、1つずつ検証をしながら、法整備が必要な部分について、法整備の準備を行うという時期がいずれくるのだろうと思います」
反町キャスター
「シームレス、継ぎ目なし、段差なしという話で言うと。逆に現行法制下において、たとえば、尖閣で島に武装漁民が大量に押し寄せてきた時に、どういう段差、どういう継ぎ目のガタガタした状況が想定されるのですか?」
森本氏
「たとえば、急に上がってくるわけではないですし、船舶で来るわけですから、まず第一義的には海保にやっていただいて、それでは対応できない時に、海保の船に警察官が乗っていただいて、上陸をするものについては警察が対応をする。法的には海上警備官も、警察官職務執行法を準用して適用することができますから、それでもダメな場合、場合によっては治安出動を発令する。その前に海上警備行動というのがあるのですが、それは、あくまで海上における対応ですから、上がってきてしまったものに対しては海上警備行動では対応は十分にできないわけですね。つまり、対応が役所の縦割りになっている。言い方が悪いんですけれども、それをもう少し、たとえば、状況の変化に応じて、一貫した、いわゆるオペレーショナルコントロール、指揮系統で誰かが判断をしながら、全体の統一された一貫性のある法体系の中で対応できるようにするのが本当は望ましいですね。ここまで海上警備行動で、ここからが海上自衛隊、ここからが防衛出動というのは、先ほど申し上げたようにシームレスとは言い難いですよね。だから、現在ある既存の法律では、1つずつ手続きが大変難しいんです。治安出動や防衛出動は、戦後、発動されたことがないんですね。これは言葉で簡単に言いますけれども、大変、時間も手続きも複雑なことをやらなければならない」
佐々木キャスター
「シームレスな対応するために、何が足りなくて、本当に必要なことはどんなことなのでしょうか?」
小原氏
「まさに今お話になったことなのですが、現在の対応は警察権でやっているわけですが、海上保安庁が行っている活動はあくまで警察権をもとにした活動。海上保安庁法でも軍隊としての活動はしないということを明確に、25条で謳っているわけですが、そうすると領土の防衛ではないですね。領域を警備しているわけではない、あくまで侵入してくる中国のコーストガードの船に対応している。このことによって結果として、尖閣諸島周辺の領海を守っているということとつながっているという非常に苦しい状況にあるわけです。これをシームレスに対応するためには、自衛隊が平時でも軍事力として行動できる必要があると思っています」
佐々木キャスター
「平時でも?」
小原氏
「はい。と言うのは、自衛権を行使すると、一般的にはすぐに機関銃を撃ったり、ミサイルを撃ったりというイメージを持ちがちですが、問題なのは警察権と自衛権で対応できる事象、相手が異なるということです。現在は警察権だと他国の公的な機関ですとか、軍隊にはこの警察権が及ばない。そうした時に、現在の日本の有事認定というのは、他国から継続的かつ組織的な侵攻が行われた場合ですから、この間のギャップが大き過ぎると。これまでの日本でグレーゾーンというのは、有事に当てはまらないからグレーゾーンなのであって、これまでの政府答弁によれば、このグレーゾーンというのは平時なわけです。ですから、このグレーゾーンというのは一色ではなくて、グラデーションがかかっているわけで、これにシームレスに対応する必要がある。このためには、海上保安庁側の活動と、自衛隊側の活動が相互に歩み寄って、オーバーラップする必要があるんだろうと。これがまさに現在議論されている部分だと思います」
反町キャスター
「平時でも自衛官を武力行使できるような状況。つまり、警察には警察を。海上警察には海上保安庁。軍が出てきた時だけ自衛隊なのか。その役割、肩書によるバランスというものを少し崩して考えないと、柔軟な対応ができないのではないかという話のようにも聞こえたのですが、そこの部分は、どのように感じていますか?」
小野寺防衛相
「お話していることは同じだと思います。たとえば、国際的に見て、対応で日本がいきなり軍を出してきたとか、そういう形でとられないようなことをすることが重要だと思っています。ですから、ここで議論をされていることは、同じ方向に向かっています。私どもとして、1つは、法整備の問題になりますし、もう1つは、昨年できました国家安全保障会議。これは私ども防衛当局もそうですが、必要に応じて警察関係や、あるいは海上保安庁の関係、何よりも外交が入ります。総理、内閣全体として、方向を決めるということですから、このグレーゾーンに対応する、まさしくその法整備もそうですし、具体的な実際のオペレーション、動く時には、むしろ日本版のNSC(国家安全保障会議)、これが非常に有機的に使えるのではないかと思います。ただ、本当にこれまで、こういうことを想定して、私どもは法整備の議論をあまりしてきませんでした。ですから、先ほど、森本先生がおっしゃったように、本当に治安出動というものが、あるいは武力に対しての対応というのをこれまで日本は経験したかというと、していないわけです。だから、いつ起きてもすぐに対応できるということを、常に私どもは想定をして、その中で、今回いろんな議論を国会の中でも、世論の中でもさせていただいているんですよ。今後、新しく法整備をする中で、これが明確になってくるということだと思います」

ミサイル防衛はどう変わる
佐々木キャスター
「防衛白書では近隣諸国のミサイル開発への懸念も不安定要因としてあげられているわけですけれども、現在北朝鮮の主な弾道ミサイルの射程で、特に、注目すべきはテポドン2で、日本はもちろんのこと、アメリカの西海岸をも射程に捉えているとされています。集団的自衛権の行使が容認されたことによって、こういう弾道ミサイルや巡航ミサイルに関してはどんな対応が可能になるのでしょうか?」
小原氏
「まずこの弾道ミサイルの対処についてはこれまでもイージス艦を使って、これに対処をするということが行われていますが、実際には弾道ミサイルの発射された直後の段階を探知する。あるいは継続してそれを追尾する。このために適切なポジションが必ずしも攻撃のために適切なポジションではないことがあるということですね。こうした場合には、こうした船をネットワークでつないで自分では探知をしていなくても他の探知情報を得て攻撃をすると。これをエンゲージオンリモートと言いまして、たとえば、ミサイルが発射されて、この発射情報を探知する。この探知した船が攻撃するに適しているポジションにいないとした場合には、こうした情報が別の船、イージス艦に自動的に供用される、リアルタイムで供用される。そうするとミサイルの使用に対して、自分では探知がなくとも、これを迎撃できる。この情報に他の船からの情報に基づいて迎撃をできると。これはアメリカが進めているネットワークセントリックオペレーションの一例で、現在開発を進めているところですが、また、ニフカ(NIFC‐CA)、ネイビーインテグレーテッドファイアリングコントロールカウンターエアというものですが、これもネットワークの中にある船、航空機…」
反町キャスター
「対象が巡航ミサイルなのですか?」
小原氏
「ええ、主として巡航ミサイルですが、これはこういったネットワークの中の船や航空機は、ネットワークの中の1つのデバイスに過ぎないという考え方で、その中の船なり航空機が探知した目標が瞬時に全てのネットワークの中のデバイスにシェアをされる。たとえば、巡航ミサイルというのは自分で飛行経路を変えながら飛ぶわけですけれども、これを1隻が探知をして、すぐにそれに対して攻撃を加えるということは難しい。いくつかの探知をつなげて、その飛行経路を正確に割り出したあとに、自分で探知をしていなくても低高度を飛行する巡航ミサイルを攻撃できる、そういったネットワークを使ったものになるわけです」
反町キャスター
「このシステムも1つの例ですが、こういうものを念頭に置いて我々も今後ミサイルに対する安全保障を考えていかなければいけないとなると、現場のたとえば、護衛艦、イージス艦の艦長とかが、これは個別とか、集団なんて考えている暇ないですよね。システムに入った以上は、その段階においてこういうふうに対応をするということを、事前に対応されたものに対して瞬時に対応していくしかない。個別とか、集団という議論自体が、たとえば、個別かどうかの話はミサイルのことに関しても、国会の中においても、与党間の協議においても、これは個別でできるではないかという議論が出たりしたわけではないですか。そういう議論というのは、誤解をおそれずに言うならば、こういう話を聞いてしまうと、個別か集団かという分けた議論自体意味がないような印象を受けるのですが、そこはどう感じますか?」
小野寺防衛相
「たとえば、つい先日ですが、原子力空母ジョージワシントンが訓練している最中に、私が着艦をして、具体的に中央指揮所で、どのような連接が行われているのかというのをしっかり見てきました。その時、明確にわかったのは既にそこまで、先ほど、小原さんが言ったところまではなくても、少なくても日米はしっかり連接ができています。ですから、同じものを見ているということです。あとどういう形で、たとえば、ミサイルに対し迎撃できるかというところ、一番良いポジションのところを選んでいくということになると、これは一緒になって動くことになります。また、先ほど巡航ミサイルのお話がありましたが、巡航ミサイルは避けて通るため、いろんな飛び方をしてきます。そうすると、飛んできた時、たとえば、私どもはここに5人いますが、それぞれ国が別々とします。誰に当たるかわからない。どう飛んでくるかわからない。どう動くかがわからなければ、私達はチームですから、その中で一番適当な人が落とさないと、自分にくるかもしれない。でも、ひょっとしたら隣に行くかもしれない。でも、これは予測できないわけです。その時に、これは個別的だ、集団的だなんて議論をしていること自体がナンセンスで、現場の対応から考えたら、既に最近の防衛システムを、これから進めていく中では、この議論ははやく決着をつけた方がいいと思います」

集団安全保障へのかかわり
佐々木キャスター
「先月の閣議決定で、侵略などをした国は国連決議に基づいて制裁をする際に、日本が他国と一緒に武力行使できるようにする、集団安全保障については明記されませんでした。機雷掃海のような事態になった場合に、日本は本来どう対応するべきなのかということと、今回明記されなかったわけですが、それがどのような影響を及ぼすのか。その2点について」
森本氏
「これは能力を持っている国がきちんと協力して、たとえば、国連の安保理決議が通っておれば、そのもとで共同の作業を行うということがひいては我が国の船団を守り、我が国の安定のために、非常に重要な貢献をするわけですから、それを我々はしないとか、そういう協力はできないとかという方がどうかしているので、当然、それはやるべきだし、その能力も期待されていると思います。ところで、閉会中審査の中で、非常にはっきりとしたことは、仮に国連憲章51条にいうような集団的自衛権なるものが、国際法ではなく、我が国の解釈として武力の行使ができるという要件を全て満たして、集団的自衛権を行使しているような事態があって、そのあと、国連安保理決議が通って、国際社会が協力活動をするという時に、我が国は、そこはできませんと言って、手を引いて帰ると言うかどうかとうことについては、武力行使の要件が全て満たしているということであれば…」
反町キャスター
「武力行使の要件とは『密接な関係にある他国に対する武力行使が発生し、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合』ですね?」
森本氏
「はい。もちろん、3つの要件を満たしている時に、集団的自衛権の行使から集団安全保障に切り替わったと仮にしても、この要件を満たしている限りは、我が国がかかる活動から手を引かなければならない理由はないということは、国会の議論を通じて明白になったところです。そういう意味では、非常に論理的で自然な判断が示されたのではないかなと思います。だから、繰り返しで言いますけれど、集団的自衛権の行使を行っている時に、国連安保理決議は通って、集団安全保障という選択が行われた時に、我が国はこの要件を満たしている限り、引き続きその活動をすることができると解釈される。そういうことなのではないでしょうか?」
反町キャスター
「そうすると、集団安全保障について明記しなかったことが、たとえば、機雷掃海において何らかの支障をきたすことになるかどうかという点については、先般の国会における総理答弁でその問題はクリアになったと?」
森本氏
「うん。総理もそうですけれども、法制局長官の答弁も非常にきちんとしたものだったので、私はそこには疑義がないと思います」
反町キャスター
「小野寺さんもそれでよろしいのですか?」
小野寺防衛相
「まずこの問題が複雑なのは、たとえば、普通にタンカーなどが走ってくる船、海の航路が機雷で一方的に塞がれるということは、私は一般生活から考えると、子供達が歩く通学路に地雷を敷設されたようなものですよ。これは危ないのだから、皆が通る道だから、これを外す、除去するというのは当たり前ではないですか。ところが、当たり前のことが国際的な考え方でいうと、ルールからいうと、これは武力の行使ということになる。機雷を、あるいは地雷を除けるのが武力の行使になるんだったら、日本が直接攻撃されていないと、これはできないんだ。こういうところから、どうも普通の感覚と、武力の行使と集団的自衛権の話というのは非常に違和感がある。ですから、常識的に考えたら、これは当然除けて、子供達が普通に歩けるようにするのが当たり前ではないですか。これをできるようにするために、どういう要件を考えるかといったところで、この新3要件ができて、これに当てはまれば、たとえば、日本が死活的に困るようなことが、仮にこの中にあればということで、対応することになるんです」
反町キャスター
「前提はその3要件の1つ、3要件を満たして、掃海活動を始めたとして、そのあと、国連決議が出て集団安全保障も国連決議に基づいた集団安全保障としての機雷掃海というステージにちょっとズレても、それでも続けるというのが、今回の総理の答弁だったと思っているのですが、その時、たとえば、国連決議に基づく集団安全保障の体制になった時には、今度はそこで戦闘が再開されて、危険度が増した時に日本が自国の都合だけで掃海活動は危険が増したのでやめますと引いてこられるのかどうか。そのへんは?」
小野寺防衛相
「相変わらずその事態というのが、『我が国に対しての、根底から覆される明白な危険』ということで整理されれば、私どもとしては集団安全保障になろうが、なるまいが、この3要件の中で対応します。ただ、現実問題としてご案内の通り、機雷の掃海というのは相当安定した状況ではないと、とても対応できませんので、そこはこの要件に満たされたとしても、私ども部隊を指揮する、あるいは命令する立場からした場合には、明確に、これは任務の遂行ができるという時に明らかにできるわけですから、しなければならないではなく、その事態で私どもができることを、対応をするということになります」

日米安保どう変わる
佐々木キャスター
「集団的自衛権の行使容認でアメリカとの関係にどんな変化があったのですか?」
小野寺防衛相
「先月アメリカに行きましてヘーゲル長官との6回目の会談を行いました。ここで明確に私どもとして、今回の政府の方針ということについて伝えてきました。あくまでも集団的自衛権についてはこれまでの限定的な形の考え方を、これから政府として法整備していくと、限定的な考え方でということでアメリカに伝えてきました。長官からはこれは歓迎する、強く支持するという話もいただきました。これによってアジアを含めた安全保障の中で特に抑止力が高まるだろうと。そういう評価もいただきました。いずれにしても私どもとして、これからいろんな装備も含め、対応も含めて考えていく中で、これは個別的、これは集団的といろんなことであまり区分けすることができないような、そういう状況が多くなってきますので、もちろん、安全保障をこれからも維持するために、平和を維持するためにこういう議論をしているということをご理解いただきたいと思います」

日本とアメリカの思惑は
佐々木キャスター
「ベンローズ米大統領副補佐官が『ホワイトハウスは、日本の集団的自衛権に関する発表を歓迎する。アメリカの安全保障上のパートナーとして日本がより大きな役割を担う場所をつくった』とコメントしていますが、どうして歓迎との意図を打ち出してきているのですか?」
森本氏
「2つ目的があって、1つは集団的自衛権の行使そのものをアメリカから見た場合、蓋然性が極めて高く、明日にでもこういうことがあるということではないと必ずしもないと思うんです。アメリカが真に期待しているのは、どちらかというと集団的自衛権の行使もさることながら、日本が他国の軍隊に必要な支援、この場合は後方支援が主ですけれど、そういうことを行える。つまり、アメリカのアジア太平洋政策に必要な協力ができると。その協力は集団的自衛権を行使するということよりむしろ非常に幅広い後方支援ができる。そういうことができる様になる日本のあり方、体制をアメリカは非常に助かると思っている。従来アメリカが日本に要望してきたのはこういう分野だったわけです。それが輸送であり、補給であり、これからは空中給油だったり、消火だったり、いろんな活動があると思うのですが、これを広範でできるという日本のあり方を、アメリカは歓迎するのは当然だと思うんです。予算もなかなか厳しいし、それから、もっと広い意味を持っていて、たぶんこの言葉の中には、これから日米豪州、3つの国の協力を一層緊密にすることによって、東南アジア諸国に日米豪の3か国で役割を果たし、お互い分担をしながらやっていこうと。インドについても日米印という3つの国のパートナーという緊密な関係を使って南西アジアに役割を果たしていく。そういう安全保障上のパートナーとして日本がこれまで以上に役割を担う、そういうインフラづくりと言いますか、ベースをつくったことは、これはもうアジア太平洋だけではなくてグローバルに日本がアメリカの安全保障上のパートナーとして、それぞれの役割分担をこれまでよりも一層大きな分野に貢献してくれる、そういう同盟国日本というものを、アメリカは歓迎する。これはアメリカとして当然のことだろうと思います。この言葉の持っている意味は深いと思います」
反町キャスター
「中国は、今回の日本が踏み込んだことをどう受け止めているのですか?」
小原氏
「中国ではよく報道されているのですが、日本の右傾化だ、軍国主義化だということを言いますけれども、日本が本当に何を求めているのかということまでは理解をしていないのではないかと」
反町キャスター
「北京の国家上層部が理解したうえでそういう報道をさせているのか、そのへんの分析はいかがですか?」
小原氏
「これは十分にわかっていないかもしれません。と言うのは、日本国内での議論が、そうした強硬な意見と、これに反対する意見も、ただ戦争するような国にはなるなというような反対の仕方だとどうも論点がズレている。日本が本当に求めているものは何かというのが、現在の日本の議論の中からは見えてこないということを中国は心配していると思います。そうすると、日本が上から下まで皆右傾化しているとか、軍国化しているということを言う人もいますが、そうではないんだということは、これは日本国内での議論も正しい焦点に絞って議論するべきだろう。集団安全保障なり、あるいはグレーゾーンの話にしても、これは戦争をする国になるというのではないということですから、日本が軍事力を行使するということは、すなわちすぐにミサイルを撃ったり、機関銃を撃ったりすることではない。先ほど、機雷の除去の話についてもそうですが、これは軍事力の行使ですが、日本が弾を撃つわけではない。ただ、こういった事象が日本にとって本当に安全を阻害するものなのかどうなのか。こういった判断基準をもとに日本がどうすべきなのか。これも冷戦時代と違って、国際情勢が複雑になった中で日本が1国だけで平和を守れるという状態ではないわけですから、そうした時に日本がどういう行動をとるかといったことを基準に、物事が判断できる様になる。これが一番大事だと思います」
反町キャスター
「メディアとか、国会における議論のピントがズレて、結局日中関係にプラスに働かない、そういう意味ですか?」
小原氏
「今後ようやく議論というものがされて、法的にどういうものが整備されるかということになるわけですから。これから国会で議論が始まるわけですね。これが日本人の議論ということになると。国会こそが国権の最高機関で、これは国民が直接選挙で選んだ国会議員ですから、ここに議論を託しているわけですので、今後の議論によって、日本が何を求めているのかということは国外にも明らかになっていくと思います」

沖縄知事選 基地問題は
反町キャスター
「沖縄知事選挙があります。滋賀で負けて、福島、沖縄と知事選挙3発全部自民党が負けたらということと、ここで辺野古の移設を言ってきた仲井眞さんがもし選挙で負けたなら、防衛相にとってショックだと思いますが、どう見ていますか?」
小野寺防衛相
「まずちょっとだけ滋賀のことを言いますと、滋賀は前の選挙の時には、大きな差で負けていたのが、今回ほとんど近差ですよ。ですから、言ってみれば、負けたのではなく、善戦したという、もともと滋賀はそういう土壌であります。それから、是非知っていただきたいのが、辺野古への移設という話になりました。これは普天間の危険性の除去です。市街地に取り囲まれた普天間基地を固定化してはいけないと。危険性を除去するために、現在キャンプシュワブという米軍の基地があって、ここは海に面していて、気温的にここから北部の、たとえば、訓練をする場所にも海の上から通っていける、一番安全な場所。米軍の基地の中にこれを移すということで、安全な場所に運用上移すというのがこの基本ですから。私はむしろもし反対されるのであれば、普天間の固定化。これを認められるということなのかと。政策的に普天間の固定化はあってはならないという今回の仲井眞知事の判断。埋め立て施設の承認は間違いないことだと思います。これが逆に言えば、沖縄県民の、普天間の危険性の除去、それがそのままつながる話になると思います」
反町キャスター
「仲井眞知事がここまで進めてきた辺野古移設の県内の手続きは、知事が変わっても撤回、反故にすることできないのではないかという意見もありますが」
小野寺防衛相
「これはそれぞれ法的な整理があるとは思いますが、基本的には県知事の承認というのは知事が変わったからといって、ただ同じような事案の中で、知事の考えが違うから1度出したものをやめますということはできません。私どもとして辺野古の問題に関していろいろな意見があるのかということは、多くの基地が沖縄に集中して、沖縄の皆さんに負担がかかっている。これが潜在的にある。政府として少しでも負担を軽減するために、オスプレイの本土での訓練をもっと進めたいとか、いろんな努力をしています」
反町キャスター
「オププレイの佐賀空港展開パターンについて」
小野寺防衛相
「まず前提としてオスプレイは、米軍の中でトップクラスの安全な航空機です。実は佐賀には、陸上自衛隊のヘリコプターの基地がありまして、これは周辺が市街化しています。ここは沖縄の普天間と同じように、住民の負担軽減のために、佐賀空港は海に囲まれて住宅がほとんどない。そういうところに移設することが重要だろうと。あわせて、小笠原の村からはオスプレイを入れてくれと、急患輸送のために。陳情があります。それをどこに展開するかというと陸上自衛隊が動かします。陸上自衛隊のヘリコプターの部隊がある佐賀をオスプレイで使わせていただけないかと。オスプレイのような機の基地を整備するわけですし、海兵隊の持っているオスプレイも同じようなもので整備ができる、給油ができるとすれば、本土に来て訓練移転をする場合、これを有効に活用していただけないか、これを前提にお話しています。その運用の中でここが有効となれば、初めは1日~2日来て、戻っていくのを、もう少し長い時間いてくれるかもしれない。そういうことを米側と協議しながら、米側も訓練移転については歓迎しています。沖縄負担軽減のために何ができるかということをこれから協議していくことだと思います」

小野寺五典 防衛大臣の提言:『自立と抑止』
小野寺防衛相
「これは自衛隊自体しっかり身構えるということ。これは自衛隊だけではなくて、米国や関係国、友好国としっかり連携を組んで、現在そういう状況でない国とも対話をして、透明性を高めて、抑止をするということ。これが結局何も起こさない、問題が起きない、東アジアが経済の成長の中心だということ。これをこれからも維持して日本もアメリカも、もしかしたら中国もその関係でしっかり経済的なプラスを得ていくということ。これが大事だと思っています」

森本敏 前防衛大臣の提言:『日米同盟と防衛力の緊密な連携を確保』
森本氏
「私は、小野寺大臣と言葉は違っているのですが、趣旨は同じで、日本の防衛力というのは、結局アメリカとの同盟関係をどのようにして維持強化していくかという手段として考えて、相互補完の役割を果たしていくような防衛力でないといけないと。自分で勝手に防衛力だけどんどん走っていく。そういうものであってはいけないと思いますし、これでは地域の安定には役立たないと思うので、基本的にはこういう感じになるということだと思います」

小原凡司 東京財団研究員・政策プロデューサーの提言:『平時の自衛権の議論を』
小原氏
「現在まさに日本は、日本の平和を守るためには国際社会の安定が必要である。脅威は世界中どこにでも存在する。各国と協力しなければ、この平和は維持できないんだということを認識したうえで、日本がどういう国になるべきかということを議論すべきだと。イメージで安全保障を語るのではなくて、現実を踏まえて理論的にこれを議論すべきだと思います」