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2014年8月6日(水)
石破幹事長の胸中は ▽ 中韓暗躍現場知る男

ゲスト

石破茂
自由民主党幹事長 衆議院議員(前半)
ケント・E・カルダー
ライシャワー東アジア研究センター所長(後半)
山内昌之
東京大学名誉教授(後半)


前編

朝日“慰安婦”検証記事 国会での検証の必要性
島田キャスター
「まず朝日新聞による慰安婦問題の特集記事についてですが、朝日新聞は昨日の朝刊で、過去の慰安婦報道の一部に虚偽があったことを認めて、記事を取り消すことを発表しました。今日の朝刊でも特集記事を掲載していますので、2日に渡って、特集を組んでいるわけですが、昨日石破幹事長がこの特集記事について、国会でも検証を行う必要性について言及し波紋を呼んでいます。国会でなぜ検証する必要があると考えているのですか?」
石破幹事長
「私は、責任者を呼んで、糾弾しようとか、そういうことを言っているわけではない。この記事で大勢の人達が、怒り、苦しみ、悲しんできたということがあるわけですよね。日韓の関係というのにも大きな影響を与えてきたし、これからの日韓関係にも大きな影響を与えようとしていた。それがここで間違いでしたという話になる。間違いでしたで済むのではなくて、どうしてこんな記事になり、その検証をどのようにしてきたか。この問題はいったい何であったのかということをきちんと国会で議論をする。責任者に出てこいという話ではなく、この問題は何であったのか。慰安婦の問題というものにきちんとした理解をまず日本国民としてするべきだと私は思っているんですね。そのきっかけになる大きな出来事だと思うんですよ」
反町キャスター
「日本政府としては河野談話を出していますし、河野談話を継承すると安倍総理も言われています。今回の朝日新聞の記事訂正によって、たとえば、日本政府のこれまで出してきた責任の問題とか、お詫びの気持ちというのは、これを取り消すことにはまったくならない?」
石破幹事長
「そんなことはない」
反町キャスター
「そんなことはないですよね。それはないけれども、そのうえに乗っていた、これまで事実関係が明らかになっていない中での、朝日新聞の報道などによって、その根拠としていたものの部分に関しての決着がつけばいい?」
石破幹事長
「決着は必要でしょう。そのうえでなお、日本の誠意として、あるいは二言はないという、日本のあり方として河野談話の検証は必要だ。一定のきっかけは出ている。だけども、河野談話というのは歴史文書ではなくて、一種の政治的な意思の表明なので、それを日本の誠意とか、そういうものにはいささかも変わるものではないと思いますね」

自民党支持率低下の原因
島田キャスター
「最近の自民党は支持率があまり良くないんです。当初はアベノミクスなどで高い支持率を維持していたのですが、政権発足から1年後、グンと下がりました。実はこの時、特定秘密保護法を成立させたんです。これで下がっています。そのあとで、ちょっと戻していたんですけれど、半年後に、今度またグンと下がっていく。これは集団的自衛権が閣議決定されたということです。大きな事柄を決定するたびにグンと下がるという、この支持率、原因は何だと幹事長は考えますか?」
石破幹事長
「それは大きな事柄を決定したからです」
島田キャスター
「でも、大きな事柄を決定させたいという、その政権の思いというか、それが伝わっていなかったのではないかと思うのですが」
石破幹事長
「支持率は高ければ高いほど越したことはないんですよ。支持率に一喜一憂しないと開き直るつもりはないんですよ。だから、やはり、35%よりも40%、40%よりも45%を目指していくべきなので。特定秘密保護法にしても、あるいは今回の集団的自衛権にしても、もっとわかりやすい説明はなかっただろうかという検証は常に必要です。どうすればわかってもらえるのだろうか。そのための時間がそんなに無尽蔵に、無限大にあるわけではないので、限られた期間にわかってもらおうとすればどれだけ説明の密度を上げ、中身を濃くするかといこと。あるいはわかりやす言い回し。そういうものの研究を徹底的にやらないとダメですよね。だから、昨日、全国幹事長、政調会長会議で、幹事長さん、政調会長さんだけではなくて、各都道府県連、各10名ずつ来ていただいたんです。大きな数で、自民党の8階ホールがいっぱいになりましたよ。前半は集団的自衛権について、私が説明し、質疑応答があった。それは議員だけわかっていればいいとか、総理と幹事長が説明をすればいいというものではなくて、地方の幹部の方々に、そうなのだと思っていただく努力もしなければいかんですよね。そういう方々がまたその先にいらっしゃる方々に説明する。そういう努力は考えられる限りやらなければダメで、それが集団的自衛権に限らず、時期の如何はともかくとして、消費税率の再変更、あるいは原子力発電所の再稼働、あるいはTPP交渉に伴うというかな、農政改革にしてもそうですよね。正しいことだと。だから、わからない方が悪いんだみたいなことを言ったら政権は成り立たないのであって、支持率に一喜一憂はしないけれど、どれだけの方が自民党を支持するよと言ってくださる数字というのはとても大事なことだと思っています」

沖縄県知事選の戦略
島田キャスター
「さて、ここで、今後の主な政治日程を一度確認します。まずは沖縄県知事選挙についてですが、現在、お三方が出馬に意欲を示しています。まず現職の県知事の仲井眞さんですけれども、辺野古移設に関しては承認という立場を取っています。現在の那覇市長の翁長さんは辺野古の移設には反対という立場です。また元郵政民営化担当大臣の下地さんも立候補の意向を示しているんですけれども、辺野古の移設については現在のところ明言をされていないということです。今日、仲井眞知事が安倍総理大臣と会談して、明日、出馬表明をすることを正式に報告しました」
反町キャスター
「名前が取り沙汰されている仲井眞、翁長、下地の3氏で言えば、辺野古の移設問題を見れば、自民党としては仲井眞さんを支持せざるを得ない、政策的には。と言うのが自然だと思うんですけれども、それはまずよろしいですよね。政策的に自民党が相容れぬものというのがあるとする。下地さんが辺野古移設賛成と踏み込んでくるのかどうか、踏み込んできたらまた候補者になるんですけれども、辺野古移設という点だけにおいて言えば、仲井眞さん、翁長さんかならば、自民党としては仲井眞さんを支持せざるを得ないという状況だという理解でよろしいですか?」
石破幹事長
「政策判断としてはそうですよ」
反町キャスター
「そうですよね。そのうえで、選挙をやる以上は勝たなくてはいけないわけです。でも、沖縄のことを考えると、基地移設賛成だと言った人と、反対だと言った人のガチンコの選挙になった時は、これはこれまでの沖縄の地方選挙を見ていると、反対と言った人の方が有利な戦いをするケースが多いわけではないですか。現在のタイミングで言うと、反対と言っている方がどうしてもそちらの方が運動しやすくなるという。ここの部分。自民党としては政策的には仲井眞氏だけど、辺野古一点で勝負をかけてこられた時には、翁長さんの支持率が高くて苦しいんだよな、ここをどうしようかという理解で見ているのですが、その見方は間違っていないということでよろしいですか?」
石破幹事長
「だから、政策のプレゼンテーションにもよるのであって、たとえば、最近、沖縄市、旧コザ市の市長選挙というのがありましたよね。革新系の市長さんが辞めると。その直系の後継者たる副市長さん。我々は沖縄市選出の自民党の県会議員さん。まさしく、反町さんの表現を借りれば、ガチンコになったわけですよ。その時に沖縄ですから、基地問題というのは争点になる。嘉手納基地を抱えているのは沖縄市でもありました。だけど、この市長選挙というのは、それだけが争点だろうか。沖縄市の雇用、あるいは所得、あるいは観光客の数。これをどうするんだということ、日々の暮らしに直結することですよね。その沖縄の問題というのは基地もある。だけれども、承認というのは、行政的に全く瑕疵のないものですね。本当に反対とおっしゃるけれども、それをどうやって具現化するのかというのは、まだ翁長市長というのは出馬表明をしていらっしゃらないので、きっとその承認についても言及なさるのだろうと思いますけれども、行政的に瑕疵のないものであるということであるとすれば、その他の問題をどうするんだと。沖縄の人々の暮らし、まだ、県民所得は全国で最も低いレベルですよ。那覇空港というものの滑走路を早く完成させることによって、まさしく沖縄がこの地域のアジアへの拠点足り得る。観光客、現在夏休みですが、切符をとるのも大変、飛行機も満杯状態。滑走路ももう一本つくらなければと。あるいは行かれるとわかるけれども、那覇市内の交通渋滞は全国最悪なのね。これをどうするんだとか、そういういろんな沖縄のビジョンというものを提示していくということも大事ではないのかと。基地問題なんてどうでもいいなんて、私達は言いません。だから、現在政権として全力で本土に移設というのをやっているではないですか。これまでそんなに真剣にやったことはない。だけど、集団的自衛権というのは、アメリカは日本の防衛を義務として負う。日本はアメリカに基地を提供する義務を負う。その8割近くは沖縄が引き受けているんです。日本が負うべき義務の8割近くは沖縄で引き受けているという現実は本当に良いのかということで、安倍政権としては、それは本土でできることは本土で受けようというのを真剣にやっているわけですね。仲井眞さんが言っていることというのは、着実に実現しつつあるわけですよ。だから、基地の負担軽減というのはこれから先も行うと。だけど、同時に県民所得を引き上げ、日本を引っ張る経済の原動力として沖縄を発展させということがやっぱり争点ではないのですか。だから、知事もきっと出られる時は、そういう政策を提示されるのでしょう」
反町キャスター
「パッケージでね」
石破幹事長
「うん。翁長市長も、きっとそういう政策を提示し、反対とおっしゃるのであれば、どうするのかということもきっと提示されるんでしょう。沖縄県民がそれをどうご判断になるのか」

福島県知事選の戦略
島田キャスター
「もう1つ、秋の注目の選挙ですけれども、それが福島の県知事選挙。10月ですね。こちらについては一昨日、河村選挙対策委員長が、菅官房長官との会談後、こういった発言をされました。『福島は、特別な地域だから、党派を超えて一緒にやる必要がある。菅官房長官も同じような思い』だと。ちなみに、現職の佐藤知事は立候補するかの態度を明らかに現在はしていないんですけれども、前回の2010年の知事選では、自民党が当時与党だった民主党などと与野党相乗りで、現職の佐藤知事を支援したという経緯があるのですが、石破幹事長も河村さんと同じように、相乗りというのが選択肢に、私案に入っているのでしょうか?」
石破幹事長
「その前後の発言を見ないと、よくわからないんだけれども、現在でも福島は原発のいろいろな問題に苦しんでいるわけですよ。もちろん、岩手も、宮城も、その他の被災県も非常に苦しいんだけれども、福島の場合は現在進行形でもある原発被害というものに苦しんでいる。そうするとそこに党派はないはずということなのではないでしょうか。相乗って勝てればいいという話ではなくて、このことを政争の具というか、このことについてどうなんだというテーマではなかろうということではないのでしょうか、河村さんが言っているのは」
反町キャスター
「要するに、政争の具としないようなことを現在、石破さんも言われたし、河村さんも言われているのだけれども、自民党の福島県連は岩城さんですよ、会長が。同時候補を立てるというようにまだ言っていますよね。これはどう理解したらいいですか」
石破幹事長
「そこは福島の事情は、福島の事情がありましょうよと。これまでの経緯もあるでしょうよと。ただ、原子力発電所の問題、原発エネルギー政策ということと、そのことはまた次元の違うお話なのかもしれない。それから、昨日も河村さんと福島県連の方々は随分お話し合いになったのではないのでしょうか。そのうち、自民党はとか、佐藤さんがどうとかという話ではなくて、何をするのが福島県民にとって一番良いことなのだろうかという見地に立って、やっていくべきことでしょう」
反町キャスター
「それは、最終的には、たぶん、佐藤さんではなく、別な候補を立てるというのは、佐藤県政に対する福島選出国会議員団も、様々なやり取りというか、思いの食い違いがあったんだろうと。そこは乗り越えるべきだという気持ちで、今後事態を見守っていくという理解でよろしいですか?」
石破幹事長
「福島県民のこれからのために必要であれば、乗り越えなければいけません」

内閣改造・党人事
島田キャスター
「安倍総理大臣は、9月第1週に、内閣改造と自民党の役員人事を行って、新たな体制づくりを目指すと明言されていますが、現在、最大の焦点となっているのが、幹事長人事。石破幹事長は安倍総理から新設される安全保障法制担当大臣を打診されたという報道があるのですが、受けるか受けないかという決心は固められたのでしょうか?」
石破幹事長
「いきなりきますか。総理と話したことは、ペラペラ外で話すことではありません。以上」
島田キャスター
「ただ、何となく心持ちはどういう感じですか。重たい感じでしょうか?それとも割とさばさばしている感じでしょうか?」
石破幹事長
「だから、我が党、衆参両院議員、我が党の党員が、それぞれが国家のために何ができるかということをよく考えるのでしょうね。幹事長のみならず全ての人がね。だから、俺が、俺がとか、そういうのはあまりあって然るべきことではないんでしょうね。人事権者は総理なわけで、結構はやくから人事の報道は出ましたわね。春ぐらいから出ているではないですか。そうすると、心ここにあらずみたいな感じになっちゃってですね。でも、現在あんたがやる仕事はそうじゃねえだろうと。現在、自分がやる仕事は他にあるだろうと。それを人事に心を煩わされ、現在の仕事が疎かになるということが一番いかんのではないですか」
島田キャスター
「そのような中で森元総理大臣がインタビューで『石破幹事長は、安全保障法制の担当大臣でもいいのだけれど、幹事長の方が、より政権は安定するのではないか』と、留任をあと押しするような発言ですけれども、と言うことは、ちょっとしつこいようですが、石破幹事長も続けて政権をいかに安定させるか。自民党をいかに存続させるか。存続と言いますか、勝っていけるような党にするということは、幹事長を続けられた方がいいのではないか、自身でも思われませんか?」
石破幹事長
「自分の利害なんていうのは考えてはいけません。だから、森先生も、政権の安定というのを一番に考えていらっしゃるわけですね。政権の安定は自己目的ではない。政権を安定させて何をやるんだということ。その先にあるわけです。森先生は石破がどうとか、何とかということよりも、政権の安定のためには何がいいのだろうかということを考えて、そうご発言になっておられるわけです。それも自分が苦しいとか、疲れたとか、しんどいとか、楽しいとか、醍醐味だとか、そんなもの一切捨象して考えていかなければいかんことではないんですかね」
島田キャスター
「先ほどの森さんのインタビューで、こんなことも言っているのですが、現在の自民党の安倍総理、石破幹事長のコンビは、自民党の総意だったのではないのですかと。これが崩れるということに関してはいかかでしょうか。もし崩れた場合。つまり、総意だったのではないのかと言っていますが」
石破幹事長
「そこは、総裁選で、地方では私が票をいただき、安倍さんが国会議員の票をおとりになった。それをトータルすればという意味で、森先生はおっしゃっているのではないでしょうか。そのあと、我々は与党になり、多くの新人議員さんが当選し、また戻ってきた人達も多くいて、またあの時とは状況が違うわけですよね。森先生は現在の状況もよく見られたうえで、そういうふうにお話になっている。それが党の総意だとするならば、それを活かすべきなのだろうけれど、それは自分のことに関係しているので、私も、そうだとも、そうではないとも、それは言うべき立場にないです。自分で言っちゃいかんですよ」

石破茂 自由民主党幹事長の提言:『果断な決断と誠意ある説明』
石破幹事長
「何だかゴロとしておかしいですけれども、要は、この政権は大きな使命を負っていると思うんですよ。税制にしても、景気にしても、あるいはエネルギーにしても、社会保障の改革にしても、安全保障にしても。それは果断な決断をしなければいけない。これまで何も決まらない政治と言われていたのが決断をすると。強引な政治とこう言われちゃうんでね。このへんがつらいのだけど、それを埋めるのが丁寧な説明でしょう。何でこうなるのということを、わからない方が悪いということではなく、どうしたらわかってもらえるのかという説明を、時間がないとすれば、密度を上げよう、説明の仕方をもっと上手にやれということでしょう。時間があるのだったら、時間をかけるべきでしょうと。だから、丁寧な説明ということに、より重きを置かないと、果断な決断ということができなくなっちゃう」


後編

米知日派からの警告 日中韓の対米戦略
島田キャスター
「日本の主張していることと比べると、アメリカ国内での韓国側の主張がより深く浸透しているようにも見えるのですが、これについてはどうしてだと思いますか?」
カルダー氏
「1つは確かにグラスルーツで(草の根的に)韓国人が多い、ご承知のように200万人以上いる。特に過去の15年ぐらいでかなり伸びて、それは日系米人の倍ぐらいです。それと政治的に大事な州。たとえば、バージニア州とか、ニュージャージー州とか、韓国系米人は多い。それと組織力がある。そのようなことも大事な気がします。精力的に政治活動しています」
反町キャスター
「逆に言うと、アメリカの日本人は数も少ないし、団結もしていないし、政治的な活動も比較的おとなしめであるという理解でよろしいですか?」
カルダー氏
「完全に政治活動をしていないわけではないと思います。一人、上院議員でメイジー・ヒロノさんがハワイ出身、実は日本の福島生まれです。ですから、特にハワイ州ではご承知のように日系人が多いです。ハワイは例外ですが、それ以外のところで韓国系米人の方が圧倒的に多いと思います」

ワシントンにおける韓国 対米戦略としてのロビー活動
島田キャスター
「ロビー活動、お金が関係してきますか?」
カルダー氏
「これはロビー活動だけではないと思います。当然影響はしています。全面的に韓国のワシントンのイメージアップ、そういう政治力はロビー活動と関係しています。しかし、強調していることは、どんどん昔のような、たとえば、Kストリート(ロビーグループの密集地域)のロビーグループにお金を払って動く時代からちょっと流動的な時代、メディアが大事、あるいはグラスルーツの活動、それがもっと大事になっていますね。ですから、お金ということであれば、援助活動も大事だという気がします」
反町キャスター
「韓国のロビー活動の目的は反日活動がテーマになっていると思いますか?」
カルダー氏
「2つの要因があると思います。本来、彼らは信じています、これは人権問題だと。それは一部。それと同時に、これを主張すれば日本の影響力が落ちてしまう。それもないわけではないと思います」
島田キャスター
「日本の活動に占める費用が減っていることをどう見ていますか?」
カルダー氏
「これは非常に残念だと思います。このような問題だけではなくて他の問題。たとえば、安全保障について尖閣諸島の重要性がなぜあるのか。オバマ大統領はもちろん、そういう発言を東京でしまして、一般的に評価されていると思いますが、議会の中、あるいは草の根でどこまでの政治があるのか。どういう形でアメリカは日本を応援するのか。ワシントンの中での活動は必要だと思います。その観点、その意味で、拉致問題の理解、基地問題、尖閣問題、あるいは金融問題、たとえば、円安はなぜなのか。日本はわざわざ円を安くしているのか。あるいは日本の国内事情の理解も大変大事だと思いますね。日本の対米投資がどこまで意味があるのか。どう役に立つのか。そのような理解をもっと許可するべきだと思います」
島田キャスター
「韓国のアメリカにおける活動についてどう見ていますか?」
山内教授
「アメリカ社会における日本人の移民の歴史、それから、韓国系アメリカ人の歴史の違い。現在の韓国人は、日本人が19世紀の終わりぐらいから移住したのと違って、つい最近ですよね。それから、日本の場合には実際に人口の過剰と国内における農業村の貧しさ。そういうこともあって西日本を中心に移住していったわけです。彼らはアメリカ人になろうという意識と日本人であるということのアイデンティティと、この狭間で悩むんです。現在の韓国人はどちらかと言うと、韓国においても恵まれた家庭の人、あるいは学歴や教育上昇のために、子供のため、あるいは一緒に自分もまた出かけて行って仕事をする。ビジネスチャンスとか、移住を1つのチャンスとして捉える人達も多い。従って、彼らにとってはアメリカ人になるということの意味と、韓国人であることの意味との間に深刻な葛藤が本当にあるのかどうか。他の人達と比べて韓国系アメリカ人と、他の何何系アメリカ人の違いは、アメリカ人というのは、もちろん『多』からなる『一』。多くのものからなる1つです。その場合、合衆国の憲法と英語、端的に言えば、それは国家や星条旗、こういうものに対する忠誠心や結集する場所で皆がアメリカ人であることを選ぶわけです。ところが、そういう転換をすると、アメリカ社会の中において共存ということを模索していった文化多元主義。こういうことが必要とされている社会だし、国是としているのですが、その中にある種、歴史認識ということで違いを持ち込むというのは、韓国人において特に顕著に、他に見られないケースですよね。それが大変興味深い点です」

ワシントンにおける中国 草の根指向の対米戦略
島田キャスター
「草の根指向とはどういうことを言うのでしょうか?」
カルダー氏
「中国大使館は大使館の中に特別な部があります。要するに、中国系米人との交流とか、大使館で、たとえば、中国の正月の宴会とか、その時によく紹介したりとか。中国系アメリカ人に対する働きかけ。領事館のそういう活動」
反町キャスター
「中国系のアメリカ人に対する働きかけですよね?」
カルダー氏
「はい、特別に。それと領事館の活動。最近、過去2年、3年の日本は、そのようなことを始めた」
反町キャスター
「これまでやってこなかった?」
カルダー氏
「あまりなかったような気がしますよ、伝統的に…と言うことは複雑な歴史もあったし、最近大使館と日系人の間の関係が良くなっている。大使館も努力しているし、それは新しい現象。韓国や中国の場合、それは昔からある。組織としては、中国大使館には特別に、中国系米人を開拓する特別な部がある。もう1つの大きな要因は、台湾と人民共和国。中国はその意味で分かれて意見が違う。ですから、特に大陸、人民共和国は積極的に育成しています。台湾の脅威というか、台湾との競争もありますから」

カルダー氏からの提言:『日本外交がすべきこと』
島田キャスター
「カルダーさんの提言では『本国からのワシントン訪問者の世話に力を注ぐのではなく、ワシントンでの環境づくりを優先する』ということですが」
カルダー氏
「これは自然のことだと思いますが、付きあいとか、日本的な根回しが必要ですので、ワシントンからあとで大使館の経験があって、また東京であがってくる。そういう人事のダイナミックとか、いろいろあります。ですから、当然のことだとは思いますが、大使館の関係者達がかなり日本を意識している」
島田キャスター
「日本の方を見て仕事をしているということですか?」
カルター氏
「それもあって、あとは正直に最近予算が下がったとか、政府の中の予算でもちょっと足りなかった、そうすると人事が少ない。日本も見なければいけない。日本の本国を改革しなくちゃ…たとえば、米議会を開拓する余裕。ですから、選択として、1つは大使館の予算を安定させる。あと大使館の役割ももちろんあって、それと半官半民、正直に特に韓国、中国を研究しました、本の中で。半官半民の組織が大事。韓国の場合、ワシントンにKEI(韓国経済研究所)を韓国政府が作っていますけれども、その所長がアメリカ人、それとインターンもよく使う、正式に政府のものではない。そうすると、韓国の批判が出てくれば別に本国と折衝したり(せず)すぐ返事できます。そういう準備はなしで。ですから、半官半民の組織であれば早くできる」
反町キャスター
「日本は、現在はなくなってしまったのですか?」
カルダー氏
「残念ながら、外務省系のジャパンエコノミックインスティテュート(日米経済協会)は2001年になくなった。経団連の経済広報センターの事務所は2009年になくなりました。またそのような半官半民組織を復活させる。これは1つの重点。大使館の予算、たとえば、議会活動は、中国大使館は日本大使館の倍以上。たとえば、議会担当とか、それももっと評価すればいいような気がします」
反町キャスター
「日本は少し油断していますか?」
カルダー氏
「国防総省とか、国務省とか、そのあたりの親日家はしっかりしていると思いますよ。しかし、現在の問題は、知らない人をどうするのか」
島田キャスター
「カルダーさんより若干耳の痛い提言をいただきましたけれども、山内さんはどう見ていますか?」
山内教授
「全くその通りだと思います。もちろん、外交官も人間ですから本省での昇進、出世、あるいは退官後どういうところへ就職するか、いろんな要素が入ってきますよね。基本的に言えば、そういう人間としての要素も無視できない。しかし、本質的に言うと、大使館の機能というのは、戦前の我々が考えているような大使館と大使というもの(ではなかった)。特命全権大使という通信システムも十分ではなかった。ですから、本当に特命で全権を与えられて自由に手腕を振るうことができた時代と違って、多かれ少なかれ他の国も本国政府の意向というものを無視して動くことはできない。そうすると、本国政府の意向というのは、時として副大臣や政務官が来たりする。特命全権大使が多く発言すべき場所にも実は政治主導という名のもとに政治家の人が関与してくる。国連の安保政治理事会でも、本当は大使が発言するようなところに、出張してきて、政務官や副大臣をするということがあるのですが、そうすると、外交官、大使館、代表部というのはいったい何をする場所なのかということについて、本国の方で、政治家、政府、与党の人達も理解していかないと、カルダーさんのおっしゃっていることが外交官だけの責任になりかねない。そうではないので、もっと政治家の方々にも、あるいは国民の側にも外交官を育てていく、彼らに大きい活動をしてもらうという理解をしないといけないんだけれど、どうもそれは国内における官僚バッシングと絡んで理解が行き届かないという面もありますよね」
カルダー氏
「その通り。本当に官僚バッシング…官僚のせいだけではないですよ。たとえば、国会答弁で日本の議員は海外に行けない。皆さんは連休、フランスの長官は議員50人と一緒に連休の時に写真を撮って、これは良かったと思いますけれど…もうちょっと(中身のあることを)。それと連休だけではなくて、毎月の交流があると助かります」