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2014年8月5日(火)
櫻井よしこが斬る中国 権力闘争と海洋覇権

ゲスト

櫻井よしこ
ジャーナリスト 国家基本問題研究所理事
中西輝政
京都大学名誉教授

櫻井氏&中西氏に問う 中国…権力闘争の現状
島田キャスター
「先月29日、中国共産党が立件、調査を公表しました、周永康前政治局常務委員ですが、常務委員時代は、序列が9位の大物ですね。公安、司法部門のトップを務めて、石油閥の中心的な人物でした。江沢民派ですね。今回、重大な規律違反の疑いで調査されているわけですが、石油利権の売買で不正な利益を得たと言われています。当局は、周氏本人や親族から900億元、およそ1兆5000億円もの資産を押収したと伝えられているのですが、これは非常に異例なことだと。トップ中のトップに手をつけるということは。今回なぜ習政権は調査に踏み切ったと考えますか」
中西教授
「習近平主席自らが自己の権力基盤を確立するために前に立ちはだかっている、江沢民派の、国民誰が見てもこの人は腐敗しているなというところの大物から引っ張っているわけですね、共産党のトップを。政治局常務委員という人達は、普通はこういう容疑で摘発されることがないというのが中国共産党の不文律だったんです。これを破りましたから、パンドラの箱を開けたわけです。次に何が起こるかですね。このまま、もし本当に真面目に、腐敗取り締まりをやっていけばですよ、中国は文化大革命の時と同じような大混乱に陥りますよ。そんなことは起こらない。つまり、これは権力闘争だということが、はっきりわかってくると思いますから」
反町キャスター
「江沢民一派を全部追い出したら、そこで終わりなる?それとも次が」
中西教授
「次があるでしょうね。次が本命でしょうね。本命と言いますと、非常に簡単に、簡略化して申し上げますけれどもね、一応3つぐらいの派閥が中国の指導部にはあると言われていますね。江沢民派と、前主席だった胡錦濤主席、あるいは温家宝首相、いわゆる共産主義青年団。共青団ですね。この派閥から出てきた人達が、1つあるわけですね、グループとして。現在このグループで、首相を務めている李克強さんという人がいますね。この人はこの派閥の人です。胡錦濤派です。習近平さんは太子党とか、いろいろいますが、私は既に習近平派という派閥ができつつあると思いますね。指導部の中でもこれまで別の派閥に属していたのに、習近平のもとに雪崩を打って、常務委員クラスまで動いていると思いますね。ですから、これも1930年代のソ連共産党であったことに似ているのですが、いずれにしても江沢民派がある程度掃除されたあと、今度は胡錦濤派と習近平派という3つどもえ構造になりますから、三国志のように一派が弱くなるとその派がどちらかにまたついて、今度はまた大きな派閥同士の戦い。こうなる可能性もありますが、1つ気になるのは経済政策ですね。中国の経済というのはこれまでも世界銀行のいろんなレポートが何度も言及していますけれども、国有企業改革。国有企業がこういう石油閥とか、こういう形で経済利権をため込んで、しかも、そこに鉄板の規制と言いますか、中国経済の市場化がこれ以上進むのが不可能なほど、隅々まで利権化されてしまった。この中国の経済構造を改革するためには江沢民派という一番の国有企業に巣食った利権派を掃除しなければいけない。こういう大義がある。ですから、今度これを掃除したあと経済政策上の争いとして、おそらく胡錦濤派と習近平一派との何か大きな人事的な軋轢が起こる可能性はある」
反町キャスター
「よく言われる、胡錦濤派、太子党、共青団という、この3つの三国志のような状況が、どこかで1つの結末を迎えたとして、権力の集中が中国の中でなされた時、そのあと、権力集中がなされた中国がどこへ向いて動いていくのか?」
中西教授
「現在の腐敗の取り締まりの大きなキャンペーンが成功しますと、習近平氏の権力というのは独裁権力になりますね。大変な独裁者になって、鄧小平以来の大きな権力を持った指導者になりますよね。そうなった時に考えられる中国というのは、私は2つのシナリオがあり得ると思います。1つは、共産主義独裁というものの必然性を考えると今度はいろんな意味で柔軟な政策に向かうんですよね。共産主義独裁のひとつのロジックですね。たとえば、毛沢東の独裁権が確立した1970年代の初め頃、これは文化大革命で完全勝利したわけですね。そのあとにニクソンを迎えることができた。日本との国交正常化。非常に対外的に柔軟な政策ですね」
島田キャスター
「そうすると、今回、敵をなくして独裁が確立したなら、外に向かって柔軟な政策を取る可能性があると」
中西教授
「可能性はあると思います」
島田キャスター
「外というのは、つまり、日本も入っている?」
中西教授
「日本は入らないと思います。その場合はアメリカとか。それはどういうことかというと、そこにもう1つ共産主義独裁のロジックと同時に中華帝国のロジックというのがあるんですね。独裁権を確立した指導者が出てくると、アジアを支配しようという、そういう衝動に動かされるんですね」
反町キャスター
「櫻井さんはいかがですか?」
櫻井氏
「私はもうちょっと身近なところから見ていきたいと思いますけれども、7月の末から8月15日までに北戴河の会議がありますね。これは中国共産党の幹部が全員集まって、これまでの実績を評価し、これからの方針を決めるという最重要の会議があります。そこでちょうど近衛軍と言われる、中国の空軍がその周辺で大規模な演習をすることになっているんですね。これはソビエトと対立していて、ソビエトの侵攻を予想した時に中華人民共和国が行った演習よりももっと大規模だと言われているんです。つまり、習近平主席の自分の力というものが、私の後ろにこの軍事力があるんだということを示しながら、そこで治めたいと考えている。その時に、興味深いのは打ち出されるであろうという方針が、依法国家というんですよ。依法国家というのは、法律に違反するのではなく、法律に依存する。法に依って治める国。これはいくつかのニュアンスがあると思いますね。1つは大虎だからといって、悪いことをしたら退治しますよということですね。それと同時に、国際社会に向けては、我々は法治国家であるということを言う1つの看板になりますよね。習近平国家主席がそれを目指してそのようなものを打ち出したら、これは偉大なる中華民族の復興とか、それから、アメリカに並ぶ、もしくはアメリカを凌駕する大国として、軍事力はある。経済力もつけていく。我々は価値の面でこのような世界に通用する、言葉だけを見るとですよ、ものを打ち出したというようなことになるかもしれないです。ただ、2つ言えることは、現在習近平主席が何を考えているか、およそ誰も理解していない。中国人でさえもわからない。ですから、私達は皆推測するわけで、中西先生みたいに、歴史を踏まえて推測するというのは非常に参考になるのですが、それが1つです。それから、もう1つは、法律によって国家運営をしていくということは、これは中国にはできないことです。習近平主席の体制の下で、中国共産党の独裁体制の下では金輪際不可能です。なぜならば、それをやった途端に、彼らが潰れてしまいますからね。ですから、それは中国の見果てぬ夢だと思っているんですけれども、それを目指して、習近平主席は力任せに、国内の弾圧というのは凄まじいものがありますね。中国社会科学院、国家のシンクタンクにさえも、自由な論争を許さないと。外国の情報に侵食され過ぎている。だから、共産党の党是の枠の中に留まれという指示が出たくらいですから。研究さえも自由なものを許さないというようなことでやっていれば、私は、権力闘争に勝ち残っていった暁に待っているものは、大変な混乱ではないかと思いますね。その反動として、日本などに厳しい政策が出てくると思いますよ。ですから、日中関係という意味で考えると、私達はこれからもっと厳しくなると覚悟しておいた方がいいと思います」

中国で何が起きているのか
島田キャスター
「中国の治安事情についてです。ここ最近中国では少数民族による衝突や事件が相次いでいるわけですが、ウイグル族が関与したとされる主なものだけでも昨年10月に北京・天安門前に車が突入、炎上しまして日本人1人を含む45人が死傷しました。今年に入って、3月に中国・雲南省の昆明駅の構内で、武装集団8人が駅利用者を襲って、29人が死亡、143人が負傷したと報道されました。7月28日ですが、新彊ウイグル自治区で武装グループが警察施設を襲撃し、新華社通信によりますと、警察当局が武装グループ59人を射殺、215人を拘束したということです。また漢族35人を含む、住民37人が死亡したと伝えられましたけれど、本当に頻発しているという印象ですが、こういったことは収まることはないというような印象でしょうか?」
櫻井氏
「これは収まらないだろうと思いますね。そして、私達は中国の国内のウイグルの人達のことだけ見ていますけれども、これはイスラム教の方々ですよね。現在、世界でイスラム教の社会というのはいろんな原因があるんですけれど、大変な混乱の中にあって、激しい闘争があるわけですね。一部の人達が過激派になったりしているわけですけれども、世界中がこのウイグルの人達に対する弾圧を怒っているわけですね。だって、これは民族虐殺ですから。いつか国境を越えて、他の世界とのつながりが出てくる。世界のイスラム教圏の敵に中国政府がなってしまうということも、私は可能性としてあると思うんです。中国政府はそれを遮断するために情報を一切出さないとか、ジャーナリストもその地域に入れない。鉄壁の壁をつくって、そこだけで終わらせようとしていますけれども、私達の、現在の21世紀の世界というのは、情報はそれでは遮断できません。中国にとっては危険な火種を抱えていると思いますね」
中西教授
「こんなことをすると、これは、櫻井さんおっしゃった通り、国際的に、中国は成り立たないような、そういうイスラム世界でも中国は本当に嫌われ者になってしまう。それだけではなくて、おそらく分離独立運動が他の地域に誘発すると思います。チベットも。おそらく台湾も、こんな中国と中台統一なんて考えるのをよそうと。そういう発想を生み出すということは、火を見るより明らかで、ある意味、自滅的政策ですよね。決して理性的ではない」
櫻井氏
「習近平さんという人は、その文革(文化大革命)で下放されて、本当に穴蔵と言いますか、そういったところでずっと何年も暮らしたくらいに、非常にひどい目に、彼自身遭っているわけですね。周りの人間を全部、蹴落とすことによって自分が生き残った人ですよ。だから、絶対、誰も信用しないと思うんですね。絶対に他者は、究極的に自分の敵になるという考えをどこかで持っていると思われますね。そのような人が中国の夢、それから、偉大なる中華民族の復興。中国共産党一党独裁体制の維持のために、邁進しているわけで。このウイグルのことについても徹底的にテロリストを取り締まるという感じで宣言をしました。テロリストでも何でもない人達をテロリストに結びつけて、弾圧して殺してしまうということで、私の知っている本当の穏やかな民主化を唱える人達とか、本の著者として知っている人達は拘束されていますね。本当に常識的な人達で中国共産党の枠の中で社会を良くしてきたと、社会を革命的に変えてしまおうなんて考え方ではなくて、この枠を維持しながら変えていきたいという考えの人まで拘束されていますね。これは常軌を逸しているわけで、そこに習近平主席の、ある意味、保身的な価値観みたいなもの。ですから、ちらっと言いましたが、中国人でさえも主席が何を考えているかはよくわからない。現在一番わからないのは習近平主席の頭の中だと。中国を知る人ほど言いますよね。そういうことなのではないかと思いますね」
島田キャスター
「一方で、香港で先月1日、中国政府が行政長官の選挙の件で、政府の意向に沿った候補以外の出馬を認めないという方針を繰り返し表明していることに、市民が反発して、大規模なデモが発生しました。参加者が51万人で、主催者発表ですが。そのあと、511人が拘束され、5人が逮捕されるという結果になったんですけれど、香港は特別行政区であって、ある程度自由が保障されていますよね。イギリスの統治を経て、自由な精神を皆さん持っているのに、そこでこのような締めつけをすれば必ず反発が起こるのは必死なのに、なぜ中国政府はこういったことをするのですか?」
中西教授
「同じようにまったく理性的に考えると、説明がつかないんですね。おそらく、中国共産党の立場に立っても、非常にまずいやり方をしているから、香港市民の反発が高まってきたと。これは非常に危ない水域まできていますので、私はウイグル問題よりも、実は香港の方が火がつけば、中国共産党の命取りになる可能性はずっと高いと思います。と言うのは、民主化運動が本土に飛び火する可能性があるからですね。なぜかと言うと、香港返還の時に一国二制度という約束と言いますか、1984 年に英中の香港返還協定が合意されているんです。その時、始めイギリスはなかなか返還に応じようとしませんでした。香港の香港島の方はイギリスの領土ですから別に還す必要はないんです、本来。ところが、結局、鄧小平がイギリスを説得して合意に至ったのは、一国二制度、50年間、自由な制度を保障しますと鄧小平が約束をした。有名な一国二制度という言葉で定着し、台湾の人にも盛んにアピールしてきたわけですよ。ところが、返還して何年ですか。1997年ですから、まだ17年しか経っていない。その段階で、今年、習近平政権が一国二制度白書というのを出したんです。一国二制度についての中国共産党の公式の立場を訴えたわけです。その中に書いてあるのは、要するに、一国二制度というのは、中央政府が地方に与えた管理権の一種に過ぎない。つまり、裁量によって減らしたり、なくしたりすることができるものだと言ったわけです。これは本音を言っちゃったわけですね。鄧小平は50年間、そんなことは言いませんと言って約束をしたわけですよ。それを全部、手の内を晒してしまったと。習近平さんという人はよほど正直な人ですね。だけど、これがもたらすマイナスの影響というのは、途端に51万人のデモに結びついているわけです」
櫻井氏
「これは、台湾にも響きますね」
中西教授
「台湾に響きます。ですから、中台統一の大きな、馬英九政権の下の台湾は、中台統一にどちらかというと前のめり気味で進んでいたわけですよね。ですから、先般の、サービス貿易協定というのが結ばれ、いよいよ経済的に中国と台湾が一体化していくのではないかと思われた瞬間に、今回、洛西の立法院の選挙というものがありました。香港と台湾が同じ時期に大陸から離反していると。ウイグルの問題も全部通じて考えると、中国共産党の未曾有と言いますか、中華人民共和国の危機と言ってもいいのではないですかね」

中韓接近の真相
島田キャスター
「中韓の接近をどう見ていますか?」
櫻井氏
「朴槿恵さんの方には自主独立の主権国家としての姿勢がないです。まるで中国の影響下に入っているのがとても幸せであるかのようなメンタリティというものを、お顔から私は感じとってしまったのですが、完全に中国ペースで歴史問題に関しても、中国が韓国の日本に対する歴史の不満、批判も取り込む形で中国による反日の材料にしているというところがありますよね。中国にとって韓国は支配する相手であって、同等な相手ではまったくないわけですね。そこを朴槿恵さんは全く理解していない。中国が力を持つ時というのは中華思想です。周りの国は従うべき存在です。そのような考え方で、中国は中韓首脳会談をしたと思います。問題は、歴史問題において彼らが足並みを揃えて日本を非難するというのは想定の範囲内ですけれども、集団的自衛権のことについて朴槿恵大統領が習近平主席と足並みを揃えて日本に対する不快感、批判をした。これは自らの首を絞めるようなことだと思うんですね。なぜならば、北朝鮮有事の時に誰が韓国を守るのか。もちろん、韓国が第一線に立つでしょうけど、それはアメリカのバックアップを受けなければいけない。アメリカがきちんと機能するには、我が国のバックアップと言いますか、基地がここにあるわけですから、その意味で、朝鮮半島の自由や民主主義であるとか、法の支配であるとか1人1人の人間を大事にするという価値観において日米韓の協力は欠かしてはいけないものですね。そこのところの勇気もなく、中国にすり寄っている朴槿恵さんは、韓国の現状を知らないと同時に歴史を学ばないといけないと思いますね。これまでの歴史の中で、韓国、朝鮮半島全体がどのように中国に虐げられてきたかということをきちんと認識なされば、あんなことにならなかったと思います。このままでは(中国に)飲み込まれてしまいますよ」
中西輝政
「何年か前からですが、李明博大統領の頃からですけれど、突然日本に対して、慰安婦問題をぶつけてくるような動き方がありましたよね。これは韓国の最高裁の判決が云々という議論がありますが、朴槿恵政権になっても日本に対して歴史問題でぶつかってきている、我々はどうしてもそこに目がいってしまうんですけれども、韓国外交の基調をしっかり掴まえないといけないと思うんですね。韓国は現在、アメリカと中国の間のバランス外交というところを非常に狙っているというのか…中国こそ、アメリカは昨日のパトロン国家、徐々にアメリカとの関係はやがてそういうふうになっていくだろう。そこまで言わないとしても、中国との関係は経済を中心に深まっている。中国とアメリカの間に立って韓国は徐々に中国への歩みを切り替えて行く。これが韓国の長期的な戦略だと勝手に思い込んでいるんですね。経済的に見ても中国はこのまま事なくずっと成長軌道を続けるとは思えません。アメリカの戦略的な力というのは中国をはるかにまだまだ凌いでいます。バランスをとりながらアメリカから離れ、中国に寄っていくという国策をカモフラージュする。アメリカに咎められないように、国内の保守派の突き上げを受けないように、アメリカ離れの方便として日本の歴史問題を取り上げているんです。アメリカは日本と韓国が仲良くしてくれなければ困ります、同盟国だから。日米韓できちんと戦線を組んで北朝鮮の脅威に備えましょうとアメリカが言ってきても、日本は歴史問題で間違った歴史観を持った一部の指導者がいるから、韓国は日韓の修復はできないんだということをアメリカに言うんです。これまではアメリカもそうかなと思ってきたのですが、どうもその言い訳が馬脚を表してきた。アメリカ側も気がついてきた」

オフショア・コントロール戦略
島田キャスター
「オフショア・コントロールとはどういう意味でしょうか?」
櫻井氏
「これはまだ正式に採用されているわけでもないんですけれども、戦略家の間で盛んにここ何年間で議論されている。これがもし国防総省に採用されることがあれば、世の中の戦略は大きく変わると思うのですが、これまでの中国に対する戦略というのは中国の第一列島線と第二列島線、西太平洋ほぼ全域を中国の海にしようというのに対してアメリカがエアシーバトルという空軍と海軍を結びつけて戦うというある意味全面戦争です。これは恐いことですね。全面戦争となると当然核も必要とされる。誰もこんなことしたくないし、してはならないと思うんです。私もこういう戦争は絶対してはいけないと思う。つまり、現在中国が習近平体制のもとで大変強気で出てきている時に下手をすると。このエアシーバトルで戦うような場面も出てくるやも知れない。これは絶対してはいけないと皆思います。それに代わる戦略には何があるのかということで出てきたのがオフショア・コントロール、海岸から遠く離れた沖合で制御する沖合制御と言ってもいいと思うのですが、これは中国に対して正面からぶつかる従来の戦争ではなくて、遠くから言わば締め上げる。海上封鎖ですね、たとえば、マラッカ海峡、ロンボク海峡、スンダ海峡、皆これを閉めて中国の船が通れないようにする。中国の経済というのは輸出、輸入合わせて半分が貿易に依存していますから、これを締め上げることによって中国の大きなタンカーであるとか、輸出するものが動かない。動くとしても、大きな迂回路を通らなければいけない。コストがとてもかかる。オーストラリアの北と南の海峡も封鎖する。そうすると、中国はマゼラン海峡とか、パナマ運河とかを目指すでしょうけれども、これはアメリカがきちんと抑えられるというので、アメリカが基本的に自分のところの海軍力で、たとえば、オーストラリアの協力を得ながらこのオフショア・コントロールができるのではないかというのをアメリカ海軍大学のハメスさんという方が書いた。これを専門家がまだここ足りないねと、中国が核攻撃をしてきたらどうするのですかとか、アメリカの同盟国をミサイルで攻撃したらどうするんだとか、いろんな専門家がいろいろ意見を出して、これにはこんな考え方があるのではないかというふうに現在、世界中で戦略家達が議論をしているんです。これを中国ももちろん、見ているんです。中国にしたらとても嫌な気持ちだと思うんです。自分達を締め上げるのにどうやったらいいのかという議論をオープンにしている。これは中国に対する明確な抑止力になりますよね。私はこのような戦略が議論されていること自体、国際社会も健全だと思っているんです。他の国に隠していきなりポンとやる中国やロシアとは違いますからね。皆が透明性を持って、我々がこの地球を自由と民主主義と国際法によって維持するにはどうしたらいいかということで議論している。そのうちの1つの有力な案がこのオフショア・コントロール、沖合制御ということですね」

日中首脳会談の行方
島田キャスター
「中国は日中首脳会談を行うために条件をつけていますが」
櫻井氏
「笑止千万ということをここで言いたいですね。このような条件をつけることが日本国に対してとても失礼ですよね。安倍総理は条件なしでお話しましょうと言っている。しかも、靖国神社に参拝しません、尖閣諸島に領有権問題があることを認めなさいというのは、皆中国の言い分を認めなさいということですね。これは対等な国として本当に改善する気があるならばこんなことは出てこないです。私がとても残念に思うのが、あたかもこのようなことを突きつければ日本側が受け入れるやもしれないというような情報を自民党の重鎮が中国側に伝えているということが大変残念だと私は思います」
中西教授
「大きな環境から言って、周永康氏を摘発して、徐才厚氏という軍の制服組のトップを引っ張った。こういう最中に日本の総理大臣と会うことは、この条件を日本側が飲んだという場合にしか、たぶん習近平さんは不可能でしょうね。たとえば、江沢民派がそれみろ日本に譲歩したではないかとくる可能性がありますし、ですから、そこのところのリスクをいかにとるかということまでしっかり考えないと習近平さんは踏み切れない話」
島田キャスター
「APECのホスト国である中国が日本に対してどう出てくるのか」
中西教授
「ホスト国として中国が(日本の首脳と)会わないなんてとんでもない。多くの国を招いておいて、1国の首脳と会わないのは国際外交としてありえない話です。従って、何人か、グループ会談を考える」

日中関係の今後
島田キャスター
「国際的に日本はどういう立場にあるのですか?」
櫻井氏
「国際的には、日本ははるかに支持を得ています」
中西教授
「支持を得ているんです、ですから、急ぐ必要は何もないんです。日本側からは首脳会談をやろう、やらなければならないとか、首脳会談ができるかどうかとか、そういうことが日本国内で取り沙汰される、そのこと自体がもう的外れですね」
櫻井氏
「靖国問題を含めて、世界はわかり始めていますよ、(日本は)軍国主義でも何でもない。他の面においても、日本よりも中国の方がずっとおかしくて、変な国だと。問題国は中国ということをわかっていますから、日本は自分達にきちんと自信を持つべき時だと思います」

ジャーナリスト 櫻井よしこ氏の提言:『天地の公道を貫け』
櫻井氏
「明治の初年に出されました五か条のご誓文の一節ですね。国際社会に普遍的に通用する価値観に基づいて政治を行いなさい、という一節があるのですが、日本はずっとそれをやってきました。それをこれからも続けて、中国とは違うんですと、中国にもこのように天地の公道に基づいて、人類普遍の価値観に基づいて良い目的のために、あなたの力を使ってくださいという呼びかけをしながら、日本が範を示していけばよろしいかと思います」

中西輝政 京都大学名誉教授の提言:『国内の結束』
中西教授
「日本国内の結束が大事だと敢えて声を大にして申し上げたいんですね。それは先ほども出てきましたけれども、日中首脳会談がないのはおかしいというようなことを、日本の国内ではそういう声が出てくるのですが、ないのが当たり前であんな条件をつけているわけですよね、中国側は。ところが、日本側は問題があるからこそ、会う必要があるのだから、条件なしなら、いつでも会いますということで対話のドアをオープンにずっとしているわけですが、こういう問題で戦後、日中関係がいろんな節目でここまでおかしくなってきたのは、日本の国内でいろんな間違った考え方が出やすいんです、周辺諸国との外交で。慰安婦問題で朝日新聞が誤報を認めたわけですけれども、これで一致できるわけですよね。だけど、この慰安婦問題でこれまで大きく分裂があったわけです。国内の分裂があったら、絶対に外交は進められません。そういうことでまず日本国内でしっかり結束をして、条件をつけるような首脳会談ならやらないのがいいよとドンと構えて、有利なのは日本です、孤立しているのは中国でしょうと国民がしっかり認識することだと思います」