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2014年8月1日(金)
どう守る50年後1億人 総務相に問う地方創生

ゲスト

新藤義孝
総務大臣 地域活性化担当大臣 自由民主党衆議院議員
片山善博
元総務大臣 慶応義塾大学教授
加藤久和
明治大学政治経済学部教授

止まらない人口減少と地方の現状
佐々木キャスター
「地方活性化を進める前提として、深刻な人口の減少をあげています。実際に見ていきますと、このままでは人口がどんどん減り続けて、2060年には8674万人まで人口が減少すると言われています。そんな中、政府は50年後に人口1億人を目指す。この推計よりも1400万人押し上げるという方針を掲げているのですが」
新藤総務相
「大事なことは、人口問題は1年、5年、10年では解決しないんです。現在、出生率が1.43ですが、人口維持ができるのは2.07と言われています。2030年までに2.07にしよう。そうすると、減少カーブが減ることになって、1億人をキープできるのではないかという目標を立てたわけですね。でも、仮に2.07に出生率が回復したとしても、人口が戻るのは80年後です。人口減少のスピードが止まるのには80年かかるんです。ですから、私達は日本という目の前の国にいて、将来の、それも子供や孫や、もっと先のところまで、現在の私達が責任を持たなければいけないんだということを意識すべきだと思いますね」
反町キャスター
「1億人という数字は、目標とかこだわりがあっての1億人、これが絶対防衛圏だとか、そういう意味ではなく、比較的目安みたいなイメージでよろしいのですか?」
新藤総務相
「だと思いますが。シンプルに言って、国民総生産は人口1人当たり、どれぐらいだけの活動ができるか。私達の国の労働生産性は既にマックス状態です。ですから、現在のままで人口が減れば、GDPは確実に減るわけです。経済の国境を広げなければいけないというのが1つ。市場を広げるということですね。それから、もう1つは、1人当たりの生産性をもっと上げるためには、これまでとは違うイノベーションを起こして、そのために、私達はICTを使おうと言っているわけですけれど、そういう生産性を上げることと、もともとの人口をキープするための目標を設定しなければいけないと。本当に目の前の危機であって、将来の約束だと。このように思います」
反町キャスター
「人口維持のための施策、手段の1つが、地方創生、地方再生だという理解でよろしいですか?」
新藤総務相
「私は、そう思っています」

2040年…市町村半減の危機 地方の人口減少はなぜ進むのか
佐々木キャスター
「特に深刻なのが地方の人口の問題ですよ。都市圏と地方圏における人口移動、いわゆる転入、転出をグラフで見ると、高度成長期の1961年をピークに、地方圏から都市圏への人口移動が進み、近年では地方圏からの転出が減少傾向にはあるんですが、2013年にはおよそ8万人が地方圏から転出してしまっているのが現状なわけです。加藤さんがメンバーである日本創生会議では、特に、男女の若者の大都市部への流出が人口の減少に拍車をかけているということを指摘されました。現状のままでは2040年に消滅してしまうであろうと言われている自治体が896、全体の半数近くまでのぼっているという、大変衝撃的な推計が出たわけですが」
反町キャスター
「たとえば、シンプルなケースになってしまうんですけれども、男女の若いカップルがいたとして、それが都市部にいる場合と、郡部にいる場合とでは、出生率が違ってくる。子供をつくる数が違ってくる。こういう理解でよろしいですか?」
加藤教授
「そういうことだと思います」
反町キャスター
「それはどういう背景によるものだと分析していますか?」
加藤教授
「子供を持つということは、非常に社会的な、経済的な環境があります。たとえば、東京で生活をすると働きながら子供を育てようとしても、通勤時間が相当長いとか、あるいは様々な形で、住宅も十分にとれない。2DKで子供3人というのはなかなか難しい。様々な制約条件があるわけですね。そうなってきますと、そこで子供を2人、3人を持つというのはなかなか難しい。ただ、地方にはまだまだそういう余裕があるわけですね。それなのにわざわざ東京に来てもらうような形で東京が膨らんでいくことは全体で見て非効率ではないかと考えています」
反町キャスター
「それが、地方を再生して、活性化することが、雇用かもしれないし、地方で働く、そこに若いカップルが東京に出てこないで地方で定住し、家庭を構えることが、全体の少子高齢化対策にもなるという理解でよろしいですか?」
加藤教授
「なります。なぜ東京に来るのかとなると雇用ですね。人は仕事を探しに都市圏に来ます。東京に来ます。ですから、地方にできる限り多くの、雇用を生み出すということが一番大きな解決策ではないかと私達は思っています」
片山元総務相
「これまでも地方の経済再生とか、雇用をどうするかというのはさんざんやってきているんですね。そこは大きなミスマッチがあったということを認識しなければいけないと思いますね」
反町キャスター
「何と何のミスマッチですか?」
片山元総務相
「公共事業をやれば、地方の雇用が満たされるという発想が1つあったんです。地方の方もそれを一生懸命受け入れて、公共事業に取り組んできたんですけれど、この有様ですよね。私も地方で、知事をやりましたけれども、公共事業をいくらやっても、若い人達の魅力のある、特に若い女性の人達に魅力のある、そういうポストができません。ですから、ここを大きく変えなければいけないです。どういう職種、どういう業種、どういう手法をとれば、若い、男性もですが、特に女性に魅力ある雇用の場ができるか。ここに焦点を当てる必要があると思いますね」

総務省がすすめる地域活性化策とは
佐々木キャスター
「人口減少を止める地域の活性化策として総務省が現在、取り組んでいる制度を紹介したいと思います。地域経済イノベーションサイクル事業というものですが、この制度を利用して、既に事業が始められている実例ですが、それは青森市のナマコ加工廃棄物を使った例です。これまではナマコが青森市で毎年100トン獲れるのですが、加工工程で出る廃棄物は処分されるだけでした。しかし、弘前大学の研究によって、この廃棄物には非常に健康を維持増進する成分が含まれているということが明らかになったんです。そこで青森市は地域経済イノベーションサイクル事業の利用を申請しました。今年、国からの5000万円の交付金とともに地元の金融機関からも融資を受けることができ、そこで青森市と地元企業による事業化を進めて、この廃棄物を石鹸や靴下に変えると。それを販売することによって、年間5000万円の売上げを見込んでいるところです」
新藤総務相
「公共事業に国から補助金を出す。それを受け取っている限り仕事はできるが、国からのお金が途絶えると仕事が終わる。これではいつまで経っても国は立ち上がることはないと。ですから、今度は地域の資源と一緒に地域の資金を使いましょうと。このイノベーションサイクルの事業に選定される第一条件は、国から受け取る交付金と同規模の民間融資を受けられる事業であることと、地域の金融機関、信用組合、信用金庫ですね、預貸率は50%ずつです。ですから、まだ自分達で持っているお金をどこに貸し出していいのかがわからないお金が半分近く地域にはあるんです。青森の場合は捨てていたナマコを使って、こういう事業を生み出しました。国から受け取るお金で立ち上げるが、民間銀行から融資を受け、お金を返さなければいけないと。当然、返すためには利益を出さないといけない。かつ持続可能で補助金が終わったら仕事が終わってしまうのではなく、ずっと続けられる。これをイノベーションサイクルと呼んでいまして、よく産学官の連携というではないですか。これを産学金官、金融も入れて、産学金官ラウンドテーブルというものをつくろうと。既に約55億円を私達は交付しました。でも、それに対して融資も60億円受けています。しかも、この仕事で皆さん利益を出しますので、税金を払っていただくんですね。その税金がだいたい年間7億円ぐらい想定しています。ですから、10年経つと国は最初に出した投資は回収して、また次のものに充てていくと。自立して、しかも、持続可能な事業を地域の資源を使って、地域の皆さんでやっていただこうと。国はそれを支援しますと。こういう仕組みをつくったんですね」
佐々木キャスター
「地元の特産品などを活かしたものが多いと思うのですけれど、地元にビジネスをさせる、自治体にビジネス的な感覚を持ってもらうということは結構難しい、ハードルの高いことですか?」
片山元総務相
「何が一番ポイントかというと、単純に言えば現在のギリシャとよく似ているんですよ。外から買うものばかりが多くて、外に売るものがないんですね。そうすると、1つの国だと見なせば、鍵かっこ付きの国際収支は大赤字です。国際収支が赤字ということは雇用が外に移っていくということです。外から買ったお豆腐を食べていれば、外のお豆腐屋さんの雇用になります。ですから、どうやって地域の国際収支を改善するのかということがポイントになると。コメをつくって、梨をつくって、野菜をつくって、売るのですが、ほとんど素材で売りますから、もはやプランテーション農業みたいなものですね。そこで付加価値をつけて加工をしてということになると、農業の6次化ということになるんです。これまで補助事業でいろんなことをやってきたのですが、あまりうまくいかないんですね。それにはいろいろあって、たとえば、補助金を貰うと自分のなけなしのお金ではないですから、どうしても気が大きくなって過大投資するとか、国への依存体質が増えるとか、そういうことがあるんです。今回金融機関を巻き込んでということですから、金融機関が本気になって、これは絶対に取りっぱぐれのないようにということになるかどうか」
新藤総務相
「これは無担保、無保証ですからね、保証協会がついていないんです。ですから、自前で本当に回収しなければならないですから。金融機関だって必死ですよね」
片山元総務相
「ただ、何年か経って、しばらく経ったら、地方金融機関再生機構みたいなものができて、国が面倒見ましょうみたい話になるのであれば…」
反町キャスター
「イノベーションサイクルの焦げ付き債務を一斉に引き受けますような」
片山元総務相
「そこはまだ評価できないですね」
佐々木キャスター
「地方活性化対策については、先ほどの総務省の例も紹介しましたが、各省庁が独自の取り組みを既に行っているんですよね。総務省が先ほど紹介をした、地域経済イノベーションサイクル。文科省が学びを通じた自立、協働型の社会づくり、厚労省が地域包括ケアシステムと、各省庁がそれぞれの取り組みを行っています。この『まち・ひと・しごと創生本部』というのがまた立ち上がっていくことによって、これまでの各省庁が取り組んでいた取り組みと何がどう変わっていくと思えばいいのですか?」
新藤総務相
「まず総理がトップになって、内閣官房においては官房長官がトップです。内閣官房においてそれぞれの町でいったいどんな仕事が行われようとしているのか。その情報共有をします。そのうえでたまたまその町から申請している事業があったから、仕事をやっているんですけれども、国から見て、この2つの事業をやっているならば、農水省と国交省で一緒にやっているならば、経産省の商店街プロジェクトも入れたらどうだと。総務省の町づくり支援の仕組みを入れたらどうですかと。私達がコンサルティングします。全体としてこれまでの仕事は、国の採択基準にあったものが地域から要望として出てくるわけですね。ですから、そうではなくて、皆さんがやりたいことは何ですかと。それから、私達が見ていて、この町ではこれも加えたら、もっと良くなるのではないですか。そういう双方向の連絡と、横の連携を取りましょうと。それによって、当然、予算もそれらを3つも4つも事業を調整できるような費用もつくろうではないかと、私はそういう提案をしているんです」

“まち、ひと、しごと”創生 各省の縦割りに横串をさせるのか
反町キャスター
「菅官房長官が、省庁の縦割りを完全に排除して、政府としての考え方を各省庁に反映して、しっかりやっていきたいという発言をしているのですが、片山さんの時の改革も、新藤さんのところでやられたにしても、いずれにしても未だに縦割りが残っていなければ、こんな菅官房長官の発言は出ませんよ。今回敢えてこのタイミングで、政府を挙げて、縦割りに対して、もしかしたら総理がぶち破りたいという岩盤の1つ、もちろん、最大の岩盤の1つですよ。そう思うのですが、敢えてこのタイミングで縦割りという言葉に、正面からチャレンジしようとする、安倍内閣の基本的な姿勢というのは、決意はどのへんにあると見ていますか?」
新藤総務相
「これは、片山さんが大臣をおやりになっていた時も、これまでの歴代内閣はずっと同じ思いでやっているんですよ。ですから、最後ものを言うのは、政治の決定力と責任です。これをやるためにはスローガンだけではダメですね。ですから、結果、現在、私達が何をやっているかというと横串を刺せと、連携をしろと言いつつ、本当に連携しているかどうかは第三者、外部の加藤先生のような学者にも一緒に入ってもらって、官僚と同じ仕事をしてもらっているんです。役所から、各自治体から上がってきたものを、役所がやろうとしているものを、同じ立場で、有識者の皆さんにもチェックしてもらっています。私達も直接やります。かつ実際にそれを調整する予算も持ちますという中で実際このプラットフォームというのを、我々は既に始めましたけれど、現在、そこにあるだけのそういうような仕事、地域を選ぶために、学者が朝8時から夜8時まで、皆集まって、官僚と一緒にこれができないのですか、どうしてダメなのですかとやっているんですよ。決まると、今度は各省庁の役人が、本省の課長級が、選定したプロジェクトの町へ、総合コンサルティングと言って、現場に出かけていって、市長さんや皆さんとやり取りして、もっとこうしましょう、ここを工夫しましょうと言ってやっている。ですから、一度そういうのをやってしまえば、あそこの省が出かけて行ったぞ、うちも行かなくていいのかと。横並び意識が強いですから。縦割りと役割分担は紙一重ですので、そこをつなぐのが政治力ですよ」
佐々木キャスター
「この縦割りを完全に排除していくという動きに関してはどのように捉えていますか?」
加藤教授
「たとえば、地域の活性化というと一番怖いのはばらまきですよね。たとえば、様々な省庁でやっている、こういったものをどんどん省庁ごとに出していけば、無尽蔵にお金がかかってしまう。我々がすごく期待をするのはそれをちゃんと横串でコントロールをして、ばらまきにならない形でのお金の出し方というのが、この『まち・ひと・しごと創生本部』でできれば、それは非常に良いことではないかなと思っています。ただ、まだ始まっていないので、本当にきちんとコントロールしていただき、効率的に仕事ができるかというのはもう少し見ていかないと何とも言えないところはあると思いますが、期待はしています」

地域活性化プラットフォームとは
佐々木キャスター
「『まち・ひと・しごと創生本部』は現在、法制化に向けて官邸に準備室が設けられ、これからその内容が詰められていくのですが、モデルとなるプロジェクトが内閣官房により先行して進められています。地域活性化プラットフォーム活用の実例を紹介したいと思いますが、熊本市で進めている多角連携ですね。国交省が進めるコンパクトシティや地域公共交通の再生ですとか、あるいは厚労省が進める介護医療を1か所にまとめた地域包括ケアシステムなど、こういったものを各省庁の様々な分野の施策と連携して、一体となって、地域活性化を進めているということですが、このプラットフォームのポイントはどこにあるのでしょう?」
新藤総務相
「これはそれぞれが役割分担をしているものを、1つにまとめて、この間で、出っ張り、引っ込みがあるならば、それを整理しましょうと。それから、それぞれの目的があるんですけれど、それを連携させることでもっと効果を上げましょうということです。このプラットフォームの事業は現在33事業を認定しました。165の応募があったんです、わずか1か月で。それを学識者とか、我々が一緒になって絞りこんで65団体にヒアリングしました。それから最後33事業にしました。その33に、現在7つですね。国交省が2つですか、6省の官僚達が現場に出かけていってやっているわけです。他の町では他の組み合わせがあります。そうやって1つの町単位でどんなことが行われているのかを政府が共有して、そこで相乗作用を高めていこうという仕組みにしたんですね」
反町キャスター
「国家公務員が出ばって行くことになります。国家公務員が地方に出て行く。それが基本的な、全部人的交流の基本となっているように見えるのですが、そこはいかがですか?」
新藤総務相
「これは国家公務員も、地方公務員も、企業も、それから、学会、民間団体、市民団体、NPOのあらゆる人がプレーヤーになって、同じ立場で参加しようよと、私は言っているんですよ。ですから、これを国が、行政が、全部仕切ってうまくいくわけがないですよ。あくまで環境整備をして、私達はバックアップ体制をつくっているだけで、ここの主役はここにいる人達ですよ」
反町キャスター
「ただ、その意味でいうと、その予算のことをちょっと聞きたいのですが、たとえば、このプラットフォームは各省庁が6つか7つの役所から来ていますよね。それぞれ役所ごとの予算を持っていて、その予算の中で、たとえば、熊本市がコンパクトシティの形成をやるので、国交省の基準に沿ったものでやるので応援してくださいみたいな形をやっていく。それが、たとえば、こういう形でまとまった時に、予算はどこが負担することになるのですか。それぞれの省庁からちょっとずつ出させるのですか」
新藤総務相
「これはダブルカウントです。まず、それぞれが自分達の省で予算を組んでもらいます。それは創生本部の事業として位置づけるわけです。ですから、予算が増えるわけではありませんが、創生本部でもこのプラットフォームにかかる事業は管理するわけですから。それで、ここまでやるのであれば、もう1つ入れたいよねと。だけど、その省が予算措置をしていなかったと。それを調整費で、プラットフォームの創生本部が持っている予算で加えようではないかということもできるようにしようと」
反町キャスター
「調整費というのは、本当の調整、単なる調整だけではなく、足りない分に対する補てんという意味もあるのですか」
新藤総務相
「そうです」
反町キャスター
「それは来年度予算で5兆円でしたか」
新藤総務相
「これから入れたいと思っているんです」
反町キャスター
「5兆円規模ぐらいですか、目標は」
新藤総務相
「はい」
反町キャスター
「その5兆円は巨額だと思っていたんですけれども、それは単なる事務調整の意味ではなくて」
新藤総務相
「違います」
反町キャスター
「たとえば、国交省としてはこういうものに予算がつけられないけれど、自治体はやりたい。このプラットフォームとしてはやるべきだという時に乗せるお金は?」
新藤総務相
「いや、プラットフォームで、コンサルティングでしたら、ここまでやっているのなら、この事業もあった方が良かったねと。でも、予算措置をしていなかったよねと。プラットフォームではお金が用意してあるよと。これを入れることで、もっと膨らむならば、やりますよと。こういうことができたら、すごく機動性が増えると思いませんか」
佐々木キャスター
「あらためて地域活性化プラットフォームの制度で、募集から事業化までの流れをここで押さえたいと思います。まず地方の公共団体、事業者から、どういうことがやりたいかというのをまず提案をもらうという形になります。そうすると、関係閣僚会合、連絡調整会議、政策対応チームなどで審査、選定をし、事業予算を内閣官房で一元化して渡していくと。1つポイントが、先ほどから出ていますが、この関係各省の課長級が市町村に派遣されて、総合的にコンサルティングやコーディネートを行っていくという、ここが1つポイントになっているわけです」
反町キャスター
「片山さん、いかがですか。課長級の現場参加。課長級が、たとえば、こういう地方プロジェクトをやる時に、現場に参加するというのはこれまでなかったことなのですか?」
片山元総務相
「これまではないでしょうね。たとえば、事業官庁で、農水省とか、国交省の技術系官僚、これは比較的…」
反町キャスター
「技官とか、そういう人達?」
片山元総務相
「そうです。実際、出向することは多いですし、それから、出向までしなくても、たとえば、地方の整備局とかの管理職をしている時に個別のプロジェクトに参加するということはありましたけれど、一般には、新藤大臣が言われたように、あまりないですね」
反町キャスター
「どうですか。期待値は?」
片山元総務相
「これは省庁によりけりという面と、もう1つは本当に個人ですね。人によりけりですね。来てもらったのはいいけれども、散々な目に遭った、こりごりだというケースもおそらく出てくると思います」
反町キャスター
「それは、つまり、人事評価にどういうふうにフィードバックするかというところが、この制度の成否にかかってくる?」
片山元総務相
「これは、霞が関の人事考課の基準がどこにあるかということ。これが、たとえば、国会議員の皆さんに根回しが非常にうまく、あいつはトラブルを起こさないし、うまくまとめてくるという評価でやっているケースが多いんですよ。そういう場合は、地方ではあまり受け入れられないですね。場つなぎとか、そういう根回しばっかりやる人は要りませんから。本当に入り込んで、我がことのように地域の振興を喜ぶと。そういう気概を持った人なら、本人も楽しいし、受け入れる方もたぶん良い気持ちになるでしょう。ですから、どういう基準で人を選ぶかということが一番のポイントになると思います」
反町キャスター
「そのへん、いかがですか。新藤さん」
新藤総務相
「総務省はそういう人事評価とかを担当する、その基準をつくる役所ですよ。一方で、事務管理、行政管理庁を持っていますから。ですから、おっしゃるように仕事でどういう業績を出したか。それを数値化するとか。それから、その業績が昇進やそういうものにつながるような、そういう評価制度にここで直しました。そういう要素をもっと入れたということです。ですから、そうやってプロジェクト感覚を持ってもらって、自分の仕事がよその省の仕事と組み合わせることで、自分の仕事がもっと膨らんだと。そういう仕組みをつくったことを評価して、次の大きな仕事をやってくれると。この好循環が経済の好循環だけではなくて、そういう公務員の中の好循環とか、町づくりの好循環ができることにもなればいいですよね。それも創生の1つだと思います」

地方の共生から競走へ アイデアのない自治体はどうなる
佐々木キャスター
「活性化するアイデアがない自治体はどうなるのでしょうか?」
新藤総務相
「大事なことは成功事例をつくること。それがきちんと情報発信され、あの町でこんなことができるのならばうちもできる。うちの町長は何をやっているんだ。うちよりももっと小さな村役場があんなことをしているではないかという刺激をつくることで好循環が生まれるのではないか。1718市町村です。1718通りの活性化策が必要です。それは一度にはできませんから、既に成功しているところもあります。そういったところを皆さんにもっと知ってもらいたい。チャンスはたくさんあるんですね。それをどうやって活かせるかどうか。国や地方の自治体というものが重要な役割を担うべきだと思っています」

“まち、ひと、しごと”創生 市町村の選択と集中
反町キャスター
「市町村の競争を刺激しようという話はどうですか?」
加藤教授
「やっていただかなければいけないことですが、少し違う考え方がありまして、全体の人口が減少していく中で全ての市町村が生き残っていけることは難しいのではないかというのが根本にあるわけですね。生き残ったところを集積して、プラットフォームや様々な形のものを活用して強くなっていくというのが1つのシナリオかなと思っています。その意味で言えば、1700の市町村全てに対して、それを助けていくということができないだろうと思っています。どう集中が起きてくるかと言ったらこれまでの行政単位ではなくて、それこそ行政単位を超えた中で、市町村を超えた、いわゆる生活圏であるといった中で集中していかなければいけない仕事だろうと思います。そうなると、そこから外にあるような市町村を…こういう言い方をしてはいけないのですが、どう真ん中にきてもらうか。ダメだったら申し訳ないけれど、そこは諦める。大臣ならそういうことは言えないと思うのですが、どう考えても全ての市町村を救うことはできないと私は思っています」

地方の共生から競走へ 市町村格差はやむを得ないのか
反町キャスター
「人口の問題で、都市の問題で都市と地方の格差の話をしました。現在のビジョンの行き着く先というのは都市と地方の格差ではなく、地方都市間の格差。これはある意味で刺激として容認すべきであると聞こえるのですが、それは仕方がない?」
新藤総務相
「それは長い時間をかけてそれぞれが最終的に目的に辿り着けば良いので、ある時を切れば成功しているところとまだ立ち行かないところがあるのは、受け入れないといけませんよね。社会主義の国ではありませんから」
片山総務相
「一番の基本は各自治体が本当に考える力を持つということだと思うんですね。ちょっと失礼になりますけれども、これまで国がいろんな政策を出すと、それに飛びついて認定を受けるとか、補助金をもらうとかに一生懸命力を尽くしてきた。もう1つ、霞ヶ関の方ばかり見るんですよ。そうではなくて、地域の中にはいろんな専門家もいるし、住民がそれこそおられるわけですね。福祉だったらケースワーカーもいるし、医療の専門家もいるし、県レベルになると国立大学もあって、そこには専門家もいるわけですね。そういった人達をもっと使って、その中で知的ないろんな知恵が出てくるような意味での考える力を持たなければいけないと思うんですね。それはどうも日本のこれまでの自治体にはすごく不足しています。広く住民の皆さんがいろんな地域の人材の意見を聞く、参考にするということがあまりないんですよ。何かあれば、すぐに霞ヶ関に聞くんです。こういう風潮はやめなければいけないと思うんです。これは首長さんの意識もあるし、公務員の閉鎖的な体質もあるんだけれども、アメリカと比較すると、アメリカでは議会が市民の広場になっているんです。議会を開くたびに公聴会をやるんです。言いたい人は登録さえすれば、誰でも行ける、市民であれば。不平もでるし、提言もでるし、政策のヒントとか、ニーズがあって、それを自分達にできることはやっていきましょうと。できないことは国にお願いしましょう。草の根から政策が出てくる。アメリカのスタイルです。日本の場合には国がまず政策を決めて、それに我先に食いつく。パン食い競争型ですね。そこのベクトルを変えるのが必要ですね」
佐々木キャスター
「視聴者からの質問ですが『地方の自立を促すのには何が必要なのでしょうか?補助金をエサにして国が何でもかんでも口を出し過ぎてはいませんか?』とのことですが」
新藤総務相
「これは地方の分権を進めていく。国から地方への分権や財源を移しながら、自分達の個性を活かしつつ自立した運営ができる。そういう地方をつくらないといけない。今回の地方分権…20年経ちます、分権しましょうと国会決議したのは。20年目の節目の年です、今年は。次なる新しいステージは、本当の意味での自立をする。それは自分で責任を持つし、仕事も自分達で進めていく。それを国としてバックアップしながら、地域の塊が国になっていく。そういう発想をしていきつつ、国はそう言いながら、全体がいわゆるナショナルミニマムと言われる最低限の保障、平等を維持しないといけませんねと。こういう調整をすることが国の役目だということですね」

地方創生のあるべき姿 国と地方の関係は
佐々木キャスター
「安倍政権は地方創生の国と地方の役割分担をどのように考えているのですか?」
新藤総務相
「地方でできることは地方で選んでもらう。それを国がバックアップする。地方分権のキーワードは個性を活かし、自立した地方をつくる。国が選ぶ分権ではなくて、地方が選ぶ分権にしよう。それぞれの町がやりたいことを提案してください。それが制度として全国的に通用できるものなのか、それとも地域の特殊なものなのか。これを仕分けしながら、基本的には皆さんがやりたいことを、準備が整っているところには権限を維持しようではないか、それから、自分達が提案したものを活かそうではないか。今年、提案募集というのをやりました。わずか2か月で953件の要望が出てきました。これまで散々、分権の権限移譲をやったうえで、さらにもう一度やってほしいという要望が950件もあるんですね。これを私達は1つ1つ全部チェックして一律で、できるものは規制緩和しましょう。それからやる気があって準備ができているところには、新しいことを移譲しますが、これまで通りで良いというところは、これまで通りでどうぞと。これを手挙げ方式と言うのですが。こういう地方分権の仕組みも一括して、今回、私の方で法律を出して、20年間の集大成をつくりましたので、これからは個性を活かしながら、それぞれの発意と多様性を活かした地方制度にしていきたいと思っているんです」
反町キャスター
「仕事に見あった財源を地方に移譲するべきという議論についてはどのように考えていますか?」
新藤総務相
「私達も理想的には5対5にしようではないかとご要望もいただいている。一方で地域間格差、特に経済力の格差は事実としてあるわけで、それが5対5と言っても、全国の町がそうならないんですよ。あるところには8にも9にもなってしまう。ですから、それは財源を保障して、調整するのが総務省の役割ですね」
片山元総務相
「たとえば、地方財源を増やせば増やすほどいいんだということではないんですね。たとえば、地方税の割合をどんどん増やすと、東京都はじゃぶじゃぶになる。地方の方も多少は良くなるんですけれども、東京都はじゃぶじゃぶになるけれども、地方はちょっとしか良くならない。こういうアンバランスが生じるんです。そこをうまく塩梅しようと思ったら地方税の割合はほどほどにしといて、あとは交付税で税源のないところに配りましょうという、総務省の仕事になるんです。それはそれで良いと私は思うのですが、現在の問題は、本来はそうやって配ったあと、たとえば、がんばって行政の筋をよくしようというところは普通は税率を上げるんですね、しかし、自治体が。税率を上げてでもやろうねというメカニズムが、日本の自治体には全く働いていないんですね。お金が足りなくなったら、税率を上げてという欧米のグローバルスタンダードですけれども、日本の場合はお金が足りなくなったら中央に泣きつこうという実態がある」
反町キャスター
「なぜ自治体は独自で税率を上げる判断ができないのですか?」
片山元総務相
「これまでそういう訓練をしていないというのもありますし、それから、また言えば出てくるんですよ、泣きつけば…。これはちょっと考え方を変えて、交付税の額は客観基準に決まって、これだけですよと。あと足りない部分は自治体の方で固定資産税を上げるとか、それで調達をしてください、そのために税金を上げると言ったなら、皆反対ですから、住民との間に対話が起こりますよね。これを決めるのが地方議会ですよ。ですから、財政の仕組みを変えることによって、地方自治が抱えている問題を大きく解決できる可能性はあるんです」
加藤教授
「固定資産税のお話がありましたけれども、あるところで減免すると周りも皆、同じことをやるんです。つまり、足による投票が全くきかないというのが日本の地方財政そのものですね。ですから、法人税は、税法上地方は決められませんけれども、たとえば、やり方として地方が様々な高い税をとるところはそれなりのことをやります。でも、税金の低いところはそれなりのことですよという形の選択ができない社会になっちゃっている。アメリカは逆にそれでどこに住むかという、足による投票ができるのですが、それができない。だから、単に現在住んでいるところにずっと固定されているというところもあると思うんですね。我々はどこに行きたいのかという選択の1つの情報として、税とか、そういうものもあっていいのではないかなと思うんです」
新藤総務相
「私は地方交付税の考え方を少し変えていこうと思っています。がんばった地域が報われるという制度にしようと思っているんですね。ですから、がんばらなくても、がんばっても同じように割り振り、割当がくるようではなくて、もちろん、きちんとした水準でまずは配分しますけれど、プラスαで特別に行革努力をした、それだけではなくて、削るだけではなくて、観光客が増えた、工業出荷額が増えた、何かの統計上、町を元気にさせた、そういう事業をやるための成果が出ている自治体にはもっとがんばってくださいと言って、プラスαを出すような地域の元気を創造事業費と言うんですよ。そういうのをつくって、昨年と今年に出しているのですが、キーワードはがんばった地域が報われる。こういうものでより競走して、それぞれが切磋琢磨して、結果的には全てがそういうものを得られるようになれば、それでラッキーではないかと思います」

新藤義孝 総務大臣 地域活性化担当大臣の提言:『地域の元気を日本の元気に!』
新藤総務相
「経済にしても、活性化にしても、一度にいっぺんにはできません。町の塊が国になると。ですから、地域1つ1つの個性を活かした元気をつくって、それが最終的に日本全体の元気につながっていくようなムーブメントを起こしたいと思っています」

片山善博 元総務相の提言:『知の地域づくり』
片山元総務相
「特に自治体の皆さんに特にお願いしたいのですが、どちらかと言うと、公共事業中心の地域づくりをやってきましたけれども、これからはやはり知というものを大切にしていただきたい。地方経済というのは下請け体質です。これを変えていくには知というものが大切です。地方を見ますと、たとえば、国立大学には本当に専門家が多い。県レベルになりますと試験研究機関があって、ここにはかなり高学歴の人材がいるのですが、宝の持ち腐れが多いんですね。そういうところをもっと活性化する。それから、地域の学校図書館、こういったところも知の拠点です。最近、図書館を下請けに出して、指定管理というので、東京の業者さんに託してしまって、図書館の司書さんをワーキングプアにしてしまう自治体が結構増えている。そういうことは知の地域づくりに反することですから、是非考え直してもらいたいという意味も含め、もっと知を大切にしていただきたい」

加藤久和 明治大学政治経済学部教授の提言:『選択と集積』
加藤教授
「選択と集中ではないのですが、これからはどの町に、あるいはどこの拠点に集中的に資源を投入していくかということが問われてくるのではないかと思います。ミニ東京をつくるということではなくて、東京と対抗できる拠点をいくつもつくっていくことが必要だろうと思います。その時には、できるだけ資源を集中して、ある意味で、都市の集積をつくっていくことが、これからの国土づくりの中でも非常に重要なことになるのではないかと考えています」