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2014年7月23日(水)
パチンコ税?携帯税? 新税浮上の背景と是非

ゲスト

野田毅
自由民主党税制調査会長 衆議院議員
神野直彦
政府税制調査会長代理 東京大学名誉教授
白川浩道
クレディ・スイス証券チーフエコノミスト

法人税減税の代替財源 新税導入の可能性
島田キャスター
「法人税の減税というのは、アベノミクスの目玉政策です。甘利(経済財政担当)大臣がこのような発言をしました。常識的には5年を基軸とします。そして、ドイツ並み、ドイツを目指している。と言うことは、29.59%ぐらいを目指しているんだとしているのですが、現在の標準税率というのが、34.62%ですから、仮にドイツ並を目指すとしますとおよそ5%の引き下げになりますね。甘利(経済財政担当)大臣のこの発言、この期間と下げ幅については、野田さんも前回出演された時に、理解を示されたということですが」
野田議員
「ええ。合意しているんですね。目指すということでね」
島田キャスター
「しかし、残っているのは、引き下げた分の減収分およそ2.4兆円と試算されているのですが、これをどう穴埋めしていくのかについては今後の議論に委ねられています。法人税減税の代替財源については、与党が昨年末に提示した平成26年度税制改正大綱の中で、税制の中立性や財政の健全化を勘案し、政策減税の大幅な見直しなどによる課税ベースの拡大や他税目での増収策による財源確保をはかる必要があると。課税ベースの拡大だけではなく、法人税以外での税ということでしょうか。これによる増収をはかる必要性が明記されています。そうした中、現在、自民党内に議員連盟などが立ち上がって、具体的に浮上している新税というものがあるんですけれど、たとえば、時代に適した風営法を求める会という連盟の中では、パチンコ税というものが浮上し、携帯電話問題懇話会という議連の中では、携帯電話・スマートフォン税というものも浮上しているということですが、野田さんに1つ確認ですが、現在挙がっているアイデア。これをやるかどうかは別として、新税が代替財源の可能性になるということもあるのでしょうか?」
野田議員
「私の頭ではほとんどないですね。ここで昨年の暮れに大綱で、いろいろ書いてあるのは、減税を強く主張される方はその(代替)財源も自ら提言してくださいと。減税だけを要望するのなら財源なきばらまきと同じ発想ではないですかと。だから、そういう意味で、これを入れているわけで、私どもが課税目での増収を、汗かいて、一生懸命に探して、減税するという主旨で書いているのではないということだけは申し上げておきたいと思います。本筋は、法人系統における課税ベースの拡大をもって、主たる財源とすると。実効税率を引き下げるというのが基本線です。だから、びた一文、それからズレるとか、そういう話はしませんよ。だけど、基本的には考え方はそういうことですよと」
反町キャスター
「つまり、法人税の実効税率を下げるのであれば、その代替財源というものを、同じ法人にかける税の中から持ってきなさいよと。つまり、法人税と大括りの中でバランスを変えるんだよと。こういう理解でよろしいですか?」
野田議員
「基本はそうです。基本はね」

新税導入論議 パチンコ税の是非
島田キャスター
「新税に関する議論の中で、具体的に現在浮上しているものの1つに、パチンコ税というものがあるのですが、現在のパチンコのシステムから学んでみたいと思います。利用者がまずパチンコをする際にパチンコホールに行って、玉が必要ですから、玉を貸し玉料というのを支払って、玉を貰いますね。ここで勝ったら景品に変えてもらうわけですけれども、この貸し玉料には既に消費税がかかっています。勝って、景品をそのまま持ち帰る方はそれでいいのですが、これを現金に換えたいなという方はここでは現金化することはできないんです。と言うのも、パチンコ店は風営法で現金や有価証券の提供が禁じられているんですね。ですから、パチンコホールを1回出まして、景品を持って、大抵の場合はそうですが、お店の外にある景品交換所などに持ち込んで、換金するというシステムですね。このパチンコホールと景品交換所は、法的には別の法人として、関係がない法人として現在は登録をしていますけれども、今回浮上していますパチンコ税という新税は、どこに課税するかというのはまだ議論が分かれているんです。たとえば、換金の際に課税しようかという説もありますし、消費税を払っているのですが、ここに上乗せをしてやろうかという論もあるんですけれど、ちなみにですが、現在パチンコホールの売上げは20兆円と言われまして、ここに課税しますと、たとえば、1%課税しても、2000億円の税収となるということですが、野田さんはこのパチンコ税はいかがでしょうか?」
野田議員
「かつて消費税ができる前は、地方税として娯楽施設利用税というのはあったわけです。過去、既に。だから、パチンコは1台いくらとかね。麻雀卓は1卓いくらとか、そういうのは現に、過去にあって、それが消費税の時に吸収してなくなったと。それは、地方税です。国が集めてばらまく話ではなくて。ですから、現在自治体、大変な財政難ということを騒いでいるわけですから、これは独自で自分達でできることだってあるんですよと。極端にいえば、これは何も国が全国一律でなくても、わが県では課税するんですと言ったら、できるわけですから、そういう意味では、自分達の自助努力でおやりになって検討されていいわけで、地方自治体自身が」
反町キャスター
「それは、別に国が消費税に加えて、たとえば、神奈川県なら神奈川県がパチンコ店に対して娯楽税を県税として導入するということは、国としては止められるわけでも何でもないと」
野田議員
「全然ないです」
島田キャスター
「現在これはどこに課税するかというのはわからないみたいですけれど」
野田議員
「たとえば、所得税、法人税という課税ベースに関しては影響を受けますから。少なくとも。だけど、パチンコだとか、その他いろいろありますが、ゲームセンターとか、いっぱいあるではないですか。そういったものにどうするかということを、課税することを国が禁止しているわけでは全くないです。いずれにしたって国がとりあげる税ではないです。もともと国税としてとるつもりではないです」
反町キャスター
「そういうものなのですか?」
野田議員
「うん」
神野氏
「これは一般的に消費行為税と言われています。税金で、もともと国税、間接税をかける時は、製造段階とか、取引の上の段階は国税の方が便利なわけです。下の消費に近い方は家計でかけた方、つまり、身近なところでかけた方がいいということになりますので、消費税が導入されるまでは、電気・ガス税、使ったところのメーターにかけるとか、それから、娯楽施設利用税と言われている税金としてかかっていたわけですね。この特色は、一律に消費税というのは価格にかけるわけです。物品、行為に対して、価格にかかるのですけれども、量でかけるということを組み合わせる、つまり、望ましくない消費とか、望ましくない消費行為に課税をするという発想から出てくる税金。これは一時期、世界的に有名になったデンマークの脂肪税。脂肪が含まれている商品にかけると。デンマークは、付加価値税をかけているわけです。それから、ハンガリーはポテトチップス税。これも良くないのではないですか。あとは普通、国でかけるのは環境に悪い行為という、そういう悪い消費行為にかけるという税金で。これは行為そのものを抑えようとしながら、逆に身近なところでかけるとするならば、身近なところでかけていく、つまり、地方で工夫する。事実地方税にあったわけですね。なので、そういう税体系をとると。つまり、新しい税金を考えるということは、現在のように、国も地方も財政状況が悪くて、そして、一方で様々なサービスの要求が強いというような時には、どういう新しい税が考えられるのかというのをいつも考えておくということ自体は重要なことだと思うんですね。それと同時に期間的なキータックスと言われている税金。所得税、法人税とか、消費税とかの税金に、補強せざるを得ないので、どうやって補完していく税金がかけられるかという観点から、新税というのは議論し、やるべきだと思っています」

新税導入論議 携帯・スマホ税の是非
島田キャスター
「パチンコ税以外にもう1つ、自民党内の議連で浮上しているのが携帯電話やスマートフォンに税金をかけられないかということですけれども、現在、必需品となっていますので、携帯電話、スマートフォンを含む契約数というのが、2014年の3月末の時点で、およそ1億4400万台。これに何とか課税できないかということで案が出ているんですけれども、たとえば、1台につき毎月100円を課税した場合、年間1728億円。1000円をもし毎月1台にかけた場合は、年間で1兆7280億円となって、財源としては、かなり莫大になるのではないかと思うのですが、こういう携帯電話の新税が出てきた背景というのはどういうところにあったのでしょうか?」
野田議員
「まだ新税として出てきているという認識はありません。事柄としては、こういう携帯を子供達が上手に良い方向でやってくれればいいんだけれど、結構いろんな弊害があっちこっちであるという報告があって、そういったことに心を痛めて、特に教育からいろんなことに熱心な人達も何とかこれを是正できないかということの1つの中に、少しそれに対する負担をすることによって、それを抑制し是正できないかという勉強をしたいというから、いや、それはいろんな角度から勉強する中の1つの切り口としての話だから、それは勉強するのは良いことで、動機は税金を取ることが目的ではなくて」
島田キャスター
「多くの人が使っているから広くとれるのかなと思ったんですけれども」
野田議員
「そんなこと強権的に簡単にできる話ではないので、ちょっと話が逆に、皆に広がるだけに、関心も高いということで、そんな話が先に走っているということではないでしょうか」
反町キャスター
「そうすると、たとえば、秋に向けての税制改正大綱に向け、パチンコ税とか、携帯税とかというのが議論の遡上にのぼってくるというのは?」
野田議員
「税調のメインテーマとして取り上げるという段取りにはなっていませんが、だけど、勉強することまでダメと言って、最初からこちらが押さえつける世界ではないでしょう」
神野氏
「先ほど言いましたように、消費行為税として昔からあった税金であると。地方税では、電話税とか、電話権利税というのがありました。それは1台にいくらとか、その権利をもらった時にかけるというようなことも考えられなくはないのですけれど、これも一般的に代替財源というよりも、新しい税金として新しい社会状況の変化などに応じて、現在国の財政は、先ほども言いましたけれども、地方の財政も苦しい折だから、考えるということで、お考えになるのが良いと思いますが、ただ、理屈から言っても、なかなか法人税の代替財源ということについて言うと、因果関連を結びつけるのは難しいかなということですね」
島田キャスター
「白川さん、パチンコ税もあり、こちらの携帯税もあり、どうですか?」
白川氏
「神野さんがおっしゃった通りであって、望ましくない消費行為という判断する必要性がどうしても出てくるので。その問題を乗り越えられるかどうかだと思いますね。国民にどう説明するかということですから、そこは気になるところですよね」

世代間税負担の格差是正 貯蓄税の是非と課題
島田キャスター
「税制論議の中で、世代間格差や所得格差が生じる税負担の不公平感をどう払拭していくとかというが大きな課題となっているわけですが、実は白川さんが世代間の税負担の格差を解消する新しい税のアイデアを持っているということで、それが貯蓄税と言うんですけれども、これはどういう税なのでしょう?」
白川氏
「基本的には、金融資産残高に課税するという発想です。ですから、消費であり、所得であり、これはフローの経済活動、付加価値に対してのGDPというイメージですが、それに課税をするという考え方ですけれど、ストックの課税、これはもちろん、固定資産税もありますし、相続税もあるわけですけれど、相続税であると亡くならないと当然課税はできませんし、固定資産税というのは当然ありますけれど、固定資産はあまり動かないものですから。金融資産だけは膨大に増えていってしまいますから、増えていっている、金融資産と言いますと、ストックに課税をしていくという発想を持つことはできるのだが、そんなに難しくやらなくても、簡素にやれるかもしれないとうことと、比較的低い税率で、相当税収があがる。ですから、たとえば、870兆円ぐらいが預貯金であるんですね、個人が持っているのが。企業ですと220兆円から230兆円ありますけれども、でも、0.1%かけても8000億円、1%だと8兆円。ですから、0.1%という、一種の口座利用料みたいなものを取っても、相当の税収が上がるということにはなると思います。1人の人が生きてから死ぬまでの間に、所得を得て、退職金をもらって貯蓄をするという行為からすると、1人の人間でみれば、別に世代間、1人の人間が若い時から年寄りまでやりますから、これは別に同じ負担をすることになりますけれども、一定の時期でバチッと切りますと、だいたい、貯蓄というのは高齢者に偏っていますから、どちらかというと高齢者の方の負担が割と大きくなって、もともと貯蓄を持っていない若い人達には、相対的に負担は小さいと。ですから、低い税率で、たとえば、100万円に0.1%かけると、これは1000円ではないですか。その1000円は可処分所得で見た時の税率と、高い人達では当然、貯蓄を大きく持っていれば、これはどちらかというと累進性がつくようなイメージ。それから、私が思っているのは、社会保障負担が大きくなってくる中で、若い人から負担してもらわなければいけないと。ただ、貯蓄を持っている方々からは、いわゆる富裕層の高齢者の方々に社会保障をかなり負担していただくと。そういうイメージもあるということですね。ですから、若い人達も当然負担してもらわなければいけないのですが、そこを軽減する効果がある可能性があるという」
反町キャスター
「寝ているお金を動かすことが目的だとするならば、それはある意味、リスクマネーに投機するという意味もあると思うのですが、その形というのは本来、たとえば、我々が銀行に預金していたならば、銀行が、たとえば、どこかに融資するという、銀行の判断、金融機関がやるべき話を、それを銀行がやらずに、国債を買っているとよく言われますけれども、銀行がやるべき仕事を、今度は預金者に寄せているんですよ。責任を横にずらしているだけではないのですか。僕らの問題ではなく、金融機関がやってくれよという話ではないのですか?」
白川氏
「それは、そういう批判もあって然るべきだという気はします。つまり、眠っているお金を動かした方がいいよねという発想をする時には、本来はそういう施策を中心に据えるんだというのではなくて、リスクをとって、お金が回るような規制緩和とか、供給サイドの施策を組みあわせていかなければいけない。たとえば、預金者に『あなたたち、お金を動かして、いくらか投資をしてください』ということを本来言おうとしているものではないんですけれども、そうなってしまうリスクがありますから、それは別途、当然、手当てをしていかなければいけない。そこにこの税の弱みですね、ディスアドバンテージがあるんです。つまり、副作用が出てしまう、必要以上にリスクマネーが動いてしまった時にどうするかとか、そこは別途手当をしなければならない施策だと思いますね」
島田キャスター
「どうでしょうか。白川さんの貯蓄税というのは。アイデアですけれど」
野田議員
「アイデアとして承りました。いろいろメリットもあるが、一方でデメリットもだいぶあるということをご承知のうえで、ご提案なさっているということもあるので、大変だけど、現在の日本の財政状況等々、深刻にお考えいただいている結果だなと思って受け止めています」
反町キャスター
「870兆円というのは課税対象としては魅力的に見えるものですか?」
神野氏
「そうですし、白川さんのご提案について言えば、公平性も考えると、フランスではつくったり、つくらなかったり、いろいろとやっていますが、純資産税、その人の持っている財産そのものに、低率で零点何パーセントという、スウェーデンもかけている」
反町キャスター
「預金も、株式も、資産も全部」
神野氏
「そうです。全部あらゆる資産をかけると。これは世代間の公平も、それから、世代内の公平も確保できますので、これは補完するというか、1つの税金として考えられる話ではないかと。そこまでいけば」
野田議員
「皆がちゃんと正直に申告する体制があればいいんだけれども、だいたい現在でさえ、外国に逃げちゃうとか、いろんな資産運用も多面化しておりまして、昔なら閉鎖的なお金の動きで良かったのだけれども、国内で。アメリカみたいに追跡できるような、所得税でもそこまでやれる徹底した番号が入っていて、それを免れた場合には厳しい懲罰がくるという裏打ちがないと、結果的に、僕は税の責任をやっていて、正直者が損をするという仕組みは避けなければいけないというのは、実はあるんです」
反町キャスター
「正直者が損をするのを避けるために、番号制度を導入するということはどうなのですか?」
野田議員
「だから、番号制を導入する、マイナンバーを入れるんですよ。だけれど、入れるんだけれど、現在のところ、まだ金融資産については対象になっていないから。金融資産を対象にして本当に良いのかどうかという決断がまずあるというのが大事なことで、まだそこにまで至っていないという日本の現実がある」
反町キャスター
「金融資産に対するマイナンバーを導入すべきかは」
野田議員
「当然、入れるべきです」
反町キャスター
「そうすると、透明性が高まって総合資産課税の道も見えてきますよね」
野田議員
「それでじゃなくて、いろんな相続に対する問題であり、いろいろな意味で出てくるんですよ。生活保護だとか、いろいろあるではないですか。資産調査をするようになっている。いろんなところでやるんだけれども、現実には、そこはどこまでできているかという。そのへんがいろいろあるけれども、給付付税額控除とか、いろいろある中で、どこまで本当に捕捉できるんですかという。税務職員を十倍ぐらい増やすなら別ですよ。だけど、そうはできないんだから、そういう中で正直な人だけが割を食うようなことは、というのは実はあります。だから、これは強権的にやれば、それは中国だとか、いろんなところだったら、ひょっとしたら党の力でガンとやればいいかもしれない。だけど、そういうわけには我が国はいかないですよね。ですから、ある程度、国民の理解がないと強権でもってやる税、それは税ではないと私は思うんですよね」

これからの税制のあり方 法人税減税の効果
島田キャスター
「法人税減税は効果のある減税なのでしょうか?」
白川氏
「効果があると思いたいというのが私の基本的な考え方ですが、本当に減税したものが企業の手元資金にだけなって、貯蓄されてしまうだけかもしれないというリスクは非常にあると思うんです。今年度は実はかなり財務省ががんばって、減税もかなりやっているわけです。我々もその数字が出てくると思っていますし、設備投資主導型の景気回復になってくると、かなり日本にとっては良い話なのですが、そういう形になるのかとか、本当に日本に空洞化せずに残ってくれるのかとかですね。しかも、その時に5%という税率の引き下げだけでどういった効果があるのかとやっていくと、結構苦しいと思うんですね。苦しいというのは、これで日本経済が良くなりますねというのは非常にしにくいと思うんですね。ただ、世界的に見て高いベースだとはわかる話ですし、比較してマーケットでもわかっている話ですけれども、そのことと本当に経済の効果があって成長率が上がるのかというのは…成長志向に持っていくのが非常に大事だと思います。ですから、逆に言うと、課税ベースを拡大していくような議論をセットでやった時に、それも成長志向の可能性があるわけですから、ただ、それを本当に数量化して経済の中に、成長率の見通しを折り込んでいくのは簡単ではありませんし、やってみたら効果がなかった時に、どのようにして誰が責任をとるのかというのは絶えず頭にあるんです」
反町キャスター
「株価対策としての法人税減税というのは?」
白川氏
「それはあります。極端に言うと、法人税が下がった分、一株利益が上がって、計算上株価が上がるという投資家がいますので、ただ一時的効果でしかないですし、二次的な効果は勘案していなくて、本来であれば二次的効果の方が大事ですね」
野田議員
「どういう企業が日本に来てやりたいのか。産業投資をやりたいか、産業投資を本当にやりたいなら、法人税率の前に利益が上がるということが大前提にならなければ…でしょう」
反町キャスター
「法人税の減税はあまり効果がないと思っています?」
野田議員
「効果はないとは言いません。利益がなければ、法人税ゼロでもないんです。だから、日本でどういうビジネスをしたいという企業があるか。それをよく分析しながら、日本に来たい人は来てもらう。それにふさわしい日本の体制をつくってあげるということでないと、目先の株式市場だけのテクニカルな話で、短期的なお金の動きの中で自分らが儲ればいいよと言うなら、儲らなければスッといなくなるわけでしょう。そのために、我々が国を上げて何をいったいやっているんですかと」
反町キャスター
「ただ、アベノミクスの現在の状況というのは現状PKOと言われる株価対策に対して非常に熱心に取り組んでいるようにも見えるんですけれども…」
野田議員
「安倍総理が『法人税も成長志向へと改革しなければなりません』と言うのは、単に税率の引き下げだけの話ではないんですよと」
反町キャスター
「成長志向の法人税とは何ですか?」
野田議員
「ある意味では、課税ベースを広げることによって、より重点的にこれからの雇用なり、日本の生産性を上げてくれるような企業をあと押ししてあげたいと。3割ぐらいしか実際に納めていないという現実でいいのですかと。メリハリをつけるという意味で、課税ベースの拡大によって、税率の引き下げの財源を埋めるんですよと言っているのは、そういう意味があるんです。だから、法人税の構造改革だということです。成長志向への改革とはそういうことです」
島田キャスター
「法人税だけ下げるの?と一般の人はちょっと思うところがあると思うのですが、この点はいかがですか?」
神野氏
「そうですね。下げるのだったら、余裕があるんだったら消費税の増税をやめてよという話になっちゃいますよね。なので、成長志向の税率は下げるけれども、ベースはきちんと広げますよということでないとなかなか国民の合意も得られないのではないかと考えています。なので、ベースを広げて税率を落としていく。逆の考え方もあるんですね。逆は、成長するためには、投資をしてくれということをやるためには、そこだけは、たとえば、非課税にしますよと。その代わりに税率は高くないと効果がない。逆にという考え方もなきにしもあらずですが、現在の場合には世界各国とも税率を引き下げるという方向にいっていますので、ベースを拡大するという組み合わせでやるということが大事だと思います」

法人税減税はやるべきか
野田議員
「僕は、本当は法人税引き下げ、税率引き下げの議論はまだ早いと本音では思っています。なぜかというと、それは安倍内閣になって最大の当面の課題はデフレからの脱却だったんです。ですから、一般的に法人税を減税しても投資につながるとも限らない、賃上げにつながるとも限らない。皆、借金返しだとか、内部留保になっている。だから、むしろこれをどういうふうに賃上げにつなげてもらうか。あるいは投資につなげてもらうか。成長のために研究開発が不可避なことですということで、ターゲットを絞って、一般的な税率引き下げよりも、むしろ大事なのは今言った3つの世界。陳腐化した設備に投資をしてもらう、研究開発に力を入れてもらう、賃上げをやってもらうと。この3つを柱にして我々はやってきて、この法律が通ったのはこの前の3月なんです。まさにこれを活用してもらわなければいけない。一番大事な時に、まるでこの話がどこかへ行っちゃって、何をやっているんだという思いが率直に言ってあります。だから、現在やるべきことは、せっかくつくったこれだけの政策減税を最大の効果が出るように、皆さんまずは活用してくださいというのが本筋で、それがある程度軌道に乗って、その次の姿に実は税率引下げがくるんですね。ですから、まだそれでも多少アナウンス効果があるでしょうから、この政策減税の充実だけではなく、その次の段階を目指した場合には、こういう次のシナリオもあるんですよという脈略の中でこの議論は考えていかなければ、まるでこれまでやってきたことが、効果のなかったような顔をしたら話にならないですよ」

増税とその使い方 消費増税はどこまで?
島田キャスター
「日本の消費税はどこまで上げなくてはいけないのか?」
神野氏
「国民が、自分達が受け取る社会保障を中心とするサービスをどう評価するかということで決めるということですね。増やしたいから税率を上げていこうと決めるということだと思います」
反町キャスター
「どういうバランスで今後、日本は財政の健全化をはかっていくべきか。どういうふうに考えていますか?」
野田議員
「1つの戦略を定めたわけです、2年前に。それが消費税と社会保障の一体改革。とにかく世界や歴史にもないレベルに現在日本の高齢社会はなっていますが、さらにこれから2025年に向けてハイスピードでいく。そうすると毎年50兆円ずつ、現在借金残高1000兆円で、毎年50兆円ずつ増えているんですよ。10年間ずっといったら1500兆円になってしまう。まずそんな中で金利が現在のままというのはあり得ない。そうなったら、全部がパーです。ですから、そうならないようにどうするのか。そうであれば、増え続ける社会保障のお金の裏付け財源。これまでは他の予算を削って持ってきたり、借金をして持ってきたりして給付の増えるのをカバーしていた。もうこれ以上は出ない。従って、これから先は社会保障の増大には財源はもう3つしかない。消費税、社会保険料、あるいは自己負担、これしかない。それができる範囲の中の給付の増加を考えるしかないんです、その現実を見てくださいと。それでも当面、借金は増え続ける。そういう現実があるんです、その代わり、消費税の使い道は、今度は少子化も入れて、4分野以外にはびた一文も使わないんです。だから、そのお金はもちろん、防衛費、現在でも使っていませんが、公共事業や借金返しにも使わないです。専らそこだけです、ミシン目を入れて遮断をする。それでも実は大変です。寿命が10年以上伸びてきたわけで、本人1人の給付と負担、見返りの利益は同じであったとしても該当者がどんどん増えるわけですから。これをどうやってカバーするのですかということを真剣に考えてください。皆で一緒に考えましょうよというのが今回の税と社会保障一体改革です。だから、私は使う人、あなたは集める人、この役割分担はないです、1つです。それがあって僕は現在、兼務しているわけです。税制と社会保障の方と、これまで別々だった。よりよく給付したいと思うから、そちらに一生懸命にいくと、公費負担という名前でどこかから金持ってこいという話になる。そうは言っていられない」

野田毅 自由民主党税制調査会長の提言:『国民の理解』
野田議員
「上から押しつけるような話ではなくて、国民の理解がなければ成り立たないです。同時に、マスコミにもご協力いただかないといけないので、事実を国民に知らせてほしいということです。無駄遣いしているとばかり言うから、国民もそう思います。ですから、消費税の使い道は社会保障にしか使わないですと。ヨーロッパでもそういうことにはなっていないんです。日本だけです。ですから、そういったことを含め是非。そうすると国民の理解も深まっていく」

神野直彦 政府税制調査会長代理の提言:『文明の対価』
神野氏
「租税は文明の対価だと、有名なジェフリー・サックスという経済学者の言った言葉をそのまま書きました。租税というのは、国民が悲しみを分かちあうために払うものであって、成功した者、豊かな者も国家の苦境に対しては、率先して手を差し伸べるべきである。それが真の文明国になる条件だと言っていますので…本当に悲しみを分かちあうということがなく、他の人からとってきてくれということでは、自らの責任を積極的に果たそうという雰囲気は感じとれないと思っています」

白川浩道 クレディ・スイス証券チーフエコノミストの提言:『徴税力』
白川氏
「ちょっと過激に聞こえるかもしれないのですが、財政の問題は、本当に厳しい状況だと思いますね。ですから、消費税30%でも足りないかもしれないと私は思うのですが、その中でいかにして効率良く効果が上がる形で税金をとれるかということが重要で、その議論からすると、私は金融資産に課税するというのが1つのアイデアだと思います」