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2014年7月18日(金)
マレーシア航空機撃墜 ▽ 個人情報ビジネス課題

ゲスト

畔蒜(あびる)泰助
東京財団研究員・政策プロデューサー(前半)
小泉悠
未来工学研究所客員研究員(前半)
山本一太
IT政策担当大臣 自由民主党参議院議員(後半)
佐藤一郎
国立情報学研究所教授(後半)
城田真琴
野村総合研究所上級研究員(後半)


前編

マレーシア航空機撃墜か ウクライナ東部の上空で何が
反町キャスター
「マレーシア航空機が墜落したドネツク州のこの地域は軍事的にはどういう状況になっているのですか?」
小泉氏
「6月の末以降にウクライナ政権が非常に掃討作戦を強めていまして、1つには、北西の方から非常に強い攻勢を行っていて、特に親ロシア派がずっと拠点にしていましたスラビャンスクといった主要都市が陥落しまして、ドネツク州の中心部に後退せざるを得ない状態になっています。2つ目はアゾフ海側から攻勢を行っていまして、ロシアとの接触点を絶とうと、こちら側から回りこもうという作戦を行っていると。ちょうど今回の墜落地点はどちらでもない真ん中の方ですね。それほど激しい激戦地ではないと思いますが、戦闘地域の一部であることは間違いないです」
反町キャスター
「撃墜したとすれば、ウクライナ、親ロシア派、ロシア、どの勢力だと感じていますか?」
小泉氏
「現在のところ、一番可能性が高そうなのは、親ロシア派武装勢力ではないかと考えているんです。と言いますのは、まずウクライナ軍が攻撃するというメリットが全く考えられない。旅客機を撃墜しても国際的な支持は得られませんし、あるいはロシア軍機を撃墜してもロシアの軍事介入を招きかねないわけですし、そうかと言ってそれに代わるメリットがあるかと言えば何もないわけで、これはロシア軍についても同じことですね。一方で、親ロシア派はこれ以前から非常に激しくウクライナ空軍に攻撃を行っていまして、7月1日の時点でウクライナ軍のヘリコプターの4分の1が撃墜されました。これはごく最近のものですが、本格的なジェット攻撃機が落とされて、様々な損害をこれ以前にも出しているわけですね。ただ7月14日の撃墜は程度が違っていまして、これまでは超低空で飛んでいるような軍用機に対して歩兵による簡単な肩撃ち上げ式ミサイルだった。ところが、7月14日の撃墜に関しては、これは高度6500mという非常に高い場所です。(肩撃ちミサイルは)だいたい3500mが限界と言われています。6500mは明らかに違うわけですね。目で見えませんから、レーダーか何かで探知をして、誘導してという大がかりなシステムがなければできないわけです。ですから、この時点で親ロシア派が既に何らかの大がかりな防空システムを持っていたということが考えられます」
反町キャスター
「使える武器としてはどういう武器があるのですか?」
小泉氏
「おそらくこのへんの地域なので、ロシア製の防空システムを使うことになると思うのですが、注目されるのが6月の末頃、ドネツク州の親ロシア派の武装勢力が、日付が6月29日というように入っていますが、これは親ロシア派がつくったサイトなのですが、6月末の時点で親ロシア派がドネツク州にある地対空ミサイルの連隊基地、A0412基地というところをドネツク人民共和国、つまり、ドネツクの親ロシア派特別部隊が占拠したというように書いてあるんですね。この地域には強力な長距離防空ミサイルシステムがあるというように、ここに書いてあるわけです。つまり、6月末の時点で親ロシア派が既にこういったウクライナ軍から強力な防空システムを手に入れていた可能性があるということで、ここに載っている写真でいうと、ルークというソ連時代に開発された中距離防空システムです。これはだいたい20000m以上の高度くらいまでは撃墜することができますので、10000mの非武装の軍用機でしたら十分撃墜できるだろうと思います。仮に、親ロシア派が本当に撃墜したとした場合、ウクライナ軍の輸送機を発見したので、同じように攻撃したというつもりでいたのではないかと思います」
反町キャスター
「親ロシア派武装勢力によるネット投稿でアントノフ26型機を撃墜したとあったのですが、アントノフ26型というのはそんなに高いところを飛ぶのですか?」
小泉氏
「これはプロペラ機ですので、こんなに高いところまで上がれないと思います。この発表をした人があまりわかっていなかった可能性があります。ウクライナ側の報道では、もっと大型のジェット輸送機と間違えたのではないかという話もありまして、それでしたら十分10000mまで上がりますから、速度も速いですので、旅客機とレーダーのうえで見る時に区別がつかないという可能性は高いと思います」

緊迫するウクライナ情勢
反町キャスター
「ウクライナの軍事情勢は現状どうなっているのですか?」
畔蒜氏
「6月7日にポロシェンコ大統領が正式就任すると。その直後に実はウクライナ、ロシア、ヨーロッパ、OSCEで、ウクライナ東部の収拾に向けたいわゆる連絡グループというものをつくり、そこから事態の収拾、安定化に向けて初めてウクライナ政府とロシアがヨーロッパの仲介で直接話し合いをするという枠組みができました。それを受けて、6月18日にポロシェンコ大統領から20日から10日間停戦をするということを言い、実際に20日から停戦が始まると。これは一方的な停戦宣言だったわけですが、それを受けて、このコンタクトグループの枠組みの中で、ウクライナ政府、現在戦闘を行っているウクライナ東部の親ロシア派勢力、それから、ロシア、OSCEの4者で初めて接触があり、6月23日にウクライナ東部の親ロシア派勢力も停戦に応じるという形で、ここまでたどり着くわけです。ところが、その後も散発的な攻撃が勃発していく中で、27日にきた停戦期限を3日まで延長したわけですが、そこでプーチン大統領、ヨーロッパのドイツのメルケル首相、あるいはフランスのオランド大統領、この現在の停戦状況という形は継続すべきであると。散発的な戦闘が続いているにせよ、継続をしていく中で、安定化に向けて対話を継続していくべきだという形。ところが、その一方で、一貫してウクライナの政府、あるいは欧米諸国から、ロシアに対しては、実はこのロシア領から、ウクライナ東部に向けて人の流れ、モノの流れが止まっていないではないかという批判があって、その中でプーチン大統領は停戦の延長を条件として、ロシア側の国境にOSCE並びウクライナ政府の監視団のようなものを常駐させるという提案をして、それをヨーロッパ諸国も支持し、ウクライナ政府もいったんはそれに合意をしたと言われたのですが、直前で実はポロシェンコ大統領がこれを拒否して…」
反町キャスター
「何で拒否したのですか?」
畔蒜氏
「わからないです。1つの可能性としては、実はウクライナ政府の中にはまだまだ戦闘を継続したいという強硬派の人達もいるわけですから、必ずしもポロシェンコ大統領が彼らを押さえ切れていないのではないかという見方も一方でありますし、もう1つは、これはロシア政府の見方ですが、直前で欧州もロシアもウクライナも途中までは支持していたものがなぜか突然ひっくり返ってしまったのかという中に、外部からの圧力があったのではないかと。これはロシア側の外務省の見方ですね。この外部というのは、明らかにアメリカを示唆しているわけですが、そのへんは実際にどうだったのかという経緯は別として、そういう形で結局、ここで最終的に戦闘が7月1日に再開され、結局、人の流れ、モノの流れが変わってないではないかという中で、7月16日にアメリカが追加制裁を発表すると。それにヨーロッパも一応アメリカほどの強い制裁ではないにしろ、それに追随をするという形でヨーロッパもそれに続いたというのが現在の状況です」
反町キャスター
「ロシアとしては、肩入れしていないという姿勢を見せようとしたにもかかわらず、キエフ側から拒否されて、アメリカからは追加制裁をされると、踏んだり蹴ったりではないですか?」
畔蒜氏
「ある意味、今回のできごとに関し、そもそも停戦が続いていたら、こんなことは起こらなかったのではないかという発言をプーチン大統領はしていますし、もう1つ、よくわからないのは、なぜこれだけの戦闘行為が行われているこの場所を完全に飛行禁止区域に指定しなかったのか、ウクライナ政府が。これはウクライナ政府のやるべきことで、なぜそれをやらなかったのかということも含め、これはウクライナ政府側も、仮にやったのが親ロシア派勢力だったとしても、ウクライナ政府にもそれなりの過失があったというように私は思います」
反町キャスター
「親ロシア派は、ルガンスク州とドネツク州の2つの州に押し込まれている状況と見ていいのですか?」
畔蒜氏
「その通りです。それがためにロシアでは、特に親ロシア派勢力に対する支持をしている、どちらかと言えば、ロシアの保守派の人達の中から、むしろプーチン大統領に対する批判が強まっていると。つまり、何で動かないんだと、見捨てるのかというような声も上がっていまして、実はプーチン大統領としても、このウクライナ東部の親ロシア派勢力の人達の扱いは非常に難しいと思います。それはクリミアの編入をやった時は、黒海艦隊の問題、NATO拡大の問題、戦略的な判断からやったということはまずあるのですが、それと同時にロシアのナショナリズムの高まりというところにあと押しをされて、そこに踏み込んでしまったということもあって、それはそれで、ただクリミアを編入するというオペレーションは成功したわけですが、それがためにロシア国内のナショナリズムにある種火をつけてしまった部分がある。現在ウクライナ東部にどんどん人、モノが流れているという状況の背景に、そういうロシア国内におけるナショナリズムの高まりとの関わりというところが実は背景としてあると言っているから、プーチン大統領はいつか我々の主張を受け入れて、きっと助けてくれるというのが彼らの考えです。ですから、プーチン大統領からしたら、かなり困った人達ではあるんだと思います」

東西対話に向けた道筋は
反町キャスター
「今回の件で、親ロシア派とキエフの話し合いが進むのではないかと。その可能性をどのように見ていますか?」
畔蒜氏
「ロシア、ヨーロッパも含めて、それから、一番大事なアメリカが積極的にこの停戦の流れをつくって、事態の安定化に向けた話し合いの場をアメリカが積極的に(すると)。実はこれまでやっているのはヨーロッパですよね、アメリカは一貫してキエフ政府の判断を支持するという言い方をしていて、アメリカがこの停戦に積極的にかかわっていくという状況はまだ見られない中で、ここが1つのカギになる。そういう意味で、実は今回の事件は一歩間違えたら本格的な戦争に突入しかねないものだったとすると、これを機にまず少なくともこのクライスをどうマネージしていくのだという意味で、それこそ、そういうメカニズムをつくるというところから入っていき、その事態の安定化に向けたソフトランディングの形への方向に持っていければというように考えられます」
小泉氏
「畔蒜先生がおっしゃったように何らかの問題解決のメカニズムを使って、現状では水かけ論で、お互いが悪い悪いと陰謀論になっていますから、まず国際的な現状保全と監視、最終的な問題解決なり、飛行禁止区域の設定なども含めた再発防止、そういったことも含めて、国際的な枠組みをまずはつくるということに一歩踏み出すことが大事なのではないかなと思っています」


後編

ベネッセ顧客情報流失問題 約1020万件流失の深刻度
佐々木キャスター
「安倍政権としては、パーソナルデータの利活用を進めたい中で、起きたこの事件をどう捉えていますか?」
山本大臣
「こういうことがあると、真面目に個人情報を取り扱う仕事をやっている事業者とか、あるいはこれからパーソナルデータの分野に進出していこうという人達の健全な、自由な経済活動を、阻害する結果にもなりかねないと、イメージ先行になってしまうので。その点について非常にこの話というのは罪深いと思っています。ただ、同時にこれはパーソナルデータ利活用からいくと本筋の話ではないとはいえ、この問題で浮き彫りになったところもあると思うんですね。現在の仕組みで少し対応しきれない面があるのかとか、こういうところは1つの材料として使わなければいけないのかなと思います」
佐々木キャスター
「大量に流出した今回の事件で、産業界というのはどういう影響を受けると思いますか?」
城田氏
「これまでもパーソナルデータを使ったビジネスを考えている企業としては少し個人情報保護法上問題があるのではないかと、萎縮していた部分がありましたけれども、今回の事件でますます萎縮してしまうようなマイナスの面での影響というのは多分にあるのではないかと思います」
反町キャスター
「萎縮とはどういう意味ですか?」
城田氏
「活用しようと思っていてもひょっとしたら何かマイナスなイメージといいますか、個人情報保護法に抵触してしまうのではないかと思って活用に踏み切れないと、一歩足を踏み出せないことになると、そういう意味です」
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菅官房長官 11日会見での発言
現行の個人情報保護法の手続きでは…(流出情報の)全体を消去できるわけではないので、今後検討していく必要がある…政府としては改正という方向で考えて行きたい
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佐々木キャスター
「菅官房長官の発言についてはいかがですか?」
山本大臣
「要は、現在の日本のパーソナルデータ、個人情報の世界というのはグレーゾーンなんですよ。だけど、そのグレーゾーンの方がいいという人達もいるんです。グレーゾーンの中でビジネスをしていた方がいいと思う人もいるんです。ちょっとグレーゾーンの中に、第三者委員会などいろんな話があるのですが、現在あるグレーゾーンでルールをつくったりすると、これがそのまま規制強化につながるみたいな考え方があるんですね。ただ、こういう事件があると一気に規制強化に振れてしまうと。だから、どうしても言いたいのは、持続可能な仕組みにする。ルールを決めて持続可能な仕組みにする方がもっと健全な企業が入ってきて経済活性化につながる。そういうメリットが多いということだけ、今日は言いに来ました」

パーソナルデータの利活用 どのように制度改正
佐々木キャスター
「個人を特定しないのであれば、個人情報を本人の同意がなくても第三者に提供することができるということが検討されているのですが、個人を特定しないという作業を、事業者が行うのか、第三者が行うのか、どうなっていくのですか?」
佐藤教授
「同意なしで第三者に提供とはインパクトのある名称ですけれど、何をしたいのかと言いますと、これまでパーソナルデータ、特に個人情報と言われているところは、渡すためには同意をとらなければいけない、でも、同意をとるのはすごく面倒という意見が産業界から出ていて、とらないで渡す方法はないかと。実はもう一つやり方があって、個人情報から個人を特定する、何処の誰かがわかるという情報を取り去った情報に関しては、それはもう個人情報ではないので自由にやりとりができた。ただし、そういう情報というのは、ある意味できれいになっているんですけれども、利活用はしにくいと。利活用したい時には実は個人を特定したいわけではないんですけれど、何か個人の行動がわかりたい。あと、さらに何に関心があるとか、こういうものを買っている、そういう情報を利活用したいというものがあります。なので、あまり匿名化と言われている技術を使って、加工し過ぎると結局使い道がなくなるので、ある程度加工してもらう。具体的に言うと、名前をとってもらう、住所をとってもらう、生年月日だったら月日ぐらいはとってもらうぐらいはしていただく。そしてそのデータを第三者に売ると。イメージからすると、たとえば、住所の番地をとる。場合によって丁目をとる。区もとる必要もあるかもしれません。生年月日であればこういった月日の情報をとるとか、顔写真とか、指紋という直接個人を特定できる情報はとる。ビールとかでも、どこどこビールと書くとわかってしまう可能性があるので、アルコール飲料というような形で書く。そうしたデータを売り買いしている。ただ、この情報も、完全に個人が特定できないかというと必ずしもそうではない。そのためにデータを受けとった側、この場合で言うと、第三者ですね。B社の方で敢えて個人の特定をしない。これを禁止事項として、規律として加えることによって、パーソナルデータの保護と、利活用というのを両立させた方法をやっていこうというのがこの考え方です」

日本企業に馴染むのか
佐々木キャスター
「産業界全体としては、同意なしで第三者への提供ということに積極的なのですか?どういった声が聞かれるのですか?」
城田氏
「本音から言えば、使いたいと。使う価値はありますね。法律に抵触しないのであれば、どんどん使っていきたいという企業の方が圧倒的に多いと思います」
佐藤教授
「今回の法改正で感じたのは、データを売りたい企業と、買って使いたい企業とで意見がだいぶ違っている。たとえば、ネットビジネスは、これまでですと広告を表示して、広告を見てもらうことで、そのサービスを使ってもらう。いわゆる広告料で稼いでいたわけですね。PCの時代であれば広告を表示するスペースはいっぱいありました。画面が大きかったから。スマートフォンになってくると、だんだん広告を表示するところが少なくなってくるんですね。現在起きているビジネスは、何らかのビジネスを提供し、利用者に使ってもらって、利用者のパーソナルデータを収集して、そのパーソナルデータを他の企業に売るというビジネスが増えてきている。たとえば、Twitterもそれに近いところにある。これからそういった企業が増えてくる。そういう企業からすると、いかにデータを売りやすくするかというところに着目される。その動きを、データを売るから否定するかというと難しい問題で、利用者から見るとそのサービスが利用できているわけですから、それはそれで、そういうビジネスがあっていいわけで、その中でいかにパーソナルデータを保護していくのかが我々の課題だと思っています」

第三者機関の在り方とは
佐々木キャスター
「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱のポイントで、第三者機関の体制整備ということがあります。これはどのようなことをイメージされているのですか?」
山本大臣
「たとえば、事業者の方は先ほどから出ている社会的な批判を恐れずに、安心して参入できるルールがあってほしいと思っているし、消費者の方も安心して第三者に提供してもらえるような環境をつくりたいと、そのためにはばらばらではなくて、パーソナルデータを一元的にきちっと監督する、運用する、法執行をきちっと担保するという機関があった方がいいということで、第三者機関をつくり、そこが分野横断的に、たとえば、今回の名簿の話はあまりもうしたくないのですが、担当している官庁が曖昧だという問題がありましたね。第三者機関だったら、こういうところにもきちんと入っていけるということで、かなりいろんな権限も加えましたから、そういう形で個人情報保護と、それから、パーソナルデータの利活用促進をバランス良く進めていく機能を、第三者機関が果たすということになるんだと思います。もう1つは諸外国、地域。第三者機関を設けているところが非常に多い。アメリカはご存知だと思いますけれど、有名なFTCがありますよね。連邦取引委員会ですか。あるいはイギリスにも確かIC、インフォメーションコミッショナーがあるし、ヨーロッパにも同じようなものがあるし、それから、フランスにもクニールというものがありますから。ですから、国際的ないろんな調和、整合性をはかるという意味でも第三者機関があった方がいいという考え方です」
佐藤教授
「パーソナルデータは、実は日本だけの問題ではなくて、パーソナルデータというのはネットワークを使って世界中を行き来するので、世界との整合性が大切で、残念ながら、パーソナルデータを扱う役所がなかったので、海外と交渉する、たとえば、日本の住んでいる方のパーソナルデータを守るために、海外と交渉しようとしても、日本には機関がないから、交渉できないという問題がありました。今回、第三者機関をつくることによって、海外と交渉のテーブルにやっと座れるようになった。こういった交渉ができるようになって、日本に住む方のパーソナルデータがかなり安全になるのではないかと我々は期待しています」

ベネッセ顧客情報流失 パーソナルデータ利活用と保護
佐々木キャスター
「ベネッセグループの漏洩事件で、浮き彫りになった点ですが、名簿業者など中間業者に関しての扱いについて、大綱ではどうなっているのでしょうか?」
佐藤教授
「今回の法改正で考えていることは、オプトアウトをちゃんとやっている会社とやってない会社があって、やっている会社はいいのですが、やっていない会社に対してどう指導、改善していくかというのが問題なので、我々が考えていることは、まずオプトアウトの手順というものを明確化する。オプトアウトの仕方というものを第三者機関の方に届出するというような形で、一定のオプトアウトのやり方というのを担保させていこうというやり方です」
反町キャスター
「既に出ちゃっていることについてはどうしようもないのですか?」
佐藤教授
「出てしまった情報に関してはそれをすべからく削除する方法はない。最初に、まず出さないということを考えるしかない。ただ、不正に入手した情報に関しては、法律的に制限することができるので、そこが1つの判断基準になると思います」

企業と顧客の信頼関係は
佐々木キャスター
「海外の名簿業者の実態としてはどのようなものがあるのですか?」
城田氏
「アメリカでは名簿業者というのは、もう少し概念を広げて、名簿ブローカーという言われ方をしています。アメリカで言うと、約1500億ドルの市場を持っていて、一大産業になっているんです。そこは非常に幅広い情報を売っています。単純に、名前とか、住所とか、家族構成だけでなく、その人の収入とか、持ち家なのか、賃貸なのか、どんな車を持っているのか、趣味とか、趣向とかをある程度押えていて、幅広い情報を持って、やっています。日本の名簿業者よりも幅広い情報を持っています。ただ、あまりに一事業者が情報を持ち過ぎているというところで、プライバシー侵害につながるだろということで、FTCがそこに対して積極的に透明性を求める動きをしています。具体的にはそういう事業者がどういう情報を持っているのかということをきちんと消費者に説明できなければいけないということで、そういった声を受けて、あるデータブローカーは、オンラインでポータルサイトを用意し、消費者が名前とID、パスワードを入れるとその事業者がどんな情報を持っているのか、(自分のデータが)一覧で出るようになっている。自分の情報を使われたくなければ、そこからこの情報を消してくれとか、この情報はこう訂正してくれということができるようになっています」
反町キャスター
「それは民間の企業ですか?」
城田氏
「民間です」
反町キャスター
「アメリカの社会ではこういうものはしかたがないという受け止めなのですか?」
城田氏
「もちろん、それはしかたがないという感情ではない。もう1つ、問題になっているのは、その情報をいろんな人が持つことによって、社会的差別を受けることが問題になっている。たとえば、就職の時とか、家を借りる時、そういう情報を元に勝手に差別を受ける。ひょっとしたらその情報は間違っているかもしれないわけですよ。間違った情報を元に就職できないと、それは大きな問題だと」
山本大臣
「政府として何をやらなければいけないのか。ビッグデータの価値、効用。つまり、ビッグデータの中で利用価値が高いといわれているのはパーソナルデータであって、パーソナルデータの利活用によって、日本はこれだけ経済的に豊かになる、それが国民の生活向上につながるという、そこをきちっと政府としてもっとアピールしていくことも、両方やらなければいけないのではないかなと思います」

山本一太 IT政策担当大臣の提言:『持続可能』
山本大臣
「一言で言うと、このキーワードしかないと思うんですね。持続可能であるのかどうか。先ほど申し上げた通り、グレーゾーンのままでいいのか。たとえば、反町さんがうまみという表現されましたけれど、先行してる企業はリスクをとって智恵を使って参入していると。それはそれでいいことだと思うんですね。ただ、グレーゾーンであるがために、ベネッセのような事件が起こって、全体が急激に後退してしまうよりも、ルールを決めて、やる気のある事業者をどんどん参入できる状態をつくった方が、ビックデータの活用にもつながるし、日本経済の活性化にもつながると思っています」

佐藤一郎 国立情報学研究所教授の提言:『信頼』
佐藤教授
「個人と企業を比べた時に、個人は企業がパーソナルデータをどのように保護、使っているのかが分からない。でもその情報を出すというのは、その企業を信頼しているからです。逆に言うと、企業は個人からの信頼を得られなければ情報が集まらないという時代です。なので、いかにその自分たちのやっていること、データの使い方を見せるかということなんです。逆に言うと、言っていることとやっていることの違う企業というのは信頼を失って結局データが集まらなくなって、ビックデータの時代においては淘汰されていくことになるかと思います」

城田真琴 野村総合研究所上級研究員の提言:『・アクセル ・ブレーキ ・リミッター』
城田氏
「アクセルと言いますのはその名の通り、ビックデータ、パーソナルデータを使ってどんどん経済成長に活かしていこうではないかと。いろんな業界が協力して、データ活用で売上げを伸ばしていく、業績をあげていくと。その一方で、ブレーキと言いますか、ルールが必要であると。何でもかんでもやっていいと言えば、国民の信頼は得られないということですから、ルールを決めて止めるところは止める、締めるところは締めるということが必要だ、それがブレーキですね。3つ目のリミッターですけれども、こちらは自動車に例えると、技術的には何百キロでも出せる車はつくれると思うのですが、そうなると、必ず事故が起こる可能性は高まると。そういう意味で業界の自主規制としてリミッターというものをつくっているわけなので、そういったパーソナルデータに関しても業界の自主規制というものが必要になると考えています」