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2014年7月17日(木)
“北極海航路”実用へ 可能性とリスクを検証

ゲスト

大塚夏彦
北日本港湾コンサルタント株式会社企画部長 工学博士
金田秀昭
元護衛艦隊司令官 岡崎研究所理事
西元宏治
専修大学法学部准教授

冷たい海に各国の熱い視線 北極海航路の価値は
島田キャスター
「北極海で期待されるのは航路と資源。北極海航路というのはどういうルートなのでしょうか?」
大塚氏
「現在の世界の海上輸送貨物の半分がアジアが発着点になっています。アジアとヨーロッパの間の海上輸送路というのが南側を回って、マラッカ海峡を通り、スエズ運河を通り、地中海を通ってヨーロッパに行くと。これが現在の普通の海路ですね。今回取り上げています、北極海航路というのは名前の通り、北極海を通りまして、実はロシア側の沿岸を通って、アジアとヨーロッパをつなぐ海上輸送路になっています。北極海を通ると北極海とアジアの距離がこれまでの距離よりも3割から4割くらい短くすることができる。(1つ目のメリットは)距離が短くなって、日数が少なくなる、燃料も少なくなって、輸送コストが減っていくというメリットがあります。2つ目にチョークポイントのない海上輸送路、簡単に言うとその場所で何かが起きて通れなくなってしまうとまったく輸送路として成立しなくなる。急所のようなものです。具体的にはスエズ運河が通れなくなるとアジアとヨーロッパを結ぶ大動脈が止まってしまう、これがチョークポイントです。ところが、北極海というのは幸いなことに間に人がいなくてチョークポイントというのがない。ですから、そういうリスクがない航路ということになります。3つ目が北極海の資源調達、氷がかなり少なくなってきていまして、資源開発がやりやすくなった。それから採った資源を輸送する手段として北極海航路が使えるようになった。でも、もう1つ、現在採っている資源がだんだんいっぱいいっぱいになってしまって、少なくなってきてしまった。新しい埋蔵資源はどこにあるのかを探そうという時に北極が一番注目されていると。いろいろなメリットがあるわけですよ」
島田キャスター
「ヨーロッパからきているルートなのですか?」
大塚氏
「これは現在まさに走っている船の様子を紹介していまして、7月1日にちょうどノバヤゼムリヤという島の北側を通って毎日進んで行きました。1日あたりこのくらいの距離を進んで、氷がないと結構長く通れるんですね。ところが現在、先週ここで、氷がたくさんあって、4日でも少ししか進んでいないのですが、たぶんうまく抜けて、目的地まで来たと思うのですが、7月は大変なのですが、9月ぐらいになるとここの氷が全部なくなっちゃうんですよ。ですから、それこそ20日くらいで通り過ぎてしまう」
反町キャスター
「ここ近年、暖冬化に伴って、氷のない地域が広がってきた?」
大塚氏
「そうですね。特に2007年はエポックメイキングな年だったのですが、それ以降、ほとんど毎年、特に北極海航路側は9月になると航路上にほとんど氷がなくなってしまう」

日本の新たなシーレーンに 北極海航路の現状は
島田キャスター
「貨物船が単体で通れたりするのですか?」
大塚氏
「実は2012年までは単体で通ってはいけないことになっていたのですが、ロシアのルールだったのですが、ところが、ルールが昨年変わりまして、丈夫な、特殊な船で、氷が少なければ単体で行ってもいいですよというルールに変わりました。でも、実際安全のためには先ほどのような大きな立派なロシアの原子力砕氷船が前を走って、氷を割ってくれて、その後ろに貨物船がついていく、これが現在の段階では一番効率的な走り方だと思います。氷があったら全部氷を割ってくれるので、後ろの船は氷の心配をせずについていけばいいと」
反町キャスター
「不自由なく、通れるのは年間どのくらいなのですか?」
大塚氏
「多少不自由があっても商業用運行をしているのは、7月から11月の約4か月半から5か月くらいです」
反町キャスター
「年に半年も通れない?なのに、季節限定の航路に注目しているのは?」
大塚氏
「これは北極海の傍で取れる天然資源、そのへんで出る貨物を運ぶのが最も有効なわけです。距離が一番近いですから。先週日本の船が北極海で生産されたLNGをアジアに運ぶという記者会見をされたのですが、あれはまさに最も有利になりそうな貨物の1つです。先週のアナウンスは、それです」
島田キャスター
「商船三井ですよね。2018年を目指すと言うことでしたよね。特別な船をつくるというような」
大塚氏
「1隻350億円ぐらいする世界最強のLNG砕氷タンカーというのをつくる」
反町キャスター
「通常はいくらぐらいなのですか?」
大塚氏
「200億円くらいですね。1.5倍くらいになっています。ですから、逆にちょっと大きくなっているかもしれませんね」
島田キャスター
「現在の話は北極海の真ん中のあたりですか?」
大塚氏
「ヤマルLNG、これが現在ロシア、北極圏で開発が進んでいる場所です。先ほどおっしゃられましたように2018年の生産を目標にしている。そうすると、見ての通り、北極圏の割と真ん中なので、こちらに持ってくるには割と近いんですね、20日弱で運べると。ただ、真冬に運ぶのは大変なので、春から秋くらいはこちらなのですが、冬場はこちらの近い方に運ぶと」

その経済的メリットと課題は
反町キャスター
「冬場でもヨーロッパ・ルートは通れるのですか?」
大塚氏
「氷はかなり張るのですが、この船は強力なので自分の力でいくことができる。ただ、パイプライン(の敷設)はもしかしたら1つのチョークポイントかもしれません。あとロシアの北極圏のこういう場所というのは、地盤が真夏になると凍土が溶けて湿地帯になってしまうんですね。ですから、パイプラインを造るとすごくお金がかかって大変なんですよ。そうであるならばLNGにして、しかし、その代わりLNGということはロシア国内でなく輸出向けということになりますね。ちょっと計算してみたんですよ。ノルウェーの一番北のところで実際に現在生産しているLNGを、北極海を通って運んだらどのくらいになるか。そうすると、だいたい1トンあたり50ドルくらいかなと。ところが、スエズ運河を通って南周りで運ぶと。これは実際に2度日本にも運ばれているのですが、それを計算してみますと、かなり距離が長くなるので、そうすると、90ドルくらいになってしまう。何が違うのかなと見てみると燃料費がすごく違うんです。これは距離が近い、輸送する日数も少ない、そういうようなことがコストにものすごく響いたんですね」
島田キャスター
「半分以下になるのですか?」
大塚氏
「この場合には4割以上、距離が短くなって一番有利なケースになっているものですから、産地が北極にあって、北極海を通って日本に運ぶか、スエズ運河を通って日本に運ぶか。結果として、氷海を通るリスクはあるのですが、その分ハイリターンでもあるんですよ」
反町キャスター
「最初に到着するのが北海道だとして、北海道経済にどういうメリットがあるのですか?」
大塚氏
「北極海航路を通る時に、アジアに向かう時ほぼ間違いなく宗谷海峡、津軽海峡、もしくは日本の太平洋側を通るわけですね。つまり、地理的に日本というのはアジアから北極海に向かうゲートになっているわけです。つまり、ここが地政学的にも、ハブ的にも最も有利な場所になる」
反町キャスター
「北海道の一番大きな港はどこにあるのですか?」
大塚氏
「北海道では苫小牧になります」
反町キャスター
「ハブになる?」
大塚氏
「これは努力次第ではあるのですが、それは企業もそうですし、あるいは自治体もがんばらなくてはいけない。貨物をそこで生み出すという努力が、そこでは必要ですね。あとは国際的には韓国や中国の行き先を制して、韓国や中国に貨物できれば、苫小牧なり、北海道なり、あるいは日本のどこかの港に下して、そこから、あちこちにフィーダーしてほしいと。フィーダーというのは大きい船から小さい船に乗せ換えて送ると。こういうのを実は目指すチャンスでもあると思うんですよ」
島田キャスター
「デメリットは何かありますか?」
大塚氏
「北極海全体のところとして考えると、北極海というのはあまり港もないし、人もいないし、ですから、もし何か故障する、あるいは何か間違えて大きな氷にぶつかって事故を起こしちゃったという時に、それを助けに行く手立てがすごく限られるんですね。そういう事故のリスクが大きい。もう1つは、油、有害物質を流してしまうと、低温なので、それを自然分解する能力が低いので、汚染が長い間残ってしまうというようなリスクもあります」
島田キャスター
「暖かい海で航行するのと、北極海の厳しい寒さの中で船を動かすのは違うものなのでしょうか?」
金田氏
「そうですね。私もそれほど多くの北の海で航行した経験があるわけではないのですが、冷戦時代に、青森県の大湊市で護衛艦の艦長をやっていまして、その時は冷戦中ですから、宗谷海峡、津軽海峡というのは監視に出るわけですね、モニターに。私もそれを命ぜられまして、真冬だったのですが。宗谷海峡で3週間ぐらい監視任務につきました。たとえば、私の行った時期は流氷というのはほとんどなかったのですが、流氷があるよと、これは実際に昨年7月にそういう衝突事故があったのですが。流氷と貨物船が当たった。それは幸いたいしたことはなかったのですが、そういったことがあり得るわけです。たとえば、ウォッチを倍増するとか。そういうようなことも当然、必要になってきますよね。ですから、いろいろな面での負担が大きくなってきます。それは宗谷海峡ですから、それでもたいしたことはないと。北極海となれば、それはもっともっと厳しい状況になるわけですから。それは大変なことだと思います。先ほど、お話にもあったと思いますが、船の船体構造を頑強なものにすると。たとえば、二重底というものが強制的に必要になると思います」

資源開発の可能性と課題
島田キャスター
「北極海にはどんな資源が、どのくらい眠っているのですか?」
大塚氏
「地球温暖化でちょうど北極海の氷が減っていると言われた時期に、アメリカの地質調査所が北極海の資源調査の結果を発表したんです。それが採掘可能で未発見の石油資源が、同じ採掘可能で未発見資源の世界の中で13%ぐらい。天然ガスが特に多く、世界の採掘可能未発見資源の30%くらいが北極海にあるということを発表しています。ロシアは現在、陸上の資源が少なくなってきていて、どうしても北極海に出て行かざるを得ない状況になりつつあると聞いています」
反町キャスター
「氷結する海にプラットフォームは建てられるのですか?」
大塚氏
「既に1つが置かれて、北極海で昨年の12月から生産を始めたプラットフォームがあります。残念ながら、まだ深いところはできないのですが、水深が20から30mぐらいのところに、着底形といって海の底にドンと置く形です。まだ浅いところに限られますが」
島田キャスター
「日本は何か関わっているのですか?」
大塚氏
「日本はロシアの海域ではないのですが、フィンランドの北東沖の圏域を、確か一昨年くらい前に入札に応じたと聞いています。北極海ではないのですが、オホーツク海の一番北のところで、日本の企業がそこでの開発に参加しようとしていると言われています。特に、中国が北極海の圏域を非常に積極的に狙っていまして、既にいくつかの探鉱権、要するに調査する権利を取得していると聞いています。ロシアと共同の会社でですね」

北極海の秩序 その現状は
島田キャスター
「北極評議会に、オブザーバー国で日本も入っているのですが」
金田氏
「これは沿岸国の5か国がある。それから、さらにフィンランド、スウェーデン、アイスランド。フィンランド、スウェーデンは北極海に面してはいないんです。そういう国々も歴史などの問題で北極海には関係があるので、従って、8か国で評議会をやっているんです。プラス、イヌイットとか、現地の方々も入っていると。そういう方々の利益も考えるということだと思うんですね。オブザーバー国というのは、日中韓とシンガポール、インドというアジアの国々はごく最近に承認された。それまでヨーロッパの国々というのは関係も深いからということで、はやくからオブザーバーを認められていると。日中韓、シンガポール、インドは最近認められたと、日本はかなり遅かったんですね。中国、韓国の方がはやいんですよ。遅ればせながら入って、それも一括して認められたと」
西元准教授
「2009年にアラスカでアメリカの大学が北極海問題についてシンポジウムを開いて、そこに行って、いろいろな話を聞いて、これは日本でも重大な問題になるかなと思って関心を持ち始めたのですが、現在、この中にいるメンバーの中で環境の専門の方はいらっしゃらないわけですね。そのシンポジウムでは環境を専門にされている方と先住民の方々がいらっしゃっていて、先住民の方々は環境問題の影響を直接受けている方々ですし、同時にデンマークなどでは、グリーンランドでもそうですが、非常に高度の自治権を与えられていると。カナダでも、地下資源の開発については先住民の方々の同意が必要であるということで、これは単にマイノリティの意見を聞くということではなくて、自主的な意味をもっている。それが北極評議会の国ではないけれども、参加者としての地位を与えられているということ。彼らにとっては北極海問題というのは環境問題です。かつ人権問題でもあるわけです。ですので、そのシンポジウムの中では仮に航路ができるとしても、仮に天然資源が開発されるとしても一切環境に負荷を与えることをすべきではないという意見も相当程度あるわけです。これはヨーロッパだけではなくて、アメリカもつい最近になってから、アラスカの石油開発の許可が出たと思うのですが、いろいろな利害の対立があると思いますが、1つには、脆弱な環境に影響を与えるような活動は制限すべきだという意見が非常に強いわけです。この点は今後日本が何らかの形で関わっていく時に十分注意しなければならないかなと思います」

重要性が増す北極海 安全保障へ影響は
島田キャスター
「もともと北極海、北極圏というのは、安全保障上はどんな場所だったのですか?」
金田氏
「冷戦中の話をさせていただきますと一般の船が通れたわけではありませんから、ですから、これは言ってみれば、戦略の枠外にあったということが言えると思います。北極というのは、船や飛行機が通れない、公道に適していないんだ。従って、これは最初から、どこの国も、冷戦中のソ連もアメリカも基本的にこれは枠外であるという考えを持っていた。しかし、それは全てが正しいわけではありません。戦略核という部分については例外であったということだと思います。戦略核ということになりますと、現在でもそうですがICBM(大陸間弾道ミサイル)ですね、陸上に配備されているICBM。これで相手を叩く。これを現在でも持っています。これはどこを飛ぶかと言うと、たとえば、当時のソ連とアメリカということを考えますと、我々がよく見ているメルカトル図法で横にいくのではなくて北極海を飛ぶ。距離が圧倒的に近いわけです。そのためにICBMという大陸間弾道ミサイル、戦略爆撃機に核爆弾を積む。もう1つ大事なものが、戦略原潜というのがあったんです。飛行機も陸上基地もやられてしまう可能性がありますね。先制攻撃を受けるかもしれない。核弾頭を積んだ戦略原潜は海に沈んでいますから、オペレーション中のものは見つけにくい。だから、どこにあるのかわからない。戦略第二撃力。やられても次にやり返せる。他のICBMとか、爆撃機は先制攻撃があったら、やられちゃうかもしれない。先制攻撃を受けても相手を打ち返せるということで相手は撃たないと。撃つ意欲をなくす、やられちゃうからという大事なものなんですね。それが戦略原潜だったわけです。その世界が北極海であった」

北極海が安保戦略を変える 日本への影響は
金田氏
「日本だけを考えてみればどうか。先ほど来、パイプラインの話とか、苫小牧港の話も出ています。確かにシーレーンとしてある程度、頻度高く使うようにすれば、我が国周辺の北側の周辺海域。オホーツク海や宗谷海峡、津軽海峡、日本海、あるいは三陸沖。こういったところ、北極海航路を通る船の頻度が増えてくるわけですね。当然、そういうことになるわけですね。そうしますと、加えて、先ほどパイプラインの話が出てきましたが、ロシアのサハリンの石油や天然ガスであるとかを北東アジアの他の諸国、中国や韓国、北朝鮮、あるいは日本にどのように送っていくかという話があるわけです。海上保安上、安全保障上の問題が出てくる。時には何か事故が起きて、それに対する人道的な救助や捜索をやらなければならない。その責任は誰が取るのかということになります。従いまして、そのことについて日本は考えていかなければいけないだろうと思います。もう1つ大きなことは、戦略核です。冷戦の時は米ソの戦略核。それが現在は米ロの戦略核となって、北極海というのは相変わらず立地からして大事なところになってくると思う。もしも中国が参画したらどうなるのか。中国は戦略核原潜を持っています。ただし、まだ性能はたいしたことはありません。それに搭載する弾道ミサイルはたいした距離まで飛べないんです。現在の中国、習近平体制。アジアだけではなくてグローバルな大国を目指す国にとってみれば、この北極海について特に取り組みがない以上、自分が出て行って何が悪いんだということになり得るわけです。これまでの東シナ海、南シナ海、インド洋、オセアニア。こういったところへの進出を考えてみれば、それはおおいにあり得る。そういったことを我々は予め考えていかなければいけないということです」

どう構築北極海の秩序 今後求められる取り組み
反町キャスター
「北極海各国の利害のぶつかりあいが激しくなると見た時に、調整するスキーム、フレームワークはどうもっていったらいいと思いますか?」
西元准教授
「イメージとしては北極海の利権を巡って対立が様々あるという語られ方をすることは多いと思うのですが、現実にあるのは協力を巡る競争であると考えています。特にヨーロッパにおける動き等を見れば、北極評議会等を中心に北極圏の管理について様々な協力がなされてきましたし、北極評議会以外にも様々な周辺海域に関する経済活動とか、環境保護についての協力がなされてきたわけです。ですから、ヨーロッパ側の北極海については、そういう枠組みが存在してきた。現在、いろいろお話のあった北東アジアにおいて、そういったものが存在するのかということですね。これは北極評議会で、日本が今後どういう発言権を持つかということにも関わってくると思うのですが、やはり地域できちんと協力の枠組みをつくっていくということをしないで、日本や韓国や中国がバラバラと入っていき、それぞれがいろんなことを言い出すというのはどうなのでしょうか」
反町キャスター
「北極海に行く前に、まずは北東アジアでちゃんと話をしましょう、ということでよろしいですか?」
西元准教授
「そうですね」
島田キャスター
「現状で、そんなことが可能かどうかですよね」
西元准教授
「できないとなると、それなりの発言影響力しか持てないことになるのかなと思いますし、彼ら北極評議会の3か国は技術や財政的な支援はそれ以外の国からほしいと思っていると思うんですよね」
大塚氏
「日本の北極研究というのはすごく歴史があるんです。ヨーロッパにも負けない研究成果がたくさん出ているんですね。ただ、ちょっと悔しいところは、日本は北極海で観測する船を持っていないんですよ。しらせという船があるのですが、一応自衛隊の船で、輸送艦という目的なので、観測そのものを目的とした船ではないという弱点があるんです」
島田キャスター
「韓国はあるのですか?」
大塚氏
「韓国はつくりました。中国もウクライナから船を買ってきて改造してつくって、北極海を走れる船を持っているんですね」
島田キャスター
「その点では日本は遅れをとっている?」
大塚氏
「残念ながら、その点だけは遅れをとったのですが、今日は環境の話をしませんでしたが、逆に科学調査を通じて、北極の環境をどうやって上手に守りながら北極を利用するかということでは日本は大きな貢献ができると思うんです」

大塚夏彦 北日本港湾コンサルタント株式会社企画部長 工学博士の提言:『NSRのハブ港を他国に渡すな!』
大塚氏
「NSRとは北極海航路を英語で言った言葉です。北極海航路のハブ港という地位をぜひとも日本で確保したい。確保していきましょうというのが、私の提言です。スパンとしては10年、20年、30年かかると思いますが、現在から他国に先がけて足場を築く」

西元宏治 専修大学法学部准教授の提言:『国際公共価値と各国の利益の両立を図るメカニズムの提案』
西元准教授
「北極問題というのは、基本的には地球環境問題であるという視点と、日本は責任ある海洋国家として、航行の自由の確保ということを非常に重視し、国際社会に訴えていく必要があるのではないのかと。非北極圏国である日本がこの問題に関わっていく時に、単に日本の利益だけを考えるのではなくて、こうした北極海を巡って生まれている問題に日本が具体的な貢献をするんだということをまず明確にすべきだと思います。既に、日本はマラッカ海峡等で環境保全と航行の安全をはかるための沿岸国との協力の枠組みを支援するということを長年行ってきていますので、そういう経験も含めて、北極海の問題は、先ほど協力を巡る競争と言いましたけれども、よりよい秩序の提案を日本がしていくということが重要だと考えています」

金田秀昭 元護衛艦隊司令官 岡崎研究所理事の提言:『“自”の充実、“他”への貢献』
金田氏
「先ほど、中国の動向、戦略核の問題とか、我が国周辺海域での海上安全保障の不確実性とかにつながり得る可能性があるということを申しましたが、そういうことに対して日本はしっかりとした備えをしなければいけない。これが第一であります。それからもう1つ、安倍政権のもとで限定的な集団的自衛権の行使という話が出ていますけれども、この本質は他への貢献です。他への貢献をしっかりやることにより、それが全体的に自らの助け、抑止力になるということだと思うんです。そこを見誤ってはいけない。自の充実と共に他への貢献。これは日米同盟をしっかりやる、年末には我が国の政治日程として、日米貿易によるガイドラインの見直しとありますが、こういったところでも北極海の問題を見ていただきたいと思っています。2プラス2では、こういうものもある意味で予定している。将来的なことについてしっかりと探求できる体制をとっていこうと言っていますので、私は少しそこに期待をさせていただく」