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2014年7月16日(水)
小中一貫教育の功罪は下村文科相と教育改革

ゲスト

下村博文
文部科学大臣 教育再生大臣 自由民主党 衆議院議員
藤田英典
共栄大学教育学部長 日本教育学会長

質の高い幼児教育の保障 無償化、義務化の必要性
島田キャスター
「政府の教育再生実行会議は今月3日、提言を安倍総理に提出しました。その中で私どもが注目したのは、1つ目が『全ての子供に質の高い幼児教育を保障するため、無償教育、義務教育の期間を見直す』『小中一貫教育を制度化するなど学校段階間の連携、一貫教育を推進する』という政策ですが、まずは幼児教育の無償化、義務教育について、なぜ現在、これが必要だと?」
下村文科相
「現在の6、3、3、4制が導入され、もう70年経つのですが、この中で子供の肉体的な発達、それから、文字を書くとか、そういう学習能力です。もう2年間ぐらいはやまっているんですね。ですから、昔の小学校1年生の時は、自分の名前を書けなくても普通だったのですが、現在は小学生にあがる以前からもちろん、書けるし、それどころか昔の6歳というのは現在でいうと、小学校1年生、現在の4歳ぐらい、肉体的にはです。それぐらいはやまっているんですね。それにあわせて現在、世界もどんどん義務教育そのものも延ばしていると。日本は9年間ですけれども、現在だいたい10年以上のところが、先進諸国では多くなってきて、先進諸国では日本が一番義務教育期間は短いぐらいです」
反町キャスター
「資料をもらっているのですが、具体的に小さな子供に、幼児教育で、幼児に対して投資をすることは効果があるというのは?」
下村文科相
「これは日本ではこういう数字がないものですから、アメリカのペリー就学前計画ということで、これはアメリカのミシガン州のアフリカ系アメリカ人の割合、貧困地域のところで40年間に渡っての幼児教育プログラム。3、4、5歳児については無償化をすると。それについて参加したグループと、幼児教育をちゃんと受けなかった不参加グループに分けて、その後40年間ずっと追跡調査をした結果、すごいんです。月収2000ドル以上、日本でいったら、月収20万円ですね。これですと、幼児教育プログラム参加者と不参加者のグループで違いが出てきている。それから、持ち家率も違いが出てきていると。それと、特に貧困エリアだったということもあって、生活保護世帯も多いのですが、生活保護非受給率が、幼児教育をちゃんとプログラム参加をしておいたところについては40%」
島田キャスター
「自立できると?」
下村文科相
「そうですね。逆に受けていないと、20%ぐらいですか、逆に言えば80%は生活保護だと。つまり、3、4、5歳児の3年間、幼児教育をきちんとしたかどうかが一生にすごくかかってくると」
島田キャスター
「3、4、5歳が大切だというのは、理由はどこにあるのでしょうか?」
下村文科相
「3、4、5歳の時に、人として生きていくための基本的な学習習慣とか、生活習慣とかをきちんと教えるようにしたということによって、それぐらい一生に違いが出てくる」
島田キャスター
「3、4、5歳はよくわからなくて、私の場合は遊び回っていただけのような気がするのですが、それも教育だったのですか?」
下村文科相
「遊び回っているようで実は。一人で山の中を遊んでいたわけではないですよね。集団の中でね。ですから、それ自体が学習だったわけですよね」
反町キャスター
「日本でも同じですか?その現象というのは」
下村文科相
「全く同じだと思いますよね。これから日本も東大の幼児教育の研究部門にお願いをしようと思っています。しかし、40年も待っていられませんから、日本は日本で検証をしながら、もう一方で、できるだけはやく、私としては2020年に、6年以内のうちに幼児教育の無償化を是非実現したいと考えています」

無償化に向けた課題
島田キャスター
「下村大臣が昨日、閣議後の記者会見でプランを出したのですが、幼児教育の無償化、検討概要ですが、対象世帯に所得制限を設けまして、年収360万円未満の世帯にまずやっていこうと。5歳児で来年度から始めたいと。必要財源は250億円から300億円がかかると試算をしているのですが、また第2子の3歳から4歳についても重要だと。現在は、第2子は半額払っているんですよね。それを360万円未満の世帯は無償化をするという方向で検討をされているということなのですが」
下村文科相
「義務化というのは、これは3、4、5歳を全部義務教育にするという話ではないんですね。5歳からです。ただし、急に5歳というのではなくて、まずその前に、義務教育前に3、4、5歳を無償化しよう。しかし、それは2020年までに段階的にやっていこうということで、5歳の、年収360万円ですが、実際は今年からやっているんですよ。今年はどうやったかというと、実質上スタートしているのですが、今年は保育所と幼稚園ですね。実は保育所の方は、第2子は2分の1、それから、第3子は無償というのは始まっているんですよ。幼稚園はなかったんです。ですから、幼稚園の子供については保育所と同じように平準化、あわせるようにして、今年からスタートしているんです。来年4月からは、本当は5歳児を全員無償化したいんですよね。ただ、そうすると、財源が2500億円から2600億円ぐらいかかるんですよ。この3、4、5歳児を無償化すると、7900億円ぐらいかかるんですね。これは財源がないのに、赤字国債を発行してまでというのは国民の理解が得られないと思うんです。本当は5歳児を全員無償化したいのですが、なかなか難しいだろうということで、財源でいうと250億円から300億円ですが、年収360万未満世帯というのは約20%です。保育園、保育所、それから、幼稚園をあわせてですね。ですから、20%の家庭については、無償対象にしたいというのが私の思いですが、ただ、これは今後、厚労大臣、少子化担当大臣の、田村大臣、森大臣の3大臣と、それから、自民党、公明党、与党の実務者協議の中で、最低これはすべきだと思っているのですが、それよりも上乗せするかどうか。それから、したとしても財務省が認めるかどうかというのがありますから、これは絶対妥協できない数字だということで、現在から、私はアドバルーンを上げているんですよね」
島田キャスター
「300億円近くですけれどもね」
下村文科相
「そうですね」
島田キャスター
「現在のところ手応えはどうですか?説明をされていると思うのですが?」
下村文科相
「これは幼稚園は文部科学省でしょう、保育所は厚生労働省なので、財務省的には、文科省は財源をどうするんだと、厚労省は財源をどうするのかということを麻生財務大臣に言われているのですが、これはどこかから財源を持ってくるというよりは是非、これは少子化対策と。それから、教育は未来に対する、まさに、先行投資ということで、自然増収とか、違うところから財源を持ってくるということで、それぞれ省内の他の部分を削ってこちらに持ってくるということではないように考えてもらいたいということを、麻生財務大臣にお願いをしているところです」
反町キャスター
「追加で何とかしてほしいと。そういうことですか?」
下村文科相
「そういうことですね」
反町キャスター
「消費税引き上げの中の子育て支援分で確か7000億円ありましたね。それはこれには入れられない?」
下村文科相
「これは入っていない。これと別に、子供、子育て支援制度というのは、質、量を幼児教育について持っていくと。これは親の軽減措置ですけれど、子供、子育て支援システムというのは、それぞれの幼稚園とか、保育所の、施設とか、その施設の先生に対する支援ですよ。これは消費税を8%に上げた。さらに10%上げるという前提で、財源は消費税から約7000億円は使おうと。しかし、残り4000億円ぐらいは、まだ財源のメドがついていないんですね。ですから、消費税を10%に上げたとしても、7000億円の見通しがまだ立っていないという問題があって、この幼児教育の無償化と子供、子育て支援制度を一緒にやりたいというのを(文部科学)大臣として麻生財務大臣に交渉をお願いしている」
反町キャスター
「麻生さんはどうですか、雰囲気は?えい、やー、で何とか?」
下村文科相
「いや、なかなか」

小1学習内容の一部移行
島田キャスター
「教育再生実行会議の今回の提言は、幼児教育の無償化、義務教育化の理由を『全ての子供に質の高い幼児教育を保障するため』というふうにしているのですが、実際に今後、何を教えていくかについて、文科省は現在、小学校1年生で教えている学習内容である生活科というものを幼稚園や保育所での教育で移行させる検討を始めているというんです。この生活科とは何ぞやということですが、小学校1年生、2年生を対象に自分自身や身近な人々、社会に対する関心を高めながら、自立への基礎を養う学習目的があると。どんなことをしているかと言いますと、学校探検、地域の探検、家の手伝い、動物の飼育、植物の観察などなど体験活動を主にしているということなのですが、さらに、国語のひらがなの読み方や算数の足し算、引き算も検討の対象になっているということです。こういったことを幼稚園、5歳児などに取り入れていくのはどういう考えなのでしょうか?」
藤田氏
「義務化に全く反対というわけではないのですが、義務化すると、どうしても、現在のたとえば、小学校以上の学習指導要領に相当するようなものを何らかの形でつくるということになってくると、その内容が、例え、生活科のようなものを中心にと言っても、たとえば、保育所はまず、現在そういうことをやっていないわけですね。ですから、幼稚園と保育所との違いが問題になりますし、幼稚園の先生もそうですが、保育所の先生も、一挙にそういうことをやれと言われても、とてもという話になります。もう1つは、いわゆる小1プロブレムと言われてきた問題については、1つは集団活動ができない、それから、もう1つは、教室に静かにずっと座っていられない。先生の話をきちんと聞けない。こういう中で、どれをターゲットにするかなんです。だから、私は先生の話をよく聞くという、これは幼稚園とか、結構やっているところもあるのですが、たとえば、読み聞かせですよね。そういうふうに子供達が興味を持てるようなものを、先生から聞くとか、誰か話し手さんに来てもらって聞くとか、そういった時間を増やすとか、そういうような工夫はいろいろしようがあると思うんです。ですから、私は全く義務教育化がダメと言っているわけではないのですが、幼稚園、保育所で現在やっているような活動をベースにして、幼児だということを前提にした、プログラムづくりが重要だと思うんですね。その中心は遊びだと思うんです。遊び、集団遊びも含め、遊びの総合的な発達の可能性といったことを基本にしないと問題だと思います」
反町キャスター
「藤田さん、小1プロブレムというのは、要するに、小学校に入って、幼稚園から小学校に、保育所から、幼稚園から、小学校に入った子供が勉強についていけない。そういうことが主な問題になっているのですか?」
藤田氏
「いや、勉強についていけないというよりも、そもそも静かに子供達が授業に、机に座って先生の話を聞けない。あるいは学習するという構えができない。だから、そのために学校に馴染んでいけないということ」
反町キャスター
「学業ではなくて、姿勢の問題なのですか?」
藤田氏
「学業面よりもそちらの態度だとか、振る舞い方が問題になっていると思います」
下村文科相
「おっしゃったように勉強以前の問題ですから、勉強以前の習慣の問題ですから、落ち着いてちゃんと自分の机に座って授業を聞けない。先生の話も聞けない。集団的な活動もできないというのは、その幼稚園とか、保育所が最近、認定子供園も含めて、それ以前の問題というのがあるんですね。個々の問題というよりはある意味での集団学習とか、集団教育とか、集団環境。その影響というのはすごくあると思いますね。ですから、それを現在、実際は幼稚園、保育所といっても、これから認定子供園が増えますから、3つの形態になるわけですからね。その中で幼児教育といっても別に小学校でやっている勉強をそのまま下に下げるというわけではなくて、もちろん、読み書き的なことも必要だと思いますけれど、学校の勉強をそのまま下に持ってくるのではなくて、幼児教育ならではの、体験的な部分、あるいは集団体験的な部分から人間関係をつくっていく。ですから、これまでの幼稚園とか、保育所でやっていることと全然違うことをやろうという話ではなくて、ちゃんと幼児教育システムといった学習指導要領の中に入れる。保育所も実際やっているんですよ。幼稚園は午前中4時間、保育所は8時間の中で幼児教育的なことをトータル的にやっているんです。ですから、それをきちんと体系的に小学校までつながっていくような学習指導要領、しかし、それも勉強だけの話ではないですけど、もちろん、幼児は幼児としての教育というのはあり得ると思いますけれど、それを体系的につくっていくという時代に、私はきていると思いますね」
島田キャスター
「小学校までつながっていくことが今回のメインの目的なのか、それが、たとえば、話にあった小1プロブレムの解消にもつながると考えているのですか?」
下村文科相
「つながるような制度設計をして、終わるということですね」

中1ギャップ解消なるか
島田キャスター
「2つ目の小中一貫教育を制度化するなど学校段階間の連携、一貫教育を推進するという提言を行っています。具体的にはどういうことかと言うと、現在は皆さん、もちろん、小学校が6年間、中学校が3年間となっているんですけれども、この義務教育の9年間を自治体、それぞれの判断で、たとえば、5年と4年にするだとか、4年、3年、2年にするなどとする小中一貫教育を制度化するという提言です。では、いったいなぜこのような改革をするのかといいますと、この背景には、中学進学後に学校生活の変化に適応できずに、中学1年で、いじめや不登校が急増してしまうという、中1ギャップというのが存在しています。具体的な数字を見ると、いじめと不登校の認知件数を挙げてみましたが、いじめですが、小学校6年生までは認知されているいじめだけで、1万9044件あったのが、中学校1年生になると、一気に1万件も増えて、2万9574件となりました。不登校を見てみますと、小学校6年生では6920人だったものが、中学校1年生にあがった途端に、グーンと増えて、およそ2万1000人に急増しています。こういったことを解消するためにも、こういった改革が必要だとしているのですが、小中一貫にすると、いじめや不登校といった問題が解決向かうと考えているのですか?」
下村文科相
「もともと教育再生実行会議の第5次提言を議論する前提として、義務教育期間をどれぐらいにしておく必要があるのかと。6、3は先ほど申し上げましたように先進諸国の中で一番短いんですね。他の国はどんどん伸ばしています。ですから、これをどうするかというのと、それから、義務教育にはしないけれど、無償化はするべきではないか、重ねなくてもいいのではないかと。だから、3、4、5歳児については義務ではないが無償化と。高校についても義務ではないけれど、無償化ということで、義務教育期間と無償期間を別々で議論をすると。その中で、たとえば、6、3、3、4とかを議論していくと、校舎の問題とか、学校の先生の免許の問題が出てきて、それだけのコストをかけて、それだけの成果、効果が上がるのかということについてはそれほど検証されていないと。ただ、現在、小中の一貫教育の中で既に全国で900校近くの学校が研究開発校として、もうやっているんですよ。その中で中1ギャップですが、いじめの認知件数とか、不登校児童、生徒数については相当解消しているというのが、全国の小中一貫の中で出てきていると。それから、学習効果も含めて、ですから、これについては自治体によってこれまでバラバラの小学校は小学校、中学校は中学校ですから、これを1か所にするというのは校舎を一本化するということですけれども、コストもかかる部分もあるので、費用対効果でいえば、地理的に統廃合をしながら、できるところとできないところもあるので、国が強制をすることは難しいから、これまでの研究開発学校と同じように、自治体の判断でそれぞれ柔軟に対応をすることをまずしたらいいのではないかと。それが今回の提案でもあります」

制度化に向けた課題
島田キャスター
「藤田さんは、この提案をどう見ていますか?」
藤田氏
「小中一貫教育の制度化ですよ。小中一貫校、教育を制度化をするということは、これはもう既に全国、品川区もそうなのですが、小中一貫教育という形で、施設一体型ではなくて、連携型とかでやっているんです。ですから、そういったことが全国的に広がるということになるんだと思うんです。実際は連携型が中心だと。だけど、同時に特に都市部では、この間、品川区もそうですし、京都とか、あちこちで施設一体型の小中一貫校を導入してきたところは、全部、小学校の統廃合が問題だったんです。だから、それをやるために、中学校1校をベースにして一貫校をつくれば、小学校3校、4校を統廃合できますから。そういう形で統廃合が進んでくる。だから、私は全国的に、そういう統廃合問題を抱えているところでは一貫校が広まると思うんですね。そうすると、今度、もう1つ問題になってくるのは、そういう形で小中一貫校が一方であり、これは立派な建物、皆どこでもつくっています。もう一方で、区切られた学校がある。そうすると、学校選択制の圧力が必ず強まってきます。要するに、一貫校に誰でも行けるわけではないから、定員、枠がありますからね。そうすると、自分達も行きたい。一貫校が選べるように、仮になったら、(選べるように)しているところは当然ですし、そうでなければ、選択して行けるようにしろという、選択制にしてという圧力が加わってくる」
下村文科相
「圧力というか、それは選択だから圧力ではないでしょう。自治体の、それぞれの判断だから」
藤田氏
「いやいや、自治体が選択制を導入するかどうかについては、この間、教育再生前の教育再生会議もそうですし、規制改革委員会とか、いろんな政府の委員会が選択制をもっと広めろという提言をしょっちゅうやってきた。全国の教育委員会はほとんどが非常に消極的だったんです。それは地域の現場を見ている人達にすれば、小中学校で一貫校、選択制にすることが、決してプラスにならないという判断があるから、広まらなかったんです」
下村文科相
「いい意味で、それぞれの自治体が我が自治体こそが良い教育をしていこうという意味で、良い意味での、競い合うというのは必要なことだと思うんです。小中一貫の中で、一貫だから、1つのところに、おっしゃったように校舎をつくってもいいけれども、そうではなくて、それぞれの学校は別だけれど、校舎は。その中で、うちの自治体は6、3、6のまま。うちの自治体は5、4にする、あるいは4、5にするとか、または4、3、2とか、それぞれの中で一番良いものを目指していくということにチャレンジしていくということがこれから必要なことだと思いますね」

教育を取り巻く問題 少子化と教育格差
島田キャスター
「理想の子供数を持たない理由として『子育てや教育にお金がかかる』とありますが、この状況をどう考えていますか?」
下村文科相
「問題だと思います。この理想の子供数というのは夫婦で平均すると2.46人ですね。実際に産まれる子どもは1.96人。その違いは何かというとまさにこのことですね。日本はこれまで教育費は親が責任を持つものだと、私的負担すべきだということが当たり前だったんです。しかし、その結果、少子化にも影響しているということと、他の国に比べたらという話もあるけれども、しかし、昔から比べると格差社会が進んでいて現在、非正規雇用が30代、20代で10%ですから。そうすると、結婚することさえ難しい。まして子供を、非正規雇用で、2人で2600万円を出せるかというと出せないですよね。絶望的になっちゃいますよね。そうすると、結果的に、この国が硬直化する。つまり、お金持ちの子供しか教育におけるチャンスがない。国民の半数はもうチャンスをなくしてしまうと。さらに今日の報道で子供の貧困率がますます高くなっている。貧困率というのは平均家庭年収の2分の1の年収の家庭ですね。1人親家庭ですと60%超えているんです。つまり、年収が270万円以下だったら、高校に行かせることさえ難しいですよと。これは個人、家庭の問題ではなく、できるだけ教育は無償化することによって本人の意欲、志、能力があれば全ての人にチャンス可能性を提供する国でなかったら、日本の将来はないのではないかと思っています」
藤田氏
「これは20年以上前から言われていたことで、だけど、これまで実現しなかったわけです。こういう時だからこそ米百俵の精神を協力してやってもらわないと困るのですよ。ですから、これをどうやっていくのかという厳しい状況にあることは確かですけれど、言われたように無償化を進めていく。誰もが経済的理由で教育を受けられないということのない社会にしていくことが重要だと思いますね」
島田キャスター
「GDPに対する学校教育費の比率は、日本は先進国中ビリの3.8%しか公費に使っていないんです。どうしてこんなに少ないのですか?」
下村文科相
「2%の違いがあるんですね。2%と言っても対GDPですから10兆円違う。我が国の文部科学省、科学技術も入れての予算が5.4兆円ぐらいですから、逆に言えば10兆円というのはいかに大きな数字か。でも、10兆円でOECD並になったなら、それは大学、大学院まで無償になります。先日OECD非公式教育大臣会合がありまして、30か国ぐらいの大臣が来ていて、私は教育においては高財政支出をもっと我が国もすべきだと。先進国は教育立国に向けて、全ての子供達にチャンス、可能性を提供するために出すべきだと言った時、北欧諸国の大臣からそんなの当たり前の話ではないかと。なぜ日本はしないのかと。北欧の国は消費税が25%。だから、無償だと。日本は8%ではないか。だから、自分達の国並に上げれば無償になるのではないか、なぜやらないのかと、逆に言われましたが、それは国民的な理解、コンセンサンスはなかなか難しいけれど、しかし、今後少子化対策という枠の中で消費税を財源として考えるとか、もちろん、他のコストを削減するという形で教育というのは未来に対する先行投資だと。それから、先ほどの幼児教育を考えたら、将来に対する社会保障ですよ。自立した個人をつくるということは結果的に社会におけるコストを削減する。生活保護費、高齢者になった時の社会保障環境とか。自立した個人によって削減するというデータがアメリカなどの調査によって出ていますから、できるだけはやいうちに、つまり、社会における保障として教育に投資するようなことにシフトするような流れをつくっていかないと、日本の未来はないのではないかと思います」

教育は未来への投資 予算の財源確保は
島田キャスター
「『教育が将来に対しての社会保障』というのは、具体的にどういうことなのかを教えていただけますか?」
下村文科相
「我が国は現在、高齢者にとっての社会保障、年金、医療介護は1人あたり400万円ぐらいですね。たとえば、80歳ぐらいだと350万円以上。それだけ1年間で政府支出が多いわけです」
島田キャスター
「幼児教育のところは格段に低いと」
下村文科相
「1つは、高齢者の負担というのは若い人のシフトも考えるべきだと思うし、また財源を他のところから見つけるべきだと思いますが、先ほどの幼児教育と同じ様に、きちんと教育することによって、生活保護も少なくなっている。持ち家の率も高くなっている。それから、収入も高くなっているというのがアメリカの幼児教育の結果に出ているわけですね。1人1人に教育をきちんと施すということは大学進学率も、厚労省が調べたのですが、客観的な2013年の数字ですが、高校卒業と大学卒業の生涯獲得収入が、どれだけ違うかというデータがあって、9000万円も違いが出ている。実際に大学4年間で税金投入額、個人負担にしても当然かかっているわけですね。でも、それの20分の1以下でしょう。つまり、それはある意味、経済学でいう乗数係数で公共事業の橋をつくるよりは乗数効果は、教育の方がはるかに高いということは言えるのではないかと思っているし、また研究しているんです。ですから、しっかりどんな子供であってもチャンス、可能性を提供するという意味の投資と考えたら、結果的にトータル的な国の支出は削減につながっていくのではないか。そういう発想をこれから持つべきだと思います」
反町キャスター
「財源をどこから引っ張ってくるのか?」
下村文科相
「1つは消費税。1%でも2兆円から3兆円ですから大きですよね。所得連動型奨学金返済制度みたいに、所得税で本人のその後の収入によって返済額といいますか、年収300万円以下なら無償だけれど、1000万円なら何%と、それだけ所得を得たというのは本人が教育を受けたからだということから持ってくるとか。お爺ちゃん、お婆ちゃん世代が子供や孫に対する教育に投資する税額控除。世代間で(投資する)、税制上の問題ですが、いろいろな仕組みを考えることによって、幼児教育については消費税から持ってくるとか、大学教育は、1つは所得連動型とか、いろんな組み合わせを考えていくことによって、国民の理解を得るようにしていくことが必要なのではないか」
島田キャスター
「バランスが悪いと思うのですが、高齢の方々の突出した部分を少し持ってくる政策は、国民の理解が得られないのですか?」
下村文科相
「理解を得るようなことをしていかないといけないですね。たとえば、医療費も40兆円がかかるわけです。この医療費のうちの10%は生活習慣病です。私は文科大臣で、できるだけ早くスポーツ庁の設置。2020年のオリンピック、パラリンピックに向けて考えているところですが、スポーツによってトップアスリートだけではなくて、国民全てが健康環境をつくることによって、生活習慣病も削減することができるんです。医療費を削減することができるというような形と同じように、年金、医療、介護もカットするのではなく、違う政策にシフトすることによって、その部分をできるだけ他のところに回していくという発想に持っていかないと、この国の財源は持たないと思います」

下村博文 文部科学大臣 教育再生大臣の提言:『教育は未来への先行投資』
下村文科相
「少子高齢化の中で、日本の人口はどんどん減っていますよね。これを解決していくために、1人1人の能力を引き出していく。それはまさに教育によってできるわけですけれど、個人の一定の投資はもう限界だと思います、家庭の投資は。それをしっかり国がバックアップする仕組みをつくるということが日本を元気にする秘訣だと思います」

藤田英典 共栄大学教育学部長の提言:『おおらか・誇り・自信と誠実・信頼』
藤田氏
「おおらかさと誇り。子供時代はおおらかに過ごせるようにとにかくしてほしい。いろんな自立策があると思いますけど、教職員とか、教育に関わる人が誇りを持てるような政策、あるいは制度にしてほしい。最後は自信と誠実・信頼と書いたのですが、私は先ほどから日本の教育は優れているとか、制度も優れている面が多いと言ったのですが、決して変える必要がないと言っているわけではないです。だけど、基本的なところは非常に優れている。そのことに政治家も含めてもっと自信を持つべきだと思うんですね。これは教師が、自信がないとか、いろいろ言われています。だけど、同じように日本人が教育はダメだと言っているが、日本の教育にそんなに自信が持てないのかと私は言いたいですね。教師は誠実に自己研鑽に励み充実させる。政治家は教育に関わっている人達、教育委員会も含めてもっと信頼する必要がある。私はそのことを強く言いたいです」