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2014年7月14日(月)
豪雨・暴風・土石流 古屋担当相に問う防災

ゲスト

古屋圭司
国土強靱化担当大臣 防災担当大臣 自由民主党衆議院議員
藤井聡
京都大学大学院教授
山村武彦
防災システム研究所長

どうする災害対策 台風8号と特別警報
島田キャスター
「今回の台風8号では、台風の勢力の基準で、初めて特別警報というのが発表されました。特別警報というのは昨年8月から運用が開始されたもので、これまでの警報の発表基準をはるかに超える大雨などが予想され、重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に発表されます。大雨の基準としては昨年9月に京都や滋賀で発表されていたのですが、今回、台風の基準としては初めてでした。数十年に1度しかないような、非常に危険な状況ということですが、その基準は、台風、温帯低気圧の指標については、中心気圧が930hPa以下、または最大風速が秒速50m以上。これは伊勢湾台風級のものだということですね。ただ、沖縄地方や奄美地方、小笠原諸島などについては、他の基準を設けていまして、910hPa以下、または最大風速秒速60m以上となっています。大雨につきましては、2つに分かれています。48時間の降水量は、比較的長く降る雨の土壌雨量指数と言いまして、降った雨が土壌中に溜まっている状態を表す値です。この値が大きいほど土砂災害発生の危険性が高まるということなのですが、これが50年に1度の値以上となった5km格子が50格子以上ある場合に発令されるんだよということだそうです。3時間の降水量で、集中豪雨的なものの場合は、土壌雨量指数が50年に1度の値以上となった5 km格子が共に府県程度の広がりの範囲内で10 格子以上といった指標があるということを覚えておいていただいて、この基準で発表された特別警報、今回の台風8号で、沖縄本島地方の特別警報が発表されたんですけれど、まず波浪特別警報が7日の午後9時過ぎぐらいに発表されました。次々に暴風、高潮や大雨が発表されたのですが、日付を跨いでこちら9日の午前2時52分頃に、いったん全部解除されたんですね。しかし、9日の朝7時31分に、今度は大雨についてまた特別警報が出されました。それも夜になって解除されます。大変わかりにくかったのかなと思うのですが、これはいかがでしょうか?」
山村氏
「台風の特別警報というのは気圧と風速です。台風の中に含まれるのは大雨とか、高潮とか、本当はいろいろなものが含まれているんですけれども、実際の現在の基準は、台風と、大雨と高潮と、また土砂災害と全部別々に特別警報を出す仕組みになっているんですね。そうすると、台風の特別警報が出たら、それを包含しているからいいではないかという感じだけれども、別々に出ると何がどうなっているか。たとえば、テレビを見ていたら、その発表がダーッと書いてあって、一面全部埋めているんですね。あれを見ていてよくわかるかなと。うちの方は何をやらなければいけないのか。これは、もちろん、高潮の危険エリアと土砂災害の危険エリアでは、実は違うんですよね。特別警報の一番のポイントは、市町村長が出す避難勧告、避難指示の背中を押しやすくするという意味でもあって、気象庁の持っている危機意識を共有してもらいましょうというようなイメージでつくっているんですね。警報を出しても、警報だけでは避難勧告に踏み切れない、指示を出さないという地域もあったりするものですから、今回4月に見直した避難勧告に関わるガイドラインというのは、空振りを恐れず、ためらわずに避難勧告を出してくださいということを特別警報に込めて出しているんですね」

避難勧告の課題
島田キャスター
「では、実際、今回の特別警報も発表によって、どうだったのかということを見てみますと、8日の16時時点ですけれども、避難勧告が19市町村に出されて、24万5866世帯、59万2535人に出されたのですが、実際に避難した人は947人と、1000人以下ですけれども、先ほどの避難勧告は出したがいいけれど、なかなか伝わりづらいというか、真剣にとっていないのか、どういうことかわからないのですが」
山村氏
「避難者数というカウントは、避難場所に避難した人だけを出しているのだろうと思うんですけれども、中には、親戚のお宅とか、知人宅とか、あるいは自分の家が堅固にできているからといって、自分の家の2階に避難しているとか、そういう屋内安全確保というのも避難ですね。避難にも2つあって、立ち退き避難と言いますけれども、自分の家から安全な避難場所という決められた場所に避難する人、あるいは避難する経路が危険だから、もう既に避難しなくても大丈夫だというところで、安全な家の中に退避している人もいるんですね。ですから、この表面に出ている947人というのはたぶん避難所に避難した方々のカウントだけですので、もう少しは多いんだろうと思うけれども、それにしても少ないですね。それは沖縄が台風慣れしているということは当然ありますね。だから、もう1つは、この特別警報が出されたのが実は風もそれほど強くない時に出されたんですね。ちょっとはやめにタイムラインに乗っけて、はやめに出しているんですよ。これは、私は適切だと思うんですね」
古屋大臣
「私は、空振り恐れずと言ったのは、これは基本的には空振りが多いんですよ。でも、それを恐れずに出してくださいという意味なので、だから、住民の皆さんも、台風が来るたびに避難していたらたまったものではないですから。やはり、被災した、あるいは自分の命が危ない場面にさらされる場面というのは、回数としては少ないと思います。だけど、いざ、その時のためにやりましょう。だから、よくアメリカは3日とか、5日前に避難勧告を出しますね。アメリカの方は逃げて、戻ってきた時は良かった、ラッキーだったという発想をするんです。あの首長はとんでもない狼少年みたいだよというようなことは絶対に言わないんです。だから、そういう認識に変えていく必要はありますよね」
島田キャスター
「数十年に1度ですよね。この被害の大きさ。そこを基準で出されると、特別警報であるならば、勧告ではなく、指示を出すと決めるとか、そういうことはいかがでしょう」
古屋大臣
「それは、あくまでも基本的に、避難指示か勧告かは、地方公共団体の首長の判断でやるという建てつけになっていますけれども。むしろ、こういった特別警報が出れば避難指示した方がいいということを、それぞれの首長もそういう認識を持っていただくということも大切かもしれませんね。ここでは空振りを恐れないということですね。結果として、自分の命が守られるということです」
島田キャスター
「地方というのは費用の問題とか、いろいろあると思うんですよ。山村さん、このあたりはそれを出す方にとってもちょっと考えざるを得ないような事情がありますか?」
山村氏
「国の方は空振りを恐れず出しなさいというけれども、受け止める側は、空振りをして、それが繰り返されたら、1回そういう避難勧告を出して、職員も非常体制をとっているんですね。人件費から様々な費用をかけると、小さな市町村でも数百万円単位でお金がかかるんですね。それには予備費だとか、そういったものを使うんですけれども、結局、国が補填するかというと…災害救助法適用ということになれば別ですけれども」
反町キャスター
「実際に起きた場合?」
山村氏
「起きた場合。災害が発生して、被害がひどくなった場合のみカバーできる可能性があるのですが、そうでないものは全て市町村の負担なんです。これは表には言えないんですね。お金がかかるから避難勧告を出しませんとは言えませんけれども、もう1つは、実質的に夜間でも何でも、そういう非常配備体制をとると、翌日の職員の仕事にも、実は影響するわけですね。通常業務がおろそかになったり、遅れたりすると。現在の時期は、市町村、都道府県は予算編成の時期ですよ。皆さん、徹夜で仕事をしている人達が多くて、もう1秒でも一瞬でも気が抜けないと言っている時に、中には同僚から文句が出るんですね。なぜ現在ここでやるのかよみたいなね。そういうのも実は、内々で話を聞いています。そういった点でも、そういう空振りを恐れず出しやすいようにするには財政措置も含めて、支援しないとダメなのかなと」
古屋大臣
「実は水害にあった地方公共団体が、あるレポートをついこの間、まとめたんですね。これは非常に良い中身です。1つ目が避難勧告を躊躇するな。第2条は判断が遅くなれば命取りになる。そして、お金のことは気にするなと。まずは速やかな対応をしろ。首長が俺が何とかするからと見栄を切ってもやらせろと」
反町キャスター
「いやいや、僕らが現在議論をしているのは、見栄を切ったあとの補填」
古屋大臣
「いや、だから、そのことをやっている時に、じゃあ、これから本当にそれをやられたあとに、国は全然知りませんよとは言えないですよ。実際、特別交付税等々で、災害に遭われたところについては、12月と3月に、特別交付税という、交付税の約6%を配分するシステムがあるんですね。災害が多かった地域というところには、非常に配慮をしてやります。たとえば、昨年も雪害対策で相当除雪にお金を使っちゃった。もうこれ以上使うと、交付税が来ないのではないかと心配をされ、除雪を躊躇されていた市町村もありましたのでね。いや、そんなことはありませんと。ちゃんとやってくださいと。必ずしっかり対応をしますからということで、あとでちゃんと交付税で裏打ちしたりしたんですね。ですから、首長さんもしっかりとそのへんは遠慮をせずに聞いていただきたいんですよ。ただ、我々はそういう前向きな対応は考えていきますよ。それが、防災で、あくまでも地方公共団体が主体的にやるけれども、国がそれに対して、要するに、側面的支援をしていくというシステムですから」

集中豪雨 監視体制の課題
島田キャスター
「今回、特別警報が出た地域では、被害が小さかったんですけれども、台風の影響で梅雨前線が活発化したために、甲信越や東北でも、非常に激しい雨が降って、長野県の南木曽町では、土石流が発生して、中学生の男の子が亡くなりました」
古屋大臣
「南木曽町は、実は私の地元から数十キロしか離れていないんです。ちょうど地元に電話した時には、まだ太陽が覗いていると、同じ時間に。だけども、現実には起きているんですね。もちろん、非常にピンポイントで、局所的に雨が、それも一気に降るんですね。それも梅雨の末期でもある。梅雨前線、特に今度は台風もありましたので、それが相乗的な、いろんな作用があったんでしょうね。それで、私は、実は先週の金曜日だったか、閣僚懇談会でも皆さんに意見を申し上げてさせていただいて、それは、たとえば、XRAINレーダーが37か所であるんですけれども、現在、これが政令指定都市を中心につくっている。だから、カバーしているのですが、たとえば、長野県は政令指定都市ないですから」
反町キャスター
「XRAINレーダーは、政令指定都市にしかない?」
古屋大臣
「(政令指定都市)中心にどんどん広げている、現在のところは。たとえば、長野県はありませんから。他のところは、政令指定都市はどこかにあるので、うまく重なっているんですね。東北ができていないのは、まだ政令市がない。これは都市部を中心にやっていこうということでやっていたのですが、これをできるだけはやくね、整備していく、1機2億円ぐらいですから、そんなに高いものではないのですし、整備していく。なぜXRAINレーダーが優れているかといいますと、これまではCバンドとかのレーダーでやりますと、5kmメッシュぐらいですよ。今度、このXバンドレーダーというのをやりますけれども、250mメッシュでわかるんです」
反町キャスター
「詳細に出る?」
古屋大臣
「そうです。250mメッシュで測定が可能です。だから、これを正しく測定する数値を地方公共団体に連絡をして、それで、なおかつ警告の材料にしていただいているかというと、そこまではできていないんですよ」
反町キャスター
「えっ?じゃあデータは活かされずに終わってしまう?」
古屋大臣
「十分に活かしきれていない。それは大々的に長野県で出すものではなくて、ある地域限定で出せることが理想ですね。でも、なかなかそれは現在、防災無線でも、防災行政無線でも、デジタル化が進んでいますが、デジタル化していないと、全部流れてしまうんですね。デジタル化すると、たとえば、ここの地域のここだけにやるという、現在はそういうシステムがないですけれど、デジタル化すれば、そういうことは可能になります。そうしたら速やかに、このXバンドレーダーで見たものを、しっかりとピンポイントで情報を伝達することが(できる)、そうすると、そこにいる住民は、それを聞いたうえで、最終的に自分は避難するか、しないかを、ある程度は自分で決められると思います。そういうシステムを、ぜひつくっていきたいと思います」

都市のゲリラ豪雨
島田キャスター
「ここ数年、都市部で頻発しているゲリラ豪雨ですけれど、その被害で現在心配されているのが、地下鉄や地下街などの地下空間におけるリスクです。国土交通省の水の災害に関する防災・減災対策本部、地下街・地下鉄等ワーキンググループが5月に中間取りまとめを発表しました。リスクとして3つほど挙げてありますが、地上の状況を把握しにくい、避難経路が限定される、浸水の開始後、時間の猶予が少ない、それぞれどういう意味でしょうか?」
山村氏
「地下にいたら、雨の降り具合とかはわかりませんよね。これは肌で感じにくいということがあるので、センサーとか、情報が遅れがちになりやすいということですよね。もう1つは、たとえば、地下空間というのは密閉空間で、仮に危険だとなって、地上に出ようとしても、だいたい15センチから20センチの雨が階段を流れ落ちて来ると、そこを逆に登ることがほとんど不可能に近いと言われているんです、危険ですから。だから、そうなってからでは遅いんですよね。だから、はやい時間に情報が出るかは、なかなか難しいということで、地下というのは逃げ遅れる可能性が高いし、対策は急いだ方がいいだろうと国交省はこういうことを進めているんです。隣のビルとか、いろんなビルがつながっているんですね。避難経路というのは、その階段がダメな場合には、つながっているビルの横に避難をして、水平避難をして、次のビルの安全な場所から出るというようなことを考えていこうと。こういうことを含めてやっていこうとしているのですが、たとえば、地下鉄に隣接しているビルとか、あるいは商店街は、主体性が違うわけですね。だから、国交省関連だと、いろいろその範囲でやれると思うんですけれども、現在そういう避難計画等を立てている。しかし、実際には地権者、所有者、管理者、占有者の要素が違うところだと、全然、連携、共同防災関係ができないなというところがあるんですね」
古屋大臣
「いや、実は現在大変、山本先生が重要な指摘をしていただいたのですが、たとえば、メトロ、地下鉄が運営している入口は150、160あるそうです。それは、ほとんど、シャッターと言うのですか、雨が浸水した時はそれを押さえるものが設置してあるのですが、ただし、その同じ数、あるいはそれ以上は民間の建物から入っていくんです」
反町キャスター
「ありますよね、いっぱい。地下街から入っていくところ。ビルの入口から入っていくところが」
古屋大臣
「ほとんど、対策はできてはいないんです」
反町キャスター
「メトロが蓋を閉めても他のところからどんどん水が入ってきてしまう」
古屋大臣
「入ってきてしまうからダメなんです。だから、今年の1月から、そういった対策をしていこうという、民間の事業者とか、デベロッパーとかが入って、現在どうやって、やっていこうかという検討会を始めています。それから、5月19日、舛添都知事と私とが防災の協定を結んだんですね。協定書に署名をしまして、それで、東京都がやるべきもの、国がやるべきもの、そして、お互いに連携すべきもの、そういったものをきちんと整理をして、東京都は防災監。防災の最高責任者。こちらは、防災の統括官が責任者になって、現在そのすり合わせの作業をずっと精力的に進めています。今後は、その取り組みを今度は実行の段階に移していきますけど、たとえば、こういった浸水対策でも重要な要素の1つです」
島田キャスター
「いつ頃までになるのですか、その対策というのは?」
古屋大臣
「これは、舛添都知事とも、東京オリンピックが2020年ですから、まずそこが出口だよと。それまでにやるために」
島田キャスター
「予算もつけるのですか?」
古屋大臣
「もちろん。予算をつけないとできませんので」
島田キャスター
「民間のシャッターを誰がやるのか?」
古屋大臣
「民間の皆さんに、お金を出すことはできないので、たとえば、税を優遇するとか、いろいろ、そういうインセンティブを考えないといけない」

どうする国土強靭化 基本計画のポイント
島田キャスター
「国土強靭化基本計画とはどんなものなのでしょうか?」
古屋大臣
「これは一言で言うと、あらゆる基本計画の中の最上位計画です。今や基本計画は40ぐらいあるんですけど、一番最上位に位置付けされている。これは法律でそうなっています。この基本計画に基づいて、他の基本計画も修正をされている。実は1つ、その良い例があるんですけれど、エネルギー基本計画というのが今年4月末に閣議決定されましたけれど、実はこの基本計画の前段階、昨年末につくった国土強靭化大綱。これが基本計画。その大綱は12月に出していますので、それに呼応するようにエネルギー基本計画も大きく修正されていきました。ピタッと一致しているんですね。1つの象徴した例だと私は思います。これからどんどん、こういったいろんな基本計画がありますので、それが変わっていく。基本計画が変われば国の基本政策も変わる、予算も変わっていく」
島田キャスター
「様々な施策が国土強靭化基本法のもとにあると?」
古屋大臣
「そういうことです。私達は、アンブレラ計画と言っているんです」

行動計画のポイント
島田キャスター
「アクションプランについてのポイントは?」
古屋大臣
「『起きてはならない最悪の事態』というのは、国土強靭化の基本計画の特徴です。起きてはいけない事象というのは45考えまして、座長にも専門的見知から45つくって、そのうち、15を最優先課題、松・竹・梅の松で選んだ」
藤井教授
「大火災で何万人という方が亡くなる、東北津波で何万人という方が亡くなる。それから、エネルギーが来なくなる、食糧が来なくなると。あるいは東西の新幹線が分断されて復旧するのにも何年もかかってしまう。あるいは被災地が広がった時に誰も救命に行けなくて、怪我人が何十万人も放置されている。そういったことを、15の最悪の事態というのを考えまして、これはいわゆる国土交通省だけではなくて、資源エネルギー庁とか、農水省、金融庁、放送に関しては総務省、全省庁が先ほど古屋大臣がおっしゃったように12の分野があるのですが、このチームがタッグを組んで、チームをつくって、それぞれの1個1個に対応していくようなプログラムをつくったんです」
反町キャスター
「どこまでの災害ならという線引きは?」
古屋大臣
「食糧等の安定供給の停滞というのがあるのですが、これは国がやるべきものかと言ったなら、民間にもやっていただかなければならない。だから、今度の国土強靭化というのは、必ずしも税金だけを使ってやるのではなくて、官と民の連携。特に、民の積極的な活用ですね。経団連の皆さんと1年ほどかけ、相当議論をしまして、最初は業界を跨いでやるのは秘密が漏れるからとか、腰が引けていたのですが、しかし、その重要性も十二分に認識をしていただいて、昨年末には、そういう企業の横断的な取り組みまで、事業継続計画に入れていこうということで業界側も決定をしていただいた」
藤井教授
「15のプログラムを選定する時の基準は起こった時の深刻さは当然あるのですが、もう1つは、起こりやすさも当然ながら勘案している。たとえば、電力のお話。具体的に1つ申し上げますと、現在原子力発電所が止まっている今日の状況では、火力発電に日本国家は依存している。そうしますと、火力発電所がどこに位置しているのかというと、多くの場合、コンビナートと言われる沿岸部にあります。東京では、おおよそ3000万kWの発電所が東京湾岸にあると言われています。それがおそらく発電所の構造上、震度6がくると止まる構造になっていますので、従って、おそらく震度6が沿岸部で起こると3000万kWが途絶える可能性が非常に高い。そうなった時に、東京都全体が最悪の場合ですが、ブラックアウトしてしまうという可能性も考えられます。この可能性が科学的に全く荒唐無稽ではないということを踏まえて、深刻な結果と起こりやすさの両方を勘案しながら重点化をしていったというところです」

東京一極集中
島田キャスター
「国土強靭化の基本方式に、東京一極集中からの脱却とありますが」
藤井教授
「首都直下地震、これは東京に一極集中していなければそれほど被害は大きくならないわけで、東京に一極集中しているので極めて指数、関数的な被害が大きくなる。さらに南海トラフ地震も、三大都市圏の大阪や名古屋にかなり被害をおよぼすと言われていますので、もし日本海側と太平洋側がそれなりにバランスある形で発展していれば被害も極小化できると考えられるわけですね。ですから、現在の日本の国土が脆弱である最大の原因の1つが集中しているところに限って大地震がくる。そう言う意味で東京一極集中からの脱却というのが、強靭なしなやかな国土をつくるうえで重要になってくる」
古屋大臣
「重要業績評価指標(KPI)、実は25年度、政府はゼロだったんですよ。だから、今年度中にどういう形で業務の継続をしていったらいいかという計画をまずつくりましょうということでつくらせます。まずは今年度中にKPI、業務の継続計画を含めて確立させる」

日本のグランドデザイン
反町キャスター
「30年、40年後の日本を視野に入れたらたぶん日本の国づくりの青写真みたいな話だと思うのですが、大きな方向性として、今後どういう方向性で意見を、議論をまとめて予算をつけ、形を作っていくべきなのか?」
藤井教授
「それこそまさしく国土強靭化基本法に書いてあるそのものです。まず人の命は守る、致命傷を負わせない、速やかに復旧させる。それから被害はできるだけ最小限に食い止める。そのためにソフト、ハード、両面の政策をバランス良く組み込ませて、なおかつ政策実行に当たっては優先順位をつけてやりましょうと。常にそれをPCDAサイクルで見直して行きましょうということですね。それから、税金だけではなくて、民間の力を徹底的に使っていきましょう。平時活用、有事機能発揮。それが結果としてマイナスを減らすということではなく、最終的に成長戦略、アベノミクスにつながっていくという考え方に基づいて、全てが横串の連携になっていく。ここまでやるのは、おそらく日本政府が始まって以来の大きな取り組みだと思います」
反町キャスター
「民間を巻き込むモチベーションは?」
古屋大臣
「民間もレジリエンス、強靭性を持っていないと、これから企業も価値は上がりませんから、海外からの投資を呼び込めなくなりますよ」

問題点&課題は
山村氏
「レジリエンスというのは、しなやかとか、柔軟性。レスポンス(復元力)、船であれば傾いてもすぐに起き上がれる能力をつけましょうと言うことで、コンクリートで固めた強靭なものをつくるという意味ではないのだが、国民の中には何となくコンクリートで固めるのではないかみたいなイメージがどこかにある。でも、古屋先生の本の中には、それについての答えもちゃんと書いてあります。大事なのは心。1人1人のレジリエンス、強靭化というのも本当は大事なんだろうなと。これもあの中には一応書いてあるのですが、具体的な事例としては、たとえば、南海トラフの特措法の中にも近県で隣保共助の仕組みをつくりましょうみたいな形があって、それを都道府県知事が認定しましょうという話には一応なっているんですね。東京都の場合には、東京防災隣組がある。その中に企業防災隣組というのがあって、企業が隣組を組んで帰宅困難者を助けましょうとか、情報を提供しましょうとか、それから、もう1つは流通在庫備蓄を推進しましょうと。つまり、普段流通している在庫を一部、たとえば、ガソリンであれば、東京都の場合ガソリンスタンドの10%ぐらいをいったん買い上げちゃう。普段は使っていてください、最悪それだけは残してください。いざと言う時は緊急車両にと。そうするとタンクの増設、メンテナンスをしなくても、流通在庫の中で備蓄ができます。ランニングストック法と言いますけれど、そういうようなしなやかさ、民を利用しながらやるのも大事だろうなと思います」

古屋圭司 国土強靱化担当大臣の提言:『自助・共助・公助』
古屋大臣
「実は想定外をなくすと書こうと思ったんです。けれども、こちらの方が災害に強い日本にはふさわしいのではないかと思いました。今年の2月にアンケート結果が出まして、自助・共助・公助のバランスをとる。12年前に比べ、自助と共助が大切だというアンケートが3倍になったんです。と言うことは、何でも国に任せたり、税金に任せたりするだけでは絶対にダメで、自分の心構え、お互いに連携をしあっていく。そうすることによって災害は防げるし、命は守れるということですね。それをしっかり行政なり、国がバックアップしていく。この横串の連携ができることによって、どんな災害があっても、致命傷は避ける、人の命は守れる国はつくれますという意味で、自助・共助・公助」

藤井聡 京都大学大学院教授の提言:『最悪の想像』
藤井教授
「強靭な防災に強い国をつくるためには、考えたくはないけれども、最悪の時にどうなるのかさえ考えれば、そのあとはいろいろアイディアが出てくると思うんです。現在、政府をあげて15の最悪な重点的なものを挙げて1つ1つ考える。それを考えていくと必ず東京一極集中からの脱却とか、分散化国土をつくるという議論も出てきます。それをまとめていくと、1つの国土計画ということにもなります。それと同時に、最悪のことを子供が考える、教育の中できっちりと最悪のことを考えられるという子供もできあがっていく。そういう意味で国民の強靭化という計画もできます。従って、国土も強靭にし、国民も強靭にするためにも、最悪の想像が一番大事なのではないかと思います」

山村武彦 防災システム研究所長の提言:『命と時』
山村氏
「時というのは、タイミングでもあるんですけれども、危機管理で大事なのは、基本的に結果の重大性ということですね。それは取り返しがつかないことを最優先すべき。たとえば、命は取り返せないですよね。ですから、命に関わることを最優先で行うべきであり、そのタイミングを失ってはいけない。たとえば、避難にしても現在、逃げなければ取り返しがつかない。現在、事前対策をしておかなければ取り返しがつかない。強靭化もそうですし、津波対策、避難経路の整備も含めて、それを現在やらなければ、いつ起こるかわからない災害に備えられないと思うんですね。そういった意味で命と時、タイミングを非常に大事にしてほしいなと思います」