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2014年7月4日(金)
公明の「役割と限界」 ▽ 拉致進展と制裁解除

ゲスト

山口那津男
公明党代表(前半)
後藤謙次
政治ジャーナリスト(前半)
古屋圭司
拉致問題担当大臣 衆議院議員(後半)
伊豆見元
静岡県立大学国際関係学部教授(後半)


前編

「憲法上許容される」その意図は
佐々木キャスター
「今回の閣議決定で憲法解釈が変更されたという認識でよろしいですか?」
山口代表
「整備をしたと言った方が正解だと思いますね。言葉の説明はやや違った点はあるかもしれませんが、憲法の大事な枠を、これまで政府がとってきた憲法解釈の大枠は変えていないということです。ですから、いわゆる解釈で憲法改正したことと同じ結果をもたらすような解釈改憲ではないということです」
反町キャスター
「解釈変更ではなく再整理だと。これがよくわからないのですが」
山口代表
「政府は憲法解釈を長年継続してきました。そのもとになる考え方は1972年の文書で示した政府の考え方だったんです。我々公明党はこの政府の基本的な考え方を重視する、ベースにするという態度でずっと一貫してきました。そうすると、ここで示されている、1972年で示されている基本的な考え方は変わっていないと。今回の閣議決定でも変わっていない。ただ説明の仕方を整理したということです。許されない、許されるというところだけ見ると変更したように見えますね。しかし、憲法上許されるという今回の閣議決定、その前によく見ると、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として許される。つまり、従来の政府の基本的な論理に基づく自衛のための措置、この枠は変わっていないということです。だから、正確に言うと憲法上、いわゆる集団的自衛権の行使を認めたことではないということです」

与党協議から閣議決定へ
反町キャスター
「公明党が集団的自衛権を嫌がった最大の理由は何ですか?」
山口代表
「それはこの憲法の政府の長年とってきた考え方と違うのではないか、誤解を受けるのではないかというおそれがあるからです」
反町キャスター
「十分、これだけで変わっていると見えてしまうのは?」
山口代表
「それは誤解ですね。そこを説明しましょう。先ほど途中で終わりましたので。では有事法をつくった際、どういうふうに考え方を整理したかというと、日米安保条約、現在の条約は1960年、その5条1項に何て書いてあるかというと、この日本の施政の下にある領域に武力攻撃が行われた際に、日本とアメリカがそれぞれの憲法の規定手続きに従って共同で対処すると書いてある。その時は日本の施政の下にある領域だったんですね。この領域というのは領土、領海、領空ですね。そこに攻撃があった時には我が国に対する武力攻撃だから攻撃しようという考え方だった。有事法をつくった時も政府はそう答えていました。その時、政府の考え方をどう述べたか、正確に申し上げます。『基本的には我が国の領土、領空、領海に対する武力攻撃を我が国に対する武力攻撃というんです。公海上にある我が国の艦船に対するものは状況によっては我が国に対する武力攻撃に該当し得ると考えられる』。つまり、これまで領土、領海、領空だと言っていたものが、公海ではみ出しても場合によっては我が国に対する攻撃だと考える場合があると言うんですね。これが2002年の見解です。2003年になると『我が国を防衛するために出動し、公海にある米国の軍艦に対する攻撃が状況によっては我が国に対する武力攻撃のきっかけ、着手という状況だと判断される場合には自衛権、日本が自衛権を使うことができる』と」
反町キャスター
「自衛権で、集団的自衛権のような行為ができるという説明だと思うのですが」
山口代表
「そこで、これはあくまで日本の憲法の考え方として述べているんです。同じ頃にもう1つ述べた見解があります。それは『集団的自衛権、個別的自衛権の区別というのは、自分の国、日本に対して発生した武力攻撃に対応するものかどうかという点で違いがある』と述べているんです。つまり、どこに対する攻撃かということを中心に見ていたんですね。ところが、同じ頃もう1つ政府が述べているものがありまして『集団的自衛権がなぜ認められないかというと、これは我が国に対する武力攻撃に対処するものではなくて、他国に加えられた武力攻撃を、実力をもって阻止するからダメだ』と、そういう内容だと。国民の生命が危険に直面している状況のもとで実力を行使する場合ではないんだと。憲法の中に我が国として実力を行使することは許される根拠というのはまさに国民の生命などが危険に直面している状況下に限られるのだから、それをはみ出して、それと関係ないのに武力を使うことは許されない、そういう内容をもついわゆる集団的自衛権はダメですよと言っていたんです。これを逆に読むと、我が国の国民の生命などに危険を及ぼす、危害を及ぼす、そういう状況下では武力を使えるわけだから、公海上の米艦に対しても、そういう状況であれば、我が国の国民に対して危険がおよぶ状況であれば、それは我が国の武力を使っていいということが、有事法制をつくった時に、既に政府はそういうことを述べているんですね。これを今回、閣議決定で考え方を整理した、その基本と実は同じことです。基本的な枠、柱は変えていませんから、解釈改憲ではないということです」

公明党が果たした役割をどうみる
後藤氏
「今回の一連の議論を見ていて、ほとんどの国民の皆さんはストンと胸に落ちていないと思うんです。政治というのは1億3000万人の胸にストンと落ちるということで、シンプルであるということは政治の基本的な、とりわけ為政者が国民に発する義務になると思うんですね。今回のいろいろな議論を見ていますと、用語が確かに難しい。さらに、それに加えて戦後70年間、いわゆる自国防衛以外一切認められないんだと。個別的自衛権しか行使できないんだと言っていた国が何で5月15日の安倍総理の会見から7月1日まで、わずか1か月半でこれだけ変わってしまうのですか、素朴な疑問です。それと、自民党と公明党という与党協議で行われたと。毎日のように新聞の見出しがくるくる変わってくると。いったい何が行われているのか、わからない中で、この解釈変更ではなくて再整理という言葉が出てくると」
山口代表
「こういう言葉が是か非かというより、現在私が申し上げたことを率直に見ていただきたいと思うんですね。私は安倍総理が安保法制懇で議論を始める当初から、公明党は従来の政府の解釈を基本にしていますよということを申し上げてきました。ですから、乱暴なことはいけませんと、他国防衛のために武力を使うことは断固反対ですという趣旨のことを述べてきました。報告書が出た、今度は安倍総理が議論の方向性をお示しになった。その最初のところで、集団的、個別的を問わず、自衛のための武力行使は何ら禁止されていない、何でもできるとおっしゃった、この考え方は採用しませんと。なぜですか、それは政府の憲法解釈と論理的に筋が通らないから、これは採用しない、ここで集団的自衛権を認める考え方を総理は採用しなかったんです。ここで大きな区切りがついているんです」
後藤氏
「国民にとって自衛隊は海外に行って血を流すのですか、あるいは海外の人達に傷をつけるのですか、そういうことになってしまうのではないか、基本的な部分に対して、法律解釈論だけやってきても、それは我々にはストンとこない」
山口代表
「総理ご自身も、湾岸戦争やイラク戦争のような武力行使の目的をもって戦争に参加する、そういう自衛隊の派遣の仕方はやりませんと。今後もやりませんということをはっきりとおっしゃった。その中身は要するに武力行使をさせない、海外で自衛隊に戦闘行為に参加させないということをおっしゃられていることですね」
後藤氏
「それは安倍総理の見解であって、次の総理、さらに次の総理、政権が交代すると…」
山口代表
「それはこの1972年の憲法の考え方と今回の閣議決定にそのことが表れているわけです。自国を防衛する、日本を防衛するのみに使えるわけであって、湾岸やイラクなど、日本を守ることとほとんど関係ない場所へ行って武力を使うことはダメですよということは現在もはっきりしているんです」

反対から一転 なぜ容認
反町キャスター
「内閣官房参与の飯島さんがワシントンでの講演で、集団的自衛権だけに注目するのではなく、私学助成問題、政教分離問題など内閣法制局の見解で法的な位置づけが定められたことがあるもの、集団的自衛権の見解を一内閣でひっくり返すことが、私学助成も政教分離もこれまでの政治の積み重ねを簡単にひっくり返すことができるかもしれない。そこのところに配慮しなければいけないという指摘については」
山口代表
「飯島さんの講演の内容を私は正確に存じ上げませんので、それ自体がどうかは申し上げられませんが、憲法について全部条文にはっきりわかるように書いてない部分もあるんです。たとえば、これ以外にも地方自治の部分とか、いろいろ他にもあるんです。そういう部分になかなか裁判所が判断を下す場面が少ないものですから、政府がこの解釈を埋めてきた、はっきりさせてきた、そういう部分がたくさんあるんですね。ですから、それが安定しているもの、定着しているものであればあるほど簡単に変えてはならないという重みがあるということです。飯島さんがそういうことをおっしゃっているとすれば、それは非常に大事な考え方だと思います」
反町キャスター
「政府の見解、内閣法制局の見解を簡単に変えることに対する公明党の抵抗?」
山口代表
「公明党が抵抗しているとかではなくて、そういう意味では我々ががんばったからこうなったと言ってもいいのですが、たとえば、自衛隊の隊員から見たらどうですか、これまで長い間、他国防衛のために外国に戦闘に行くということはないだろうと思って、我が国を守るために、国民を守るためにと自衛隊に入ってきたわけです。それが、政府の考え方がいきなり変わりました、あっちに行けこっちに行けではたまりませんね。つまり、国民に政府のそういう考え方が定着してきたということですよ。外国はどうですか、東南アジアや中国も含めて、かつて日本が戦場として戦った場所があるんですよ。そこへ日本が行って、戦いませんというのがこれまでの政府の考え方だった。場合によっては行って戦うかもしれませんというメッセージを政府が新しく打ちだしたら、身構えるところも出てくるでしょう」
反町キャスター
「身構えさせることが抑止力だと聞こえるのですか?」
山口代表
「違うんです。安倍総理は日米が協力し日本を守る、そういう体制をしっかりさせることが日本に対する攻撃を防ぐ抑止力になるんだということを言っているんです」
反町キャスター
「安倍さんは会見で、抑止力をつけることで巻きこまれなくなるんだという説明を繰り返してきたのですが、山口さんの話では集団的自衛権を日本が持つことで巻きこまれることが高くなると聞こえる、そこはどうですか?」
山口代表
「それはそういう要素があるでしょうね。他国に武力を使いに行く、こういう他国防衛がこれまで言われてきた集団的自衛権の大きな要素ですからね。それを認めるということになると他国で武力を使う、これは世界が喜ぶところもあるかもしれませんが、心配するところは多いですよね。少なくとも日本の方針が大きく変わったと思うでしょう。国民も変わってしまった、世界も変わってしまったと。その成果を一政権で解釈を変えてやってしまったとなるとなおさらこれは不安に思うでしょう。だから、そういう長年定着したものというのは憲法のうえでの安定感があると。だから、ここは大事にしないとダメです。もしそういう柱を変えようとするとなれば、ちゃんと国民的に議論して、憲法改正というきちんと決まった手続きをとって変えなきゃダメだということです」
後藤氏
「前に山口代表が辞意を表明したのではないかという報道がありました。つまり代表の本意とは違った方向で議論が進んだというお気持ちがあるのではないですか?」
山口代表
「公明党は数が少ないですし、与党の中でも、しかし、公明党は、政党の中ではっきりと主張をしましたので、自民党は数が多く、幅の広い政党ですから、自民党の中でいろいろな意見が出てきていいはずです。少なくとも私は平成2年に初当選した頃にはいっぱいいろいろな意見がありました。今回はさっぱりないんですよ」
後藤氏
「代表が非常に損な役回りを演じていると思うんですよ、公明党は現在。野党総崩れの中で、与党でありながら野党の役回りを国民から求められてしまっている。一方の見方をすれば、公明党がいたからこの程度で収まったという見方もあるし、何で最後の一線を出ちゃったんだという両方の見方がありますよね。代表はどちらを受け止められていますか?」
山口代表
「これは公明党がいたからこういうことで落ち着いたんだと思いますね。この安全保障の変化、環境の変化に対応する部分も必要ですから、そういう対応も出したし、また政府のこれまでの見解の枠をはみ出すこともさせなかったし、今後もそれを維持するということもはっきりしましたから、与党の役割やれ、野党の役割やれという一人二役はできない相談が難しかったのですが、しかし、きちんと議論を尽くして、それを政府与党の考え方として落ち着かせたということは、役割があったと我々は思っているんですね」

具体的な法整備 公明党のスタンス
反町キャスター
「改正が検討される主な法案については、議論の形は与党政調でやっていくのですか?」
山口代表
「まずこれは政府与党で決めたのですから、政府与党がしっかり覚悟を決める、内容を固める、その法案をつくったあとに広い合意を求める努力というのはあってもいいと思いますが、現在の段階ではそういう話ですね」
後藤氏
「あの時、安倍さんは、露骨な言い方をすれば、利用価値があったかもしれないですが、今回大きい山を越えた時に果たしてそこまで手を伸ばすことが安倍さんにとってプラスかどうか、私はそうは思わないんです。一応大枠ができたので、この中身をいかにきちっとつくっていくのかという作業になりますので、むしろ与党だけできちっとやっていくというのが、安倍さんの基本方針だと思いますけどね」

みんな・維新…第三極をどう意識 公明党への揺さぶりは
反町キャスター
「自民党が公明党以外に浮気心があったのではないかという話。これは終わったのでしょうか?」
後藤氏
「私は、あれは安倍さん一流の挟み将棋だと思うんです。違う駒を用意して公明党を挟み将棋の形で、自分達の方に寄せようという思惑があったのだと思いますね。ただ、こういう大きな枠組みができてしまったあとは、与党内での議論を進めていくということで、安倍さんはあまりそこはこだわらないのではないかと思います」
山口代表
「武力とか、自衛隊に関する法律というのは議院立法ではやるべきではないんですね。政府がきちんと責任をもって案をつくって、与党がそれを議論して、最終的に固めると。固まったあとに修正を求めるような意見が出てきた時にそれに耳を傾けるというような謙虚さを持たなければいけないと思いますが、政府がしっかりつくる、これが基本。それには与党の承認が必要、その与党の承認の場面で我々は今回取り決めたことをもとにチェック役としてその役割を果たしていこうと思っているんですね」
反町キャスター
「維新の会やみんなの党が安倍さんのもともと言っていた考え方に近いように見えるのですが」
山口代表
「そうですね」
反町キャスター
「彼らが議論に混ざってくることには」
山口代表
「誤解を恐れずに申し上げると、自民党の政党としての考え方はもともと憲法を改正して、集団的自衛権を認めて、法律で縛っていこうというのが基本でしたね。維新やみんなもそれに近い。だけれど、それは安倍総理が法制懇の報告書を受け取って、採用しないという考え方。その基本は外さない方がいいと思います」

消費税引き上げ・低所得者対策は
佐々木キャスター
「消費税の引き上げに関しては、どのような考えですか?」
山口代表
「公明党も自民党も野党の時代に、与党と3党で合意したことなんです。ですから、これは非常に重いと思います。そこで時の政権があらゆる状況、経済状況を中心に考えて判断すると8%は何とか前に進んだ。10%に至る責任もありますので、いろいろ失速しないような政策を幾重にも重ねてきました。どうやら8%のところは楽観はいけませんが、思ったよりは落ち込みは少なかったという評価はあります。ただ、問題なのは、これから回復してくるかということですね。ここを見届けて、そういう流れが確認できればやるということになるでしょうが、それは最終的に安倍さんが決めることですね」
反町キャスター
「軽減税率の話は公明党としてはどう詰めていくのですか?」
山口代表
「これは安倍さんが予定通り上げるよと判断する時に、制度が実行できないと困るんですね。低所得者対策としては軽減税率しかないというのが消去法でもう決まっています。法律で3党でつくったのは、簡素な給付措置、これは臨時、一時的な措置ですよ。恒久的な措置、給付的税額控除か軽減税率しかないですよ。給付付税額控除はインフラができていないんです。国民の所得を把握するような納税番号制というのもできていない、これはやりたくてもできない、残ったのは軽減税率しかない、これは国民の皆さんの指示が圧倒的に多い。ただ、納税事務をやる事業者の方々はなかなか大変ですから、その負担をなるべく軽くするように、わかりやすくするために現在努力をしているところですね。だけど、大枠としては軽減税率しかない。この制度が実行できるようになっていないから、10%で判断したいんだけれど、できないと安倍総理に制約を課したのではダメです。制度としていつでも実行できる。そういう中身を用意しておいて経済状況その他を判断して、安倍さんがやるということになれば、制度も自ずと実行できるようになる。そういうように用意しておかなければダメです。だから、与党はいろいろな考え方、選択肢を示して、いろいろな方に意見を伺っているところですね。それをもとに秋ぐらいには制度の設計をきちんとしていこうと、こういう構えでいるんです」


後編

北朝鮮・日本両国の思惑は
反町キャスター
「宋日昊大使は、日本での報道について『日本では被害者が何人、特定失踪者が何百人などと科学的でも客観的でもなく、証人もいない、でたらめな資料を乱発している。これは、調査に混乱をもたらし、結局、日本側が損をすることになる』と発言していますが、いかがですか?」
古屋拉致問題担当相
「宋日昊大使は拉致問題では今日がフィナーレを飾る仕事ですから」
佐々木キャスター
「どういうことですか?」
古屋拉致問題担当大臣
「と言うのは、今度は新しい組織があって、拉致問題も他の遺骨問題、あるいは日本人問題ですね。配偶者の問題は徐大河氏という今度の新しい特別委員長が担当することになります。最後の仕事ですね。今後のこともいろいろと考えてちょっと過激なことを発言されたのではないですか。私はあまり深刻に受け止めていませんよ」
反町キャスター
「要するに、日本側の高まる期待を潰そうとしているようにも見えるのですが…」
古屋拉致問題担当相
「いろいろ考えた発言だと思いますけれど、実際に今度の4月1日の協議の時に、こういう発言は一切ないですから」

一部制裁解除に至った狙いとは
佐々木キャスター
「人道目的の北朝鮮船舶入港禁止、人的往来の規制、北朝鮮への送金の報告義務。この項目を解除しようとした狙いは?」
古屋拉致問題担当相
「これは当初の合意でこういう解除をしましょうという。ただ誤解をされている方が多いのですが、これによって北朝鮮に相当の経済的なメリットがあるとお考えの方がいらっしゃいます。正直言って経済的メリットほとんどないです。まず一番上の人道目的の北朝鮮船舶、これはあくまでも貿易のために人道目的の船舶を使っていいということではなくて、あくまでも個人が、たとえば、セーターを4~5枚とか、その程度のものを納品、薬とか、そういったある意味では郵便物でも送れるぐらいのものを出すにはいいですよと言っている。非常にそういう意味では極めて限定された人道目的。2つ目の人的往来は具体的に言うと9人ですよ。いわゆる朝鮮総連の幹部で現在向こうの代議員、要するに、国会議員5人、サブが4人いますから、この9人。他の人間が日本に来る時はこれまでと同じ2006年以前と同じような厳格な審査をしますから。無原則で入ってはこられるということは一切ない。それから、北朝鮮への送金も報告の義務が下がっただけで、報告すればこれまでもいくらでもできたわけですから。だから、そういう意味では、あるいは別のルートを使えばやれるので、そういう意味でこの制裁の緩和というのは経済的なメリットというのはほとんどない。何かモノをあげるということでは一切ありませんから」
反町キャスター
「そうすると北朝鮮が望んでいる制裁緩和というのは、たとえば、よく言われている万景峰号とか、ないしは貿易の話とか、そういうところについてはこれから本当の向こうの望む…」
古屋拉致問題担当相
「今日、宋日昊大使も万景峰号のことを何か言及しているという話ですが、私はまだ詳しく見ていないですけれども、それだけこだわっているのでしょう。だから、我々も万景峰号については一切今回は対象にしないということを最初からずっと言い続けていました」
反町キャスター
「短距離ミサイルを発射しても、それでも交渉はやめない。総連ビルの売却問題なども政府は関係ない、司法の判断とは言いながらも、その間、北朝鮮について好ましい状況に動くこともある。経済制裁も効果がないと言いながらも、一部解除する。何かそれに対し向こうが何をやったのかと言うと、組織を立ち上げただけとは言いませんが、だけですよ。日本の方が前のめりに見える。これは違いますか?」
伊豆見教授
「前のめりには見えないですね。まず今回は大きな円を描いて、平壌宣言に則って不幸な過去を清算し、それから、懸案事項をちゃんと解決して正常化を実現するということを目標に掲げてやっている交渉ですから。その中で考えれば、これは当然現在のように進んでいくのはいい話だと思いますし、あるいはミサイルが発射されること、これをどうやってミサイル発射させないようにするかという交渉も、これから日朝でできるという話ですから」

北「調査委員会」の評価は
佐々木キャスター
「北朝鮮の特別調査委員会の人選をどう評価していますか?」
古屋拉致問題担当相
「これは国防委員会の委員長は金正恩氏ですから、金正恩氏自身が最高責任者となる、国防委員会からそういう権限を与えられたと。私はそこを見ています。この人間がどういう人間かというその立場ですね。要するに、そういう権限を与えられている人間が就いたということですから、私達はそこに着目をして、今度は具体的な行動があったということで、制裁の一部緩和に踏み切ったわけです」
佐々木キャスター
「前例のない強力なチームということを、それをそのまま受け止めていいのですか?」
古屋拉致問題担当相
「いいと思いますよ。ただ、言行一致していくのかどうかを、これからしっかり見極めていくということですね」

4分野同時進行 その意図は
反町キャスター
「拉致被害者、行方不明者、日本人遺骨問題、残留日本人・日本人配偶者と、この4分野の動きをどう見たらいいのですか?」
古屋拉致問題担当相
「当初はどこかを先行するということではなくて、並行的にやると。そういう発表をしていますね。ただ、行方不明者とか、日本人遺骨問題とか、日本人配偶者は北朝鮮の全地域におそらくいるのでしょうし、ある程度の時間がかかる。一方、拉致被害者というのは、北朝鮮の意思によって拉致してきた人間ですからね。ある程度データはまとまっているはずですね。ですから、こちらの方をはやく、しっかり見せるはずですね。交渉の中でも一括解決を目指すんだと。そのためにはスピード感を持ってやること。もう1つは拉致被害者の安全の確保。これが大事。これはくどいほど今度の交渉で言っているんですね。ですから、官房長官も会見でだいたい夏(の終わり)か、秋の初めぐらいと言っていますから。そういう時にはある程度のモノを出せるはずですよ」
反町キャスター
「不満足の場合、再制裁も踏まえているのですか?」
古屋拉致問題担当相
「総理に、家族会の皆さん、拉致議連の皆さんと、総理官邸で会ってもらったんですね。その時に要望書がありまして、そこにはっきり書いてあるんですよ。もし不誠実な対応をやるならば、再びさらに厳しい制裁をやることを視野に入れてということが書いてあって、総理もしっかり受け止めていますから。そういうことですよ。総理があの場で、オールジャパンで取り組みましょうと、是非拉致議連の皆さんも、家族会の皆さんも一体になって取り組みましょうと。これが北朝鮮に対するある意味での圧力ですね」

拉致問題 その出口戦略は
佐々木キャスター
「拉致問題の最終的な出口はどういうところに落としどころがあると考えていますか?」
古屋拉致問題担当相
「これはもう政府が常に言っています。それから、日朝協議の中でも言っていますけれど、全ての北朝鮮によって拉致をされた人間を戻すということです」
反町キャスター
「全てというのは860人ぐらいを」
古屋拉致問題担当相
「最大はそうです」
反町キャスター
「北朝鮮側の説明責任というのは、その860人の安否を証明する義務が、彼らにあると」
古屋拉致問題担当相
「向こうにありますからね。それで今度の協議の中で、たとえば、日本からもリストをくださいみたいなこと言っているらしいんですよ。日本はどうするかということについては、我々は860人のうち616人は既にホームページで公開していますから。これは家族の皆さんの了解を、だから、向こうも全部見ていますよ。ホームページで公開していること。でも、実際にリストをどうするのか、出すか、出さないか、これは戦略的なこともありますので、現在しっかり詳細に検討したいとは思いますけれど。ただ、616人は既に公開されています」
反町キャスター
「向こうが見ようと思えば見られる?」
古屋拉致問題担当相
「見ていますよ、それは。当然」
反町キャスター
「北朝鮮側から見た時に、どういうふうにこの問題に取り組まなければいけないと思いますか?」
伊豆見教授
「そういう形で出てきた数字にある程度答えていくことはやらなければいけない。一番の問題は信頼感がないからです、日朝の間には。だから、北朝鮮がこれだけでどうですかと示した時にああそうだろうと我々は思うことはないから、我々から見ると、怪しい人を全部出す。しょうがないですよ。それを全部チェックすることをやらなければいけないんです。信頼感がないのであれば、それをしない限りは一切前に進めないですよ」