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2014年7月1日(火)
閣議決定を自公へ問う 集団的自衛権の決断と課題

ゲスト

中谷元
自由民主党副幹事長(特命担当) 衆議院議員
上田勇
公明党外交安全保障調査会長 衆議院議員
柳澤協二
元内閣官房副長官補(安全保障担当)

新しい安全保障法制の整備 基本方針を閣議決定
反町キャスター
「今日の取りまとめの方向性は、自民党が当初目指していたものと照らして、ほぼ納得する線が出たと見ていますか」
中谷議員
「はい。集団的自衛権の限定的な行使の容認ですね。その必要性と法律をこれからつくっていくということと、抑止力で平和を守ること。こういうことが盛り込まれていますし、また隙間のない、安全保障の法的整備ということで、グレーゾーンから海外のPKO。また、集団的自衛権に関することでひと通り、全てチェックをして、再整理をして、あらためて憲法をどう考えるかということについてきちんと整理ができたなと思います」
反町キャスター
「憲法解釈の変更をしたのではないのですか。今日の閣議決定は」
中谷議員
「はい。再整理ですね」
島田キャスター
「今日、閣議決定になったわけですが、これまでは長い道のりだったのでしょうか、公明党にとっては」
上田議員
「はい。私達も日本を取り巻く国際情勢とか、安全保障関係が変化する中で、それに対応した安全保障法制の見直しというのは必要だろうというふうに考えてきました。その一方で、これまであった憲法の解釈との整合性とか、論理的なまさにつながりですね。そういったことも重要なことではありますので、自民党との間で何回も協議を重ねさせていただいて、非常に真摯で、しかも、精度が高い議論ができたのではないかというふうに思っています。自民党にも随分、我々の意見を取り入れていただきましたし、そのうえで総理も山口代表もおしゃっていましたけれども、国民の命と、平和な暮らしを守る。そういう法制を目指そうということで、そういう方向性ができたのではないかと思っています」
島田キャスター
「公明党も閣議決定で決まったことに対しては満足いくものになったという認識でいると」
上田議員
「はい」
反町キャスター
「まず印象ですが、今回の閣議決定。どんなふうに感じましたか?」
柳澤氏
「いろいろと汗をかかれたお二人を前にして申し訳ないんですけれど、大変雑なことをおやりになったなという印象ですね。15の事例そのものも私はかなり雑だと思ったんだけれど、それでも1つ1つ問題点はあげて、きっちりした議論が行われる。そのことによって、国民にも自衛隊にもイメージがつかめる議論になると期待していたところが、最初のグレーゾーンのところで、多少そういう議論があって、あとはもう一気に閣議決定の話にいっちゃうような。結局何をさせたいのかが全くわからないまま閣議決定に至ってしまった。私が一番、論理的におかしいと思うのは、昭和47年の閣議決定というのは憲法9条というのが武力行使を否定しているんだけれども、それでも憲法13条にあるように、国民の生命、自由、幸福追求権については最大の配慮をしなければいけない。それが根底から覆されるのは我が国が武力行使を受けた時なので、だから、それに対する自衛の武力行使は認められるけれども、我が国が攻撃を受けていない場合の集団的自衛権はダメだと。こういう結論を導いている。同じ論理を使って他国への攻撃が我が国の国民の生命、自由、幸福追求権を根底から覆すとはいったい何のこっちゃということですね。そこのところが実は最も説明されなければならないところだけれど。それがたぶん15事例の中で出てくるのかしらと思っていたが、そういうことは全くないまま決定が行われちゃっているというのは、だから、整理というよりはむしろこれまでの憲法解釈の考え方の破壊というべき話ではないかと。厳しい言葉を使うとね。そんな印象であります」

憲法解釈変更か 再整理か
反町キャスター
「もともと集団的自衛権の与党協議に入る前の段階では集団的自衛権の行使容認に向けては憲法改正があるよねと。ないしは別の法律を立てるやり方もありますよね。憲法改正のやり方もあるが、でも、憲法改正は時間がかかるから、この喫緊の課題に対応するためには解釈の変更しかないよねということで、この議論が始まったと、この番組のゲストの皆さんはそう言っていました。それが解釈の変更でいこうよねと始まったのが、公明党と11回もやった結果が再整理という言葉に落ちてしまったのか。落ちているようにしか見えないんです。落とした理由は何ですか。公明党とのすりあわせだけですか」
中谷議員
「議論の結果、論理の継続性と。きちんと説明できるかということで、従来と考え方は一緒ですよと。しかし、それによって現在の状況の中で、やるべきことはあるでしょう。必要最小限の防衛の中にそれがないと守れない状況があるでしょうということで、これは議論した、具体的な事例のケースから入りまして原則を求めたのですが、その原則を考えていく議論の中で公明党の方から昭和47年の見解があるではないかと。それにあわせると、今回の結論が導きだされたということです」
反町キャスター
「公明党は今回の自公の協議の中においては解釈の変更については反対をされたことになるわけですか。解釈の変更以外の方法を求めた結果、再整理という言葉に落ち着いたというふうにしか、私には見えないのですが、そこはいかがですか?」
上田議員
「言葉の遊びになっちゃうから」
反町キャスター
「これは言葉の遊びだと。柳澤さん、言葉の遊びなのですか。再整理か、解釈の変更か。言葉のお遊びと言うのであれば、この議論は終わらせます」
柳澤氏
「要は、どう考えたって解釈の変更です、これは。だけど、再整理と言わないと、与党内がまとまらないから、そうおっしゃっているんだと。それは普通そう思いますよね」
反町キャスター
「思いますよね」
島田キャスター
「与党内がまとまらないから、言葉を再整理に落ち着かせたということだと思うんですよ」
上田議員
「いや、そんなことは決してないですよ」
島田キャスター
「国民はわかりづらいというか、教えてほしいんです。どういうことか」
上田議員
「もう1度、1972年の政府見解で、抜粋なのですが、実は書いていない部分に、解釈というのが何と書いてあるかといえば、外国の武力攻撃によって、国民の生命、自由および幸福追求の権利が、根底から覆されるという急迫不正の事態に対処しと書いてある。だから、文言はほとんど一緒です。ですから、今回、申し上げたことは、我が国の武力の行使が認められるというのはこういう事態ですよということで、まさに我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される事態だ。それが自衛権を行使ができる状況だと。だから、そこまでの考え方は全く一緒です。だから、今回のいろんな議論の中で、その後に、1972年の見解は、冒頭に出ているのですが、ただ、いろいろ状況の変化の中で、我が国が直接武力攻撃を受けていない場合でも、たとえば、日本の日米安保の中で、日本の防衛のために活動している米国の艦船とかが攻撃を受けた場合。それはまさに我が国が攻撃を受けたのと限りなく近いところがあるのではないか。だから、まさに我が国と密接に関係ある国が他国の武力攻撃を受けたことによって、そういう同じ状態になり得る。だから、これまで言っていた自衛権の行使と限りなく近い、自国の防衛に近い部分、自国の防衛という目的の部分については、その部分は適用が変わってくるのではないかと」
島田キャスター
「と言うことは、集団的自衛権の一部容認ではないのですか?」
上田議員
「一部容認だと思います」
島田キャスター
「集団的自衛権の一部容認ですよね」
上田議員
「集団的自衛権という言葉は正確にいうと、憲法の言葉ではないですからね。国連憲章の言葉ですから、これにはいわゆる集団的自衛権と書いてあるんですよね。国連憲章から引いている言葉で、そういう言葉になっているのですが。しかも、これは1972年の政府見解は、もともとが集団的自衛権の行使は認められますかと問いに対する答えですね。だから、こういう言い方の結論になっているのですがまさに我が国の憲法、それから、法令に間することですから、そういう言葉を使っていませんが、従来、個別的自衛権ではないといわれていた部分の行使が一部認められたという。そのことは間違いない」
反町キャスター
「要するに、公明党は解釈の変更という言葉を拒否した。そういうわけではないのですか」
上田議員
「そうではありません。これは法律の専門家の方が、変更というよりも、当てはめを変えたんだと言った方が、より適切な表現だというものですから、我々もそうだろうなというふうに…」
島田キャスター
「法律の専門家というと?」
上田議員
「内閣法制局や衆議院法制局ですね。両方から意見を聞きましたけれども」
反町キャスター
「これは内閣の、衆議院の法制局、いわゆる法の番人といわれる人達は、これは解釈の変更ではないというお墨つきを、自公に対して与えたという理解でよろしいですか?」
上田議員
「変更というよりも、むしろ、それは当てはめを変えたという方が、より的確な言い方でしょうという」
反町キャスター
「柳澤さんはどう見ていますか?」
柳澤氏
「私はたぶん法制局が、これが解釈の変更ですと言っちゃったら、国会答弁ではもたないです、彼らが。つまり、解釈の変更をしてもいいのかと法制局の見解を問われた場合『いや、変更していいんです、政府が』という一般的にそういう答弁はできないはずなので、法制局の役人としてはそう言わざるを得ないという背景があったのだろうなと」
反町キャスター
「法制局の立場とは言いません。でも、立場ですよね。法制局の立場を守るために、今回、我々の眼から見ると、どう見ても解釈の変更にしか見えないものを、再整理だという言葉にするということで、与党と法制局がそこで話を合意した。そういう理解でよろしいですか?」
柳澤氏
「そう。先ほど上田さんから伺った当てはめの変更という言葉は、すごく面白くて、私達もよく言われた、イラクの話でも言われたけれど、実際に、どこが非戦闘地域かというのは法律の問題ではありません。それは当てはめの問題ですということで、法制局は、悪い言葉でいえば逃げるわけですね。あとは現場をやっている内閣官房や防衛省に聞いてくださいと、こうなるわけですね。法制局が言っている言葉を聞いて、私がなるほどと思ったのは、そういう一種、保身の論議が働いているんだろうと思いますけどね」

日本の安全保障の未来は
反町キャスター
「一部報道では、飯島内閣参与がワシントンで、政教分離に関しても、いわゆる内閣法制局の見解を変えるということが、非常に重要な意味を持ってくるので、今回の集団的自衛権に関して内閣法制局の見解を変えるということについては、非常に慎重に政府は対応すべきだという主旨のことを発言されています。私学助成とか、政教分離とか、集団的自衛権というのは、これまで内閣法制局が出した発言がずっと積み重なってきていることによって、1つの見解が日本の中においては固まってきたのですが、公明党としては、そういった諸々法制局が積み重ねてきたもの。これを変更するということに関しての抵抗というか、慎重な立場というのは今回あったのですか?」
上田議員
「直接的に今回の問題ではありません。もちろん、ずっと政府が憲法の解釈をする、法律の解釈をするというのは、くるくる変わっては安定性がないわけですからね。それは法律の安定性というのが必要だし、過去の考え方との整合性が必要でありますから、当然のことながら、そんなに簡単に変えられるものではないので、それは十分な稟議が必要だと思います。過去に憲法の解釈を変更したというのは、正式には1回しかないと言われています。文民統制に関わる部分で、当時は旧軍人以外は文民だと言われていたので、自衛官は文民だと言われていましたけれども、ところが、現在は現職の自衛官は外れているという、その1回だけだと言われています。ですから、解釈の変更というのが行われることはないし、行われるべきではない。これは当然のことだろうと思っています」

密接な関係にある他国
島田キャスター
「我が国と密接な関係にある他国という文言が入りましたが、これが歯止めになるのかどうかということも含めまして、まずどの国のことを言っているかですが」
中谷議員
「密接な関係にあるというならば、まず同盟関係にあるアメリカですね。ただ、安全保障とか、外交というのは不変ではないわけで、本当に状況に応じて変わってきますので、どの国と仲良くするのか。それは時代に応じて変わってきますので、一概にどの国ということは現時点では言えない」
島田キャスター
「時代によって変わるけれども、考えられるのはアメリカだけ?」
中谷議員
「同盟関係だけではないですね。いろんな事象に応じて判断していく。たとえば、石油の関係で、クェートとか、オマーンとか、そういう国も非常に密接な関係にあると判断するかもしれません」
反町キャスター
「公明党はもともと、高村さんが出していた最初の試案でいう、単なる他国というところに対し、もうちょっと表現を重くした方がいいということを求められたと思うのですが、今回の落としどころというか、我が国と密接な関係にある他国の表現についてはどういう印象を持っていますか」
上田議員
「ここは入口の部分と出口の部分、2つ縛りがかかっていまして、出入口の部分が我が国と密接な関係にある他国であると。これは我が国と密接な関係がある国というのは、日本防衛のために行動している国と考えるのが普通なのではないかなと」
反町キャスター
「同盟関係がある国ですか?」
上田議員
「ですから、同盟関係のあるアメリカがそれにあたるのが当然だと思います。その国が攻撃されて、我が国の存立が脅かされるんだと。国民の生命、自由および幸福の権利が根底から覆されるような事態なわけですよね。ですから、これはまさに同盟関係にある国の、特に日本の防衛のために行動している国の部隊に対する攻撃ということが想定されていると考えています」
柳澤氏
「総理の会見では他国の戦争に巻き込まれるというのは誤解ですとおっしゃっていましたが、日本が攻撃されていないのに、日本にその類が及ばないように積極的に戦闘行為に、日本も戦争当事国になっていくという意味があるのでね。それをやると相手から見れば日本も敵国として攻撃対象になるという、そうすると、日本がそうやって敵国から攻撃された時の国民の生命、自由、幸福追求権はどうなるというリスクも伴っているわけですね。だから、そこを本当にどう限定するかというのは実はすごく大きな問題で、必ず安全保障というのは相手があることですからね。こちらが強く出れば、相手も強く出る。モチベーションが働いて必ずメリット、デメリットがあるのでね。そこの認識をちゃんとどこまでしていただいているかが、これからもきちんと説明されないといかんのだろうと思っているんですね」
中谷議員
「だから、条約というのはいつ破棄されるかわからないので、日米安保があるからといって安心できないんですね。米国にも国民がいて、日本の危機に際して、米軍が行動していると。なのに、米軍が危険な時に(日本は)何もしなかったと。だったら、米国民は怒りますよね。そうすると、日米安保は潰れてしまいますから、そういう場合は、こういうのを発動できるという権限を持っておかないと困ってしまうことがあると思うんです」
反町キャスター
「柳澤さんが指摘したのは巻き込まれに対する懸念ですよね。その巻き込まれに対する懸念には、どの程度、歯止めとか、担保がかかっていると感じていますか?」
中谷議員
「私はむしろ総理が言ったように、抑止力によって、平和も保たれるんだと。巻き込まれるということで、おそれて何もしないということによる悲劇というか、弊害が大きくなるという危険性の方が私は高いと思います」
島田キャスター
「総理は、それは誤解だと言ったわけですよね。巻き込まれると皆さんは思っている。中谷さんはまだその可能性もあると?」
中谷議員
「いや、巻き込まれることは可能性としては抑止力を発揮したことによって消えると」
反町キャスター
「要するに、そういう危険性が下がっていくという立場ですね?」
中谷議員
「そうです」
反町キャスター
「上田さんはいかがですか、その巻き込まれ論というのは?今回は巻き込まれ論について、どういう懸念をお持ちですか?」
上田議員
「今回の閣議決定を見ていただければ、非常に限定されているんですね。日本の、我が国の防衛のための行動だというのがこの文言を見ていただければ明らかだと思います。ですから、それをもって、巻き込まれるということは、ちょっと次元が違うことではないかなと思うんですね。先ほど、いろんな事例が出たように、たとえば、他のテロとの戦いに日本が参加をするとか。そうすると、確かに巻き込まれる危険性は非常に高いと思います。ですから、ただ日本の防衛を目的としている時にはそれほど危険性は少ないのではないかと思いますし、また日本の周辺で米国と日本が協力をして、日本の自衛隊が、米軍と協力をしていろんな防衛のために活動をしている時、中谷さんもおっしゃった通り、米軍は日本を守れる。日本は米軍を守れないではちょっとなかなか納得がしてもらえないのではないか。しかも、これから、こういう安保環境がずいぶん厳しくなっていく中で、ますます協力関係というのには信頼が必要なのでね」
反町キャスター
「上田さんの話は、矛盾する2つの話が並列しているように聞こえるんですよ。巻き込まれるの良くないよと。だから、テロとの戦いには巻き込まれないよと。けれども、アメリカ軍が攻撃された時に日本軍が守らないと日本が困った時にも向こうはやってくれないよ。どこまでお付きあいするのか。アメリカ軍の危機において、日本はどこの線までいくのかという。それがまさに歯止めであり、これは巻き込まれでないよ、これは日本の国益を、安全を守るために必要な米国との共同作戦だよという、そこの線引きが見えないから、何度も同じ質問をするのですが、お付きあい、連携、信頼関係は必要だ。けれども、巻き込まれはダメだと。この線引きをどのように」
上田議員
「これは少なくとも、日本の防衛を主たる目的として行動している米軍と日本の自衛隊との間の関係です。このぐらいの場合はですね…」
反町キャスター
「地域限定ですね。そういう意味でいうと」
上田議員
「地域限定というか、目的がそうだと思います」
柳澤氏
「ほとんど個別的自衛権ですね」
上田議員
「どうしてもこれまで以上に信頼関係が必要な時に、お互いそこは守りあえる、防護できるようにするという主旨は必要だろうと私達も考えています」

行使判断の課題
島田キャスター
「誰が判断するのですか?」
中谷議員
「それは最高責任者の総理大臣が判断をしますが、これに至るまではいろんな情報もありますし、国家安全保障会議NSCが分析をして、閣僚会議を経て判断しますが、これは当然国会で承認もかかりますので、国会で承認が得られるためには、与党にも相談がありますし、野党の皆さんとも党首会談をして、国会の状況を見て、判断されると思います」
反町キャスター
「歯止めと安全性の担保ということから言うと、ここはもうこれ以上、手の施しようがないと見ていますか?」
上田議員
「明白な危険という言葉は、現在自衛隊法の中で防衛出動ができる要件の1つですね。武力攻撃が発生しているか、あるいは明白な危険があるか、切迫していると自衛隊法ではなっているのですが、明白は危険があるということですから切迫しているというよりも少し前に進んでいると思います。そういうことですから、そこはこれまでの法律の適用から見て、客観性がある言葉なんだと考えています。そのうえで、それをどうやって認定するのかということになれば、これは総合的ないろんな要素があるだろうと思います。これは他の国に対する攻撃ですから、攻撃した方の国の意志だとか、能力というのも1つあるでしょう。場所が近い、遠いというのも1つの判断材料になるでしょう。その状態も判断材料になるし、あるいはそれを放置していたら日本に戦火が及ぶかどうかという判断もあるでしょう。あるいはそれがもし実際に攻撃をその後、受けた場合にどれだけ重大か、というのも1つの要素になると思います。そういったことを1つ1つ認定していって、政府にずっと情報を集めているところもあるわけだし、分析をしているわけです。それは国家安全保障会議というものをつくったわけですから、そこでそういう条件に当てはめながら判断をするということだと思います」
島田キャスター
「これが歯止めになるのかどうかはどう感じていますか?」
柳澤氏
「明白な危険というのは、法律上客観的に誰でもそう思えるねという意味を表す言葉ではあるんですね。ただそれが歯止めになるかどうかということは現在、上田さんがおっしゃったような、どういう基準で明白な危険というのを判断するのかというところを詰めて出さないと、そこを議論しなければいけないということだと思うんです。私は基本的に日本以外の国が攻撃されて、日本の人権が根底から覆されるということは論理的にはあり得ないと思ってはいるのだが、あるとすれば、その明白な危険の基準とは何かということ。それから、他の基準で言えば、他に代替する手段がないというのもありますね。ところが、アメリカの船が攻撃されるに至るまでアメリカの船はいったい何をしていたのというのもあるわけですよね。自分の国が攻められたというのは非常に明白な基準だけれど、理由によっては、こちらは手を貸してはいけないかもしれない場合はあるわけですね。外国であれば他に代替する手段というのは、日本は仲介者として振る舞うこともできるわけだし、必要最小限度という言葉にしても、日本はここまでが必要最小限度だと思った。しかし、アメリカはそうは思っていなかったと言ったら、どこまで引きずられていくのか。それから、アメリカはもっとやってほしいと思っているのに途中で止めてしまったら、同盟関係、信頼関係がなくなっちゃいますよね。そういうところも議論でちゃんと詰めないと説明したことにはならないと思います」
中谷議員
「どうしてもわからないのは政府というのは国民の安全とか、国民の命を守るという使命があって、手段というものはいくつでも多く持っておくべきですね。集団的自衛権というのは権利であって義務ではなく、自分の国を守るうえにおいて使いたいという時に日本以外の国は全部持っていて使えるんです、日本だけ使えない。これは国の非常事態を考えて使うべきかどうかという手段としては持っておくべきだと思うんですけどね」
反町キャスター
「抑止力を高めることによって危険が去るという議論については、片側しか見ていないのではないかという指摘についてはいかがですか?」
上田議員
「抑止力というのは1つの要素だと思うんですね。たとえば、日本の安保環境が変化している中で、どう対応するか。1つの方法は、日米関係を強化することで抑止力を高めるというのは1つの方法でしょう。だけれど、それだけでは確かにまさにおっしゃる通りで、外交努力というのはその前に来なければいけない話だし、またいろいろな我が国としての防衛力というのもあるんだと思います。ですから、総合的な外交安全保障戦略があって初めて日本の安全が守られるというのも間違いないと思いますね。ですから、過度に1つのものに頼るというのはおかしくて全部必要だと思います。全部をどうバランスをとってやるかが重要なこと。そのために総合的な司令塔としてのNSC(国家安全保障会議)をつくったわけでありますから、そこには外交情報等いろんなものが入ってきて、そこで方向性を決めていくというのが重要だろうと思っています」
反町キャスター
「政治に全てを委ねることは日本では可能だと思いますか?」
柳澤氏
「私は全然(可能だと)思っていないから、私の役割があったと思っていました、ずっと。ただ、大変ストレスフルなことで最終的な責任は総理に負っていただかなければならないから、総理にどのようなリスクをお話し、総理に何の責任をとっていただくかということをハッキリさせなければ、私の役割は果たせないと思っていたんですね。一方で、部隊に対しては、こういう状況で政治的に許容されるのはこういうところだから、すまんがこういう範囲でやってくれということでつなぎをやるのが私の役割だった。そこは本当に現場と政治の信頼関係は極めて重要。政治がいかに全体のバランスをとって、かつての自民党はいい加減なように見えて、結構最後はバランスを取るということをなさっていたんだけれど、そういうところで皆が何となく納得できるような、外交関係においても一緒だと思うんですね。そういうバランスのとれた判断を最終的にしてもらえるのかどうかというところが非常に大事だと思うんですね」
反町キャスター
「先ほどの疑問に対して、自民党政権はどう答えていていくのですか?」
中谷議員
「外交安全保障というのは間違ったら国が滅びるということになる非常に重要な問題ですから、政権を選ぶうえにおいては選挙もありますし、マスメディアもありますので、よっぽど真剣に考えなければいけないと思っています。しかし、現在の自民党が偏っているかといえば、そうではなく丁寧に議論をしています。今回の決定も3か月ぐらい、自民党に本部を設け、柳澤さんにも来ていただいて、いろんな人の意見も聞いたし、議員も発言しました。しかし、共通の認識としては、このままでは日本の安全保障は、本当に大丈夫かと。整備されていないところはいっぱいあるんだけれども、どうしたらいいかということで、安倍総理も長年安全保障をやってきたので、これは憲法問題だと。当然憲法解釈でやるよりは、改正した方がいいんだけれど、すぐには改正できません。しかし、時は待ってくれないんですね。ですから、現在の解釈の範囲でどれだけできるのかと、与党に対する宿題で、与党で一生懸命考えて結論を出したわけでありまして、そう言う意味では非常に民主的なルールに基づいてバランス感覚を持ちながらできているのではないかと思います」
島田キャスター
「閣議決定で決めた内容ですが、これ以上となると憲法改正でよろしいのですか?」
中谷議員
「先ほども言いましたけれど、再整理ということで、従来の考え方を継承したのですが、結論が現在の時点では大きく変わっているということでして、新しい三原則が出てきましたが、これは従来の考え方と一緒で、従来の見解に基づいて考えていっているということです」
反町キャスター
「憲法解釈の変更は目指さないということですか?」
中谷議員
「もちろん、我々としては憲法改正をはやく実現したいのですけれども、なかなかそれができない」

中谷元 自由民主党副幹事長の提言:『外交・安全保障は変化する→すきまを埋めよ』
中谷議員
「隙をつくるとつけ込まれる。よく戦争になると言われますが、やらないことが戦争になることもあるわけですね。ですから、一歩グンと押し出すのも大事で、日本の安全保障を総点検しましたので、はやく憲法の範囲で法律を整備しなければと思います」

上田勇 公明党外交安全保障調査会長の提言:『現実主義』
上田議員
「安全保障というのは、イデオロギーとか、主義と言ったことにとらわれるのではなくて、日本にとって何が大切で、どういうことを選択しなければいけないかという現実主義が必要だと思っています。ですから、一部に、ネット右翼と言われるような国家主義的な思想で判断をしてはいけないし、一方、関連的な平和主義みたいなので、非武装と言ってもこれはうまくいかない。何が一番日本にとって重要で、しかも効果的なのか、効率的なのか、現実主義の政策が必要だと思います」

柳澤協二 元内閣官房副長官補の提言:『安全保障のジレンマ』
柳澤氏
「安倍内閣ができてから、一貫して強面的なタカ派的な姿勢が目立つわけですね。安全保障というのは、おっしゃる通りバランスですね。一番大事なのは外交もやっているとおっしゃるが、肝心の中国とはまだ首脳会談ができない。要は、中国を封じ込める外交をやっている。こういうことをすれば相手だって、日本に敵対して日本よりも強くなろうとするインセンティブは当然働くわけだし、そこはもっと上手に強い政策は静かにやるというのが一番賢いやり方なので、そういう全体の知恵のある政策をとらなければいけないと思っています。こういう観点で今後も集団的自衛権の問題はこれから法律ができていく過程でもいろいろ意見を言わせていただきたいと思っています」