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2014年6月30日(月)
駐日豪州大使が生出演 経済連携とTPP思惑

ゲスト

ブルース・ミラー
駐日オーストラリア大使
大山泰
フジテレビ解説委員(前半)
能勢伸之
フジテレビ解説委員(後半)

駐日オーストラリア大使に聞く 日豪EPA実質合意
大山解説委員
「今年4月にオーストラリアのアボット首相が日本に来た時、安倍総理と首脳会談をやってオーストラリアと日本のEPA(経済連携協定)の大筋合意がありました。これは2007年の安倍政権最初の時から7年越しの通商交渉がようやく実ったという形で、ある意味では1つの節目で、しかも、日本にとっては世界の大きな農業大国と初めて2国間の経済協定ができた。その内容ですけれども(日本におけるオーストラリアの)牛肉のシェアは少ないのですが、現在の政治やTPPの絡みでいうと、非常に注目が大きいので、ちょっと見てみます。日本は海外から牛肉を輸入する時に38.5%の関税をかけています。今回オーストラリアとの2国間において、冷凍の牛肉、イメージ的にいうと、外食産業で食べているハンバーガー、パテとか、ミンチになって加工したようなものについて段階的に18年かけて19.5%に関税を引き下げる。オーストラリアから入りやすくなるということですよね。それから、冷蔵牛肉。これはイメージ的にいうと、肉の筋が見える、きちんとした切り身。切ったらおいしそうなサーロインだなとか、そういうような感じの、冷蔵の牛肉というのは、15年かけて23.5%まで下げていくということになります。一方、オーストラリアが輸入しているものにかけている関税について中型、小型車は関税をなくすと。それから、大型車は3年かけて撤廃ということになると、オーストラリアの人にとっては安い日本車も入ってくるし、我々も売りやすいしという、両方にとって合意すべきということで両首相が合意したと」
反町キャスター
「今回のEPAというものがまとまって、オーストラリアからの輸入牛肉の関税が下がる。日本から輸出する車の関税が下がる。それぞれwin-winの関係でいいとは思うのですが」
ミラー大使
「はい。win-winのケースですよ」
反町キャスター
「日本も、オーストラリアも、TPPの加盟国と交渉中ではないですか。TPPの交渉というのは、日本とアメリカの問題でなかなかうまくいっていないけれども、日本とアメリカの間で牛肉の問題、豚肉の問題でもめている時に、日本とオーストラリアが2国間でスパーンとEPAをきれいに決めたというのが、これは、あまりに、きれいに、カウンターパンチとして見えるのですが、これはオーストラリア側としては、現在日米がうまくいっていない。TPP全体がうまくなっていない時に、これに対するいわば刺激剤でもあるし、ないしは混乱している中でまず先行利益というのですか、先に利益を得ようという感覚、どういう計算でEPAを進めたのですか?」
ミラー大使
「刺激剤だと思っています。日豪でできたので、皆でできるのではないかと思っていますので、TPPの中で。だから、私達はEPAができた、38%から19%に下がるというのがあるのですが、それで終わりではなく、スタート地点だと思っているわけですよ。だって、TPPでもっと自由化が進むのではないかと思っていますので」
大山解説委員
「日本とオーストラリアで大筋合意したではないですか。これを見ていたアメリカの関係者の間からは、我々は日米の交渉では牛肉とか、農産物、もっと低い方で徹底的にやってやるぞという鼻息の荒い勢力がいて、それも難航の1つです。もし日本とアメリカが、これよりも少ない方でTPPをまとめようとすれば、これは2国間ではなくて、もう全部TPPの方にもう1回交渉し直すぞというのを、国益を考えたら、オーストラリアという国としては、それはゼロ関税を目指す以上はそういう方向に直ちに移るんですよね」
ミラー大使
「そうですね。一応、EPAでの合意である程度キープしていると思って、TPPの中でもっといい条件で取り引きをしたいなとは思っています」
島田キャスター
「そうすると、それはそちらを優先されるわけですね。当然」
ミラー大使
「そうですね。でも、優先するというよりはTPPがいつ終わるのか次第ですけれども、いつ発効するのかも大きな問題かと思います」
反町キャスター
「オーストラリア政府として見通しというのはどんなふうに」
ミラー大使
「それは本当にわかりません」
反町キャスター
「TPPがまとまらないと思ったから、まずは日本と固めようということですね」
ミラー大使
「そうですね。それで遅くても来年中、発効するでしょう。日豪のEPAは。それでTPPは本当にできるだけ早くまとまればいいなと思うんですけれども、でも本当にわかりませんね。今年中にそれがあるかどうか。まだわからないですよ。私が交渉やっているわけではないので、わからないのですが」

日豪EPA 豪州の自動車関税
島田キャスター
「一方で、自動車の関税撤廃にオーストラリアが応じたと。この理由は」
ミラー大使
「日本が何よりもそれを優先してこられたわけですよ、交渉の中で。交渉というのは歩み寄りがなければ合意できないわけですよ。お互いに譲り合うという形になるわけですから。だから、農産品の面である程度、目標まで漕ぎ着けたというか、たどり着いたということで、良かったなと思って、自動車関税の方もそれを譲ってもいいかなと思ったんですよ。でも、それは本当に最終的に最後まで残っていたわけですよ。それで政治決断が必要なわけですよ」

豪州のFTA戦略
島田キャスター
「オーストラリアが結んだFTA(自由貿易協定)としては、アメリカとは2005年に発効しています。その後チリと2009年です。ASEAN、ニュージーランドと2010年。さらに、2014年に韓国と結んでいるんですけれども、なぜオーストラリアはFTAを進めているのですか?」
ミラー大使
「もともとWTO(世界貿易機構)を中心にして、交渉を進めたかったのですが、でもドーハラウンドがなかなか動かないということで、こういうFTAをやらざるを得ないと思っているわけです。それがあって、先ほどおっしゃった米豪のFTAも合意できたわけですし、それでASEAN諸国とFTAもできたし、タイとか、マレーシアもできたわけですけれど、でも何を目指しているのかといいますと、アジア太平洋地域で、自由貿易圏を目指しているんです。これは飛び石のようなものと言っていいのでしょうか、そこまでたどり着く、そういう途中までと言っていいのでしょうか。最終的に自由貿易圏をつくるべきだと思っているわけですが、現在はWTOもそうですが、それしかやらなければ、実現しないのかもしれないわけですけれども。だから、FTAも大事だと思うんです。もう1つ、他の国もやっているわけですから、だから、競争、オーストラリアの競争状況も考えないといけないんですよ。たとえば、ニュージーランドと中国がFTAを8年前に結んだのですが、乳製品への関税がかなり下がったんですよ、中国の。それで、ニュージーランドは、オーストラリアより安く輸出できるようになったわけです、中国にですね。それがあって競争力の問題もあるわけですから、だから、そういう理由」
反町キャスター
「オーストラリアと中国のFTA交渉は現在どうなっているのですか?」
ミラー大使
「2005年に交渉が始まったのですが、まだ終わっていません。韓国とのFTAは昨年合意したんですけれども、日本は今年決まったんですけれども、中国はまだですが、昨年の政権交代があって、1年間で全部片づけようかと」
反町キャスター
「全部というのは日中韓?」
ミラー大使
「そうです。日韓をやって、中国が残っているんですけれども、あと今年中にできるか、できないのかはまだわからないんですけれども」

経済での対中戦略は
大山解説委員
「オーストラリアと中国というのは経済のボリュームとしては、お互いがでかい形になっていますね。私達が聞きたいのは、よく言われる経済の専門家も言う懸念といわれるやつで、中国は急に大きく発達していって、経済発展もして、不動産バブルもあるし、シャドーバンキングの問題もあるし、真実がよくわからない。そういうちょっと構造的にひずみがあって、脆弱なところがあるのではないかと。そこでもし何かトラブルや異変が起きた時にはオーストラリア経済に影響が出やしないかという心配。それは世界経済にとっても心配で、たとえば、中国のGDPの値が下がると、オーストラリアドルが2週間ぐらい売られるとか、そういうこともあるんですよ。もう1つ、オーストラリアドルはこれだけ資源もあって、経済的なファンダメンタルズもいい国ですから、非常にここのところ高い通貨ですね。皆がほしがって売買する。だけど、高い分だけ、ちょっとした差の売り買いがあると、金融のマーケットは儲けの材料にオーストラリアドルを短期で売り買いするとか、そういう異変にもさらされるような為替にもなってしまっているんですよね。おそらく良い面、悪い面があるのですが、中国の今後の経済の懸念とオーストラリアドルがすごく高いことの懸念というのは?」
ミラー大使
「おっしゃる通りだと思うのですが、中国経済がどうなのかわからない面もあるんですけれども、10年前でも、20年前でも、同じようなことを言われてきたのですが、何とかなっているわけですけれども。たとえば、1997年にアジアの金融危機があったではないですか。それでオーストラリアの経済がどうなるのかという心配があったのですが、でも輸出相手をちょっと変えて、それで無事に乗り越えられたわけです。かなり柔軟性を持っているわけです、オーストラリアの経済というのは。ある国の経済がちょっと不景気になっても違うところに輸出するわけですよ。もちろん、長期的な関係は非常に大事ですが、需要がちょっと減ってきたら、違うところに売るわけですよ。1997年でも、2008年のリーマンクライシスの時でも同じことをやったんです。もし中国に不景気が発生すれば、同じようなことが起こるのではないかと思うんですよ」
反町キャスター
「そういう意味でオーストラリアというのは常にヘッジしながら、ここをでっかいビジネスパートナーとしないで、いろいろポートフォリオみたいに散らしていく?」
ミラー大使
「市場で決まるんですよ。政府が決めるのではないんですよ。それがあって、それをやるのに何が必要なのかと言いますと柔軟性のある経済が必要だと思っているわけですよ。何でそういう経済になったかと言いますと、この30年間、経済改革をやってきたわけですよ。三十数年前にドルを自由化したんですよ。それで市場で決まることになったんですよ。確かに、先ほどの大山さんの質問なのですが、投機マネーで動くこともあるんですけれども、でも自由化して良かったと思いますよ。それがあってオーストラリア経済の経済の柔軟性がかなり高くなって、それで鍛えられたわけですよ。だから、通貨が投機マネーで取り引きされているという面もあって、安くなることもあって、高くなることもあるのですが、輸出している産業もそれに対応している。柔軟性を持って、対応していくわけですよ。これまでそうやってきたわけです。だから、別に問題ないと思うんですよ。世界的に大きな全面的な不景気になったら困るでしょうけれども、2008年の時でも大丈夫だったんですよ。23年間ずっとプラス成長なんですよ、オーストラリアは」
反町キャスター
「一度もマイナス成長しことがない?」
ミラー大使
「はい。だから、どうしてかというと、天然資源を持っているとかだけではないんですよ。ソフトも持っているわけですよ。経済改革もやってきたわけですし、それで法治国家でもあるわけです。投資もくるわけです。だから、ソフトの面もいっぱいあるんですよ」

豪州の移民政策
島田キャスター
「日本は少子高齢化が進む中で、人口減少が大きな課題となっているのですが、オーストラリアは移民政策を推進していて、人口を増加させているということで、人口がドーンと増えています」
ミラー大使
「何でこういう政策をしてきたのかと言いますと、人口が増えれば、国の力というか、国力も増えるわけですよ。経済規模も増えるわけですし、それがあって非常にいいことだと思っています。こういう言い方はちょっと失礼ですけれども、誰でもいいというような政策ではないのですが、オーストラリアのためになる人を選んできたわけです。だから、それも非常に大事なポイントだと思うんですよ」
島田キャスター
「誰でもいいというわけではなくて、オーストラリアのためになる人達に来てもらっているというのは、それは何かシステムのようなものがあるのですか?」
ミラー大使
「ありますよ。もちろん、スポンサーのシステムもあるのですが、雇用主がこういう人がほしいとかもあるんですけれども、一番人数が多いのはインディペンデントイミグレーションというのですが、申し込んで点数制度をあげるんです。ポイントがあるんですよ。それで、合格するか、しないかという試験のようなものがあるんですよ」
反町キャスター
「年齢と手についている技術、職歴と英語力。そんな4つのカテゴリー」
ミラー大使
「適応能力もあるのですけれども」
反町キャスター
「点数がつくんですよね」
ミラー大使
「そうですね」
反町キャスター
「年齢45歳未満ではないといけないと?」
ミラー駐日オーストラリア大使
「そうですね。私もダメですよ」
反町キャスター
「18歳から24歳は25点とかね。25歳から32歳が30点とかね。40歳から44歳が15点で、50歳になっちゃうと0点とか」
島田キャスター
「現在のところ年齢だと(反町キャスターは)0点」
反町キャスター
「0点」
ミラー大使
「私も0点」
反町キャスター
「ここは要するに、非常にわかりやすい話をすると、オーストラリアに受け入れて、国のために役立つという。それは、たとえば、技術だったり、知能だったり、ないしは子供をつくるという意味において」
ミラー大使
「そうです。技術や資格を持って、英語力があって、それで適応能力があるというのは、適応能力をどうやって計るのかというと、年齢ですよ。50歳を超えたらダメですよ」
島田キャスター
「だから、他のことでもって、点数を加算できればいいんですね」
ミラー大使
「それは(50歳を超えたらダメというのは)冗談です。もちろん、私は柔軟性、適応能力、いっぱいあると思っていますからね」
島田キャスター
「他に技術というのがあるのですか、たとえば、どういった方々ですか?」
ミラー大使
「エンジニアとか、毎年変わるのですが、指定されている職業が」
島田キャスター
「毎年、変えているのですか?」
ミラー大使
「そうですね」
島田キャスター
「足りなくなったところを多く、ポイントを…」
ミラー大使
「そうです。補足しているということです。たとえば、この数年間で、天然ガス関係で、プロジェクトがいっぱいあるのですが、西オーストラリアの方で。その工事に携わる電気屋とか、ちょっと不足しているんですよ、ブームになって。そういう人も、専門学校を卒業している人も入れていますからね」
島田キャスター
「そういう人達は個人でいらっしゃるのですか、それとも家族も連れていきたいといった…」
ミラー大使
「家族も連れていきます。と言うのは出稼ぎではないんです。オーストラリアは。だから、家族も連れてきて、それで永住権も与えるわけですよ」
島田キャスター
「つまり、個人のポイントが高ければ、その家族はOKですか。点数が伴わなくても」
ミラー大使
「そうです。社会のためにやらないといけない。何でかというと1人で来てもらって、ちょっとさびしい面もあってですね。それで社会の一員としてちゃんと動いていただかないといけないこともあるんですよ。家族で来てもらって、安定している家族関係、環境もつくるということで、それはオーストラリアのためにもなると思っていますので」
反町キャスター
「たとえば、天然ガス採掘のために技術者がほしいというので、技術者が来ても、天然ガスの資源がなくなったり、その人がいなくなったりすると、その時、必要な人間をはめていくことによって、時代が変わっていくことにつれ、その人達は…」
ミラー大使
「だって10年、20年かかるんですよ。もともと最初から永住権ということで、そういう約束ですよ」
反町キャスター
「日本も人口が少なくなっていく中で困っているんですよ。少子高齢化をどうしようかという話です。移民という話は議論には出るけれども、真面目な、政治的なプログラムまではスケジュールに載っていません」
ミラー大使
「議論はしているでしょう」
反町キャスター
「日本が移民って導入したらどうなると思いますか?」
ミラー大使
「私がそれについて言う立場ではないんですけれども、歴史が違う面もあるんですよ。と言うのは、オーストラリアはもともと先住民の方を除いて、移民の国であるという歴史があるんですよ。日本は違うではないですか。だから、オーストラリアと同じようにはやれないでしょうけれども、ある程度、部分的にちょっとやれば、どうかと思うのですが、オーストラリアは毎年、20万人ほど入れているんですけれど、だから、人口の1%ぐらいですかね。毎年入るわけです。日本は、たとえば、人口の0.2%ぐらい入れたらどうかと思うんです。それで英語、日本語能力とか、資格とか、家族で来てもらうとかと、そういうふうにやっていけばどうかなと思うんです。だから、大規模な移民プログラムではなく、オーストラリアのように少しずつ、ちょっとずつやっていけばどうでしょうかと。言い忘れたんですけれども、オーストラリアは徐々に移民を入れたわけですよ。いきなりある年にバーッと数百万人を入れたわけではなくて、徐々に数十年かけて、移民を入れたわけです。日本ももしやるんだったら、同じようにやっていけばいいと思うんですけれども、徐々にやっていくというのが一番大事。それでお互いに慣れるわけです。それが非常に大事だと思う」

日豪2+2
島田キャスター
「中国の海洋進出について、オーストラリアも深刻に受け止めているのでしょうか?」
ミラー大使
「非常に大事な課題だと思うのですが、中国というのは経済的にも軍事的にも強くなってきているわけです、それは当然のことだと思うんです。経済力が増えることによって軍事力も増えるということ。それはどこでもそうだと思っています。一番大事なのは透明度とルールだと思っています。軍事力をちゃんと公開して、何をやっているのか、国際世論に見せるべき。どこの国にもそういう義務はあると思いますし、国際ルールに則って行動をとるのも非常に大事だと思っています。それは中国に対してだけではなくて、どこの国に対しても考えているわけですね。それがオーストラリアの立場です」

安全保障での豪米連携
能勢解説委員
「アメリカとオーストラリアの軍事的な関係というのは、若干、自衛隊とアメリカ軍の関係とは違うのかなと思います」
反町キャスター
「より深いという意味で言っています?」
能勢解説委員
「そうですね。アメリカ軍の中にむしろ食い込んでいる」
反町キャスター
「オーストラリア軍とアメリカ軍の関係をどういうふうに我々は見たらよろしいのですか?」
ミラー大使
「能勢さんがおっしゃる通り、副司令官もオーストラリア人になっているわけです。同盟関係がもう70年間続いているわけですし、歴史がある。それだけではなくて日米安保と違う面もあるんですよ。日米安保は相互防衛協定ではないわけです。そのために日本が基地を用意するということです。場所を用意するという取り引きですが、オーストラリアとアメリカの場合は、相互防衛協定ということだから、オーストラリアは何回も、こう言ったら何ですが、一緒に戦ったことがある。朝鮮戦争、ベトナム戦争、初めての湾岸戦争、アフガニスタン、イラク、全部に行っていますからね。それをやっているからこそ、ここまで入っているわけですよ。それが基本的な理由だと思っている」
島田キャスター
「日本と豪米とやれることは違うんですよね?」
ミラー大使
「まさに今日のように集団的自衛権の議論が起こっているわけですが、それはもちろん、日本の中で議論をして決まることですけれど、それがあって、これまで日本がやってきた安全保障の貢献をもっとやれば、もっと一緒にできるようになるのではないかと思っています。共同演習とかができると思います」
島田キャスター
「オーストラリアとしては現在の日本国内の議論というのを歓迎すべきことだと捉えていますか?」
ミラー大使
「何より強調したいのは、これは日本政府、日本人の一般市民が議論すべきことだと思っているんですよ。私は大使として口を挟むつもりは一切ないわけです。もし限定的な集団的自衛権の結果があれば、それは歓迎すると思うんですよ、オーストラリアとして」

日豪の歴史問題
島田キャスター
「現在のオーストラリアの人達は日本との歴史問題をどのように捉えているのですか?」
ミラー大使
「確かに不幸な歴史はありました。でも、かなり早い時点で、1950年代からもっと良い関係をつくりましょうという、本当に先見の明のような指導者がいたわけですよ。1956年に岸総理がオーストラリアに訪問して、1957年に通商協定が結ばれた。1956年にオーストラリアのメンジーズ首相が日本に訪問したのですが、それがあってお互いの首脳の話で、過去のことはあったわけですけれども、戦争が終わって12年も経たないうちに未来志向の関係をつくりましょうと、お互いに決断したわけですけれども、そういう指導力のもとで和解が成立し、何十年間もかけて、人的交流をいろんな意味で重ねて来た。過去のことは過去のことで、こういう素晴らしい関係もあるわけです。お互いにわかるようになったわけですし、70年近く、日本も本当に素晴らしい国際貢献もされてきたわけですし、それも大変評価しています。それは政府の立場ですけれども、国民もほとんど同じように考えていると思いますよ」

船舶の流体力学共同研究
島田キャスター
「船舶の流体力学分野ではどう協力できるのでしょうか?」
ミラー大使
「私の理解では、潜水艦の技術関係だと思っているんです」
島田キャスター
「これは日本がオーストラリアに技術を提供するということですか?」
ミラー大使
「そういう話があるんですけれども、何も決まっていないのですが、潜水艦についてちょうど話し合っているわけです。ご存知のように、オーストラリアは大陸で、島国とも言えるわけです。だから、空軍と海軍が非常に大事なわけです。その中で潜水艦が特に大事だと思っているわけです。南極からは何も来ないでしょう、攻撃はされません。ニュージーランドもたぶん来ないと思う。何かあれば北の方から来るわけです」

駐日オーストラリア大使に聞く 潜水艦&太平洋の安全保障
反町キャスター
「オーストラリアの通商を考えると現在、南シナ海における中国とベトナムやフィリピンとの間の争いがありますけれども、オーストラリアから見たら、これは自分の国にとっても非常に重要な問題。通商、シーレンの問題については重要?」
ミラー大使
「非常に重要だと思っています。オーストラリアの貿易の50%ぐらいはそこを通っているんです。だから、オーストラリアの国益が深く関わっている。だから、国際会議等での発言権が十分あると思っています」
反町キャスター
「監視能力を高めるために、日本の潜水艦技術が現在必要だという理解でよろしいですか?」
ミラー大使
「国内で生産してもいいのですが、現在持っている潜水艦は国内で生産した非常に良い潜水艦なんですけれども、高いです。もともと生産している国から買った方がいいのではないか。共同でデザインすべきかとか、そういう話を現在検討しているんです。強調しないといけないのは、まだ何も決まっていないということですよ」

ブルース・ミラー 駐日オーストラリア大使の提言:『共通の価値観に基づく親しみのある特別な関係』
ミラー大使
「基本的なことは共通の価値観を持っているということです。民主主義国家でもあって、法治国家でもあって、契約を遵守するわけです。市場経済の国でもあるわけですね。それがあって非常に重要だと思っているわけです。それに基づいて親しみのある特別な関係。オーストラリアのアボット首相が来日した時に、安倍総理との共同声明でもあったのですが、新しい特別な関係をつくりましょうとあったが、特別な関係というのは、非常に大きな意味があったと思うんですね。Special relationship、英語だとかなり近い、お互いに信頼しているという意味が入っている。それだけではどうも役人がつくった言葉のように聞こえるかもしれない心配があって『親しみのある』という言葉を入れようかと思ったんです。人的交流も大事だと思っている。留学生もそうですが、観光、ワーキングホリデーもそうですが、非常に大事だと思っています。一般市民の交流も大事という意味も入っていると、私は思っています」