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2014年6月25日(水)
骨太の方針が閣議決定 実現可能?医療費抑制

ゲスト

鴨下一郎
自由民主党社会保障制度に関する特命委員長代理 衆議院議員
横倉義武
日本医師会長
松山幸弘
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

都道府県の数値目標設定
島田キャスター
「厚生労働省の試算によりますと、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年には、このままでいくと日本の医療費は54兆円に達して、国の負担分が25.5兆円になると。そこで政府は昨日、閣議決定しました骨太の方針の中に医療費を抑制する方策を盛り込みました。都道府県による医療費の目標設定から聞いていきたいと思いますが、これはどういう狙いがあって定めているのでしょうか?」
松山氏
「私は、ここの文言としては数値目標を設定というよりは、都道府県ごとに医療の提供体制と財源確保に関して、医療制度の運営の責任を都道府県がもっと主体的に動くような仕組みに変えますよと。その時に当然、毎年制度運営の時には予算つくるわけですから、そこには数字が出てきますけど、現在の段階では決めた数値の枠の中に収まらないと、もうそれ以上は払えませんよというような制度を導入するということはとんでもない話で、実際、都道府県別に制度運営をしてもらって、それがうまくいったところとうまくいかないところが出てくると思うんですけれども、もしうまくいかなければ、そういう県に対してはもっと厳しい努力を求めていく。その時に予算制になるかどうかわかりませんが、もう少し厳しい枠というのが入るかもわかりませんけれど、逆にうまく経営ができたところ。逆に言うと、仮に医療費が増えたとしても、県民がそれで納得するのであれば、増えても構わないわけですから、そのバランスをどうやってやりますかということだと思うんですよね」
横倉氏
「都道府県の医療費の目標設定をした、政府の考えはわからんでもないところはあるんです。と言うのは、一番高い県と低い県で1.5倍ぐらい差があるんですよね。それで、できるだけ平準化していきたいという気持ちだろうと思いますが。実は、病床再編等の地域ケアのビジョン、それぞれの地域でつくりましょうということを、現在からやっていきます。はじめに医療費の目標ありきではない。住民の納得できる医療提供体制がなかなか組めないということがありますよね。まずは国民の意識を少しずつ変えていく、1つの目標ということと感じています」
反町キャスター
「政治の側からすれば、ある程度、まさに横倉会長が言われたみたいに、県によっては1.5倍というのは、ちょっと平準化してもらわないと、それは国民の福祉からという点から言っても、この県はたくさん医療費を使うけれども、この県は少ないとか。そういうバランスの意味ですか?」
鴨下議員
「皆保険という意味において、どこの県に住んでいても保険料も同じで、サービスもだいたい同じようにかかれるというのは、国民としては当たり前の権利と思いますね。ただ、今回、何で都道府県が主たるプレーヤーとしてやってくださいよみたいな話が出てきたかというと、現実的な話でいうと国保の改革が市町村単位だったのを、少し広域化しましょうと。その時に県もちょっと協力してくれよ。しかし、ただ、協力するだけで、財政的なものだけ付きあうのではなくて、医療の提供体制だとかについても、ある程度全体的なビジョンを示して、バランス良く提供できるようにという主旨だろうと思う」

電子レセプトの利活用
島田キャスター
「2番目の電子レセプトの利活用による医療費の効率化として患者の意識改革とあります。医療機関から自治体や健康保険組合などに提出される診療報酬の明細。いわゆる電子レセプトなどですけれども、地方自治体の中にはこれをうまく活用しているところがあり、その1つが広島県の呉市です。呉市がどういうことをしているかというと、レセプトデータの内容を分析しまして、まず患者に対して、たとえば、ジェネリック医薬品に切り替えた場合、どれだけ薬代の負担を軽くできるかという情報を提供するんだと。このジェネリック医薬品の使用を促す通知を行った結果、およそ1億3500万円の効果が2012年度だけであったと。呉市は、医療費がおよそ230億円かかっていますが、そのうちの、これだけというのは大きいですよね。たとえば、複数の病院を受診していたり、受診回数が多過ぎたり、いっぱい薬を飲んでいる、複数の薬を飲んでいる患者さんへの指導というのを直接訪問をして行っています。これによって、およそ2700万円の効果があったとされています。一方、重症化のおそれがある生活習慣病などを抱えているのに、病院に行かない人には、受診を勧めて、予防に取り組んでいるということもあるんですけれども、こうした取り組みによって、呉市の1人あたりの医療費の伸び率が、全国の平均のおよそ3%に対しまして、1%ほどに抑えられているということなのですが、今回骨太の方針で、こういうこともやっていきましょうと、国が音頭をとりましょうと言っているわけですけれど、国が音頭をとりながら、こういうことを全国規模でやるように指導できるものですか?」
松山氏
「呉の試みというのは、中身を拝見しましたけれども、実はアメリカの成功例とほとんどやっていることは同じです。違いはアメリカの場合、人口100万人とか、200万人ぐらいのもっと広い、日本でいうと都道府県レベルの大きさのところでそれをやっているんですね。だから、呉市のモデルを、たとえば、県レベルに拡大した時にうまくまわるのかどうかという問題がある。その1つの要素はコストですね。アメリカで聞きましたら、人口200万人のところで、このようなことをやる時に、だいたい保険料収入の1.3%ぐらい、いろんなコストがかかっている。それでも、やる価値があるということで、やっています。問題はそういうシステムを組む時にだいたい年間の地域の医療費の3%ぐらい、IT投資をしないといけないんです。日本の場合は、全国レベルで見た時に医療、介護費が2012年で確か合計で48兆円ぐらいだと思うんです。そのうちIT、いわゆるシステムに投資しているのが4900億円です。つまり、1%ちょっとですね。と言うことは追加の2%、金額で1兆円、システム投資コストがかかるんです。これを誰が出すか。私は最終的には保険者が出すべきだと思っていますけれど、そういうことも含め、県レベルにそれを拡大するためにどうするかというのは県が全体像をつくって考えなければいけない。それを国がサポートをするということになるのではないかと思っています」
島田キャスター
「レセプトデータを分析して、このように、市がやっているわけですが、医師会、開業医の方々はどう見ていますか?」
横倉氏
「医療の情報は、非常に個人情報の機密性が高いものですよね。自分の病気を他人に知られたくないという思い。そこのところ、情報の漏洩のないような仕組みをしっかりとつくってもらわないといけないというのが国民の願いだと思います。私も体験をしているわけですが、医師の場合は守秘義務がありますから、私どもが何か病気の話を漏らすということはできないのですが、その他の方がもし漏らした時には大変なことになると。だから、個別的にちゃんと守秘義務をかけてほしいと。以前、年金で大変な問題がありましたよね。ああいうことが起きてはいかんわけですよね。だから、それをお願いをしているところです」
反町キャスター
「政治の立場として、横倉さんが言われた個人情報の漏洩のリスクと、レセプトの活用による医療費の抑制。この天秤はどうですか?」
鴨下議員
「呉市の話はおそらく保険者として呉市がやっている話で、ジェネリックを使ってくださいとか、それから、何回も通っている人にはできるだけ効率化してくださいという話での、保険者として、ある意味で、干渉をしているわけで、ここまではギリギリ、効率化という意味においてはありだと思うんですけれども。ただ、それをビックデータにして、マイナンバーとリンクさせていくという話になると、横倉会長がおっしゃっていたような、今度は自分の個人情報がどこへ行っちゃうかわからないという話もあるし、そもそもマイナンバーの設計には、診療情報等をくっつけるのは前提にはなっていませんから」
反町キャスター
「1回、こういうチェックするレセプトによって、これは過剰診療である、ないしは、これはジェネリックを使った方がいいというスクリーニングのシステムを1回つくってしまったら、それは国保とか、健保とかという区別をしているのではなく、なるべく、多くのサンプルを検査した結果、これはちょっとチェックをした方がいいよというのをはじき出すようなシステムの方が全体の医療費の抑制には効きますよね?」
鴨下議員
「それは基本的には国保連合会とか、支払基金だとか、そういうところが保険者と、提供側のそれぞれ利害は完全に反しますから、その中で中立的に、この診療は意味があるか、有効か。それに対し支払いはやるべきかという判断をする中立的な機関を2つ持っているんですよ、日本は。だから、それとは別に保険者があそこまでギリギリやるというのが、本当に医療の質を下げるか、下げないかというところの議論までした後でないと」
反町キャスター
「ただ、2つの機関が機能していればこんなことにならないわけですよ。細かいところまで、きめの細かいところやっていないから、呉はこれに手を出して、市としての医療費の抑制で、しかも、4000万円の費用で1.6億円を削っているわけです。ここは?」
横倉氏
「呉の仕組みが出たのは5、6年前からです。それ頃まではあまりレセプトの審査という過程においてITが使えなかったんです。ここ数年で使えるようになってきて、ほとんど全てのレセプトはチェックが入るわけ、ITで。そのあとで、こういうジェネリックに切り替えなさいということが出てきているわけでありますので、国保と支払基金の2つの審査会は現在かなり有効に動いていますね」

薬価の適正化
島田キャスター
「3つ目に、2年に1度行われる薬価改定の在り方についても触れているのですが、具体的には薬価の適正化をはかること。薬価調査、薬価改定の在り方について頻度を含めて検討する。諸外国並みの後発医薬品、ジェネリック医薬品の普及率を目指す。こういったことを挙げているんですけれども、日本の薬というのは高いのですか?」
松山氏
「日本でつくられてないものについては高く売りつけられるというのはあると思うのですが、全体的に高いかどうかというと、必ずしもそんなことはないような気もするんですけれども」
反町キャスター
「骨太の中の議論で、薬価を決める審議会を2年ごとに見直すというのを、1年ごとにしようという議論がありましたよね。今度も、ちょっと数字を抜いたようなものが盛り込まれているんですけれども、その時の説明として聞いていたのは、日本の薬というのは高いし、値段が落ちないから2年ごとの改定だと。薬の値段がなかなか落ちていかないから1年ごとに審査して、要するに、売り出して人気がある時は高いままでいいが、1年経って、関連の薬品も出てきたところで、安くして、価格下落の速度をはやめることがポイントだという話があったのですが、これはいかがですか?」
鴨下議員
「ところが、たとえば、新しい薬の価格が決まりますよね。それから3か月、半年の間にすごく大量に買う病院チェーンの人達はもっと下げろと言って、バーゲニングパワーを発揮するわけですよ。ただ、一般的な開業医だとか、小さな薬局は言い値で買うということで、平均すると薬価差というのが、半年ぐらい経たないと見えてこない部分があって、すごい勢いで値下げ交渉をする大量買いのところがまだ見えていないうちに、1年ごとに、こういうふうに決めちゃうと、かえって正確な薬価ではない部分も出てくるのではないかと。要するに、相対の取引で、妥結額がきちんと見えないうちに次の薬価の切り下げみたいなのを決める。高止まりする可能性も出てくる」
島田キャスター
「ただ、新しい薬についてですね。これまで出ている薬についての薬価は2年待たなくてもいいというわけですよね」
鴨下議員
「いや、古い薬も年々ちょっとずつ下がっていきますから、それも含め、換算するのですが、1年おきにやるというのは、財務省はそれで1000億円か2000億円か節約できるという話をおっしゃっているけれども、それは見かけの話で、場合によると、薬価がもっと下がるのに、高く止めて換算しちゃう可能性もあるから。だから、必ずしも良いかどうかというのはもっと考えないといけない」
反町キャスター
「2年ごとの薬価審査というのを、1年ごとにしようというのは決まった値段と取引きされていない薬の売買の現状を知らないルール、知らない提案である?」
鴨下議員
「ある程度は知っているんですけれど、でも、2年経つともっと下がっていたりすることがあるわけですよ。だから、それを半年ぐらいで決めて、1年ごとに薬価改正するというのが、本当に良いのかどうかというのと。もう1つは今回、診療報酬改定で問題になったんだけれども、薬価というのも、公費と保険料と窓口負担で成り立っていますから、薬価削ったって、その分を財務省が召し上げて、他のものに財源として使って本当にいいのだろうかという議論があるんですよ。だから、1年ごとに下げて、下がった部分を財務省に他のところに使われたら困るので、我々は1年ごとにやるんだったら、1年ごとにやって、下げた分は医療の充実のために使ってくれるのであれば、いくらでも議論をしましょうと」
反町キャスター
「横倉さんはいかがですか?薬の値段は、鴨下さんが言われたみたいに、薬価のところで決まらなくて、バーゲニングパワーのあるところが、ダーンと買い叩いて、それで落ちていくんだよと。そんなものですか?」
横倉氏
「そうですね。結局、仕入額プラス2%という、いわゆる在庫では損失したりする分の計算をするわけですね。2%しかないんですよ。医療機関の薬剤による利益というのは2%。だから、それ以外の他の薬局とか、保健薬局は買い叩きますから、それが広がると。それを狙ったのでしょうけどね。一番心配しているのは調査のコストが非常にかかるということ」
反町キャスター
「1年おきになると?」
横倉氏
「1年ごとになるとそれこそレセプトのコンピューターを入れ替えないといけない、値段を。その費用を薬剤師会が発表したのが、1件あたり10万円ぐらいかかると」
反町キャスター
「でも、薬の値段が店の規模とか、購買力で変わるのであったら、そのコストというのはどうであろうと同じではないですか。だって、同じ病院だって、同じ薬を、たとえば、1年前と今年、3か月前と現在では値段が変わって入手するわけでしょう」
横倉氏
「いや、請求のプログラム。だから、2年に1回であれば2年に1回変えればいいのだけれども、毎年改定をしたら、毎年変えなければいけない」
鴨下議員
「レセプトのコンピューターのソフト」
島田キャスター
「そんなにかかるのですか?データ変えるだけで1件につき10万円も?」
横倉氏
「この前、薬剤師会が発表されましたけれども、1件につき10万円近くかかると」
島田キャスター
「松山さんも、この件については頷いていますね」
松山氏
「私も直観的に2年を1年にするという意義はそんなにないのではないかという気がしますけどね。であれば、2年に1回の時に思い切ってやればいいので」

ジェネリック医薬品の普及
島田キャスター
「ジェネリック医薬品の2006年ぐらいからデータがあるのですが、全ての医薬品の数量に対したジェネリック医薬品の構成比は、16.9%からそんなに、7年ぐらいで25.8%と上がっていないのですが、これを諸外国並みにするとされています。たとえば、2010年のイギリスはジェネリック医薬品が67%、アメリカが9割近く、ドイツも63%とかなり高いのですが、なぜジェネリック医薬品が、日本で普及しないのですか?」
松山氏
「これは大局的に見ると、医療制度運営のガバナンスが日本の場合、弱いと思うんですね。要するに、そういう重要なテーマがあった時に、政策決定し、それを実行する時に、それを推進するような大きな事業体が医療圏ごとにあれば動くんです。それは常に、開業医の先生も含めて、直接雇用している医師の方とも議論をして、そういうことをやるわけですから、患者さんとも話をする。だから、それが通りやすいのですが、日本の場合はまだそういう、その先ほども議論があったんですけれども、患者さんと保険者と医師の方々との信頼関係、情報共有のカルチャーができていない。私はそれをつくることを努力する必要があるではないか。特に重要なのは厚労省が昨年8月に2025年までにどのくらい節約するのかという数字を出しているんです。全体では、改革で5兆円節約するのだけど、そのうち1兆円はジェネリック医薬品の普及で実現するんだという数字も入ってるんです。そのためには普及率を高めないといけない」
島田キャスター
「60%ぐらいにしたいとしているんですけれども」
松山氏
「もっと上がらないと、1兆円は出てこないのではないかなと」
鴨下議員
「横倉会長おっしゃったようにジェネリックというものに対して、患者さんもそうですし、医師もそうですが、信頼感が微妙にないところがあるんです。ジェネリックをつくっている人達はそれなりに努力をしているのはわかるけれど、たとえば、世の中で皆が知っているような大メーカーがもっとジェネリックを積極的につくるとか、こういうようなことをしないと、聞いたことがあまりないようなメーカーの薬というのは患者さんも飲みたくないものですよね」
島田キャスター
「大メーカーがつくらないのは利益率があまり良くないのですか?」
鴨下議員
「これまでは、先発品をつくっていた方が良いし、それから、古い薬でも長期収載品で、そのままずっと生き残っている薬もたくさんありますから、だから、そういう薬を使っていた方が会社のためには良いということもありましたけれども、私は、本当に本気で大メーカーがジェネリックをつくり始めれば、お医者さんもたぶん使ってくれると」

医療の提供体制
島田キャスター
「医療費がかかりすぎるから家で治療するようにという方針ですか?」
鴨下議員
「いろんな選択肢があると思います。ですから、治療を受ける方が入院したいという人もいるし、長期療養だったら家でしたいという人もいますし、介護施設で治療を受けたいという人もいますから、そういう選択をできるようにして、それが逆に言うと、本来的に効率が良くなる可能性がある。だから、嫌な人が長期で入院しているということもあるかもわからない。はやくお家に帰りたいという人もいるかもわかりません。その時、お家に帰った時にサービスを受けられないなら仕方がないので入院だねという人達もこれまでたくさんいました。1日もはやく病院から帰りたいという人達がちゃんと在宅で治療ができるような体制であれば、そちらに移行できますから、それで本当は全体的に効率化が行われれば、皆がハッピーになるわけで、そういう方向にあるべきだと思います」
横倉氏
「地域において機能分担を明確化することを推進すべきだと思っています。心臓の手術や脳外科の手術をするような超急性期を扱う機能のところにはたくさん医師や看護士さんがいるわけです。回復期になるとリハビリの方が必要になってくる。そういうふうに機能が違いますので、そういう意味で機能分担を明確化しましょうということですね。地域の中でそれぞれの機能をどう持つかということも、相談して決めていくのかを話しています」
島田キャスター
「家庭において患者さんを看るというのは、環境としてなかなか無理だと思うのですが、その点についてはいかがですか?」
松山氏
「私も父を看取った経験がありますけれども、普通の人は自宅に戻りたいんです。でも、それが可能であればそうしてあげたいけれど、それで逆に家族が倒れてしまうようなことになりますので、施設に入院させていただく。病院ではなく、たとえば、特別養護老人ホームだったり、有料老人ホームだったり、介護施設であっても構わないのですが、個々の事情によってニーズが違いますので、それにあうような仕組みを各地域でつくっていってください。そのために医師会長がおっしゃったように機能分担をやりましょうねと言うことなのですけれど、なぜ日本でうまくいっていないのかというと、多くの医療法人が単独施設経営です。つまり、A法人は急性期の病院を1つ持っています。B法人は急性期と回復期とリハビリと介護施設、在宅ネットワークも全部持っていますという時、どうなるかと言うと、政府の方針で機能分担をしてくださいと言った時に、持っているところは中の経営資源を移動させることで対応できる。ところが、多くの事業体は単独施設経営なので、自分の現在ある施設の機能を維持する方向にどうしてもいきますよね。そうすると、なかなか動きが遅い。ただ、そこを民間の事業体に無理にいろんなことを押しつけるのは好ましくなくて、本来機能分担をちゃんとやらなきゃいけないのは、国公立病院ですよ。各地域で同じような設備を税金使って、どんどんつくって、現在でもつくっています。本来そこで重複投資をやめて、浮いたお金で他の機能のものをつくる、もしくは他の機能が民間にあれば、お金を使わないというようなことをすれば、国民にとってはもっと良いことができるはずです。それができていないので、先ほども申し上げたように、医療制度運営のガバナンスが日本は効いていなくて、特に公的部分がおかしいと」
鴨下議員
「私も全く賛成で、これまでも公的病院の機能のあり方、地域の中で民業圧迫になっているところが結構あるんです。実際に、たとえば、税金だとか、公的病院は優遇されているし、場合によると市長が選挙の時に公約していたので一般財源から援助もして、すごく立派な病院で、民間の病院は診療報酬だけでやっていますから差がついてきている。結果的に民間の病院はへとへとになって、なくなって、大きな公的病院だけ生き残ると。松山さんがおっしゃったように公的病院は民間のできないことだけやればいいと割り切るべきです。すごく重症な人、それから、24時間の救急、小児科とか、産科のようなリスクの高いところで、この地域に不可欠だけれども、民間の人はなかなかやりづらいところを専らやって、民間が当たり前にやれるようなところは出て行くべきではないんですね」
横倉氏
「高い医療機器がここにあるから、そこは共同利用しましょうという。共同利用という考えをつくっていかなくてはいけない」
島田キャスター
「難しそうですが」
横倉氏
「いや、医師会病院があるところは結構うまくいっているんです」

日本の医療はどう変わる:『患者申し出療養制度』
島田キャスター
「患者申し出療養制度を打ち出しましたが、これまでは(審査に)3か月から半年かかっていたものが、何で2週間や6週間でできるようになるのかと単純に思うのですが」
松山氏
「それは単純化しているだけで本当にそれでできるかどうかは、やってみないとわからないと思いますよ。これぐらい努力しましょうということで合意したということだと思います」
島田キャスター
「膨大な数になるのではないですか?」
横倉氏
「日本で使えない薬はたくさんは残っていない。現在日本の薬の審査をしているPMDAという組織で審査期間は1か月です。ですから、めちゃくちゃ短いということではない」
松山氏
「5、6年前はちょっと問題があったけれど、現在厚労省が努力して、その期間が短縮しているんです。今回のルールというのはそれをもっとやってくださいという」
鴨下議員
「学術的に評価されないものをどういうふうに判断するかというのがなかなか難しいところがあって、すごく先端的な癌の薬で、まだ治験の前だけれど、いずれは有効だと思うのなら異論はないのだけれど、そうではない変な免疫療法とかが紛れ込んできた時にきちんと審査できるのかどうかというのを慎重に考えないと患者さんにとって不利益になると思います」
反町キャスター
「どこかの審査機関がこれをOKとしたら、その次から前例ありの方にまわると審査のハードルが下がるわけではないですか」
鴨下議員
「結果的に、責任は誰がとるのかとか、患者申し出ですから、たぶん自己責任になるだろうと思いますけれども、それに対して審査をしたり、中核病院が承認したりという話になると責任は問われますよね。そういうようなことも含めて、あまり短兵急に何でもかんでも進めるというのは、私は賛成ではないんです。こういう療養がプラスされるのは歓迎ですけれども、ただ、こういうようなことは本当に成長につながるところまでの大規模な話かどうかというのがですね…だから、むしろ患者申し出療養よりも選定療養のような、たとえば、差額ベッド代とか、教授にかかりたい予約料とかを。諮問会議だとか、国家戦略とおっしゃるのだったら、まだ理解できるのだけど、これが成長戦略につながるとは思えない」
松山氏
「私はマーケット規模だとそれほど大きくはないと思っていて、かつ鴨下先生がおっしゃったように選定療養のところで公的保健にオプション的なものを入れて、それを使いやすくしてあげた方が実はマーケットの規模は大きいと思います」

松山幸弘 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の提言:『知事』
松山氏
「この改革の1つのキーワードは、都道府県単位で医療制度の経営をするということです。これはいわゆる医療計画による医療提供体制の見直し、改善かつ財源も都道府県単位で統合して管理するわけですから、全体のマネジメントをきちんと知事がわかって実行しないとうまくいかない。もっと言うと、おそらく近未来は知事の最大の仕事は医療、介護、福祉事業だと思います。それで、知事ということです」

横倉義武 日本医師会長の提言:『健康寿命』
横倉氏
「現在から高齢者の方が増えるということで、高齢者の方にできるだけ健康に暮らしてもらいたい。そのためには何が必要かということ。1つは、かかりつけ医を皆さんに持ってほしい。自分の健康について、いつも相談できることが必要。もう1つは、検診を必ず受けてもらいたいと。検診のデータから自分がどういう病気になるのかという予測ができますので、必ず実行してほしい。生き甲斐を持って、健康に暮らしてほしいという思いですね。結果的に医療費抑制になります」

鴨下一郎 自由民主党社会保障制度に関する特命委員長代理の提言:『多様なメニューで自己選択』
鴨下議員
「多様なメニューを政治、あるいは政府が用意をして、それを国民の皆さんが選択できるようにする。これまで一律に、医療と言えば、入院、在宅とかでありましたが、それをその人それぞれの好みと言いますか、自分の都合で選ぶことによって、できるだけコストを下げるような制度設計をしていけば、私は必ずうまくいくと思います。先ほどの知事とか、政府がある程度、権限を持って医療費をカットするという話は、政治にはなかなか難しいです。ですから、国民の皆さん1人1人が自分はこういうふうにしたいというものを選んでいただいた時に、それにインセンティブをつけ、最終的に抑制の方向に全体を誘導していくことが必要だと思います」