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2014年6月19日(木)
自公協議最終局面へ 元海幕長語る”実戦”

ゲスト

中谷元
自由民主党副幹事長(特命担当) 衆議院議員
古庄幸一
元海上幕僚長
神保謙
慶應義塾大学総合政策学部准教授

自民担当者に問う与党協議 集団的自衛権の焦点と今後
反町キャスター
「自公協議の進捗状況が、どこが暗礁に乗り上げているのかわからないのですが。自公で未解決の諸問題は何があるのですか?」
中谷議員
「この協議の目的というのは法律をつくることなんですね。要するに、自衛隊も法律がなければ動けません。その法律を国会で成立させるためには、それだけの論理もいるし、憲法の整理もいるわけで、現在上げられた15事例というのは、私が見ても現在の防衛大臣とか、現場の自衛官、防衛省や外務省の官僚にとって非常に悩ましい事例です。この時どうしたらいいのか、その時はきちんと考え方を整理して、法律をつくらなければいけませんので、そのための整理作業をしていますが、一応15事例をあげて、公明党の皆さんからも意見を聞いて、非常に論理的に議論ができています。従って、いよいよこれを整理していこうということで3つに区分し、いわゆるグレーゾーン、自衛権の発動なのか、その前なのかという境目。それと、海外において自衛隊が活動する条件、もう1つは集団的自衛権というそれぞれ皆さん考えを述べましたので、それを1つ1つ整理して、現在の閣議決定の内容、これはたたき台ですけれど、それが提示されていますので、それぞれの意見がきちんと反映されているかどうかの確認作業に入っているということです」
反町キャスター
「順序だてて協議が進んでいると見ていいのですか?」
中谷議員
「非常にスムーズにいっていると思います。まずこの15事例を議論して、これは何の権限でできるのか、警察権なのか、自衛権なのか、集団的自衛権なのか、そういうことでお互い意見を述べました。一番大事なのは原則です。この原則というのは憲法上どう解釈できるのかで、一番大事」
反町キャスター
「なぜ一番大事なものから議論に入らずに、具体的な15事例から入って、終わらないまま、原則の話に入っているのですか?」
中谷議員
「原則というのは高村さんが示した3要件ですね。文章が非常に難しいんですよ。それで読めるのか、読めないのかということになりますと、この具体的な15事例に当てはめてみて、どうだろうかということですから。この原則をつくる前に、個別の事例をあげて、こういうケースはどうなんだろうと。これをできるように我々はしたいわけです。そのためには憲法はどうなのかと…」
反町キャスター
「15事例については公明党との腹合わせは行われたのですか?」
中谷議員
「一応各党の考えは述べました」
反町キャスター
「でも、合意はしていませんよね?」
中谷議員
「それは警察権でできます、個別的自衛権でできる、集団的自衛権が一部必要だという論を述べていますので、そういうのをあわせて新しい原則をつくろうとしているんです」

自・公の溝は埋まるか 与党合意&閣議決定のメドは
島田キャスター
「次はいつ頃までとかは」
中谷議員
「ようやく閣議決定の内容というものが提示されました。この文言を巡って、それぞれの党で意見を出してもらい、明日この閣議決定の内容についての議論がありますので、うまくいけばいいんですけれど、それぞれ意見が違った場合には多少時間がかかるということでしょうね」
反町キャスター
「これぐらいまでにはという相場観みたいなものは?」
中谷議員
「公明党が主張しているのは、国民の理解を得なければならないと。その前に、自分達が理解しなければいけないということで、理解と納得というものは必要だと思います。ですから、議論は続けていきたいと思います」
反町キャスター
「いつまでかかってもいいという意味ですか?」
中谷議員
「それは議論をして、お互いが理解した時に合意ができますので、かなりいいところまできていると思います、私は」

与党協議に新たな焦点 自衛権発動”新3要件”
 島田キャスター
「集団的自衛権の行使の容認にあたって、これまでの3要件で何が足りなかったのですか?」
中谷議員
「他国に対する武力攻撃が発生しということで、これまでは自分のみの自衛権だったのですが、これからは他人がやられても発動する、つまり、その場合の条件としては、国の存立が脅かされ、国民の富や財産、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるというのが条件でして、自分に火の粉が降りかかってくるというケースもあるのではないかということで、そこが大きく変わったところですね」
島田キャスター
「『他国』というところで公明党が懸念しているということですが」
中谷議員
「集団的自衛権の一部も容認しなければならないということで、集団的自衛権の定義は一般的に、自国と密接な関係にある国家が攻撃を受けた際、ということになっていますので、意味が通じるならそういう見方もできるのではないかと思います」
反町キャスター
「公明党が密接な関係のある国と表現を変えたいと言ったら、自民党としては?」
中谷議員
「それよりも大事なのは、まさに我が国の存立と国民の権利が覆されるという事態で、それに対してどの国がと考えると、当然密接な関係がある国と読めるのではないでしょうか」
島田キャスター
「公明党が懸念しているもう1つは『おそれ』があるということです」
反町キャスター
「たとえば、アメリカの領土を攻撃するミサイルの発射の準備が明らかにどこかの国で進んでいるという時は『おそれ』があるということになる」
中谷議員
「これは武力攻撃が発生した事態の認定でも言えるのですが、たとえば、意思と能力、それを確認した場合が着手となるので、それで個別的自衛権が始まるのですが、集団的自衛権の場合はあくまでも基準は我が国の存立に影響があるというところから発動するわけで、その事態がいつなのかということだと思います」
反町キャスター
「そこの線引きを心配しているのでは?」
中谷議員
「手遅れにならないように、これは打撃を受けた後では遅すぎるわけですから、そういった国の存立ですとか、幸福追求の権利が根底から覆されるという、おそれの場合からこれは考えてみようということですよね」
島田キャスター
「『おそれ』を切迫した事態みたいな文言に書き換えるということですか?」
中谷議員
「まだ、平場の議論で『おそれ』について何も議論していません。ですから、公明党さんからの要求とか、ご意見を聞いてからの判断になると思います」
反町キャスター
「ミサイル基地を破壊する準備までならわかりますよ。実際に攻撃するオプションまで含めた話ではないですか?そこから先の実行に移るまでの『おそれ』ではないのか」
古庄氏
「これは現場で言うと我々が60年間、専守防衛でずっとやってきた。だけど、軍事的合理性からいくと専守防衛なんかあり得ないわけですね。それは絶対にあり得ないと思いますよ、世界では。やられるというおそれがあったら、先にやらなければ、国民の安全は守れないという線引きをどこに持ってくるかということですよね。ですから、ここのところは世界の常識とは非常にかけ離れている解釈にされそうだということですね」

歯止めどうかける
島田キャスター
「集団的自衛権行使、発動の手順については話し合われているのですか?」
中谷議員
「これは手順の話ですが、我々はその原則を話しているので、集団的自衛権を行使する条件ですから、原則の話で3つの原則、存立に関わる場合、それから他に手段がない、必要最小限、これが歯止めになっていると思います。プラス国会承認ですけどね」
反町キャスター
「発動の手順の部分は、今回の自公協議では敢えて話し合わなくていい案件になるのですか?」
中谷議員
「これは手順ですからね。実際やる時にどうなのでしょうかというプログラムというか、フローチャートのようなものですが。我々が議論しているのは、まずは原則をつくって、これでどういう法律をつくりましょうということですから。その法律をつくる前の原則の一致を求めてやっています」
反町キャスター
「こういう制度で歯止めをかけようではないかという議論にはならないのですか?」
中谷議員
「お互い法律のプロですから、文言のもつ意味はすごくありますし、だいたいこういう法律をつくるにはこういう原則がいると。原則から外れた法律はできませんから。そのための文言の精査は非常に真剣なものですから、言葉は大事なものだと思います」
島田キャスター
「日米同盟や東アジア安全保障にどのような影響があると思いますか?」
神保准教授
「ここでのキーワードはよく防衛計画の大綱でも言われたシームレスという概念、継ぎ目のない対応が法律整備によってどこまで担保できるかということだと思っていまして、それはまさにグレーゾーンと言われる武力事態に至らない事態、その武力事態がどういうレベルで上がってくるかと。ここに対して、たとえば、しっかりと時間概念をつけておいて最初は海上保安庁が対応するけども、そのあとでしっかりと自衛隊、さらに、レベルが上がったら日米同盟の共同対処ができるということをしっかりと法的に担保して、上がってきそうな時に予めその事態対処要領をつくっておいて、待機命令を出して、それを相手が認識することによって、抑止力が担保されるということです。つまり、『おそれ』という予め準備しておく段階をつくることによって相手に対する抑止効果が非常に大きな意味を持つことになるので、これが非常に重要ではないかなと思っています」
反町キャスター
「『おそれ』とは何なのだと。周辺諸国は不安に思うのではないかという議論が必ず出てくると思います。神保さんの話だと『おそれ』が、日本のセキュリティにおいて重要な意味を持つんだという話になるということですか?」
神保准教授
「そうだと思います、大事なことは。たとえば、脅威のレベルが1段階から5段階に上がったとすると、この1から5に至る対応がシームレスにできるかどうかということが大事なので、当然これは拡大解釈でいきなり5を当てはめるということではなくて、1は1で対応します。だけれど、その次に上がった時には、我々はこういう準備がありますよということを相手に理解してもらうことが大事ですね。そのための法的な準備ができているということがすごく大事。法的議論の歯止めというのは、かなりシームレスに対して非常にガタガタな整備になりがちです。これをできるだけならしていくような解釈が、我々に準備としてあって、それも相手を理解しているということがすごく大事だと思います」

集団的自衛権8事例の現状
島田キャスター
「公明党の北側副代表が『大事なことは事例の背景にある事態はどんな事態なのかということ。この段階に至っては、事例に固執するのはいかがなものか』と話しています。公明党からこの発言について何か説明があったのですか?」
中谷議員
「まったくないのですが、ただ、議論をしていると非常に北側さん自身が現実にどうであるのか自分が納得できるように説明しろと、かなり政府に事例に対して具体的に質問の答えを求めています。ですから、1つ1つ納得をされ、今度の議論は次のステップで、核心に入ってとりまとめをするということだと思います」
島田キャスター
「北側さんの中では理解したということですか?」
中谷議員
「原則を打ち立てるために議論をしていますから、各事例を通じて議論をしてきましたけれども、その事例もいろんな事態があるんですね。周辺事態なのか、警察権でできる平時なのか。事態にどう対応するのかということを考えると、3つに分けています、グレーゾーンと海外の自衛隊と集団的(自衛権)。そういう段階区分とそれをとりまとめていくという段階に至っているのではないでしょうか」

自・公の溝 機雷掃海 両党の主張と論点は
島田キャスター
「公明党は、機雷掃海は警察権で対応できるケースもあるのではないかと言って、この事例に関して集団的自衛権の行使に否定的な姿勢を見せているのですが、これは警察権で何とかなるものなのですか?」
中谷議員
「それは平時というか、遺棄機雷と言いますけれど役に立たなかった機雷、海に浮かぶゴミですね。それを回収するということですから、それは平時の警察権的なものでできるのですが、問題は武力行使を目的として撒かれた機雷、ホルムズ海峡の機雷の話がよく出ますが、原油タンカーを中心として年間3000隻を超える日本船舶が通っています。日本の石油備蓄は政府で111日しかないです。民間は83日。これを経過すると石油がなくなっちゃうんですね。その時、日本は大丈夫なのかと聞きますと、放っておけない場合もありますので、武力行使として撒かれた機雷を各国が取り除く場合、日本がシーレーンを守る場合に一番必要でありますので、その時どうするかと。国連の決議が出た場合に日本はどうしますかと現実に問われる可能性もありますから、その時にはきちんとできるようにしたいというのが安倍総理の考え方です」
島田キャスター
「それは警察権ではできないですね?」
中谷議員
「できないです。各国の軍がやっていますし、これは集団的自衛権、もしくは集団安全保障の概念でやっていると思います」

元海幕長にきく現場の声 機雷掃海最前線と現実
反町キャスター
「警察権でできるのではないかという公明党の主張をどのように感じていますか?」
古庄氏
「できるんだったら自衛隊法の中にないですよ。機雷と危険物の除去というのは、自衛隊法の中で定められた任務ですね。現在から23年前の遺棄機雷。戦時に敷設されたんですけれども、遺棄機雷でした。海上自衛隊が行く必要はないみたいな考えだった。やること自体、警察権かどうかというのは法律的な考え方でしょうけれど、私は機雷掃海専門です。我々にとっては、海上自衛隊による機雷掃海をする訓練をやっている者にとっては全てが作戦です。それが戦時中であろうが、平時の遺棄機雷であろうが、それを除去する作戦自体はあくまでも作戦です。具体的に申しますと戦後ずっとアメリカ軍が入れた機雷を綺麗にしてきた。七十数名の方が殉職しているんですよ。それを考えただけでも警察権ではないですよ、どこをどう言ったって。だから、海上自衛隊の任務としてある」
反町キャスター
「警察権で派遣した場合に集団的自衛権の話は、個別でもいいのですが、そういう形で派遣した場合と、警察権で派遣した場合、部隊の対応とか、安全上の配慮に違ってくる部分はあるんですか?」
中谷議員
「唯一言えるのは、国連海洋条約では海賊や密輸の取り締まりを警察活動だと言っていますが、実際は軍艦が出て対応していますけれど、機雷の除去はどうみても軍事活動で、各国共に非常に難しい技術で、日本の場合は海上自衛隊しか対応できないわけでありまして、どの国も軍事活動という考え方でやっているし、非常に危険ですね。事故の危険もあるし、襲われる危険もある。警察権では武器の使用が限られていますので、完全に安全を確保できないと思います。やはり出る以上は国からお墨つきをいただいて、法律によって武器使用も確保されて出さないと非常に危ないと思います」
反町キャスター
「自衛隊で派遣しないのであれば、たとえば、海保に移管して派遣するということにはいかないのですか?」
中谷議員
「どの国もチームで活動していますし、どの国も海軍が出てやっていますので、日本だけ警察ですというのでは、チームに支障が出るのではないでしょうか」

集団的自衛権 与党協議 閣議決定後の焦点は
島田キャスター
「今回議論された内容は、具体的にどうガイドラインに反映されていくのですか?」
中谷議員
「これはあくまで集団的自衛権を行使しないという前提でできたガイドラインですが、現状の中で、日米の協力を見ますと、非常に協力を密接にできる部分がありますので、これはまさに外交的に日米間で協議をされると。しかし、これ以外に今回、非常に隙間のないような安全保障ということで、たとえば、PKOとか、自衛隊のグレーゾーンという事態に対して法律の改正が必要です。ですから、新しい3要件に基づいて自衛隊法、PKO、有事法制、周辺事態といったものの法律を変えなければいけませんので、秋の臨時国会で法律の改正も検討されるようになると思います」
反町キャスター
「改訂されるガイドラインは日本の集団的自衛権を前提として変わっていくという理解でよろしいですね」
中谷議員
「ええ。これまでは制限された後方地域支援という、後方の地域で、戦闘が行われませんという場所でしか活動ができませんでしたが、今度は武力の一体化の見直しで戦闘地域の現場ではできませんが、それ以外は判断しますとなりますので、概念も、内容も変わってくるのですが、アメリカとの話し合いでありますし、日米間でオペレーションみたいなものも含めて、内容を詰めていくことになります」
島田キャスター
「アメリカはこのガイドラインに対してどういったことを期待していると思いますか?」
神保准教授
「全般的な状況で言うと、5月にオバマ大統領が陸軍士官学校で演説をして、アメリカの国益に関係するところではアメリカの武力行使は厭わないけれど、そうでない事態に関しては同盟国やパートナー国を積極的に使っていくという表現だったんですね。アメリカも当然リバランスをして、初めてコミットをするのですが、同時に非常に大きな問題を、主に財政的な問題ですけれど、抱えているわけです。できるだけ同盟国の役割というのを強化したいという中で、このガイドラインの意味も増えてくると思うんですね。17年前の状況と比べると日本の政府・自衛隊が持っている情報収集能力、解析能力は飛躍的に向上していて、事態の性質に応じてアメリカと共同で行動できる範囲というのが技術的には非常に増えているわけですね。ミサイル防衛がそれにあたるのですが、それだけではなくて平時における警戒監視活動、あるいはエスカレーションの管理という中で、日米の行動の範囲が実質的には増えているので、それをしっかりと法的に担保することが大事だと」

古庄幸一 元海上幕僚長の提言:『現場はやる 政治が決める』
古庄氏
「部隊は政府が決めさえすれば、何でも対応できるように、常に訓練していると思います。しかも、何かあった場合には、限定的とか、制限をかけると言われても相手の国にはそんなことあり得ないわけですね。とにかく持てる力を精一杯やるというのが日頃からのありようだと思っています。それで暴走するというのは現在の状況ではありません。政府が決めれば、それに向かってやる、ただそれだけだと思います」

神保謙 慶應義塾大学総合政策学部准教授の提言:『日米同盟 強化の礎に』
神保准教授
「なぜ現在集団的自衛権の行使に向けた議論を加速化しているのかというと、つまるところ、これは日米同盟の抑止力を強化することにつながるからだと考えています。いろいろ議論する中で政治的な局面では、これは日本の安全と存立に関わるからだという、日本の安全に引きつけて議論されることが中心ですけれども、大事なのは巡り巡って抑止力が高まったことが、実は日本の安全につながるというロジックの中で、実はアメリカや他国に対する安全を提供することがいかに日本の抑止力にとって大事かという理解が大事だと思っています」
中谷議員
「現場が迷わないようにするには、法律をつくらないとダメです。その基準を議論していますけれども、しっかりとした現場が迷わないような法律を政治が決めるし、決断もしっかり政治がやる。日米同盟、1人で守るより2人で守った方が強いんです。現在は守られるだけですけれども、お互いに守り合うということが大事で、現在ガラッと状況が変わったんですね、尖閣も南シナ海も。航空機がやってきて30mに接近することはこれまでなかったんです。そういうのが頻繁に起こる。竹島の方も射撃訓練がありましたが、これは1人では守りきれないので日米がお互いの協力でしっかり守っていく。訓練は相当レベル上がりましたけれど、もう少しメニューを増やして、よりレベルアップをした方が私はいいと思います」