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2014年6月6日(金)
年金は100年安心か? 田村厚労相に問う改革

ゲスト

田村憲久
厚生労働大臣 自由民主党衆議院議員
清家篤
慶応義塾長

田村厚労相に問う年金財政検証 私達の老後はどうなるのか
反町キャスター
「(所得代替率)50%をキープするためには、高い経済成長率とか、運用利回り、1つ欠けてもダメだと思いますが」
田村厚労相
「運用利回りは今回敢えてスプリットという概念を示しました。前回も4.1%という目標値が高すぎると言われたんです。4.1%という数字は実質上4.1%という数字とそれから、名目賃金上昇率との間の差、つまり、1.6%の金利差を稼げれば、要は、年金は、名目賃金が上がれば金利は将来増えるわけですね。名目賃金が下がれば、給付は減るので、ここは比較的パラレルな関係でありますから、その間のスプリットさえ確保できれば基本的にOKだというような考え方ですから、敢えて今回はそれを示させていただいたんですね。だから、前回よりわかりやすくなっています。それと、もう1つの大きな要因は合計特殊出生率ですね。これは大変大きな影響があります。これを見ますと、前回の財政検証、平成21年の時の平成24年の合計特殊出生率をどれくらいに予想したかというと1.21%ですね。ところが、実際は1.41%だったんです。今回の再計算において、その意味ではプラスの要因でした。ところが、今回新しく財政検証しましたが、現在1.43%、平成25年の今回使っている数字は1.39%ですよ。つまり、今回使っている数字よりも足もとを見ると合計特殊出生率はいいんですね。そう考えると、これはいかに出生率というものを推計より上にもっていくか。少子化対策というものも大変重要なものになってくるのではないかと思います」

前提条件をどう見る
反町キャスター
「非常にうまくいった時の前提を積み重ねたうえでの見通しと言えないということでよろしいですか?」
田村厚労相
「我々としてこれから一番考えなければいけないのは、確かに少子化もそうなのですが、労働市場への参加です。これは現在60歳から65歳までの方であり、この方々の就労率というのは75%強です。今回良く参加しているというカテゴリーでは90%を超えるんですね。ただ、これもよく考えると法律を変えまして60歳から65歳まで。これは定年60歳ですが、定年をなくすか、65歳まで伸ばすか、もしくは継続雇用で雇うかというのを企業に義務づけましたから。望む人が皆65歳まで働ける、実際は3年ごとに1歳ずつ伸びていくのですが、そう考えるとそこまで無茶な話ではないと思います。M字カーブというのが女性にありますが、これをほぼなくすというのも入っているんです。これをやらないことには女性の活躍が期待できないので、両立支援をしっかりやって、M字カーブをほぼなくすと。これをやらなければならない」

基礎年金の位置づけとは
反町キャスター
「報酬比例の割合が増えていて、基礎年金の部分の果たす役割が小さくなっていくのですが、これはどう考えればいいのですか?」
田村厚労相
「マクロ経済スライドという制度の性質上、国民年金、基礎年金にはやく関わってくる、長く調整が続くわけです。厚生年金の方はマクロ経済スライドの期間が短いものですから。一番初めに制度設計をした時は一緒だったのですが、実はちょっとデフレでいろいろな事情があって、マクロ経済スライドも未だにかかっていません。結果、国民年金、基礎年金の方に長くかかってしまうというような、これは制度上の性質なのですが、その結果、国民年金、基礎年金の方が目減りする率が大きいという形になっています」
反町キャスター
「報酬比例部分がある人、厚生年金がある人は、それなりになるとして、自営業の人や、都合によって厚生年金に入れなくて基礎年金だけの人もいます。基礎年金の果たす役割、基礎年金のありがたみというものは、これから先は徐々に減っていくのを覚悟してくださいねというシミュレーションになるということですね」
田村厚労相
「基礎年金のもともとの制度の成り立ちは、これは自営業者の方が中心ですよね。自営業者の方々はずっと働き続けますが、加齢とともにやはり働く量が減ってくる、収入が減ってくると。収入の目減り分を基礎年金で補って生活していただくのが基本的な考え方だったんです。ただ、最近は自営業者の方々よりも、非正規で働いている方々の率が増えてきている、それにどう対応するんだと。一方、被用者年金への雇用拡大へということも実は今回そのオプションの中に入っているわけですね。ですから、そういうこともこれから検討しなくてはいけない。法律はいったん通して、25万人がスタートできる状態になってきています。これをいかにこれから増やしていくのか。どう拡大していくのかという話になってくるわけです」

マクロ経済スライドの見直し
佐々木キャスター
「オプション試算があります。マクロ経済スライドの仕組みの見直しは一度も機能していません。これを機能させるために何をどう変えていくのですが?」
田村厚労相
「まだ一度も発動されていないですね。その理由は何かと言うと、ちゃんと物価と賃金が伸びていかないということでした。そういう状況にならないと、マクロ経済スライドは発動しないという法律になっていますので、発動されていないです。ただし、発動しなくてもこのような形で50%の所得代替率を超えるというシミュレーションが多いということなので幸いだったわけでありますが、このまま我々はデフレ経済を続けようとは思っていません。ほぼデフレを収束させることができるのではないのかということが、近づいてきているのではないかということですが、経済状況においては物価が上がらない、賃金が上がらない、もしくはマクロ経済スライドがかかるほど物価や賃金が上がらないということもあると思いますね。そういうことを考えた時に、そういう状況になっても必ずスライドをかける状況にしておけば、これがあるからこそ給付と負担のバランスがとれるわけです。これが発動されないと、バランス崩れちゃいますから。必ず発動されるようにしておけば年金は破綻しないということですので、そういうようなことを考えてはどうかと。ただし、実額で年金が目減りするんですね。ですから、そうなれば国民の皆様、年金生活の方は、これは困るという話になってきますので、そこらへんのことをどうするかということをこれからご議論いただくということになってくると思います」
反町キャスター
「現在もらっている人達はもらい過ぎですよね?」
田村厚労相
「それを3年弱かけて戻していますから、やがて過払い金が戻ります。そこから初めてこのマクロ経済スライドが発動されていくわけですね」
清家氏
「マクロ経済スライドというのは、ご承知の通り、2004年に年金制度が抜本改正された時に導入されたわけですね。その時のポイントは何だったかというと、まずは負担の上限を変えたわけですね。2017年に厚生年金の場合で言えば18.3%になって、そこから上がらないのは、年金の収入の方のタガがはまったわけですよ。その収入の中で、給付が賄えるようにマクロ経済スライドで給付水準を調整してバランスをとるようにすることによって、将来の人達が50%なりを確保できるようにしようということですね。ですから、このマクロ経済スライドがはやく発動されればされるほど将来の人は給付が目減りしないですむ」

厚生年金拡大の効果と課題
佐々木キャスター
「厚生年金対象者の拡大についてはどう説得をされていく考えですか」
田村厚労相
「これはもう2回チャレンジして、2回目に、民主党政権になってからですが、スタートをすることが決まりました。まず25万人くらい対象ということであります。5万8000円くらい収入がある方々に全員、仮に適応拡大するとすると、1200万人くらいいるんですよ。1200万人が全員入ったら、所得代替率が上がる。ですから、そういう意味では、かなり大変な話なのですが、もちろん、5万8000円の方々全員が入れるかは別として、25万人からもう少し範囲を広げていかなければいけないと。これは広げていくということで、方向性は3党で合意をしていますので、あとはどのようなスピードで、どのような規模で引き上げていくか、適要拡大していくかということだと思います。もちろん、パート労働者が多い業界、産業は負担が増えるということで、いろいろな声があがると思いますが、そこはもちろん、これから検討していただきますが、我々もいろいろと話を聞かせていただきますが、これは広げることが前提でありますから、広げることをご理解いただくことも重要だと思いますね」
反町キャスター
「法人税の減税もありますよね?」
田村厚労相
「いろいろな方法で社会保険料を抑えていくという方法はあります。ただ、今回の法人税減税というのは景気対策から出てきています。減税するということは、とらないという話になります。これは純粋にとらないと言うことです。医療でとらないということは国がお金を入れるという、これは歳出になるわけです。つまり、歳入が減る、歳出が増えるという議論。歳出が増えるということはちょっと違うでしょうね。いろいろと伸びている厚生労働省としてはさらにというのは言い出しづらいですよね」
清家氏
「基本的に社会保険というのは保険を収めた人が給付を受けるという仕組みですので、年金でも基礎年金の2分の1くらいは国庫負担が入りますけど、それ以上は年金でやりましょうと。私は、それはその方が良いと思います。特に税財源というのは、年金のようにどちらかと言えば保険の枠組みの中で解決できる問題の中で投入できればいいですが、限られている財源であれば、税でしか対応できないようなところになけなしの税を投入した方がいいのではないかと思います」

受給開始年齢引き上げの是非
佐々木キャスター
「保険料の支払い期間の延長は一律に払い込み期間を延長する、受給開始年齢が引きあがっていくという認識でいいのですか?」
田村厚労相
「受給開始年齢を引き上げるというのはまた別のオプションで出していますので、あくまでも40年間という国民年金の基礎年金、これの保険料納付というのを、あと5年間伸ばすということで、45年間にしようということですから、その5年間が難しくて、その5年間は皆で支えていますから、これまで選択設定がなかったわけですね、基本的に。皆払うという話になりますと、60歳~65歳の間に払わなかった方は強制的に徴収する話となると、これは大丈夫なのか。いろいろな心配ごとがありまして、そんなことをいろいろと考えながら、選択制というのもありなのかなということも含めて、ご議論をいただくということになろうと思います」
清家氏
「これはいわゆる受給開始年齢の話とは別ですね。つまり、現在は受給開始年齢、国民年金は65歳になっているわけです。保険料を納めるのは20歳から60歳までになっているのを、受給開始年齢を65歳まで延長しようという話ですから、受給開始年齢自体は変わらないわけですね」
反町キャスター
「受給開始年齢自体をあげようという話ですが、75歳選択性は?」
田村厚労相
「一応、今回オプションでは出ています」
反町キャスター
「平均寿命が低い国が受給年齢を高くしている。日本の年金が少し心配なら、65歳をいじった方が、安心度が増すのではないか?」
田村厚労相
「アメリカは定年がありませんから。日本は定年というものがあって、一斉採用して一斉定年という状況があるわけですね。だから、60歳というものに徐々に穴を開けて65歳まで継続して採用できるような法律にしたわけです。だから、65歳まで厚生年金支給開始年齢の引き上げと同じように上がっていくわけですね。それはそれでいいのですが、それから先はどうするんだという話ですよね。これから先と言う話ですが、私の個人的な考えですが、まず働ける状況をどうつくるかですから、そちらが先ですね。我々は、高齢者の方々も労働市場に参加していただかなければいけないというのを示したわけです。そこが整備されてくれば、ご自身で判断していただいて、支給開始年齢を現在も70歳まで選択できますから、自分で70歳まで働いて、70歳からもらうかと。すると、現在の設計では42%くらい割り増しになるんですよね。だから、一律でやらなくても選択でやっていただいた方が個人的にはいいのではないか。年金財政における結果はまったく同じですから」

所得代替率50%維持なのか
反町キャスター
「50%にとことんこだわる。これをどう見たらいいのですか?」
田村厚労相
「これは1つの指標なんですね、メルクマールみたいなものですね。要は34万8000円という所得の世帯層の50%ですから。ここから上は50%を切っていくんです。ここから下は50%から増えていくんです。つまり、所得が低い方ほど所得代替率が上がります。もちろん、もらえる金額は低いですよ。だけど、所得代替率は上がっていきます。一方で34万8000円から上の方々はどんどん所得代替率が下がっていくと。そういう制度です。それはなぜかというと基礎年金が一定だからですね。そういうことを考えると皆が50%という話ではないものになりますから。ここが守られていれば、他のところの年金もほぼだいたい守られるわけなので、つまり、1つの指標としてここが守られていれば、年金の受給水準自体はそんなに下がるわけではないよねと。だから、そういう意味で、ここは象徴的な数字、法律に書いて守っているわけですね。だから、これを切るようなことが起これば、次の見直しまでの間に措置をしなければいけないんですね」

積立金運用のリスク回避は
佐々木キャスター
「年金の積立金をどのように運用していくかということですが、実際に積立金を管理運営しているのがGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)というところですね。このGPIFは現在、国債中心の資産運用から株式投資などへの比率を高めていく方向で資産の運用方法を変更することを検討しています。今日の田村大臣の閣議後の会見で、その運用の変更について発言がありました。『年末から秋へ前倒しを要請する。見直しをした方がリスクを抑えられる』とあったのですが、単純に、国債から株式へ運用が変更されていく比率が大きくなると、リスクが増えてしまうのではないかという危惧があるのですが、それについては?」
田村厚労相
「経済状況が変化する中において、分散投資というものを幅広く行っていくと。経済状況が変わりましたから、政権交代して、アベノミクスで経済状況が変わって、経済状況が変わると当然運用環境も変わるわけなので、それにあわせた見直しというものをやっていかないといけないわけでして、基本ポートフォリオを見直させていただくということを、私どもがお願いさせていただいたわけです。そういう意味からしますと運用環境を見る中においては、GPIFは法律の中で専ら被保険者の利益のために、安全かつ効率的に、長期的な視点で運用しなければいけないわけでありまして、他事公用は禁止です。他のものはできません。この目的のために運用しなければならない。そのためには、今回の財政検証の中で、これぐらいの運用利回り、これが必要だという目標値が出てきましたので、それに向かって、それを確保するために、リスクを最小限に抑えていくような分散投資をしていくということで、今度の新しい基本ポートフォーリオの見直しに入っていくわけであります」
反町キャスター
「たぶん当然増えていくという前提に立って場合に、先ほどのリスクになるのですが、増えた場合はいいです、当然。この120兆から150兆円になっている部分が大きく寄与されていると思うのですが、減った場合どういう処理の仕方になっていくのですか?」
田村厚労相
「これは株であろうと、国債であろうと同じで、国債だって金利が上がって、暴落すれば、格が下がれば」
反町キャスター
「可能性はあります」
田村厚労相
「でしょう。結局そういう運用環境、経済環境を見て、どういうような比率で、どういうような形で分散投資をしていくかということを、プロの専門集団であるGPIFで考えをいただくわけでありますから、国債であろうが、株であろうが、これはリスクというのは必ずあるんですね」
反町キャスター
「たとえば、株が下がったりして損が出た場合に、年金受給者の支給額を減らすのか、ないしは薄く広く後年度負担みたいな感じで、それこそマルチスライドにはめ込んでいって、薄く、広く、後年度の人達の年金が減額される形で響いてくるのか、どういう形になるのですか?」
田村厚労相
「これは長期運用ですから、1年、仮に運用失敗して、目的、目標の利回りが得られなくても、年金を減らすわけではありません。それはどういうことになるかというと、次の5年後の財政検証で、そこでまた負担と給付、それぞれバランスを取って、設定をするわけですね。その時に、果たして、所得代替率はどうなるかという話になってくるわけです。マクロ経済スライドをかけて、均衡をさせますから。その時にずっと、マクロ経済スライドをずっとかけなければいけない状況になれば所得代替率が50%を切るという話になっていくわけですね。そうしたら、何かしなくてはいけないという話になるので、現在すぐ下げるという話ではございません」

積立金運用の透明性は
佐々木キャスター
「年金積立金の運用がどのような実績を持っているかというグラフがあるのですが、120兆円を超える積立金の運用実績を見ていきますと2012年度の累積収益額が36.4兆円となっていますね。この数字自体をどう受け止めていますか?」
田村厚労相
「それは経済が良くなって運用環境が良くなれば、そういう場合、(これまで)ずっとデフレが続いていましたから、デフレが収まりつつある中において運用環境が良い状況だったんです。株は上がるし、しかも、国債だって価格が上がった時期がありましたから、なかなかそういうことはあまりないのですが、そういうような良い時期がある中において、運用実績も良かったということがあるんだと思います。いずれにしましても今回、こんなに良かったから、ずっと続くというわけではありませんし、長期的に見てしっかりと必要な運用利回りの実績というのが、我々のGPIFに対しての期待でありますし、現在、良かったけれども、5年後はもっとひどい状況になっちゃって、全体として目標数値を下回っちゃったというのは、これはとんでもない話ですから、長期的に見て目指す運用利回りを稼いでいただくということが、GPIFに我々が求めていることであります」

約128兆円 積立金運用は
反町キャスター
「ただ、130兆円という規模、世界最大ですよね、ファンドとして。たとえば、東京の証券取引所に外国人投資家がいくら入っていると言ったって、何兆の規模でというふうに聞きますよね。130兆円の中の、たとえば、15%と言ったって、20兆円ですよ。国内投資に20兆円、これが20%にもし増えて、5%増えたら7兆円、新たに国内株式市場に入ってくることになりますよね。このインパクト、すごいと思うのですが、つまり、動いている限りにおいては、動くぞということ自体が、PKO、株価のプライスキーピングオペレーションになってしまう。ないしは押し上げ効果を当然持つと思うのですが、そのへんの力の持ちようの認識というのはどう厚労省はGPIFに持っているのですか?」
田村厚労相
「それは民間のいろいろな活動の行動に影響を与えるわけですから、そこは十分に注意をしながら、運用していただくと思います。ですから、特定の銘柄とか、そういうものに入っただけで大変なことになっちゃいますから、そのことも考え、しっかりとそこのところは気にしていただきながら、運用をしていただけるというものだと。だって、あまりいいことになりませんから、実際問題GPIFにとっても。ですから、そこは専ら、被保険者のためですから、利益のためですから。ちゃんとそこのところは留意をしながら運用いただけると思いますね」

これからの年金・医療・介護
佐々木キャスター
「生活保護を受けた世帯数を示すグラフですが、今年3月の時点で、全国に217万人あまり。世帯は160万世帯を超えました。過去最多です。中でも高齢者の割合が71万世帯を超えまして、全体の半数近くになっているんですね。この数を減らしていくこと自体が財政の面からでも、非常に大事だと思うんですけれども」
清家氏
「年金の未加入の問題が議論されますけれども、年金の未加入というのは、年金財政にとっては中立的な問題ですよね。つまり、年金に入らない人には、年金を払わなくていいわけだから。だから、年金の未加入が増えると、年金が破綻するということはない。しかし、年金の未加入者が増えると、たとえば、生活保護の受給者が増えるというような形で財政に影響を与える。だから、年金の加入をしっかりと進めなければいけないということなのだろうと思います。そういう面では特に高齢者の生活保護世帯数が増えないようにするためには年金の加入の裾野を広げていくということが大切な政策になるということだろうと思います。そういう面では先ほど、オプションと書かれていましたけれど、それは実際に進めていかなければいけない問題だろうと思います」

過去最多の生活保護者と年金
反町キャスター
「生活保護費、年間の予算でいうと現在3兆円から4兆円の間ぐらいだと思うんですけれども、その3兆円から4兆円ぐらいの生活保護費が出ている。しかも、それが現在もデータで出ているみたいに年々増えているという、この生活保護の人達に対する、その手当の部分というのは、これ経済的な話になっちゃうんですけれど、その部分と、それと年金の中における無年金、ないしは低年金の人達を救うということというのは、どういう政策の位置づけになっていますか?」
田村厚労相
「完全にリンクするわけではないですね。それは年金、低年金の方であっても自立して生活されている方々はおられますし、蓄えのある方もおられるでしょう。ただ、概して言えば、非正規で働く期間が長くて、もしくは無職が長くて、貯蓄するだけの余裕もなかった。保険料を納めるだけの余裕もなかった。そういうことで、どうしても、年金がない、貯蓄もないということになれば、生活保護。それでも働いておればいいわけですが、一定年齢で働けなくなるということになれば、生活保護ということになるわけであります。だから、そのためには非正規の雇用で働いている方々にはより安定した働き方へと移っていただくような環境整備も、現在いろいろな取り組みもやっています。そもそも現在働いていない、生活保護に入ろうとされている方々がおられれば、まずは生活困窮者自立支援制度、そういうような法律をつくりました。こういうところで、いろいろな支援を受けていただきながら、自ら働いていただいて、生活を立て直していただくということで、就労に結びつけ、保険料を払っていただくと。こういうこともやっていかなければいかんわけでありまして、総合的な対策の中で、老後の貧困というものに対して対応をしていかなければならないと考えています」
佐々木キャスター
「今回、清家さんが委員に就任されます、社会保障制度改革推進会議の前進の、社会保障改革国民会議で、このような報告書の取りまとめがありました。優先すべき順位としてあげられたわけですが、少子化対策分野の改革、医療・介護分野の改革、年金分野の改革というのが、この順番で報告書が取りまとめられました。実際に何が急務なのでしょうか。優先順位はどう考えていますか?」
清家氏
「優先順位というか、緊急度から言えば、その順番と私は思います。と言いますのもまず圧倒的に現在、社会保障給付の中で、少子化対策の部分が弱いわけです。これは政治的な問題もあります。たとえば、年金、医療、介護は先ほどから議論が出ているように、社会保険制度でも財源がはっきりしているわけです。従って、不況になっても、あるいは何か財政が厳しくなっても、そんなに大幅に削られるということはない。ところが、少子化対策というのは社会保険制度が財源になっていませんから、どうしてもこれまで弱かった。そのために少子化が進んでしまっているわけで、これは緊急にまずやらなければいけない。国民会議でも、まずこの各論の筆頭に少子化対策というのをあげて、消費税の増税分のうち、0.7兆円を必ずそちらに追加的に振り向けてくださいと。特に少子化対策を急がなければいけないというのは今回出生率、先ほども大臣が言われたように1.43%まで上がったわけですけれども、いろいろな理由があります。少子化対策が功を奏してきたということもありますが、もう1つは、団塊ジュニアの世代の方々が比較的、数が多くて、相対的にがんばってくださっているというのがあるわけですが、この団塊ジュニアの方々が子供を産むことができる年限もだんだん迫ってきていますので、早急にもっと子供を産み、育てたい人が、子供をちゃんと産めるような環境を整えるということが、まず大事だろうと思います」
佐々木キャスター
「実際に社会保障費の給付費の内訳を見ていきますと国家の一般歳出の3割強を社会保障費が占めているのですが、その4分の3近くを、医療、年金で使っていて、子供、子育てなんて、とても小さい割合になっていますよね。ちょっと現状とは、バランスとしてはほど遠いという印象があるのですが。どう改善していけばいいのですか」
清家氏
「まさに、その問題意識があったので、子供、子育てのところを充実しましょうということだったわけですね。それで、もう1つは年金と医療とありますけれども、医療と介護は一体で考えていいと思いますが、ここも先ほど、ちょっと順番がついていましたけれども、問題の性格が違うと思うんですね。年金というのはこれからどういうふうに増えていくかというと、先ほどから年金の議論をずっとしているんですけれど、確かに大変ですけれど、高齢者の数が増える程度に増えていくわけです、年金の給付総額は。つまり、受給者の数が増える。頭数に比例して増えていく、マクロスライドが導入されれば、その増え方が抑えられるかもしれない。ところが、医療などは高齢者の数が増えるペース以上に増えていくんですね、これから。具体的に言うと、これから2025年ぐらいにかけ、医療費の伸びは年金の伸びをはるかに上回ると予想されています。その1つの理由は、高齢者の中でも65歳以上の方の中でも、特に医療費などを多く、医療サービスを受給される75歳以上というような、より年を取った方の比重が増えてくるということと、医療費の場合にはこれは良いことですけれども、たとえば、検査ですとか、お薬ですとか、手術だとか、そういうものがどんどん高度化していきますから、高度化するということは、価格も高くなっていくことですね。ですから、医療の場合には質が高くなるということと、より高齢の人達が増えてくるということで、伸びが非常に大きくなってきます。それから、もう1つ、年金と医療の違いは、年金はこれも先ほど議論して、非常に難しい問題ですけれども、基本的にはお金の問題ですよね。お金をどういうふうに集めて、どういうふうに給付するか。それはそれで大変ですけれども、そこで完結するわけですね。つまり、制度を変えることによって、お金の出入りを調整すれば、バランスが取れる。ところが、医療の場合は、保険料とか、税金はお金で集めますけれども、給付は医療サービス、あるいは介護の場合だったら、介護サービスというサービスで提供されるわけですね。そうすると、当然そのサービスを提供してくださるお医者様とか、看護師さんとか、薬剤師さん、あるいは介護の場合だったら、介護士さん。その方々を確保して、やる気を引き出しながら、サービスを提供しなければいけないという問題が介在してきますので、年金に比べるとずっと問題が複雑、かつ注意を要することになるわけですね。いろんな人の利害が絡んできますのでね。そういう面で年金に比べて、医療とか、介護というのは問題が難しいですから、なるべくはやく手をつけて改革を進めていかなければいけない」

田村憲久 厚生労働大臣の提言:『少子化対策』
田村厚労相
「先ほど来、話が続いています。少子化対策をしっかりとやらないと、社会保障は持続可能性ということを考えれば、ここをしっかりやらないことには非常に難しい。そういう意味で、我々としてはここに全勢力をつぎ込む。そういう思いで、これから対応をしていきたいと、このように思っています」

清家篤 慶応義塾長の提言:『支える力』
清家氏
「これは支える力ということに尽きると思いますね。1つは、大臣が言われたように、社会保障制度を支えるのは次の世代、将来の世代ですから。そういう、将来の世代を、しっかり産み育てられるような環境を整備していく。あるいは現在の世代も含めて、多くの人が社会保障制度を支えることができるように先ほど出ていたような加入の適用の拡大を広げる。あるいは1人1人の社会保障制度を支える力を高めるためには、付加価値生産性を高めるということですから、それは1人1人の能力をどう高めていくか。これは、私ども大学なども責任を負っているわけですけれども、教育だとか、訓練だとか、そういうことによって1人1人の能力を高めることが支える力の向上につながると。いずれにしても社会保障制度の持続可能性というのは支える力にかかっている」