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2014年6月5日(木)
中国「近隣衝突」核心 小野寺防衛相緊急直言

ゲスト

小野寺五典
防衛大臣 自由民主党衆議院議員
小原凡司
東京財団研究員・政策プロデューサー

中国めぐり国際会議紛糾 小野寺防衛相の手応えは
島田キャスター
「シャングリラ会合(アジア安全保障会議)で、日本の総理大臣として初めて基調講演を行いました。安倍総理は『国際法に照らして正しい主張をし、力や威圧に頼らず、紛争はすべからく平和的解決をはかるべき』だと。『既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動きは(国際法)3原則の精神に反するものとして、強い非難の対処とならざるを得ない』と講演しました。会場の雰囲気はどういう感じでしたか?」
小野寺防衛相
「昨年と今年、両方出ている私の印象ですが、昨年は防衛大臣だけが出て、総理は出ていないので、私がスピーチをさせていただきました。その時は皆がじっと見ていたのが、ちょうど日本の艦船にレーダー照射があった、昨年1月に。そのあとの会議でしたから。ちょうど東シナ海をめぐって日本と中国はどうなんだろうということで、皆がじっと見ていました。それから、安倍政権が新しく誕生したので、歴史認識の問題で盛んに攻撃を受けていたので、私は、冒頭から、歴史認識は安倍総理の言う通り過去の歴史にもとづいてということで、歴代内閣を引き継ぐと言いながら、力による現状の変更はいけない、法の支配、対話する。このフレーズは昨年のこの会合のところから使い始めました。その時は中国と日本という形で、皆どうなのだろうと言う形で、冷ややかに見ていましたし、また中国に対してのある意味、多少経済的な状況を見ているので、中国の関心が高いと思ったのですが。今年はまったく雰囲気が違っていまして、中国のこの1年間の状況、特にASEANの国々、フィリピンもベトナムもそうですが、マレーシアも一部そのような状況になってきました。どうなのだろうという雰囲気が全体に出てきていましたし、昨年と今年、中国の居心地の良さという形で言えば、今年は居心地が悪かった、そういう会議だったと思います」
島田キャスター
「日米と中国は応酬がありましたが」
小野寺防衛相
「私がこの発言を読んで一番思ったのが、おそらく安倍総理が中国のことを直接名指しで言ったら、たぶんこの表現は先に仕かけてきているのは日本だと副参謀長はそこをとって攻撃してくるだろうと思います。いずれにしても国際会議の場で、どちらの理論が正しく、ちゃんとした発言をしているのかということが明確な方が大きいので、会場が下を向いて、どうしたらいいのだろうかと思った瞬間は、この副参謀長がやりとりの中で、九段線を中国が主張しているのですが、2000年前から中国はここを自分の領有だと認識しているんだと。2000年前の認識の話をされたらモンゴルは現在どこの国だとか、台湾はどこの国なのかとか、会場にいたASEANの国が2000年前の話になった時の瞬間はどうしたらいいのだろうという雰囲気がありました。正直、失笑がでました」
反町キャスター
「敢えて名指しをしなかった。外交の狙いはあったのですか?」
小野寺防衛相
「どこの国もそうですが、公の発言の中で、特定の国をあげて言うというのは、ちょっと品の問題でどうかなというのはあるんだと思います。ですから、私の方がヘーゲル長官の話を目の前で聞いていたのですが、こちらを見ながら、アイコンタクトをしながら、中国の話をしながら、私をじっと見ていたので、そちらの方が全体のトーンとしては、おお言っているという感じでしたので、通常はこういう対話の場ですので、いろいろな問題があっても普通は皆がわかる形だけれど、あまり特定の国をあげないというのが通常ですので、そういう意味ではむしろこのトーンの中ではヘーゲル長官がかなり踏み込んでいるなという印象はありました」
島田キャスター
「G7首脳会議の宣言では『東シナ海、南シナ海での緊張を深く懸念し、いかなる一方的な試みにも反対』と盛り込まれました。中国は考えを変えなければという感じになると思いますか?」
小野寺防衛相
「中国はこういう問題に対して多少は反応しますが、言ってみればG7の国々もこういうことに対しては一致団結しますが、経済的には中国ともいろいろな関係があります。ですから、そう簡単な話ではないのだと思います。ただ、大切なのはこういう統一のメッセージをいろいろな国が出すことによってあまり品の悪いことができなくなる。これは安全保障面ですごく重要だと思っています。ですから、たとえば、中国の戦闘機が日本の自衛隊機に接近するとか、昨年ですが日本の海上自衛隊の艦船に射撃用のレーダー照射があったり、こういうちょっと非常に危ないことに対して、私達は公表できる内容に対しては公表し、外交ルートで抗議をする。国際社会にこういう状況は危ないよねということをしっかり知らしめる。こういうことで、私達はいろいろなことを知ってもらいたい。(中国に)自制を求めていく、こういう形をとることが大切なことだと思うので、中国を敵視するというよりは、最近この地域は安定していたのに、何かそこに力によるいろいろなことを仕かけて、この地域がぎくしゃくしているのは、もともと誰のせいなのですかということを国際社会にしっかり認識してもらって、中国の指導部にそういう認識をもってもらうことは重要だと思います」

解剖 中国の最新軍事力 その目的と能力は
島田キャスター
「日本と中国の軍事力の差は大きいですが」
反町キャスター
「量・質ともに大丈夫なのだろうかという単純な不安があります」
小野寺防衛相
「たとえば、向こうがこれだけの量を持っているのだから、こちらも量を持たなければいけないという競争をしたら、これはいずれにしてもあまり意味のない競争になります。私達が必要なのはこの国を守るということ。そのために必要なのはどういうものか。いざと言う時は同盟国と一緒になって、あるいは日本の周辺国と一緒になって、この問題については対応する。言ってみれば戦争を起こさない、国を守るための兵力です。戦争をして他国を侵略するということはないという前提でつくられていますから、単純な量の比較よりは、むしろ役割で考えていただいた方がいいと思います」
反町キャスター
「日本が中国に比べて、ここは優れているというところは?」
小野寺防衛相
「自衛隊員の錬度も高いと思います。また装備にしても米側との協議の中で世界の最先端に位置するような能力をもっています。今後とも国内の皆さんのご理解を得て、しっかり整備をして、新しいものに変えていくことは重要だと思います」
島田キャスター
「多くの基地がある中、中国はどの地域に重点を置いていくと見ますか?」
小原氏
「空軍の基地は数多くありますが、空軍の役割と言うのは、あくまで防空ですので、どこかに偏って配置するということは考えにくい。これからも最新鋭の設備を配置していくだろう。一方、海軍の基地というのは、北海艦隊は青島にあります。東海艦隊は上海にあります。南海艦隊は湛江というところにありますが、1990年代には、北海艦隊が最強だと言われていました。それが2000年代に入って東海艦隊に新しい装備が整備される。これは台湾正面に位置するところなのですが、当時まだ中国の軍艦は技術的な問題があって、使いモノにならない。ですから、当時ソ連から購入した駆逐艦を4隻、東海艦隊に配備しています。それと型が統一されたフリゲートを配置しています。ところが、最近になって最新の駆逐艦、フリゲートは、優先的に南海艦隊に配備されるようになりました。しかも、海南島という島がありますが、南にあるユウリンという基地に配備されている。しかも、現在空母を2隻あるいは3隻建造中だと言われていますが、少なくとも1隻は上海に、もう1隻は大連の造船所で製造されているのですが、これも南海艦隊で運用されると思います」
島田キャスター
「南海艦隊に力を入れている理由というのは?」
小原氏
「中国の関心が北から南に向いてきていると。現在は南シナ海に最優先の配備がされているということは言えると思います」
反町キャスター
「ベトナムとの衝突事故とリンクしていると見ていいのですか?」
小原氏
「はい。中国が南シナ海を大切だと思う理由の1つが、今回のベトナムとの衝突でもわかるように海底資源。2つ目が海上輸送路です。中国は今やエネルギー資源の大きな輸入国になっています。これを中東等から運んでくる場合には、マラッカ海峡を抜け、南シナ海を抜けないと持ってこられない。海上輸送というのは現在でも国境を通らずに物資を輸送できる最良の手段なのですが、中国はこの海上輸送を諦めるわけにはいかない。そのために南シナ海を中国は絶対に抑えたい。こういったチョークポイントをアメリカに抑えられるわけにはいかないという意識がある。3つ目が軍事的、戦略的な意味で戦略原潜を、核弾頭搭載可能な大陸間弾道ミサイルを発射できる潜水艦を運用するエリアとして南シナ海が最も適している。東シナ海は水深が浅い。もともと中国は戦略原潜を北海艦隊に配備していました。ただ、ここだと浅い海峡をずっと出て行かないと太平洋に出られない。これは中国の潜水艦から発射する大陸間弾道ミサイルはまだ十分な射程がないので太平洋に出てパトロールしないと、アメリカ本土に到達しない。ですから、太平洋に隠密裏に出なければいけないのですが、この浅い海峡をずっと抜けていくと、日本やアメリカに探知される可能性が極めて高い。南シナ海の周辺は海軍力がさほど高くない国に囲まれている。こういったことから南シナ海から太平洋に出る方が中国にとっては核抑止力としては担保しやすいということだと思います」
反町キャスター
「フィリピンとアメリカの連携とか、フィリピン、ベトナムへの海軍力の増強を中国はどう見ているのですか?」
小原氏
「中国が一番嫌がるのは、アメリカの関与の強化です。ですから、今回の中国のベトナムとの衝突というのはあまりにもタイミングが悪いということで、このタイミングに関しては疑問視することはあると思います。2つ理由がありまして、1つはオバマ大統領のアジア歴訪直後です。今回のオバマ大統領の歴訪はアジア諸国にアメリカのリバランス、アジア重視を信じてもらうための歴訪であったと認識されますが、その直後にこの海域で危機が生じるということは、アメリカの努力をないがしろにすることになります。これはアメリカとしては許せるものではない。もう1つはASEAN首脳会議の直前。もともとASEANは統一感のないところですが、ASEAN諸国に共同声明を出させることになった。これは中国にとってはオウンゴールだと言わざるを得えない」
島田キャスター
「そうすると、中国海軍というのは、中央の統制が効いていないということですか?」
小原氏
「いや、現在海軍は中央の統制が効き始めていると思います。今回、この衝突を起こした原因というのは、中国海洋石油という国営企業ですが、軍がこれまでの外交努力をひっくり返したというわけではありません。これまで南シナ海で外交努力をひっくり返してきたのは軍なのですが、今回は国営企業である。この活動を保護するために海軍艦艇7隻含む80隻を中国は派遣したと当初言っていますが、実はベトナムの公船と衝突しているのは中国の公船で、中国艦隊の船は表に出てきていません。もちろん、その場にいるのはわかっていますが、これは以前ではなかなか考えにくい。昔であれば我こそはと出てくる」
反町キャスター
「南シナ海におけるアメリカのプレゼンス、中国の動きをどう見ますか?」
小野寺防衛相
「私は、昨年フィリピンに2回行っています。スービック基地というもともと米軍の基地があったところが、フィリピンから米軍に出て行けと。日本でも少しそういう声がありましたが、そういうことから米軍が出て行ったのですが、そういう段階から、既にフィリピンの首脳はもう一度米軍に来てほしいと。そういう考えが現在強いんだと。先日もう一度、米軍とフィリピンとの協定が1つ成り立って、常駐という形はフィリピンの憲法上できないのですが、基本的に寄港する中でプレゼンスを高めていくということは、フィリピンがそういう方向に舵を切りつつあります。ベトナムも私達にはなかなか考えにくいのですが、アメリカとベトナムが接近するという状況というのが実際どうなのだろうと思っていたのですが、そういう状況が実際シャングリア会合もそうですが、アメリカはベトナムとも様々な意見交換をしています。この問題は、小原さんが先ほどおっしゃったようにあまりのタイミングの悪さの中でASEANを1つは敵にし、オバマ大統領のメンツを潰した。これはそのあとオバマさんがアメリカの陸軍のウェストポイントでスピーチをした時にかなり強い発言をしましたが、あれはタイミングの問題で自分がせっかく回って、この地域の安定にアメリカがコミットをするよということをASEANの国々、中国にも発したはずなのに、その直後にこれかというのも、たぶんこのタイミングでは先ほどオウンゴールと言いましたが、その通りだったんだろうなと思います。日本としてはそれを奇貨としているわけではありませんが、従前からも同じトーンで、これについては法の支配で対話により解決することだと。力による一方的な変更はダメだと。このトーンでこれからもこれらの国と協調していきたいと思います」

小野寺防衛相にきく 中国戦闘機異常接近
島田キャスター
「中国の戦闘機の異常接近に驚いたのですが、戦闘機がここまで近づくのはどういうことを意味するのでしょうか?」
小野寺防衛相
「まず今回、日本の自衛隊の哨戒機、いわゆる警戒監視にあたる航空機、向こうは戦闘機です、しかも、全く航海上は公の海の上ですのでどちらの領土に近いわけでもない。こういうところで突然寄ってきて、異常な近接を行う。また飛び方も決して品のいい飛び方ではない。近寄ってよく見るのか、非常に危険な感じを持つかという雰囲気はあるかと思いますが、私どもとしてこれは見過ごしてはいけない内容。しっかりと外交ルートで抗議をする必要があると思いましたので、今回報告があった時に、官邸と相談をしながら、外交ルートで抗議をするという方法をとらせていただきました」
島田キャスター
「中国は日本がやったんだと言っています。中国はどうしてこんなことを言っているのですか?」
小原氏
「この背景には、中国空軍が勢いづいている国内情勢があると思います。今年の全人代でも記者のぶら下がりに対して空軍の代表が勢いのいいことを散々言って、2日目はさすがに品のない態度を注意されたのか静かになったんですけれども、これはこれまで見られなかった光景ですし、習近平主席がこれからは空軍重視だと表明したんです。これは空軍関係者との会談の中で報告したと報道されているのですが、これを受け、空軍は中国の安全戦略の要になるんだと報道される。これは空軍が今後重視されていくということを表明したことになりますが、空軍の中には今度こそ自分の出番だという感覚がある。それにも関わらず国際交流等もほとんどなく、非常に素養の低いパイロット達がいる。さらに訓練も足りていなくて技量も低い。先ほど、小野寺大臣がおっしゃったように今回の飛び方は通常考えられない飛び方です。20mというと航空機がタイトフォーメーションという非常にきっちりしたフォーメーションを組むのと差があまりない距離です。この距離は、実際飛んでみるとすごく近くに感じます」

中国戦闘機異常接近 その背景に何が
島田キャスター
「相当危険ですか?」
小原氏
「はい。(通常は)高度差をとってお互いにそのフォーメーションを組んでいるという意識を持って飛んでいるのですが、今回はそうではないと。しかも、機種が違う。異機種間でフォーメーションを組むのは非常に危険です。飛行特性が違います。ですから、戦闘機は高速で飛ぶように設計されていますから、速度を下げると不安定になりますので、これでこんな距離まで近づくというのは正気の沙汰とは思えない」

空軍重視に転換する中国 今後起こりうるリスクに日本は
反町キャスター
「たとえば、偶発的な衝突、かつて海南島でアメリカの偵察機と中国の戦闘機とぶつかった事案がありましたよね。そういうようなことに発展する可能性があるのか。さらに別の形での日中のアクシデント。武力衝突事件に発展する可能性については、どのように見ていますか?」
小原氏
「このようなことをすることは極めて危険。衝突する可能性があります。しかも、こうした行為に対して中国はやっていないと否定している。日本が悪いというロジックは、お前がやったから俺もやったんだと言ったのでは、今後もやるということを示唆しているようなものです。実際、中国指導部は海軍の時の反応と違って空軍を抑えることは難しい。これはようやく不満が解き放たれて勢いづいている。これをまた無理に抑えると、空軍の不満がまた高まる可能性がある。これを指導部は考えながらやらなければいけない。そうすると、穏やかに何とかこれを抑えていこうとすると思いますが、空軍の中にもこうした危険な、非常識な飛行をするパイロットがいる。これは2001年の米軍と中国戦闘機の衝突でも明らかなのですが、それも全員のパイロットがやっているわけではないと聞いています。特定のパイロットがやっていると。しかし、これを空軍全体として抑えることができない。こういう状況は今後も引き続き起こる可能性が高い」
反町キャスター
「懲罰しないのですか?」
小原氏
「褒めることはないにしても、罰することも難しい」
島田キャスター
「今回、衝突せずに済んだのですが、自体がこうしてエスカレートした場合に、どういったシナリオが想定されるのでしょうか。もし衝突してしまった場合は?」
小原氏
「実際に衝突をして2001年の時もそうですが、中国側に死者が出ると中国国内での世論というものが非常に強行になります。当時も当初は、江沢民主席はアメリカに対してさほど強く出ていなかったのですが、解放軍は解放軍報という新聞を使って、死んだパイロットの英雄キャンペーンを始める。これによって世論が喚起されて、江沢民主席は当時、手の平を返したように対米強行に転じる。こうすると、当時米中関係というのは非常に難しくなったわけですけれども、日本との間にもそうしたことが起こり得るということだと思います」
小野寺防衛相
「常に私どもはいろんなこと想定しながら対応する必要があると思います。とは言え、私どもは必要な警戒監視は引き続き同じようにやっていく。これは大事だと思います。常に私どもとして、どちらが力により、あるいはどちらが、言い方が変ですが、品のない行動をとっているかということは常に国際社会にしっかり伝えていって、中国には国際的な常識を軍の中にも持ってもらう。これが大事だと思います。ただし、一番心配しているのは、中国は軍を抑えられるのかどうか。ここは愛国教育をやってきた中で愛国無罪ではないのですが、そういう形で軍がどんどん何らかの行動をとってきた時に、中国国内がそちらに向いてしまう時に、これは日中が不幸なことに必ずなります。それは意味がないことだと思います。中国の指導者にもしっかりこのことは認識をしてもらいたいと思っています」
反町キャスター
「ホットラインみたいな危機管理ツールはあるのですか?」
小野寺防衛相
「第一次安倍政権の時に、当時の習近平氏と安倍総理の中で合意ができている。それが残念ながら、尖閣の事案以来止まっています」

中露合同軍事演習の狙いは
島田キャスター
「中国とロシアが合同軍事演習を行っています。今回の目的をどう分析していますか?」
小野寺防衛相
「今年3回目になりますが、毎年交互にやっている内容です。規模や順番といった中で今回が極めて特異的ということではないんだと思います。ただ、その中で、東シナ海でもう少し日本に近いかなというようなことは心配していましたが、比較的中国に近いところで演習を行ったということだと思います。ただ、従前と違いますのは、これが多少ショーアップされて、ちょうど中国は南シナ海の問題で国際社会からいろいろな形で見られている。ロシアはウクライナ問題で特に西側からいろいろな目で見られている。お互い孤立感がある中で、今回ちょうどこのタイミングで合同の演習をするので、私達は両国がしっかりと手を取りあっているよと1つの示威行為をするタイミングにちょうど重なったと私は思っています」
島田キャスター
「参加した装備の中から見えてくるもの、特徴は何でしょうか?」
小原氏
「気になるのはロシアの参加艦艇の中に強襲揚陸艦がある。これは島嶼ですとかに陸上兵力を揚陸させる部隊。揚陸する部隊を搭載していって、これを、たとえば、舟艇ですとか、LCAC(エルキャック)や、ホバークラフト、ヘリコプターヘリボンで陸へ揚陸させる」
島田キャスター
「かなり大きなもので、持っている国もそんなにないということですが」
小原氏
「そうですね。しかも、難しいのは、これらを統制して作戦させる、指揮機能が非常に重要になる。さらに単艦でも、戦闘地域の中に突っ込んでいかなければならないので、対空防御が必要になる。これが輸送艦とは大きく違うところだと思います」
島田キャスター
「今回、これが参加したということは、何を念頭に置いた、どういった作戦だったのでしょうか?」
小原氏
「これが何を念頭に置いたのかというのは、これは見る人によって変わると思います。と言うのは、もともとこの演習は南シナ海でやるとロシアの海軍のスポークスマンで言っています。これは中国が否定したんですけれども、あとで中国側から本当は南シナ海でやる予定だったという話を聞きました。と言うことは、本当は東南アジア諸国が心配することなのですが、結果として東シナ海で行われると、日本が尖閣なり島嶼を狙うことを想定した訓練になるのではないかと心配する。ところが、実際ロシアがアジアの個々の問題に関与するつもりはないと思います。そもそもベトナムと中国の衝突についてロシアは中立だと言っています。ロシアとベトナムというのは、政治的にも、軍事的にも非常につながりが深い。この中でロシアは中国に寄っていると見られること自体、ロシアとしては避けたい。さらに日本との関係もロシアは重視していますから、日中間の対立において、一方的に中国側に立つことはしたくない。今回の協力はあくまで、対米牽制1点での協力だろうと思います」

中露接近で何が起きる 両国の思惑と日本防衛策
島田キャスター
「中ロの軍事的な密接度をどのように見たらいいですか?」
小原氏
「中国はロシアの装備品に頼っていますし、作戦自体もロシアから教わっている。一方で、中国はこの状況に不満。ロシアの中国への装備品の輸出は、性能を下げて売っていますが、インドに売っている武器より性能を下げているのに非常に不満を持っています。さらに、演習の時にはロシアの軍人達が教官みたいに振る舞う。中国としては、ロシアと対等になりたいという意識が強い」

小野寺五典 防衛大臣の提言:『法の支配』
小野寺防衛相
「これは繰り返し安倍総理も私どもも発言していますが、法の支配により問題については解決する。一方的な力による変更はあってはならないと。これを徹底することが大事だと思います。いずれにしてもこの地域を私達はしっかり守っていきますが、何か衝突するようなことが起きて、紛争が起きると、結果として両国含めた経済に大きな影響が出ます。それは決して望むべきことではありません。中国はしっかりとした国際的なルールに従う、それが大事だと思います」

小原凡司 東京財団研究員・政策プロデューサーの提言:『準備は冷静に、経済は熱く』
小原氏
「準備は冷静にというのはハード面のことと言いますか、有事が何か起こった時にそれに対処する準備というものを淡々と進めておくと言うことですし、もう1つは中国に対して国際的なマナーというものを理解させる努力ということになるだろうと思います。もう1つは、現在中国が南シナ海に手を出して、東シナ海に手を出せない理由。この1つが日本の経済が中国にとって魅力的。日本からの投資はほしい、経済関係は重視しているという部分があるだろうと。と言うことは、アジアの各地域において経済を熱くすることによって、中国はその地域に対して魅力を感じる。手を出すことによって、かえって中国は損をするといった状況もつくっていく必要があるのではないかと。そういったギャップをうまく使っていくことが必要なのではないかと」