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2014年5月22日(木)
最大級? エルニーニョ 異常気象リスクを検証

ゲスト

柴田昭夫
資源・食糧問題研究所代表
蓮井誠一郎
茨城大学人文学部教授
山川修治
日本大学文理学部地域システム科学教授

エルニーニョ現象の正体 なぜ発生 何が起きる
島田キャスター
「まずエルニーニョ現象ということですが、今年も最大級のものが来るかもしれないと予想されています。そもそもエルニーニョ現象はどんなものなのでしょうか?」
山川教授
「今年5月11日から17日の海水温の平年からの偏差の状況をよく見てみますと、赤道付近ですけれども、ペルー沖に、平年よりも海水温の高いところが表れています。本来ですと貿易風というのが亜熱帯方面から熱帯方面へ流れていきますので、東風ですね。温かい海水が東から西へどんどんと運ばれていきまして、フィリピン、インドネシア付近の海水温が高くなっていると。それで、海水温が高くなると、そこで上昇気流が起きて、積雲とか、積乱雲が発生し、大雨が降りやすいし、台風も発生しやすいということになります。一方で、東の方を見てみますと、ペルー海流という寒流が、南極海の方から流れてきます。北半球側でもカリフォルニア海流という寒流が流れてきます。その両方の寒流の影響で、東部の太平洋の海水温が低くなっているんですね」
反町キャスター
「赤道の直下であるにもかかわらず、暖かい空気がずっと西の方に追いやられていくせいで、上と下から冷たい水が入ってきて、赤道直下であるにもかかわらず、水が冷たいということですか?」
山川教授
「ええ」
反町キャスター
「これが普通の状態ですか?」
山川教授
「そうですね。そのペルー海流が離岸していく関係で、南米西岸では、湧昇流という冷たい海水が下の方から湧き上ってくるんですね」
島田キャスター
「エルニーニョが来るよと予想されているわけですが、こちらが先ほどと比べて、冷たいはずが、温かい水温になっているんですね?」
山川教授
「はい。それは先ほど言いましたこの貿易風が弱くなりまして、しかも、熱帯付近で西風、非常に強い西風が吹くようになりますと、西に溜まっている暖水が、東の方へ一気に流れていくようになるんですね」
最大級のエルニーニョ現象迫る? 日本の気象&社会への影響は
島田キャスター
「日本への気象の影響をどう見ていますか?」
山川教授
「エルニーニョ現象が発生しますと、太平洋高気圧があまり強くならないで、日本の南の方にとどまってしまうというようなことがありますので、北側の梅雨前線活動が活発になりやすいということがあります。その影響で、集中豪雨が梅雨前線に沿って起こる、あるいは北極の方から上空に寒気を伴う寒冷渦が南下してきて、竜巻とか、雹が降ったというようなことが起こるんですけれども、そういう不安定な天気になりやすい」
島田キャスター
「では、具体的にエルニーニョ現象というのはどんな影響を及ぼすのか。まずその最大といわれていた1997年。世界ではどんなことが起ったのでしょうか?」
山川教授
「海水温が低くなったところは高気圧傾向になりますので、雨が少なくなって、干ばつとか、森林火災とかが発生しました。一方で、海水温が高くなったところでは多雨傾向が非常に多く見られまして、大雨、洪水に見舞われたところもあります」
島田キャスター
「1997年と同じようなことが、今年も起こるかどうかなのですが、今年の傾向はどうでしょうか?」
山川教授
「今年の傾向としましては、まず日本列島を注目していただきますと海水温が低くなっているんですね。フィリピン、インドネシア近海に先行し、日本列島付近で海水温が低くなる。それが北日本の冷夏予想につながっていると考えることができます。それから、南シナ海あたりの海水温が平年よりも高くなっています。この海水温の高いところで上昇気流が起きると、北側の、中国の北部とか、朝鮮半島付近で下降気流が強くなりますので、このあたりでちょっと干ばつの可能性があります。」
どう動く 各国の食料安保
島田キャスター
「中国や北朝鮮など中国の東北部で干ばつなどが起きやすいということですが、食料への影響がどうなるのかといいますと、エルニーニョ現象と世界の食物収穫量との関係について、今月19日、農業環境技術研究所と海洋研究開発機構が、研究結果を発表しています。エルニーニョ現象が発生すると、大豆については平年の収穫量を上回る傾向にあるということですね。しかし、トウモロコシやコメ、小麦は、平年を下回る傾向にあるということです。特に、トウモロコシはアメリカ、コメは東南アジア、そして中国、小麦はアメリカやオーストラリアなど、生産量が多い地域に影響が出やすいという結果も出ていますけれども、もし、仮に、エルニーニョが世界の食物生産地に直撃した場合は、それは市場に大きな影響を与えかねないということは言えるわけですね。もし今年、そうなった場合に世界各国はどのように動くと予想されますか?」
柴田氏
「動きというのは、まず価格が表すから、価格はあらゆる情報が圧縮されているものと見ているのですが、従って価格の動きが何を表しているのかというのを見る必要があるんですね。シカゴの世界の穀物の価格の指標で、大豆、小麦、トウモロコシの過去30年ですが、この相場というか、動きを見ていただきますと、局面が変わっているなと思うんですね。今世紀に入ってから、それまでとはですね」
反町キャスター
「2000年以降」
柴田氏
「それ以降ですね。どちらかというと、あるレンジ内で動いていたものが、それが傾向的に下値が切り上がってくるという状況になっています」
反町キャスター
「それはなぜですか?」
柴田氏
「これはあらゆる面で、ステージが変わったと見ているんですけれど、価格水準がまず大きく変わってきた。それはなぜかというと、非常に需要が一気に伸びてきているんですね。需要ショックという言い方をしているんですけれども、世界の穀物の需要量というのは、2000年ぐらいまでは、だいたい18億トンだったんですね」
反町キャスター
「年間」
柴田氏
「年間。それが現在は24億トンですよ」
島田キャスター
「それはどうしてですか?」
柴田氏
「これは中国の影響が大きいですね」
反町キャスター
「中国は現在、世界最大の穀物輸入国ですか?」
柴田氏
「ええ、輸入国です。大豆だけでもう7000万トン近い輸入量になっているんです。それまで1990年代までは、日本が世界最大の穀物の輸入国で3000万トン。日本のこれは変わらないのですが、現在もですね。中国は大豆だけでその輸入量になってきていると。2001年に、中国がWTOに加盟して急成長するわけですね。言われ尽くされている話ですけれども、消費の中身が直接、穀物を食べる段階から、肉にして食べる。要するに、7キロ食べさせて、1キロ太るものに食料が使われるようになれば、一気に増えるわけです。24億トンの食料需要のうち、穀物の半分近くは畜産のエサです」
反町キャスター
「飼料用ですね」
柴田氏
「はい。これが伸びているんですよね。まだまだこれは伸びる傾向があります」
反町キャスター
「それは穀物の価格の振れ幅、しかも、高値に振れるようになってきたというのは、人口だけですか、理由は」
柴田氏
「人口と食生活の中身ですね。量から質に変わった。供給サイドで見ても、1990年代までは生産国も消費国もだいたいメンバーは決まっていたんです。生産国はアメリカ、カナダ、オーストラリアを見ていればよかった。消費国は、最大の日本、韓国、それから、台湾、東南アジア諸国を見ていればよかった。量は増えていないです、日本もね。もう過去40年ぐらい3000万トンですから。だから、情報も透明性があるわけですよ。マーケットがよくわかっていた。投機マネーが入ることは昔からあったわけですが、干ばつで10年に1度、価格が上がると見ればそれは投機マネーが入るんです。終われば、下がるという、こういう循環相場だったんです。2000年に入ってから需要が伸びっ放しですよ。この10年間で、基本的に、過去最高を、毎年毎年更新している。価格が上がったものですから、新たなプレーヤーが、生産国が入ってきたわけですね。アメリカ、カナダ、オーストラリアという伝統的な生産国に加えて、ブラジル、アルゼンチンです。それから、ロシア、ウクライナ、カザフスタン。こういう国々が入ってきた。ここは情報がよく見えてこないですね」
反町キャスター
「柴田さん、今の話でいうと、人口の話と、そのプレーヤーが出てきたことということが、価格の高値における、しかも、大きな変動だという話になっているのですが、たとえば、今日のテーマであるエルニーニョみたいな気候変動、異常気象、そういったものの影響は価格には出てくるものですか」
柴田氏
「ええ、変動幅を増幅するような格好で影響が出てきています」
反町キャスター
「山がでかくなってきているんですね」
柴田氏
「価格水準が上がったことによって、世界中で、新大陸型の農業開発ブームが起こっているわけですね。新大陸型というのは、アメリカで150ヘクタール、1農家ですね、大きいなと言われているんですけれど、ブラジルとか、アルゼンチンとか、ウクライナとか、ここはもう1000ヘクタール、2000ヘクタールの規模です。こういう規模で開発が進んで、大型機械を使って、それから、灌漑整備、データ管理。農薬、肥料をどんどん多用する。遺伝子組み換えを投入する。生産量というのはまさに飛躍的に伸びたわけです。しかし、それは言ってみれば、脱自然化というか、自然を征服していくような形で、生産のフロンティアが伸びてきているんですね。それはそれで必要なのですが、一方、温暖化傾向とか、水の制約とか、生物、植物の多様性が失われるという問題がこの10年間でよく指摘される。農業は脱自然化と言っても、やはり自然の一部です。私も農学部出身でしたから、よく言われたのは、自然の一部なので、脱自然化はあり得ない。そういう中で、ますます自然の影響を受けるようになってきた。結果、マーケットが非常に荒れる。価格が上がったり、下がったりするというのは投機マネーから見れば、絶好の儲けるチャンスです」
反町キャスター
「たとえば、大規模化であるとか、遺伝子組み換えで病虫害に強い作物ですよ、そういう技術的な革新がはかられて、大規模で、効率化がはかられれば、供給が安定しますよね。供給が安定すれば、普通価格が安定するのではないのですか?」
柴田氏
「これまではアメリカが大きな供給国でした。それにブラジル、アルゼンチンがアメリカを凌ぐ格好で現れたんですよ。マーケットに現れる時は大きな供給国が、北半球、南半球に2つにできたので、おっしゃられるように安定するだろうと。しかし、実際は、安定していないんです。それは年がら年中、天候相場になっているんですよ。天候相場というのは、アメリカでこれまで4月に作付が始まって、秋の9月、10月に収穫する。この間はアメリカ中西部の天候に一喜一憂する、非常に神経質なんですね。雨が降らないとか、降ったとかで投機マネーが動くんですよ。それは4月と10月の間ですね。それが終われば、需給相場となって、生産量が決まる中で、需要がどのくらい増えていくのかという関係になっていく。しかし、南半球でも生産すると…」
反町キャスター
「裏表で年がら年中、天候相場になるわけですね」
柴田氏
「10月に今度は作付が始まって、4月、5月が収穫なんです」
反町キャスター
「そうすると、天候の変化、それに連動して出たり入ったりする、投機マネー。その投機マネーの動きと、天候の不順、悪天候、エルニーニョみたいな両方の動きで、さらに人口。この3つが理由ですか」
柴田氏
「それと情報がよくわからない。情報の不透明性というか、アメリカ、カナダ、オーストラリア、需要国の日本がこれは皆ツーツーで、しかも、相場は毎日立っていますから、在庫量も決まっているし、在庫1つとっても中国でどのくらい実際に在庫があるのか、輸入をどうするのか、全くわからない。アルゼンチンなどはしょっちゅうストライキをやるわけです。出るものが出ないという話になると、思惑がそこに入ってくる。また、需要が増えていますから、投機マネーが。アメリカも、ここの10年間で穀物価格というのは2倍、3倍に上がった。農業部門の中で、農地価格も2倍ぐらいに上がって、利潤も2倍ぐらい。儲かったもので何をしているかというと、いわゆるサイロを増築しているわけですね」
反町キャスター
「高値で売ろうということですよね」
柴田氏
「高値で売ろうというか、高値になるまで待っていよう。安値で売らないというスタンスになっているから、これもまた価格を引き上げる」
気候変動が紛争原因? 安全保障への影響は
島田キャスター
「気候が変動することが、安全保障にどういうふうに結びついてくるのでしょうか?」
蓮井教授
「気候変動によりまして、典型的には気温の変化、あるいは降水量の変化、他にも細かい変化がたくさん起こりますけれども、その結果として言ってみれば、水資源というものの絶対量の不足。あるいは逆に水がたくさんありすぎて洪水になることが考えられます。他の可能性としては、安全な水の不足という資源の水としての劣化が起こってくる。資源として水を見た場合に量と質ということも重要ですが、食糧生産を考えますとフロー、つまり、どこから来てどこへ流れていくのだろうというか。それも実は重要でありまして、それがきちんと機能している間はいいのですが、何かしらの要因で乱れていきますと社会の一部で水不足が起こってくる。言ってみれば、水資源の劣化というものが、食糧生産の減少ということに結びついていくと。多くの部分でそういう影響が出てくると考えられています。気候変動でよく言われることですが、極端な気候現象、ゲリラ豪雨と言われる急な嵐や突風が短時間で終わればいいんですけれども、大きな嵐や大規模な洪水災害、何年か前にタイでもありましたような洪水災害です。こういうものが起こった場合には、そのものがまず大問題になり得ますが、さらに食糧生産の現象にもつながっていくという相関関係があります。また、極端な気候、食糧生産がうまくいかなくなるような規模の極端な気候がもし一定期間以上長く続いてしまう。あるいは毎年のように襲ってくることになると、その土地に住み続けるということ自体が多くの人達にとって困難になってくる可能性があります。そうしますと、4つ目の移民などの人口移動の発生というものが起こってくると考えられているのが現状です」
島田キャスター
「紛争等にもつながっていくということなのでしょうか?」
蓮井教授
「はい。言ってみれば、移民などの人口移動の発生が1つの大きな要因になる。つまり、移住先でうまく定住できればいいわけですが、受け入れ側の人々と仲良く暮らすことができればいいんですけれども、往々にして、こういう気候変動のために移住を余儀なくされたという場合には局地的というより結構、広範に及ぶこともあります。ですので、行った先でも食糧になかなかありつけないという状況が起こり得る。その結果、暴力的な紛争にもなり得る」
島田キャスター
「これまでに紛争が起こった例があるのですか?」
蓮井教授
「たとえば、アフリカ大陸で起こっている紛争というのは、研究者の間では、かなりの部分で原因の1つに環境問題を含むと考えられています。環境問題というのは、要因としては直接的な要因ではないわけです。ですので、非常に見えにくいという側面がありますし、もう1つ重要なのはスパイラルの問題があります。社会経済的な悪影響が生じた時に、専門用語でネガティブフィードバックと言います。つまり、悪い影響が環境にも戻っていく。社会的・経済的なパフォーマンスが低下した時、本来だったら畑にしてはいけないような環境的に弱いところに畑を広げていってしまうことが起こります。さらに、政治対立や暴力的紛争が起こった場合には、当然、社会経済的ないろんな悪影響、対立であったり、経済的なパフォーマンスの低下であったり、あるいは格差であったりというのも引き起こしますし、政治的対立自体が別の環境破壊を起こしえます」
気候変動&異常気象のリスク どう備える
島田キャスター
「負のスパイラルを断ち切るための対策はあるのですか?」
蓮井教授
「既に議論が世界の中で出てきています。環境破壊が起こった時に、すばやく対応できるような緊急対応ができるような制度、あるいは実際のチームづくりです」
 反町キャスター
「COP(気候変動枠組条約締約国会議)も機能していないのでは?」
蓮井教授
「十分には機能していません」
反町キャスター
「環境に関しての各国間の危機感を共有した、うまく相互の制御機能が動くような組織はどんなイメージですか?」
蓮井教授
「もともと気候変動と安全保障と言い出したのはヨーロッパなんです。グレンイーグルス・サミットに関わる対応プロセスの中で当時のイギリスのペケット外相が演説をして、そこで初めて気候変動、気候安全保障を出してきた。それによって制度的な枠組みづくり、あるいはイギリスを含めて、EU全体が狙ったのは新しい国際秩序をつくることです」
島田キャスター
「どんなことをするのですか?」
蓮井教授
「大きくあげられるのは、国連改革というのがあります。IPCCも含めまして、非常に厳しい交渉がありますので、その交渉を少しでも進展させるために、気候安全保障というつまり、気候変動というのは安全保障の問題だから、緊急的に大急ぎで、最優先で対応しないといけない。こういうことが当時ヨーロッパから主張されてきた」
島田キャスター
「制度として含まれても、強制力とか拘束力がないと各国が動きませんよね?」
蓮井教授
「過去国連の安全保障理事会の中でも、気候変動を安全保障上の問題だということで議論をしようという動きが先ほどのイギリスのペケット外相が議長国を務めていた時にありました。しかし、残念ながら当時のG7プラスチャイナ。いわゆる途上国グループと当時呼ばれていたグループの反対のなかでうまくいかなかったという経緯があります。しかし、その後ドイツのある政府系の諮問機関が提言を出したわけです。つまり、それは国連改革の中で安保理に並ぶ程度の非常に強い法的な強制力。ただし、軍事は含まれないだろうと考えられますが、強制力と言わないまでにしても非常に強い権限を持った組織。これを国連の内部でつくって、そこで議論をしてはどうかという提言を出しました」
反町キャスター
「それはまだ提言の段階で、各国の芳しい反応は出てきていないのですか?」
蓮井教授
「芳しい反応は現在のところ、少ないと考えざるを得ない。まだ具体的な制度設計というところまで、提言も踏み込んでいませんので実現は難しいと思いますが、ただ、国連の中にも、たとえば、国連開発計画のような部署で経済安全保障理事会をつくりたいという計画が昔からある。つまり、国連の中でも一定程度そういう議論を受ける受け皿というのはあるということが言えます」
柴田明夫 資源・食糧問題研究所代表の提言:『適正価格』
柴田氏
「国内において、特に安ければ安いほど良いという価値観が食料品でも浸透してしまっているわけですが、それがいろんな問題を起こしている。安いが故に、生産も米で言えば、作付方法もそうですが、生産調整が進められてきた。しかし、世界のマーケットはシカゴの相場のように水準が変わってきて、高い価格に素直にどういうことを意味しているのかと反応して、大事に消費する、大事に生産する。それから、生産性をあげていく。こういう対応をはかるべきではないかということです。全体をもう1度見直し、何が適正価格なのかということを考え直さないといけないと思います」
蓮井誠一郎 茨城大学人文学部教授の提言:『環境安保理の創設を』
蓮井教授
「安全保障理事会に並ぶぐらいの非常に強い権限を持った組織というのがなぜ必要かと言うと、もはや気候変動が平和を脅かす問題だという認識が、いろいろな形で広まっている。その意味で、こういう環境安保理というのを、現在の経済社会理事会を改組してつくるべきだと(いう提言が)ヨーロッパの方からありました。個人的に、そういう提言に日本はのっていくべきだと考えています。環境安保理の常任理事国に日本がなることができれば、そちらを目指した方が、日本外交にとって、あるいは日本政治にとってもメリットが大きいのではないかと考えています」
山川修治 日本大学文理学部地域システム科学教授の提言:『新型エルニーニョを気候変動解明の糸口に』
山川教授
「地球温暖化が進行しているのは確かですし、その中で偏西風の蛇行が起こりやすくなっている。大陸部で気温が上昇しやすいということがありますので、特に北半球で南北の気温差が小さくなり、その影響でジェット気流が少し弱くなって偏西風の大きな蛇行を招いている。先ほど、寒冷渦のことを言いましたが、一方ではブロッキング高気圧と言って、北極方面に張り出す、強い気圧の尾根があるのですが、それも異常気象の原因になっていますので、そのあたりのことを含めて、あらためてどういうことが気候変動の要因になっているのかということを、この機会に研究していかなければいけないと感じています」