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2014年5月21日(水)
経常黒字が過去最少に どう稼ぐ今後の日本

ゲスト

鈴木馨祐
自由民主党財務金融部会長代理 衆議院議員
近藤洋介
民主党ネクスト内閣府特命担当大臣(経済再生等) 衆議院議員
深尾光洋
慶応義塾大学商学部教授

経常黒字が過去最小に 日本の稼ぐ力の現状
島田キャスター
「2013年度の経常収支が7899億円と初めて1兆円を割り込んで、過去最小を記録してしまいました。この状況をどう見ていますか?」
鈴木議員
「これから日本がどう食べていくかという転換点に、おそらく我々はあるのだと思うんです。その1つのサインということなんだと思うんです。たとえば、経常収支ということだけで言うと、主要な先進国であると経常収支の赤字の国がほとんどになりますし、世界最大の赤字国はアメリカですから、お金を投資されている国にあってはおそらくそれは大きな赤字になるでしょうし、貿易という面でも赤字の国というのはかなりあるんだと思います。ただし、これからどうやって食べていくかの戦略が明確でないのに赤字に転落していくというのは、危険な可能性もあります。だからこそ現在の自民党政権、安倍政権は少なくとも成長戦略で、潜在成長力をどうやって上げていくのか、あるいはミクロのところで業界の成長戦略をどういう形でつくっていくのかということをまさにしているところです」
近藤議員
「経常赤字が起きたら何が起きるのか。要するに稼ぐ力がなくなった。端的に言うと、これだけ借金を膨大に抱えている国が稼げなくなったら何が起きるのか、銀行側から見れば稼げない人にどうするかで、金利を上げるということですよ。これは何と言うことはない、国債の価格が下がると金利が上がる。国債の暴落は金利の上昇なんですよ。もっと言うと日銀の黒田さんのすさまじい政策によって金利が暴騰する可能性がさらに高まっているということですね、結論から申し上げると。即ち経済赤字に転落すると金利が急騰する可能性が極めて高まっていると。何が起きるかというと、金利が暴騰するとして、円安も同時に進み、円売り。円安と金利上昇が同時進行にくるリスク。そうなったら唯一の頼みの綱である株も下がると。日本の経済がクラッシュするおそれがある」
島田キャスター
「経常赤字でも何とかやっている国があります。日本はそうはいかないのですか?」
深尾教授
「アメリカは大きな赤字ですが、同時に他の国が外貨準備としてアメリカ国債をいっぱい買う国がたくさんあるわけですね。ですから、赤字を続けても比較的大丈夫という面があります。ただ、先進国で言えば、ドイツは大きな黒字を出していますし、オランダもかなりの黒字を出していまして、ユーロ圏全体でみると若干の黒字です。そういう意味で先進国がおしなべて赤字であるというわけではないです。私は赤字が定着化しますと金利上昇圧力がかかるというのは、近藤さんのおっしゃった通りでありまして、徐々に金利が上がってくるリスクが高まるということで、これまで財政赤字は大きな赤字だったのですが、企業部分がかなり貯蓄超過で、お金を貯めている方に立ちまわっていまして、銀行部門を通じて国内で消化できていたわけですね。ですから、外国に国債を買ってもらわなくても大丈夫だったわけですが、景気が良くなって、企業が投資を始めると、これで企業部門の貯蓄が少し減ってきた。これに対して財政赤字は減ってない。この結果として経常収支の黒字も減って、赤字化しつつあると、こういうところだと思います」
貿易赤字増大の背景 エネルギー輸入の影響
島田キャスター
「貿易収支が赤字になっています」
鈴木議員
「2年くらい前、当時2012年の半ばくらいに、日中の間での不審船の体当たりくらいだったと思うのですが、あのあとで中国でもいろいろな暴動が起こって、日中関係が悪くなって、対中国への輸出が大幅に減って、貿易黒字が縮小したんだという議論が起こったんですね。ただ、実はその時のデータをきちんと見ると、エネルギーの部分の輸入超過が急激に増えていたというのが真の理由だったんですね。当時はあまりメディアでもそういう捉え方はされていなかったのですが、今回の原発の問題でもエネルギーの部分が非常に大きなボトムラインであることは事実だと思います」
反町キャスター
「輸入価格があがったのか、量が増えたのか、どちらですか?」
鈴木議員
「量は実はそこまでは増えていないんですね。多少増えていますけど、LNG、原油もそこまで増えていない。ただ、実は夏に大停電が起きなかったというのは節電とか、生産調整とか、経済界の方もやっていますから。そういった意味ではネットの電力消費量というのがもちろん、原発が止まった分の増えはありますけれども、圧倒的に増えたかというと、実はそこそこの量で留まっているようですね。むしろ値段+為替。LNG価格が特に日本の場合は国際的な価格に比べても相当高いプライスになります。たとえば、LNGで3ドル、4ドルのものを日本は18ドルで買っていますから。そういったそもそもの構造的なエネルギー戦略上、高いものを買わされているという問題が1つと、あと為替が若干安くふれているという点、それと劇的な量ではないにしても着実に量も増えているという点、その3つがこの要因になると思います」
円安でも伸び悩む輸出
島田キャスター
「昨年度も輸出が輸入を超えることなく伸び悩みました。アベノミクスでは円安になると儲かるとも言われていましたが、そうなっていないのでは?」
鈴木議員
「儲かっている業界も当然あるわけですね。これは貿易収支だけを見ると若干わかりづらい点ではありますけれども、たとえば、所得収支だとか、そういったところを考えると、多少為替の状況でプラスになっている業界があるというのも事実です。それはさて置き、1つあるのは、日本の製造業の製造拠点が海外に出ている、これは事実、現実である。もう1点、これは先進国全体の問題になると思うんですけれども、たとえば、昔と違って製造業の商品の値段の落ち方というのが非常にはやくなっているんです。それまでの開発コストを回収する間もなく落ちていくという現状になっていますから、その環境の変化を主要なものとして、どうメーカーなり、1つ1つの企業が生き抜く道を見つけていくのか、それが現在の一番大きな課題だと思います。そこで政治は何ができるのか、政策で何をできるのか。個々の企業さんがいろいろなものを動かしやすくするため、それが税制だったり、規制だったり、いろんな間接的な方法になるのですが、大きなトレンドとしては申し上げましたように、海外への移転と、あとは環境の劇的な変化、日本のこれからの競争力、あるいは先進国の競争力の変化という、この3つのトレンドがあると思います」
近藤議員
「円安とアベノミクスによって大手の特に自動車を中心に、利益を上げているんです。これはこれだけ為替が円安になれば利益は出るわけですよ。何となく明るい傾向だし、期待値で株価が上がっているわけです。総理も閣僚も失言がないし、安定してそうだと、期待値ですからね、空気は悪くないと、私は野党ですが、そう思いますよ。だけど、実態がどうかと言うと、中小企業製造業は痛んでいると。特に原材料価格は円安によって逆に上がっていますから。かつ電気代が上がっています。立地拠点としての日本の魅力というのは落ちているわけです。従って、製造業を見ても日本の強みだったピラミッド構造を支えていた中小企業の製造業は弱くなっている、これは間違いなく言えるわけですよ。だから、そういう意味では電器産業などはそれが大手にも波及してしまっているのですが、現在製造業を見ると、自動車の1人勝ちという状況ですよね。一本足打法なわけですよね。ですから、実態は率直に言うと深刻ではないかと。これだけ為替を円安にしても輸出数量が伸びない現状は、私は製造業の実態は深刻だと思わざるを得ないと思います」
反町キャスター
「何で数量が伸びないか?円安によって車1台あたりの利ざやが大きくなっている。安くして数を売ればいいのに、そうならないで数量が増えていない。でも、会社の利益は上がっている。それは、メーカーが儲かっているけど、部品のサプライヤーの儲けが出てこないのではないか。これはどうしてそういう状況になっているのですか?」
近藤議員
「おっしゃる通りで、韓国はかつてそれをやっていたわけです。韓国はガーンと為替を下げてシェアを獲得したわけです。それは韓国方式。それを日本はあまりやっていません。結果として日本の中小企業にあまり恩恵はないと、これは悪い点もあります。他方で安売り競争に走る必要もないと言えばないと。だから、どっちが良いのかというとわからないのですが、ただ問題はいずれにしても中小企業の足腰が弱っているのは間違いないんですよ。中小企業の製造業の強化を腰を据えてやらないと、日本の製造業は稼ぐ力を失い続けるということだけは言える。これは間違いないと思いますね」
鈴木議員
「近藤さんのおっしゃること、本当にその通りだと思います。ただ、幾つか個々で見ていくと、たとえば、記憶にあるかと思いますけれど、東日本大震災のあとに世界中の製造業で日本の部品が提供されないから止まった時期がありました。そういった意味でも部品メーカーの中でも当然強弱があって、技術的にどこも追いつけないものをつくっていたりだとか、そういった強い中小企業についてはまだ生き残っているんですね。そこは現在稼いでいる時間の中で、どうやってそういった企業の技術革新をしっかり応援できるのか、あとは、たとえば、工作機械とか、まだまだ日本の強みが残っているところがあるんですね。なので、この時期にしっかりと投資を、先ほど言ったように研究開発と値段の落ちの競争がありますから、そこをしっかりと推し進められるような政策を打っていく、まさにラストチャンスだと思うんですね」
反町キャスター
「トリクルダウンが起こらない。そこはどうしてですか?」
鈴木議員
「おそらく先ほど言ったように疲弊しているところとしていないところのどこが違うかというと、昔ながらの親がいて、下請けがいて、孫受けがいて、簡単に言えば、価格決定力がどちらにあるかと言うことですね。ですから、そこでもう一歩踏み出すことができるかどうか。そこをどうやって応援できるかということがこれからの中小企業政策の私は一番の肝だと思うし、全部を含めて、ライバル社もそうだし、輸出開発を血の滲む思いでしているところも、そうではないところも皆を助けますというような政策をやってしまうからダメなんですよ。しっかり投資したところが生き残れるような環境をつくる、この環境政策とのハイブリッドな中小企業政策をしっかり進めていくのが、責任ある政治の1つの方法だと思いますね」
国際競争力復活の方策 法人税減税の是非
島田キャスター
「法人税の実効税率引き下げを菅官房長官に申し入れたということですが」
鈴木議員
「実効税率の問題について、今日は申し入れて来ました。6月に骨太の方針が出ますから、その中でどういったものを入れ込めるのか、簡単に言うと、6月に何をかけるかで今後の法人税改革がどういう方向で進んでいくのか決まると思うんですね。そういう中で、私の方からは2点お話をさせていただいて、1つは来年度から法人税の実効税率の引き下げをスタートさせるということを明記してくれということ。もう1点が、これは骨太の方針ということではなく、2020年までを目安としてその頃までに現在よりも10ポイント程度の引き下げをするということを前提のもとに当然代替財源とか、いろいろなどういう法人税の組み換えをするのか、これは議論を詰めないといけませんから。幅はありますが。それに向かっての工程表をきちんとつくってくれという話をしています」
近藤議員
「結論から言うと、正直言うと現在それをやる必要があるのかなと思っているんです。法人税をどんと下げたのは、民主党政権の最初ですから、僕らの政権の時に最初5%下げましたし、10%を目指してということもやりましたけれど、震災でまた変わりました。ただ、現在なのかなという気はします。法人税を下げるくらいならば、むしろ雇用の7割は中小企業ですよ。中小企業の方々から見ると赤字でもとられる税金のようなものもある。それは社会保険料負担です。要するに、赤字だろうが、黒字だろうが関係なく年金、医療保険はとられるわけです。この負担を下げてあげれば、社長さんは正社員で雇ってやろうではないか、後継者を立ててやろう、職人育ててやろうという気になるんです。これまで派遣だった者を正社員にしてやろうという気になるんです。そうなると、津々浦々まで皆正社員になれるし、ボトムアップできるし、人も育つと、こういうことなので、私は正直言うと、法人税は黒字の大企業だけがメリットを受ける傾向が強いと。だったら、むしろ社会保険料の方が効果があるのではないかなというのが1つ。もう1つ法人税を現在下げると代替財源の問題がありまして、鈴木さんは百も承知でやられているのですが、何を代わりにやるのかと。研究開発減税をやめてしまうのかと。そうしたら研究開発はどうなるのという話もあるし、消費税はどうするかと。私は消費税を2015年にちゃんと安倍さんがそれこそコミットしてあげるよとおっしゃるならいいけれど、それも言わないで、法人税だけとなったとすると、これはまた財政規律はどうなるのという話にもなります」
鈴木議員
「そういった論点は当然あると思います。特に日本の企業、日本に投資をする企業にボトルネックはいくつかあるわけです。現在の社会保障の問題もそうです。税制もそうです。電気代もそうです。あと英語の問題もそうですよね。これは現在のタイミングでやっていくということは極めて大事なことと思います。特に法人税のことについて言うと、我々がやろうとしているのは、法人税もそうですけれども、いろいろな税金が簡単に言うと、がんばって稼いでいる企業、あるいはがんばって稼いでいる個人への課税に集中してしまっているわけですね。日本の1番大きなリスクの1つは当然人口問題、低い成長ポテンシャル、もう1つは長期金利と私も思っています。財政規律も一番大事だと思っています。そういった意味で税の目的は1つにはきちんとした税収をあげること、もう1つは成長を阻害しない、イノベーションを阻害しないということが当然、税のパッケージでなければいけないんですね。それを考えた時に現在のような法人税の体系、現在のような法人所得、消費の比率がベストな税の体系になっているかと言うと、私はそうではないと思いますね」
島田キャスター
「代替財源をどうするのですか?」
鈴木議員
「1つ数字を申し上げますと、これは具体的な国名は言いませんけれど、いくつかの先進国では法人税の実効税率が25%で、法人税収がGDP比で確か3.5%くらいの税収があがっている国がある。実は日本は実効税率が35%ですが、税収自体の割合というのは一緒なんですね。いわゆる日本は実効税率が高くて、実はそんなに税収が上がっていない、非常に多くの抜け道がある。たとえば、法人税を払っている企業は全体の3割ですよね。そういう状況というのは本当にフェアなのかということを考えなければいけなくて、近藤さんがおっしゃったように政策減税というのは極めて大きなツールです。ただ、政策減税が全て適切に使われているのか。いろんな政治のしがらみの中で、不要な政策減税もたくさんあるのではないか。だったら、そこはきっちりと解消していかないといけないだろう。あるいは他に外形標準課税とか、いろいろな話もありますが、そういったことをきっちりと詰めていくということが、現在我々の推し進めている改革ですね」
投資立国になるべきか
島田キャスター
「所得収支が増えさえすれば、現在でも補っているように、経常黒字になっていくのかなとも思うのですが、これはいい傾向なのですか?」
鈴木議員
「これは両面あるのだと思います。1つは日本の様々な民間企業とか、あるいは個人の方が非常にアクティブに海外に投資をされていて、要は海外で稼ぐ、海外で儲ける、そういったスタイルに変わってきている。これは非常にポジティブな面だと思いますね。ただ、もう1つ考えなければいけないのは、日本から出ていっている配当や利子が少ない。これは何かと言うと、日本への海外からの投資は少ないということですね。日本の一番のボトルネックは減っていく人口です。将来的にいろいろ外国人とか、考えていかなければいけない問題です。ただ、もう1つのテーマが日本へのお金の入り。投資が少ない。国内の金融も非常に止まってしまっている。海外からの投資も少ない。これは実は負の面ですね。ですから、その両方をしっかりとさらに現在多い海外の投資は伸ばしていく。同時に中に入ってくるものも伸ばしていく政策をとらなければいけないですね。ですから、所得収支が多いから良かったねという話だけではないと思います」
近藤議員
「実は、財布の中身をよく見ますと、黒字の稼いでいる部分でいうと、日本の場合は証券投資という部分が65%ぐらいですよ。直接投資が25%ぐらい。証券投資の中身は何かと言うと、ほとんどが米国債です、結論から言うと。外貨準備高が100兆円ぐらいありまして、米国債なので、この利益がだいたい3兆円ぐらいのはずなんです。何が言いたいかと言うと動かせないんです。米国債を買って積み上げていくだけ。これを動かしていくのは難しい。実は、固定したものでありまして、中身はあまり運用で稼いでいるわけでもないということを1つご理解いただきたい。黒字をあまり喜んでもいられないというのは、鈴木さんがおっしゃった通りで、実は日本にどんどん投資してくださいと、海外の人が日本でどんどん儲けてくださいというような国にすることの方も大事で、そういう国にしたいなと僕らは思います」
深尾教授
「所得収支というのは、これまで積み上げてきた経常黒字、モノを売るよりも買う方が少ないですから、外国の金融資産が貯まっていきますね。株であり、国債であり。そこから金利が入ってきているわけです。経常収支が赤字になりますとこれを取り崩していくことになりますから、この所得収支も実は減っていく方向にある。アメリカはずっと経常収支が赤字で、取り崩し続けているのですが、所得収支は黒字です。ここはいっぱい外国からお金を借りてきて、特に日本が国債を買っていますが、日本から借りているわけです。それを直接投資に回し、高い利回りを得ている。ですから、外国からお金をネットでは借り入れ超ですが、利回りの差が大きいので所得収支が黒字なんですよね。ですから、儲る直接投資をちゃんとやって、利回りを上げていけば、徐々に経常収支の黒字が少なくなって、あるいは逆に赤字になっても、所得収支を黒字にできる面はあります」
反町キャスター
「そういう形の方がいいのですか?」
深尾教授
「いいかどうかは…。経常収支がトントンぐらいであれば問題はない。つまり、貿易収支の赤字が拡大しても、所得収支でカバーしていれば問題ない。問題は経常収支が赤字で、所得収支を入れても赤字となりますと、金利上昇要因になってくると思います」
新たな日本の稼ぎ方 海外企業買収の可能性
島田キャスター
「今後、日本企業も企業買収を仕かけていくことが推奨されていくようになると思いますか?」
鈴木議員
「そうなってほしいなと思いますよね。と言うのは、海外の企業を買収するというのは、彼らのマーケットを相手にできるということですから。そこはこれから少子化、高齢化、一番の問題の1つは、日本国内のマーケットが小さくなっていくということですからね。そういった意味では、海外にしっかりと進出をしていくという意味でも積極的な戦略をおいた買収、さらにはビジネスの拡大、あるいは転換というところで見ていくのは非常に良いことだと、私は思います」
反町キャスター
「企業マインドの戻り方、実感をどう感じていますか?」
近藤議員
「マインドを戻したという意味では安倍政権はなかなか見事だったと思いますよね。大型買収とか、もう1つは、買収する時にはたぶん経営者の方々は、損切りをしているはず。損切りというのは、空気が何となく良いなという時でないと、損切りしにくいんです。企業の再編というのは、何となく根拠はないけれども、方向として良い空気の時でないとなかなかできないわけですよ。ようやくそこは、株価を含めて、いつまで持つかは知りませんが、私はそんなに長持ちするとは思えませんけれども、空気は悪くないので、買収は進むと思いますし、経営者の方もそういう空気感だろうし、現在がチャンスということなのでしょう。ですから、そこは日本企業の方々のガバナンスというのでしょうか、経営者の方々も社外重役の比率も随分広がってきたし、経営の内部の競争みたいなのも含めて、随分変わってきたのではないか。期待をしたいと思います」
反町キャスター
「日本の産業界はプレイヤーの数が多いと思いますか?」
近藤議員
「業種業態で違うだろうなと思います。あまり行政が口を挟まない方がいいなと思うので、それは企業がやった方がいいなと思います」
深尾教授
「これまで政府が出て行って、ある程度効果があったのは、撤退するところをスムーズにする。これが一番大事で、撤退するところをスムーズにして、人を訓練して、動かしていき、新分野に持っていく。これが一番大事だと思います」
どう稼ぐ 今後の日本経済
近藤議員
「現在、政府が産業政策で一番やらなければいけないのは、結論から言うと、投資環境も含めて、東京電力のきちんとした処理を逃げずにやるということです。東電の処理は今日のテーマとちょっと違うけれど、実は大事。電力の3分の1ですから、我が国の。ここの債権処理について、きちんと責任を持ってやることが実はエネルギーにとっても極めて重要だし、これは政府でなければできません。原子力賠償法の見直しも含めて、東京電力の債務の確定も含めて、そしてどうするという損切りも含め、これは政府でなければできません。それが大事で、どうやって前向きにやるかというのは、民に任せればいい」
鈴木議員
「なぜ電力のお話を近藤さんがおっしゃったかというと、これはインフラなんですよね。だから、自由競争の世界ではない。そこはきちんとしたものをつくる。これはあるんだと思うんです。ただ、民の部分はまさにこれは規制緩和であり、関与を減らすということがなくてはいけないし、我々がすべきはその環境づくり、ルールメイキングですね。先ほどから経営の判断という話が出てきましたけれども、経営の判断をしっかりしてもらうためには、経営にきちんとプレッシャーをかけられる環境をつくらないとダメですよ。そのためには、たとえば、株の持ち合いが安易にされていたりとか、あるいは知ったような顔の取締役会であったりとか、そういった状況をきちんと変えていくコーポレートガバナンスの改革もしていかなければいけないと思います。マーケットから経営にきちんとプレッシャーがかけられるような環境をつくっていくことが大事。ただし、そこで気をつけなければいけないのは、マーケットというのは、短期でオーバーシュートしますから、そこをマーケットに振り回される経営にしない工夫というのが必要だと思いますが、大きな流れとして、私は基本的には政府は関与しない、規制は緩和する。マーケット、あるいは取締役会という健全なスキームの中で経営に良いプレッシャーをかけられる環境をつくるというのが、現在の最大のテーマだと思いますし、今度、成長戦略コーポレートガバナンスに入りますから、そこはしっかりとやっていきます」
深尾光洋 慶応義塾大学商学部教授の提言:『アジア人材の活用』
深尾教授
「私は稼ぐ力をつくると言いますか、強化するには、アジアの人をどんどん使っていく。私は日本語能力の高い人に対して、5年ぐらいの就労ビザをどんどん出していく。ですから、日本語能力試験1級を通る人が毎年5万人ぐらいいるわけですが、そういう人にも5年ぐらいの就労ビザを出して、5年ぐらい平穏に働いたらグリーンカードをあげるといった形でどんどん人を入れていく。中国も一人っ子政策で、しばらくすると人口が減り始めますが、大気汚染がひどいですし、金持ちで日本に住みたいという人がいっぱいいると思いますので、こういう人に、日本語ができたら、日本にずっと住んでいいし、家族も、たとえば、日本語能力試験2級ぐらいとっていれば、来ても良いですよというかっこうで入れていけば、子供の教育も日本語ができれば、子供も小学校に1年もすれば馴染めますから人を入れていく。そうすれば、日本がアジアのビジネスセンターになれる。あるいは、金融センターになれるということだと思います」
鈴木馨祐 自由民主党衆議院議員の提言:『国内規制緩和 国際規制強化』
鈴木議員
「国内の規制緩和の話を先ほどさせていただきました。国際規制の話をここではさせていただきたいのですが、日本の企業がオリジナリティを持って稼ごうと思った時に、新幹線にそっくりな列車がタダでつくられていたら困るわけですね。ですから、そういう知的財産を保護する。アイデアとか、技術をしっかりと権利として守るというルールを世界中でつくらなければなりません。同時に、法人税の話も、国内は現在高すぎるから、引き下げをしなければいけないと思いますけれども、ただ全世界で引き下げ競争をしたら、それはまた皆幸せにならないんです。だからこそ、これはOECDが仕切って、世界で一定のルールをつくるべきだと思います。課税回避の仕組みもそうだと思います。そういった意味で、国際社会においては規制をきちんと強化し、日本がそこに関与をしていくということです。これまでルールを守る方だったのを、ルールをつくる方になっていくというのが、日本企業を応援する2つ目の柱だと思います」
近藤洋介 民主党衆議院議員の提言:『逃げない覚悟 エネルギー 人口減少対策』
近藤議員
「政治に必要なのは逃げない覚悟、特に逃げずにエネルギーをどうするかと。そして人口問題ですね。私は、ちょっと移民政策には慎重なのですが、しかし、どうするかということを現在本気で考えないと、我々の世代というか、25年後にどうにもならない状況にすぐ追い込まれますから。目標をつくるしかありませんね。これは財政と全く同じような形で、ある程度の目標をつくりながら、そのためにゴールをつくって具体的にどうするか。総論賛成、各論反対ではどうしようもないですから。あまり格好の良いことも言えない。それも含めて逃げないということをしないと、政治の最大のテーマですし、格好いいことではすみません。エネルギー、原子力もそうです。これが稼ぐ力を取り戻す政治セクターにとって求められる最大ではないかなと思います」