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2014年5月20日(火)
認知症行方不明1万人 徘かい・介護どう支援

ゲスト

北川イッセイ
自由民主党認知症サポート議員連盟会長 参議院議員
新田國夫
全国在宅療養支援診療所連絡会会長
永田久美子
認知症介護研究・研修東京センター研究部長

認知症の行方不明者 徘かいの実態とは
島田キャスター
「先週、徘かいが原因で行方がわからくなっていた、東京都台東区の女性が、群馬県の館林市の介護施設で7年ぶりに発見されて、夫と再会を果たしたニュースが大きな話題となりました。認知症の行方不明者の状況なんですけれども、2013年の暫定値ですが、認知症で行方不明になったと、警察の届出があった件数が、1万300人。そのうち、およそ390人の方々の死亡が確認されています。2012年のデータでは9000人ぐらいの方が受理されたのですが、そのうちの2%から3%が未解決だというデータもあります。認知症の行方不明についてずっと取り組んでこられたということなのですが、こういった行方不明者が多くなってきたというのは昨今の現象ですか。ずっとあることなのでしょうか?」
永田氏
「有吉佐和子さんの『恍惚の人』という小説をご存知でしょうか。冒頭は、小雪のちらつく中、認知症の方が行方不明になりかけたシーンから始まっています。行方不明は、認知症そのものだけで起きるわけではなくて、生活のスピードが早くなり、町がどんどん変貌していく、高度経済成長以降の社会の変貌という社会全体の問題として、生じているんだと思います」
島田キャスター
「なぜ認知症の方が徘かいされたり、行方不明になったりするのでしょう」
永田氏
「徘かいと行方不明がごっちゃに考えられているんだと思います。徘かいというのは、目的もなく歩いてしまわれるということですが、この頃、非常に気になるのが、メディアを含めて、行方不明の冠に徘かいによるということを必ず付けられてしまうのですが、徘かいかどうかは確認されていないわけですよね。行方不明というのは、認知症の基本的な記憶が抜け、場所がわからなくなっているという、認知症の基本的な状態から生まれて、家に帰れなくなっているという状態で、必ずしも目的なくうろうろしてしまっているわけではない方が実際は多いわけです。何か行方不明イコール徘かいみたいに伝えてしまうと、認知症、徘かい、行方不明、危ないというような、非常に認知症の方達への誤った誤解を、徘かいという言葉で広めてしまっているという問題点も今あるのではないかと思います」
島田キャスター
「その方々が自身の症状に気づいていない時もあるんですよね」
永田氏
「全体で見ると曖昧というのは、実はまだ本人もそうですし、ご家族も認知症かどうか気づいていない。当然医師にもかかって、診断を受けているわけでもない、曖昧な段階で行方不明になって警察で保護された方が20%。家族も予期しないで、びっくりしたとか、認知症の疑いが、その時に現れてきているんだけれども、否定されてしまうような状態。しかし、こういう段階の方が2割いるというのは非常に重要なことだと。認知症は、重度になって、わけもわからないと誤解されがちですが、歩いて遠くまで行けるくらい元気な方で、日常普通に生活している延長で、行方不明になっている方が2割いるというのは、今後の対応策を考えていくうえで非常に重要な点であると思います。そのあと症状が出始めてきて、認知症かなと不安を持ちながら過ごしていらっしゃったりしているんだけれど、どうしてもまだまだ大丈夫だろうと油断していた中で、行方不明になられた方が4割強。はっきり症状がいろいろ出てきて、家族がはらはらしていたんだけれども、見守ったんだけれども、でも、一瞬の隙に、ご家族がトイレに行って、ちょっと目を離さざるを得ないという時は2割ぐらいです。その他、特徴的なのは家族が医療も介護も使って、へとへとになって、家族が危機的な状態。そんな中でも6.2%で、医療、介護との接点を持っているはずの方ですから、非常に大きな課題です。1割ぐらい一人暮らしの方です。本人がいなくなったことに誰も気づかない。警察で保護されて、初めて行方不明になっていたんだということがわかって、たとえば、働いている職場に、息子さんのところに『お宅の親御さん、行方不明になって保護されていますからお迎えに来てください』と家にいると思った親が行方不明になって、警察で保護されているということで、慌てて駆けつけるという方が…」
反町キャスター
「それは、認知症の独居老人ということですか?」
永田氏
「そうですね。お一人暮らし、ただ、曖昧のゾーンの方が多いように思います」
反町キャスター
「日常生活ぐらいは、まだできたのですね」
永田氏
「そうです。白黒はっきりと認知症という症状が出て来るわけではないし、元気だと思っていた親御さんが次第に症状が進まれていて、行方不明がきっかけで認知症かなということが明確になってくる方もおられます」
反町キャスター
「認知症に関する議連を立ち上げられたばっかりですよね」
北川議員
「そうです」
反町キャスター
「こういう状況を見て、何か感じる部分があったということですか?」
北川議員
「現在、国の体制というのが非常に弱いわけですよ。認知症対策室はわずか10人の方で、予算も非常に少ない。そこだけが認知症の予算をやり繰りしておるというような状況ですよね。これをもっと大きく、国を挙げて取り上げるような形にならないと、認知症問題は解決しないのではないかと。こういうことで、議員の方々に呼びかけましたら、大変多くの賛同者がおられまして、最初の立ち上げの時には五十数名の賛同者がおられて、それで始めさせていただいたということですね」

行方不明者1万人 認知症の人をどう支えるか
島田キャスター
「家に帰って来られるように、行方不明にならないように防ぐためには、どうしたらいいのでしょうか?」
新田氏
「基本的には、個の問題からすると難しい話ですよね。その人はもともと、その場所がどこにあるかわからないので、帰る方向がわからないわけですよね、本人は。そうすると、誰がサポートをするかという話だと思います。そのためには地域の基礎づくりだと思うんです。たとえば、町内会とか、町の商店とか、あの人があそこにいたとか。そこには派出所があるとか、昔の派出所とは、だいぶ違うんですよね。最近のお巡りさんはよく会話してくれますけれども、歩いていたよということで。あとはコンビニエンスストアとか、あの人達も非常によくわかっていて、毎日買い物パターンがあったりして、来ましたよとか。そういう中でどこかでわからなくなる。そうすると、そこで誰かがチェックするようなことが基本だと思いますね」
反町キャスター
「たとえば、コンビニの話をされましたが、よく事件、事故にあった時に、コンビニの前の監視カメラとか、証拠物件について、警察が貰って、分析することによって犯人の映像が映っていることがあるではないですか。たとえば、認知症の行方不明者が出た時に、コンビニなり、街角にある監視カメラ、いろんなところにあるものを捜索のための資料として、提供してもらうこと。現在、法的にはダメですよね。お願いして、向こうがOKならという、そういうレベルですよね」
新田氏
「はい、そうです」
反町キャスター
「強制性を持たせるような可能性があるのではないかと?」
新田氏
「もう少しソフトなチームワークで、そこまでハードではなく、ソフトな、たとえば、行方不明になった人を誰が見つけて、その地域に発信して、地域で誰が見つけるかという話ですよね」
反町キャスター
「発信機をつけたらどうだろうかという議論がありますよね」
新田氏
「それは賛成です。発信機は、たとえば、家族はいつでも見守る体制ができないですよね。そこで付けておけば、自由に動いてもらうという前提です」
島田キャスター
「認知症がある程度進んだ方にということですか?」
新田氏
「はい」
反町キャスター
「どこでも探しに行ける?」
新田議員
「はい。探しに行ける」
永田氏
「逆に進んだ方というよりも、大事なのは、本人がつけられて嫌な思いをしたり、嫌だったら置いて行っちゃったり、捨てちゃうわけですから、大事なのは、はやめの段階で、本人が自由に外に出て行くことを守るという形が大事で、それがしっかりされれば、本人は自分が認知症になって、進んでも外に安全に出たい。自分が付けたいという」
反町キャスター
「持てば自分が外に出られるとわかれば、本人は喜んで持って出る?」
永田氏
「あとは誰が見守ってくれたりしてくれるか、顔の見える関係にしている人達が、そういう自分のトレースをしてくれるというような関係をつくりながら」

認知症の実態とは
島田キャスター
「厚生労働省の研究班によりますと、2012年には認知症の高齢者数が462万人です。数年以内に認知症を発症する可能性の高い、予備軍の方々、およそ400万人を加えれば、862万人にもなります。現在65歳以上の高齢者の方々は3079万人いますので、まさに4人に1人という計算になるのですが、認知症とはどういう病気なのか」
新田氏
「認知症は4つぐらいのタイプに分かれるのですが、現在、一番多いアルツハイマーが60%と言われています。アルツハイマーについて簡単に説明をしますと、アルツハイマーというのは、ある種のβタンパクとか、タウタンパクという名前が出てきますが、βタンパクは老化に伴って、人間に自然に蓄積してくる。30代の時はゼロですね。40代で既に6%の人が蓄積するんですね。50代で16%。60代で32%。それで、アルツハイマーは60代になると1%。このタンパクの蓄積に伴い、これも増えてくるんですね。70代になると、49%とか、非常に年齢的に従っていきますので、老化に伴って自然に起こってくる。タンパク質が蓄積してくる病気。かと言ってタンパクが貯まって、全ての人が認知症、アルツハイマーになるわけではありませんので、結局、5%、10%、20%。これはある種の統計ですが、こうやって増えてくると」
反町キャスター
「そうすると、βタンパクが貯まって、アルツハイマーにならない人、なる人がいるということですよね。その違いは、その分かれ目は何ですか?」
新田氏
「これが実は難しいのですが、アメリカのスノードンという心理学者ですが、100歳の美しい脳の中で、100歳の人で認知症症状が全くなかった人を、解剖したところ、脳の中にはかなり強い、いわゆるアルツハイマー所見があったという。彼の研究はある修道所の人達を、皆さんの了解を得て、生活パターンを全部調べ上げて、全ての脳解剖を行った研究なんですね。その中に現在、そのような報告があって」
反町キャスター
「アルツハイマー所見があったにもかかわらず、症状としては発症していなかった?」
新田氏
「いなかったという」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
新田氏
「私個人の思いは、たとえば、我々が普通の生活をするのは、普通の50%の能力で生活できるんだろうなと。だから、修道所の生活というのは非常に規則正しいし、異質です。その中であまり生活障害として表われなかったと。私達が現在、問題なのは先ほど永田さんが言ったように、あまりにもはやい時間の中で動いている。それでアルツハイマーの人達はゆっくりとした時間だと。そのズレが、生活障害のズレになっているのだろうなと。1つの考え方なのですが。アルツハイマーは、単にタンパクの問題ではなくて、脳血管性の問題も絡まってきて、私達の脳は動脈硬化で非常に満ち溢れているわけですよ。それは代謝異常、肥満も含めているわけですから。従って、代謝異常で、私達の脳の動脈硬化で、小さな梗塞素がいっぱいあって、それに対するタンパクの合併だという人達もたくさんいますので」
反町キャスター
「アルツハイマー症は治るのですか?」
新田氏
「残念ながら、治らないと思います」
島田キャスター
「親しい人、家族などが認知症かもしれないと思った場合は、まず何をすればいいのでしょうか?」
新田氏
「1つは、まず認知症と思った場合には、その適格な診断は何をやればいいのか、ちょうど、現在CTとか、MRIとか、いろいろあります。画像診断で全て捉えられるのかどうかということですね。たとえば、その画像診断をするのは、否定的な意味では、たとえば、がんの脳腫瘍とか、他の否定的な意味の画像診断は重要なのだけれど、本当にそのことがアルツハイマーと現在の症状とあうかどうか、非常になかなか難しいものがあるんですね。むしろ、日常の生活障害の方が見事に症状として出ますから」
島田キャスター
「その深刻な症状にしないためにどういうことが考えられますか?」
新田氏
「1つは、その方にとって快適な状態というのが重要なことで、たとえば、まずは環境ですよね。環境というのは、その方の家族、その方を取り巻く人達がいかに認知症を理解するかということだと思います。よく『あなたは同じことを言ったでしょう』とか、攻めるわけですよね」
反町キャスター
「これは悪化の誘因ですか」
新田氏
「悪化の誘因ですね」
反町キャスター
「要するに、攻めると、認知症が進行する?」
新田氏
「進行はしませんが、進行ではなくて、その人の心理状況がおかしくなるということですね」
島田キャスター
「嫌だなと思っちゃうんですね」
新田氏
「はい。そういう状況の中でだんだん本人は不安に苛まれるということが起こるということです。もう1つは、我々医師が出す、投薬ですね。投薬によっても悪さをするということがありますね」
反町キャスター
「たとえば、どういう薬を飲むと、どうなるのですか?」
新田氏
「単純化すると、向精神薬はダメですよね。向精神薬はかなり悪さをしますね。たとえば、皆さん、高齢者が好きなのは睡眠薬です。睡眠薬にも悪さをするのがほとんど」
反町キャスター
「導入剤とかもありますよね」
新田氏
「導入剤ですね」
反町キャスター
「導入剤もそういう意味でアルツハイマー病にとってアクセルになってしまう?」
新田氏
「あまり良いことをしませんね。国家戦略としてイギリスとか、フランスでも、なるべく向精神薬をやめようという戦略は出ていますね。日本もそうなりつつあります。身体的症状に悪さする原因ですから、本人は、たとえば、熱が出たり、どこか悪いところがあっても、なかなか自分の症状を訴えられない。たとえば、便秘でも出すことがあるんですけれども、便秘でも何か変だなと。それが先ほどの徘かいではないですけれども、行動変容につながることだってあるわけですよね」
反町キャスター
「そういう関連があるのですか?」
新田氏
「ありますね。便秘でイライラしますよね。そうすると、その場に落ちつけないです。そうすると、そこでもって外へ出るとか。そういうことであれば、周りの家族とかが気がつけばいいわけですよね」
反町キャスター
「必ずしも頭の中だけではないんですね」
新田氏
「はい。そうです」
反町キャスター
「環境だったり、薬だったり、様々なものがあって、たとえば、非常に荒っぽい言い方で言うと、年を取ったらボケるんだよというレベルの話ではない?」
新田氏
「ないと思います」
島田キャスター
「そうすると、現在の話を踏まえると、家族は本人を傷つけないようにするというのが、まず一義的にはあるのですか?」
新田氏
「はい。私が最近よく言うのは私ができることをさせてほしい。私ができることをやめさせないでほしいと」
島田キャスター
「どういうことですか?」
新田氏
「家族はやめさせるんですね。『あなた、こんなことやっちゃけないよ』とか。危ないからと」
島田キャスター
「ケアし過ぎちゃう」
新田氏
「はい。その次にあるのは、私ができないことを助けてほしい。その中で、私はいつも自尊心と、いつも不安感で満ち溢れていますということを、家族と一緒に来た時に言います」
反町キャスター
「また線引きが難しいですよね。本人が言わないとわからないですよね。これは、私はできるからやらせて、ここから先はできないから手伝ってという意味ですね」
新田氏
「ただ、ご本人は認知症になっても、自尊心があるわけですよ」
反町キャスター
「言えないのではないですか?」
新田氏
「取り繕われるんです。その代わりに言ってあげるんです」
反町キャスター
「周りにいる人間が、この人はプライドがあって言えないだろうけれど、ここまではできるからやってもらおう、ここから先はできなければ手伝おうということを周りの人間が慮らなければいけない?」
新田氏
「そうだと思います」
北川議員
「その認知症で、現在介護を受けているのは280万人。その半分が自宅で生活されているわけです。だから、家族というのが非常に大事だと思います。家族が果たして、新田先生がおっしゃったような、そういうことを本当に知っておられるのかどうかということが問題なので、そこのところ、家族に対する、そういうケア、そういうものが非常に大事ではないかなと。先ほどおっしゃった地域の問題でも、そうだと思うんです。地域で認知症の見方というのはどういう見方をされているか。以前はそんな見方されていませんから、そこのところはしっかり認識をし、認知症(の方)が歩いておられたら、ちゃんと気をつけて見てあげるという、それがなかなかそういう意識にならないですね」
島田キャスター
「確かに。でも、誰でもなるかもしれないという、自分のこととして」
北川議員
「そういうことを周りの人、一般市民の人も教育を受けないといけない。家族も教育を受けないといけない。それで初めて認知症の方のケアができるのではないかなというような思いがしますね」

認知症と家族の責任
島田キャスター
「徘かい症状のある認知症の高齢者の判決がありますが、どう受け止めていますか?」
新田氏
「民法上の賠償責任の支払いの問題と在宅の介護の問題ですよね。介護の問題は、ぐちゃぐちゃに離した問題で、この85歳の方は要介護1で、賠償責任能力はないわけですよね。賠償責任能力とはどういうことかというと、その方が本当に民法上で支払い義務があるかどうかは別な話で、本当に家族として、その方を看ないといけない介護の問題です。介護の問題はないと思いますね。これを一般化して、家族も全部含めてグループホーム等で看なければいけない。となると、これは認知症の方にとっては大変不幸なことで、絶対あり得ない話だと思います」
北川議員
「とんでもない判決だと思います。私はこの判決が海外でどう評価されるかを考えたらおそろしいです、日本という国は何という国だと思われるのではないか。これは認知症や障害の方、弱い立場の方を社会全体で守っていこうというのが、この国ですよね。でも、それができていなかったということが一番の原因。ですから、損害賠償になるはずがないと私は思う。でも、そういう判決を下ろさざるを得ない。日本は法治国家ですから、そういう体制をつくり得なかった政治の遅れというものがあると思います。そのルールというのはしっかりつくっておかなければいけなかった。これからつくらなければと思っています」

国の認知症対策は
島田キャスター
「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)が、平成25年度から始まり、1年ぐらい経ったわけですが、これによって認知症の方々を取り巻く環境というのは良くなってきているのですか?」
新田氏
「オレンジプランの中で身近型診療所、たとえば、認知症の中核病院構想というのが実はあったんです。中核病院構想というのは、二次医療圏という非常に広い範囲で行うんですね。そこへ認知症の人にとっては、普段生活している場所からなかなか遠くへは動かない。と言うことで身近な先生のところで認知症対策をする。そこで早期対応というのがありましたが、先ほど徘かいと言われていましたそのような行動障害が起こる時に早期に対応できる。その代わり外へ出て行き、病院から出るのはアウトリーチ対策と言うのですが、僕はインリーチだと思っているんですね。地域ですから、当たり前なことですから、良いんです。病院から見るとアウトリーチと言うんです。全然違った言葉だと思います。インリーチの中で、ちゃんと行って、そこには医師と保健看護師と福祉士がいて、家族と一緒にどういうことが起こっているかという対応策。これはとても良いことで、この中で今後地域型を、ぜひ地域認知症支援診療所をぜひ進めてほしいなと」
永田氏
「最大の課題はそれぞれバラバラの方向性で、それぞれが空回りしているのが、大きな問題だと思います。今回の5か年計画というのはこれからどういう地域をつくろうかということは、かなり明確に方針を立てられている。たとえば、単に医療があればいいのではない。治療をすればいい。診断治療をすればいいのではなく、地域での生活を本人が続けていけるように支えるために診断や治療もある。もちろん、介護もそうである。読み流してしまえば、1つ1つのものですが、これから認知症の方や家族を支えるうえで、いろんな職種が1つの方向を向いて一丸となって取り組む覚悟を決めて、それも単年度単年度、付け焼刃ではなくて、5か年ぐらいはしっかりと時間をかけて一歩一歩進もうという面での方針を示したうえではとても大事だと」
島田キャスター
「介護保険というのは」
新田氏
「もともと介護保険というのはおそらく高齢者システム研究会というのがあって、そこでできたのですが、脳卒中モデルだったと思うんですね。と言うことは脳卒中の結果、身体障害を起こしますよね。その人達に対して在宅でどうするかという話で、点の世界で大丈夫だったんです、身体介護ですから。ところが、認知症対策というのは点ではダメで、ずっと見守りが必要だという話がありました。線の世界の話が必要ですね。総合支援事業がどううまく機能するか、全体として。単に点でサービスが入るのではなく、全体と生活を丸ごとどう看ていくか」
反町キャスター
「要支援、要介護だったら1、2などレベル分けがあるではないですか。認知症においてはレベル分けをすることによって提供するサービスの合理化ははかれないものなのですか?」
永田氏
「何のためにレベル分けをしているのかというのは結局コスト管理ですよね。1人1人にどういう支援がほしいのかの場合には、大まかの1、2、3、4では決して本人と家族に的の当たった支援はできない。いい意味でのコスト管理、悪く言えば、サービスを調整するためのもの。そこは冷静に見て、何のための認定なのかは、きちんとそういう目的がある。だったら、そのコストを最大限価値のあるものにするにはどうしたらいいかということをもっと真剣に考えていくべきだし、これまではどういうものが必要かメニューごとの量が中心に、たとえば、グループホームが何か所、施設が何か所という量が提供されていれば良しとされてきたのが、それぞれ本人、家族にとってどのくらいメリットがあったとか、満足できるものなのかという当事者からしっかり確認する。かけたコストが本当に当事者にとって役立っているのかということをしっかり見極め、当事者にとって必要なサービスを地域ごとに組み立てていく。そう言う意味で流れを変えていくという面は、提供側の論理から、利用する側の論理に合わせたサービスに変えていくということも非常に重要なことだと思います」

急増する認知症 どう向き合うべきか
島田キャスター
「認知症に対する国家戦略は、日本は遅いのではないかという点は?」
新田氏
「それぞれ特徴があるんですね。たとえば、フランスは理念的なんですね。たとえば、臨床の恐怖心とか、スティグマ、たとえば、アルツハイマーと診断されたら終末期を思い浮かべるとか、そういったことをまずちょっと考えようとか。たとえば、イギリスはプライマリーケアがしっかりしていまして、プライマリーケアにおける診断とか、早期支援をする話。オランダはまたおもしろくて、オランダは日本的だと思うのですが、地域からのボトムアップ式で問題、課題を提出して、国家戦略にあげたという。各国によって、違いがあって、私は、日本は日本なりのやり方にすべきだと思います」
島田キャスター
「日本は高齢化が進んでいるのに、スタートが遅いという気がしますが、なぜですか?」
北川議員
「日本の場合は、医学が非常に進んで、介護保険制度が非常に充実している。と言うことで、そちらの方に非常に負担をかけたということではないのかと思います」
反町キャスター
「アルツハイマーの人に対する告知については?本人に告知はされるのですか?」
新田氏
「非常に微妙な話であります。たとえば、私がかかりつけ医で、何十年診てきた人が認知症になった場合には私は話します。なぜかと言うと、私の地域で、私とその家族も含めて信頼関係がある中でできるからですね。もし私が病院の医師だと仮定して、画像診断も含めて『あなたアルツハイマーですね』と診断していいのかとなると、大きな問題が出てくると思います。と言うことは、結果としていかにその人が告知したとか、何でもそうです、フォローができるかという話ですね。ガンはかつて告知していなかった。現在はしています。ただ、するのはガン治療として50%治るからです。アルツハイマーの人はそういうわけにいかない、治らない。となると、その人の生活がきちんと組み立てる意識を持っているかどうかという話ですよね」
反町キャスター
「脳ドックが流行ですよ。行って診断を受けた時に『あなた、そういう症状ありますよ』と告知するのかしないのか。これは大変な問題です、どう考えますか?」
新田氏
「私はすべきではないと思います」
反町キャスター
「では、何しに行くんだという話になりますよね?」
新田氏
「脳ドックというのは、動脈瘤の発見とか、別の意味だろうと思います」
永田氏
「告知が何を目的にしているかですよね。一方で、薬をお飲みになると進行を遅らせるということで、薬を飲んでもらうために同意がいるということで、告知をやられている面もあります。でも、本人にとって、薬を飲むことは大事だけれども、認知症と診断されたことで、家族も含め、どのぐらい落ち込み、絶望するのか。その絶望状態で初期の状態の人がグンと状態が悪くなる方があとを絶たない。だから、大事なことは、告知は何のためにされるのか。伝えたことで、これからの残りの人生を1日1日有意義に過ごそうとか、それが決して不可能ではなく、支援する意思や介護者や地域の人がちゃんといるよと。さらに一歩先にいった人でこんなふうに告知を受けても前向きに生きている人がいるという具体情報をきちんと出し、診断、告知をしっぱなしではなく、明日からこんなことをちょっとずつやっていこうと具体提案をしながら、1日1日をこんなふうに生きられるという印象になってからの新しい暮し方の提案を一緒に話し合いながらつくるというようなパートナー的な存在が不可欠だと思います」
北川イッセイ 自由民主党認知症サポート議員連盟会長の提言:『家族と地域を見直そう』
北川議員
「認知症を考える場合に、家族抜きでは考えられません。家族の負担が非常に大きいです。ですから、この家族の負担をどうすれば少なくできるのか。これは基本的には家族の方に正しい認知症の知識を持っていただくということも大事ではないかなと思います。それから地域の話です。地域の方もいろんなボランティア団体等いろいろあります。そういうところの方々に認知症サポートの研修を受けていただいて、正しい認知症の知識を持ってもらう。ちなみに今度の我々の認知症サポート議連は講習会を22日に受けるようになっています」