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2014年5月13日(火)
緊迫!南シナ海の対立 尖閣問題への影響は

ゲスト

佐藤正久
元防衛省政務官 自由民主党参議院議員
凌星光
日中学術文化センター理事長
山田吉彦
東海大学海洋学部教授

中国の狙いとは 緊迫!南シナ海巡る対立
島田キャスター
「今月の初め、中国側が領有権争いの続く、パラセル諸島の海域で石油の掘削を始めました。3日以降、パラセル諸島付近では、中国海警局の船など複数の船舶とベトナムの船舶が衝突や放水を繰り返しているといった状況です。6日には、フィリピンに近い、スプラトリー諸島でフィリピンの海洋警察が海ガメを捕獲していた中国漁船を拿捕しました。11日には、ベトナム各地で反中デモが起き、12日に中国とベトナムがお互いに放水し合う場面もあったということですが、南シナ海の現在の状況をどう見ていますか?」
佐藤議員
「今回、まさに中国がいよいよ来たかと。本当にいやらしいやり方で来たなと思っています。ベトナムとの境界が確定していないところで、こういう石油の試掘をしたのは初めてですね。まさに中国がいよいよ一歩前に乗り出したと。しかも、時期的に、オバマ大統領のアジア歴訪のあとでしょう。このいやらしさ。しかも、80隻ぐらいの中国船が石油の採掘を守りながらやっていると。80隻ですよ。ベトナムも負けていなくて、30隻ぐらい行ったようですけれども、力の差というのはかなり歴然としていると。まさに中国のいやらしさ。しかも、今日、自民党の会議で配られた資料ですが、今回の石油採掘の場所なんですけれど、中国の海南島、領土から184海里、200海里以内です。自分の領土から200海里以内の、排他的経済水域の中だと言えるような場所でやっているんです。いろんないやらしさが今回組み合わさって、よく考えた形でやっていると。準備した形の、今回の攻撃的な、挑発的な行為だと。いよいよ来たかと。次は東シナ海の方にいつ来てもおかしくない」
島田キャスター
「今回のこの南シナ海の衝突などをどう見ていますか?」
凌氏
「今、いやらしさと言いましたけれども、実際は全然違っていまして、中国は、今言われたように今回初めてと言われましたが、係争地域において、中国は、係争棚上げ、共同開発を提唱した。鄧小平さんが提唱した。その手前でずっと控えていたんです。ですから、今言ったように、今年初めて。でも、ベトナムとか、フィリピンとか、他の国は既に係争地域に1000本の油井を掘っているんですよ。ですから、中国は完全に受け身です。決して挑発的じゃなくて、受け身でやらざるを得なくなってきていると。なぜこの時期かと。これはいろいろな、アメリカのオバマ大統領の4か国訪問が関係しているかもわかりません。私が思うには、アメリカをバックにして問題を複雑化して、ますます問題の解決を難しくしている」
島田キャスター
「パラセル諸島の状況は現在どうなっていって、歴史的にはどういう感じなのですか?」
山田教授
「このパラセル諸島、西沙諸島というのはベトナム戦争までは、南ベトナムが実行支配をしていた島々です。ベトナム戦争の時代に中国と南ベトナムの間の騒乱があり、ベトナム戦争によって南ベトナムは弱り、そこでパラセル諸島は中国に占領されて現在に至る島々です。先ほど佐藤先生がおっしゃったように、島から12海里というのは、仮に、このパラセル諸島が中国のものであるとしても、島から12海里であれば、権利を執行する形ができるのですが、まず先に出ている海域があれば…」
佐藤議員
「17海里ですからね」
山田教授
「もうここは17海里ですので、12海里から出ているということは強引に法執行することはできない。さらには今回の衝突で一番大きいのは、公船が公船にぶつかったということです。国際法に明らかに反する行為であって、新しいタイプの戦争です。陸上であれば、国境警備隊同士がぶつかるというのは、その次は戦争だ。今回は敢えて踏み込んできたということは、国際法に対する挑戦」
ASEAN首脳宣言と中国
島田キャスター
「南シナ海の緊張が高まる中、11日にミャンマーで開かれていたASEAN、東南アジア諸国連合首脳会議では、今回の衝突に関して、このような宣言がなされました。『全ての当事者に自制と武力の不使用を求める』と。ネピドー宣言と言うのですが、これで中国と名指しはしていないんですけれど、この宣言で中国のこういった行動。覇権主義に歯止めをかけることが、果たしてできるかどうかというのは疑問なのですが」
佐藤議員
「無理だと思います。でも、今回ASEANが一致をして、速やかに、こういう強い懸念を示して、自制を求めるというのを出したことは非常に外交的に意味はありますが、これで中国のこの動きが止まるかと言えば、止まらないと。ずっと流れを見てきても、まず領海法を1992年に設定してドワッと広げたでしょう。それから、次から次へといろいろな法律をつくって既成事実化している。その連続ですから、ずっと。しかも、東シナ海の方で中間線のガス田の開発もしかり、防空識別圏もしかり、中国の尖閣における活動のエスカレーションもしかり。南シナ海における中沙諸島、スカボロ礁、フィリピンの島でも中国とぶつかりましたよね。結局、中国の粘り勝ちで、どんどん現在建物をつくっていますから。どんどんやっているんです。これは本当に既成事実化、どんどん進んでいくと。だから、これだけで止まるということは考えにくいと思います」
反町キャスター
「ネビドー宣言では中国の名前を挙げていないけれど、事実上、中国を厳しく、ASEAN全体として批判したものですが、そう感じますか?」
凌氏
「これは必ずしも中国だけではなくて、ベトナムも指していると思います。だって、このきっかけはベトナムが妨害をしてきたんですよね。ですから、これ自体は強くは批判していません。しかし、一部の国、たとえば、ベトナムとか、フィリピンが、こういったものを利用してASEANと中国を離反させようとしていると。それに対して批判していますね。ですから、この宣言自体は必ずしも中国ではなくてベトナムも指していると思います」
島田キャスター
「でも、中国も指しているということですよね。中国でどう受け止めているのですか?」
凌氏
「いや、それは、私はわかりませんけれど、少なくとも、私はこれを見る限りでは、ベトナムにも応用されると思いますよ」
反町キャスター
「北京の受け止め方とすれば、どこの国とははっきり書いていないから、これは我々だけでなくて、ベトナムとか、フィリピンに対してのものだと。しかも、ASEANの中には、ベトナムとか、フィリピンが入っている中で、はっきり国名を言わないことによる弊害というのは、こういうところにあるのかと思うのですが、これ以上踏み込めないものなのですか?」
佐藤議員
「ASEANで全会一致という部分が加われば、そうなると思いますよ。中国との関係が深い国がありますからね。敢えて言いませんけれども」
反町キャスター
「明らかに名前を上げるのに反対するところは、議長国も含めて」
佐藤議員
「だから、そうなると。大事なことは、全会一致で速やかに出すということにウェートを置けば、そういうやり方もあるでしょうね。確かに今回、逆に、安倍総理がNATO、の演説で、あれだけ明確に中国に対して、これでもかというぐらい長い演説があるというのもたぶん異例なぐらい、それぐらい中国の抗議に対しては非常に我々も危機感を持っているという表れが、あの総理の演説であり、そのタイミングとちょうど計ったように中国がそこで試掘を始めましたから。安倍総理の言うことは正しいなという見方が広がったと」
島田キャスター
「ASEANが全会一致した、名指しはしなかったけれど、全会一致して、宣言まで出した。これは中国にとっても影響力はあると見ていいのでしょうか?」
山田教授
「どこまで感じるか。これは2002年に南シナ海の行動規範を1回つくっている。合意をしているのですが、それをずっと反故にして一方的な開発を進めて来た中で、今回、新たに制裁も、要は、解決は国際法に基づいて国際的な国連海洋法裁判所、あるいは国際司法裁判所。もしくはASEANのルールに基づいて協議をしていくべきだという問いかけをしているのですが、これをずっと中国は拒否している。国際的な解決策というものを求めている中で、この南シナ海行動規範をはやくしっかりとつくらなければいけない。これはもう明らか」
佐藤議員
「スカボロ礁もそうでしょう。スカボロ礁についてもフィリピンが、まさに、提訴しているんですよ」
山田教授
「仲裁」
佐藤議員
「仲裁裁判所に提訴しているんですが、中国が乗ってこない」
凌氏
「行動宣言については中国も承認しましたし、2002年の。行動宣言について、中国の立場は、中国はちゃんと遵守していたと」
反町キャスター
「していた?」
凌氏
「してきた。ところが、他の国が遵守していない。たとえば、先ほど言った、提訴地域での油田の開発、先ほどの1000本。ですから、中国としては、行動規範に賛成だと、つくることに。しかし、まず宣言を皆ちゃんと守ることが先決ではないかと。中国を縛るだけではなくて、もっと他の国も守るべきだと」
山田教授
「それは、中国が不満に思うなら、国際司法裁判所に、中国は訴えるのに同意すべきです。国際的な見地から海洋法裁判所、あるいは国際司法裁判所で明確なジャッジを受けるべきなのですが、なぜそれを受けないのか。むしろお聞きしたいのですが」
凌氏
「それは、中国の立場があるでしょうけれども、だいたい中国においては、国際法、それから、国際裁判所も含めて、遅れていますよね。遅れているというか、そういう方面の認識というか、勉強がね。そういう面において、そんなにまだ信用をしていない面もあると思いますね。私の個人的な感想ですけれども。実際に、私も専門ではありませんが、中国がどういうふうな考えであるか、それは知りませんけれども」
山田教授
「中国が国際法を信じていないとなるとそもそもの話が進まなくなってしまうので、非常に危険な状態だということを表していると思います」
佐藤議員
「現実問題として、これまでこの十数年を見てきて、こういう宣言とか、あるいは声明が出ても、中国の挑発的な膨張主義は止まっていないと」
中国海警局とは
島田キャスター
「中国の海洋部門というのが、昨年大きく変化したということですが、昨年までは5つの部署、組織に分かれていたということです。5竜というふうに呼ばれていたらしいのですが、昨年、そのうちの4つの、海監、海警、漁政、海関というものが、一本化されて、中国海警局という大きな組織になったということです。今回の衝突というのは、このように中国が巨大な海洋部門に関する組織をつくったことに何か関係しているのでしょうか?」
凌氏
「私は、直接関係ないと思いますけど。と言うのは、海警局をつくった、まとめたというのは、日本の海上保安庁を真似たということですし。それでバラバラだったのが、まとまって、かなり機動力が着いてきたというか、強化されたと、この可能性はありますよね。ですから、今回80隻が集まってきたと。それがどのくらいの期間で、こう集まってきたのかは知りませんけれども、かなり機敏になったと。そういう可能性はありますが、これと今回の事件そのものとは関係ない」
佐藤議員
「もともと資源関係をやるのは海監だったんですね。他は、こういう石油探査には関係なかったわけです。今回統一したことによって、他の船も投入できると。先ほど、80隻というのはそういう分も来ていますし、もともと海監というのは、武装していない船がほとんどだった。ところが、漁政の巡視船はこれまで砲とかも持っていたわけですね。投入することによって、運用的にこういう海監という専門の支援関係の船に加えて、漁政の船も投入できると。そうすると武力がアップしますから」
山田教授
「実は全く日本の海上保安庁とは違います。と言うのは、この海巡のところ、海上保安庁は海洋の交通、航行安全、航行の安全のルールも含めてなんです。なぜ分けているか。航行安全のルールは相手も国際法に基づいて世界が共通で守らなければいけないルールです。それは外して、国内の治安維持という行動で、統一できるものだけを1個にまとめて。要は、日本の海上保安庁というよりも、力を持って押さえつけるための、国内法に基づいた、中国の一方的な仕組みだけで動ける組織にしているんです」
島田キャスター
「つまり、中国の海洋覇権主義を現実のものとする、具現化するために、このような組織をつくったと」
山田教授
「そうです。こういう措置になったと。敢えて海巡を外したということですね」
反町キャスター
「そうすると、4つの組織をまとめたものというのは、山田さんの目から見ると、警察的なもの、ないしは軍に準じている?どんな位置づけに見えますか?」
山田教授
「軍の付属の施設、組織と見た方が正しいのではないかと。私は、中国の研究者と議論をしたことがあるんです。その時に中国側が言ったのは、海防と海上の安全保障を混同してしまっている可能性があると。要は、国を守る海防と、海上の治安全体を守ることと混同をしてしまっていて、この組織になったのではないかと」
島田キャスター
「誰が混同しているんですか?」
山田教授
「中国側です。要は、軍がやるべきことと、警察権がやるべきことを混同してしまっているから、今回のような事件が起きている。これは本来、公船がぶつかるということ自体、異常なことなんですね。ということが起こり得たのは海警局という巨大な組織ができていて、海上行政執行権、これは海警局が実際に持っているわけですが、この海上行政を誰が行うのか、どこが行うのかはまだバラバラです。となると、1つになっていないのに、警備機関だけを一本化してきた。だんだん巨大化しているということなんです」
反町キャスター
「凌さん、いかがですか。このまとめた海警局がほとんど軍に近いような組織なのではないかという話ですが、位置づけとしてはどういう組織だと見ていますか」
凌氏
「それはまず武器が全然違うと思いますよね。軍と、いわゆる警察、海警局、もちろん、前は、海監は全然武装をしていないんですよね。それで、今度は皆武装するようになったと。しかし、武装の武器は、軽武器というか、一応治安、警察的でして、言われたような、国際的な綱領を逃れるための、そういった点は、私はそういう知識もありませんし、わかりませんけれども。基本的には(ない)」
佐藤議員
「新しい船は違いますよね。現在、海警がつくっている新しい船はバカでかいし、武器も相当ですよね」
山田教授
「1万トンですよ。1万トンの巡視船。巡視船に1万トンがいるかということは、これは海洋覇権主義に使うしかないと。広大な海域に」
佐藤議員
「しかも、砲も大きいやつがつく」
中国漁船拿捕 フィリピンの狙い
島田キャスター
「6日、中国とフィリピンが領有権を争う、このスプラトリー諸島付近で、フィリピン警察が、海ガメを密漁していた中国漁船を拿捕しました。乗組員11人の身柄を拘束して、12日にそのうち9人が訴追されるという事態となりました。フィリピンが中国漁船を拿捕して、11人の身柄を拘束したんですけれども、これは3日のベトナムと中国の衝突の3日後でしたよね。その様子を見ていてフィリピンも行動に出たのかと。それとも、今回は全く関係なく独自にいったのか。これはどう見ていますか?」
山田教授
「全く関係ないとは言い切れないのですが、急に拿捕するというのは、かなり難しいので、いつでも拿捕できる準備に入っていた。地図を見ても、今回ハーフムーン礁というのはどう見ても、ここは中国の海域だというにはかなり厳しい海域で。たとえば、2年前に睨み合いになりまして、中国が現在、実行支配体制に入りつつある、スカボロ礁というのは、ここらへんの海域ですね。中国からよりもはるかにフィリピンに近い。しかも、このスカボロ礁が重要なのは中沙諸島という、このエリアで唯一海面上に岩盤が出る場所です。これは、沖ノ鳥島と一緒で陸地、領土と認められる唯一の場所なんですね。これがフィリピン(の領土)になってしまうと、中国は一気に中間線まで下がらざるを得ない。第一列島線が1つの島で変わっていく。スプラトリーに関しても、1島1島フィリピンは守っていかなければいけないと。そこまで実は追い込まれているんです。現在中国の影響力がどんどん広がって来る。その時に漁船を第一段階で使ってくるという中国の手法がありました。今回の衝突、ベトナムの場合はオイル、油の掘削施設を使うという。要は、既成事実を積み重ねていくことに対して、フィリピンもベトナムもノーだと」
島田キャスター
「凌さんは、この件をどう見ていますか?」
凌氏
「こういう漁船が漁のために出るのは自然で、そういうことはしょっちゅう起きる問題ですよね、越境しちゃう、それで対応する。そういったものは本当に友好的であれば、そこで解決する。現在のワシントン条約に違反したら、それは処罰すればいいのであって。今回のこれは明らかに、今も言われましたようにベトナム、フィリピンが、オバマ大統領の4か国訪問で、対中牽制を強化する。日本も含めてね。そういったあれがあると思うんです。ですから、こういうことになればなるほど中国はますます対抗してくるでしょうね」
尖閣諸島への影響は
島田キャスター
「南シナ海の衝突などが東シナ海にどのような影響を与えるのでしょうか?」
佐藤議員
「南シナ海と東シナ海というのは違います。中国と、ベトナム、フィリピンとの軍事力の差はすごいんですよ。だから、思い切って出られる。ちょっとぶつかっても、それは軍事的な衝突にはいかないんですね、格差がありすぎて強く出られるわけですよ。ところが、東シナ海だと海上自衛隊と米軍がいますよね。やってしまったら軍事的な衝突が取り返しのつかないことになる可能性もあるので、なかなか手出ししにくいというのがあります。ただ、そういう面において軍と軍は嫌でしょうけれども、彼らが一番強いのはまさに警察、かなり強大な軍隊に近い警察の部分を使うのが非常に彼らにとって強みで、我々はまさに今回グレーゾーンの話を、法的基盤を検討してやりますけれども、いきなり自衛隊、向こうは警察だとバランス悪いですね。そういう部分を今回いろんなものを中国はずっと研究していますから、いかにそういう警察機能を使って東シナ海で自分の権威、あるいは主権領土というものに対する動きを見せてくるということは、私は可能性がゼロではないと思います」
山田教授
「中国は尖閣諸島の領海に侵入しないでも東シナ海全域に出ている船を考えると決して減らしているわけではない。特に今年も大漁船団が来て1000隻は来ていただろうと言われるぐらいですね。しかも、その後ろには駆逐艦隊までついていた。尖閣諸島は、この段階でほぼ確保。日本と均衡状態まできた、そうしたらその次のステップは、東シナ海全域に展開していく動きにもう入っているのではないかと考えられるんです」
佐藤議員
「懸念しなければいけないのは、尖閣もそうですが、ガス田です。日中中間線のところにガス田があって、昨年報道があったように白樺と呼ばれる両方で、共同でやりましょうというガス田で、中国は動きを見せている。もう火が出ているという話もあった。国際社会(の目)が西沙諸島にいってしまうとこちらに飛び火する可能性がゼロではない。東シナ全体で考えないといけない状況ではないかなと」
反町キャスター
「海警局は、フィリピン、ベトナムに船を貼りつけ、東シナ海では日本、韓国に対峙する。中国にはそんな体力があるのですか?」
山田教授
「現在、十分にあると思いますね。1000トン以上が50隻以上あるだろうと言われています」
反町キャスター
「日本の海保は何隻?」
山田教授
「四十数隻だったと思います、ほぼ同じクラスです。ただし、小型は圧倒的に中国が多いです。3000隻はあると言われています。しかも、プラス漁船団を使って動いている。多くの漁船団は政府の管轄の中で動いている。2012年五島列島に106隻の中国漁船、しかも、100トンから500トンまで来たという事実があるんですね。狭い入江に一晩で106隻も、座礁することも衝突することもなく、きっちり入れられるかという話。しかるべき指揮官がいて、しかるべき動きをとっている。その時、この漁船団がその前にどこにいたかと言うと、日中中間線の周辺にいた。漁船団には何があるかと言うと、魚群探知機を持っています。魚群探知機を海面から海底面まで全て確認している」
佐藤議員
「この前、韓国と中国の漁船がぶつかって韓国の海洋警察が刺し殺された事件がありましたけれど、荒っぽいですから、そんな甘いものではありませんし、海警の船もあと5年ぐらいしたら、かなり数が増えるんですよ。いいものをつくっています」
尖閣有事への対応は
凌氏
「私はこれまでのプロセスを見ると、期待も込めて起こらないのではないか。現在もだいたい五分五分になっていると言いましたけれども、そのへん私はわかりませんが、現在の巡回も常態化しています。そしてなぜ衝突が起こらないかと言うと、これは、私の判断ですけれど、中国が来る時は日本も敢えて対峙して緊張をつくらない。中国側もそれに配慮する。お互いに配慮し合っているから、あうんの呼吸で衝突を避けていますよね。こういう状態が引き続き続くのではないかと思います。中国が巡視船をつくるのは当然でしょうね。中国の軍事費がGDPの1.3%台、この比率を維持するだけで、毎年150億ドルから200億ドル増えます。決して軍拡をしているわけではない。(全体の)成長率が7%、8%ということですから。ですから、中国に対抗していく考え方をやめて、どうやって中国と仲良くするかと」
島田キャスター
「中国の船と日本の船が衝突をするようなことがもしあった場合、日本はどういう対応をとったらいいのか?」
佐藤議員
「法整備をしないといけない。現在、安倍総理のもとで安全保障の法的基盤の諮問機関の研究会をやっていて、明後日報告書が出るとなっていますが、その中でまさに、グレーソーンと言われる部分の警察権を含めて、しかも、防衛出動というものに至らないその間の部分について、どういう対応ができるのかというのをまさに議論している」
反町キャスター
「たとえば、具体的にどういうものがグレーソーンにあたるのか?」
佐藤議員
「潜水艦が潜没したまま、日本の領海内に入ってきている」
反町キャスター
「それは違法な状態ですよね?」
佐藤議員
「海上保安庁に潜水艦に対する能力はありませんから。そうかと言って、それが防衛出動を発動するかと言うと、そこまでいかない。そのままでいいのかと、何らかの対応をしないといけない。しかも、軍艦ですから警察権では対応できないんです。公の船は国扱いですから。警察権というのは日本の法律を執行する、警察ですから。相手の軍艦とか、公船には執行できないわけです。であれば、警察権ではない、防衛作用、自衛権の発動の一貫のようなものでやるべきだと。これはマイナー自衛権。あとは漁民が上陸してきた。それが武装していたらしいと。かなりの数の漁民が不法に上陸した。これは警察の能力では対応できなくて、能力を超える場合、だからといって防衛出動かと。国の有事かというとそうではない。その部分についてもある程度対応しないといけないのではないかという話。もう1つ、中国の公船が領海の方に入ってきて、たとえば、尖閣にどんどん近づいてくる。でも、それには現在の状況では海上保安庁は放水ぐらいまでしかできない。どんなにがんばっても接舷規制ぐらいまでで、実際そこを止めるために射撃はできない。これは公の船だし、乗り込んでいって船を止めることもできない。これは、海上保安庁が警察だからですね。自衛隊が出て行ってやるかというと、イメージ的に向こうの警察に軍が出るのも変でしょうから。そういう部分ではどう海上保安庁がやるか、自衛隊を含めてやるにも、止めないことには上陸されてしまいます」
反町キャスター
「たとえば、海保に対潜機能をつけた方がいいのか?」
佐藤議員
「潜水艦は軍ですから、これは自衛隊がやるしかないと思います」
山田教授
「今回のベトナムと中国の衝突というのは、グレーソーンそのものだと思うんです。これまでにない、警備船と警備船が直接ぶつかる事態になってきた。では、日本の海上保安庁がそれに耐えられるのか。法的にそれができるのかと言うと、そこまではいききれないところがある。日本が躊躇し、放水しかしないという方針しか出していない中で、どこまでするのか。私は自衛隊が下がるよりも、海上保安庁をコーストガード機能としてしっかり上げていくべきだと。なんせ447万平方㎞という広大な排他的経済水域を持っているわけですから、この海域を守るに値する広域で活動できるコーストガードにしていくべきだと思います」
佐藤正久 自由民主党参議院議員の提言:『ASEAN台湾+日米豪』
佐藤議員
「ASEAN、台湾を含めて、この国々に日本、アメリカ、オーストラリアが海上警備能力を真剣になって与える、あるいは支援するという枠組みをやらないといけない。現在、南シナ海の方に来ているのは力の差がありすぎるんです。あまりにも海上警備能力がベトナムもフィリピン含めて差がありすぎる。高めないと中国の膨張主義は止まらない。日本にとって、台湾が警備能力を上げるということが、我々南西諸島でつながっていますから。一緒になって、海を守っていこうと」
凌星光 日中学術文化センター理事長の提言:『外力排除、係争棚上げ、共同開発』
凌氏
「外力排除は主にアメリカですが、先ほどいろいろ議論されている中でも、私が言いましたように、2002年に行動宣言を出したあと、安定した時期がありました。アメリカが2010年でしたか、東南アジアでアメリカの国務長官ヒラリーさんが中国の代表の楊外交部長に対して抜き打ち批判をやりました。それからおかしくなってくるんです。ですから、アメリカの影響力を排除するということ。これがない限り、このいざこざはずっと続くでしょう。ですから、時間はどのぐらいかかるかはわかりませんけれど、これが1つの条件だと思います。それから、係争棚上げ、共同開発は、鄧小平さんが言った言葉で、これは日本に対して、それからASEANにも言った言葉です、南シナ海についても。こんな主権争いをするなんて、21世紀のバカバカしいことです。こういうのをやめて、共同開発する。日本とは1980年代の初め、ちょうど平和友好条約をつくったばかりの頃、そういう雰囲気があったんです。ところが、それを日本の右翼の人達の反対で、だんだんと今や不可能に近い状況になっちゃった。しかし、時間はかかるでしょうけれども、これしか解決の道はありません。佐藤さんが言ったように、台湾も入れて…、しかし、それで10年持ちますか、20年持ちますか。ですから、結局和解せざるを得ないんです。そのへんのところ、長期的な日本の外交戦略というものをぜひ考えていただきたい」