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2014年4月30日(水)
甘利TPP担当相語る 日米交渉土壇場の真実

ゲスト

甘利明
TPP担当大臣 経済財政政策担当大臣
高橋進
日本総合研究所理事長

甘利担当相に問う TPP日米交渉の真実
島田キャスター
「フロマンさんと、顔を突き合わせて、夢に出てくるまでの顔だと思うのですが、フロマンさんという方は、どういう方だと思っていますか?」
甘利担当相
「人間的には、陽気なアメリカ人なんですけれども、すごくタフで、ねちっこいんですよね。これはこのへんで、ここでいいというところに行かない人ですね。オーストラリアのロブ大臣は割とさっぱりして、日本がこうだろ、俺達はこうだろ、では、ここでどう。これだったら、俺がまとめるけどという感じで、30分で終わっちゃったわけですよね。ところが、フロマン代表はもともと現役の弁護士ですからね、要するに、では、このへんでと、たとえば、日本側が返事をしたら、今日はいい返事だと。明日になったら、ここをこの基準でもう少しがんばれないかと言う人ですから、そのペースに乗っちゃうと、底なし沼になるわけですよね」
反町キャスター
「たとえば、セカンドトラックで事務レベルとか、ないしは政党間とか、議員同士とかで、うちの弾はこういうところまで出せるのだけれども、お前のところはどうなんだという、下から積み上げていくようには今回はあまりなっていないのですか。大将同士でいきなり真剣を突きつけあう感じなのですか?」
甘利担当相
「彼は、性格というのか、職業柄というか、自分で決めないと納得しないですね、最終的にね。ですから、事務ベースで進めていくようなことを、大臣間でやらなければならないわけです。かなり細かいことまでも。通常3対3、スリーオンスリーでやっているのですが、話が堂々巡りになっていくと、マンツーマンでやろうかと。そうすると、役人を全部排除して通訳を置いただけで、2人きりで延々とやるわけですよ。その時にいろんなボールが飛んでくるんですよ。全部受けて、返さなければならないです」
反町キャスター
「それは、たとえば、向こうには、カトラーさんとかいて、こちらには大江さんとか、いろいろな方がいらっしゃる中で、フロマンさん、カトラーさんの関係はどう見えますか。ちゃんと意思疎通、横の連携はとれているのですか?」
甘利担当相
「とれてはいるんでしょうけれども、フロマンさんという人は自分で全部やらないと納得しない人ですね。日本側というのは大臣が大江さんなり、鶴岡さんなり、誰なりに、この部分まではもう任せるから詰めてこいと。そちらの権限でいいからとやるわけですよ。普通はどこもそうです」
反町キャスター
「積み上げですよね」
甘利担当相
「どこの国もそうです。閣僚会議というのは、極端なことを言えば、ほとんどここまできてあとはどちらをとっても、その場の雰囲気でやってくださいという時に、閣僚会議をやるのですけれども、TPPの特に日米に関しては全くないですね」
島田キャスター
「相手の方から出てきてくれないかというのが、フロマンさんの交渉のやり方なのですか」
甘利担当相
「アメリカは、要するに、もうアメリカ側の譲歩は済んでいるではないかという感覚ですね」
反町キャスター
「それはそもそも待ったなしというところもあります。日本が来るのが遅かったという」
甘利担当相
「要するに、基本的には100%自由化だとね。だけれども、日米首脳会談で入会する時に確認したわけですよ。最初から100%自由化を前提にスタートには入りませんよと。いや、そうではないと。だけれども、聖域が、何が残るかは、交渉の結果として出るものだと確認してから、我々は入ったわけですよ。だから、それに沿って、我々はやっているわけですよね。ある程度、何がどうというのは内容にかかわることですが、ある程度もう認めているではないかとね。100%自由化ではないということを、ある程度、認めているではないかと。それで、自分達の譲歩は終わったという論を展開するんですよ。それは違うだろうと。だって、この関税以外ですよ、アメリカ側が言っていない部分は、ルールとか、市場アクセスとか、いっぱいあるわけですよ。それだって、我々は最初から、自由化をしている部分だろうと。そちらはしていないではないか、こうやりあうわけですよね。それぞれの国は自分の有利なところで展開していますから、現在この関税のところだけだと。いや、そうではないと。包括的合意なのだから、関税以外のところだってあるではないかと。こちらでは、日本は確かにそちらほど優等生ではないかもしれない、開放度合いが。だけど、こちらを見てみろ、俺の方が優等生だろうということをやりあうわけです、いろんなことを」

TPP 日米共同声明の意味
島田キャスター
「共同声明で、『両国はTPPに関する2国間の重要な課題について、前進する道筋を特定した。これは、TPP交渉におけるキー・マイルストンを画し、より幅広い交渉への新たなモメンタムをもたらすことになる。このような前進はあるものの、TPPの妥結には、まださなれるべき作業が残されている』と、こうなったわけですけれども、何だかわかりにくいような表現も盛り込まれています。これはどういう意味なのでしょうか」
甘利担当相
「重要な課題というのは5品目プラス自動車ですね。これについて前進する道筋を特定した。こうすれば大筋合意にたどり着くという道筋を特定したということですね。まだ大筋合意に至っていないけれど、こういう道をたどっていくと大筋合意になりますねということを共有したわけです。それを共有できた、つまり、1つの大きな前進ができたということは、言ってみればこれは重要な目安になると」
島田キャスター
「このキー・マイルストンというのは、重要な目安」
甘利担当相
「ですね。重要な目安というのが何かというと、このことを通じて全体の交渉、12か国全体の交渉を推進していく力を注入することになるという、つまり、日米というのは12か国のうち経済のシェアが8割ですから、8割の国が大筋合意に向けて、道筋を特定したということは、それ自身が全体交渉の重要な目安。新たな勢いをつけるということになる」
島田キャスター
「そうすると、これは、他の国も含めたTPP交渉における」
甘利担当相
「日米交渉が進むことによって、全体の交渉を」
島田キャスター
「より幅広い交渉への」
甘利担当相
「そうそう、モメンタム、勢いをもたらすことになると。
反町キャスター
「それは、つまり、5項目、コメ、麦、砂糖、牛肉、豚肉、乳製品、ここの部分と、自動車ということですが、これは日米間では、パッケージとして、えいやで決めようという、こういう約束事ができたという理解でいいのですか。別の言い方をすると、たとえば、コメ、麦、砂糖が決まって、残りは牛肉、豚肉という議論の仕方にはならない」
甘利担当相
「いや、なっていないですよ。これは、パッケージ合意ですから、全部がセットで決まるんですね」
反町キャスター
「そうなんですね。たとえば、コメ、麦、砂糖だけ決めておいて、これはもう動かさないよ。牛肉、豚肉の議論をしようよと言っても、こちらが揉めるとコメの話はなしだよという、こんな感じなっているのですか?」
甘利担当相
「1個1個が構成する、全要素がフィックスしているわけではないんです。これはこちらを高くすると、こちらが低くなるとか、こちらを強くすると、こちらは長くなるねと、いろんな要素があるわけですね、構成するファクターが。その方程式は、共有したわけです。全部にインプットしていてカチッとしたところで全体がコンプリートされていくんですね。そういう種類で。だから、ここだけは決まって、はい、これこれは1個できました。はい、次というわけではないんですね」

日米交渉の現状と課題
反町キャスター
「そうすると、ここがスタート地点で、こちらがゴールだとした場合、皆同じぐらいのところで現在並んでいるんだということでよろしいのですか。それとも、たとえば、濃淡があるみたいなこんな感じですか?」
甘利担当相
「いや、基本的には皆並んでいるという感じですね。ただ7、8合目と表現しているんですけれど。だから、それぞれ要素が違うんですよ。進捗はかなりきていますが、技術的な問題で事務的に対応すればいいとか、政治的な問題が残っているとか、そういう色あいとはちょっと違うんです。ただ、進捗状況はだいたい皆(同じ)」
反町キャスター
「たとえば、背景が違う。車だったら、向こうはデトロイトだし、豚肉だったら、豚肉業界だし、そういう意味ですか?」
甘利担当相
「うん、関税の問題もあれば、それ以外の問題もあるし、それから、技術的に処理する問題があれば、まだ重要なファクターを入れていかなきゃならない問題もあるしという、そういう質的な違いがあります。質的な違いがありますが、進捗は皆、7、8合目まできているという形です」
島田キャスター
「一番時間を割いたのは、今回の4月でどのあたりですか」
甘利担当相
「ええ、だいたい皆順繰りにやりましたけれど、アメリカが我々の想像を超えて、アメリカ側が皆大事だと言っているでしょうけれど、我々は自動車というのが大した話ではないのかと思ったら、自動車大国のアメリカは自動車にもこだわりますね」
反町キャスター
「それは、製品の2.5%の話ですか、それとも部品の方の話ですか?」
甘利担当相
「全てそうなのですけれど、要するに、自動車の問題は、アメリカの基本的な考え方はお互いの市場で売れている比率が全く違うではないかと。それは障壁があるから違うんだというのが基本的な考え方だと。そうではないでしょうと。障壁は、モノの問題で、現実にEUの車は史上最高益、13倍、史上最高販売数を、さらに超えて、玉が足りないぐらいに売れているというのに、アメリカ側は議会を中心に、売れていないのは閉鎖性があるからだと」
島田キャスター
「車の話もそうですが、今回の交渉をどう見ていましたか?」
高橋氏
「日本側が攻められる立場で、聖域を守らなくてはいけないということで言うと、私は、想像していたより、はるかに日本はタフな交渉をしているなという感じがしますね。それにもかかわらず、合意できないというのは、日本側の問題もあるけれど、アメリカ側も選挙を控えていて、安易な妥協をしてしまうと選挙にマイナス。しかし、逆に、うまくアピールできるかもしれない。そのへんの思惑があって、日本側の事情だけではないのではないのかなという気は、素人ながらしているんです」
反町キャスター
「そういう話は交渉の場で出てくるものですか。フロマンさんも、いや、うちだって中間選挙を控えていて、どうにもこうにも、引くに引けない部分があるので、わかってくれよという話にはなりますか?」
甘利担当相
「お互いに議会(がある)。こちら側にはとにかく国会決議があると。これを無視するわけにはいかないし、そんなことをしたら通らないよ、国会を。通らないと入れないよと言うわけです。それは、向こうは向こうで、我々だって議会から毎日攻められて大変だと」
反町キャスター
「そういう時はお互い大変だなと、友情が生まれるわけではないんですよね」
甘利担当相
「だから、お互い大変だよなと」
島田キャスター
「言うけど、お互いの立場をわかっていながら、交渉をしなければいけないという」
甘利担当相
「だから、あなたが大変なのはわかるけれども、俺はもっと大変だと。だから、これは大変な同士だけれども、着地点を探すには両方が歩み寄らないと着地点にならないよと。だから、交渉事というのは一方が一方に寄っていくということではないでしょうと。そう、その通りだと。だけど、俺達はもう十分寄っただろうというやりとりになるわけですよ。いやいや、まだ寄っていないよと」

TPP交渉の行方
反町キャスター
「スケジュール感でいうと、麻生さんは、先日派閥の会合のあと、閣議後の会見でも、11月の中間選挙までは決められないよと。オバマさんはそんな力がないと。こんな話を、いつもの麻生さんの口ぶりでおっしゃっているのですが、11月の中間選挙まで何もまとまらないのではないか、まとまらないよということを、財務大臣、副総理から出てきてしまうという状況については、ちょっと困るのではないですか?」
甘利担当相
「麻生さんの話は、あの人は、よく誤解を受けるんですけれども、彼が一番言いたかったのは、大統領に力がある、ないという話ではなくて…」
反町キャスター
「でも、ないと言っていましたよ」
甘利担当相
「まあまあ。と言うのも、日本だって、安倍内閣と議会の関係は、TPPに関しては微妙ですよ。本当に綱渡りですよ。党内だってね。これだけ60%の支持率を持っている政権ですら、こうなのだから、(支持率)50%ないオバマ政権、しかも、ねじれですから、余計大変でしょうということを、だから、難しいのではないのかと。その選挙を前に、しかも、支持母体は労働組合で自動車労組が最大ですよね。自動車労組は大反対ですから。それを仕切るのは選挙を前にしづらいでしょうという、その状況を考えれば、至極最もな見通しを、副総理はおっしゃっていたんですね。ただ、その一方で、オバマ大統領がTPP交渉の加速を命じたということは、自身の8年間の大統領生活をあとで振り返った時に、これが成果の柱の1つだということを打ち出したいと。しかも、いろいろなかなか結論が出ない国際課題がいっぱいあった中で、決めることができたと。強い大統領ということで選挙に臨むとしたら、例え、身内から反対があろうと、世の中の支持は得られるのではないかと。そういう見方もありますよと。ですから、支持母体が反対するから、選挙のあと回しにするだけではなくて、それ以外にむしろ選挙に勝つために、支持母体は支持母体として、どこかに離れてしまうというのはないですからね。どういう場合にもついてくれるでしょうからね。それ以外の広い層に向けて、決めることができる、難しい課題をまとめ上げた大統領ということで、中間選挙に臨むという考え方もあります」
反町キャスター
「その意味で、まだ希望は捨てていないということで、一方で、本当にうまくいかない、TPP漂流という言葉が最近ちらっと出てくることもあるんですけれども、中間選挙を跨ごうと、跨がなくても、TPPが漂流する、要するに、昔のWTOみたいに、どうにもならなくなっていくみたいな状況にはならないという確信はありますか?」
甘利担当相
「この日米首脳会談を経る前と、前といっても、シンガポール会合のあとと、現在とでは、私はTPPがまとまる方にかけますけれどもね。シンガポール会合のあとだと、これはひょっとすると漂流する感じが」
島田キャスター
「日本はもちろん、急ぐのだけれども、そんなに焦ってやるという必要性はそこまでないわけですね。と言うことは、交渉は相手のあることなので、アメリカの決断というか、オバマ大統領のどうしていきたいかという、そこにある意味委ねられるということもあるわけですか。時期については」
甘利担当相
「経済規模の大きい順に、そこがTPP全体の命運を握る比率になるわけですよ。アメリカが一番、それから日本。ですから、日米は非常にTPPがまとまるか、まとまらないかの鍵になるということですよね」

TPPと経済財政政策
島田キャスター
「法人税を減税することにどういったメリットがあるのですか?」
甘利担当相
「法人税率が低ければ国内外投資が盛んになります。投資が盛んになれば経済は当然成長していきます。経済が成長すれば規模も大きくなって税収も増えていく関係にありますよね」
反町キャスター
「相対的な日本の魅力を高めるという意味だと思うのですが、そうすると、中国、韓国並みまで下ろさないと、36.45%だったら10%以上下げないと意味がないということになりますか?」
甘利担当相
「日本がどこと競争しているかということはあります。欧米の企業よりもむしろアジアですね。競争しているということはあります。ただ、少なくとも欧米の企業も日本企業以上に競争力を持って世界展開していますから、少なくとも競争相手の平均的な法人税率あたりは目指していくべきかなということは考えます」
島田キャスター
「だいたいどのぐらいまで目指せば?」
甘利担当相
「20%台になるということは、メッセージ性としてはかなり強いと思うんですけどね」

日本企業強化の方策 法人税減税の行方と課題
島田キャスター
「法人税減税の引き下げによる税収減の代替案は何が一番有望だと考えますか?」
甘利担当相
「法人税減税をする際に、2つの視点が必要だと思うんですね。1つは単年度で収支をあわせるのか、複数年度であわせるのか。つまり、減税した分だけ増税をするということになると、企業の競争力にとってプラスマイナスゼロなのかどうなのかということですよね。ですから、法人税減税をすることによって、投資が拡大する、経済の規模が拡大する。そうすると、翌年度には取り返せるとか、そういう考え方をどこまで追い込むのかということ。あとはいろいろな制度をいじる時には、私は元経済産業大臣、競争力担当大臣として、産業競争力の障害にならないという点を重視してもらいたいと思いますね。政府税調とか、党税調で各論は議論されるでしょうけれども、競争力にとってマイナスにはならないという視点で、下がってもらいたいと思います」
反町キャスター
「財政健全化に対してマイナスに働きませんか?その分を、たとえば、プライマリーバランスの均衡に向かって使うべきかどうかという議論もありますよね」
甘利担当相
「財政再建の道筋を2015年にプライマリーバランスの赤字幅に還元する。2020年に黒字化するというプランは経済成長が目録通り見込めてと書いてあるわけです。と言うことは、成長が失速したら全部狂うわけですね。だから、成長が失速しないために使うということは大事だと思うんですよ。財政健全化に全部使っちゃったら、経済が失速したら大元から全部崩れます、もっと大きな穴が開きます。書いた絵図は経済成長が2020年ぐらいに3%を超えるぐらいで設定してあると思いますけれど、それを確保するということをまず考えないと、財政再建論者にとっても財政再建が足下から崩れてしまうということになりますから、上べりの分は、財政再建の絵図を確保することに使うという発想が大事だと思います」

国際競争力をつけるには
反町キャスター
「農業や医療の規制緩和をすることによって、日本経済が底上げされることはあるのですか?」
甘利明内閣特命担当相
「確かに医療分野だけでいくと500兆円のうちの何十分の一かもしれません。農業にいたっては、全生産額は8兆円しかないわけですね。しかし、これはある種起爆剤みたいなものですね。動きが始まるといろんな集積になっていくわけですよね。関連するところに波及し、どんどん飛び火していくんです、良い意味で。それがまた新しい集積をつくっていくことにつながっていくと思うし、期待をしています。それから、大事なことは、産学官連携の集積ができていく中で、規制緩和要望を、現場の要望をどんどん優先的に採用することになっているんです。国家戦略特区というのは技術の規制緩和と公設民営の学校の話とか、医療の病床数の規制緩和とか、いろいろなメニューがあるのですが、そのメニューのどれを使ってもいいんですけれども、その集積の中で動き始めたら、実はそのメニューにはないけれども、こんな規制緩和が必要だということはどんどんあげてくださいと。実態に則している、本当に効果があるという、仕事をしていくうえでぶつかっている規制に対して緩和要望があがってくるんです。優先的に取りあげますよと言っています。言ってみれば、国家戦略特区が広い意味での実験場になるわけです。そこであがった成果はどんどん展開していきますから。そうすると、広範に量も質も広がっていく、産業革命が起こってくるだろうと期待しています」

高橋進 日本総合研究所理事長の提言:『・期待成長率の引き上げ ・財政健全化の一丁目一番地は歳出抑制』
高橋氏
「経済と財政と分けて申し上げたいと思います。経済については、1つの成長戦略をとったら、それで変わるっていうものではないと思うんです。デフレを脱却して、いろいろ言われているメニューを着実に1つずつこなしていくことが大事だと思います。現にこの1年間で、企業はこれまでだったら日本は成長しないよと思っていたのに、だいぶ変わってきましたよね。ただまだ足りない。もっと続けることによって企業の期待成長率が上がっていけばしめたものなので、安倍政権が正しい政策を取り続けることが大事。これが1つですね。もう1つの日本の課題は、財政健全化ですが、ともすれば増税をと言われがちなのですけれども、たとえば、社会保障を中心に歳出をできるだけ抑え込んでいくということを通じて、財政の健全化の筋道をつけていく。どうしても足りなければ、国民に増税をお願いする。そういう形なのかなと。ですから、すぐに増税に頼るということではなくて、それは最後の手段にしておいて、成長と歳出抑制で財政健全化の立て直しの基盤をつくって、足りない分増税をお願いする。そういう姿勢が必要かなと思います」
甘利担当相
「おっしゃる通りだと思います。まずは世界中の投資家が、日本がこれから成長市場になるという期待を持ってくれるようになることが大事です。これからは日本だという期待値はかなり上がってきています。財政の健全化は歳出にしっかり切り込む。実は1994年の予算というのは、66兆円です。2014年の予算は96兆円です。30兆円増えています。30兆円のうち94%は社会保障費と国債費で占めていたんです。国債費は切りようがありません。財政再建をしっかりやるということが金利上昇を抑えていきます。要は、社会保障費です。これは小泉改革の時に失敗したのが無理に切っていったんです。だから、どうしようもなくなっちゃったんですね。ここはシステムを変えることによって自然に減っていくのが大事だと思うんです。医療情報の見える化をはかる。番号制もこれから出ていきますから。こういう検診結果の人が何年後にこういう成人病になるというのがわかる。先回りして予防ができる。あるいはもっと先回りして健康診断を企業がきちんとやる。企業によっては、部下が健康診断を受けなかったら上司のボーナスが減るという会社もあるんですよ。そうやって無理にカットするのではなくて、合理的に医療費を削減していく。情報化をうまく使ってとか、いろんな手立てがあると思います」

日本人の働き方 労働生産性上げるには
島田キャスター
「日本の労働生産性がかなり低いのですが、どうしてですか?」
高橋氏
「どうも日本は長く働いていれば、それで収益が上がってくるみたいな、時間でカバーしようという考えが強すぎたのではないか。力がある人がちゃんと働いたら、それなりの報酬を払うという正しい成果主義をきちんと入れる。力のある人が力を発揮できるようにしていくことが1つあると思うんです。もう1つは、日本の生産性が下がってきたのはデフレが大きかったと思います。デフレの下では企業は、お金を溜め込んでしまって使わないですよね。設備がどんどん古くなっていくけれども、投資はしない。であれば、古い設備は生産性が落ちてきますよね。デフレの下で企業が投資をしないから、生産性が落ちてしまった。それから、もう1つは、デフレの中で企業はできるだけ労働コストを抑えようとした。賃金を上げない、非正規を増やすということをやった。その結果、目先は確かに賃金コストが下がったけれども、人に投資をしないわけですよ。人に投資をしないということは、付加価値が生まれてこないということですよ。結局、企業の付加価値とか、国の付加価値と言いますけれど、それを生み出す源泉は人ですよね。だから、人を育てるということをやらなければ、国の生産性は上がっていかない。どうも日本はデフレの下で設備投資と人への投資をやめてしまったので、結果的に両方とも伸びなくなってしまったということだと思います。ですから、これからは賃金を上げるということが話題になっていますが、賃金を上げるだけではなくて、企業がもっと人に投資をして、優秀な人がどんどん生まれていって、その人が成果を上げていく、企業の売上げも伸びていく。そういう好循環をいかにつくれるか。そういう流れの中で今回のことも考えるべきだと思うんです。たとえば、女性の力は、日本はすごく強いと言われている。ところが、女性がなかなか、出産や子育てで力を発揮できない。それだけではなくて、もしそういうことがあると男性社員と同じように働けないですよね。働けないが故に、キャリアアップの道が閉ざされてしまうのはおかしいではないですか。だから、出産や子育てでハンディキャップがあったとしても、その人に力があれば労働時間に関係なく成果を上げたら給料をあげますとした方が女性も育つし、日本も良くなっていくのではないか」