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2014年4月29日(火)
成長の柱か壁か 医療改革と国民皆保険

ゲスト

伊藤元重
財政諮問会議民間議員
宮田俊男
日本医療政策機構エグゼクティブディレクター

安倍政権の医療改革 日本の医療の問題点
島田キャスター
「2013年度までの社会保障給付費の推移ですが、過去18年間、グーッと増え続けているのですが、名目GDPは減少し続けているんですね。それなのに社会保障給付費は増え続けて、そのうち、医療、介護が占める割合というのは、およそ全体の3分の1ということになっています。現在の日本の医療の一番の問題点は何だと思いますか?」
伊藤氏
「そうですね。ちょっと整理をしてみたのですが、いろいろあるんですけれども、とりあえず、この3つを指摘したいなと思います。医療費の拡大、今ご説明のあったことですが、これまでも大変なんですけれども、本当に大変なのはこれからですよね。つまり、高齢化がどうしても進んでいきますから、現在の状態を放置しておくと、どんどんフィーが増えてしまう。もちろん、それを増税で賄えればいいんですけれども、どう考えても難しいという形で、これをどうやって是正していくか。医療費が増えていくとは思いますけれど、その増え方をどうやって抑えるのかということが第一のポイントですね。2つ目、医療の非効率性と書いたんですけれども、現在も、本当にがんばって、でも、これ以上、もう雑巾を絞っても水が出ないような状態であれば、これはもっと考えないといけないですが、明らかにいろんなところにもっとうまくできるのではないだろうかという部分があると思いますから、そこを是正していくのは、とりあえず非常に大事ということが、第2点ですね。さらに、医療というとどうしても保険でカバーされている、部分で考えがちなのですが、それも含めてなんですけれども、もっと大きな我々にとって健康だとか、そういうことも含めて、広い分野であるとすると、もう少し経済が、産業化とか、そういうことができたらいいなと。たとえば、新しいテレビが出てきて、需要がどんどん増えていったら、産業は活性化するし、皆が豊かになるから、うれしい話なんですよね。医療だけが増えていけばいくほど、何となく財政負担で厳しいというのは、それだけ公的な部分に縛られている部分が多くて、これはしょうがないんですけれど、その外の部分、産業の部分をもっと拡大していくということを真剣に考えていくべきだと思います」
反町キャスター
「1兆円とか、2兆円とか毎年増えていく中で、たとえば、それを予算でカバーする部分、ファンドから出てくる部分もあるので、全部こっちではできないのですが、医療費が増えていく部分を毎年毎年、たとえば、税とかで対応していこうという発想自体は全く検討するにも値しないぐらい無理な話だという前提ですか?」
伊藤氏
「最初はおっしゃるように税でカバーする話ではなくて、対象をどう見るかと。そこがまずスタートだと思いますよね。そこをまずやらない中から、いきなり税で賄うという話をしても、それは国民は納得はしないと思いますから。ですから、そういう意味では、今日の話は歳出の部分をどうやっておそらく削っていくというよりも、増やし方を抑えていくということが、たぶん、現実的だろうと思います」
反町キャスター
「なるほど、スローダウンですね」
伊藤氏
「高齢化が進んでいきますから、先ほどのデータにもありますように、65歳以上の高齢者の方と、それ以下の方が全然医療費が違うわけですから、そちらの65歳以上の方、どんどん増えていくわけですから。だから、個々人の、国民1人当たりのレベルで見れば、それはたぶん削っていくという話だと思います。それでも全体で見れば増えていくのですが、それをどうやって抑えていくかという話だと思います」

成長戦略の柱になれるのか 安倍政権の医療改革
島田キャスター
「主な医療改革。伊藤さんが民間議員を務めている経済財政諮問会議においては、たとえば、社会保険制度改革や、診療報酬の適正化などが話し合われています。産業競争力会議では、先週出演いただいた増田寛也さんなどが民間議員を務めていますが、こちらでは混合診療の拡大といったものが議論されています。今日のゲストの宮田さんが補佐官として携わっています健康医療戦略推進本部におきましては、医療、医薬品、医療機器を戦略産業としてどう育てるのか。こういったことが話し合われているのですが」
反町キャスター
「安倍政権の目指す医療改革の方向性としてどんなものがあって、狙いはどこにあると見ていますか?」
宮田氏
「過去に、銀行も三菱とか、UFJとかが統合して、効率化され、基盤も強化されたんですね。日本の場合には、病院の数があまりにも欧米と比べると多すぎると。一方で、たとえば、最近岡山大学。かなり大きな大学の医学部ですが、岡山県内にそういう関連病院があるわけですね。彼らは岡山大学ホールディングスとして、一緒になって一法人的でやりたいという話もあるわけです。そうすると、たとえば、外科医や小児科医というのもかなり効率的に人材を回す、うまいことできると。そうすると、医療の質を良くする。一方で、経営基盤も良くなる。そういう1石3鳥的なことがやれるわけです。一方で、先ほど薬剤費の話もありましたけれど、アメリカにしても、ヨーロッパにしても、製薬会社の数は少ないですよね。アメリカではファイザーとか、イーライリリーとか。イギリスではアストラゼネカとか、グラクソとか、日本はエーザイ、武田、第一三共、塩野義とかたくさんあるわけですね。そういったようなことが、日本がなかなかジェネリックが進んでいかない。逆に言うと、なかなか改革が進んでいかないということになるわけです。でも、これも最近ファイザーが、イギリスのアストラゼネカを買収しようという話も出てきていますけれども、日本の製薬会社もこうやって統合して大きくなっていけばグローバルで戦える会社になっていけるわけです。病院と、製薬企業の両方の改革が必要ではないかと思いますね。安倍政権が産業化につなげていくところが、まさにそこにあると思います」

診療報酬の適正化
島田キャスター
「伊藤さんから問題点として提起したこの3つ。医療費拡大、非効率性、産業化の遅れ。この道筋に沿って話を聞いていきたいと思いますが、まず医療費の拡大。つまり、コスト削減の話ですが、診療報酬の適正化から。これは具体的にどのようなことをしようとしているのか?すぐにできることでしょうか?」
伊藤氏
「2つの点がありまして、診療報酬、薬剤費と、両方あるんですけれど、これまで、たぶん過去の慣行では、薬剤費はいろんな技術革新があるものですから、下がっていくのですが、それを診療報酬の技術市場の方に何となく上乗せすると。全体でバランスするというようなこと、政治的なバランスがあったんですね」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
伊藤氏
「要するに、薬剤費を下げたのだから、技術料を上げましょうというような話」
反町キャスター
「と言うことは、トータルの医療コストは変わらないということですか」
伊藤氏
「多少は全体で調整するかもしれませんけれども、そういう傾向にあった。本来は、それは別のものであると考えるだろうと思いますけども。たとえば、そういうところをしっかり1つ、1つの項目、この場合で言うと、薬剤費と診療報酬を見ていくということが、第一にあると思います。それから、薬剤費に関しては、我々が指摘しているのは、2年に1回、いわゆる薬価の改定になるわけです。だけど、これは実は簡単に計算をしてみると、毎年もし改定することができれば、それなりの、かなりの薬剤費の、いわゆる節約になると思います」
島田キャスター
「それはどういうことですか?」
伊藤氏
「それは2年に1回変えている、2年1回下げていくわけですから、本来であれば、毎年実勢に合わせて、毎年下げていけば当然その金額はバカにならないんですよ」

薬価改定と診療報酬
反町キャスター
「薬の値段というのは上がることはないのですか?」
伊藤氏
「うんと、基本的には。競争がありますからね」
反町キャスター
「必ず将来的には下がっていくのだから、発売時が一番高くて、その後はスケールメリットにより競合他社の類似品の発売によって下がっていくにもかかわらず、2年間、最初の値段を放っておくことで、これは要するに無駄とは言いませんが、余計に払っていることになるのではないかと」
伊藤氏
「というふうに我々思っているわけですね」
反町キャスター
「一方、診療報酬ですけれども、腕の良い悪いとか、よくあるじゃないですか。新人の医師も、キャリア30年のベテランの、神の腕と呼ばれる人も同じ値段なのか。」
伊藤氏
「私は経済学者としては、うん。ただ、それも現在はその制度の中で診療報酬の、同じ料金でやっているということですから、それを変える議論はもちろん、議論はしてもいいと思うんですけれども、とりあえずその前にやらなければいけないのはどういう料金になっているのかということをしっかり情報として正確に捉えて、やるという、まず仕組みをしっかりやらないと。それはPDCAということになると思うんです」
島田キャスター
「現場で働いていらして、医療の現場でも、実際の価格とやはりズレが生じている。こういう指摘が多い。そういうことは実際に感じられますか?」
宮田氏
「実際に日本の場合には、たとえば、高血圧の薬でもかなりジェネリックを使うのではなくて、新しい高血圧の薬を使う傾向にあると。先日もノバルティスのディオバンの問題もありましたけれども、欧米ではああいった高血圧の薬はジェネリックを多く使うわけですね。日本の場合にはジェネリックを使う割合が少なすぎるわけです。とは言っても、これも政策的にやっていかないと、現場の医師1人1人の処方を変えていくというのは難しい」
島田キャスター
「ジェネリックが普及しないのはなぜですか。同じですよね。基本的に」
宮田氏
「そうです。ジェネリックが現場の方では、安かろう悪かろうで、質が悪いのではないかと思われる方が多いんですね。でも、実際には、それは化学的には同等であると、ジェネリックは。と言うことで、ジェネリックが認められているわけで、その中で、日本にお金があれば、それでも、先発品の方を使ってもいいですけれども、これだけ財政が厳しい中で、医師側もそういうジェネリックを処方するということが必要だと」
伊藤氏
「これはまだ実際議論されている段階ではあるのですが、将来的に見ると、たとえば、ドイツは確かジェネリックは、もちろん、保険でカバーされるんですけれど、それを超えて、いわゆる少し高い薬を、ジェネリックを利用可能であるにしても、使った場合にはその部分は保険では全部カバーしませんよと。そこまでやるかどうかということは、今すぐ議論は出ないのですけれども」
反町キャスター
「でも、医療財政が圧迫して、逼迫してきて、そのぐらいやってもいいのでは、健康上問題なければ」
宮田氏
「実際に製薬企業の営業活動の中で、病院や医師にそこの寄付金の問題があって、それによって、医師とか、病院とかにお金が入ってくるわけです。だから、ジェネリックを使ってもそういううま味がないわけです。そこのところが現在大きな問題になっていて、日本が健康医療戦略推進本部で、まさに研究開発を進めていこうという時に、製薬企業と病院、医師の、こういう癒着構造でいいのかという問題が出ているわけです。これは世界的には透明性をしっかり見える化して、こういう不適正な、そういう寄附金の問題を解決しないといけないと。そうすることによって、現場のそういう癒着的構造をなくす。そうすると、ジェネリックを本質的に使ってくるようになると思うんです」

社会保障制度改革
島田キャスター
「経済財政諮問会議の議題の1つの社会保険制度改革についてこのようなことが話し合われているということです。保険者による被保険者管理のインセンティブ付与、地域医療ビジョンに関する医療支出目標の導入、地域横断的な医療介護情報のICT、情報通信技術化と。この3つを上げていますけれども、まず1つ目のインセンティブ付与とはどういうことでしょうか?」
伊藤氏
「これは非常に大事だと思うんですね。キーワード、インセンティブ付与というより保険者にもっとしっかりやってもらうということ。たとえば、国民健康保険であれば、現在、市町村、今度県になっていきますし、あるいは企業健保であれば、いろんな企業の健康保険組合と。ちょっと話すと長くなるのですが、非常に大事な話なので、あれですが、日本の医療費の80%というのは、20%の人が使っているんですよ。つまり、2割の人で、80%の医療費を使ってしまっているわけ」
反町キャスター
「それは年齢的に上の人という意味ですか?」
伊藤氏
「だけではなくて、年齢もあるのですが、たとえば、透析みたいな人が行くと600万円ぐらいかかっちゃうとか、あるいは別に透析だけではなくて、心臓の問題とか、それを酷い状態になる前に手前で止められるかどうかというのは、医療費に非常に重要ですよ」
反町キャスター
「企業内健保とか、自治体、国保の人達というか、組織に対しては何ら国からの管理、指導というのはなかったのですか?」
伊藤氏
「ないことはないと思うんですよ。そういう、もちろん、いろいろな議論があると思うのですが、ただ、もっとそういうことを積極的にやってきましょう。それをやらないと保険料も大変ですよと。可能であれば、そういう取り組みを、きちんとやった保険組合、あるいは保険者に対してはここでインセンティブ付与を書いたのは、何かいろんな形で、メリットが与えられると」
島田キャスター
「そこですが、どういうメリットを具体的に考えていますか?」
伊藤氏
「いろんなことがあると思うのですが、たとえば、メタボで議論なったように実際に成果上げたところを少し保険のいろんなインセンティブを与えるとか。インセンティブというのは、たとえば、保険料控除というよりも保険全体で、インセンティブというのは、なかなかすぐに具体的にこれだというのは、私は思いつかないのですが、ただ一般の業界ですとそういうのはたくさんありますよね。たとえば、車で整備したら保険料が下がってくるとか、事故をあまり起こさない人達には保険料が上がらないとか、同じようなことが保険についてもあり得るのかもしれないです」
島田キャスター
「地域医療ビジョンに関する医療支出目標の導入とはどういうことですか」
伊藤氏
「これは、公共料金の世界にヤードスティック競争という言葉があるんですよ。ヤードスティックとはどういうことかというと、たとえば、電力会社が一番わかりやすいのですが、いろんな電力会社があって、コストを見て、そのコストに一定の利益をかけて、電力料金制度になっているわけですけれど、そのコストの中に、本当に無駄があるのかはわからないんですね。だけど、10社電力会社があれば、そのコストを比べることによって、あなたは頑張っていると。あんた、もうちょっとやった方がいいなと。これは、部外者はわかりやすいですね。それによってベストプラクティスのコストをベースに料金を認めていくと。これは公共料金の世界でヤードスティック競争と言うんですけれど、地域もそういうことがあってもいいのかなと。先ほど私は地域を比べると言ったんですけれど、それはそう簡単な話ではないんですけどね。人口も違いますし、いろんな機構も違いますから。ただ、そうは言っても情報化はどんどん進んでいますから、そういうことをしっかりやることによって、おたくの地域で見ればだいたいこういう状況だけど、ベストプラクティスで見るとこれぐらいの医療費、あるいは医療支出があって、それを目標にやってくださいと。それは3番目のICTでも関わってくるのですが、そういうことの取り組みをしっかり取り組んでいくということが重要なのかなと」
反町キャスター
「ICT化、医療情報の共有化というのですか、地域内における。これはどう見ていますか?」
宮田氏
「非常に医療情報の共有化というのは、日本においては、非常に進み具合が遅いと思いますね。実際電子カルテは、日本でかなり導入されているわけですが、電子カルテの会社も、富士通とか、IBMとか、NECとか、いろんな会社があるわけです。そうすると、規格が違うので、なかなか共有ができないということが起きるんですね。厚生労働省が、その中でも、SSミックスという一定程度、共有する仕組みをつくっているんですけれども、実際になかなかそういうデータが集まりにくいというのがあります。たとえば、イギリスではマンチェスターで日本の日立がイギリスの方に出て行って向こうのNHS(ナショナルヘルスサービス)の保険者と組んで、糖尿病のデータをマンチェスターで実際に集めて、予防することによって、医療費を減らしていこうという取り組みがありますが、実際に、日立も日本ではなかなか難しいということで、イギリスのマンチェスターで」
反町キャスター
「それは日本でそういうレセプションなり、カルテなり、医療機関同士の共有化をはかることが難しいのは、システムの問題ですか。そうではなくて、たとえば、医師とか、医療機関における何かそこにおけるバリア、障壁みたいなものがあるのですか」
宮田氏
「1つは、システムの共有化の部分があると思うんですけれども、あとは個人情報の保護ですね。それによって、国民がどういう利益が得られるのかといった、説明とか、広報の部分も足りないと思うんですね。そういったようなことで、ICTを進めることが、国民の皆さまにそういう利益を与えるのかという部分が言えると思います。そういった到達をするためには、理解ある市町村からまず始めていくということが重要だと思います」
反町キャスター
「要するに、治療とか、投薬の内容が共有化されることによって、医者はこんな薬をやっているよ。こんな治療をしているというのを、他の医者から批判されるのが怖いのではないですか?」
伊藤氏
「それはあるかもしれませんよね」
反町キャスター
「それが一番大きな話だと聞いたことがあります」
伊藤氏
「それがあるかもしれませんが、そんなことがあっても、どこの国でもありますよ。同じではないですか。でも、なぜスウェーデンができるのかというと、最初から一挙に統一してやりましょうと」
反町キャスター
「強権を発動してできる国と、そこに抵抗する人達が、俺の治療方法を他の医者に見られて批判されたくないよと。そこの気持ちありますでしょう」
宮田氏
「実際には、それは小さい話だと思うのですが」
反町キャスター
「小さいけれど、それが一番大きな障害になっているという話ではないですか?」
宮田氏
「実はもっと大きい話があって、ICTを進めていくと、病院の本当のランキングが見えるんですよ。それぞれの県別の成績とか、病院ランキングもいろんなランクが出ていますが、実際病院に行っても、あれ、おかしいなというのがあるわけですよね。つまり、そういったものを国や地方自治体主導でちゃんとしたデータを共有化させて、出させると。それによって真の病院ランキングをつくる必要があると」
島田キャスター
「それによって全体的なレベルアップにもつながる?」
宮田氏
「そうです。そうすることによってそういうできない医者はどんどん淘汰されると思うんです」

混合診療拡大
島田キャスター
「改革案では、混合診療の適用の範囲を拡大しようということですが」
伊藤氏
「基本的にいいと思うんですよね。混合診療と言った途端にゼロかイチかみたいな…将来のことを考えれば、そういう議論も必要だと思いますけれども、当面どう考えてみても、いわゆる保険で守るべき世界というのと、外の新しい治療法だとか、それ以外のところをどうやって組み合わせていくかということが大事だと思います。現状からさらに広げていくというのは現実的な選択だと思いますけれどもね」
反町キャスター
「混合診療を広めたり進めたりすることによって医療費抑制につながるのですか?」
伊藤氏
「それはどう進めていくかによるのですが、医療とか、健康というのはいわゆる保険で守られている大事な部分があると同時に、その周囲にすごくそれ以外のものがあるんです。いわゆる海外でも認められている治療の部分もあれば、健康とか、リハビリとか、検査とかがある。日本にとって重要なのはこの広い部分をどう強化するかと同時に、保険で守られている部分をどこまで必要最小限のところまで絞り込むかという、この2つだと思うんですよ。そこをきちんとやるためには両方をうまく使いこなすという意味で、混合診療的なものを全く無視するとなかなか難しくなる。そう言う意味で大事だと思うんですね。そのうえで全体の仕組みのうえで公的な医療費の負担を削っていくという判断は財政の中で考えていくべきだと思います」
宮田氏
「先進医療の運用自体は、規制改革の流れで改善はしてきていると思うのですが、混合診療の枠組みを柔軟に考えていく時代にきていると考えます。おそらく医師会が反対する意見というものは、有効性、安全性がちゃんと担保されたものは、公的保険の中で見なさいと。それ以外のものを混合診療で認めるといろんないかがわしい医者が出て、高い医療を売りつけ、安全でもない有効でもないものが広がる懸念があると思うんです。そこは最近再生医療新法という法律が新しくできました。東京駅とか、有楽町とかに再生医療クリニックがいっぱいできてきたわけですが、現在、再生医療新法が成立しことによって、そういったクリニックが消えていっているわけです。ある程度医師の裁量権がありますが、先端医療は現在の日本の仕組みではどんな医者でも使えるわけです。でも、実際ちゃんとしたトレーニングをされた人とか、ある程度限定する必要がある。その中でちゃんとした病院、あるいはちゃんとした医者に限定していきながら、こういう保険と併用していく。さらにデータもしっかりとって、良いものはやがては保険に入れるとか、そういったことを考える時にきていると思います」

病床再編の狙いとは
伊藤氏
「病床が多すぎるんですよ。ベッドは多いんだけれども、お医者さんが少ないということで、ある意味、病院でずっと寝ていてもらう。病床が多いところほど、医療費が高くなっているんです」
島田キャスター
「病床が多いということですが、たとえば、入りにくかったとか、現在はいっぱいだから入れないという話をよく聞きますよね」
伊藤氏
「ある意味で供給が需要をつくるようなところもありますよね。だけど、世界的に見ても日本は病床が多すぎるわけですから、そこをどう変えていくかが重要だと思うんですよね。北欧あたりだと政府が決めて、病院の再編とかをするわけですが、日本は民間経営ですから、あなたのところは病床を減らしなさいとはできませんよね。全体を見た時のバランスを考えることが大事だと思います」
宮田氏
「現在、病床を減らしていく時に終末期の問題がありますね。東京とか、都会の医療においてはなかなか家族、あるいは親戚でサポートするということが難しいわけですよね。そうすると、病院で最期を迎えることになります。それで死ぬ間際になって、病院で亡くなるということが(多くなるが)本当に幸せなのか。コミュニティということを考えていきながら、そのつながりの中で、町の中で亡くなっていくという死に方の部分も考えていく必要があります」

成長戦略の柱になれるのか
反町キャスター
「医師会や関係者の方に聞くと、医療現場に経営効率を導入していいのですかという議論を必ずいう方がいます。それに対してはどう答えるのですか?」
伊藤氏
「経済の大前提ですが、経営効率というのは一定のものに対して、コストカットしていくという話だけではないと思うんですよね。つまり、たとえば、もっと質を上げるとか、あるいはいろんなイノベーションを起こすとかも含めて、医療も、技術も、ニーズも、人口構成もどんどん変わっていくわけですから、それに応じてどんどん変化していく必要があるわけで、それを実現できるというのが経営効率だと思うんですよ」
宮田氏
「京都大学の山中教授のノーベル賞iPS細胞がありましたけれども、日本は基礎研究のレベルがせっかくあっても、この成果が残念ながらアメリカとかに持っていかれてしまう。全体的な健康医療で考えてみれば、国民1人1人の皆さんは最近審査もはやくなってきたのでいいわけですが赤字部分もあわせて減らしていく必要がある。日本は研究の成果がいいのになぜ実用化されないのか。結局文部科学省と厚生労働省があって、大学に文部科学省がいくわけです。基礎研究をやっても論文を書いたらそこでおしまい。医薬品を実用化することに対してあまり興味がないわけです。アメリカの場合には、サイエンスから実際に健康を良くして、産業を発展させるというミッションがあります。日本も文部科学省と厚生労働省を一体的に考えて、基礎研究から医薬品の承認、実用化まで一貫したシステムがいるわけです。これは10年、20年言われ続けてきたのですが、安倍政権になって初めて今回、臨床研究や橋渡しの予算を厚生労働省、文部科学省、経済産業省を一体化することで初めてできそうだということで現在法案が審議されています」

伊藤元重 財政諮問会議民間議員の提言:『ゆがみを正す』
伊藤氏
「現在の日本の現状を見た時におかしいところがいっぱいあるわけですよ。それをまず徹底的に直していくということで、まず目先で医療費も随分抑えられると思いますし、将来こちらの方からもしょうがないというような展望が見えてくると思いますから。とにかくゆがみを正す」

宮田俊男 日本医療政策機構デグゼクティブディレクターの提言:『1.スピードが大事 2.国民の理解』
宮田氏
「だんだん高齢者の割合が増えていく。働き手は減っていく。先ほど自然増が1兆円という話がありましたけれども、これは既に2兆円以上になっているという話もありますし、どんどん幅が拡大していくと思うんです、このままだと。だから、スピード感を相当持ってやらないと間に合わないと思います。2点目は、新しい医療、医薬品、医療機器をやっていこうという時に、国民の皆さんからすると、まだ安心感が足りない。怖いわけですね。こういったものをより進めていくためにはある程度国民も研究者も開発者も企業も一緒になってチームでやっていく気持ちがないと難しいと思います」
島田キャスター
「国民がチームでやるというのは、たとえば、どういう参加方法があるのですか?」
宮田氏
「たとえば、最近チャリティで難病の子供達にクリスマスプレゼントを渡そうと大阪の方でサンタさんの格好して、走ったりするチャリティがありましたけれど、医薬品開発とか、難病の薬という時には、国民の皆さんからするとちょっと遠い感じがするし、話もわかりにくい、難しい感じがする。普通にしていれば普通の医療を受けられるわけなので、何も新しい医療にいかなくてもという感じがするわけです。そういったもの関して、もう少し暖かい目で支えていく必要があると思います」