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2014年4月24日(木)
日米首脳会談 成果と課題を徹底分析

ゲスト

城内実
自由民主党外交部会長 衆議院議員
渡部恒雄
東京財団上席研究員
中山俊宏
慶應義塾大学総合政策学部教授

検証!日米首脳会談 その焦点と成果は
島田キャスター
「今日、日米首脳会談が行われました。日米同盟、TPP、東アジア情勢、集団的自衛権。今回の日米首脳会談を全体としてどう評価していますか?」
城内議員
「18年ぶりの国賓としての、アメリカの大統領の訪問なわけですよね。にもかかわらず、直前まで日程が決まらないとか、非常に短期間である。あるいはご夫人がお越しにならないところでちゃんと格好がつくのかなと、非常に心配でしたし、特に、東アジアにおける安全保障の問題でどれだけ日本にコミットし、日本をバックアップしてくれるという姿勢を見せていただけるかということ。私は心配していたんですけれども、蓋を開けてみたら、大成功に近いと思います。もともとオバマ大統領はドライでビジネスライクということを言われていますが、ふとよく考えてみたら、人間にはいろんなタイプの方がいますよね。にこにこ親切そうだけれども、実は腹黒いとか。ドライで、ビジネスライクだけれども話せばわかるというね。すきやばし次郎ですか、寿司を食べながら、個人的な、アメリカの大統領と安倍総理の信頼関係がある程度できてきたような印象を受けています。だから、これからはざっくばらんに、何かあったら、電話で離れていても電話で首脳会談ができるんです。そういう関係が構築できる良いきっかけになったと思います。天皇皇后両陛下のご会見もありましたし、日本は大事だという印象を持って帰られると思います。もう1つ大事なのは、オバマ大統領がアジアのリバランス政策とか、いろいろ言われています。シリアで結局言うだけで何もできなかった。これからは秋の中間選挙に向けて、オバマさんがこれまでの評価、どちらかというとネガティブな評価を、大きく転換するために訪日の成果を最大限利用するという方向転換をこれからされる。そういう意味でも今回の日米首脳会談及びオバマ大統領の訪日は大成功だったと思います」
渡部氏
「一番大きな成果は安全保障です。それはもちろん、TPPという経済的な問題があるので、そっちはそっちで重要とは言えるんですけれども、結局国と国の一番の関係は同盟関係。これは何かというと、何か脅威があった場合に共同で軍事的に対抗する、対処する。それは何かと言ったならば、アメリカの軍隊、あるいは日本だったら自衛隊。これは命を賭してやるものですから重いんですよ、この約束は。ですから、今回オバマ大統領が尖閣について、日本の施政下にあって、それで安全保障条約の第5条に適用されるとオバマ大統領が言っことは大きいんですよ」
中山教授
「私はこの訪日をちょっと冷めた目で見ていて、あまり期待しちゃいけないなと思っていたんですね。特に、数週間前にヘーゲル国防長官が来日した。その後、中国を訪れた時に尖閣についてはっきり言ってくれたので、これは大統領が言わないために、代わりに言っているのかなと思っていて。直前に日本のメディアに対して、書面で大統領がありましたね。よく踏み込んだなと。これはまさに共同記者会見の場とかで言わないためだなと思っていたのですが、先ほどご指摘があったようにほぼ満額回答で、この外交安保については日本として言ってもらいたいことを全て言ってもらったということで、その点は驚きでしたね。何でなのかなと考えてみますと最近アメリカが特に対中政策、東アジア政策でどうも日本からしてみるとぶれているのではないかと感じているところがあって、それをいろんな局面で日本側が伝えていたんですよね。ですから、アメリカとしてもここで日本の不安感を煽っちゃいけないという、かなりはっきりとした問題意識があったのではないのかなと。ちょっと私も文句言い過ぎていたかなと思って、渡部さんとかも一緒に、同じ場でいろいろとアメリカに違うのではないかといろいろと言っていましたけれども、そういうのも聞いて、こういう結果になったのではないかなという気がしますね」

焦点のTPP交渉は
島田キャスター
「TPPは、両首脳の共同会見で、安倍総理は日米首脳会談を1つの節目として懸案を解決すべく閣僚協議を継続して早期に妥結をするように指示をした。オバマ大統領は、アメリカの製造業と農業従事者は日本が含まれる市場へのアクセスが必要で、包括的合意に向けて大胆なステップが必要としていますけれど、大筋合意を目指していたのですが、甘利担当大臣の言葉を借りますと、前進はあったがまだまだ隔たりは大きいということで、早期妥結を目指して取りあえず交渉継続ということになりました」
城内議員
「私はちょっと心配だった。私はどちらかというとTPPに対してはやや慎重派なんです。ちょうど2月か3月だったと思いますが、ある会合で、私がこう発言したんですね。オバマ大統領の訪日があるからといって、TPPはTPPでしっかりと自民党の決議、あるいは衆参の決議もあるので、安全保障問題とリンクをしてお土産としてオバマさんが来るのだからどんどんおりてということになると将来の禍根になるというような話をしたのですが、実際蓋開けてみたら、ここまで粘っているんですね。その代わり日豪EPAも、相当100点満点ではないにしてもよくここまでがんばったなと。民主党政権だったらどうだったろうとぞっとするような感じがしましたけれども。相当の交渉力で、半分冗談ですけれど、安全保障の問題でここまで予想をはるかに凌ぐぐらいのアメリカが日本に対して、東アジアの安全保障の部分でバックアップするということを、大統領が明言しているわけですから、TPPで譲歩という言葉はよくないですけれども、ある程度しっかり交渉をして、結果を出してもいいのではないかなという気分になるぐらいにちょっと…」
反町キャスター
「術中に落ちているのではないですか」
城内議員
「いやいや」
島田キャスター
「作戦だったのでしょうか。アメリカの」
城内議員
「いや、オバマ大統領は先ほども言いましたけれど、ドライでビジネスライク。実はここまでやったのだから日本が折れてくるだろうという作戦に出ているのかどうかというのは、私にはわかりません」

TPP大筋合意ならず 日米の本音と背景は
島田キャスター
「城内さんの読みも含めて、どうここまでの状況を見ていますか?」
渡部氏
「まず安全保障上は、日本に譲ったという意識はあまりないでしょう。つまり、これは日本とアメリカで合意をつくることによって安全保障上、自分達の優位さというか、アメリカの威信も含めて回復しようと思っています。もちろん、ある程度の譲りはあると思います。つまり、何かというと譲りは唯一、これは尖閣で何かあった時に巻き込まれることをアメリカ国民の一般の人はすごく嫌がっているんです。それは事情もわからないし、どちらが悪いのかもわからないし、アメリカの一般の人ですよ、そこで人も住んでいない島のために何でうちの子供達の命が失われるんだという意識というのはあるので、そこはたぶんリスクとしてオバマ大統領はとったと思います。でも、そのとった理由の1つが、日本との同盟関係を維持することであって、それはどういうことかというと理屈からすると日米同盟がきちんと機能していた方がむしろ、たとえば、中国側に変な挑戦をさせようとしないので抑止力になると。実は中国、中国と言っていますけれど、北朝鮮の方がより深刻ですよね。日米同盟がきちんと機能しているということを伝えたいのは、北朝鮮に対しても同じですよね。なので、そういう部分があるのだろうと。それから、TPPに関しては、これは前、日米貿易摩擦の時代があって、それこそカンター通商代表が、橋本総理に竹刀を喉に、でも、実はあの2人は本当は仲が良いということが、あとでわかったのですが、ただ、そのぐらい両国間は緊張していたんです。それは何でかというと、あの時は、日本は日本の経済力を強めて、アメリカを出し抜くのではないかという不安があったからですよ。ところが、現在は違うでしょう。TPPはもちろん、個別での利害は対決するかもしれないけれど、日本に対してアメリカを出し抜いてするという懸念は誰も持っていないわけですよね。むしろ、TPPをよく考えてください。日米だけではないです。日米というのはむしろ、どちらかというと他のTPPと交渉している国に対しては共通の利益を持っているんですね。たとえば、知的財産権をより長く持たせたいというのは、日本とアメリカで、途上国の方はもっと短くしろと言ったりしている。だから、そういう意味では日米が合意するというのは、実は意外にwin-winなんですよね。なので、もちろん、いい結果になって嬉しいし、TPPが苦しいのもわかるけれども、TPPもどちらかというと、どっちかがどっちかに譲ってというよりは両方が合意した方がwin-winだという理解をしていると思っているんです」
中山教授
「今、渡部さんもご指摘されたように、かつての通商戦争の時とだいぶ違っていて、最近の世論調査なんか見ますと、むしろ、日本と通商上の関係を深めていくべきだという意見も強くて。ですから、合意する方が相互にとってメリットだと。これは実際、単なる経済的なフレームワークの話ではなく非常にダイナミックな、進展しているアジア太平洋地域における経済秩序を日米で一緒につくっていくという政治的な意味合いが強いので、これは何としても合意しばければいけないですし、ここまで粘っているということは何らかの脈はあるんだろうという感じはあります。それから、安保外交とのリンケージですけど、私はあまりないような気がするんですよ。安全保障は安全保障。これはこれということで。特に、安全保障について、先ほども申し上げましたけれども、日本側の不安。それから、ウクライナ、シリア以降のアメリカの力を行使しようとする時の、意志ですよね。意志が疑われているので、それをきちんとここで確認しなければいけないと見ているのは、日本だけではなく、ここについては世界中のメディアが見ているので、きちんと言ったということなので、TPPとリンクしているかというとちょっと違うのかなという感じも、私は印象として持っています」

TPP交渉・今後の展開は
島田キャスター
「TPP交渉ですが、5月12日から交渉12か国の首席交渉官会合。17日、18日はAPEC貿易相会合。さらに、下旬には、12か国の閣僚会合が行われるのではないかと言われています。11月4日にはアメリカの中間選挙があります。10日と11日には、APECの首脳会議があります。このへんのどこかが新たな詰めのポイントになってくるのかと思うのですが、オバマ大統領としては11月4日のアメリカの中間選挙あたりが1つの焦点となるのではないかと思いますが」
中山教授
「選挙の直前というのは大きい案件を通すのは難しいですよね。特にこのTPPについては、民主党上院の議会のトップ、ハリー・リード氏という人がいますが、この人が反対しているので、オバマ大統領としては選挙に近づくと、TPPは動かしにくくなるということだと思いますよ。ただ、共和党の側がこの件については基本的に賛成をしている人が多いので、基本的に共和党はオバマのやること何でも反対という姿勢ですけどもね。これについてはそうではないんですね。ですから、そこで超党派的な合意を取りつけて、動かしていけるということを選挙後にやるかどうか。選挙が近づけば近づくほど、難しくはなっていくので、そんなタイミングなのかなという」
反町キャスター
「中間選挙よりもうんと手前だったならば、選挙に向けた弾みになるかもしれないけれども、近づけば近づくほど、ハードルが高くなる、ないしは難しくなるので、それなら、ちょっと超えた方が、共和党が上下両院でまた勝つという前提になると思うのですが、共和党議会の方か、大統領交渉権限をもらって、それでやって、結局オバマ大統領としての成果にはなるけれど、別に議会における成果にはならないかなと。こんな想像を大統領の頭の中で、損得勘定をやっているみたいに見えますか?」
中山教授
「うーん、現在まだ中間選挙まで若干時間があるので、できるなら、現在動いていると思うんですけれどもね。TPPというのはオバマ大統領のアジア太平洋の重視政策の中の柱の1つなので、これは放棄するわけにいかないわけですよね。それの関連で輸出倍増ということも、ずっと一貫して言っていますし、それには不可欠な政策なので、本当はこれをもって、成果として中間選挙に臨みたいという気持ちはあるのだろうと思います。一方、合意を重視するあまり、日本とあまり十分ハードなネゴシエーションをするということになると議会からも抵抗が出てくる可能性があるので、非常に強くやっていると。その結果合意ができないということで、相当考えあぐねているところだと思いますね」
反町キャスター
「TPPについて麻生さんが派閥の会合で、こう発言しているんですよ。『どのみち11月の中間選挙までことが決まることはない。そういう意味でまだまだ細目を詰めなくてはいけない』と自分の派閥の会合で話をしているのですが、真を突いている?」
渡部氏
「うん、TPA(大統領貿易促進権限)の話を麻生さんは念頭に入れていて、TPAが絶対11月まで通らないのでということは、何かというと、細かいところを詰めて議会でひっくり返されるから、日本もそうだし、TPP交渉をしている他の国に細かいところまでは決められないんですよ。おおよそは決められても。」
反町キャスター
「もともとオバマ大統領はTPPにしても、経済連携に関してはアメリカの雇用を増やすぞと言い出し始めていますよね。彼の望むようなTPPがちゃんとできるのであれば、選挙に向けてフォローになるはずですよね」
渡部氏
「はい」
反町キャスター
「要するに、現在の時点になって日本の副総理の話が出るということは、現在のTPPの流れというのがどう考えても、オバマ大統領が当初目指していたアメリカの雇用を増やすような形には進まない可能性が高まっている?」
渡部氏
「本当は進むんですよ、理屈的には。自由貿易が進めば皆が、win-winなんです。ただ、損する人達も出るんです。そこがノーというからであって、この麻生さんの話は、正しいとは思うのですが、でも、忘れてはいけないのは、今言ったオバマ大統領が自分で合意したもので、アメリカの国内にある程度アピールしなくてはいけない。それは11月の終わりでは遅いかもしれない。だから、現在ではないのかという話を考えると、ちょっとそれだけを言って批判はできないのですが、それだけでもないということですね」
反町キャスター
「アメリカの国内政治の話になると思うのですが、オバマ大統領はTPPというのが、ある程度関税を完全にゼロ、市場開放率を100%にすることを目標にするのかどうか。そうではなくて、ある程度の聖域を認めながら、それでもアメリカの仕事、雇用が増えるんだよ、輸出も増えるんだよということをアピールすることが、大統領の頭の中にあるのだとすれば、フロマンさんの動きというのはそれと連動しているというふうには見えないのですが、フロマンUSTR代表とオバマ大統領の関係ないしはフロマンさんがUSTR代表とアメリカの議会の関係は何かギクシャクしているように見えないですか?」
渡部氏
「USTRというのは管轄が議会です。最初にそもそもの話をしないといけないのですが、アメリカの憲法では通商を、他の国と約束をする権限は議会にあるので、USTRというのは、議会が実はコントロールしているところがあって、だから、オバマの閣僚であると同時に議会筋からきちんとUSTRには常に圧力がくる。フロマンさんだけではなくて、歴代USTRもそうです。そういう構造になっているわけなので、だから、もちろん、オバマさんの意向を受けて動いていますよ。フロマンさんは、当たり前です。ただ、議会筋との関係を悪くしてしまうと、それはそれでオバマ政権の機能が成り立たなくなるから、そこは注意して動いているのは間違いないんですね」
反町キャスター
「大統領の会見でも市場開放度100%を求めているとは全然言わないじゃないですか。市場アクセスを求めていると言っていますよね。アクセスというのは、別に関税ゼロではなくて、たとえば、オーストラリアの牛肉で言うのなら19.5%とか、20%と関税率を抑えること、引き下げることがアクセスを広げることになるのではないですか?」
渡部氏
「これまでの日米貿易交渉もそうではないですか。原則として関税下げましょうという話と、あとは次善の策としてのアクセス。あるいは守る方は守ると。これがうまく機能しているから、貿易の交渉というができるのであって、これは原則、関税を下げるか下げないかだけだったら進んでいませんよ、ここまで貿易の交渉は。だから、そこは組みあわせてやっているので、それが現実。大人の世界であるということです」

米大統領が尖閣初言及
島田キャスター
「視聴者からの質問ですが『今回の大統領の尖閣発言は大きな成果と言われていますが、ヒラリー元国務長官やヘーゲル国防長官が以前から言われていたことで、これが本当に大きな成果なのでしょうか?』とのことですが」
城内議員
「これは大きな成果です。これまでヘーゲル国防長官、ヒラリー・クリントン前国務長官がおっしゃっていて、中国との関係にも配慮して、当然アメリカにとって中国は最も重要な経済面でのパートナーでありますし、リーマンショック後にアメリカの国債を大量に中国に買ってもらっています。そういう意味では中国にも遠慮していたのですが、ここにきてはっきりとアメリカのアジア太平洋のリバランス政策というのが口先だけではなく、しっかり日本を含めた東アジアの安全保障環境改善のために、アメリカがコミットする、バックアップしますと約束したということは非常に大きな前進だと思います」
島田キャスター
「中国との関係、ストロングリレーションシップと言って平和的に台頭することを支持するんだと。この意図というか、意味はどういうことだと思いますか?」
中山教授
「これは我々が日米と米中関係を比較する時に、アメリカはどちらを重視しているんだという視点で見がちですが、アメリカにとって同盟国も重要ですし、中国と建設的な関係を構築するのも大事なわけですね。ですから、両方100%力を入れてやるということで、決して矛盾するということではないんだと思います。ですから、我々の方がアメリカはどちらを見ているのという気持ちであまり過剰に過敏になってはいけない。同盟としてきちんとやる。だけど、中国に対するメッセージも両立し得るもの。実は最終的な中国像というのは日本もアメリカも共有しているわけですよね。ただ、日本の場合は直近の問題として尖閣があるので、なかなか遠くを見通してという発想として難しいですけど、でも、実は将来の中国像に関しては、私は相当部分日米ではオーバーラップしていると感じます」

中国政府の反応は
反町キャスター
「日米首脳の共同会見に対する中国の反応、想定内と言えば想定内の気もするのですが、どう見たらいいのですか?」
渡部氏
「想定内なので、もちろん、中国の立場に立てば自分達が何かやろうとしていることに対して、たとえば、尖閣が自分の領土であるということにして、実力を行使するということには反対と言っているわけですから、嫌ですよね。実はこれは尖閣よりも、現実的にもっと身近な話は南シナ海です。中国が相当実力行使によって、自分達で領土だと言って広げているところもありますから、今回オバマ大統領と安倍首相で言った中で航行の自由、国際法を守りますという2つのキーワードは非常に中国側には嫌な、特に南シナ海を念頭に置くと、すごく嫌なキーワードですよね。だから、反応がくるというのは予想していました。メッセージは、平和的な中国を求めているんですね。それはどういうことかと言うと、こういう反発ではなくて、しかも、力の行使ではなくて、平和的に解決するように中国に働きかけるということを言っているということですよね。だから、組みあわせてみると非常にわかりやすいのではないか」

拉致・核・ミサイル 日米首脳の北朝鮮対応は
城内議員
「3月のハーグに置ける日米首脳会談でも同じようなことが確認されています。それをさらに再確認したという感じですけれども、引き続き、日本とアメリカのみならず日米韓の3か国で北朝鮮に対して圧力をかけながら対応していくということを確認したという意味では良かったと思います。また、横田めぐみさんご夫妻とも会って、アメリカの大統領としても日本の拉致問題についても非常に関心が高いということを内外にアピールできたということでも大きい成果だったと思っています」
渡部氏
「自覚すべきは拉致問題がある程度進展して、日朝で動く場合に、核開発の問題でアメリカとちょっとスタンスが外れる可能性もあるということですね。そうなるかどうかはわかりません。そこは認識を日本側もしているし、アメリカ側もしていて、その隙間を広げないような努力というところで、今回、横田ご夫妻にオバマ大統領が会ったということは、アメリカ側もいろんなことを考えながら会っているし、悪いことではないんだと思います」
中山教授
「ブッシュ前大統領がこの問題に個人的に強い関心を持っていた。オバマ政権が誕生してからのアメリカの北朝鮮政策というのは、戦略的忍耐と言われていて事実上、放置している状態です。ですから、あまりオバマ大統領の北朝鮮政策が見えてこない中で、拉致問題についてどの程度関心を払っているのかどうかという疑念があったので、そこは同盟国としてきちんとおさえているということを示すと同時に、拉致の問題で若干独断専行するような場合もあり得るので、アメリカとしてもきちんと見ているというメッセージも同時にあったような気もします」

安倍政権の安全保障政策 アメリカの評価と本音は
島田キャスター
「アメリカが日本の集団的自衛権に支持を表明したということですが」
渡部氏
「集団的自衛権は行使すべきだという話は安全保障のプロの間では、特に冷戦が終わってからはずっとそういう話だったんです。ただ、尖閣の問題で緊張し韓国とも歴史認識の問題でギクシャクしている中で、実は政府の人間ではなく、アメリカの民間の中でちょっと集団的自衛権行使は、本当は大事なのだけれども、このタイミングではちょっとという声もちらほらとあるんですね。だからこそ政権としてアメリカにこれはやるべきだ、やってほしいという期待する。何で必要かと言えば、それは日米安全保障のガイドラインを見直しましょうというのは、日米で合意しているのですけれども、現在のガイドラインは17年前にできたもので、集団的自衛権を日本は行使できないという前提のもとに組み立てられているから、日本がやれることは限られているんですよ。ところが、集団的自衛権が行使できるとなるとかなり日本がやれることが増えますから、それだけいろいろなことを効果的に的確に対応できるようになるので理屈からすればそうです。ただ、歴史認識とか、いろんな話があって慎重態度をとるかもしれないなとオバマ政権に思われていたところをきちんとそうではないと言ったところが大きいのではないですかね」
中山教授
「この話だけではなくて、たとえば、国家安全会議の席であるとか、安倍政権に入って、これまで日本がやらなければならないけれども、なかなかできなかったことのいくつかのハードルをクリアしているんですよね。ただ、それがこの地域でもしかすると右傾化の兆候なのではないかということで懸念を持って見ている国もあったんですけれども、アメリカはそうではないと。これはきちんと日本がやるべき課題だと、それはそれで大きな意味を持つのではないですかね」
反町キャスター
「今回、アメリカから支持を得たことで、東アジアにおける日本外交で逆に重荷を背負うような形になりませんか?」
城内議員
「そんなことないですよ。東南アジアでそう言っている国はほとんどないと思います。中国と韓国だけですから、総理の靖国参拝について遺憾を表明しているのはこの2か国だけですね。今回、集団的自衛権行使の、憲法の解釈見直しに慎重派の人達はきっと集団的自衛権行使をアメリカがここまで踏み込んで言わないだろうと期待していたと思うのですが、オバマ大統領がはっきりと言ったということは大きな成果でありますし、おそらく私も含めて親米保守派と言われている中国に大変厳しい見方をするけれど、アメリカの同盟関係も本当に人一倍大事にしている人ほど、いろんな中国と韓国の歴史認識の解釈の違いで、総理の靖国参拝ですけれど、失望disappointedというのはRegretよりも弱い、がっかりした、予想外みたいなニュアンスだと私は思うんですけれども、失望発言に失望したという方々がいましたが、いずれにしても、そういうことはかえって日米関係によろしくないというような考え方がアメリカの大使館を通じてだんだん浸透して、日本が本当に真の友人であるということで見直し始めている、そういう意味でかなり安倍総理に配慮というよりも、安倍政権が積極的平和主義で、決して歴史修正者でもなくて、タカ派でもなくてということをだんだん理解したことの結果だと理解しています」

日米関係の今後は
島田キャスター
「日本のあとに韓国に行くということは、オバマ大統領は、日韓関係の改善などで何かしら働きかけがあると思いますか?」
中山教授
「おそらく朴大統領との会談の中で、アメリカとしては日米韓の連携を強めていきたいと繰り返し強調するんだろうと思いますね。ただ、朴大統領がその提言を受け入れるかというのはなかなか難しいのかなという感じはしますね」

オバマ大統領のアジア歴訪 今後の注目ポイントは
島田キャスター
「オバマ大統領の歴訪の成果、どういうことを狙っていると思いますか?」
渡部氏
「日本できちんとした原則を確認しますと言いました。必ずしも北東アジアだけではなくて東南アジア。これは結構オバマ政権のアジア回帰政策、リバランス政策は東南アジアが重要なんです。マレーシア、フィリピンに行くことは重要ですし、フィリピンはかつて米軍基地を2つの基地で受け入れていたのですが、どちらかと言うとフィリピン側の都合でアメリカに出て行ってくれと言って、現在は戻ってきてくれということなのですが、そこで手薄になった南シナ海の問題が起こっていることもありますし、そこはキチッとコミットする。フィリピンは中国とちょっと遠い国です。と言うよりも非常に反目している国。マレーシアはどちらからと言うと中国に近い部分がある国。だから、どちらともきちんと話をしますというメッセージ。要するに、東南アジアは別に米中のどちらをとるかというのに巻き込まれたくなく、それでいてきちんと両方と仲良くしたいと思っているはずなのでということ。そこはアメリカもわかっていますよと、私は予定を見る限りで思いました」
中山教授
「マレーシアは、ジョンソン大統領が訪問して以来ですから、行くこと自体に意味がある」
城内議員
「おそらく中国も同じようなことを繰り返し発表すると思いますけれど、一方で新しいアメリカと中国の2大大国関係でありながら、アメリカというのは、アジアのリバランス政策ということでアジアにもう1度軸足を移して重視する。それを言葉ではなくて行動で示す。確か昨年アジアの訪問が延期になったと思います、ですから、ここにきてそれをしっかりやるということは、いくら中国でもそれはアメリカが中国を攻撃するなんていうことは考えていないと思うんですね。ですから、これはあくまでも中国から見ても、ただ自分達の立場はこうですと言うことは、北朝鮮ほど口汚くはないにしても、はっきり言うのは当然だと思いますので、別に驚くことではないですよね」

城内実 衆議院議員の提言:『各層の交流の拡大』
城内議員
「首脳も会って、ざっくばらんに話すと信頼関係がぐっと高まるんです。実は日米の議員交流がやや停滞していたんです。今年に入って日米議連が活発化してアメリカにもジャパン・コーカスができ、新聞に書いてあることと違った誤解が解けていくんです。まさに今回の日米首脳会談で双方の若い人達の交流を倍増すると。2010年から2020年にかけての数を5万人ぐらいにするのかな。倍増するということで合意をしていますので、いろんなレベルで日本人がアメリカに行ってみる。アメリカの人達が日本に来て、お寿司を食べたり、日本の文化を見れば、日本が右傾化しているとは(思わない)。日本は本当に礼節を守る平和な国だなということをわかりますので、交流をいろんなレベルでどんどんやって絆を深めていく。まさに絆作戦に対する日本人の感謝を、もっとストレートに天皇陛下がお伝えしたような形で伝えていくことが、隣のどこの国か敢えて言いませんけれども、言っていることが実は捏造と歪曲に満ちたものであるということを同じレベルで反論すると、第三者から見るとどっちもどっちですよ。着々と日本はODAとか、平和に対する貢献をやるということで、そういった誤解を解いていくことが私は一番大事であるという意味で『各層の交流を拡大』にしました」

渡部恒雄 東京財団上席研究員の提言:『国家の関係は永遠』
渡部氏
「幣原喜重郎という戦後すぐの外交官で、戦前、親英米派で有名だった人で幣原外交をした人なのですが、この方がイギリス外交官に戦前にアメリカに移民排斥法という日本に対してひどいことをやっているということで、非常に不満に思い、イギリスの首相に言ったら、イギリスの外交官が戦争するのですかと。国家の関係というのは永遠です。ずっと続くんです。一時期悪いことがあったからといって、ずっとそれを引きずるのですかということを言われて、なかなか勉強になったと。日本はそこでキレちゃったのですが。結局戦争をするのですが、今回のことを見ても、たとえば、日米間というのはいろいろな思惑があって、利益があって、今回、オバマ大統領が安全保障ではある意味、満額回答をした部分がある。これはずっと続くんですよ。だから、良い時もあり悪い時もある。TPPもそう。でも、基本的なラインをずっと続けていって、じっくり続けていくことが重要だなとしみじみ思ったわけで、良いこともあり悪いこともある。でも、良いことを多くするということが実際は自分の利益になるでしょう」

中山俊宏 慶應義塾大学総合政策学部教授の提言:『アメリカを引き止める』
中山教授
「今回は望ましい言葉を大統領から引き出すことはできましたけれども、積み重ねだと思うんです。一方で、アメリカの国内を見ていますと国際社会に関わろうとする意思というのが明らかに低下をしているので、日本としてはアメリカをこの地域に引き止める。そのためには日本としてきちんとやるべきことをやっていくという問題意識をもう一度はっきり持つ必要があるということで『アメリカを引き止める』」