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2014年4月22日(火)
消費税8%時代に問う 社会保障改革の行方は

ゲスト

増田寛也
産業競争力会議 医療・介護等分科会主査
宮本太郎
中央大学法学部教授
久我尚子
ニッセイ基礎研究所準主任研究員

安倍政権の社会保障改革 人口減少と少子高齢化
島田キャスター
「総務省が発表した、昨年10月1日時点で生産年齢人口15歳から64歳までの人口と、65歳以上の高齢者の割合ですが、高齢者がグーッと増えてきまして、遂に25%、4人に1人が65歳以上だということになりました。一方で、生産年齢人口は1995年をピークに減り続けていまして、現在8000万人を割り込み、7900万人ぐらいとなってきています。この現実をどういうふうに見ていますか?」
増田氏
「32年ぶりに、生産年齢人口が8000万人を割ったと。ですから、生産年齢人口というのは、経済の担い手ですから、これからどれだけ1人あたりの生産性を向上させるのかということが問題になると思うのですが、一方で、生産年齢人口が高齢者、いわゆる介護などの担い手になるわけですね。そうすると、総数としても、これからそういう担い手をどうしていくのかというのが問題になるんだろうなというのはわかるのですが、あと、これをもっと地域的に、どこでうんと高齢者が増えて、担い手が急激に減るのかというのを地理的にもっといろんな特徴を分析する必要があると思うんですね。以前そういうことをやってみた時に、たとえば、多くの人口5万人ぐらいから下の市町村は、どうも2040年までにそもそも消滅してしまうのではないかというぐらいに急激に人口が減るとかね」
島田キャスター
「それはどういうふうなメカニズムでそうなるのですか?」
増田氏
「たとえば、20代、30代の女性に着目すると、2010年と2040年を比較すると、5割ぐらい減ってしまう市町村というのがあるんですね。これは厚生労働省というか、国立の社会保障人口問題研究所というところの2040年の推計値が出ていまして、男女別、それから、年齢構成別で。それを見ると、若い女性がそれだけ急激に減るというところは出生率、いわゆる合計特殊出生率をうんと上げないと次に続く子供達が生まれてこないですよね。2010年と2040年で5割ぐらい減ってしまうと、人口を維持するためには出生率が3ぐらいないと、たぶん維持できない。どうも成熟国家というのは、あれだけフランスは出生率が回復するために、いろいろ手を打ったけれども、やって現在2ですよね。ですから、全国でいくつか、そういう市町村があるのですが、消え去る運命にあるんではないか、可能性としてはね。一方で、関東圏を見てみると、2040年に高齢者の中でも、特に75歳以上の後期高齢者が現在より2倍増えるんですね、担い手である20代、30代が、たとえば、男女を見てみると40%減って、0.6がけぐらいになるんですね。ですから、関東圏ではまさに医療とか、介護、特に介護をこれからどうやって担っていくかというのはすごく厳しくなると」
宮本教授
「現在地域的に高齢化がアンバランスに進んでいるわけですよね。大都市は75歳以上の人口が、実は高度成長期に民族大移動みたいなことが起きて、これで3大都市圏に流入してきた人達が現在急激に老いて、後期高齢者は2025年までの間に大都市で急増するわけですね。埼玉は2025年までの間に100%増える」
島田キャスター
「2025年といったらもうすぐですね」
増田氏
「2倍になりますね、そこは」
宮本教授
「千葉は92%ぐらい増えるんですよ。しかも、そういう都市圏は医療のコストが高いんです。ところが、地方の方は高齢化と過疎化が非常に進むという印象があるのですが、実はもうピークを越えてしまって、高齢者が少しずつ減っていくんです。これがいいことかというと、地方はこれから介護とか、医療で地域を興していかなければいけないのですが、肝心のお年寄りがいなくなっちゃうということもあって、そうすると、一時期、東京都などでは東京から少し介護移住みたいな形でお年寄りに地方に行ってもらう。これは合理的なのかもしれないけれども、でも、住み慣れたところで老いていくのが理想なのですが、どこかへやられてしまうのはいかがなものかと。そのあたりをどう考えていくか」
島田キャスター
「こういう現状の中で働く世代、現役世代をどのように捉えていますか」
久我氏
「私は、生産年齢人口の中でも30代以下の若年層の負担が増していくことが非常に問題だと思っています。これまでのお話とも絡むのですが、現在の30代以下の若年層というのはそもそも不況の中で育ってきて就職活動も厳しいですし、就職できたとしても、非正規雇用という不安定な立場で働く方が増えています。そういった厳しい経済状況に加えて、さらに、少子化、高齢化の進行で社会保障の負担が襲いかかってくるという構造になりますので、現在少子化が進んでいますけれども、さらに若年層が将来の家族形成を考えにくい状況になって、さらに少子化というのが進んでいく可能性があると思います」
島田キャスター
「全体的な少子化に歯止めをかけるには何か効率的というか、これだという答えはありますか。一番、必要なものというのは?」
宮本教授
「1つは、女性が子供を産み育てながら、働き続けられることができると。国際比較で働き続けることができるということが実現しているところは、比較的少子化が抑制されていると。もう1つは、子供にかかるコストですよね。子育てにかかるコスト。現在、たとえば、私立の文系の大学を卒業させるまでにどのくらいお金がかかるかというと、2000万円以上かかると。お子さん1人当たり。これに、もう1つ機会コストがあるんですね。機会コストというのは子供を産み育てるために、フルタイムで働いていた女性が、仕事を諦め、いったん仕事を辞めて、子供が6歳ぐらいになった時に、パートタイムとして仕事に戻る。フルタイムで働き続けた時と、それを諦めてパートになった時の生涯賃金ですね。この格差というのがどのくらいあるかというと、二億数千万円ぐらいあるというのが国民生活白書。だから、二億数千万円の機会コストと、実費の2000万円を足すと、2億5000万、2億6000万円ぐらい、お子さん1人当たりかかってしまうということになるわけです」
反町キャスター
「1人ですか?」
宮本教授
「そうですね。2人産んでも機会コストはそう変わらないですね。だから、それを考えると、すごく高くついてしまう」
反町キャスター
「たとえば、先ほど、久我さんがおっしゃった、30代以下の不利、負担が増えていると。都市部に住む、若年層、現役世代に将来を考える余裕がなくなってきている。それは、たとえば、政策的な、ある意味欠落かもしれないと考えた時に、現役世代、若い人達に対する支援をどうするのか?我々は社会保障をそもそもどうしても高齢者に対する手当とすぐ考えてしまうのも悪いんだけれども」
宮本教授
「基本的にはそうです。ただヨーロッパ的にはもうちょっと若い世代を支えて」
反町キャスター
「なぜそういう偏りになっているのですか?」
宮本教授
「それはシルバーデモクラシーのなせる業だと思いますよね。現在60代の投票率というのはだいたい、この前の2012年の選挙で75%だけれども、20代の投票率というのは37%に落ちてしまっているわけですね。よく僕は授業で言うんですけれど、皆、ここまで就職したり、進学したりするのがしんどくなっているのに何で投票に行かないんだと。軽くみられているんだぞと言うんですけれども、現在学生達は、制度が自分達を支えるという感覚がないから」
島田キャスター
「そういう時代に生きていない?」
宮本教授
「生きていないし、たとえば、職業訓練だとか、教育の様々なサポートみたいなことを公的に受けたことがないから、選挙を通して何か意志表明をして、自分達が元気になれる状況をつくっていくという発想がないんですよね」

正規・非正規の結婚事情
島田キャスター
「4人に1人が高齢者。その高齢者を支えるために日本の活力というのが必要ですが、若年層の現実というのは一体どのようになっているか。久我さんから説明をいただけますでしょうか」
久我氏
「20代、30代の男性、女性、正規、非正規という雇用形態別に婚姻、交際の状況を見たものです。こちらを見ると、正規雇用者、非正規雇用者でかなり違いがあるという話なのですが、たとえば、男性の正規、非正規を比べますと、正規雇用者の既婚率というのはだいたい3割弱。恋人ありも3割弱。ですので、既婚と恋人ありを足したパートナーがいる割合というのは半数強になります。一方で、非正規は既婚率が5%に満たないですし、恋人ありが15%。パートナーがいる割合は2割になりますので、残りの8割、20代、30代、非正規で働いている男性の8割は恋人がいない、あるいは交際経験がないという状況になっています。このように正規、非正規で随分違うんですけれども、一方で、女性は、正規と非正規で比べますと既婚率は正規よりも非正規の方が若干高くなっています。女性では昔から結婚、出産によって働き方を変える方が多くいらっしゃるので、この状況が出てきています。ただ、女性でもパートナーがいる割合として、恋人ありを加えると、正規と非正規で差がありますし、交際経験の有無というところに注目していただきますと、非正規の方が正規よりも随分多いということで、職場での出会いが関係しているんだと思いますが、女性でも男性と同じように非正規の方が少し消極的な状況となっています」
反町キャスター
「それは女性が男性を見る時に正規か非正規かでフィルタリングをしているというふうに見た方がいいのですか。それとも男女ともお互いに正規を求めているということなのですか?」
久我氏
「そうですね。正規同志でいえば職場での出会いが、正規雇用者の方の方がひとところにいる時間が長いですから、出会いという面もありますし、女性から男性を見る時によく年収何百万円以上がいいというような経済的な条件だとか、そういうところもあると思いますね」
反町キャスター
「それは結婚相談所みたいなところで、データを打ち込むところで300、万円とか、400万円とかがあると思うのですが、いわゆるお付き合いのところで、僕は、幸か不幸かあなたはいくらと聞かれたことがないので聞ききますが、女性の方から男性に対して年収いくらなのと、付き合う段階で聞いているということですか?」
久我氏
「いや、そこまで聞いている方が多いかどうかというのは、ちょっとわからないんですけれど、ただ結果として見ると、20代、30代の男性の既婚率は年収と比例しているという結果がありまして、年収300万円未満の場合、20代でも30代でも既婚率は1割に満たないんですね。これが300万円から1段階上がって、300万円から400万円になると、既婚率が一気に3倍に上がるんです。この背景には、単に100万円上がるということだけではなくて、雇用形態が非正規ではなく、正規という安定的なもので、将来の家族形成を考えられる男性だということもあると思います」
島田キャスター
「将来的にずっと結婚をしない、1人でいる。ずっと非正規でいるという方々が増えたとしたら、どういうことが考えられるのでしょうか?」
久我氏
「まずは子供を産み、育てる数が減るので、少子化がどんどん進みますし、現在、日本の生涯未婚率というのは、男性20%、女性10%程度なので、現在時点で既に日本では男性の5人に1人、女性の10人に1人は一生独身という状況なのですが、高齢単身の世帯がどんどん増えていきますと、かなり深刻な話になりますと、少し前から孤独死、孤立死のような問題がありますけれども、そういった状況が増える可能性もあると思います」

”おひとりさま”への懸念
反町キャスター
「ただ、俗におひとり様と呼ばれるのも、それなりに、たとえば、現在のおひとり様はちゃんとお金を持っていて、自分のやりたいこともあって、亡くなる時も、ちゃんと自分のお墓まで買ってから、孤独にかもしれないけれど、亡くなられる方もたくさんいらっしゃるというふうに僕らは聞いてはいるのですが、おひとり様が社会の負担になるのかどうか。そこのところはどういうふうに見ているのですか?」
久我氏
「お金があるおひとり様であれば、自分でセーフティネットを張ることはできると思いますけれども、現在の若年層はだいたい20代の半分ぐらいが非正規で働いていますので、そういった方々の非正規の男性の年収を集計しますと、どの年代でも300万円に満たないんですね。そういった方々が、50代、60代になっていくと自分でセーフティネットを張ることができないですよね。そういったところを社会で見守っていく必要がありますので、社会のコストにもなってくると思います」

若者と高齢者 政策のギャップ
久我氏
「失業率の推移で60代前半と20代前半、全体の失業率を見たものですが、この推移を見てみると、高年齢層の雇用が若年層の雇用を奪っている懸念があるという話なのですが、失業率というのは2000年頃まで、20代前半、60代前半が全体と比べて高水準で、全体よりも2%程度高い水準で推移していたんですけれども、2000年頃から両者乖離しています。60代前半の高年齢層の失業率は低下して、全体の平均と近づいているのですが、20代前半はさらに全体から離れて4%程度離れるような形で、高水準で推移しています。2000年頃から何があったのかと思い返してみますと、厚生年金の定額部分の支給開始年齢の段階的引き上げが行われた時期。また60歳から65歳に段階的に引き上げられることになったので、60歳の定年と65歳の支給開始年齢の間を埋めるために、高年齢者雇用安定法の整備、改正が行われてきました。このタイミングで、この両者が乖離しているのですが、政府の研究会などでは高年齢層の雇用というのはもともと経験もあって、専門的な技能もあるので、経験も有しない若年層とは人材として質が違うので、高年齢層の雇用は直接的には若年層に影響を与えていないという結論になっているのですが、ここで私が疑問に思うのは高年齢層に関しては不況下でも法整備が雇用を守ってくれていますので、不況下で企業が人材コストを削減しないといけないとなった時に真っ先に削られるのは、若年層の雇用です。法で守られていませんので。依然として、直接的に影響を与えていないという結論ではあるんですけれども、不況下では依然若年層は不利。それがこの結果に出ていると見ています」
反町キャスター
「たとえば、2000年からずっと失業率が若い方が高止まりしている部分でいうと、ずっとデフレで景気が悪くなったじゃないですか。景気が悪い時に、各企業が考えることというのは新規雇用を見送る。新規雇用見送りの一方で、先ほどの年金の支給年限の繰り上げによって、切るに切れない人が社内に、要するに、潜在的な失業者、社内的な失業者が残る。これが1つの形で現れているのだとすれば、アベノミクスがきちんと動いて、景気が良くなれば、現在事実上求人倍率だってすごく良くなってきていて、失業率も下がってきている中で、この若者が吸収されていく可能性はどうなのですか?」
増田氏
「本来はそうあるべきですね。現在まだそのいろんなアベノミクスの効果というのは、大企業中心に及んでいるだけですけれども、これからそういう形になっていくべきだし、それから、企業内での60歳から64歳、本来はもういなくなるべきというふうに言いましたけれども、日本社会の在り方からすれば、そういう人達がこれからきちんと働き続ける、そういう社会でないとこれだけの高齢化を支えていく社会というのはありません。もちろん、給与の水準の話はいろいろあると思いますが、当然のごとく知識、経験をいろいろ持っている人達だから、そういう人達が企業内、あるいは社会できちんと働き続けることができる社会というのを目指すべきだと思います」
反町キャスター
「たとえば、就職氷河期という時代を過ごして大卒ないしは高卒、新卒の時期に正規雇用のチャンスを失った人達が、現在30代前半から中盤にいらっしゃいます。そういう皆さんが、たとえば、これだけ就職状況、雇用の環境が良くなってきたとは言え、企業、採る側は新卒がほしいわけではないですか。15年ぐらいの間のスパンの人達は現在の20代前半から30代中盤ぐらいまで。この人達をいかに救済するか。ここの政策というのは、政府の政策にはそこの部分にきれいにはまっているものはあるのですか?」
宮本教授
「いろいろあります。たとえば、キャリアアップハローワークと言って非正規の人を正規に送り込むことを重要な課題にしているハローワークというのもできています。日本は会社が学校みたいなところがあって、実は大学までは、大学の教師としてこういうようなことを言うのは申し訳ないんですけれども、社会で役立つ、本番の知識は提供していなくて、会社の中で身につける。しかも、単なる知識や技能だけではなく、口のきき方とか、いろいろな社会的なリテラシーみたいなものを会社の中で学ぶわけです。だから、いったん正規として会社に入り損ねると会社はずっとそういうやつは採りたくないということになってしまうわけですよね。だから、そういうところの、いろいろなリテラシーをフォローするような学校、機関を外部にちゃんとつくっていく。そういう機会を提供するということも合わせて必要だと思いますね」

子ども子育て支援
島田キャスター
「『認定こども園』や、一時預かりの増加、待機児童の解消などの支援ができてくると、子育てしながら働きやすくなると思いますか?」
久我氏
「認定こども園は親の働き方、就業状態によらず預けられる施設だと思うのですが、これは現在の働く女性の状況にあっていると思いますね。と言うのは、現在の子育て女性というのは、半分程度非正規で働いているんですね。非正規だと育休を取りづらくて育休取得率も数%にすぎないのですが、出産によっていったん仕事を離れる女性が多い。そうなると、働き出そうとしても休職中、無職の状態になってしまうので、保育園の利用にも不利です。ですので、雇用形態、就業状態によらず子供を預けられる施設があれば、現在女性の就業率というのは4割をきっていますけれども、その背景には非正規の女性が多くて、育休取得ができないというのも大きくありますので、こういった仕組みがあれば就業継続率の上昇につながってくると思います」

子育て支援と女性の働き方
反町キャスター
「M字カーブの問題はいかがですか?」
宮本教授
「私は、1つ有効な方法として育児休業給付、育児休業期間中の所得保障の従前の所得に対する割合を高めるというのが非常に大切だと思うんです。現在50%ぐらいなんですけれども、ヨーロッパで出生率の上昇と、女性の就業継続両方の実現しているところは65%ぐらいにしている」
反町キャスター
「企業負担ですか?」
宮本教授
「基本的にこれは労働特別保険会計ですから企業負担があるんです。失業給付がそんなに高くないのに育児休業給付だけ高くしてはおかしいという議論があって、なかなか実現しないのですが、子供を産もうかどうしようかと考えている時に、その先の所得が皆心配になるわけですよね。それでかなり現状が維持できて、子供を産む間に、議論が続くということになれば、皆決断する可能性が高い。企業負担というところの障害と失業給付を上回ってしまうというところの問題があり、なかなか実現しなかった」

育休3年と女性登用
島田キャスター
「育休3年制度をどのように見ていますか?」
久我氏
「そもそも育休をとれる子育て世代の女性の半分が非正規ですし、育休を取りづらい方です。ですので、育休3年は自分ごととして考えられる女性というのが、どのぐらいいるのかという疑問がまずあります。また正規雇用者にしても雇用主にとっても、そこまで大きなメリットはないと思います。企業側からしますとせっかく育て上げた人材が3年間休むとなると穴埋めも必要ですし、人材のコストがかかります。女性を採用すると3年休まれてしまうので、それなら男性を採用しようということにもなりかねないと思います」
反町キャスター
「保育所の整備と、育休3年は両論併記という形で出ていますよね」
塚田氏
「いずれにしても、保育所整備を大都市中心に急いでいかなければならないのが前提条件ですよね。ですから、それとある一定の倫理的な考え方があると思います。私は結局0歳児とかは母親の下で育てるということは大事なことだと思うのですが、0歳児保育をどれだけ公的に支援するのかということを少し考えた方がいいような気もしますけれども、女性で働いている人達が3年間仕事を離れるということは普通考えられませんので、皆さんに聞いてもせいぜい1年というお話をされるから、実際の勤務実態にあったような育休の場合の休業補償とかを考えていくべきだと思います」

配偶者控除 廃止すべきか
島田キャスター
「配偶者控除の廃止が検討されていますが、これについてはどのように見ていますか?」
久我氏
「これは女性の活躍の方向とはちょっと違う話だと認識しています。配偶者控除の問題というのは専業主婦世帯に対して、共働き世帯や単身世帯の所得移転が起きている不公平感があるというところを是正する必要があるんだと思います。この仕組みは、家族の昔のモデルケース、お父さんが働いてお母さんが家のことをやるという家族のモデルを支えるためのもので、現在は共働き世帯の方が多くなっていますし、世帯のマジョリティにあわせた形に直す必要がある。女性の活躍というのは、103万円の壁があるから活躍できないということではないと思います」
塚田氏
「いろいろな意味での不公平感というのはあって、ここで見直しをして、そこで出てきた財源はきちんと子育ての方にしっかりと充てていく。所得移転による不公平感はなくしていく。それを他のことに使うのではなく、きちんとした子育て対策に充てていくのが必要だと思います」
宮本教授
「基本的に廃止は賛成なのですが、少し躊躇するのは、現在内閣府の世論調査などをすると女性が働き始めたんだけれど、非正規の仕事しかなくてとても厳しいということで、女性の居場所は家庭であると回答する女性が数年間で10ポイントぐらい上がっているんですね。女性をある意味では保護してきた制度である。働くことも厳しいし、家族からも追い出されるみたいな構図になってしまうと、これは酷かなというところもあって、増田さんがおっしゃったことに大賛成ですが、もしここでお金を節約するならば、それをキチッと働くことの質を上げるような方向で使うというのが筋が通った議論だろう。消費税が上がりましたけれども、子供子育て新制度のメニューをやるためには、1兆1000億円ぐらいのお金が必要なのですが、現在消費税で確保するべき7000億円分も10%になるかわからない状況で確保できない。たとえば、国が平成26年に子供子育て支援の予算をどのぐらい組んでいるかというと1300億円ぐらいですよね。話が縮まっているわけで、それを考えるとなおのこと支援のために使うという条件が必要になると思います」

医療費削減の可能性
島田キャスター
「医療・介護等分科会の社会保障の提言で、効率的で質の高いサービス提供体制の確立とはどういうことなのですか?」
塚田氏
「いわゆる経営主体を強化して市民に提供する、たとえば、医療提供サービスと言っていますけれど、診療日とか、曜日とか、全部調整して全体でこの市に住んでいれば、必ず眼科だとか、耳鼻科が必ずここで受けられますとか、各病院を通じて、あるいは介護施設も通じて全部を一体的に経営できるようにしようと。これから1つ、1つの病院経営というのも、お互いに小さいレベルで競争していたらなかなか厳しくなると思うんですよね。効率的で質の高いサービス体制をつくりあげるために病院や介護施設等の経営体制を強化しようというのが1つの提案です。一法人に、一病院、一施設ということになっているのですが、それを超えて1つの統合したホールディングカンパニーのようなものです。外形的にわかるメルクマールで少しインセンティブを与えたらどうかというのが、端的にいうとそういったことです」
島田キャスター
「公的保険外のサービス産業の活性化とは」
増田氏
「たとえば、健康予防。保険料を払う時に、喫煙者、禁煙者なのか。たとえば、禁煙セミナーをしょっちゅう受診している人には保険料を少しお安くするとか、健康予防に対してインセンティブを与えたらどうか」
宮本教授
「日本のGDPで見た医療費そのものが相当高いわけではなくても、少なくても現在で、これからの高齢化を考えるとこれではすまないというのがわかる。それを考えた時、日本の医療のアクセシビリティが非常に高いので、コンビニ診療のように患者が病院を使い倒すみたいなところがあって、結果的に病院で特に小児科とか、産婦人科の先生が耐えられなくなってどんどん立ち去ってしまうという現実があるわけです。これを考えると、1つは患者市民の側が医療を守るという視点で、地域医療を大切にしていく。増田さんがおっしゃった持ち株会社型の新法人制度。これは社会保障制度改革の国民会議でも提言していて、私は基本的に賛成です。と言うのも、日本の地域医療は本当にバラバラで1億円以上の医療機器を全部の病院が持っているとか、それから、急性期から急性期への病院の連携ができないからスムーズに最適な医療を提供することができないということを考えると医療連携のために持ち株会社をつくっていく。2006年に医療法が改正され、出資の持ち分を医療法人で定めるのは営利性につながるのでダメだということになったんですけれど、増田さんがおっしゃるようにこういう持ち株会社ならば非営利性を維持したまま医療連携が強められる」

塚田寛也 産業競争力会議 医療・介護等分科会主査の提言:『持続可能性』
塚田氏
「支える側も支えられる側にとっても重要な社会保障システムなのですが、1番の問題は、どうしても最後はお金のことに行き着くのですけれど、持続可能性がない。それをどうしようかとこれまでいろいろ考えたのですが、実はそもそも担い手の数が人口減少ですごく少なくなってくるわけです。ですから、そういう人的な面でもどれだけ持続可能性を持っているかというのがすごく重要なことだと思うんです。たとえば、出産の時に、昔だと助産師さんを使っていました。現在はリスクの高い場合はきちんとした病院が必要でしょうけれど、通常分娩であれば、助産師さんの力を借りる。いろんな意味で持続可能性をこれから制度として出していく必要があるのではないかと思います」

宮本太郎 中央大学法学部教授の提言:『”支える・支えられる”の二分法をこえる』
宮本教授
「支える側、支えられる側と2つに分けている限り、増田さんがおっしゃった持続可能性はなかなか確保できないだろうと思っているんです。そういう意味で、支える側を支える。実はこれまでの日本は支える側を支える仕組みがあったんですよ。つまり、長期的な雇用慣行とか、地方に仕事をつくっていく、いろいろな公共事業とか。それで支える側が元気でいられたというところがある。それがなくなってしまったのだから、保育とは別の形で支える側を支える。支える側の働き方をちょっと緩やかなものにするならば、支えられる側が支える側に入っていくということも可能になっていく。そういう意味では肩車から相互乗り入れのような形にしていくことが、増田さんがおっしゃった持続可能性を確保するために大事になっているのではないかということです」

久我尚子 ニッセイ基礎研究所準主任研究員の提言:『信頼』
久我氏
「私は支える側に視点を置いているのですが、現在の若年層は年金がもらえないものだと思っていますし、社会保障制度が自分達の将来に何かをしてくれるというような期待感も持てないような状況です。ですので、将来の社会保障に対し信頼感を置けるような制度設計であってほしいですし、そういった中で若年層が安心して家族形成が考えられ、子を産み育てられるような社会につなげていく必要があると思います」