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2014年4月21日(月)
最終局面?TPP交渉 西川委員長に聞く展望

ゲスト

西川公也
自由民主党TPP対策委員長 衆議院議員
山下一仁
キヤノングローバル戦略研究主幹

TPP交渉の行方 交渉難航の要因は
島田キャスター
「日米の交渉が難航していますが、重要5項目としている、コメ、麦、甘味資源作物、牛肉、豚肉、乳製品。この5項目のうちの3つ、コメ、麦、甘味資源作物などはアメリカが完全撤廃の例外とする。すなわち関税維持の方向なのかみたいな姿勢であるとも言われています。一方で、牛肉、豚肉、さらに乳製品の隔たりはとても大きいと。牛肉は現行ですと38.5%の関税ですが、これが決まらない。1桁代かとも言われています。豚肉は4.3%。乳製品などは29.8%だけれど、この関税の大幅引き下げを要求されているのかどうかはわかりませんが、引き下げの方向とされています。一方、5項目とは別に自動車ですが、アメリカの関税は乗用車2.5%、トラック25%。これを日本側は撤廃してほしいと考えていますね。一方で、日本の安全・環境基準は堅持したいというふうに考えているのですが、アメリカ側は日本の基準緩和を要求していると言われています。日米の閣僚級会談もあまりうまくいかなかったと。何が原因だったと思いますか?」
西川議員
「日本の立場からすれば、アメリカが柔軟性を示すべきだと思います。しかし、アメリカの立場から言えば、日本よ、そう、あんまり頑なになるなと」
島田キャスター
「どちらも頑なだったということですね」
西川議員
「そうなんです。交渉ですから、真逆になりますよ、意見は。その中でいくらかは進んだと思うんですね。甘利大臣の言葉を借りれば、相当進んだけれども、まだ間が開いていると。進んだということで、日本が譲歩したということは、私には聞こえてきてはいません。そうすると、甘利大臣の言葉からすれば、向こうが頑なに立てておった壁が少しでも穴が開いたのかなというふうに受け止めていきたいと思うんですね。それで品目がいくつも出ましたけれども、コメや麦や砂糖はアメリカが攻めるのか、攻めないのかがわかりません。日本に対して攻めないのなら、ピン止めを1回させてもらいたいんです。これは触れませんねという。固定させてもらいたいんです。残った牛肉、豚肉、乳製品の議論をしたいのですが、日本が固定したいということになれば、アメリカは固定させないということになりますね。そうすると、堂々巡りですね。こちらは牛肉、豚肉、乳製品の議論をはやく詰めていきたい。そのためには、こちらのコメ、麦、砂糖は、もう決まったのでいいですかとやっているわけです。ところが、アメリカにしてみれば、それは牛肉も豚肉も乳製品も全然譲る気がなくて、こちらだけ決めたというわけにはいきませんねと。もう1回戻りましょうかと。こういう状況ではないかと」
反町キャスター
「それは疲れますよね。行ったり来たり、ずっと甘利、フロマン会談をやっていたかもしれないと」
西川議員
「そうですね」

牛肉の関税は
島田キャスター
「まず牛肉に関しましては、日豪EPAで妥結した数字が、日本側としては1つの基準になるとも言われていました。西川さんは以前この番組に出ていただいて、日豪EPAについて説明いただいたのですが、牛肉の関税の引き下げというのは、どういうイメージなのですか?」
西川議員
「現在38・5%関税かかっていますね。それで日本側としては関税項目が1つは冷凍物ですよ。1つは冷蔵物ですよと。この2種類に分けたんですね。日本は本来であれば、冷蔵物も草を食べたもの、あるいは穀類を食べたものと分けたかったんです。これまでの交渉はそれでやってきたのですが、豪州は、そんなことを言わずに冷凍と冷蔵の関税番号が違いますから、冷蔵と冷凍に分けさせてもらうということにしようとしました。それで冷蔵物は、日本のF1や、ホルオスといった、ホルスタインのオスですね。そこと少し競合をするのではないかという心配があるんです。冷凍物は、価値としてはハンバーグだとか、そういう加工物にいきますから、日本のものとは競合する部分が少ない、あるんですよ、乳用の胚乳の母乳なんかは、それと競合してるんです。乳を搾った、かなり年数の経ったメス牛は、ハンバーグとか、そういうところに使っていますから、競合は全くないわけではないんですね。ところが、今度、冷蔵物は町のスーパーで売っているF1と言いまして、乳牛と黒牛をかけたものとか、ホルスタインのオス牛とか、穀類を食べて育っています。そこと、油の入り方が似ているとかということもあって、競合があるだろうと、こういうことですね。競合のあるものも、競合のないものも、冷凍も冷蔵もオーストラリアの主張は両方一緒だということを言いましたが、私どもは冷蔵もスーパーで売るようなものは、冷凍物と同じ税率というわけには、言うことを聞くわけにはいきません。それで、冷凍物は19.5%まで将来、下げますと。こう決めたんですね。冷蔵物は初年度に6%下げます。あとは小刻みに下げていって、15年間で23.5%と。その間4%開くんです。セーフガードというのを我々はかけていまして、量が増えると38.5%に戻る仕組みになっているんですね。ですから、6%、8%下げた初年度で結果的にアメリカに対して先行利益が得られると」
反町キャスター
「なるほど。先行利益というのは、ここの部分(冷蔵牛肉と冷凍牛肉の関税率の差異)ですね」
西川議員
「1年目、2年目ですね。そこで、とにかくオーストラリアの肉の優位性が出るでしょうと。先行利益ですね。そのあと利益が出るかどうかはTPP次第」
反町キャスター
「今回の日本とオーストラリアの間の牛肉の合意というのが、アメリカとの牛肉の交渉において、アメリカに対してどういった圧力になりますか?」
西川議員
「圧力をかけたつもりはありません」
反町キャスター
「言葉が悪いですね。圧力ではなくて、アメリカに対してどういう効果がありますか、日米交渉に」
西川議員
「日米交渉で効果があるかどうかわかりませんが、オーストラリアが先行利益を得ることは事実ですね。その時アメリカの牛肉シェアがオーストラリアに変わっていくと思います、1年、2年。その時に、アメリカの牛肉業界から政府に対して、相当の注文が、私は、起きると思います」
反町キャスター
「つまり、当面の間は、アメリカから日本に入ってくる牛肉には、38.5%の税率がかかり、オーストラリアから日本に入ってくる牛肉は、1年目で32%と30.5%に、6ポイント、8ポイントの差がつく?」
西川議員
「はい」
反町キャスター
「もともとの価格もオーストラリアの方が安いんですよね」
西川議員
「はい」
反町キャスター
「もともと安いうえに、関税率も、オーストラリアの方が安くなるので、日本における牛肉の、市場シェアというのが、オーストラリアが一気に拡大する可能性がここに出てくる。こういうことでよろしいのですか?」
西川議員
「いいと思います」
島田キャスター
「TPPは何年か経ってからじゃないと発効しないのですか?」
西川議員
「発効しないですね」
島田キャスター
「その間にオーストラリアが最初に利益を得ると」
西川議員
「はい。オーストラリアとのEPAは、条件が整えば最も早いケースで来年の4月1日から発効するだろうと見ています。もっと早くなる可能性もないわけではありません。条約発効と同時に、片方は6%下げ、片方は8%下げると。それは、一緒に自動車の関税も下がりますから。自動車の75%に相当する大半が関税ゼロになります」
反町キャスター
「日本からのオーストラリアへの輸出分ですね」
西川議員
「はい」
反町キャスター
「そういう状況の中で、今度はアメリカの牛はどうなるのかというと、TPPで、何%で話が決着するのかはまだわからないですよ。TPPが実際発効するまでには、何年ぐらいかかると見ていますか?」
西川議員
「どんなに早くても2年以上はかかると思いますよ。決まってから」
反町キャスター
「そうすると、決まるまで、あと1年ぐらいかかると見た場合に」
西川議員
「すぐ決まるかもしれません。これはわかりません」
反町キャスター
「2年、3年は、要するに、TPPの新たな税率というものが牛肉にかかるまで時間がかかる。2年か3年の間は、オーストラリアの牛肉というのは日本における優位性を保ち続ける?」
西川議員
「そうです」
反町キャスター
「アメリカの牛肉輸出業者がそれに耐えられるかどうかはどうですか?」
西川議員
「耐えられないと言ってアメリカ政府に迫るかもしれませんね。耐えられると言って我慢するかはわかりませんが、私は、アメリカを狙い撃ちしたわけではないんです。結果的にオーストラリアが先行利益を得るということですね」
島田キャスター
「EPAと別にして、日米の牛肉の交渉をどう見ていますか?」
山下氏
「オーストラリアは、基本的には草で牛を大きくしているわけですね。ところが、アメリカの場合には、トウモロコシとか、大豆とか、そういう穀物で肥育するのがメインです。だから、ある程度の差別化ができているわけですね。実はアメリカは世界第3位の、ブラジル、オーストラリアに次ぐ輸出国です。ところが、アメリカは、何と世界第1位の牛肉輸入国です。なぜかというと、オーストラリアの、いわゆる、その草で育った牛肉はアメリカに対してもコスト的に安いんです。だから、100万トン輸出して、100万トン輸入しているというのがアメリカの考え方ですね。要するに、いくら攻められても、より高いものを輸出すれば、より品質の良いものを輸出すればいいというのがアメリカの考え方。そうは言っても、代替性はある程度ありますから、オーストラリアの牛肉の関税が下がるというのは、アメリカとしては居心地のいいものではないですね」
島田キャスター
「プレッシャーではないと言いましたが、居心地はよくないと」
山下氏
「それはよくないと思いますね。だから、アメリカとしては、2つやり方があって、柔軟になるのか、その逆に強硬になっていっそのことゼロにしてしまえと。即座にゼロにしてしまえば、確かに、2、3年はオーストラリアに先行利益はありますけれど、そのあと、ゼロにしてしまえば皆競争条件は一緒ではないかと」
西川議員
「それはならない」
反町キャスター
「そこですよ」
西川議員
「公約があって、そんな極端な話で、日本の農業が折れるわけがありませんし、我々は国民と約束していますから、だから、つらいんですよ。そんな極端な話、ゼロの話ができるぐらいなら、とっくにできるんです」
反町キャスター
「つまり、オーストラリアと事前にEPAでちゃんと合意したことが現在における、牛肉の関税ゼロを消す効果があったといいきってよろしいですか」
西川議員
「是非そうしてほしいと思っています。願っています」
反町キャスター
「アメリカを見て、アメリカも関税ゼロ、オーストラリアと日本のEPAが決まった時点で、アメリカはもう一本とられたと。関税、牛肉に関税ゼロはもうダメだと、向こうが観念したのではないか。そのへんの見立てはどうですか?」
西川議員
「そうですね、観念してくれればいいと思っています」

豚肉の関税は
島田キャスター
「次は、豚肉に移りたいと思います。豚肉も非常に困難な状況が続いているのですが、豚肉というのは、関税が割と複雑で3段階に分けて関税がかけられているんですよね。まず非常に低い価格の関税には、豚肉には従量税というものがかけられます。ある一定の金額から分岐点価格と書いてありますが、1キログラムあたり524円の輸入価格のものには差額関税というものがかけられまして、一律546.53円という値段で、常に国内価格は一定というふうになっています。これを超える、比較的高い豚肉の場合は、従価税というものがかけられまして、これが4.3%。この3段階でかけられているんですが、西川さん、この間の日豪EPAでは、4.3%の高い豚肉の関税を、2.2%に下げることが決まったということなのですが、これについてアメリカとはどのような交渉になっているのですか」
西川議員
「これはまず従量税は実際にはないんです。それで、それよりは高いでしょう、その時、たとえば、1キログラム300円の肉はその数字の差だけ税金かかるんですね。400円の場合も、その差だけかかるんですね。300円の時、そんなたくさんの税金を払うよりは、500円以上にしてしまった方が税金がかからないわけです。だから、これは作為的にやっているかどうかはわかりませんが、生産者から日本に輸出するまでの間、人の手を渡れば、渡るほど、520円に近づくんですね。そうすると、実際にかかっているのは、300円か400円かはわからない。結局、税金は、差額関税にかかりますからね。そこを何もそんなことをやって数字を上げられてくるのならば、差額関税はもう少しわかりやすい方がいいねという議論はあります」
反町キャスター
「つまり、たとえば、300円ぐらいの肉だと税がこれだけかかるのだけど、税が安い方がいいから、このへんの肉で皆無理やり値段をつり上げて、国内でですよ」
西川議員
「海外で」
反町キャスター
「国内というのは、オーストラリアならオーストラリアの国内でつり上げて、安い税金で日本に輸出しているケースがある。つまり、肉転がしみたいな、そんなイメージですか?」
西川議員
「表現がですね…」
反町キャスター
「適切ではありません。すいません」
西川議員
「必要だから商社の手を何人か渡ったかもしれません。しかし、手が渡ったら下がることがあるかもしれませんから、どんどんこの分岐点価格に近づくと」
山下氏
「2つケースがあると思います。1つは、国内の輸入業者が実際には300円で仕入れた値段を、肉を実は524円で自分は買ったんだといって、その脱税をするケースですね。これはよく税関が調べて、脱税摘発するケースです。もう1つのケースは、豚というのはいろんな部位があるんですね。いわゆる、ロースとか、肩ロースとか、テーブルミートである部位と、ハム、ソーセージになる部位ですね。皆値段がバラバラなんです」
反町キャスター
「安い部位と高級な部位とで値段が違うんですね?」
山下氏
「それを実は輸入する時に、ワンパックの中に集めてきて、実は輸入をしている値段を、ほとんど、値段の高いところに合わせるんです。従って、数年前の日経の記事になんですけれども、実は、本当に税金を、関税を申告したら、1600億円の関税収入があるはずだと。ところが、そういう節税というか、その分岐点価格のところで輸入していますから、実際の、その関税の収入は、180億円しかないと。2010年度の数字なのですが、と言うことは、ほとんど実際に差額関税のところで、国内の546円という価格と、輸入価格の差を徴収しているのは、ほとんどなくて、実は分岐点価格のところで、4.3%の関税を払っているだけの数字にすぎないということです」
反町キャスター
「この話はTPPから離れちゃうんですけれども、要するに、豚肉の輸入システムの問題点の話になっていますよね」
山下氏
「と言うことは、実は、逆に言うと、そもそもそんなに関税を払っていなくて、現在の豚肉業界が成立しているのなら、関税はいらないじゃないかと。この差額関税制度がなくて、4.3%のままでいいじゃないかという議論が成立するんだと思うんです」
西川議員
「いや、成立しないですね」
反町キャスター
「それはどういうことですか?」
西川議員
「差額関税は、頂上が平らでなくてもいいだろうという議論があるんですね。どうせ上げてこられるんなら、斜線でもいいではないかと。斜めの方がいいじゃないかと。こういう議論もあるんですね。それから。4.3%を、2.2%にしたのは、メキシコでやったんです。それから、チリへもやったんです。それで、今回、オーストラリアは、特に関心事項はありませんが、12か国のうちの有力国は、2.2%にしましたということに統一したわけですね。チリとメキシコとオーストラリアにしました。これは数量制限がかかっていますからね、そう増えはしないのですが、常識的に4.3%を2.2%にしたのですから、アメリカもゼロだなんてことは、私は言わない方がいいと思いますね」
反町キャスター
「そこも、アメリカは、日豪EPAを見て、これはゼロというのは無理だなと。2.2%よりも下だけど、ゼロよりも上のところで落とさないと、身動きがとれないぞと感じている予兆はある?」
西川議員
「何とも言えませんね」

自動車分野の行方は
島田キャスター
「自動車についてはどのように答えていくのでしょうか?」
西川議員
「これを担当しているのは外務省の森大使で、2国間協議をやってきています。日本は乗用車に対する2.5%の関税撤廃を迫っています。しかし、なかなか年限は切れませんね。さらに伸ばす方法を当然考えてくると思うのですが、非常に難しい状況にあります」
反町キャスター
「米韓のFTAがありました。日本が牛肉の関税をゼロにしないと、それは出てこないという関係と見てよろしいですか?」
西川議員
「いえ、日本に対する考え方と韓国に対する考え方では、日本の方が恵まれていると思います。現在日本がアメリカに対し主張しているのは自動車部品です。アメリカのビッグスリーの経営が大変だという時期がありましたが、自動車の部品のだいたい3割ぐらい、日本の部品が届いているはずです。だから、日本の部品の関税をゼロにすれば、アメリカのビッグスリーもヨーロッパ車や韓国車に対して競争力が高まりますから、私は、ここはビッグスリーと一緒に日本の部品の売り込みをやった方がいいと思う。関税撤廃は決めましたけれど、長期になると思います。それは、日本は許さないとやっていますのでなかなかそこはけりがつきません」

西川TPP対策委員長に聞く日米交渉 コメ・麦・砂糖は
反町キャスター
「TPPは聖域無し関税、全部ゼロにしましょう。だけど、明らかにコメ、麦、さとうきび、牛肉、豚肉、乳製品に関しては関税のゼロを日本が飲んだというものはないのですが、例外5項目、聖域は守っている流れになっていると見てよろしいですか?」
西川議員
「聖域は守りぬく、この考え方の基本姿勢は全く変わっていません。昨年2月の現地時間で22日、オバマ大統領と安倍総理で首脳の共同宣言がありました。あの時、向こうの工業製品は特別な配慮をしましょう、こちらの農産品も特別な配慮をしてくださいね、それならこの経済連携を進めましょうという前提条件がありますから、日本は国民との約束もあるし、そう簡単に譲るわけにはいかないという状況で進めています」
反町キャスター
「関税がゼロにならなくて、多少関税はあるんだけれど、それによって聖域は守ったのかどうかと言われた時に、守ったという形に落としていく?」
西川議員
「関税が残ったとしてもという表現ではいんです。関税はしっかり残す。公約は守ったと世間に私どもが申し上げることができる数字にしたいと思っています」

西川TPP対策委員長に聞く 日米交渉の行方
島田キャスター
「オバマさんとの会談が24日。どこまで詰められるのかですが」
西川議員
「TPPは、幅の広いルールづくりです。たとえば、ビジネスマンの自由往来を認める、あるいは電子商取引を認める。あるいは薬や音楽、そういうもののデータ保護期間を何年にするか。国有企業を認めるか認めないか。内外の企業格差を自由にするのかどうかとか、たくさんあります。そのルールはほとんど完成に近いんです。しかし、このルールが決まったということになりますと、市場アクセス、つまり、関税だけに焦点が当たることになりますね。だから、私どもは敢えてあまりそちらの方で詰めきらなくてもいいような問題もあるんです。と言うのは、マレーシアが主張しているブミプトラ政策といってマレー人への優遇策があります。これは認めてあげなければと思います。それまで認めないというわけにはいきませんね。それから、ブルネイの企業のほとんどはブルネイの国王が持っている大きな企業が大半だと思うんです。それを民営化と言っても、その国は成り立たなくなります。そういうことを配慮しながらやっていっていいと思いますね。そういう意味で昨年の2月下旬に言った共同声明というのは大切にしてほしい。だんだんEUを目指して個々の自由化をしていったらいいと思います。ですから、経過措置の部分でそこもダメですと言ったら、これはなかなか収拾がつきません。しかし、大半のルールは詰まり終わっていますから、アメリカが譲歩することによって、一気に合意する可能性も非常に高いということです」
反町キャスター
「その線引きは?」
西川議員
「デッドラインをひくと、ひいた方が負けですね。5月12日から15日までのハノイで首席交渉官会合があります。私はアメリカの部分は報告しか受けていませんから、厳しい部分についてはやってきましたという報告しかありませんから、判断がしにくいのですが、他の部分はほとんど決まっていますから、やる気になれば、5月の12日から15日というのはいい時期だと思っています」

どうする?日本の農業 コメ対策の在り方
島田キャスター
「コメというのは、どのような政策のもとで発展していくべきかということですが、日本の保護政策がどういうものかを説明していただけますか?」
山下氏
「簡単に申し上げますと、減反政策をやっているわけですね。減反政策というのは、農家に補助金を払って、コメ以外のものをつくってもらう。それによって食用のコメの供給量を減らしてコメを高く輸入する政策なわけです。つまり、国民は納税者として約5000億円のお金を、個別所得補償も含めて農家に支払って、農家は供給を減らして米価を高くする。それによって消費者価格を高めて、つまり、消費者負担をする。納税者負担と消費者負担の両方をやっているという政策なんです。減反によって高い国内の価格を形成します。それと関税で国際価格との差が維持できるようにしています。日本の場合、財政負担もして、減反補助金も払って、消費者負担を高めている政策なわけですね。これを財政負担だけに切り替えることによって、農家も補償できるし、消費者も安い価格で供給を受けることができる。消費税を上げる時に逆進性がある議論があって、軽減税率だということも議論されたわけですね。食料品については、安い税率をかけようと。現在の農政の仕組みというのはまさに逆進性の塊。アメリカEUがやっているような直接支払いをやっていく」
反町キャスター
「たとえば、国際価格に寄せるための直接支払いをするようになる場合、5000億円ですむのですか?」
山下氏
「5000億円もいらないんです。私の計算だともちろん、全ての兼業農家も含めて、民主党の個別所得補償みたいに払えば膨大な額がいるのですが、主業農家という農業だけで生活している人達に限れば実は2000億円もいらないんですね。やり方としては自民党がやった政策ですが、都府県は400ヘクタール以上とか、北海道は10ヘクタール以上とか、そういうところで線を引いて、新規に参入する人達はそこを満たせませんから、その人達については何年間かかけてそのハードルを超えれば、お金を払いますよと」
西川議員
「直接支払いでいいと言いますが、直接支払いのお金を誰が負担するんですか。関税で外国からくるものを防いで、価格を守っているということは、直接支払いの部分が少なくなっている。税金の負担が少なくなってきていますから、極端な話にはならないんですよね。日本の農業生産というのは8兆2000億円しかないんです。よそから買うのは4兆円、12兆2000億円です。この8兆2000億円のうち農水省が長い間3兆5000億円利益として残りますという話をしたんです。そんなことがあり得るわけがないんですね。なぜかと言うと、家族労働費を払わないという話をしていっているが、家族労働費が一番大事です。家族労働費を払ったらいくら残るのか。農家全体でも1兆1000億円しか残らないんです。1兆1000億円のうち土地改良とか、そういうのを抜いて5000億円の補助金が生産物にかかるからです。1兆1000億円の所得があるんです。ですから、補助金を抜いたら6000億円ですね。6000億円だったら、農家の皆さんが働いて1人1時間あたり時給180円しかもらえないことになるんです。この180円でやれということは、政策ではない。現在最低賃金が七百十何円でしょう。建設業の労働賃金が平均1402円です。5000億円の補助金をとっちゃったから、3000億円がとれたから、そんなことで計算して5000億円なかったら時間あたり180円。こんなことで政策として、国民の生活ができるわけがない」

西川公也 衆議院議員の提言:『国益の最大化』
西川議員
「いろいろ誤解がありますけれど、守るものは守るけれど攻めるものは攻めて、日本は貿易の拡大をやっていかなければいけませんので、そのための努力をしていきたいと思います。トータルで国益を増やしたいということです」

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究主幹の提言:『次は農協改革』
山下氏
「戦後の農政を規定したのは、1つは食管制度、もう1つは農地法、農協法だったわけですね。食管法は1995年に廃止されました。農地法も度重なる改正を受けています。農協法だけは中身の根幹みたいなところは手つかずのままでいる。今回のTPPでも価格が下がっても、直接支払いをすれば農業は影響を受けないわけです。価格で保護されるのか、直接支払いで保護されるのかでは、農家は影響を受けない。ところが、価格が下がって、低い価格に対して販売手数料が決まる農協は困るわけです。TPP問題の本質はTPPと農業問題ではないんです。TPPと農協問題です。だから、この際に、最後に残された聖域中の聖域の農協問題に私は鋭く安倍政権としては切り込んでもらいたい」