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2014年4月11日(金)
中韓接近で北朝鮮は 動くのか拉致・日朝

ゲスト

岸信夫
外務副大臣 自由民主党衆議院議員
飯島勲
内閣官房参与 平井久志 ジャーナリスト

北朝鮮・最高人民会議開催 注目の人事は
石川キャスター
「金正恩新体制の人事をどう見ていますか?」
平井氏
「当初は金正恩さんが2年経って李英浩参謀総長、張成沢という幹部を粛正したので、世代交代があるのではないかと見られていたのですが、結果を見ると新しい体制の構築よりは、権力基盤の安定をとりあえずは優先させ、旧幹部達をそのまま残した部分、もちろん、一部で新しい人事はありましたけれども、全体的に見れば粛正後の権力の安定を優先させたのではないかなという印象ですね」
反町キャスター
「気になった人事はどこですか?」
平井氏
「今回の人事が対日政策にそれほど大きい影響はないと思います。1つは、金敬姫さんが姿を消したということですね。この方は皆さんがご存知のように金正日総書記の妹で、金日成首席の娘ですね。その方が夫の張成沢の粛清ということもあって、自ら身を引いた感じが強い。実は朴奉珠首相というのは党の軽工業部長もやりまして、金永南さんの後任の軽工業部長になって、その方の後ろ盾が金敬姫さんなんですね。ですから、朴奉珠さんが再任はされましたけども、いわば権力の後ろ盾の金敬姫さんが身を引いたことで、朴さんが現在推進している経済改革といったものを今後、金正恩さんがそのまま続けるのかどうか注目したい。びっくり人事ということでは、リ・スヨン外相はもともとスイスの大使を何十年もやってらっしゃって、金正恩第一書記がスイス留学時代にも面倒を見て、ヨーロッパにおける金ファミリーの資金管理等もやっていたのではないかと思われる方で、ただ、北朝鮮の外務大臣というのは、権力の確信というよりはパフォーマンス。たとえば、ARF(ASEAN地域フォーラム)があると、アメリカの国務長官と会わなければいけない。そういう象徴的な立場なので、西側社会で長く外交官生活をなさった方を起用して、自分の留学時代に面倒を見てくれた人ですから、そういう意味では花道を用意したと言ったらおかしいですけれど、そういうスポットライトを浴びる地位に起用したのではないのかなという感じはしますね」
岸議員
「私も基本的に平井さんのおっしゃる通りだと思うんですけれども、体制固めが進んだんだろうというふうに思います。特に朴奉珠首相が再任をされた。経済を担当してきていますから、基本的には北朝鮮の経済政策、たとえば、特区とかです。そうした政策は今後も継続するのではないかということが1つ。それから、崔竜海さんです。国防委員会、昨年あたりからだいたいの道筋はついていたのかもしれませんけれど、国防委員会の副委員長ということになっています。そういう意味で軍をきちんと掌握できているかどうか、これまでもいろいろ考え方はあったと思うのですが、そこはグリップができつつあるのではないかと思います。人事権者が何を考えているかをあまり憶測でものを言うわけにはいかないわけですが、いずれにしても今後どういう形になってくるか、これはきちんと見ておく必要があると思っています」
飯島氏
「李勇武さん、皆残留した。崔さんは一気に上にあがった。そういう意味では対日本を含めた関係は大丈夫だろう。安倍内閣の外交体制に対しては今後支障をきたすことはないだろうと、私はそう見ています」

北朝鮮の強硬路線 無人偵察機、ミサイル…その狙いは
石川キャスター
「ここのところ攻撃的な姿勢が目立つようにみえるのですが、北朝鮮の最近の動きをどう見ていますか?」
岸議員
「1つは毎年のことですけれども、米韓の合同演習がありますよね。ちょうどその時期に北朝鮮はいろんな形で挑発をし、緊張を高める。これはあったことではあると思うんです。今年の場合は例年以上にいろいろなことを仕かけてきているという部分は確かにあると思います。あまりそこに対して過剰に反応するのはいけないかもしれません。冷静に分析をしなければいけない」
飯島氏
「大変挑発的だと思うのですが、実は半分以上抑制しているんです。たとえば、反町さんが官邸キャップの頃、北朝鮮はミサイルを奄美群島まで撃ってきたりしている。飛翔体という言葉を使っていましたが、今回の場合、ノドンの場合も本来だったら北海道ぐらいまで届くんですね。日本側に向けていませんから、本州には」
平井氏
「朝鮮半島を横断して、北東の方向に撃っている」
飯島氏
「半分以上の距離でおさめているんですね。ですから、そういう意味で考えると相当抑制的な実態かと、私は眺めています」
平井氏
「計算された、コントロールされた挑発だと思いますね。この1年前と比較してみれば、1年前は休戦協定が白紙になるとか、南北の不可侵合意を全て無効にするという、そういうレベルに比べると非常にある計算に基づいて挑発をしている。だから、もちろん、米韓合同演習やっていますから、彼らとして何もしないわけにはいかないという国内事情もあるとは思うんですけれども、全体の状況を全く大きく転換する少し手前のところでの挑発を続けているという感じではないかと思いますね」

北朝鮮・核問題 6カ国協議再開はあるのか
石本キャスター
「日本は他の国々とどうやって連携を取りながら進めていくつもりなのでしょうか?」
岸議員
「まずこの6者協議ですね。その前提が必要だと思うんですけれども、北朝鮮は一方で新たな核実験の話もしています。それから、先般は弾道ミサイル、距離は短かったにせよ、撃ったりしている。これは明らかに安保理決議への違反でもあるし、日朝合意についても大きく逸れている話です。そういう環境の中ですから、なかなかすぐに6者揃って行くということには難しいハードルというのもあると思うんです。日本の場合は特に拉致問題というものがあります。そうしたことはある意味別の部分で考えなければいけないところもあると思うのですが、一方で6者になるとロシアも入ってきます。ロシアはウクライナの問題もありますね。そういったこともいろいろ考えていかなければいけないと。我々は常に北朝鮮に対しては言うべきことは言っていかなければいけないと考えています。ですから、様々な挑発行動に対してもきちんと批判をしていかなければいけないと。ですから、そういう場ができるということは、それはそれで必要なことだと思っています」
反町キャスター
「6者協議の北朝鮮以外の各国が足並みを揃えて話をする体制にはなっていない?」
岸議員
「ウクライナとは違う話です。現実的には乗り越えなければいけないことがいろいろあると思うんですね。日本と北朝鮮の関係で言えば、赤十字があり、そのあと政府間協議も始まりました。そういう場で日朝間の一番の課題である拉致問題でいろいろな話をするわけですが、その中でそこだけ突出していいかというわけではないんですね。当然、核、ミサイルの話、6者でやるためには、北朝鮮以外の5者がしっかり足並みを揃えていかなければならない。もう1つは、拉致問題に関して他の皆さんに説明する。特に現在大切なのは日米韓の話ができるような土台ができつつある。そこで情報を共有しながら環境を整えていくということだと思います」

国際社会で孤立しているのか
反町キャスター
「核とミサイルに関しての北朝鮮の状況は、他の国から見て孤立をしていると見ていいのですか?」
平井氏
「北朝鮮という国は孤立になれているんですよね。ずっと孤立していますから。北朝鮮の人達と話をした時に、日朝国交正常化が必要だろうと言ったら、彼らが言ったのは、我々は日本なしでやってきた。これまでだってなしできたのだから、これからだってなしでやっていけると。例え話ですが、外部が孤立していると思っているほど、彼らはそんなに閉塞感はないのではないか。一方で、彼らは核、ミサイルになぜ頼っているのかというと、それは国際的孤立の結果だと。支援してくれる社会主義国もなくなったわけですから。逆に言えば、日本、アメリカと国交正常化の環境ができれば彼らを軟着陸させる道があるのかもしれないですね」
飯島氏
「難しいのはロシア、モンゴル、中国、北朝鮮は連動して経済問題が進んでいるということ。北朝鮮の羅津港があるのですが、ウラジオストクから54kmの鉄道を通したんですね。北朝鮮側が30%、ロシア側が70%の資金を出して完成した。モンゴルはトランジットの輸送をここにつなげたい。現在羅津港は3分の1がロシア、3分の1が中国、残りの3分の1はモンゴルがどうやって使用するかの国会での決議がスタートする」
反町キャスター
「2008年の日朝実務者協議での合意が現実的な俎上にのぼってきている段階と見ていいのですか?」
岸議員
「2008年から事態が逆戻りしたと言いますか、悪化してしまった。ある意味では2008年の段階に我々が戻る。こういうことなのかもしれませんけれど、一方で北朝鮮は核実験ミサイルをやっています。それに対して我々も北朝鮮に対する制裁措置をとってきた。2008年以降もそういうことはあると思います。北朝鮮に対する制裁措置の在り方自体は、古屋大臣がおっしゃるようなことも1つはありますけれども、いずれにしてもいろいろなオプションを頭に置きながら、どういう形が最も効果的なのか。結局、制裁を解除しても彼らがそこで動かなければ何にもならない。ですから、そこは具体的な北朝鮮の行動を引き出すためには何をすべきか。これをきちんと考えながらやっていかなければいけない」

最近の日朝関係は
石本キャスター
「日本の主な対北朝鮮措置ですが」
岸議員
「北朝鮮が最も求めているのは貿易だと思います。ですから、2008年の合意も、その貿易の制裁解除にいく前の段階として、日本政府がとりやすいこととして、人的往来とか、チャーター便の問題が出たと思うんです」
飯島氏
「ただ、それよりも朝鮮総連の建物がきちんとならない限りは永遠に100%解決策はないと私は思っています。問題は3月25日に朝鮮総連の建物の売却先が決まった、22億1000万円で。これは一般的な行政上の入札の場合は、平均最低価格が26億円いくら、保証金が5億3000万円ぐらい。裁判所の規定では、一番札51億円で失格。二番札22億マルナカ。保証金を上回る開きがあった場合、失格になった二番札マルナカ。最低価格を下回った状態で売却決定というのは、私は個人的におかしいと思います。どんな役所でも失格になっちゃうんです。それをもう1回、5億3000万いくらの保証金を返し、もう1回積ませて、新たにしますということ自体おかしい。RCC整理回収機構は1円でも多くとるのが仕事です。それを26億円の最低価格よりも何億も下の価格で売却する事態は、世界でも聞いたことがないですよ。総理や大使が怒りを持って怒るのは当たり前ですよ」
反町キャスター
「どの制裁よりも、総連ビルの問題だというのはいかがですか?」
平井氏
「北朝鮮本国がたぶん強く働きかけて、この問題を前面にたててくれという要請をした結果だと思いますね。それと、北朝鮮の人達が三権分立ということをわかっているのかなと」
岸議員
「競売の手続きの調整については私もよく存じあげないのですが、基本的には公正な手続きに則って、行われたものだと思うんですけどね。基本的には不良債権を回収するというのが目的です。確かに飯島さんがおっしゃるように、1円でも多く回収するというのは大きなことだとは思うんですけども、ただこの部分はやはり三権分立。司法手続きに入っているものに対して、行政、あるいは政治が介入することはもちろんできないと。北朝鮮には全然理解ができないことかもしれませんけれど、実際に3月30日の段階で北朝鮮からこの問題に対して懸念が示されたが、日本からは裁判所でどういうものの手続きが行われてきたかということを説明したところなんですね。なかなかここまできてしまうと、そろそろどういうふうにするかと言われても、どうしようもないところではあります」

どうなる日朝関係 拉致問題の解決は
石川キャスター
「松原元拉致問題担当相は『北朝鮮に対して、ストライクゾーンを設定しなければいけない。ただし、それは一定の解決でそのあとも継続して全面解決を目指す、これが1つのストーリーで、その一定の解決が終わった段階で制裁に関して、また一定の解除が行われる』と発言しています。どう受け止めますか?」
岸議員
「松原さんは、政権を外れ現在野党の立場で発言をされたと思いますので、そういうご発言になったと思うんですね。我々政府の立場としては拉致被害者全員を連れ戻すことが大前提でやっているわけですね。そこを外すわけにはいかないわけです。ですから、その中でプロセスとしてどういうところからやっていくかということだと思うのですが、まずは政府で認めている拉致被害者を帰国させることが第一だと考えています。確かに、特定失踪者問題もあります。その中には様々な事情の方がおられるわけです。ですから、これを全部1つに考えることも難しいですし、どこで切り離すかが難しい話です」
飯島氏
「ストライクゾーンを決めるわけですよね、何十人かわからないけれども。そのあと、継続して全面解決を目指す。700人に向かって。終わりなき拉致問題ですよ。それで一定の解決と言ったら、600人か500人かわからないけれども、そこで一定の解決と仮に想定すれば、いったい100年先か、何年先かわかならいけれども、あり得ないことですよね」
反町キャスター
「人数の足きりというのはやらない方いいということですか?」
飯島氏
「そうです」
反町キャスター
「北朝鮮の人と結婚した人は帰ってきていないという想定もあります。いてもいないことにされているのではないですか?」
飯島氏
「融和の精神と北朝鮮の長期的なスケールメリットを考えた場合に、日本を無視できる経済体制というのはあり得ないんですよ。安倍総理の強い決意を考えたなら、どのくらいきちんと風呂敷を広げるのかということは、やってくれるだろうと自信を持たなければ意味がないですよ」
平井氏
「最初の17人に対する、かつて日本政府が150項目ぐらい北朝鮮の発表に対して疑問を出しているんですね。まずそれに対する釈明を求めることが第一にあるべきことではないのかなと思うのと、本当に17人以外の人で拉致された可能性が高いのであれば日本政府は認定するべき。日本の司法当局は、長年の捜査にわたる資料やデータをある程度持っていると思いますから、この人達は17人の外にいるんだけれども、拉致された可能性が非常に高いというならば日本政府が認定をすべきで、それを北朝鮮側に求めるということも考慮してもいいのではないかと思います」
飯島氏
「気持ちのうえで在日朝鮮人の人達だろうと、北朝鮮だろうと本当に何十年も苦しんできている拉致関係者のことを考えたら、まず北朝鮮や在日の人達もある程度、信頼できる人間関係ができなくては、これで解決というのは出てくるわけがないです。気持ちの問題ですよ。これまで何十年も信用できない体制というのがあったのかもしれないが、私は安倍内閣の場合、明日を見て本当にこれ以上はないですねというそこらへんの着地点、会話、信頼がなくして日朝関係の将来はないですよ」
岸議員
「結局、政府が求めている拉致問題解決というのは拉致被害者全員の帰国、拉致問題の全容解明、それから、犯人の引き渡し。この3つがあるわけです。当然ながらこの拉致問題の全容を解明していけば、自ずと誰が拉致をされたのか、当然わかってくるわけですね。逆に言うと、それが最終的な範囲になってくるのかもしれません。いずれにしても、そこの全容が解明されていない段階で、どこかで線を引くというのは現実には難しいことだと思いますね」

岸信夫 自由民主党衆議院議員の提言:『変化=チャンス』
岸議員
「この2か月ぐらいを振り返ってみたんですけれども、いろんなことが現実に起こっています。北朝鮮側からいろんな仕かけがあった。あるいは赤十字会談や日朝の政府環境も含めて、いろいろなことがあった。北朝鮮から様々なサインが出ているということも言えるかもしれません。そのことをきっちり分析をしなければいけないのですが、ただ、何もない膠着状態ではないわけです。1つは、金正日体制から、現在の金正恩体制になった時に、1つの大きな変化があり、我々は少し期待を持った。特に、拉致問題については直接犯行に関わっていないであろう世代に変わってきたところで何か変わるのではないかと。残念ながらその時には、何も全体の中では動かなかったわけですけれど、そうしたことがいろいろ動いているように、少なくとも向こうは見せているのかもしれません。ですから、これは大きなリスクも一方であると思うんですね。でも、そういった変化をチャンスに変えていくのは現在なのかもしれません。走ることはない、前のめりになる必要はないですが、きちんと情勢を分析していくことだと思います」

飯島勲 内閣官房参与の提言:『完結』
飯島氏
「朝鮮総連の建物がここにきて、総連が使える状態できちんと着地すれば、全部完結する。6か国協議も、拉致問題も。私はそう見ています」

ジャーナリスト 平井久志氏の提言:『トップと直結した協議を』
平井氏
「小泉政権時代の田中さんとミスターXとの協議が重要だったと思うんです。なかなか公開の協議だけで拉致問題が進むと思えません。しかし、あまり下のレベルで事務的な協議をやっても、政治決断が必要だということは事実だと思うんです。そういう意味では、双方のトップの委任を受けた人による公式、非公式の協議というものがないと、時々、安倍総理の訪朝ということが出ますけれども、そういう下地がなく行っても何の成果もないわけですよね。現段階ではそういう環境づくりはまだ不十分だと思うので、双方のトップと直結した公式、非公式の協議をつくっていかないと、次の段階には進まないと思います」