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2014年4月1日(火)
地球温暖化 最新警告 IPCC出席者に聞く

ゲスト

牧原秀樹
環境大臣政務官 自由民主党衆議院議員
沖大幹
東京大学生産技術研究所教授
肱岡靖明
国立環境研究所環境都市システム研究室室長

地球温暖化・最新報告 なぜ適応なのか
島田キャスター
「昨日報告書を出したIPCC(気候変動に関する政府間パネル)ですが、人為的な原因による気候変動に関して包括的な評価を行うことを目的として1988年に世界気象機関と国連環境計画によって設立され、情報の分析を科学者と政府関係者で議論する国連の組織です。参加国は195か国で、今回はおよそ110か国、400人が参加しました。IPCCというのは、3つの作業部会に分かれていまして、第1作業部会というのは昨年9月に科学的な根拠を担当するものでスウェーデンのストックホルムで開かれました。今回、横浜で開かれたのが、第2作業部会で、温暖化の影響と適応を担当していました。今月の7日からは第3作業部会の総会が開かれまして、気候変化の緩和策などについて話し合われ、10月の末には最終的な報告書が出されるというようなことになっています。なぜ地球温暖化に対する対策ではなくて、この適応という言葉なのでしょうか」
沖教授
「地球温暖化、あるいは気候変動に対する対策というのはもとになっている温室効果ガスの排出を削減しようという削減策、あるいはプロフェッショナルの中では緩和策というのがあるのですが、それだけでは結局もう既に出してしまった温室効果ガスのせいで、現在の温室効果ガスのレベルに抑えることができても向こう数十年は温暖化が進んでしまう。あるいは現在の社会状況、国際社会の状況を見ると、急に排出削減はなかなか難しい。となると、温暖化は多少進んでしまって、被害が起こるのはしょうがない。でも、しょうがないと言っていられないので、温暖化で、たとえば、豪雨とかが増えても、海面水位が上がっても、食料に対して非常に高温障害があっても、できるだけ社会への影響が少なくなるような適応策と言われるものもあわせてやらないといけない。つまり、緩和策、あるいは削減策と適応策というのは気候変動対策の車の両輪ですよということが、第4次報告から出されているんですね」
島田キャスター
「何とか対応していこう、減らしていこうというのが最初だったと思うのですが、両輪ということはちょっと諦めてそちら側に方針をちょっと変換していこうというふうにも聞こえます、そうではないのですか?」
肱岡氏
「そうではないと思いますね。前は緩和策をする時に、おっしゃったようにその適応策を言うなと。緩和策が進まなくなるからやるなと言われていたのですが、そうは言いながら、どんどんいろんな気候の影響が出ているので、特にそれは途上国であったり、普通の状態でも厳しい時に、ちょっと強い雨が降ったりとか、すごく暑くなったりすると、より被害が大きいわけです。彼らにとってはどうやって生きていくのかというのが大変なので、それは適応策として、彼らにとっていかに持続可能な生活を送るかというのであり、明るい未来に向かって議論をしようと言う意味で緩和と適応が始まっているということだと思います」
反町キャスター
「何か、政府の環境対策というと、鳩山内閣のチームマイナス25ではないけれども、減らしましょうと。あの時は、原発50%ですよ。石炭はやりませんと。そういう非常に大きなビジョンというか、壮大な目標を立てて減らそうというのが、これまでの、はっきり言えば、政治の我々に対するメッセージだったんですよ。今回その意味で言うと、そういう減らしましょうというのではなくて限界があるからと。その危機管理的なものも含めて、そこの部分もあるけれども対応も考えようねと。バランスをとろうとしている。と言うか、ここまでの政治の国民に対するメッセージは、議論をするなという話もあった。これは騙しだったのかという印象も受けるのですが、どう見ていますか?」
牧原議員
「適応策といって示されているものを見ますとだいたい日本で取り入れられているものが実は多いんです。たとえば、警報システムをしっかりつくろうだとか、洪水が起きるのであればしっかりと堤防をつくりましょうとか。つまり、日本は他の国に比べると、適応という部分では予め防災という言葉で準備をしてきたので、ただ、それを大きく超える事態が起こっているので、そこを地球温暖化という問題でやっていかなければならない。少し日本は先に行っているので、若干ずれている印象を受けるかもしれませんが、決して騙しているわけではないと思います」

社会への影響と適応策
反町キャスター
「先に行っているとは言いながらも、明らかに福島の事故によって温室効果ガスの排出規制は下がっています。その部分と行って来いに見えるのは気のせいですか」
牧原議員
「そこはまさに昨年のCOPとかでも目標値が下がったのではないかというような批判も受けているところでありまして、実は適応策というのはそういう意味で防災とか、いろんな面でとってきているけれど、ちゃんと適応策という名目でつくっていこうというのは作業中で、これは先になるのですが、政府も本腰を入れて連絡会議をつくってやり始めていると」
島田キャスター
「新しいフェーズに入ってきたというような考えでもいいのですか」
牧原議員
「ええ、そこはそうだと思います」
島田キャスター
「昨日発表された、IPCCの作業部会の報告書の概要を見ていきますが、自然生態系や人間社会に気候変動がもう既に影響しているんだ。気候変動は紛争のリスクを増やして、各国の安全保障政策に影響します。経済、社会、技術、政治の決定と行動の変革が気候変動に強い社会を可能とするというような内容でした。既に気候変動が生態系、人間社会に影響を与えているんだと。具体的にはどのような感じですか?」
肱岡氏
「明らかになっているもの、たとえば、氷河の融解ですとか、あと生態系ですね。人間社会が関与するところにおきましては、たとえば、穀物が穫れなくなると品種を改良しようとか、一生懸命に肥料をあげようとか、努力をするわけですね。生態系というものは気候状態でどんどん変わってしまうので、これまではそこが適している気候だったのに、森林とかが、このまま変わってしまうと違うものが生えてくる。あと、暑くなって氷河が解けやすくなるということは、結構広い範囲で報告されているので、そういうものが既に報告されていると。だから、遠い将来、温暖化が起きるんだという話をしているだけではなくて、長い時間で得たデータを採ったものを見てみると、実は起きているということが報告されている」
島田キャスター
「現実だということを確認したと?」
肱岡氏
「第4次で報告されているのですが、第5次ではさらにその知見が増えているという理解だと思います」

機構変動と紛争のリスク
島田キャスター
「紛争のリスクを増やすんだというのはどういう意味なのでしょうか?」
沖教授
「気候変動がなくとも、領土とか、食糧、水といったものを巡って国の間、あるいは地域の間での紛争というのは現在でもあるわけです。そういうのが、たとえば、気候変動によって、水不足、渇水が増える。あるいは食糧が不作になるのが増える。あるいは海面水位が上昇することによって領土を失う人々が出て来て、その人達の行く場所ということなどで、国の間の軋轢、あるいは資源を巡る紛争が生じる頻度が上がるだろうという、ある意味では非常に当たり前のことを申し上げていると思います」

気候変動 8つのリスク
島田キャスター
「地球温暖化による人間社会への影響について報告書で8つのリスクを具体的にあげています。海面上昇や高潮などによる人への被害、大都市部への洪水、極端な気象現象によるインフラの機能停止、熱波による特に都市部の脆弱な層の死亡や疾病、気温の上昇、干ばつなどによる食料安全保障の危機、また農村部の生計、所得損失や沿岸海域における生計に重要な海洋生態の損失、そして、生態系と機能、サービスなどの損失とあるのですが、沖さんのご専門は水の循環ですけれど、水に関係するリスクもたくさんあるのですが、特に、沖さんが気になることはどういうことでしょうか?」
沖教授
「たとえば、アメリカ、あるいはヨーロッパの人々が洪水のリスクをおっしゃるわけですね。これまでは、私も世界の水問題というと、日本は洪水も深刻だし、だけど、海外はだいたい水不足の話だねというのが、ステレオタイプな先入観であったのですが、今回北米が大都市の洪水被害というのを全面に押し出してきた。つまり、アメリカ合衆国が都市の洪水というのが今後気候変動で深刻だぞ、何とかしたいと思っているということなんですよ。あるいは、ヨーロッパも、たとえば、ドナウ川の洪水は今世紀に入って、大きいのが2度ありましたけれども、今年の1月にイングランドで大洪水があって、首相がイスラエルに行こうと思ったのに、洪水の指揮を執らないで行ったら、いじめられるからといって止めて、洪水の指揮を執ったというのがあります。そういうこれまでなかった、ここ100年ぐらいは深刻だと思われていなかった洪水問題を、欧米が深刻に捉えているというのが、まず1つ、私は印象深かったです」
反町キャスター
「8つありますが、都市部と農村部、これは大きな特徴として分けられるものですか、それとも、どこでも同じような1つの傾向と見た方がいいのですか?」
沖教授
「第2作業部会では脆弱性という言葉を使うんですね。脆弱性といった時、都市部と農村部では脆弱性が違うんです。都市部は人が集まっていて、かつ脆弱な家屋といいますか、あまりちゃんとしていない家に住んでいる方も途上国では多いと。となってきた時に、そういう人達に対するリスクというのが高いだろうと。それに対して農村部というのは今度は所得がない。あるいは現金、キャッシュ社会に関係していないので、ある意味、自給自足で持続可能に見えますが、そういうところが干ばつですとか、不作の時にすごく弱いんです。なので、そういう脆弱性があるということなので」
反町キャスター
「そうなると何か社会政策ですよね、完全に」
沖教授
「おっしゃるとおりです」
反町キャスター
「雨が降るとか、風が吹くとか、そういうレベルの話ではない」
沖教授
「ですから、そういう方々がリスクを持っているのに対して、それをさらに増加させるということが、今回の第2作業部会の評価報告書の中の1つ書いてあることでして、アディショナルリスクと。つまり、既にリスクがあるところに、気候変動によって、追加的にリスクが増えてしまいますよと」
反町キャスター
「弱い人が、さらに弱くなる可能性がある。そういうことなのですか?」
沖教授
「そうです」
島田キャスター
「熱波による、その死亡や疾病のリスクというのはどういうものですか」
沖教授
「日本でいうと、おそらく猛暑日みたいのが、5日とか続くような、そういうのが熱波と呼ばれるわけですね。そうしますと、昨年2013年夏も日本で猛暑日が続いて、それで、熱中症で搬送される方がたくさんいた。その数は東京でも増えているんですよね、肱岡さん」
肱岡氏
「そうです。増えていると思います」
沖教授
「なので、そういう影響は既に(ある)」
島田キャスター
「世界中で増えているのですか?」
肱岡氏
「日本がそもそも熱中症というのをちゃんと計り始めたのは、ここ何年かですが、数もどんどん増えているというのは示されている。ただ、途上国でわざわざ熱中症で何人というデータがないので、それは難しいと思いますけれど、実際暑い日が増えていることで死者が発生しているのは事実のようです」
沖教授
「あと気候変動の問題を考える時、1つのカギは現在の気候に、あるいは過去20年、30年ぐらいの気候に皆あわせて家もつくっているし、体も慣れているわけです。それが、現在の状態から変化するからいけないんですね。つまり、年平均気温が0℃のところにも、20℃のところにも人が住んで、文明をつくっちゃっているわけですけれども、でも、それから変化してしまうのに追いつけないから、ある意味被害が生じるということですね」

異常気象への対策とは
反町キャスター
「たとえば、都市インフラの整備、ないしはもしかしたら社会保障の話かもしれません。そういうトータルなコストとして考えた時の数字、金額みたいなものは今回算出されているのですか?」
沖教授
「その研究がすごく足りなくて…」
反町キャスター
「要するに何が言いたいかというと、やるべきことはわかるのですが、危機も伝わるのですが、たとえば、いくらかけてどのようにすればというプラン、計画、もしかしたら環境をはるかに超えた国家としてのガバナンスの話ですが、そのへんの話はどうなっているのですか?」
沖教授
「大まかな数字としては、たとえば、2℃ぐらいまでの気温の上昇であれば、世界全体のGDPの0.2%から2%ぐらいの損害になるのではないか。損失になるのではないかという数字が出ているわけですね。それが結局、緩和する、つまり、温室効果ガスの排出を削減するのにもコストがかかります、いろんなエネルギー変換で。それから、適応するのにもコストがかかる。それプラス残った被害。この3つを足したのが、少なくなるのがいいわけですね。ところが、なかなかそういうのが定量的にきちんと出せていないので、まだどうやってバランスを取ったらいいか」
反町キャスター
「たとえば、2%というと、日本のGDPだったら10兆円ですよ。10兆円かけて都市インフラやら、社会保障を整備するのと、実際に被害が起きて被害額が10兆円だったらと考えると、どちらかなと」
沖教授
「そこでもう1つ書いてあるのは、気候変動対策としての適応策を、それだけのためにやるのではなくて、水資源計画とか、土地利用政策とか、あるいは貧しい国の社会発展の計画に組み込みなさいと。そういうことが当たり前なんだけれど、これまでは気候変動がとにかく悪いから、それを止めようと思っていた。そういう言い方をしていたようなところがあると思うのですが、そうではなくてまっとうに他のものと一緒にWin-WinでやるようなFOR BENEFITということだと思います」

日本への影響は
島田キャスター
「IPCC政府間パネルと時を同じくして、先月の17日、肱岡さんが所属しています国立環境研究所と茨城大学によって『地球温暖化 日本への影響』が出ました。と言うことで、日本への影響が報告されたのですが、このまま地球温暖化が進むと今世紀末の日本がどうなるかということが報告されているのですが、気温から始まっていますが」
肱岡氏
「この(気温、降水量、海面上昇)部分に関しては、いわゆるワーキング1部で使われた気候のシナリオと言われているのですが、それで使った条件、一番上がった時には、6.4℃上がったらどうなるのですかと。降水量が何%増えた場合にはどうなるのかと。海面上昇が63センチ増えた時に、砂浜がどう変わるのかということを計算する、評価するというのが我々の仕事なんです」
島田キャスター
「この報告書は、さらに具体的にいろんな変化について報告されているのですが、災害については洪水によって現在よりも被害額が最大で4800億円、年間増えると。現在が2000億円ぐらいです。だから、本当にすごく増えてしまうのではないのかと。さらに高潮ではこれまでは年間600億円ぐらいなんです、被害額が。それが最大でさらに増えて2592億円ぐらいになってしまうのではないかというような深刻な影響も予想されているのですが、たとえば、私達に深くつながりがあるような食料についてもあるのですが、コメの品質の低下、生産地の移動というものがあるのですが」
肱岡氏
「増えることも、我々はきちんと評価しているわけです。2081年から2100年になりますと、特に西日本の方は減るところが増えます。これは前回、我々が2009年に報告した時には収量だけを着目したわけです。しかし、収量だけでは農家の方は困ってしまうわけです。おいしいもの、品質が良くないと買ってもらえないので、経営が成り立たないと。なので、こういう影響評価も高度化されて、品質まで見られるようになったと。そうなると、何も適応策をやらない場合にはこういう悪影響が出るということがわかってきたということです」
島田キャスター
「今回の報告書を受けて、どういう印象を持ちましたか?」
牧原議員
「とにかくリスクが4次報告書では起きつつあるという表現だったのですが、これはもう起きているという表現に変わっています。環境省としては待ったなしでリードをしていかなければいけないというふうに、非常に責任を重大に受け止めています、今日の先生方の話をうかがってもわかる通り、もう待ったなしだということは、1人でも多くの国民の皆さんに知っていただいて、皆でやっていかなければいけない問題にもう入ったというふうに受け止めています」

適応策 省庁の連携は
反町キャスター
「環境の問題ではなくても、たとえば、コメだったら、農業の話だし、蚊の話だったら厚労の話かもしれないし、都市インフラの話だったら国交省の話ではないですか。各省ではそれぞれの温度変化を、環境省から見た場合、霞が関の、それぞれの省、環境の変化に対する備えというか、感覚というのはどういうふうに見ていますか?」
牧原議員
「実は平成20年の12月18日には、適応についての関係省庁連絡会議というのを先がけてつくっていまして、それで各省庁で、文科省と農水省と経産省と国交省と気象庁と環境省というのが、一応関係省庁と呼んでいるのですが、そういうところでちゃんと適応をやっていこうというふうにやっているんですね。今から5年前ぐらいになりますが。そういう意味では、連携はしっかりとってやってきていると思いますし、適応策、具体的には現在影響についてやって、そのあと適応を来年の夏には発表をしたいと思っているのですが、この影響について各省庁でやっている、それぞれ気候変動の影響、たとえば、国交省であれば、河川に対する影響とか、農水省であれば、先ほどのような農業に対する影響、それぞれ評価の報告書があるのですが、しっかり全部集めてきて、それを中央環境審議会の小委員会で評価していただいたりですね」
肱岡氏
「私は委員ではないですけれど、これから計算する部隊に入って、やっと日本でできるようになりましたので、これを政策に使っていただき、適応策をどう考えればいいのかと、知恵を出そうという準備を現在しているところです」
牧原議員
「そういう意味では、大きく変化しつつありますので、今回IPCCの報告書を、少し弱いところがあるとすれば、これが目に入らぬかという形でしっかりと連携をとってやっていきたいと思います」

日本への影響と適応策
島田キャスター
「適応策として温州みかんをタンカンに変えましょうというのは、どういうことですか?」
肱岡氏
「みかんというのは1回植えたら40年ぐらい生産して儲けていきましょうという話なのですが、それが適さなくなるということがわかっているのであれば、柑橘類で暑くてもつくれるものをつくって農家が生活していこうということを提案した。適応策をただ計算すると、被害が減りましたとか、堤防のかさ上げをすると被害がすごく減る。しかし、堤防をつくるのに1日ではできないですよね。タンカンを育てるのに、植えたら翌年から実がたくさんなるのかと言ったら全く違う話ではないですか。さらにはそもそもタンカンを植えて計算では出ているけれども2030年に、本当にタンカンに適する土地になるのかがわからないので、我々はモニタリングが大事だと思っています。いわゆる現在どのぐらい暖かくなってきているかをしっかり測ること。たとえば、木とかをしっかり調べて弱っていないか、しっかりモニタリングしていくことで科学の不確実性があるわけです。先ほど6.4℃上がると言いましたけれども、もしかしたら3℃ぐらいで止まるかもしれないですよね。それなら伐採したら大失敗です。それはしっかりと現在のことを記録して、調べて、我々が予測しているよりも高く上がっているか、予測の一番下ぐらいで気温がおさまってきたとか、雨が降らなくなってきたとわかればそれでいいわけです。適応策というのは、別に全てドンとできるわけでもないですし、非常に時間をかけるもの。しかし、我々には現在エアコンがあるわけですよね。今日の夜は熱いから、しっかりとエアコンをつける、あるいは寝る前に水を飲みましょうと、これも適応策です。実は工夫することでできることはいっぱいあるわけです。しかし、非常に時間のかかるもの、国としてやっていただかないといけないもの。いろんなものが混ざっている。そこをしっかり明らかにして、できることと長い時間をかけて変えていくものをしっかり議論をしていくことが適応策をうまく進めていくことだと思います」

適応策 省庁の連携は
島田キャスター
「環境省だけでできることではないですよね」
牧原議員
「これはある意味で世界的な影響と適応になっていますけれども、日本の方は先生方のレポートがあるのですが、その影響については中央環境審議会の方で3月27日に中間報告を出したんですけれど、これをそのあとパブコメにしたりして、どういう影響が出るかということをしっかり前提としておかないと、前提がおかしいという話になりますから、そこを詰める作業を現在やっていまして、そのあと適応については各省庁と連携をとって、来年の夏に政府として発表することになっているんです。ですから、ここは前提がしっかりあわないと適応までいかないという難しさはあります」
沖教授
「最近の政府のやり方は、内閣府が全部仕切るということで、そういうところに強いリーダーシップを持った担当部署をつくってやらざるを得ないんだと思います。最後は省庁がやるのでも、学者がどうのこうのと言うのではなく、政治家が国民の信用を得て決断する。それによって皆が従うということしかないんだと思います」

温室効果ガス削減策は
島田キャスター
「温室効果ガス削減の取り組みは、何でうまくいかないのですか?」
牧原議員
「現在のCOPと言われている交渉で、昨年COP19がポーランドのワルシャワで行われていましたが、一番大きな対立軸は、現在既に温暖化があって、海面上昇や高潮等の被害が出てきているというのが、この報告書にあったわけですけれども、ここまでの温暖化は全部先進国の責任だと。我々は発展していこうとしている段階。だから、まずは先進国が損害賠償のように自分達でこの温暖化をやれ、途上国に技術を渡せ、お金を渡せと。そこからが議論のスタートだという話になるんです。先進国はそうではなく、そんな過去のことは置いておいて、皆でこれから地球を救っていこうとなります。ここの対立が溶けないというのが一番大きな…。結局単純に温室効果ガスをなくすというのは簡単ですが、その分余分な費用を払わないといけませんねと。不便さを享受しないといけませんねとか、あるいは環境により優しいものに置き換えるのであれば、よりコストがかかるようになりますという負担が生じます。この負担を政治が国民にどこまで説得できるか。もしかすると、そのことによって、それを全然考えないで安いコストでやっている国との産業競争で、こちらが不利に置かれてしまうかもしれない。こういうところをどう捉えていくか。このへんについてまだ解が出されていない。これをずっとやってきてしまっているというのが私は一番大きな原因だと思います」

社会への影響と適応策
島田キャスター
「COPでは新しい合意を目指すとしています。日本はどういう方向性を目指すのですか?」
牧原秀樹
「日本は三段階でずっと主張してきていまして、これをうまく活かせるという意味も含めてなんですけれど、まずは全員が何らかのコミットをしようと。そうしないとあいつはやってないという話になりますから、全員がやる。これは昨年の合意に入ったんです。2番目は、各国がうちはこういう目標ですよと出したら事前に検証をするプロセスをつくろうと。そうすると、専門家が見て、これはあまりに酷いでしょうということをある程度チェックする。それをセットしたら、今度は事後にちゃんとその報告をして、検証をしていくというプロセスをつくるというのが日本の主張です」

温室効果ガス削減 日本の方針
島田キャスター
「日本のエネルギーミックスの比率、数字が全然まだ出ていない中で、各国が国際会議の場において日本の主張をどれぐらい真剣に聞いてくれるかについては」
牧原議員
「私は今年アフリカに行ったりしていろんな方と会っていますけれども、それぞれの国は、たとえば、自分の国のすごく効率の悪い発電所を、日本が技術提供、資金を提供して、減らしてくれる、これはハッピーなので。ですから、日本の環境技術に対する評価はすごく高いですから、エネルギーの話とは別に日本の環境技術、環境知見に対する期待はすごく高いです」

牧原秀樹 自由民主党衆議院議員の提言:『全員参加~未来への責任~』
牧原議員
「全ての国の全ての人が参加してやっていくということで、それは人類の存続、地球の存続に関わっているので、未来への責任ということです。実は環境省では『ファン・トゥ・シェア』キャンペーンを大臣から発表していただき、バッジもつくりました。皆で負担を分かち合い、日本は特に世界のリーダーとして技術も知見も世界の国と分かち合う用意もありますと。世界中皆で参加して、この地球を守ろう。こういう意味でのシンボルマークなので、これを世界中に日本発で広めていきたい」

沖大幹 東京大学生産技術研究所教授の提言:『緩和と適応で持続可能な未来を』
沖教授
「緩和と適応で持続可能な未来をと言うのは簡単なのですが、今回の第5次評価報告書、第2作業部会では、緩和という温室効果ガスの削減と適応というのは、時としてトレードオフがある。たとえば、水が足りなくなったら、海水から淡水をつくれるのですが、そうすると、今度は多量なエネルギーがあって、温室効果ガスを出してしまう。あるいは緩和ということは水力発電を増やすと、それによって川の生態系に影響が出てしまう。必ずしもいいことだけではないということなので、言うのは簡単ですが、それをどう実現していくかというのは技術と社会システムをうまく組み合わせていかないとなかなか困難だろうと思います」

肱岡靖明 国立環境研究所環境都市システム研究室室長の提言:『未来のために今できること』
肱岡氏
「温暖化の将来は2030年~2100年ということです。なかなか自分のことのように感じられないでしょう。しかし、よく考えていただくと自分の子供や孫、その先の我々の子孫に向かって現在できることはいっぱいあると思うんです。何をしていくかを考えることも1つですし、準備もかかる。ならば、その未来に向けて現在できること、準備することで実は温暖化の影響はたいしたことなかったよねと言ってもらえたら、我々は大成功だと。よくがんばったねと言ってもらえるのではないかと。それを家族に伝え、皆で共有できればもう大丈夫だと。この風景をずっと将来も見たくはないかと考えると、長い時間をかけて遠い将来まで考えられるのではないかなと」